2016年12月31日

いや待って待って待って

 シンソウノイズを着々進めて、今は四章の事件が解決して分岐選択出たくらいまでですね。
 うっわー、これほんっとに面白いけど、面白いけど凄まじく残酷でもあるわー、と、この年の瀬にストレートに衝撃でどんよりしている私。確かに人間の悪意に対しても飾らずに生々しさを貫いてきてはいたから、どこかでその性質が持つ危うさは現実のものになるかもしれない、と危惧はしていたけど…………うわぁ。
 
 とりあえず構造的にはどうも脱落式、階段分岐採用らしくて、しかし二章が終わってからの展開がまたえげつなく読み手の心までザクザク削ってくる感じではあり、そこで一定のミスリードの可能性も示唆しつつ結果的にはストレートに、ってところでの、それが擬態とわかっていても騙されたい心理、ってのがあまりに鮮烈かつ克明で本当に息苦しく、ぐっさり刺さってくる感じですよねぇ。
 ひかりの真実にしてもまだ色々裏はあるのかな?ってイメージは、その後の沙彩との関わりで見えてきた部分からもあるし、相変わらずそういう話の自然な筋書きの中でサラッとフラットに18禁展開突っ込んでくるのね、ってところからの心性の変遷も痛々しく、それでいて本質がすごく良く抉り出されたところが余計にねー、と。
 というか、最初の一人から順々に、自由意志と尊厳の毀損の程度が増している、ってのはやっぱり意図的なのかなぁ、とは思うし、それなればこそ、って関係性の錯綜、歪さ、そこからの回天が非常に独特ながら説得性に満ちていて、いや本当にすごく面白いし、ヒロインもみんな可愛くていいんですけどねー、でもなー、沙彩までは「あー…………」で済むけど、モモちゃんは率直に「うぎゃーーー!!!」だもんなぁ…………。

 まあそもそもからして、そういう肉体的な繋がり以上に心の距離の方に意識の比重が置かれている関係性、物語性ではあるし、だから変にそこを意識せずにいられる、という部分も含めて自然、であるのには違いないんですけどねー。
 そしてモモちゃんの健全な強さにも心打たれるものは大きいけど、なんだかんだで一番バランスが取れてるのって沙彩の気はするなぁ。発言が奇矯なのも狙っての事で、裏側ではすごく思いやりがあるし、常識的で頭の回転も良くて、ノリの良さも多分に持ち合わせつつ、でも女の子らしいいじらしさとかも完備していて、そりゃヒロイン群の中では胸が足りない子だろうけどそれは私にはご褒美だし(笑)。

 一応構造的に階段順にヒロインルートは押さえていってるから、そっちがあくまでも脱落した流れの中でのおまけなのは承知していても、これから沙彩とイチャラブできると思えば、多少の後ろめたさがありつつも心が躍る。。。まあひかりの時とかは、全力でモモの信頼を裏切るのが心苦しかったし、今回もそれがない、とは言わないんですけどもね。
 あとチョロイン夏希ルートでの「選ばれたくなかったぁ!」と「お弁当 女子力」に爆笑した。さりげないところでの言葉の選択がもたらすおかしみが地味にツボだわやっぱり。

 ラブリーデイも無事にマスターアップ、こんな年末までご苦労様です。いえ、私も仕事でしたがなにか?
 しかし改めてこのSDアリス超超超可愛いよねー、こんな子犬ちゃんに全力で懐かれたい。

 結アナザー更新、にして無事に完結です。
 まあホント時期的にピッタリ区切りよく終われて、その点でも気分いいし、あまり肩肘張らないようにした分いつも以上に気楽に書けたなーと。小糸の時に色々展開折り込み過ぎて、オリキャラも出し過ぎて自分から難しくした反省で、今回は本編でそういう人はいるだろうな、って想定できる範囲でしかキャラ増やさなかったし、敢えて名前も出さないで完全に脇役に留めておいたのが、不必要に物語を膨らませずに済むいい匙加減になったのかも。

 とりあえず次は以前から触れていたように、フィリスの補完ストーリー的なのを、ゆるふわー、ほんわかー、な感じで適当に書けたらなー、と思ってます。イルちゃんとイチャイチャしたいしたい。。。
 ただ大まかな構想しか立ててないし、色々立て込んでもいるので、やっぱりアワード書くまではインプットに専念して、それでまた一月の新作がきちゃうと始めにくくなるから、その前、一月下旬に入ったくらいにえいやっと踏みだせれば程良いかなー、と想定しております。

 ともあれ、今年も一年あっという間でしたね。
 今年は自分なりに新しい事もちょっとは出来たし、その分なおざりになったところもあるけれど、しっかり密度濃く楽しく過ごせたなー、と思います。来年も楽しいゲームに沢山出会って、楽しくくだらない文章をダラダラと綴っていければ何よりの幸せだなーと思いつつ、まずは明日の朝のさいらぶ!からだなー。
posted by クローバー at 17:53| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

少女マイノリティ 結アナザー 結文

 人は大きく傷ついた時にこそ、その真価、そこまでの生き方の善し悪しが問われます。
 どんなに純粋で善良な人間でも、手酷い裏切りにあえば心を痛め、苦しむ、それは当然の理です。

 ただ、この少女マイノリティという作品本編での最上結という少女は、序盤で垣間見せる心根の美しさ、ひたむきな強さとは裏腹に、破倫の裏切りを目の当たりにして完全にその苦しみに飲まれ、自身の恋情を暴走させてしまっていて。
 確かにそういう所与の条件下で、完全無欠に聖人君子でいられるわけはない、だけど本当に、どんな高潔な人格であろうと100%心の闇に食われてしまうほどのものなのか?その疑問と、結というヒロインを不憫に思う気持ちからこの企画はスタートしました。

 そして、人は真っ当に生きる限り、多くの人に支えられながら暮らしていて。
 そういう健全な生き様、健康な精神の涵養は、不慮の厄災めいた事態においても、それまでの自分を保ち、しなやかに立ち上がって前を向く力になるはずで。
 では結にとって、その支えとなり得る観念はなにか?と考えて、生活環境、家族、そして過去の恋愛で育んだ愛情を三本の柱にし、それが改めての再会で、やけぼっくいに火がついた形の恋情のうねりを、それが報われない故の妬心の漏出を抑え込み、拮抗させる要因になるのではないか、黒白どちらに転ぶか五分五分、という状況を設定できるのではないか、と考えました。

 その上で、そこからの非日常を孕みつつの生活の営みの中で、その天秤はフラフラと危うげに揺れ動き、それはかつての愛情と今の恋情の鬩ぎ合い、という形で表層的に現れて。
 その二極的な思想が、ギリギリの選択を迫られる場面でどちらに転ぶか、その選択の蓄積によって最終的に着地点が少し変化してくる、という流れが、そしてどちらにせよ結というヒロインが失恋を迎える中で、それをどんなやり方で自身の中で昇華していくか、というのが、この作品で一番書きたかったことになります。

 勿論そういう迷いの在り方そのものが物語的な綺麗事ではあるし、まして本筋ルートにおける振る舞いなどはつくりものの極み、と言えるほどにお人好しの所業ではあって。
 私なりにそういう心理状況に至る経緯は、ある程度段階を踏んで丁寧に追いかけたつもり、ではありますが、所詮素人の拙い筆ゆえに、その変遷が必然的だと、説得的だと言えるまでに高められたかは甚だ心許ない限りです。
 でもその経緯はともあれ、結果的な部分では、私が書き始める前にイメージしていた結、というヒロインが併せ持つ健全な包容力、女の子らしい繊細な情緒と一途さをしっかり投影できたのではないか、と思っています。

 まあ終わってみますと、結はヒロインというよりまんま主人公の振る舞いだなー、と思う向きもあったり、特に中盤以降は結が主人公で凪咲がその相手役のヒロイン、みたいな立ち位置になってたりで(笑)、相対的に秋人や凪咲の活躍の場を奪ってしまっている感もあるのですが、その辺りの事前には思いも寄らなかった展開の変化や、本編で同様に物足りなく感じていたストーリー性の薄さの補完も含めて、非常に楽しく書くことが出来ました。
 あとこういう、純粋なイチャラブではない、けど無理やりというわけでもない、非常に複雑怪奇な心情に基づく曖昧なスタンスでのえっちなシーンを書く機会、それが可能な構造ってのは中々見ないので、その設定を生かす方向で、今までにない形のシーンが書けた、というのも地味に楽しかったところですし、古典的な手法とは言え、それを物語の分節点として生かせたのも面白かったなと。

 ともあれ、なんとかギリギリ今年中にピリオドを打つことが出来て良かったです。
 執筆期間もほぼ三か月と、概ね事前の想定通りに無理なく書き進められましたし、結果的にほとんど作品感想の時点で妄想した素材をそのまま援用した形なので、変に滞ることもなく、それでいて書きたいことはきちんと詰め込めた、と思います。
 いくら創作を重ねても、根本的な基礎体力、知力が足りてないが故に未熟なものとしかなりませんが、それでもお付き合いくださった方々には感謝です。この物語を通じて、少しでも結というヒロインはちゃんと救われて、強く生きていけたんだ、という納得を得ていただけたなら、これ以上ない幸甚です。

2016/12/31
posted by クローバー at 03:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月30日

日本語は本当に美しいのです

 さて、昨夜からシンソウノイズに着手…………したはいいんですが、なんぞこれインストールシステムめんどくせぇーーー!!!
 事前にそういう話一切気付いてなかったから、まず、は?ってなって、マニュアル通りに進めたらあれこれ登録だの認証だの繰り返させられて、う、うーん、プロテクト的な諸々とかあるのかもだけど、なんでこんなめんどい段取り踏まにゃプレイできないようにしたん?ってなる。ぶっちゃけインストール作業に着手してから、実際にプレイはじめるまでに一時間以上かかったぞ。。。

 とまあ、出鼻が挫かれる部分はあったものの、しかしやはり作品としては非常に素晴らしいですねこれ。
 体験版の時にも思ったけれど、全体的にすごく心理描写の追いかけ方、生々しさが緻密で、この設定ならではの味わいをすごく下支えしてるし、語彙の幅広さと選択の質の良さ、比喩や暗喩の的確さが相俟って、物凄くシンプルでありつつ甘美かつ優美な文体になっており、かつ程よく官能的で素晴らしいですね。
 基本的にあまり横文字を使わないのも好みだし、あと文章が醸す雰囲気と、キャラの醸す空気、1枚絵の出来の良さが物凄くきちんと絡み合い、噛み合っていて、あれ?って感じるところが全然ない。ちょっとこれ凄いなぁ、仄暗も文章として上質だと思ったけど、これはそれを凌駕するかもってくらい好き。文章追いかけてるだけで楽しいし、勿論物語としても楽しいです。
 今までライアー系列ってなんとはなしに手にする機会もなかったし、無論ライターさんによっては、ってのはあるかもだけどこの人とはすごく合うなぁ、チェックしとこう、と思って名前で調べてみたら、なんか超偶然だけどフェアリーティルの人なのね。なんかすごい得した気分だし、そっちもプレイするのが俄然楽しみになりました。

 まあそのあたりはともかく、物語としても体験版ラストの、ある程度予感は漂わせつつのやはり衝撃の展開から先、そのショックを受けてどう立ち振る舞うか、って中での流れも面白く、まあ夏希さんは流石にチョロ過ぎないかい?と思わなくはないけれど(笑)、しっかり18禁であることを生かした、退嬰的かつ必定に駆られるような展開も織り込みつつの進捗は、どんどん先を読み進めたくなる引力がありますね。
 そして基本的にヒロイン全員魅力的ではあるけれど、純粋に癒し、和み枠としてのモモちゃんの破壊力は素晴らしいし、あと地味に沙彩の気遣いさんっぷりが可愛いね。あの夜のお茶会とかすごい雰囲気良かったし、あとお風呂でいちゃついてる二人がすんごい可愛かった!

 無論百合子も、チョロイン枠の夏希もそれぞれにいい味を出していて好きだし、それにやっぱりOPムービーとか見る限り、さくらは本当に出番これで終わり?と疑いたくなる部分はあるのだよね。その辺しっかりトリックが組み込まれてそうな感じはヒシヒシとするんですけどもねー。
 つーか、タイトルで流れる曲が、序盤も作中で結構使われていて、そしてこれが物凄いいい曲だなー!って聞き惚れて曲名調べてみたらさくらのテーマて、これ絶対さくらメインのシナリオになるよね、だよね!って前のめりになりますわ。ホントこの曲好き、この哀切に満ちたピアノの旋律儚くも綺麗過ぎる。

 現状館篇の途中だけど、まだヒロイン分岐とかは見当たらんし、ぶっちゃけ道中でなんだかんだ理由をつけて全員食っちゃうんちゃうん?ってのが百合子ので濃厚になってきたのだけど、一先ずは流れのままにつらつら進めていきたいところです。

 結アナザー更新。
 
posted by クローバー at 18:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

結アナザー 第七章 後日談

<数年後――――>

「汝、伊達秋人は、片倉凪咲を妻とし、病める時も、健やかなる時も、死がふたりを分かつまで添い遂げることを誓いますか?」
「っ、誓い、ます」
「汝、片倉凪咲は、伊達秋人を夫とし、病める時も、健やかなる時も、死がふたりを分かつまで添い遂げることを誓いますか?」
「はい、誓います」

 教会の高い天井に、二人の凛とした誓約の声が響き渡る。
 ステンドグラスからは色とりどりの光が差し込み、二人の姿を一際に美しく、幻想的に彩っている。

「…………ぅっ、うぅ…………っ、良かった、よかった、ねぇ…………っ」

 隣席で、はやくも感極まった綾子さんが、噛み締めるように祝福と安堵を呟いて。
 その熱情と感懐が乗り移ってきたかのように、私の瞼の裏もじんわりと湿りを帯びて。

「…………それでは、誓いの口づけを」

 神父の促しに合わせて、新婦のヴェールがそっと外されて。
 顕れたその素肌は、表情は、これ以上ないほどの幸福感に満ち満ちていて。

 新郎が、宝石のように艶々と輝く桃色の花弁に、そっと顔を寄せる。
 唇が、触れ合う。
 それは長く、長く続き、幾多の艱難を乗り越えてここまで辿り着いた歓びの深さを示していて。

 ――――けれどもう、そんな二人の姿を見ても、心身を苛む切ない胸の疼きはほんの微かなもので。

 痺れを切らしたかのように、会場からまばらに拍手が湧き起こる。
 すぐにそれは誰しもが立ち上がっての万雷へと変わり、私も静かに、けれど一拍毎に大切な想いを乗せて、繰り返し手を叩く。
 素直に、偽りのない気持ちで、二人を祝福できる――――。

「新郎新婦の退場となります。皆さま、再度大きな拍手をお願いします」

 ヴァージンロードに、これまでの歩みの、一歩一歩の重さを、愛しさを刻み込むように、二人は煌く笑顔でゆったりと手を振りながら、出口へと向かっていく。
 温かい祝福を一身に浴びて、陽だまりを進んでいく。

 やがて出口へと辿り着き、新婦はゆっくりと振り返って、腰のあたりで抱えていた花束――ブーケ――を胸元まで持ち上げて。

「っっ、ブーケっ!取るぞ取るぞ〜絶対取るぞ〜…………!」

 綾子さんのように考える年頃の女性は中々多いようで、結構な人数が席から通路に乗り出さんばかりに前のめりになって。
 その人垣に、刹那二人の姿が視界から途切れ、少しだけ首を傾けてその晴れ姿を見届けようとすると、不思議なくらいにピタリと、新婦と目が合って――――そして確かに、不敵に笑った。

「…………それっ!」

 その自ら手掛けた、世界で一つだけのとびきり清楚な衣装には似つかわしくない、オーバースローでの、投擲。
 反射的に手を伸ばす人々の頭上を越えて、その花束は、吸い込まれるように――――。

「ええーっ!取ったの結ちゃんなのっ!?」
「…………あは、あははっ、もぅっ、最後の最後まで、ほんっとうに嫌味な事、してくれるんだから…………っ!」

 してやったりの笑顔を置き土産に、二人の背中は消えていく。
 光の中に、消えていく。

「うぅーっ、ブーケ、ブーケぇ…………」
「え、と…………そんなに欲しかったんですか?」
「そりゃそうだよっ!だっておかしくないっ!?私、この歳になっても結婚はおろか、まともな出会いすらないんだよっ!もうそりゃ験担ぎでも神秘の力でも頼りたくなるってものだよっ!!」
「あ、あはは…………平気ですよ、綾子さんは素敵な人ですから、いつかそれに相応しいパートナーが現れますって」
「もうそれも聞き飽きたよっ!いーんだいーんだっ、披露宴では憂さ晴らしにたんと飲んでやるんだからっ!結ちゃんも付き合ってよねっ!」
「はいはい、御相伴しますとも」

 その酒癖の悪ささえ直せば、もう少し男性も寄ってくるんじゃないかなぁ、なんて思いつつ、素敵な式を目の当たりにして複雑な感情に踊らされている綾子さんの背中を見送ってから、静かに席を立つ。
 私達は最前列にいたので、もうほとんどの人は教会の外に出ている。
 それを確かめてから、私はステンドグラスの前まで歩み、光のシャワーにブーケを掲げて、そっと鼻先をうずめる。

 ――――温かで、清涼な春の香り。

 それは、はじめて山の上のお屋敷に招待された日に嗅いだ匂いとおんなじで。
 けれど、あの時はまだ叶うと信じて疑わなかった、私の満腔を満たしていた恋の甘酸っぱい疼きは、もうここには、ない。
 しつこく最後まで根を張っていた最後のひとかけらも、その香りが運ぶ風に儚げに揺られて、ふぅわりと、綿毛のように私の心から離れていく。

 そう、今、終わったんだ。
 長い長い、私の――――。

「…………さようなら、私の初恋。辛い事も、苦しい時もあったけど、それでもあなたと共に在ったから、私の人生は味わい深い、実りの多いものになったよ――――」

 ままならない感情をぶつけあって、喧嘩し、傷つくこともあった。
 どうしようもない感情に押し流されて、肩を寄せ合い泣き暮れた夜もあった。

 それでも誰一人、傍に居ることを諦めようとはしなかったから。
 その想いが、少しずつ、少しずつ、私の恋情を、清らかな思い出へと昇華、させてくれた。

 だから――――。

「結ちゃーん、なにしてるの、早く行こうよー」
「あっ、はーい。すみませんお待たせして」
「いいのいいの、結ちゃんの気持ちもわかるし。…………それでさ、結ちゃんは披露宴の席次表、見た?」
「え?いえ、見てませんけど…………」
「なんかね、私達の席、取引先の会社の人達と混ぜられちゃってるんだよね。しかも若い男の人ばっかり!」
「…………あー、またそれは嫌味ったらしいお節介ですねぇ…………」
「どど、どうしたらいいと思う?折角だしこの流れに乗るべき?乗っちゃう?」
「乗るのは構いませんけど…………その場合、痛飲してだらしないところ見せたら一発でアウトですよ?」
「う゛っ、そ、そっかぁー、う、うーん、それは迷うなぁ…………」
「あはは、そこで迷うあたりが綾子さんですよねぇ」
「…………ちょっとー、それ褒めてないでしょー」
「ですけど、変に取り繕ってその場だけ気に入られても仕方なくありません?綾子さんらしい姿を見せても、それでもいいな、って思ってくれる人の方が絶対いいですよ」
「そうやって飾らずにきた結果が今なんじゃーん!あーもーどーしよー…………!」

 可愛らしく頭を抱える綾子さんを促して外に出る。
 雲一つない晴天が広がり、柔らかな春の日差しが満身に降り注ぐ。

「わかりましたよ、なるべく綾子さんのいいところが伝わるように、フォローしてあげますから」
「うー、でもそんな事言いつつ、絶対そうやって甲斐甲斐しく世話するタイプの方が男受けはいいじゃんかー」
「ふふっ、まあその時はその時、ですね」
「…………あれ?そんな事ないですよ、って、いつもみたいに謙遜しないの?」
「だって、綾子さんより私の方がモテるのは厳然とした事実ですもん」
「なにそれひどっ!うぅーっ、もしかしてこれってアレ?前門の虎、後門の狼…………!油断してると後ろから刺されて、踏み台にされて…………うわーんっ!」
「はいはい嘘泣きは結構です。もう、本当に被害妄想逞しいんですから…………いいですか、良縁に恵まれたいなら、まず自分を前向きに認めてあげないとダメなんですからね」
「はぁい。もー、本当に結ちゃんはママ気質が板についちゃってるよねぇ」
「や・め・て・く・だ・さ・い。それ地味に傷つくんですから…………」

 今までが今までだから、そう思われるのも仕方ないのかもだけど。

 でもきっと、今日からの私はもう違う。
 この快晴の空のように、なにひとつ憂いなく、翳りなく、前向きに未来を見据えて歩んでいける。

 二人が、私をそうしてくれたんだ。
 だから、うん。

 そろそろ本気で、新しい恋を探してみるのも、いいかもしれないね――――。

結アナザー愛エンド FIN

 
posted by クローバー at 04:14| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月29日

シナリオ厨のジレンマ

 仄暗い時の果てより、の感想をアップしました。
 正直時間がなかったのと、読み解きの難易度が高かったので、全てスッキリ自分の中で構造を解明できた自信はなくて、その分多少お茶を濁した感想になってしまっているのをご容赦ください、ってところだけど、まあ総合的なポイントでの自分なりの解釈、受け取り方については概ね間違ってないとは思っています。
 読み口、という意味のみで言うと、語彙の選択の幅が単純な恋愛ADVより広く取れる中で、すごくその選択のセンスの良さに感じ入るところは多くて、やっぱりこの人の文章好きだなぁ、だからなんだかんだ買っちゃうんだよなぁ、となるのですけど、テキストの良さが純粋にシナリオの良さに直結するわけでもないのが難しいところなのです。。。
 ともあれ、ファンタジックホラーサスペンスというジャンルとしてみれば安定した出来だと思うし、普通に面白かったんですけどねー、いざ感想にしてみると点数が伸びない不思議。

 そしてさいらぶ!をスタートし、一気にクリアしました。まあロープライスですしね。。。
 いかにもなかひろさんらしい、理論武装に長けためんどくさいツンデレとか、兄さん至上主義の妹とか素敵だったんですけれど、終わってみると一番プレーンに素直な女の子してる朱乃が超可愛かったなあ、と思う次第(笑)。

 ただひとつうーん、ってところはあって。
 尺が尺なんであんまり日記で語り過ぎると感想で触れる事なくなるから超ざっくりにしますけど、結局蒼葉シナリオで開示された主人公のトラウマが、ああして二段階の仕掛けで奥行きを持たせている中で、それが一切朱乃との恋愛の中では適応されないのはやっぱり不自然かなぁとね。
 結局こういうトラウマ系って、本質的にはより精緻な快復の段階を踏んでいく必要があると思うし、そこでヒロインごとに多様性をもたらすなら尚更、なんだけど、その意味では蒼葉にしたって甘いし、朱乃シナリオに至っては余計に、ってなると、だったら一人に絞ったほうがマシだったんじゃ?って根本的な部分に対する疑義が浮かんでくるよねと。。。

 でもなー、シナリオ面からみるとそれがロープライスの範疇ではまだしもの正着、と思っても、純粋なキャラ萌え、愛着からすると朱乃が一番だってのがジレンマなのです(笑)。
 贅沢を言えば、妹も入れて三方向から別のアプローチでそのトラウマを解していく、という構成があれば嬉しかった作品だなーと思いますね。
 感想はお正月朝に書きまーす。

 結アナザー更新。明日の朝後日談書いて、明後日の朝にあとがき書いて、なんとか無事に年内に片付きそう、かな。
posted by クローバー at 18:35| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする