2017年03月03日

束の間の平穏

 シルヴァリオトリニティの感想をアップしました。
 スケジュールの関係でこんな時期になってしまいましたけれど、やはり一月の本命はこれだったかー、と言えるだけの総合力、シナリオの熱量と強いメッセージ性を兼ね備えていて、非常に満足できる続編だったと思います。
 まあ単純な燃えゲー、と評価するには、やや捻りが強かったり、説明がくどかったり難点はあるのですが、それも含めて前作ファンなら当然楽しめますし、ヒロインも可愛かったので満足ですね。

 個人的にはアレですね、このトリニティのトゥルーED派生での、その後のハーレム修羅場譚とか、ヴェンデッタキャラとのクロスオーバー的な要素を備えた、プロペラのクロノベルトチックなFD出してくれたらいいのに、とはちょっと思いますね。
 ミリィとアヤの和やかな会話とか見てみたいですし、あと戻ってきた銀狼に対するライブラ様の妄執ぶりとか気になるわ。。。

 さて、しゅがてん!は氷織をクリアして、ラストのエピローグもクリアして無事にコンプリートです。
 いやぁー、毎日同じセリフしか書けない語彙の乏しいわたくしめですが、もうほんっっっとうに可愛過ぎて困ります(笑)。なんだかんだ3人とも大好きですが、やはり終わってみると氷織が一番好きかな、って思える、やや素直になれない引っ込み思案な可愛さが最高でしたね。

 シナリオ面でもやはり3人の中で一番優遇はされている格好で、こうしてみると、ショコラに傾倒している時が一番氷織と遠いから全くそのありようが見えてなくて、めるだとちょい近いから一部見えてて、氷織を注視しているとより深い隠し事まで気付き、探れるという匙加減が絶妙でした。
 無論多少なり展開に恣意的な、バタフライ的な飛躍がないとは言わないですけれど、時系列的にも天候問題などで極端な齟齬はないと思いますし、全体的には一定の外的要因と、それを踏まえての内的動因がきちんと整合性を持った、良質なハートフルストーリーになっていると思いますね。

 もっとも、氷織シナリオの山場であるあの吹雪の中でのシーンは流石に力技だなぁ、とは思いますし、良い子は絶対に真似しないでね、って話ではあるのですが、そういう、人の想いだけでは本来どうにもならないものを、僅かなり手助けして救いと幸せを与える、という主人公本来の素地を考えれば、まあギリギリメルヘンの範疇で許されるのかな、ってところですかね。
 ともあれ他のヒロインよりもじっくり恋愛に至る経緯が紡がれていますし、それを自覚してからのオリちゃんのほんとーにめんこいことめんこいこと。CV的にもバッチリ嵌り役だったなと感じましたし、絵も最強に可愛かったですし、大満足のシナリオでしたね。

 エピローグに関してはおまけの答え合わせ、というところ。ごく短い後日談ですね。
 まあ名刺の時点で鋭い人なら気付ける程度の謎ですし、そもそも時期やシンボル的な部分でのヒントも多彩に備えられているので、そこには驚きはなかったし、むしろああやっぱりね、という納得の方が強かったです。
 それでもあるならあるでほっこり出来るところですし、この物語の締めとしては非常に神秘的かつ綺麗で良かったのではないでしょうか。
 感想は…………ミドルプライスなので頑張ればいつでも書けるとはいえ、無理はしたくないので次のお休みの火曜日に。3月前半「だけ」は、2月後半全く休めなかったのもあり、ギリギリまともに休めるので、この間にやれることはきっちりやっておきませんとね。
 や、まあ3月後半に4月前半は、まずまともに休めないの確定してるからげんなりもいいところなんですけれど。。。

 ともあれ次はスイセイギンガです。本来はこっちが本命だったのに後ろ回しにしてしまったので、改めて大いに期待ですかねー。
 しかし今日甘夏の体験版も出るらしい…………。これは雰囲気見ておかないと吶喊が怖いんですよねぇ、うぬぬ。

 フィリスアフター更新ー。こっちも全然着手する余裕がなくてぐぬぬ、ですな。
 そしてしゅがてん!プレイ期間だったことで、私なりにイチャラブ度が上がってしまったのは致し方ないというものです。。。イルちゃん可愛いよイルちゃん。
 
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フィリスアフタークエスト <鉱山にも被害が!?現場の不可思議を調査しよう!>

フィリス
「ふぃー、たっだいまーっ!…………あれっ、リア姉達まだ戻ってきてないのかな?灯り灯り…………」

 明け方近く、身体が溶け落ちそうな疲労感と、横溢する充実感を胸にアトリエに戻ってくると、室内は冷たい夜闇に閉ざされたままだった。
 おかしいな、こんな時間まで調査、続けてるなんて――――。

イルメリア
「…………ひょっとすると、向こうでも何かあったのかもしれないわね」
フィリス
「イルちゃんもそう思う?様子を見に行った方がいいのかな?…………んー、でも…………ふぁぁぁ〜〜〜…………っ」
イルメリア
「こらぁ、そんなだらしなく大口開けてあくびしないの」
フィリス
「ごめんごめん。でもそういうイルちゃんだって、目がとっろ〜ん、ってしちゃってるよ?」
イルメリア
「う、うるさいわね…………私はあんたみたいに不摂生じゃないから、こんな時間に起きてるのは辛いのよ」

 少し頬を赤らめながら、むくれたようにそっぽを向くイルちゃん。
 その様子にほっこりしたものが流れ込んできて、同時にここまで気力で持たせてきた身体が、全身全霊で休息を求めて叫び出す。

フィリス
「…………まぁ、あの三人なら滅多な事にはならないよね?」
イルメリア
「えぇ、同感。確かに心配にはなるけど…………今の私達が駆け付けたところできっと足手纏いにしかならないわ」
フィリス
「だね。はぁぁ〜〜〜、もーダメー、立ってられない〜…………」

 背骨がプ二玉になったかのようにぐんにゃりとして、わたしは半ば無意識に、手近なベッドの上に腰を下ろす。

イルメリア
「も〜、ダメよ、寝るならせめてちゃんとお風呂に入ってからにしないと…………」
フィリス
「ちょっとだけ〜、ちょっとだけ休んだらするからぁ〜、ほらぁ、イルちゃんも隣、おいでおいで〜♪」
イルメリア
「…………ったくぅ、ほんとにちょっとだけ、なんだ、からねぇ…………」

 ポンポン、とベッドを叩いて促すと、やっぱり余程疲れていたのか、普段より語尾を蕩けさせてその誘惑に乗ってくる。
 ふわっと立ち昇るイルちゃんの香りは、一晩を明かしてもどこか瑞々しさを残していて心地よい。

イルメリア
「…………でも、ほんとに良かったわ。ちゃんとあの子を救うことが出来て…………」
フィリス
「うんうんっ、一番難しい骨折も順調に回復してたし、麻酔代わりにもなって、今のところは変な副作用とかも出なかったもんね。さっすが、わたしとイルちゃんの作った薬だよねっ♪」
イルメリア
「調子に…………乗らないの〜…………。まだまだ素材的にも改良の余地はあるんだし、ああいう特化的な効能じゃなくて、もう少し汎用的な回復促進剤に調整出来れば…………そーすれば、もっと…………ぉ…………」
フィリス
「そだね、もっともっと色んな人を助ける事だって出来るかも…………イルちゃん?」

 くたりと、柔らかい熱量が頬から肩に触れて。

イルメリア
「…………すー…………すー…………」
フィリス
「…………あは。もー、イルちゃんてば、人にあんな事言っといて、自分が先に寝ちゃうなんてずるいよぉー」

 鼻先を擽る金糸を軽く払いながら、そのもちっとしたほっぺたをここぞとばかりにつついても、むにゃむにゃと愛らしい反応が返ってくるだけで。

 でも、それも仕方ないのだろう。
 本来規則正しいイルちゃんが、こんな時間まで献身的に看護と経過観察を頑張ってくれたのだ。
 昨日は昼過ぎまで寝こけていたわたしに比べて余力がないのもさもありなん、と思ったところで、わたしの意識にも一気に靄がかかってきて――――。

フィリス
「うぅん…………今日くらい、いー、よね…………ね、イルちゃん…………このまま、いっしょ、にぃ…………」

 最後の理性で、イルちゃんをベッドの上に引きずり込み、二人で一枚の毛布を被ったところが限界だった。
 心地よい温もりと、晴れやかな達成感に包まれながら、もはや抗う術も意思もなく安らかな眠りに吸い込まれていく――――。

……

…………

………………


リアーネ
「ただいまー…………あら?灯り、つけっぱなしだわ」
ソフィー
「もしかして二人とも戻ってきてるんじゃない?おーい、フィリスちゃーん、イルちゃーん!」
プラフタ
「ソフィー、こんな時間に大きな声を出すものではありませんよ。それにほら、あっちを見てごらんなさい」
ソフィー
「あっち?って、あー、そっかそっか、灯りつけたまま寝ちゃったんだ――――っっ!?」
リアーネ
「どうしたんですか、ソフィーさん…………って、あ――――」
プラフタ
「なんです、いきなり二人して固まって。んー…………ああなるほど、この子達、一緒に限界を迎えてしまったんですね」
ソフィー
「…………か…………か…………っ」
プラフタ
「か?」
ソフィー
「かっ、かわっ、可愛いーーーっっっ!!」
プラフタ
「…………なにをいきなり叫び出してるんですか」
ソフィー
「なにを、じゃないよっ!プラフタにはこの可愛さが響かないのっ!?こんなに頬すり寄せてっ、満足げな無垢な寝顔で縺れ合ってて…………これにときめかないなんておかしいよっ!!ふぁ〜、可愛いぃぃぃ…………このままお持ち帰りしたい〜〜…………」
プラフタ
「…………ソフィー、何かヘンな趣味に目覚めかけていませんか?リアーネからも何か言ってやってください」
リアーネ
「…………なんで、どうしてフィリスちゃんはこんなに可愛いの?あぁ、この素晴らしい光景を永久保存できる装置とか、作れないものなのかしら…………」
プラフタ
「………そうでしたね、その点リアーネも同じ穴の狢でした…………。全く、二人とも呆けていないで、私達も少しは休まないと明日に響きますよっ!」
ソフィー
「えぇー、もっと眺めてたいのにぃ…………」
リアーネ
「こんなの、いつまでだって見飽きる気がまるでしないのに…………名残惜しいわ」
プラフタ
「レアで美しい光景なのは私とて認めますが、二人に注視されたままでは安らかに眠れないでしょう?この二人にはまた明日から色々と頑張ってもらわないとなんですから、ちゃんと分別を持ってください。特にソフィー、貴方は一番のお姉さんでいい大人なんですから、いい加減に弁えないと」
ソフィー
「うー、またそうやって歳の話であたしをいたぶるんだぁ〜!プラフタのイケズ〜、おタンコナス〜」
プラフタ
「…………はぁ、暖簾に腕押し、糠に釘なのは今に始まった事ではないですけど。もう少し思慮深い発言が出来ないものでしょうかね…………」
リアーネ
「あ、あはは、まあまあ、今は私達も疲れてますから。…………うん、でも二人の寝顔で英気も養えた気がしますし、また明日から張り切っていきましょうね」
ソフィー
「そーだねぇ。ふわぁぁっ、あはは、あたしも急に眠くなってきたや。そいじゃ二人とも、おやすみぃ〜…………」
プラフタ
「あっこらっ、お風呂にも入らずにっ!」
ソフィー
「いーよ、全部明日明日ぁ…………今はこのしゃ〜わせ〜な気分のまま眠らせて〜…………」
プラフタ
「…………はぁ、本当にどっちが子供だかわかったものじゃないんですから…………」

………………

…………

……


 ――――夢を、見ていた。

???
『…………みんなを守るのには、こうするしか、なかったんだ…………』

 深い、深い蒼に包まれている。
 よく見ればそれは、岩肌が正面の泉から発する光を反射して作り出しているもので。
 その根源である水面はそよとも揺らがず、静謐な、けどどこか禍々しさも含んだ蒼を滾々と放ち続けて。

???
『これで、この地の安息は、豊饒は約束、されたから。だからこれで、間違ってない、よね…………みんな、幸せになれる、んだよね…………?』

 わたしのようで、わたしでない、声。
 視界が僅かに揺らいだのは、堪えた涙ゆえなのか。

 心を貫く痛みを、偽りの幸福感で塗り潰して。
 蒼の世界をたゆたうわたしでない誰かは、やがて振り切るように背を向けて。

 刹那、世界が微かに鳴動する。
 空気が水になり替わったかのように、ぎゅうっ、と全身に重圧が押し寄せ、あぁ、息が、出来ない――――。

フィリス
「…………んんっ!?んんんーーーっっ!?」

 目が覚めて、まず飛び込んできたのは、華美な白。
 同時に頭をきつく締め付けられる感覚がやってきて、誰かの胸元に引き寄せられて息苦しくなっていたことに気付く。

フィリス
「…………んっ、ふぅっ、はぁーーっ、はぁ…………っ、えーっ、と、あれ?確か、ゆうべは…………っっ」

 顔を二、三度横に動かすと僅かに拘束が緩み、息が整うほどに意識が現実と噛み合っていって。
 首をもたげると、思いがけずすぐ近くに、端整な顔立ちがあった。

イルメリア
「すぅー…………っ、すぅー…………ふみゅ…………」
フィリス
「…………てっ、天使…………っ!?」

 思わずそんな台詞が漏れてしまうほどに、その無垢な寝顔は美しかった。
 きめ細かく艶やかな肌、長く優雅な弧を描く睫毛、スッキリ整った鼻梁、張りと潤いに溢れた桃色の唇、頬に張り付く一房の絹糸めいた細い金髪、全てが揃って芸術的な調和を醸していて、それが目と鼻の先にあるものだから、ドキドキと胸の弾みがおさまらない。

イルメリア
「ん…………やぁ…………っ」
フィリス
「んむっ!?ふぇっ!?えっ!?」

 しばしその寝顔に見惚れて硬直していると、むずかるようにあえかにその花のような唇をほころばせ、再びわたしの頭を胸元に掻き抱く。
 その情熱的な抱擁に、益々ときめきが加速していくようで――――。

イルメリア
「…………行かないで、ママ、パパ…………っ、お仕事ばっかりじゃなくて、もっと私に、かまってよぅ…………っ」
フィリス
「――――っっ」

 そのいたいけで切ない寝言に、私の拍動は優しく慰撫されて。
 うらはらに湧き上がってくるのは、強く温かな情愛の念。

 いつも強がっているけれど、きっと本当は寂しがりで甘えたがりなイルちゃん。
 普段は決して見せないような隙を目前にして、わたしは――――。

イルメリア
「…………は、ぁ…………えへ、へぇ…………」
フィリス
「…………へーき、だよ。わたしは絶対、嫌って言われたってもうイルちゃんから離れてなんて、あげないもん」

 頬をすり寄せるように抱きしめ返せば、へにゃっと眉根が緩み、尖り気味だった唇が柔らかな笑みをつくる。
 支えた後頭部を優しく撫でさすれば、もっともっととせがむように甘えてきて――――。

フィリス
「(かっ、かかかっ、可愛い――――っっ!!イルちゃん、か・わ・い・す・ぎ・るっ!!もーっ、もうもうっ、なにこれっ、なんなのこれ――――っっ!!!)」

 内心で錯乱した喝采を上げつつ、表面的には起こしてしまわないように、そーっと、そーっと、壊れやすい宝物を扱うように繊細な手つきで触れ続ける。
 思わず夢なら醒めないでと祈りたくなるような、心満たされる温かな時間。
 けれど、それもいつしか終わりが訪れるもので――――。

イルメリア
「ふみゅ…………むぅ…………」
フィリス
「っっ!?…………ん…………ひっ、は、ん…………ぅっ…………」

 幾度目かの身動ぎ。
 すると肩口から、もう一房ふんわりと髪がほどけて、あろうことかわたしの鼻先をクリティカルに擽っていく。
 なんとか顔を背けたものの、その時にはもう、くしゃみの衝動は抑えようがなくなっていて――――。

フィリス
「…………んぅっ、ふぁっ…………くしょんっ!!くしゅっ、くしゅんっ!!」
イルメリア
「…………ふぇえ、なにぃ、うる、さいぃ…………まだ起きる時間じゃな…………あ」
フィリス
「ずず…………っ、あーあ、起きちゃったかー。おはよ、イルちゃん♪」

 トロン、と開いた瞼が、パチパチと数回愛らしく瞬いて。
 バッチリ合った視線を一度、わたしの口元に移し、そしてもう一度目を合わせて――――。

イルメリア
「えっ!?え、えぇ――――っっ!?!?ちょっ、ちょっとフィリスっ、あっ、あんたいったいなにをっっ!?」
フィリス
「へ?なにを、って、イルちゃんの寝顔観察?ふっふー、いつもはきりっと凛々しーイルちゃんも、こーゆーときは無防備なんだねぇ」
イルメリア
「なっ、なぁぁっ!?ねっ、寝顔、ってぇっ、そっ、そもそもなんでこんな…………ってあぁっっ!!そ、そっか、あの後、そのまま私まで…………」

 ようやく現状に合点がいったのか、瞳にはっきりとした焦点が戻ってくると同時に、吐息の温もりが生々しく感じられる距離感に、ボッとフラムが炸裂した瞬間みたいに一気に赤面する。

イルメリア
「ちっ、近い近いっ!あんたねぇっ、なっ、なんでこんな至近距離で見つめてんのよっ!?」
フィリス
「えー、イルちゃんの方が引きずり込んできたのにそゆこと言うんだぁ」
イルメリア
「へっ?わ、私、が…………う、嘘でしょ、私が、そんな…………」
フィリス
「失敬だなー、嘘じゃないもん。というかイルちゃんどんな夢見てたの?どうもそれで寂しくなっちゃってたみたいだけど」
イルメリア
「ゆ、夢?夢、夢、は、確か――――っっ!?!?」

 その指摘に思い当たる節があったか、首筋まで真っ赤に染まり切る。
 そういえばわたしもなにか不思議な夢見てたなぁ、と脳裏に微かにその残影が過ぎるものの、直ぐに眼前の愛らしく目新しい反応に関心を引かれて、その残り香は記憶の彼方に消え去ってしまい――――。

フィリス
「にひぃー、きっとおとーさんおかーさんに甘える夢、見てたんでしょ♪もぅー、無邪気にスリスリしてくるイルちゃんてば卑怯なくらい可愛かったんだからぁー♪」
イルメリア
「なっ、にゃっ、なにっ、なにをっ!?わっ、わたしっ、私はっ、寂しいなんて別に…………っ!!」
フィリス
「なはは、語るに落ちてるってばぁ。いーのに、わたしのまえでくらい、そんな意地張って強がらなくても。散々お互いに弱みも見せたし、喧嘩だってしてきたんだからさぁー」
イルメリア
「そっ、それとこれとは別の話よっ!!あぁもぅっ、なにしてんのっ、なにやってんの私――――っっ!!」
フィリス
「そうやって身悶えるイルちゃんもかっわいい――――っっ!!ねねっ、もっとスリスリさせて、スリスリっ!!」
イルメリア
「ぎゃ―――っっ、こらぁっ、もうちゃんと起きてんのに抱きつくなぁっっ!!」
リアーネ
「あらあら、二人とも朝から元気がいいわねぇ」

 胸に湧き出る衝動のままに、ベッドの上でしばらくイルちゃんとくんずほぐれつの追いかけっこをしていると、流石に騒ぎを聞きつけたか、ひょこっとリア姉が顔を覗かせる。

イルメリア
「みっ、見てないで止めてくださいっ!!」
リアーネ
「そうなの?でもフィリスちゃん楽しそうだし、イルメリアさんも満更じゃなさそうだし」
フィリス
「だよねー、リア姉もそう思うよねー♪イルちゃんイルちゃーん、すりすりー、うりうりー♪」
リアーネ
「ふふっ、あぁ、無邪気なフィリスちゃんは本当に可愛いわね…………!」
イルメリア
「んもうっ、こんな時まで姉馬鹿をぉっ!!この…………っ、いい加減に、しなさいっっ!!」
フィリス
「ふげっ!?」
イルメリア
「…………あ…………」

 強引に引き剥がそうと伸ばされた手が、たまさかわたしの鼻の穴に直撃して。
 目からドナーストーンが炸裂したような痛みに、思わず頓狂な呻きが漏れ、ジンジンとした慣れない痺れに蹲る。

イルメリア
「…………そ、その…………ごめん。わざとじゃ、ないのよ?」
フィリス
「うぅ…………っ、ひはひ…………はふっ、はぁっ、う、うん、わかってる、その、わたしもごめんね、ちょっとふざけ過ぎちゃって…………」

 まだ妙な感触が残る鼻柱をモミモミしながら謝ると、イルちゃんもふんわりと笑ってくれて。
 けど次の瞬間、マジマジと指先を眺めてどうしかものか、と考慮されるのはなんだか気恥ずかしい。

リアーネ
「ふふっ、じゃれ合いは終わり?そうしたら、お風呂沸かしてあるから入ってらっしゃい。まずは身を清めて、お腹をくちくして、それから昨日の顛末の話し合いといきましょう」
フィリス
「わ、さっすがリア姉、気が利くー♪そしたらイルちゃん、先にいいよ」
イルメリア
「えっ、で、でも悪いわよ、私の方が居候的立場なんだし…………」
フィリス
「もーっ、今更そんな遠慮はナシナシっ!…………あっ、それとも、折角だから一緒に入る?」
イルメリア
「ぜっっっっったいにお断りっ!!わかったわ、好意には甘えさせてもらいますっ!リアーネさんも、その子が間違っても乱入してこないように見張っててくださいねっ!」
リアーネ
「ふふっ、わかったわ」
フィリス
「あーっ、リア姉どっちの味方なのっ!?」
リアーネ
「いいじゃない、もうイルメリアさんとは散々イチャイチャ出来たんでしょう?今度は少しくらいお姉ちゃんに付き合ってくれても、罰は当たらないと思うの」
フィリス
「も、もーっ、仕方ないなぁリア姉はぁー」

 ――――そんな感じでしばらくの間、まったりと身支度と食事に時間を費やして。

フィリス
「…………鉱石が、怯えてる?」
ソフィー
「うん、あたしが感じた限りだと、そういうしかない感じ、なんだよね」

 食事中に訪問してきたソフィー先生とプラフタさんを交えて、まずこちらの状況を説明し、その上で三人の調査結果を聞く段になって、開口一番出てきたのはそれだった。

プラフタ
「ゆうべ、一晩かけて進める限りの坑道を案内してもらったのですが…………やはりどこか、あの鉱山は人為的に錬金術の力が及んでいる気配は濃密でした。といって傍目に異常は感知できず、ならばソフィーの感覚に頼るべきか、と考えたのですが…………」
ソフィー
「あたしも材料の声を聞くのは得意な方だけど、なんだろうね、ここの鉱石は特別製なのかわかんないけど、どうも素直に心を開いてくれないというか」
イルメリア
「またさらりと不思議な事を仰いますね…………ものに想いはあるとしても、人間のように多彩に変化する心があるとも限らないでしょうに」
フィリス
「…………それ、オスカーさんに言ったら躍起になって反論されるよ?…………うーん、でもそう言えば、わたしもここの採掘の仕事しばらく触れてなかったし、ちゃんと声が聞こえるようになってからは尚更なんで、それが正しい感覚なのか、以前と違うのかはちょっとわかんないですよ?」
ソフィー
「まあそうかもだけど、昔でもある程度はその呼び掛けに反応できてたんでしょ?ってことは、フィリスちゃんの血筋の方がこの街の鉱石に対する親和性は高いと思うんだよね」
プラフタ
「私もそう考えます。ですので今日は、もし他の状況が許すようでしたら、昨日現場を見聞していない二人で、改めて調査をしてみて欲しいのですが、どうでしょう?」

 そう水を向けられて、イルちゃんと顔を合わせて首を捻る。
 少なくとも今、昨日の地震の被害で助けを必要としている場所は多いだろう。
 その全てを脇に置いてまで、その調査に時間を割くほどの重要性があるのか、正直判断が難しく、プラフタさんの感覚や危機感を信頼していないわけじゃないけど…………。

イルメリア
「その、街の復興支援のほうは平気なんでしょうか?」
ソフィー
「あ、うん、そっちは今日はあたしがやるよ。ここに来る前に一通り街を回って、必要そうなものはピックアップしてきたしね」
リアーネ
「あら、随分とフットワークが軽いですね。…………えっと、昨日の子には定期的に例の薬を使用してあげればいいだけ、よね?」
フィリス
「うん、もう峠は越えたし、後は下手に目を覚まして痛みで暴れるくらいなら、って話でまとまったからそれで平気だけど」
リアーネ
「だったらそれは私でも大丈夫よね。他にも手助けに向かいたいところはあるけれど、合間にでもきちんと様子を見ておくから安心して」
イルメリア
「な、なんか順調に外堀が埋まっていくわね」
ソフィー
「まープラフタも伊達に長く生きてるわけじゃないし、その感覚に訴えてきたものなら、危惧しすぎる事はないって思うからね」
プラフタ
「…………ソフィー、それで意趣返しのつもりですか?」
ソフィー
「まさかまさか」
フィリス
「あはは…………でもお二人がそうまで言うなら、わたし、調べに行ってみますね!なにもない、ってわかればすぐに戻ってくればいいだけですし。イルちゃんもいいよね?」
イルメリア
「仕方ないわね、あんた一人じゃ危なっかしいから付き合ってあげるわ」
フィリス
「もー、相変わらずツンツンしてるんだからぁ♪」
イルメリア
「あーっもぅ、一々ベタベタしてこないっ!!」
ソフィー
「ふふっ、仲良きことは美しきかな、だねー。ともかくそんなに気負う事ないから、気楽に見て回ってきてよ」

 その微笑ましい視線ごと振り払うように、イルちゃんに邪険にされて。
 ま、確かにこんなゆるーい感じがわたし達だよね、と、どうしても被害に思いを馳せると忍び寄ってくる暗い気持ちを打ち消しながら、リア姉に道具を渡すべく袋を漁って――――。

フィリス
「…………あっ、危ない危ない、使用回数残り一回になってたよー」
イルメリア
「あー、確かに昨日は頻繁に使ったものね。一応触媒効果で増殖させた予備はあるとはいえ…………」
フィリス
「うん、また一から素材集めしてたら陽が暮れちゃうもんね。ふっふー、こういう時のコルちゃん人形の複製能力、ホンット有難いよねー♪」

 そのまま手渡しそうになる寸前に気付いて、ホッと胸を撫で下ろしながら、改めてコルちゃん人形にお供えする。
 すると自動的に複製機能が動き出して、暫し待っていると――――。

コルちゃん人形
『…………今回ノ経費ハ、4352みるく、デス』
フィリス
「って高っ!?めっちゃ高ぁっ!!」
イルメリア
「ま、まぁ確かに、希少素材てんこ盛りに練り込んでるものね…………。やっぱりもう少し経費を抑えられる素材に置き換えないと、軽々しく使っていいものじゃないわね…………」
フィリス
「うん…………またみるく買ってくるか、搾りに行かないとなぁ、とほほほ…………」

 なんて、若干意気を阻喪する出来事もありつつ。
 わたし達は改めて、それぞれにやるべきことを見据えて街へと飛び出すのだった。

 よーし、とにかく先生たちの期待に応えるべく、しっかり調査、しないとねっ!!
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シルヴァリオ トリニティ

 前作のヴェンデッタが非常に面白かったですし、ならばやらない道理はないよね、と、体験版とかやる暇作れなかったけど信頼して購入。

シナリオ(26/30)

 知ればこそ、選べるもの。

★あらすじ

 この作品は、2015年2月に発売されたシルヴァリオ ヴェンデッタの続編、という位置づけになります。
 もっとも引き継いでいるのは舞台設定と歴史的な事象のみで、舞台も主要キャラもほぼ一新されているので、その意味ではほとんど新作に近い、と言っても過言ではないでしょう。とはいえ当然ながら前作プレイは、ちゃんと楽しむ上では必須条件にはなってくると思います。

 その前提の上で、改めて今作のあらすじを。

 滔々たる大河に抱かれる古都・プラーガ。
 この地には、旧世紀日本の遺産である議事堂が転移しており、その事でカンタベリーが聖地と見做す街となっており、そこに地政学的な部分でアンタルヤ、更に東部戦線を拡大し続けてきたアドラーが介入し、三つ巴の睨み合いを繰り広げていました。
 それはまさしく、かつて火薬庫、と呼ばれた様相に酷似しており、どの勢力も隙あらば他勢力を出し抜いてこの地に覇権を打ち立てんと、虎視眈々と牙を磨いていました。

 そんな中、主人公は帝国軍の新鋭エスペラント部隊の一因として、この地に配属されることになります。
 かつての大虐殺で英雄に助けられた過去があり、故に自身もああなりたい、という切実な希望を胸に軍内で自己を磨き続け、それにより同じ時に紡がれた心の傷をも克服しようと、前だけを向いて強く歩んでいました。

 しかし、同僚のアヤ、グレイとスリーマンセルを組んではじめて出陣した戦場は、不気味な機動兵が跋扈する文字通りの死地で。
 三十人規模の小隊がその罠の前に文字通り犬死していく中で、当然主人公達の命運も風前の灯火でしたが、そこで主人公の心の奥に、このままでは終われない、という炎が煌きます。
 その想いに引きずられるまま、自分でもわからない潜在力を発揮して敵を蹂躙しきって。
 すると、その光景を観察していた別勢力の斥候兵であるレインに、突如大きな敵意を向けられ、それを呼応するようにこちらからも強烈な敵愾心が湧き上がってきてくるのでした。

 その戦いの意味も知らぬままに死闘を繰り広げる二人。
 それは徐々にエスカレートし、遂に次元の歪を生み出すに至って。
 そして、そこから姿を見せたのは、正真正銘の怪物、冥府の力の顕現そのものたるケルベロス。
 彼の用いる力によって星辰光を掻き消され、文字通りの水入りとなった戦いを経て、はじめて主人公は自身のありように些細な違和を感じるようになります。

 それは戦後、改めて仲間達と過ごす日々の中でも、時折心を過ぎる影となっていきます。
 兼ねてから自分の事を知っているように献身的に振る舞うアヤ、カンタベリーのパラディンという立場ながら、その垣根を超えてすぐに打ち解けたミステル、そして街中で不意に再会したレインに対しても、あの時に感じた絶対的な敵、という憎悪は微塵も浮かばず、むしろこちらを見つける郷愁と歓喜の色に懐かしさすら感じて。

 けれどその正体を掴めず、敢えて知ろうともしないままに、運命は急転の時を迎えて。
 古都プラーガで奇跡のように絶妙に保たれていた均衡は、二人の熱狂的な光の信奉者によって打ち砕かれ、否応なく戦乱が街を覆って。
 これまで以上に自身の身の振り方、あり方を正しく見つめ、迷わずに突き進むべき時が訪れた中、主人公もまた、自身がどうありたいか、誰の想いに共鳴し、道を共にしたいかを迫られることとなり、そしてその選択が、大きく未来の姿、可能性を変遷させていくのです。

 これは、奪われた過去を取り戻し、そして凡なる一人の人間としての、複雑怪奇で時に厳しい世界で生き抜くための信念の紡ぎ方を描いた物語です。

★テキスト

 ここはほぼ前作の感想を踏襲してもいいかな、と思うところですかね。
 装飾過多であり重厚華美、漆塗りのように丹念に幾度もテーマをなぞり、少しずつ位相をずらしつつもメッセージを発し続ける感じは徹底的に健在で、純粋に読み易い文章では決してないと思います。
 でもだからこその歯応えがあるし、その論理の筋道や発想の多様性、事象に対する可能性の突き詰め方の徹底ぶりには唸らせられました。好みど真ん中、とまでは言いませんけどすごく楽しめましたし、バランスの取り方も秀逸、相変わらずの誤字脱字の目立ちさえなければ、というところですね。

★ルート構成

 今回もヒロインは三人ですが、シナリオとしてはグランドが用意されています。
 三人それぞれと結ばれることで、主人公に発現する想いや力、三者均衡のバランスの崩れ方などが全く違う様相を呈してきて、そのあたりの筋道の立て方と内在性の堅牢さは流石ですし、その上での、三人であり三人でない、という、この物語の根幹をなす真実に基づいた想いに導かれてのグランドのつくりは、そこまでの伏線やありようを全てしっかり内包し、そこから更に飛翔した素晴らしいものとなっています。

 選択肢的には最低限の簡素さですが、それで誰を選ぶか、というだけでルート毎の分岐展開が必然として呼び込まれる枠組みは担保されています。
 その上での最後の選択で、誰も選ばなければ容赦なくバッド、誰かを選べばグッド、その三人への想いを糾合する中で真実にいち早く開眼すればトゥルー、というつくりは、シナリオのテーマ性とも連動してきっちりしたものに仕上がっていると思いますね。
 
 基本的に最初の三人は誰からクリアしてもさほど違いはありませんが、トゥルーへの連動性やスケール感を踏まえると、レインを三番目にしておく方がより楽しめると感じます。

★シナリオ(大枠)

 作品の主題・目的としては、大きく分けてふたつあると思います。
 ひとつめは前作で書き残した部分、即ちスフィアという特異な能力の原理をしっかり分析して説得的に開示すること。
 そしてもうひとつは、その力を求める中でより鮮明に見えてくる、光と闇の極北が持つ真理、特に負の部分により強く視座を置いて、その峻厳なありように憧憬や畏怖を抱きつつ、けどそうはなれない凡俗が、そうした暴威に対してどう立ち向かっていくか、その答えを主人公を素材に引き出す事です。

 その為に主人公には特殊な仕掛けが施されていて、ヒロインルートに入って誰か一人を愛する、という感情を抱くと、その相手によって差異はあれ、十全に潜在能力が花開くことはなく。
 結果的にスフィアの真実に対する理解度も浅いものにとどまり、けれどそれを三人分、多角的・複層的に見ていくことで読者に理解と納得を浸透させる素地を作る、その上でトゥルー、というステップの踏み方は非常に丁寧だったなと思います。

 また個々のルートで、光の闇の持つ真理、素晴らしさと欠点を見極めていくことで、そのどちらもが実質的な人間社会の規範としては成り立たないことを改めて指摘していて。
 けれどその一端しか知り得ない中では、その両方に対し明確な立ち位置、振る舞い、ありようを見出し切れずに、本来の陰謀にしてもやや不発に終わる中で、より理想的な未来に至るだけの覚醒ももたらされない、ということになっています。

 そういう分岐、差異を、ヒロイン選択というよりは主人公の選択そのものを多方から注視されている、という状況を作ることで必然性をもたらして提示し、またダインスレイフとギルベルトという光の殉教者二人の画策故、決して現状維持を認めない峻烈な思想の元に、どういう形で有れ必ず破滅への引き金は引かれる、という構造が面白いですね。
 その陰謀の副産物として生まれたケルベロスが、元々の自身の願いを叶えるべく、その悪逆で碌でもない思想を反映した展開に対し一定の歯止めとなりつつも、時にはその在り方から最大の障害になってしまったりして。
 そのどうしようもない、坂を転がり落ちるような状況の急転による物語の劇的さも、多少の違いはあれどのルートにも配備されていますし、やはり全体として非常に隙の無い、丁寧で緻密で荘重な構成と思えますね。

 また、敵方の思惑が十全に達成されないことで、皮肉にもそれに比例するかのように、味方サイドにも万全の決着にまで至れない制約が成されていて、それ故に個別ルートはどれも多少なりラストにビターな味わいは残し、かつ火種は燻りつつも残る、という形を取っています。
 けれどそれも、トゥルーで危機が頂点にまで至ることで、より明確に光と闇双方の真理を体得する事で、より深淵な覚醒に至れるというのがまた面白い所、かつスフィアという力の皮肉な現実でもあったりで、最終的には前作の拾い残しも含め、やや力業とは思いますが、それでも理路でも感情でも納得はきちんと通る大団円に結びつけているのは、続編としては申し分ない着地点だと思いますね。

★シナリオ(個別)

 個人的評価はトゥルー>レイン>アヤ>ミステルくらいですかね。
 当然全体的な水準は高く、整合性もそれなりにきちんと取れていて面白いですが、やはりレインとトゥルーの出来が一段高みに置かれているのは、メインヒロインというスタンスからも当然と言えば当然ですね。
 ただトゥルーが突き抜けるほど、ではないのは、後々ネタバレで詳しく触れますが、やはり対決側の光の意思のありようが気味悪い、ってのと、前作以上に観念的な部分の説明、説諭に尺を割いていてやや重ったるい、と感じたからです。

 今日は定例通り下から行きます。
 まずミステルですが、これは元々主人公に対しダインスレイフがいくつもの爆弾の鍵を握っている中で、ミステルに傾倒した場合にはこうするほうがより火種が大きくなりそうだ、という思惑が反映しての展開だと思いますし、それ以外のルートだとあの時点で一人になりませんからね。
 まあアヤはどのルートでも待ってそう、なんてケチはつけられますけれど、一気に物語の流れを加速させ、本来結び難い対立組織にいる二人を、同じ目的に合致させ走らせるだけの破壊力を秘めていましたし、それはいいと思います。

 その上でのダインスレイフの更なる暴走による世界崩壊の危機は、前作があればこそ迷妄とならずに具体的な皮膚感覚での危機感をしっかり煽れていますし、アヤシナリオでもこの辺の展開はダインスレイフの暴走が端緒になってるんだな、と思えば、本当にブレない困ったお人です。。。
 どうあれそういう共鳴が本来の記憶をより鮮明に、って部分もアヤシナリオの変化と通じるところはありますし、そしてこのシステムが励起した事で、どの陣営もただ足踏みをしているわけにはいかないとなって。
 特にこのルートでは、その装置を解析できる主人公が身近にいる事で、崩壊の真実に直面する中で、より騎士団の為すべき勝利条件が重く難しくなり、けれどそれを諦めない、という形での発展・覚醒が随所に見られることとなっていくわけですね。

 中盤からは戦闘に次ぐ戦闘、しかも大乱戦となる中で、主人公達にとっての強敵が相打ちになっていくのはそれなりに都合がいいと言えばそうですが、それだけ熾烈かつ譲れない、という信念の裏打ちでもあり、主人公もまた、この流れの中でつけるべきけじめと対峙する展開は熱かったです。
 アヤシナリオの後だとアヤが不憫でならなかったりもしますが、それも含めての選択、ですし、敵役の配置や終盤の展開も含めて面白い内容だったと思いますね。
 ただどうしても恋愛面としては、危機の中での吊り橋的な色合いが一番濃く、かつシーン状況なんかもそこで!?って感じなので、そのなおざり感なども含めて見ると、この作品の中では一枚落ちるのかな、とは感じました。

 次いでアヤシナリオですが、こちらは元々帝国軍所属、部内恋愛という流れの中で、より序盤はその愛に真っ直ぐ溺れていられる幸せ感の強い色合いになっています。
 けれどそんな風に、恋をより真っ直ぐ向き合う形で享受する事は、内的存在に対してより悪影響を与え、他ルートに比べてもかなりあっさりと存在消滅に至ってしまうわけで、そこで一つ切り札を失う形にはなっているのですね。

 ミステルシナリオの危機の中での切迫感のある触れ合いとは対照的に描くことで、恋愛面での充足度は三人の中でも一番高いものの、より危機的な展開に至るまでの矯めが長くとられているので、その辺他のルートよりはダイナミズムが薄れて感じるかもしれません。
 ただそれでも、最終的にはダインスレイフが引き金を引いての装置の共鳴による暗示の破綻、そこから知る過酷な真実に対するアヤの無限の包容力、献身性が際立つ内容は素敵でしたし、そうした過去に対する一種の逆襲、報復的なスタンスでの、二人がそれぞれ打破するべき相手との対峙は面白く読めましたね。

 特に個人的にはアヤvsシズル戦が好きですね。
 能力的には中々太刀打ちできない所を、同じアマツの系譜として自身の愛情力の勝負に巧みに持ち込んでいく流れや、そこで示される深い見解に対して、膝を打つ面は大いにありました。

 確かに死者を蘇らせる、それは素晴らしいことかもしれませんが、どうしたってそれは残された側の主体的な意思であり、本当に死者の側がそれを望むのか、そしてそこに連続性があって、望むべき存在として復元されるのか、というのはいくら考えたとて、どうしたってやってみなければ答えの出ない問題で。
 そして、死の確定通知を持っていたシズルは、まず蘇らせることに注力するあまり、その背後にある可能性まで思い至れなかったのに対し、アヤは主人公に対し、死んでしまったに違いない、でも生きているかも、という一縷の希望を持ってその存在を思い続けた故、その複層的な視座が、死後の復活がもたらす問題と恐怖についても深く透徹した考察をもたらした、と言い得るでしょう。

 それは些細な差、ではあれ、実に決定的な差でもあり。
 平たく言ってしまえば、死した存在から無限の可能性を汲み取る困難がそれなのかな、と思うし、死者に生者が囚われての希求、というものはどうしても一面的で、発展的になり得ないのかもしれないというのを示していて、この示唆はアナロジカルに、ダインスレイフやギルベルトの思想の穴を見ていく中でも関わってくるポイントです。

 いずれにせよ、そこをしっかり抉っての勝利展開、また二人が結びついたゆえに発現する新たな星辰光にしても実にらしさが溢れていて、このあたりはトゥルーのありようと親和的な、けどまだ踏み込みが浅い故、という感触を残した展開かなと思いますね。
 ラストもやはりビターではあれ、その間は目一杯、懸命に幸せを享受したに違いないと思えばいい終わり方ではあったなと感じます、かね。贅沢を言えば、そこで一粒種の存在があっても、とは思いましたけれど。

 レインシナリオに関しては、共通の序盤から明確に見せつけられていた二人の内面に埋め込まれた因縁、それが恋愛感情を築くことでより複雑怪奇に影響を及ぼしていく展開は、どのシナリオよりも加速度と熱量が高く、スケール感も大きく見事な仕上がりでしたね。
 結果的に闇の深淵にアクセスする事が可能になっていく中での、飛躍的な座標展開もあって、一時の安らぎ、という形での恋愛面での補完もミステルほど無理なく出来ているし、それを足場にしての身の振り方も一番能動的、かつ怨敵に対して多少なり先手を取れている形になっていて。
 だからこそ二人が中心となっての激闘もより多かったですし、着地点においてもやはり哀しみは残しつつ、真っ直ぐ二人で生きていく為の活路を開くという観念での発現となっていて、ストレートに面白かったなと思いますね。

 レインの正体に関してはもう他の二人のルートでバレバレなので、そこでの驚きが欲しければ最初にプレイする方がいいのかもですけど、やはり次のトゥルーとの相関関係、スケール感も踏まえるとレイン⇒トゥルーの流れが王道的だろうなとは感じます。
 そしてその正体ゆえに、レインのその深い拘泥、執着と熱意に関しても、あーなるほどね、っていう、世界観がもたらす納得の下支えを受けているわけで、この辺は続編の圧倒的な強みとも言えますし、そして続編だからこその切なさも大いに孕むシナリオだったと言えるでしょう。

 トゥルーに関しては、ここまで以上にトリニティ、という観念が強く生きている内容であり、のっけから三人誰もが大切で選べない、という思いの派生で、過去の記憶が外的要因を必要とせずに舞い戻るという展開を説得的に作り出しています。
 そして、真の恋を知らぬまま走り出すことにより、元より自身に埋め込まれていた計画は完全体で発現することになり、それ故に飛躍的に騒乱が拡大していく一方、不必要な抜け殻となった主人公はただ消えゆくのみ、というところを救われて。

 光の最大覚醒の一端と、闇の深淵の終端、両方を皮膚感覚で覚知する事で、自身はどうしたってどちらにもなれないという感得があり、その認識がじゃあ、今の自分で出来る事は、引き出せる力は、真実の姿はなにかという部分をより明晰に掘り下げられる素材となっているのが見事な構成で。
 それにより見出したものもまたトリニティという概念に裏打ちされたもので、かつスフィアの本質をしっかり裏漉ししていて、それを持っての味方の募り、ヘリオス陣営との対峙も含めて完璧な構成ではあったと思いますね。

 しかしこうやって味方側の理念がスッキリ確立すると、より一層光の陣営の峻烈さ、息苦しさ、おぞましさが露呈する形にはなっていて、それを喝破するのに尺がかなり必要だった点も含めて、ややしつこすぎるきらいはなくもなかったかな、とは思っています。
 けれどその過程があればこその決着、大逆転の美しさ・カタルシスは光っていますし、前作からの因縁も含めて、全てを幸せな形に調和させるその力の威力と意義は本物で、まぁ恋愛面での修羅場模様がどうなるか、ってのはあれ(笑)、主題にそぐう形での綺麗な大団円にはなっているだろうと思いますね。

★シナリオ(ネタバレ白抜き)

 細かい部分を一々考えているとキリがないので、ここはシンプルに、この作品の光の陣営がどうしてこうなのか、って点に絞って分析していこうと思います。

 大体ここまでの書き方でわかると思いますが、私は今回の光の陣営の面々はだれしも好きではありません。
 どんなに作中で、光には光の良さがある、憧れるとフォローされていても、ヘリオスはまだしもですが、ダインスレイフとギルベルトは正直嫌いだと言ってもいいくらいで、それは彼らの掲げる正論のありようが余りにも自己愛に偏り過ぎているからです。

 畢竟光の英雄という存在は不可逆的で、どこまでも立ち止まることを許されない哀しい存在、というのは、前作のヴァルゼライドの在り方からも読み取れるところです。
 そうした行き過ぎた正義が、時に不可避な小の犠牲を必要とする場面があり、そういう清濁を併せ呑んででも、大、すなわち国家・社会全体の幸福に寄与する、という信念は確かに尊く、けれどそれが小の側から逆襲という尖鋭的・かつ退廃的な存在を生み出す土壌にもなっている皮肉を前作では抉り出していました。

 ただ、前作の構成においては、それは光と闇の両端、つまり一般庶民大多数の理念とは乖離したところにある信念の激突、という形に主題が狭められています。
 それは単純に、ヴァルゼライドのしていることが、小に痛みをもたらすとは言え、大多数には幸せを享受させるに足る理念、行いであり、だからこそ逆襲の側も、その不毛を、矮小さを嘆き、相手を認めつつ、それでも、という観念がはっきり裏打ちされていて、それはすんなり飲み込めるものでした。

 ヴァルゼライドの最終的な目的も、アマテラスを呼び込んでの光と光の対決が本筋であり、逆襲の台頭は予想外の出来事であって、その結果としてスフィアなんて代物が産み落とされてしまったのも狙っての事ではなかったわけで。
 そしてその神の地平の掌握に関しても、本質的には危機管理、今のまま放っておいては、いつ神が気紛れを起こして臣民の生活を圧迫する決断をするかわからないから、先手を打って支配下に置くという統治者としての責任感から発露していて、そしてそれだけ壮大で向こう見ずな計画だからこそ、本来看過したくはない小の犠牲をも受け入れざるを得なかった、という状況があります。

 そうやって俯瞰的に見ると、ヴァルゼライドは光の英雄ではあるけれど、例えば星辰光を身に宿す実験に関しても、いの一番に自分が被験体になっていたり、粛清はしてもその罪過を無分別に拡大はしなかったり、あくまでも国家・臣民に奉仕する、その為に悪は切り捨てる、という、峻烈ながら公正な観念は最期まで揺らがずに持ち合わせていたと言えます。
 そこにあるのは、一般臣民の生存権・自然権、もっと言えば愚行権に対してもの尊重であり、決して彼は自分の生き方を大衆に押し付けようとはしていなかったし、危機の克服には率先して自分が身を乗り出す、非常に奉仕的な英雄だったことは間違いないでしょう。

 けれど、今作の三人はそれぞれに色合いの差はあれ、誰しもがその愚行権・自然権の存在を蹂躙し、自身の信念にそぐう形に人類そのものを変えていこうという意思を持っています。
 ヘリオスはまだ、促成された英雄として、個としての芯を築くだけの経験知が備わっていない以上、その少ない感得の中から偏った結論を導き出してしまうのは仕方ないと思いますが、ギルベルトとダインスレイフに関しては薬のつけようもない圧倒的に肥大した自己愛だなぁと呆れるしかありません。

 結局二人は、そうあるのが正しい生き方だ、という正論を盾に、自身が気に食わない社会の在り方を根こそぎ是正しよう、と考えているわけで、そこには社会の多様性を受け入れる寛容さは微塵もなく、本質的に他者と、それぞれの視点の高さに下りて対話して分かり合おうとする謙虚さも委細ありません。
 まして度し難いのは、それがヴァルゼライドなら出来た、という英雄無謬論から来ていて、自己の外側に自分の軸を置いている形であり、かつそこに大いなる矛盾を内包しているところです。

 当然のように作中でも言及されますが、ヴァルゼライドが無謬であれば、あんな形で討滅されず今も健在であるはずなのに、その決定的な部分を無視して崇拝し、その理念に執着する様は、まさしく結論ありきで世界を見つめる反知性主義的な歪な感覚に思えて仕方ありません。
 そして大切なのは、そういう寛容さのまるでない理念は、間違いなく世界の大多数を構成する一般大衆を苦難に陥れるということで、光と闇の極北で暴走した理念の危険さ、おぞましさをこれでもかと突き付けてきます。
 じゃあそれに、凡人はどうやって対処していくべきなのか、その答えを体現するのが主人公である、というのがこの作品の大きな主題になってくるわけですね。

 スフィアという力は畢竟、その概念をより視覚的、重厚的に見せるための装置であり、それぞれの本質を突き詰めた極北、というありようは、当然光と闇の側においては行き過ぎとなりますが、じゃあ凡人なりのあるべき姿とは何なのか?
 それは見ての通りに他者と繋がる力、と一言で言えばそうですが、より細かく見ていくともう少し含みはあります。

 それは、主人公がこのトゥルーでのみ、光と闇の極北の想いの在り方を皮膚感覚で知り得る立場にあり、知って尚、どちらも自分には出来ないし、社会で生きていく上ではそぐわないと理解した事で、より鮮明に自身が取るべき道を見出せている、という点です。
 これは言ってみればそのまま知る事の意義、偉大さであり、何事においても食わず嫌い、ヤラズ嫌いではなく、まず自分の手で実地してみて、その内実を理解した上で、それでも自分の生き方の芯とはそぐわない、だから選ばない、という能動的な取捨選択の大切さを示していると思えます。

 これは純粋に現代社会にもアナロジカルに敷衍できる理念であり、浅い理解や、思い込みからの決めつけが蔓延すれば、それだけ可能性の引き出しも狭まっていくという事で。
 それを防ぐためには、どうしたって多様な理念、観念と虚心に向き合い、納得いくまで語り合って相互理解を深める、更にはそこから社会のシステムに脅かされない直接的な人間関係を構築していくのが何より必要なのだと示しています。
 この作品だとそれはどうしてもわかりやすく暴力的なものに還元されていきますけれど、そもそも国家とは暴力装置であり、現代的にはそれは資産の収奪、或いは搾取という方向で反映されているわけで、その辺を対比的に見ていくと非常に示唆に富む物語でもあったなと思うのです。

 社会の非道な罠にかかり、実験体とされた主人公ですが、しかしその結果として過去の清冽な自己が、過酷な現実で摩耗し切る前に記憶の改竄を受け、結果として偶然にも保全された、という巡り合わせも含めて、時に理不尽な社会を生き抜く上での心構えに反映も出来る、メッセージ性の強い内容でしたし、そういう裏側の意図を読まずとも普通にエンタメとして面白い、まあ基本的には素晴らしい出来の作品だったと言えるでしょうね。


★シナリオ総括

 全体的に良く出来てはいますが、前作に比べると対立軸が少しずれていて、かつそれが対立として成立するために必要な光の暴走が顕著なために、面白かったですけれど多少辟易する部分もなくはなかったりで、あくまで私的にはヴェンデッタのより狭いテーマでの突き詰め方の方が面白くは感じました。
 が、向こうでは見られなかった綺麗な大団円でまとめていることも含め、シリーズ続編としては申し分ない出来だったと思いますし、やや恣意的な部分こそあれ、それを熱量で捻じ伏せるだけの迫力を持ったいい作品だったと思います。


キャラ(20/20)

★全体評価

 それぞれに背負うもの、忘却させられているものなど諸々あり、序盤からキャラ性が燦然と輝く感じではないですが、それを踏まえても個性の裏付けは強く鮮明で、色々な状況や苦難に翻弄されつつも、誰しもが自分の最も大切なものだけは守りたいという信念の中で生きていて。
 その形が敵役においてはどうしても醜悪、偽善的に感じてしまうところもなくはなかったですけど、それも合わせて相対的に人の多様性を担保しているし、なんだかんだで変に揺らぐところがない分誰もが殺伐ではあれ颯爽ともしていて、その辺も面白味ではありましたね。総合的には気になる点はあれ、引き算するほどではないと感じます。

★NO,1!イチオシ!

 まあキャラで言うならアヤ一択ですかねー。
 見ての通りの大和撫子、一途で甲斐甲斐しくて愛らしく優しくて、けれど自身の愛情に対しては素直で情熱的で、なんでしょう、昼は淑女、夜は娼婦的な、男の大概な理想を存分に反映させている素晴らしいヒロインではなかったかと思いますね。
 その想いの純度と深度は、ヒロインの中でも追随を許さないんじゃないかって思うほどで、それはシズルとの問答でも証明されているし、どうしても武力面では一番乏しいために歯噛みする場面、置いてけぼりで不憫なところもあつたりはしますが、ただひたすらに主人公の幸せを祈ってくれる姿の敬虔さは本当に心打たれるものがありましたね。

★NO,2

 まあ素直にレインですよねやっぱり。
 この子の強がりというか、強さと弱さの表裏一体感が、上手く宿した星によって糊塗されているのを、少しずつ引き剥がして素の自分に立ち戻らせて、その上で出来る限りのありようで立ち向かっていく気概を取り戻させる流れは本当に美しかったと思いますし、その一歩手前での恋愛模様にしてもやはり恥じらいが愛らしく素敵だったなと思います。

★その他

 ミステルも気のいいお姉さん、って感じでそこそこ好きですけど、シナリオ面含めて他の二人よりは突き抜けたものもなかったし、個人的嗜好からしてももう一歩足りないかなぁ、と。
 むしろアリスなんかのほうが見た目的には当然好みなわけで、立場があるからこの人も複雑なれど、レインを思う気持ちはどこまでも本物だったし、なんだかんだでこっそり情事のシーンがあったのは嬉しかったりね。。。

 グレイも悪友的な立ち位置としては無類に輝いていたと思いますし、ムラサメも様々な悲哀を超えて到達した境地の美しさに心震えるものはあり、いい関係性だったなと思います。
 上で触れたように、ギルベルトとダインスレイフはやはりあんまり好きにはなれませんでしたね。その意見や一貫した振る舞いに畏怖はあれ、見習いたいとは到底思わないですし、目的の為なら踏み躙ってもいい、と考える範疇が光の使徒としては異端すぎるというべきか。
 ほとんどそれは異教徒に対する十字軍的なものだと思ったし、その認識する異端の幅が広すぎて始末に負えないですものね。ヴァルゼライドも草葉の陰で憤怒しているでしょうよこんなの。


CG(18/20)

★全体評価

 ヴェンデッタに比べると戦闘シーンなどのCGが莫大に増えて、非常にシーンの重厚感は増していると思えますが、一方でヒロインCGは相変わらずの少なさなので、そこはもう少し、という思いは無きにしも非ず。
 それでもこのボリューム感は値段からしても水準は超えてくるし、出来も安定して作風にマッチした仕上がりなので、ヴェンデッタよりは点数を上げてもいいかな、という感触ですね。

★立ち絵

 ポーズはヒロインで3種類ずつ、サブは1〜2種類ですかね。まあ水準的ではあるし、それぞれにこの舞台の中で隠し持っている様々な顔の使い分けを、ポーズの中でも反映されていて良かったと思います。
 お気に入りはアヤ正面、やや左、やや右、レインやや右、正面、ミステルやや左、アリス、双子、ムラサメあたりですね。

 服飾はヒロインでも1〜2種類と、それを必要としないとはいえ残念なボリューム。
 お気に入りはアヤ軍服、レイン普段着、ミステル聖騎士、アリス踊り子あたりですかね。

 表情差分もそんなに多くはなく、それでも作風に合わせてのギャグとシリアスの切り分けがくっきりしている感じで中々に楽しめましたし、魅力的だったと思います。
 お気に入りはアヤ笑顔、苦笑、照れ笑い、流し目、怒り、哀しみ、驚き、レイン笑顔、気まずい、睨み、ギャグ泣き、照れ目逸らし、怒り、慨嘆、ミステル真剣、笑顔、怒り、照れ焦り、アリスニヤリ、思案くらいでしょうかね。

★1枚絵

 全部で130枚と、前作が75枚だったのを考えると相当のボリュームアップ。
 やはりバトル関連の1枚絵がかなり力が入っていて、三国入り乱れての争闘、という側面もあるでしょうが、それを判りやすく視覚化する為にきちんと作り込んでいるのは高く評価したいところですね。

 お気に入りはレイン切り付け、覚醒、脱出、覆い被り、踊り子、奈落へ、星を見上げて、ヘリオスと激突、抱きしめ、はじめて愛撫、バック、対面座位、アヤ胸揉み、吶喊、抱きしめ、肩寄せて、シズクとの対峙、生き残って、献花、友の為に、フェラ、正常位、対面座位、立ちバック、ミステル登場、切り付け、叱咤、騎乗位、屈曲位、背面座位、3人の再会、踊り子アリス、アリス騎乗位、ヴァネッサ、双子、主人公構え、vsヴァネッサ、vs冥狼、vsムラサメ、手を伸ばす、一閃、帰還、ハーレム、再会、冥狼顕現、掌打、ギルベルト演説、構え、ダインスレイフ構え、ヘリオス叱咤、顕現、構え、光の化身、グレイ剣閃、ムラサメ居合、ガラハット大槌あたりですね。


BGM(19/20)

★全体評価

 多少なり前作の曲もありますが、基本舞台一新で曲も改編、通常新作としても量的には水準を凌駕してきていますし、質もかなり高くて満足ですね。相変わらずコーラス付きのBGMが冴えています。
 強いて言えば前作程突き抜けて素晴らしい、とまで言える曲がなかったのが残念ですが、基本的には安定していい出来だったと思いますし、総合的にこの点にはしてもいいだろうという感じです。

★ボーカル曲

 全部で2曲ですね。
 OPの『天翔ケル蠟ノ翼、狂イ哭キテ炎ニ堕ツ』は非常に疾走感と切迫感があり、この作品のテーマにもピッタリ合致していて素晴らしい曲ですし、特に個人的には挿入歌として流れた時にテンション上がりましたねー。サビのスピード感とメロディラインの美しさが特に気に入ってます。
 EDの『祈リ・願イ・希望』も中々にしっとり切なくも温かな、EDらしくもあり、その先の希望もしっかり予感させる静かで綺麗な曲ですね。グランドverとはっきりどう違うのかまで聴き比べられてないんですが、ゆったりしたBメロからのピアノの旋律、サビの透明感がかなり好きですね。

★BGM

 全部で35曲に前作のもありと、かなり豪華な布陣ですね。
 前作以上にコーラス付きのBGMが増えていろんな場面で出てきますし、その荘厳さと悠久の風情が非常に耳障りよく素敵だったなと思います。

 特にお気に入りは2曲。
 『恵み深きモルダウ』はこの街全体の雰囲気を象徴するような、雄大で深淵、滔々と流れる大河の懐の深さを併せ持つ雰囲気を、神秘的なボーカルが上手く支えている素敵な曲です。
 『渚に雨の降る如く』は、鮮烈さもありつつ、タイトル通りに戦わなくてはならない運命の非業もしっかり埋め込まれていて、その複層的な顔が順次入れ替わっていくところに魅力がありましたね。

 その他お気に入りは『彷徨う宿業の翼』『麗しの古都プラーガ』『鋼の進撃』『我らが聖騎士道』『凶星降臨』『軍神の蹄は蹂躙す』『荒野を導く声』『この想い、届かずとも』『今は遠い約束の』『引かれ合う星々』『想い重ねて』『蒼穹を舞え』『散華せよ必殺の刃』『光の殉教者』『嘆きの顎門』『創世神話』『赫怒の煌翼』『灰と光の境界線』『天地の狭間に舞う』あたりです。


システム(9/10)

★演出

 演出は全体的に上々ですね。
 日常は流石にそんなに活発には動かないですけれど、一応の雰囲気やコミカルさは引き出せていますし、やはり戦闘演出は濃密。やや1枚絵に頼り過ぎている感もあるし、絵面としては新鮮味がない点もありますが、これだけ錯綜した戦場風景をしっかり判別させるだけの作り込みは見事ですし、要所での情感の引き出しもきちんとはめ込まれているのでまずは良かったのではないかと。
 OPムービーも迫力と雰囲気はしっかり乗っかっていて、曲の疾走感とも合致していて素敵でしたね。

★システム

 こちらも必要最低限はしっかり完備しているし、ジャンプも速いのでプレイ感としてはそんなに問題ないですが、一部スキップカットの演出とか画面効果があるのは若干重たいかな、とは感じますかね。
 とはいえ基本的には不備なく使いやすいと思います。


総合(92/100)

 総プレイ時間24時間くらい。共通が7時間、アヤとミステル、レインが4時間前後で、トゥルーが5時間前後、という感じでしょうか。
 前作に比べると一般的な思念に敷衍できる争論、観念が跋扈している分だけ、余計にくどいと感じる向きもなくはなかったですけれど、それも含めてこの作品の意義とは思うし、エンタメとして十二分な熱量を誇りつつもメッセージ性も強い、非常に考え抜かれた精緻なシナリオになっているなと思いますね。

 その分だけヴェンデッタ以上にとっつきにくい、読みづらい部分もなくはないですが、それも含めて肌が合う人には面白いですし、斬新で深みのある解釈を提供してくれるので、知的好奇心の充足という意味でも価値があります。
 万人には勧めにくいですが、ちょっと歯応えがあって燃え要素がたんまりある作品をやりたい、と思っているならうってつけのシリーズですし、今回も期待に十分応えてくれる出来だったと思います。
posted by クローバー at 09:09| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする