電子処女の感想をアップしました。
概ねぱっと見の印象を裏切らないイチャエロ特化の作品なんですけど、お値段ちょい高め、というのもあって、出来ればプラスワンがあって欲しかったな、とは思っていたので、その点が満たされなかったのはちょっと残念ではありますかね。
まあカナタが期待通りには素直可愛かったので、最低限良し、とはしていますが、勿体無い作品ではあると思います。
シルヴァリオラグナロクはアンジェリカをクリアしました。
個別に入ってものっけから苦難苦難苦難、って感じでまぁ熱量たっぷりだし、その中で敵方の思惑とこちらの事情がリンクしていくのはやや恣意的とは言え、きちんと結ばれる理由が内からも外からも、というバランスがきちんと取れているのはいいですね。
率直に言えばそれまでの積み重ねを踏まえて、アンジェリカはヒロインの優先順としては一枚落ちる部分があるのは確かなので、それを上手く補いつつ、どうしようもない状況に雪崩れ込んでいく中できちんとそれが自体打破の鍵になっている、というのも流石の重厚な構成だと思います。
しかしなんとなくそういう事もありそうだなー、と嫌な予感は持ってたけど、基本的にやっぱり敵でありつつ味方的な要素も、というキャラはこのシリーズだと不遇なのね…………。
いや勿論、あのシーンでのパティの真っ直ぐな献身と勇気、真なる友情の輝きは、このルートのハイライト、と言ってもいいくらい心打たれましたけど、それでもパティみたいな子が、ってのはやっぱり辛いっす。
最終的にもまだすべてが暴かれていない所での仕切り直しではあり、多分セシルもこういう、いちばん因縁の強い相手だけは倒して、その上でその要素を全て糾合させてミサキルートで、とはなるのでしょうが、ともあれすごく面白いけどもどかしい、というのも素直なところですね。
勿論次はセシルになりますので、きっと敵はスメラギだろうしこれはこれで楽しみです。
んで、箸休め代わりに徒花異譚とATRIの体験版をプレイしました。
徒花のほうはライアーコンビなのでそれらしい独特の風情たっぷりで、設定的にはガールズブックメーカーを思い出すのだけど、やっぱりあれよりはより奥行きと悲しみが強めの設定なのかなぁ、というイメージ。
格子状の世界観の中で、彼ら二人の先行きが、この物語恢復、という流れの中でどう繋がっていくのか、中々面白そうだな、とは感じましたね。
ATRIの方も、実にアスタさんらしい挫折からの、自然要素を強く絡めた心の恢復を目指す流れで、端々にらしさが出ているしすごく面白かったです。
ポンコツロボットのアトリは大変に可愛かったし、黄昏的な世界観の中で、それでも強く生きていくというメッセージ性が重く投影されていて、それがきっと最終的にアトリの存在理由にも繋がっていくのだろうな、と思えますね。
裏を返すとその点で、地味に最初からアトリが別れを覚悟しているように、ビターエンド的な方向に進む可能性もありそうなのが恐いと言えば怖いものの、それでもかなり楽しみ。
どちらも全年齢ではありますけど、まあ2000円なら、と言える内容でしたし、ギリギリまで考えますけど、特にATRIの方はやると思います。
2020年05月02日
電子処女 が 現れた! コマンド!?
正直コスパ的にどうか、とも思ったけど、シンプルにヒロインのカナタが多角的に好みだったので購入。
シナリオ(17/30)
色々都合は良過ぎて。
★あらすじ
主人公は一人暮らしの学生にしてプロゲーマー。
思春期に女子に対するトラウマがあって、基本的には二次元しか愛せない自己を確立しており、プロとなって有名になり、それなりにモテモテでありながらも一顧だにしない、回避的な生き方を貫いてきました。
そんな彼の最近の推しが、Etuberの遥カナタで、彼女の配信を見ている時間が最近の一番の癒しであり、時にはそのまま画面から飛び出してきてくれないか、なんて青臭い妄想も抱いていたり。
そしてなんと、ある日その夢が突如叶ってしまいます。
画面の中から出てきたカナタは、様々な媒体を通じてずっと主人公の事を好意的に見ていた事、そして自身が電子生命体、平たく言えば宇宙人であり、人間との共存モデルの為に地球に滞在していて、主人公と一緒に暮らす事を望んでくれたのです。
底抜けに明るく無垢なカナタとの、いきなり訪れた同棲生活。
二人の想いはここからいかなる形に変化していくのか、そして辿り着くみらいの形はどんなものとなるのでしょうか?
★テキスト
特に可もなく不可もなく、エロゲらしいリズムとスピード感のあるやり取りをそれなりに楽しめるイメージですね。
文章として華や艶があるとは言い難く、カナタという天衣無縫なヒロインの勢いを最大の武器にして、ひたすらノリで押し切る感もなくはないですが、文章そのものに目立つ粗や癖があるわけでもないので、純粋萌えイチャゲーとしてはこんなものでしょう、というところです。
★ルート構成
選択肢なしの一本道ですね。
正直設定からするともう幾分か話を面白おかしく膨らませる余地はあったと思いますし、基本ただイチャエロするだけの作品であるよりは、そういう方向性と、ちょっと違う、共存モデルとしての未来を見据えた展開もあって良かったんじゃ、とは思うので、そのあたりも含めて選択肢なしの構成は物足りないです。
勿論ゲイルートはいらないですけど(笑)、ゲーマーとしての在り方を通じての変化、というのはあって良かったと思うのですけどね。
★シナリオ
ルート構成でも触れた通り、基本的にこれイチャエロ特化で、カナタの特異な設定を、ただ単に二次元マイスターの果てなき夢の実現装置(すなわち、画面の中に飛び込んで二次元ヒロインとイチャエロしたい、或いは現実に二次元ヒロインが飛び出してきてお世話されたい、みたいな)以外にはほぼほぼ利用してないんですよね。
ついでに言えば、主人公がプロゲーマーである理由もさほどなく、平たく言えば二次元趣味のプレイヤーに受けが良さそうな記号的要素を強引に結び付けて展開しているだけで、それが連関してプラスアルファをもたらしたり、将来の発展においてのキーになったり、そういう色合いは正直薄いのが、シナリオ、としては素直に不満となります。
そもそもこの設定の場合、カナタが女の子である必然は、それを主人公が求めたから、としかならないですし、電子生命体としての宇宙人のより総体的な在り方などは完全スルーなので、ご都合主義の極み、とはなってしまいます。
勿論それでいい、難しい事を考えずただひたすらにイチャエロ出来れば満足だ、というファン層もいるでしょうし、私としてもその点でのキャラ的魅力を否定する気は毛頭ないのですが、あまりにもそれだけに特化し過ぎているのは、折角面白い設定なのに勿体ない、とは感じてしまうのですよね。
その派生で言えば、この二人の恋愛感という面でも、色々言葉が足りないというのはあります。
そもそも人間の持つ恋という感情そのものが未知であるカナタと、過去の傷から三次元でのそれを否定している主人公という組み合わせですから、無意識的な恋の萌芽があっても、それが中々具象化しない、というスタンスそのものは別に間違っていないとは思います。
が、実際のところその辺りの機微をしっかり補足するだけの内面の掘り下げ、踏み込みは全く足りていないですし、状況としてとっつきやすい火遊びから、ただなんとなく流されて、いつの間にか大好きになっていました、というのも、うーん、とは思ってしまいます。
カナタの好意そのものは本物でしょうし、最後の選択も綺麗と言えばそうなのでしょうが、けれどそれは彼女を取り巻く状況、種族の総意として汎用的に受け止められるものなのか、二人よがりの我が儘な選択ではないのか?という部分には、出来ればもう少しちゃんとした答えが欲しいところです。
なぜなら、いくら経済的に自立して、ただの人と人、として二人で生きていきたいと願っても、それを覆すだけの科学的優位性をカナタの種族が備えているのが明白だからで、そういう周りの見えない選択が全て、となってしまうのは、この二人に対する印象としてもあまりプラスにはなっていない気はするのですよね。
また、プロゲーマーとしての切磋琢磨でそれなりに取り込まれている、相手の思惑を読み、先回りしていく、という部分は、シンプルに人間関係の機微を掬い取る、という側面も持つでしょう。
なので個人的に言えば、その決戦の時点までに、どれだけカナタの本心と言うか、人の一般的感性とズレている部分を感得して、それを受け入れていけるか、という選択肢的積み重ねとリンクさせての分岐、なんてのはアリだったろうに、と思います。
無論ただひたすらに高潔であれ、とか、そこまで極端な話ではないですけど、カナタが今の生き方に対してどういう想いを抱き、それは本来の役割に対してどういう意味を持っているのか、そのあたりを思惟し、忖度する姿勢が、より多角的な視座を主人公に与え、刹那の局面での選択に幅を作る、というのは面白いはずなんですけどね。
だから正直、この作品の終わり方は、この二人の関係性を大団円にする、という意味では片手落ち、どちらかと言えば目先の恋と快楽に流されてのノーマルエンド的な感覚を持ってしまうのです。
そういう流れでひたすら面倒なことは考えずイチャエロするのは、それはそれで構わないわけですし、けどそれとは別個に、もう少し関係性を自制しつつ、より巨視的なスパンでカナタと後顧の憂いなく結ばれるパターンも作って欲しかったなぁ、と思いますね。
それはシンプルに言えば、カナタが個として、だけではなく、その種族全体として地球人と共存するためのモデルプランを提供する、という所に帰結しますし、それ自体は既にカナタが体現している、虚構と現実を渡り歩く事で、一種の理想を提供する、という部分のブラッシュアップで事足りるはずです。
お値段的に言っても、せめて3000円までならワンイシューでも仕方ないかな、と思えるのですが、4000円まで行くとミドルプライスラインに片足を引っかけてますし、それならなんらかのシナリオ的、或いはゲーム的工夫が欲しいな、とは感じてしまいますかね。
最近だとアイコトバなんか、同じ値段でしたけどその辺の工夫、最低限の多様性は打ち出せていたわけで、シーン数自体はある程度分散すれば問題ないですし、やっぱり総じて勿体ない、カナタという良ヒロインを活かし切れていない作品に思えました。
なによりねぇ、これでゆきいろより割高、ってなると、あっちがえぐすぎるとはいえ、純粋にコスパとして評価しにくいのはわかっていただけるのではないか、とね。。。
キャラ(20/20)
★全体評価など
基本的にはカナタが可愛いと思えるかどうかが全て、ではありますし、その点では特に文句はないです。
とにかく明るくて無邪気で、それでいて献身的で素直で愛らしく、真っ直ぐに思慕を向けてくれる眩しさも、コロコロと移り変わる感情の温かさもとっても素敵でしたね。
こういうテンション系のヒロインに対するCVマッチングの破壊力も磐石でしたし、本当に可愛かったです。強いて言えばもう少し、デート服着てるシーンが沢山あって欲しかったりはしましたけど。
CG(18/20)
★全体評価など
基本的な絵柄はかなり好みでしたし、キャラデザや服飾センスも良かったと思います。
立ち絵は文句なくめっちゃ可愛くて、コミカルなデフォルメ顔も含めて本当に多彩で幅の広いカナタの感情を真っ直ぐ堪能させてくれましたね。
個人的には目逸らし困り顔がいっちゃん好きで、勿論キラキラ笑顔や悪戯っぽい顔もいいですし、本当にただカナタの表情変化を見ているだけで飽きずに楽しめる、という面はあったと思います。
一枚絵は全部で25枚なので、値段を考えるとギリギリ水準か、少し物足りないか、ってラインですね。
シーン数自体は13あるので、それは充分過ぎるくらい、と言えるのですけど、理想を言えばあと数枚、日常やシナリオ寄りのものが欲しかったですし、それは上でも書いたように、シナリオ面での方向性とも合わせてもう少し頑張って欲しかったところです。
BGM(15/20)
★全体評価など
この作品、実はOP含めてボーカル曲がないっぽいんですよね。
その点では正直手抜きですし、値段を考えると流石に看過できない部分で、BGMも全部で12曲とそこまでではなく、質も取り立てて目立つものはないので、採点としてもそれなりに辛口にならざるを得ないかな、という所です。
システム(8/10)
★全体評価など
演出に関しては、カナタの縦横無尽なコミカルな動きを楽しめるだけでもそれなりには、と思うのですが、それ以外の部分では色々食い足りない面もありますし、少なくとも手の込んだ丁寧なつくり、というイメージは持てませんでした。
ムービーも見落としでなければ多分ないですし、EDもめっちゃ簡素なので、正直若干手抜き感は否めませんね。
システム的にも目立って不便はないですけど、洗練されて使いやすい、という事はないです。
総合(78/100)
総プレイ時間6時間くらいですね。
基本的に完全な一本道ですし、盛り上がりと言えばプロゲーマーとのライバル対決くらいで、それ以外はひたすらカナタとの和気藹々とした日常とエロスを楽しむ、という構図にはなっています。
これはこれで悪くはないけど、これだけの要素で出すならちょっとお値段との釣り合いは悪いな、という感じですし、カナタが好みなら買って損はしないでしょうけど、後に残るなにかもない、その場限りの楽しみ、というイメージの作品ですね。
シナリオ(17/30)
色々都合は良過ぎて。
★あらすじ
主人公は一人暮らしの学生にしてプロゲーマー。
思春期に女子に対するトラウマがあって、基本的には二次元しか愛せない自己を確立しており、プロとなって有名になり、それなりにモテモテでありながらも一顧だにしない、回避的な生き方を貫いてきました。
そんな彼の最近の推しが、Etuberの遥カナタで、彼女の配信を見ている時間が最近の一番の癒しであり、時にはそのまま画面から飛び出してきてくれないか、なんて青臭い妄想も抱いていたり。
そしてなんと、ある日その夢が突如叶ってしまいます。
画面の中から出てきたカナタは、様々な媒体を通じてずっと主人公の事を好意的に見ていた事、そして自身が電子生命体、平たく言えば宇宙人であり、人間との共存モデルの為に地球に滞在していて、主人公と一緒に暮らす事を望んでくれたのです。
底抜けに明るく無垢なカナタとの、いきなり訪れた同棲生活。
二人の想いはここからいかなる形に変化していくのか、そして辿り着くみらいの形はどんなものとなるのでしょうか?
★テキスト
特に可もなく不可もなく、エロゲらしいリズムとスピード感のあるやり取りをそれなりに楽しめるイメージですね。
文章として華や艶があるとは言い難く、カナタという天衣無縫なヒロインの勢いを最大の武器にして、ひたすらノリで押し切る感もなくはないですが、文章そのものに目立つ粗や癖があるわけでもないので、純粋萌えイチャゲーとしてはこんなものでしょう、というところです。
★ルート構成
選択肢なしの一本道ですね。
正直設定からするともう幾分か話を面白おかしく膨らませる余地はあったと思いますし、基本ただイチャエロするだけの作品であるよりは、そういう方向性と、ちょっと違う、共存モデルとしての未来を見据えた展開もあって良かったんじゃ、とは思うので、そのあたりも含めて選択肢なしの構成は物足りないです。
勿論ゲイルートはいらないですけど(笑)、ゲーマーとしての在り方を通じての変化、というのはあって良かったと思うのですけどね。
★シナリオ
ルート構成でも触れた通り、基本的にこれイチャエロ特化で、カナタの特異な設定を、ただ単に二次元マイスターの果てなき夢の実現装置(すなわち、画面の中に飛び込んで二次元ヒロインとイチャエロしたい、或いは現実に二次元ヒロインが飛び出してきてお世話されたい、みたいな)以外にはほぼほぼ利用してないんですよね。
ついでに言えば、主人公がプロゲーマーである理由もさほどなく、平たく言えば二次元趣味のプレイヤーに受けが良さそうな記号的要素を強引に結び付けて展開しているだけで、それが連関してプラスアルファをもたらしたり、将来の発展においてのキーになったり、そういう色合いは正直薄いのが、シナリオ、としては素直に不満となります。
そもそもこの設定の場合、カナタが女の子である必然は、それを主人公が求めたから、としかならないですし、電子生命体としての宇宙人のより総体的な在り方などは完全スルーなので、ご都合主義の極み、とはなってしまいます。
勿論それでいい、難しい事を考えずただひたすらにイチャエロ出来れば満足だ、というファン層もいるでしょうし、私としてもその点でのキャラ的魅力を否定する気は毛頭ないのですが、あまりにもそれだけに特化し過ぎているのは、折角面白い設定なのに勿体ない、とは感じてしまうのですよね。
その派生で言えば、この二人の恋愛感という面でも、色々言葉が足りないというのはあります。
そもそも人間の持つ恋という感情そのものが未知であるカナタと、過去の傷から三次元でのそれを否定している主人公という組み合わせですから、無意識的な恋の萌芽があっても、それが中々具象化しない、というスタンスそのものは別に間違っていないとは思います。
が、実際のところその辺りの機微をしっかり補足するだけの内面の掘り下げ、踏み込みは全く足りていないですし、状況としてとっつきやすい火遊びから、ただなんとなく流されて、いつの間にか大好きになっていました、というのも、うーん、とは思ってしまいます。
カナタの好意そのものは本物でしょうし、最後の選択も綺麗と言えばそうなのでしょうが、けれどそれは彼女を取り巻く状況、種族の総意として汎用的に受け止められるものなのか、二人よがりの我が儘な選択ではないのか?という部分には、出来ればもう少しちゃんとした答えが欲しいところです。
なぜなら、いくら経済的に自立して、ただの人と人、として二人で生きていきたいと願っても、それを覆すだけの科学的優位性をカナタの種族が備えているのが明白だからで、そういう周りの見えない選択が全て、となってしまうのは、この二人に対する印象としてもあまりプラスにはなっていない気はするのですよね。
また、プロゲーマーとしての切磋琢磨でそれなりに取り込まれている、相手の思惑を読み、先回りしていく、という部分は、シンプルに人間関係の機微を掬い取る、という側面も持つでしょう。
なので個人的に言えば、その決戦の時点までに、どれだけカナタの本心と言うか、人の一般的感性とズレている部分を感得して、それを受け入れていけるか、という選択肢的積み重ねとリンクさせての分岐、なんてのはアリだったろうに、と思います。
無論ただひたすらに高潔であれ、とか、そこまで極端な話ではないですけど、カナタが今の生き方に対してどういう想いを抱き、それは本来の役割に対してどういう意味を持っているのか、そのあたりを思惟し、忖度する姿勢が、より多角的な視座を主人公に与え、刹那の局面での選択に幅を作る、というのは面白いはずなんですけどね。
だから正直、この作品の終わり方は、この二人の関係性を大団円にする、という意味では片手落ち、どちらかと言えば目先の恋と快楽に流されてのノーマルエンド的な感覚を持ってしまうのです。
そういう流れでひたすら面倒なことは考えずイチャエロするのは、それはそれで構わないわけですし、けどそれとは別個に、もう少し関係性を自制しつつ、より巨視的なスパンでカナタと後顧の憂いなく結ばれるパターンも作って欲しかったなぁ、と思いますね。
それはシンプルに言えば、カナタが個として、だけではなく、その種族全体として地球人と共存するためのモデルプランを提供する、という所に帰結しますし、それ自体は既にカナタが体現している、虚構と現実を渡り歩く事で、一種の理想を提供する、という部分のブラッシュアップで事足りるはずです。
お値段的に言っても、せめて3000円までならワンイシューでも仕方ないかな、と思えるのですが、4000円まで行くとミドルプライスラインに片足を引っかけてますし、それならなんらかのシナリオ的、或いはゲーム的工夫が欲しいな、とは感じてしまいますかね。
最近だとアイコトバなんか、同じ値段でしたけどその辺の工夫、最低限の多様性は打ち出せていたわけで、シーン数自体はある程度分散すれば問題ないですし、やっぱり総じて勿体ない、カナタという良ヒロインを活かし切れていない作品に思えました。
なによりねぇ、これでゆきいろより割高、ってなると、あっちがえぐすぎるとはいえ、純粋にコスパとして評価しにくいのはわかっていただけるのではないか、とね。。。
キャラ(20/20)
★全体評価など
基本的にはカナタが可愛いと思えるかどうかが全て、ではありますし、その点では特に文句はないです。
とにかく明るくて無邪気で、それでいて献身的で素直で愛らしく、真っ直ぐに思慕を向けてくれる眩しさも、コロコロと移り変わる感情の温かさもとっても素敵でしたね。
こういうテンション系のヒロインに対するCVマッチングの破壊力も磐石でしたし、本当に可愛かったです。強いて言えばもう少し、デート服着てるシーンが沢山あって欲しかったりはしましたけど。
CG(18/20)
★全体評価など
基本的な絵柄はかなり好みでしたし、キャラデザや服飾センスも良かったと思います。
立ち絵は文句なくめっちゃ可愛くて、コミカルなデフォルメ顔も含めて本当に多彩で幅の広いカナタの感情を真っ直ぐ堪能させてくれましたね。
個人的には目逸らし困り顔がいっちゃん好きで、勿論キラキラ笑顔や悪戯っぽい顔もいいですし、本当にただカナタの表情変化を見ているだけで飽きずに楽しめる、という面はあったと思います。
一枚絵は全部で25枚なので、値段を考えるとギリギリ水準か、少し物足りないか、ってラインですね。
シーン数自体は13あるので、それは充分過ぎるくらい、と言えるのですけど、理想を言えばあと数枚、日常やシナリオ寄りのものが欲しかったですし、それは上でも書いたように、シナリオ面での方向性とも合わせてもう少し頑張って欲しかったところです。
BGM(15/20)
★全体評価など
この作品、実はOP含めてボーカル曲がないっぽいんですよね。
その点では正直手抜きですし、値段を考えると流石に看過できない部分で、BGMも全部で12曲とそこまでではなく、質も取り立てて目立つものはないので、採点としてもそれなりに辛口にならざるを得ないかな、という所です。
システム(8/10)
★全体評価など
演出に関しては、カナタの縦横無尽なコミカルな動きを楽しめるだけでもそれなりには、と思うのですが、それ以外の部分では色々食い足りない面もありますし、少なくとも手の込んだ丁寧なつくり、というイメージは持てませんでした。
ムービーも見落としでなければ多分ないですし、EDもめっちゃ簡素なので、正直若干手抜き感は否めませんね。
システム的にも目立って不便はないですけど、洗練されて使いやすい、という事はないです。
総合(78/100)
総プレイ時間6時間くらいですね。
基本的に完全な一本道ですし、盛り上がりと言えばプロゲーマーとのライバル対決くらいで、それ以外はひたすらカナタとの和気藹々とした日常とエロスを楽しむ、という構図にはなっています。
これはこれで悪くはないけど、これだけの要素で出すならちょっとお値段との釣り合いは悪いな、という感じですし、カナタが好みなら買って損はしないでしょうけど、後に残るなにかもない、その場限りの楽しみ、というイメージの作品ですね。