2017年03月09日

ダメだったぁー!

 スイセイギンカの感想をアップしました。
 やっぱり間置かないで書くには難しいなぁ、って部分の多い、面白いけど読み解くのに難しさもある、パッと見だとアレ?ってなりそうな作品なのはなんかハルキスっぽいなー、なんて思うところもなくはなく、出も当然個人的には楽しめたわけですね。
 でも枠組み的に、限られた尺の中でドンパチに比重を置いて進めている分、私がこの人のライティングで一番好ましく思っている迂遠で深みのある会話とか、細かな機微の掘り下げという部分がもうちょい欲しいな、ってのはあり、結果的にドンパチも整然と全てを読み解ける形にはなり切れてない、それが必然としていらない部分があるのはわかるけど、割り切りの地点がちょっと雑多に寄り過ぎてるかな?って感じで、突き抜けて面白いとまでは思えなかったのが残念と言えば残念なところです。

 ただ本当にOP曲大好きで、今ひたすらヘビーローテ中ですよ。しゅがてん!のCandy a mineも凄く好きなんですけど、やっぱりサントラがあって直接PCから、ってのと、一々ゲーム起動して、ってのだと、何となく敷居が違うというかね。
 そして先に書くと、色々と疲労蓄積、かつ体調不良の名残もあって、どうしても創作にまで手を伸ばす余力がなかったよ…………。残念無念、不甲斐なや。

 んで今日は体験版の消化に努めておりました。
 まず甘夏アドゥレセンスですが、うんまぁ、正直ノリだけだなぁー、って感じ。
 流石にキラ☆キラと並べて語るのはあまりに失礼、ってレベルで状況の作り方とか心理変転とか粗雑だし、一歩間違えば犯罪レベルのやり口は人によっては不快感を覚えるか、って思うし、今までおちゃらけてたのを、真面目なメンバー加えてバランス取ってきちんとバンド活動に向き合う、ってコンセプトは面白いけど、瞬間風速的に余計な事件やらイベントやら介入とかあるのは忙しなくて何とも重みがない、というところです。

 まー絶望的につまらない、と言うほどではないし、ヒロインも特に初期メンバーはウザさや癖は強いけど、それなりには可愛いですしね。
 ナツなんかは面倒ではあるけれど、でも小鳥居さんボイスだからなんだかんだで私の中で許されるし(笑)、サーシャは普通に可愛い、そして一番好みの天音がCV藤咲ウサさんなのにまともとか。。。(超失礼)
 個人的にはナツの勢いと天音の清涼剤的な在り方で結構楽しめたし、正直シナリオには期待できないけどご新規様だしお布施的に、ってくらいのところはあります。が、この激戦区の中でわざわざチョイスするほどか、という観点になるとそれはそれで微妙だ…………。

 次いで新妻ラブリケをクリア。
 こちらはとてもとても面白かったですねー。やはりシステム敵にもう完全に洗練され切ってての便利さがあるし、その上でヒロイン全員エモートで可愛く動く、絵も上質でシナリオもキャラごとに差異は出るけれどそれぞれに達者だから問題なく楽しいです。
 主人公が社会人で、自由行動が週末しかないという点で、時間のスパンも今までとは違う形での展開になるし、だからこその新妻モードまでの二部制、アイテム収集とかの面でまたシビアなことにはなりそうですが、まあイージーなら死ぬほどめんどい、ってことはないはず。

 ヒロイン的にはみんな当然のように可愛く、乃々も愛子も非常に個性が豊かで愛らしく素敵なんですけど、やはり一番は雪で決まりですかねー。
 こういう年下でスレンダーで礼儀正しく、けど寄せ付けないような硬さはなくてどこか不器用、ってヒロイン造型めっちゃ好きですし、なんか涼乃を思い出しますね。恋愛に至るステップにしても独特の感性があったり、しかも幼妻なんて響きまで保持してて最強でしょやはり、となります。。。

 あと体験版部やった限りで強く思うのは、穂花ちゃんの立ち絵を今すぐ実装するんだ…………っ!
 愛子ルートの1枚絵で出てきたけどめっちゃ可愛いし、普段からあんな風に懐いてくれて朗らかでおしゃまで、ものすごく立ち絵で動いてたら可愛いのに、と贅沢な事を言いたくなるくらいに惹かれたのですけど、これはもう私が末期と言う事でしょうか(笑)。でも子供が出てくる作品好きなんだよなぁ、スイセイギンカでも姫子姫子と散々うるさかった私ですし。。。
 ともかく、こちらは素直に買います。これはかなり楽しみですねー。 

 さて、では猫忍をさっくり進めていきましょう。
 今週末はいつも以上に時間ないので、やるべきことはさくさく終わらせないと、と思っていると、また創作が後回しになっていくんですよねぇ、どうにかならんかこの悪循環、と思うのだけど、予定調和的に後半のお休みは壊滅的だったりするのだ、ぐふぅ。

 そしていよいよ閃の軌跡Vの情報が出てきましたねー。
 リィンが教官になって新生Z組を率いて、ってのは実に面白そうですけど、初代Z組以上に色々な思惑で押し込められたメンバーになってそう。というかアルティナの制服黒ストが実に可愛い。
 時期的に1年半後で、メンバーにクロスペルと関わりの深い子もいる、ってところで、クロスベル独立運動の流れともリンクしての話にはなるでしょうしめっちゃ楽しみ。Uのラストでポリゴンキャラ出来てたロイドやリーシャは当然として、是非、是非ティオを出してくださいお願いしますっ!暁タイプにはキリがないから手を出さないと決めていつつも、ティオのみっしぃコス宣伝にはグラッときた碌でもない私ですので。。。
posted by クローバー at 18:36| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スイセイギンカ

 スタッフ的にもこれは!って感じだったし、体験版も非常に楽しく、メインのいざながとっても気に入ったので迷わずに購入。

シナリオ(22/30)

 三つ子の魂百まで。

★あらすじ

 主人公は10年ぶりに、生まれ故郷の町に帰ってきました。
 10年前に起きた事故によって、秘密裏に「E」化と呼ばれる、人として外れてしまうほどの不可思議な異能を身に備えたことで、今までの生活を全て振り捨てていかなくてはならなかった主人公は、とりわけその当時に彼とその幼馴染の姫子、いざなを災禍に巻き込んだ謎の銀色に対し、きっちりケジメをつけるべく強い覚悟で戻ってきたのです。

 しかしいかんせん10年ぶり、その間に事故の補償がらみなどで町は大きく発展を遂げており、どこになにがあるか完全に土地勘を失っている状態で。
 かつての朧な記憶を頼りに、街の全貌を見渡そうと高台の秘密基地にやってきたところで、彼は一人の女の子と遭遇します。
 自分の事を一目見るなり、その正体を言い当てた少女こそ、かつての幼馴染で、その中でも一番気心が知れ、なにをするにも一緒だったいざな、でした。

 けれど、主人公の中には、確かに感覚的に芽生える懐かしさとは別の戸惑いもありました。
 何故なら、かつてのいざなはぽっちゃちしたやんちゃなガキ大将そのままで、当時の主人公は彼女の事を同じ男だと思い込んでいたからなのです。
 そのあまりに失敬な勘違いに気付かれ、怒りのあまりハイキックの洗礼を受ける事から、彼のこの町での新たな日々はスタートするのでした。

 そんなこんなで、這う這うの体でようやく塒である、お世話になっている探偵事務所に辿り着き、長年のE化のパートナーにして、姉代わりのような存在の桃に呆れられながら、主人公は本来の目的の偽装の為に学園に通うことになって。
 そこで改めていざなや、もう一人の幼馴染の勝紀と再会し、そして主人公がいなくなった後にいざなの親友ポジションに収まった青香には敵視され、彼らが所属する生徒会の書記であるマリアとも知己になります。
 それはなんやかやで、主人公がずっと憧れながらも手の届かない所にあった平穏な生活そのもので、こんな日々が続くのも悪くない――――そう思いつつも、そうはいかないのは主人公自身がよくわかっていました。

 時を同じくして、町中では不穏で奇怪な事件が頻繁に勃発するようになります。
 所構わず暴れる狼藉者に、路地裏などで乾涸びたまま放置されている被害者など、その得体の知れない影は当然のように主人公の周りにも及び、早速いざなと青香が襲われているところを助けたりと、様々な形で事件に巻き込まれていく中で、少しずつでも変わってしまった自分を知られていって。
 それでも、と迷わず受け入れてくれているいざなを前に、新たな未来への希望、渇望が胸に芽生え、本来の目的であるE化の治療の、その先を見据えながら懸命に今を「生きる」ことに改めて視座を据え直す主人公。

 果たして、この町の背後に蠢く闇の正体はなんなのか?
 人知を超えた症例であるE化とは、いかなるプロセスでもたらされるものなのか?

 人から外れても、人らしく生きる事を諦めない中で、様々な要因が絡まってヒロインとの距離が縮まり、一番に守りたいものが確固とすることで事件への立ち向かい方もまた少しずつ違ってきて。
 そしてそうであっても、決して揺らがない芯は確かに主人公の中にあって。
 これは、人らしく「生きる」ための支え、絆の意味と価値を照らし出す、意思と信念、そして寛容の物語です。

★テキスト

 いつもながらに人の真理の裏側を丁寧に擽るようなテキスト構成は健在ですね。
 今作の場合は、E化にまつわる事件の解決という要素にかなり比重が置かれる分、そちらへの割り振りも多いのであまりやり取りそのものを楽しめる余地がそこまで多くないのは個人的にはちと残念ではありますが、状況に対しての行動原理や心理誘導の在り方などが丹念な分、外的要因と内的動因の区別がしっかりしているのはわかりやすくていいです。
 キャラ造詣に関してはヒロインはまだしも、こちらもいつもながらに捻った主人公像だなぁ、というところで、その差異がもちらす諦念がどうしても真っ当な形での恋愛を許容しないという弊害はあるものの、逆にきっちり割り切った部分がある事で筋道の通し方、誠意の示し方などにはなるほど、と思わせるものがあります。

 そういう部分を強化するのがいざなとの関係であり、それを説得的に為すための細やかな積み重ねもしっかりされていますし、こういう明け透けな主人公と対峙する上で新たな自分を引き出される、的な意味でならヒロインの魅力も丁寧に描けていて、そしてどんな場面でも基本軸の主人公といざなの関係が崩れないつくりも素敵ですね。
 テキスト的にはそういう部分への感慨や有難味の噛み締めなども含めてフォロー効いていますし、陰惨でありつつ清涼さを持つこの不思議な作品の雰囲気にはきちんとマッチした読み口だったかなと感じますね。

★ルート構成

 全体的にちょっとだけ癖のあるつくりと思います。
 まず最初から攻略できるのはいざな以外の三人で、いざなは全員クリア後に追加選択肢が出て、という形になっています。
 それ以外の部分では、純粋なヒロイン選択においては横並びからのピックアップと、その蓄積により理解しうる心情へのアプローチの二面性があり、まあそこは王道的な構成かなと思います。
 
 その上で面白いのは、今回は作品全体の外的要因の形を左右する選択肢が用意されていて、当該ヒロインにとって何が未練で、対峙しなくてはならないものかが結果的に明確な輪郭を描く中、それに対する指定をここでする、という色合いがあり、地味にこれを間違えるとどれだけ好感度蓄積してもダメ、というシビアなつくりになっていたりします。
 とはいえ、元々選択肢数自体は少なめですし、ジャンプもあるので総当たりでどうにでもなる範疇ですし、意図としては第三者視点での選択、という部分で議論の余地はあるにせよ、面白い試みではなかったかと思いますね。

★シナリオ(大枠)

 ややネタバレ的ですが、大雑把にいってしまえば、本来の目的を叶える為に手を変え品を変え町に混沌をもたらしている存在に対し、かつて幼馴染として過ごしていた時期に育んだ、人としてのあるべき芯はそのままに、個々のヒロインにとってのもっとも譲れないものに真っ直ぐ対峙していく、という形になります。

 ルート構成で触れたように、共通の段階で外的要因が大きく分岐する選択肢が用意されており、青香・桃サイドとマリア・いざなサイドでは、矢面に立つ相手が違ってくるのが大きな特色のひとつです。
 その上で、それぞれが持つ情報の差異もあり、それを重ね合わせる事で少しずつ全貌に迫っていって、その全てが錯綜・波及して、より大きな苦難に直面しつつも根源的な解決に繋げていくのがいざなルート、という、わかりやすく王道的な構成になっていますね。

 やや状況展開、特に遭遇戦などに恣意的な印象はあったり、大きなフレームの中で整合性が多少揺らいでいる感じはなくはないのですが、基本的には当該ヒロインの傍に居る、その想いを遂げさせるという揺らがない意思を背景にしているから、感情面では納得のいく部分が多いですね。
 ただ科学的な見地では、ほとんどその力の源の部分の解明や言及、という要素はないですし、あくまで偶発的、運命のいたずら的にそうなった、という解釈しか出来ない部分もあるので、その辺をどう捉えるかは難しいところです。

 けど改めて思うのは、この物語で根本的なテーマとして立脚しているのは、納得できない理不尽をどう噛み砕き、受け止め、それでも、といかに歪まずに前を向いていくかというありようであり、その為に必要なものはなんなのか?という観点にあるのかな、とは感じるところで。
 そうである限り、物語性という意味での理路を逸脱した、現実とアナロジカルなリアリティ、この場合は大枠的に、どんなに個々人で備えや心構えがあろうと、理不尽は突然襲い掛かってきて決して防げるものではない、という冷徹な真理の投射、という事ですが、それ自体を物語的必然として必要としている作品、なのでしょう。その辺具体的にはネタバレでもうちょっと詳しく触れるつもりです。

★シナリオ(個別)

 個別評価は、いざな>>桃>マリア>青香という感じですね。
 ちなみにこれは純粋にシナリオのボリュームやCG投入量にも比例していて、その分謎に対する解明の深さも違ってくるので、この評価順の後ろからプレイしていくのが一番いいのかな、と思います。実際CG表示順もこうなっていますしね。

 正直ヒロインとの恋愛的な要素はあまり期待しない方がいい作品で、結ばれる過程にしてもかなり特殊です。
 純粋な恋愛感情は、少なくとも萌芽くらいはしているし、或いはいざなや桃にすれば元々から備えていた、という形になりますけれど、どうしても主人公が既に外れていて、真っ当な人生を送れる保証もない中での諦めが先に立つので、そこを丁寧な感情のやり取りで覆して、なんて綺麗な形にはなりません。
 どうしても切羽詰まった状況の中で、そうしてもいい、或いはそうした方が都合がいい、どうにもならない、そんな契機での、契ってしまったことから改めて始まり、枠に嵌めていく関係ばかりではあるので(笑)、その面では恋愛ADVとしてどうなのか、って疑念はあって然るべきとは思いますね。。。

 また、主人公の行動規範としての軸は、あくまでもかつてのいざなとの関係で育み、今確かに取り戻したものになってくるというのは作品に通底する観念であり、いざなもまた色々な形で事件の当事者ではあるから、他ヒロインのルートでも多かれ少なかれ首は突っ込んできます。
 その上での、ヒロインの想いを優先的に大事にする、というスタンスなので、個々のシナリオ自体はそんなに細かく分析しても、という部分はあって、評価差も純粋に謎の開示度合い、それに比例する情緒面の奥行き度合いを反映している、と考えてもらえばいいのではないかと思います。
 というより、個々で区別して書こうとしても大きな枠で繋がっている部分が多過ぎるし、かつ大抵ネタバレになってしまうので、その辺はまとめてこの後に、ですね。

★シナリオ(ネタバレ白抜き)

 この作品の難しい、というかもどかしい部分の根源的な理由は、やはりエトランゼの存在と、それがもたらすE化という症状の多様性が、理路においてはきっちり解明はし切れない部分にはなってくるかな、と思います。
 エトランゼという相互理解が非常に難しい、そして人類にとって悪性をもたらす力を秘めた存在の始原的な部分の不明は、そのまま世界の理不尽の体現的な要素でもあり、ただそこから波及したものも含めてそうした混沌的な要素が絡んできてしまうわけで。

 結局のところE化の症状が多種多様な理由も、進行中のE化と終わってしまったE化の差異も、確たる理由は見出しにくいですし、例えば見津鐘が永い時を経てきた理由は、本来は終わってしまっているのをエトランゼに「お願い」して保全してもらっている、という事でしょうが、ならなぜそれが雫が介在した時に破綻してくるのか?
 終わってしまった同士の介在だと傷つくのか、ってのは、どうにもマリアルートの示唆からすると不自然ではあり、或いは穿ってみれば矛先を逸らすために怪我したフリをしたり、混沌に振れ過ぎた状況のほとぼりを覚ましてリセットするために死んだふりをしたり、と考える事も出来ますが、その辺もう少しヒントは欲しかったなと感じます。
 10年前のエトランゼの挙動にしても、その前提となるE化の促し、エトランゼの一部である銀色の散布なんてのが、どういう科学的技法で可能になったのかとかもありますし、理不尽は理不尽でいいとして、理路として切り分けるべき部分まで力押しにそういうものだ、としてしまっている感があるのはちょっと物足りなく感じた部分です。

 いざなにしても、なぜいざなだったのか?という部分には答えはないんですよね。
 名前からしていざなうもの、と読むべきか、異邦との懸け橋的存在を最初から規定されているのは確かで、その素養は先天的な部分が強く、物語としてはそこに裏付けがないとなんか落ち着かない、ってのはあります。
 ただ、それだけでなく一部には後天的な研磨の力もあるのかな、と思う部分はあり、それは根幹的なテーマに繋がってくる、主人公との関係で紡いだものとも密接に関わってくるのかなと思っています。

 先にそちらの説明をこなしてしまうと、単純に見れば主人公といざなの関係とは、互いに嘘がつけない関係、と解釈できます。
 お互いの事が全てわかる、と言う事は、裏返せば相手にも自分にも嘘がつけないのと同義であり、またそうして自己を嘘で誤魔化したりする必要性がない、という事でもあって、それを一番純粋な子供時代に確立してしまった事が、二人にとっての生きる上での明確な芯、になっているのは間違いなく。
 かつそこで生きてくるのは、主人公がかつていざなを男子だと勘違いしてた設定で、いくら子供でもやはり男女の別があれば、いくら行動理念や気質が似通っていても多少なり隔意は出てくる、それすらも勘違いが元で埋めてしまった関係ゆえの距離感、と規定することが出来ます。

 そういう、自分にも嘘をつかない割り切ったありようが確立されていたからこそ、離れ離れになって多少なり翳りはあったとしても、それをまるっきり覆されるような事にはならなかったし、改めての再会の中でそれを再燃させ、より研ぎ澄まされた共感性と、自分の想いに素直に向き合う、という強さを揺らがすに抱き続けていられるのだろうと思っています。
 そしてそういう真っ直ぐで健やかな正しさ、強さは、過去に拘泥するより未来を見据えて前向きに生きるべき、という当たり前で、でも傷を持つ人間には中々に難しい生き方を、ごく自然に体現できる素養をも備えさせています。要は、自分を誤魔化せない以上、苦渋の過去であろうときちんと見据えて、早々に折り合いをつけないと前に進めない、という思考回路が定着しているのですね。

 そうであればこそ、二人はどんな局面でも自身の一番大切なものの為にだけ迷わずに動くし、或いはそれは対極的に見てエゴイスティックなのかもしれないけれど、でも過去の因縁や柵そのものに対する蒙昧な思い込みを排除して、これから手にする、守れるものだけ守るというありようは眩しいほどに正しいな、と感じさせます。 それは生者と死者の明確な峻別にも出ていて、二人の姫子に対する一貫した想いがその証左になっているし、そしていざなルートラストで姫子の心境に触れる事で、そうある事の方がむしろ普通ではない、特別なものだという事ははっきり示唆しています。
 それが出来るというのは、やはり前述した互いに嘘をつかない、つけないという点にあるし、そういう明け透けさはやはり共感を呼び込む上での大きな力にもなると思っていて、そうした過去の研磨が、いざ最終局面でエトランゼの心証をいざなの側に引き寄せる上では大きなアドバンテージになっていたのではないかな、と考えます。

 もう取り戻せないものを長々と振り返らない、というさっぱりした在り方は、だけど死すべき運命をそのまま享受すべき、なんて恬淡とした高潔さとはまた無縁のものでもあるのが面白いところです。
 これパッと見、ラストの主人公のご都合的な復活は、それまでの信念に反しているのでは?と思わせるのですけれど、でもよくよく考えるとそうではないんですよね。
 まだ生きる事を諦めていない、生きている限りはどんな手を尽くしてでも守ってみせる、繋ぎ止めてみせるというのは、一面的には恣意的にエトランゼを利用していた見津鐘と倫理道徳的な観念では差はないのですけれど、そこで社会的な影響とか善悪を根拠に入れず、あくまで自分の周りの大切な存在が幸せで有れるか、という判断基準でのみ動ける強さ、潔さもまた、二人に深く根付いているものではあり、それも含めて人らしさ、それも絆によって得られる観念の極北的な境地なのかな、と考えさせられます。

 こういう形での支え合いは、男女の情愛のみでは成立しにくい要素であり、あくまでも純粋無垢な友情として根本的に成立して、その礎が揺らがないからこそ、更にその上に情愛が乗ってこようと問題なく作用しているわけで。
 最初と最後では、変わらない友情の手向ける方向性が多少なり違ってくるとはいえ、畢竟心のある存在が十全に分かり合う為には、互いに剥き出しの心をぶつけ合って、嘘のない関係を紡ぐ努力を続けるしかないと規定しているようでもあり、それを子供時分に自然に体得できてしまった二人は稀有、かつ幸運な存在だったと言えるのでしょう。
 姫子や勝紀のスタンスを見てもそれが特殊なものなのは確かですし、物語的にはそこにも素因を求めたくなるのはあるのですけど、でもこれはあくまで理不尽の裏返し、あまりないけれどどこかではあり得る、理不尽に対抗していくカウンター的な関係性の発露なんだと思えば、これはこれで意図的に完成しているのだな、とは思えますかね。


★シナリオ総括

 正直間を置かずに感想書くには難しい、もっと掘り下げて考えていけば面白いものが見出せそうな感じはあるのですけれど、そういう観念的な面白さはともかく、純粋なエンタメ的面白さ、という意味では流石に突き抜けて素晴らしい、というほどではなかったかなと思います。
 どうしても外的要因として必ず発現する事件への対処がメインになっていく作品ですし、尺的にも普通だから恋愛要素やそこから発展したやり取りの楽しみなどを存分に引き立てるまでには至らなく、面白いんですけどもう少し重厚感が欲しかったな、とは感じるところが多かったです。
 ラスボス的存在にしてもやはりちょっと底が浅い部分はありましたし、このテーマを明確に浮き彫りにする上で外せない理不尽はあるとはいえ、それに依拠し過ぎて理路で武装して語るべき部分を多少なり蔑ろにしてはいないか、と、まぁ元々の期待値が高かった分僅かな瑕疵でも気になってしまうというかね。

 勿論これはこれで充分に楽しめたのも事実ですが、手放しで絶賛とは言えませんし、あとこれ、月影の設定と似ている部分があって、だけどあちらに比べて学びの手法という点での曖昧さ、乱雑さが目立ったのも、タイミング的にちょいマイナスでした。
 諸々総合して、評価的にも少し控えめに、という感じですねー。


キャラ(20/20)

★全体評価

 どうしても事件に対処していく流れが主流にある中で、持ち味の多角的なキャラ性の引き立て、独特の心証描写の妙があまり生かしきれていなかった感はなくはなく、それぞれの立場、あり方の幅の中で、というのが目立ってしまったのはちょっと残念に感じる向きはあります。
 ただやはり主人公といざなのキャラ造詣そのものが実に秀逸で、それが触発的に雰囲気をすごく清涼かつ爽快に彩ってくれていて、その辺を考えても特にマイナスするまでの弱味ではないかな、と。

★NO,1!イチオシ!

 まぁそりゃあ当然いざなになりますね。体験版時点から大好きでしたけど、いざ本編プレイして更に好きになりましたし、今年最初の殿堂ヒロイン候補かなと。
 基本的にすごく寛容で大らかで真っ直ぐで、女の子らしさはちゃんと保持しつつやたらと男前で、こういう清潔で絢爛としているヒロインは本当に可愛いし素敵だなぁと思います。
 その上で今回は幼馴染というステータスがあり、それを存分に、むしろ存分過ぎるくらいに生かしての主人公との特別な関係性を無理なく自然に築けていて、しかもそれが恋愛的な要素において阻害要因にならないという優秀過ぎる性質まで備えているのだから、これはもう決定的に設定の勝利だよなぁ、と。

 あくまでも下敷きには、自分も相手にも嘘がつけないほどの理解、友情の絆が置かれていて、その延長線上にあらゆる関係が付随していく、というありようと、最初こそ戸惑いつつ、どちらにしてもそれをある程度直ぐにきちんと割り切ってしまえる豪快さ、前向きさは輝いていました。
 だから主人公が他の子と結ばれても、それで揺らぐものはなく、自身が結ばれるのであれば、男女の別はきちんと理解して折り合いをつけつつ、それでもできる限りには真っ直ぐ嘘なく対等に、という雰囲気が自然体の中から満ち溢れていて、本当に素敵な子だよなぁと思います。
 こういう言い方は正しいかアレですけど、秘め事的なシーンにおいてもやっぱり女の子、というよりいざななんだよなぁ、と思わせた時点で勝ちというか、あくまでも恋愛的な面以上に友情が紡ぐ力の方がメインファクターなんだよなぁ、と納得させられるありようなんですね。

 ともかく、常に情に厚くお節介で朗らかで、どのシーンでも作品を明るく彩ってくれていましたし、本当にメインヒロインとしてこれ以上ない絶対的な存在感を放っていたと思いますね。ほんっとうに可愛くて可愛くて、非常に満足できました。

★NO,2〜

 次点だと桃、になりますかねやはり。
 いざなとは違う形での共感を抱いているだけに、どうしてもそれはどこか諦観や斜視を招くような部分はあって、それ故の停滞がもたらす実年齢との様々な面でのキャップが中々可愛かったと思いますし、シナリオ的にもは恵まれていて存在感は非常にあったなと。あと地味にスタイル的な意味では一番好きだったりしますし。。。

 マリアも可愛いけど、どうしても立場的に出来る事は限られる、或いは手駒として言い様に使われて、って部分での不憫さの方が先に立ち、ヒロインとしても本当の意味で結ばれるのはこれから、って感じで終わってしまっているので、もう少し掘り下げて欲しかったなぁと思います。
 折角いざなルートのラストで、あんな形で助けられる展開とか美味しかったわけですし、そういう素地をどう紡いできたか、くらいは語ってあげても良かったと思うのですけどね。

 青香は最初は本気で尖りまくってるからうわぁ、ってのはあるし、それを覆すだけの事件を経てなおまだそれはそれ、って感じでツンツンしてるのだから、生育環境ってのは重いなぁ、と、主人公といざなの関係性の特殊さと眩しさに翻ってやはり不憫さを催す感じですね。
 ただそれだけのものを背負っても挫けない強さは光りましたし、間接的に言えばいざなに救われたというのは、ってところで、むしろこの子がこうでなければあんなに速やかに二人が二人らしさを取り戻せなかったのかもしれないなぁ、と思ったりもしますね。どちらにせよ、主人公といざな、二人を通しての青香、って部分の方が色濃くて、もう少し柵から開き直っての青香らしさ、は見てみたかった気もしますね。

 そして姫子可愛いよ姫子!いかにそうするしかない、とはいえ献身的に支えてくれたり、いざとなったら自分を犠牲にして助けてくれたり、地味にラストルート以外では大活躍でしたよね。
 主人公といざなが共に無鉄砲な部分はあるからこそ、それを支える立ち位置を選んで、ってのはすごく最後まで伝わってくるし、その健気さは胸を打ちますね。非常に印象深いキャラだったと思います。


CG(17/20)

★全体評価

 基本的に好きな絵柄ではあるのですが、質量ともにんー、もう一歩かなぁ、と思う部分はちょいちょいあって。青香とかあそこまで尖り目じゃなくてもよくね?とか、後は1枚絵のバランスとか投入箇所とか、立ち絵も人数は多いけど素材的にはってのもあり、諸々込みで迷ったけどこの点数にしとこうかな、と。

★立ち絵

 ポーズはヒロインで2種類、サブで1種類。腕差分などもないのであまり躍動感はなく、それぞれの性格はしっかり出ているとは思うけれど目立って素晴らしい、とまでは言えないかなと。
 お気に入りはいざなやや左、正面腕上げ、桃やや右、マリアやや左、姫子あたりですね。

 服飾はヒロインで3種類、サブで1種類とここも必要最低限ですかね。むしろ水着があっただけ良しとすべきなのか。。。小物差分なども少しはありますけれど目立つほどではなく、ただいざなのエプロン姿はえもいわれぬ魅力がありましたな。
 お気に入りはいざな制服、私服、水着、桃部屋着、私服、水着、マリア私服、水着、姫子私服あたりですね。

 表情差分はそれなりに多彩、複雑な機微を細かく拾える仕様になっていますし、それぞれに味わいもあって、特にいざなは全般的に可愛く良かったなと思います。
 お気に入りはいざなはまぁ全部でいいかしら、桃溜め息、ジト目、微笑、照れ、笑顔、マリアジト目、微笑、照れ笑い、苦笑、青香照れ2、笑顔、驚き、姫子呆れ、困惑、怒り、驚きあたりですね。

★1枚絵

 全部で75枚、流石にちょい少ないかな、とは感じますね。もっともシンプル版の値段で言うならギリギリ水準に届くか?くらいですし、その辺の判断が難しいところですけれど。
 質も一番好みだったころとはちょっと画風が変わってる感もあり、可愛いんですけれどそこまでガツンと来るのはあまりなかったなぁ、というのが正直なところですかね。表情の角度によって、可愛いのとアレ?ってのが混在してたり。勿論悪くはないんですけどね。

 お気に入りはいざなとの出会い、ビーチバレー、青香腕ひしぎ、肩組み、フェラ、騎乗位、バック、69、背面座位、正常位、マリア遠泳、背中流し、錯乱、引き留め、フェラ、騎乗位、対面座位、桃ごろ寝、シャワー、射撃、オイル、反省、監禁、寄り添い、押し倒し、騎乗位、バック、立ちバック、正常位、フェラ、対面座位、いざなキック、キス、濡れ透け、膝枕、見送り、未来へ、後ろから襲って、バック、パイズリ、騎乗位、正常位、クンニ、背面座位あたりですね。


BGM(19/20)

★全体評価

 全体的に水のイメージを強く打ち出した旋律に統一感がありつつ、非常に哀愁と信念の色合いがしっかり滲む強い曲が多くて、中々にインパクトがありましたね。無論作風や場面とも合致していますし、全てにおいて高水準に仕上がっていると思います。

★ボーカル曲

 全部で3曲。
 OPの『Hydrargyrum』は神曲ではないでしょうか。悲哀と疎外の色合いが絶妙に絡み合い、それでも強く生きていく信念の悲しみもまた内包して、特にBメロの旋律が素晴らしい出来でもんのすごい気に入ってますね。無論サビの伸びやかさもいいですし、曲として中々破天荒な構成に思えますが、それがギリギリのところで調和している感じなのも大したものだなと。

 挿入歌の『水棲』も実に綺麗な曲ですね。
 本質的に違う種族が交わっていく中で、必然的に生まれてしまう痛みや悲しみを包括しつつ、それでもひとつになってその先を見たい、という希望と撞着が真っ直ぐに溢れている曲で、柔らかく透明な旋律が、まっさらな心で向き合っているイメージとも合致していますし、曲としてもかなり好きです。

 EDの『銀の夜明け』は、実際的に根源的解決に至っていない中で、なので、不条理をそのまま受け止めつつ、出来得る限りに前向きに強く生きていく意思を示した感じで、曲的にもその分奥行きがやや薄め、メロディ的にもこの3曲の中ではちょっと落ちるかなとは思います。

★BGM

 全部で30曲はほぼ水準ですが、面白いのはいくつかの曲に重ね合わせやアレンジバージョンがあるところで、それによりキャラの組み合わせや場面による些細な雰囲気の違いもフォローしていて、中々に面白い試みだなと感じますね。
 またそれとは別に、きちんとシナリオに合わせた危機感溢れる曲や悲哀に満ちた曲、感動を引き寄せる曲なども豊富に用意されていて、そのどれもが出来が良くこれは満足度がかなり高かったと言えますね。

 特にお気に入りは2曲。
 『Dear my close friend』は非常に疾走感があり、ギターの旋律が耳に色濃く残っていきつつ、どこまでも真っ向勝負、という爽やかさも内包していてなんとも言い難い魅力を感じる曲です。
 『全ての始まり』は、悠久の流れの中に潜むどうしようもない齟齬や哀切を幽玄な旋律の中に練り込んでいて、しっとりしていながらどこか胸が騒ぐ、独得の味わいがある素敵な曲ですね。特に後半部分の透明感が気に入ってます。

 その他お気に入りは『Mercuries』『細かいことは気にしない』『エトランゼ』『あるべき日常』『楽しい奉仕活動』『たそぐ間に』『煌く空を』『雨のように』『流動に取り残されて』『Crisis』『安らかな涙』『辿り着いた世界』『青く滲む別れの雫』『Hope or justice』『青の記憶』『スイセイの音』あたりですね。


システム(9/10)

★演出

 全体的に無難な出来、ではないでしょうか。
 キャラは動くけどそれなりで、バトルシーンなどもそこまで躍動感があるわけでもない、情感的な部分での背景効果などはそれなりにきちんとしていますし、シナリオと連動しての見せ方には工夫が感じられて好きですけれど、抜群にこれは、と思えるほどのものはなかったかなと。
 ただOPムービーは色遣いといいキャラの見せ方といい、どこか息苦しさを伴う画面構成といい中々に秀逸ですし、これはかなり好みですね。

★システム

 必要なものは揃っていますし特には問題なし、ですね。
 ジャンプも速いし、シナリオセレクトがあるからあまり頻繁にセーブしなくても平気なのはいつもながらに有難い所です。


総合(87/100)

 総プレイ時間19時間くらい。共通5時間、青香とマリアが3時間で、桃といざなが4時間くらいの感覚ですかね。
 全体的にポリューミーというほどではなく、しっかりとコンパクトに必要な要素は組み込んできてますが、裏を返すと遊びというか、余暇の色合いは薄めなので、変にイチャラブを期待すると少し肩透かしにはなります。
 といってシリアスなSFミステリとして突き抜けている程ではなく、テーマ性に忠実な分だけ敢えてファジーにしている設定などもなりそうなので、表面的な部分だけ辿るとちょっと食い足りないかも、という印象はありましたね。

 でも全体的にしっかりまとまっている良作とは思いますし、いざなのキャラが体験版で素敵!と思えたなら問題なく買ってみていいのではないかと思います。
posted by クローバー at 05:47| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする