2020年08月02日

相変わらず弱い人やで

 閃の軌跡Vは3章演習の初日終了。
 地味にこの日はイベント盛りだくさんだから大変なのだけど、やっぱり最後の月が綺麗ですね、からのキス二連発が一番印象深いのはあるよね、と。クレア少佐は本当に出来る女なのに弱い人やで。。。
 ぶっちゃけその弱さにつけ込む形なら本当にどうにでも出来そうな脇の甘さもあって、無駄にエロ可愛くてやっぱ好きだなー、と堪能しました。

 クロデは共通終わったくらい。
 まあ基本的に杏鈴可愛い、の作品だけど、他ヒロインもそれぞれしっかり魅力はあるので、ベタベタとはいえ日常が普通に楽しくていいですね、癒されます。
 記憶の限り、つばめと杏璃はあんまりシナリオに感心しなかったはずなので、今のところ泉とヒカヘキ、杏鈴だけやろうかなーと思ってます。

 んでめったくそ久々にリサルート更新。
 まあ書く気はある、と言っても何カ月も放置していたら微塵も説得力がないわけで、そもそも前書き読み返すと、そろそろ完結してなきゃいけない時期だったりするわけですが……。でも一応ロードマップはあるので、書ける範囲でちびちび進めます。
 とりあえずリサと芽愛は結構仲良くなれると私は思うので、今後も芽愛の出番は多めになるはず。やっぱりこういうキャラ書きやすいしね。
posted by クローバー at 18:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

どっちのiが好きですか?リサ編2〜我が儘と、頼る甘える、線引きは?〜

忠臣
「……そ、そういうわけで、リサと男女交際する事になったから、ご報告までっ!」

リサ
「えへへ、ご報告まで、ですっ!」

ハンナ
「え、えぇ?えーと、あの……えぇぇぇ……?」

リサ
「あははっ、お姉様ったら大混乱ですねぇ」

忠臣
「……結構いい性格してるよな、リサって」

リサ
「お褒めに預かり恐縮です♪」

 電撃的なお付き合いが始まった翌日。
 これまた善は急げ、とばかりに、リサに促される形で、ハンナへの報告と相成った。

 ハンナは文字通り青天の霹靂、という感じで、まだどういう感情を抱いていいのか戸惑ったまま、俺とリサの顔を交互に見比べている。
 『お姉様はあれで勘はいいですから、悟られない内にこちらから捻じ込んでしまいましょう♪』と誘われ、乗ったはいいものの、ここまで露骨に混乱ぶりを見せられると流石に少し不憫に感じる。

 もっとも、リサがそう試みた意図はわかっているつもりだ。
 きっとこれは、ハンナ自身がこの事実に対する解釈と立ち位置を、今までの自分に即して出してしまう前に――――。

ハンナ
「え、えっとぉ……リサと、辻堂さんが、男女交際を、なさる、と……」

忠臣
「う、うん……」

ハンナ
「だ、男女交際って、つまりお付き合い、をする……?リサ、と、辻堂さん、が……???」

リサ
「お姉様、いつまで呆けていらっしゃるのですか!いいですか、私と忠臣さんは恋人になったのです!もうラブラブなんです!そうですよね忠臣さんっ!」

忠臣
「あ、あぁ……」

ハンナ
「ら、らぶらぶ……っっ!?!?」

 ハンナが、なにかに撃ち抜かれたように胸を押さえる。
 心の奥深くに食い込んだ認識を、ようやく正確に噛み締めたかのように、刹那、非常に複雑な感情が瞳の奥で錯綜し、けど――――。

ハンナ
「すぅ……っ、はぁ……っ、ん、んんっ、そう、なんですねっ!二人は、相思相愛になられたんですねっ!素晴らしいです!おめでとうございますっ!!」

忠臣
「あ……」

リサ
「えへへ、それでこそお姉様ですっ!ありがとうございますっ!!」

 満面の笑みでの、祝福。
 その清らかさと、芯の強さは、確かにそれでこそ、と思えるもので。

 だけど、それで終わりにしちゃいけないんだろ?

ハンナ
「そ、それにしても、二人がお付き合いだなんて、全然気付きませんでした。その、一体いつからそんな雰囲気に……?」

リサ
「おやおやぁ、気になっちゃいますか、お姉様?」

ハンナ
「そ、それは私だって女の子ですし……こ、後学の為にっ!」

忠臣
「……姉妹だなぁ」

ハンナ
「えっえっ、そ、それはどういう意味なのでしょう?」

リサ
「人は環境の生き物、という事です。ともあれ、お互いの気持ちが急接近したのは昨日、ですよね」

忠臣
「そ、そうだね。もっとも、それまでにも無意識的に、お互いの事が気になっていた、というのがはっきりしたから、一足飛びに、ってのはあるかな」

ハンナ
「ほえー、なるほどぉ。うふふ、無自覚の恋、素敵ですねぇ……。でもそうよね、リサってば最初の時に、辻堂さんに颯爽と助けて頂いて……」

リサ
「えぇ、そんな格好のいい事をされたら、それは気になるに決まっています。お姉様とて、私を助けて下さった、という事で、最初から随分と忠臣さんにご好意をお持ちだったでしょう?」

ハンナ
「そ、それはそうかもしれません、ね……」

 相槌を打ちつつも、まだ少し折り合いのつかない感情を持てあますような空気を一瞬だけ覗かせる。
 けどそれはあっという間に笑顔の陰に隠れてしまって。
 あぁ、なるほど。ハンナの、「姉」であるという事は、つまりこういう事なのか――――。

リサ
「……お姉様、そんな顔をなさらないでください」

ハンナ
「えっ?そ、そんな顔とはどういう……?」

リサ
「んー……忠臣さんにはどう、見えましたか?」

忠臣
「俺?えーっと、そうだなぁ、上手い譬えが見つかるか……」

 中々に厳しいスルーパス。
 けれどこれも、リサの信頼の証なのだろう。
 リサが、ではなく、二人で、ハンナの「姉」という固陋の檻を開いていくのだと――――。

忠臣
「……自罰と杞憂が綯い交ぜになった感じ、かなぁ」

ハンナ
「自罰と杞憂、ですか?」

忠臣
「うん。総じて言えば、善良過ぎるが故の独り善がり」

ハンナ
「独り善がりっ!?」

リサ
「あはははっ、流石忠臣さん、私が見込んだ通り、何気なく辛辣ですねー」

忠臣
「わざと俺を悪者に仕立てておいてよく言うよ」

ハンナ
「そ、そんな……。私、私、は……」

リサ
「……お姉様。何も悪い事をしていないのに、自分の自制や頑張り、気づきが足りなかった、なんて思う必要はないのです。私も意地悪でしたけど、誘導された型にわざわざ自分から嵌り込みに行くなんて、どこまでお人好しなのですかっ!」

ハンナ
「リ、リサ……?ひょっとして、怒っている、の……?」

リサ
「はい。と言っても勘違いなさらないでくださいね。私は、お姉様がお姉様自身を大切にして下さらない事を怒っているのです」

ハンナ
「私が、私自身を……?」

リサ
「えぇ。だってきっかけはどうあれ、そこから積み重ねた想いはお姉様だけのものでしょう?そこにどういう色が宿っていたかなど、私が察していないとでも思っているのですか?」

ハンナ
「あ、ぅ……」

リサ
「お姉様は私の前で、もっともっと素直になって下さっていいのです。なんなら、『この泥棒猫!』と食って掛かって下さってもいいのです。なのにどうして、そこまで痛みを堪えて、ただただ綺麗な姉で、自分の信じる正しい姉でいようとし過ぎてしまうのですか?」

忠臣
「……俺が口を出していい義理じゃないかもだけどさ。俺もハンナが生々しい感情を飲み込んで、張り付けた笑顔で繕っているのは見たくないな。だって俺と一緒の時は、もっと活き活きと、いつだって世界の全てが煌いてる、って顔、してたじゃんか」

ハンナ
「つ、辻堂さん……。私、わたし、は……。わたしの、世界……は……でも……」

 それをこのタイミングで思い出させるのは酷なのかもしれないけれど。
 それでも俺には、あの輝きと、「姉」である事が、両立できないものとは絶対に思えない。

 だからこそ、一抹のほろ苦さは敢えて飲み込んで。
 そのアシストに感謝を、とばかりに、繋いでいた手が刹那強く握りしめられ――――。

リサ
「でももへちまもへったくれもありません!そもそもですね、お姉様は脇が甘すぎなのです!」

ハンナ
「え、えぇっ!?脇が甘いって、なにが……」

リサ
「んもぅ、それこそ私が気付いていないと本気で信じていらっしゃったのですか!?お姉様が忠臣さんと下校中に喫茶店に寄り道したり、予備校の帰りにこっそりラーメン屋に通ったりしていた事ですっ!!」

ハンナ
「はぅっ!?そ、それは……っっ!?」

忠臣
「念のため言うけど、俺が暴露したわけじゃないぞ」

リサ
「です。きちんと隠せもしないのに、理想の姉を演じられていたつもりなら、それは滑稽というものです!」

ハンナ
「ガーン!そ、そうですよね……こそこそと隠れて悪徳に身を染め、あまつさえその時間をなにより楽しみにしていたなんて……うぅっ、姉、失格の烙印を押されても……」

リサ
「ですから、そういう思い込みも滑稽だというのですよ。どうして私にとっての理想の姉が、お姉様の抱く虚像と同じだと決めつけてしまわれるのですか」

ハンナ
「え?」

リサ
「私は、お姉様が好きな事は応援して差し上げたいし、出来る限り共有もしたいのです。悪徳、大いに結構じゃありませんか。むしろそんな楽しい事から、蚊帳の外にされていた方が癪に障りますっ!」

ハンナ
「リサ……」

リサ
「……お姉様の気持ちもわかります。わかりますけれど、それでもお願いですから、もう少し肩の力を抜いてください。それとも、今の私は、お姉様に全て寄り掛からないと何も出来ないほど弱々しく見えるのですか?」

ハンナ
「それ、は……。ううん、そんな事はありません。むしろリサは、私よりよっぽと自分の芯があって、前向きで……だ、だから私は、ずっと理想の姉でいないと、いつか要らない、と言われてしまうのではないか、って、不安、で……」

 リサの糾弾で生々しく浮き上がった、虚飾を剥がされたハンナの瞳。
 そこに浮かんだのは、疑いの余地なく、怯え、だった。
 きっとそれは、俺の与り知らない二人の抱える何らかの事情が作用、しているのだろうけど――――。

リサ
「ほんっとうに馬鹿ですねぇ、お姉様は。私が自分から、こんな素敵なお姉様を要らないなど、言うはずがないじゃないですか」

ハンナ
「リ、リサ……」

リサ
「これからだってまだまだ、私はお姉様に沢山甘えたり、頼ったりしたいのです。だからと言って、お姉様が自分を犠牲にしてまで、その全てを叶えて欲しいなんて我が儘は言いません。人にはそれぞれ、出来る事出来ない事、分相応というものがあるのですから」

忠臣
「その、これからは、さ。リサがハンナには出来なかった頼り方や甘え方は、俺が引き受けるから。だから俺達も、もっとリサに甘えていいんじゃないか?リサだからこそできる、俺達の支え方も、きっと沢山ある、そうだろ?」

ハンナ
「辻堂さん……」

リサ
「だからお姉様は、これからはもっとお姉様らしさを私の前でも糊塗せずに曝け出して欲しいのです。例えそれがどんなものでも、私がお姉様を大好きで、生涯仲のいい姉妹である事は変わらないと信じているのですから」

ハンナ
「リサ……ぐすっ、うん、うんっ、私も、私もそうだと信じたい、です……ずっと、ずっと、リサと仲良く……っ」

リサ
「当たり前です。私達の姉妹の絆は最強なんです。例え忠臣さんにだって、簡単には割り込めない特別、なんですからねっ!」

 リサが俺の手を離し、自分の脚で、一歩一歩ハンナに歩み寄る。
 凭れ掛かるリサを、ハンナは半泣きの笑顔でごくごく自然に抱き留めて。

リサ
「あは、とても、とってもあったかいです、お姉様……」

ハンナ
「リサも……いつの間にか成長、していたのね。そんなのずっと、わかっていたはずなのに、私はわからないふりをしていた……のかしら?」

リサ
「別に私は、お姉様に甘やかされるの大好きですから、それはそれで構わなかったんです。でもこうして、幸いにも私達に、私達だけの世界を乗り越えていけるだけの助けが差し伸べられたのなら、私はお姉様にも甘えることを覚えて欲しいと思うのです」

ハンナ
「っっ、うん、うん……っ、ごめんなさい、リサ、そして、ありがとう……っ。きっと、私の方がよっぽど、大人になれていなかったのね……」

リサ
「お姉様ぁ、それは嫌味ですか?こんなにフカフカでご立派なものをお持ちのくせにぃ〜」

ハンナ
「きゃっ!?ちょ、ちょっと、そ、そんなところに頬ずりしないで……っ!」

リサ
「いーじゃないですかぁ、減るものでもなし。ふふん、それに忠臣さんも眼福でしょう?」

忠臣
「……あぁうん、美人姉妹が睦み合う光景は心が洗われるようだね、ははははっ」

リサ
「わー嘘っぽーい」

ハンナ
「つ、辻堂さん、その……胸元に熱視線を感じるのですが……」

忠臣
「HAHAHA、気のせい気のせい。俺はほら、リサの蕩け切った横顔を楽しんでるだけだから」

リサ
「ま、それくらい許しますけどね。どうしたって私が差し上げられない需要は、代わりにお姉様に提供して頂くという事で」

ハンナ
「そ、それでいいの?リサったら随分と豪胆で鷹揚なのね……」

リサ
「だって、私達はこれから、新しい『家族』を育んていく予定なんですから。家族仲が親密で何が悪いというのです?」

ハンナ
「……っっ、リサ…………。そう、ね、今度は、今度こそ、間違えずに、私達は……」

 ハンナが一段と強くリサを抱き締める。
 その目の端に、きらりと光るものが浮かんで。

 それはきっと、今までも仲が良く、けれど一歩だけ互いに引いていた姉妹の遠慮の膜が、綺麗に霧散した瞬間だった。

リサ
「それでお姉様?色々とわかっていただけたところで、明日は三人でプールに行きませんか?」

ハンナ
「えっ?さ、三人で、なの?折角の付き合い立てなのだし、そういうのは二人きりで、デートにした方がいいんじゃ……」

リサ
「ダメですよぉ、二人だとほとんどずっと、忠臣さんに私の介護をさせているようなものになってしまいます。それに、慣れない場所で一人で着替えるのもちょっと怖いですし」

忠臣
「まー、天地がひっくり返っても、俺が更衣室まで付き添うわけにもいかないしなぁ」

リサ
「といってお姉様と二人でも、やっぱりお姉様はなにも楽しめない上に、ああいう開放的な場所でナンパなどされてしまったら、私がいては振り切るのも難しかったから、今までそういう機会、持ちようがなかったでしょう?」

ハンナ
「そ、そうね……。何度かそういう話題になった記憶はあるけれど、その時にいつも興味ないふりをしていたのは、そういうことなの?」

リサ
「です。お姉様はまったく自分の魅力に無頓着ですし、けれどそんな場所で私一人では、お姉様をお守りするなんてとても無理でしたから。で・も、忠臣さんが一緒にいてくれるならあらゆる問題は解決ですっ!」

ハンナ
「そ、それはそうかも、だけど……。つ、辻堂さんはそれでよろしいんですか?」

忠臣
「ダメ、なんて言う理由は何一つないかな。俺としてはリサが一番伸び伸びと羽を伸ばせるようにしてあげたいし。特に今まで出来なかった、新しい事を楽しむって言うならね」

ハンナ
「辻堂さん……!」

リサ
「……それで、本音は?」

忠臣
「リサとハンナの水着姿を間近で見られる果報者になれるなら、たとえ火の中水の中っ!」

ハンナ
「つっ、辻堂さぁぁん……!?」

リサ
「あはは、ぶっちゃけましたねー。まあ、私とお姉様の順番を間違えなかったから許してあげます。ともかく、忠臣さんにも充分なメリットがあると言うのなら、なにも遠慮する事はないでしょう?」

ハンナ
「うぅっ、着々と外堀が埋められて……で、でもそう水着っ!着ていく水着がありませんよっ!」

リサ
「はい、ですので今から買いにいきましょう♪美人姉妹の水着ファッションショーで、忠臣さんをクラクラに悩殺して、存分に私達の虜にして差し上げましょ♪」

ハンナ
「え、えぇぇぇぇーーーっっっ!!」


………………

…………

……


リサ
「ふふっ、いいですねーこれ。忠臣さんと腕組んで歩くの、杖要らずですし、好きな人の温もりも味わえて一石二鳥ですっ♪」

忠臣
「あぁうん、喜んでくれるのは良いんだけど……」

リサ
「なんですかなんですか、恋人と密着しているというのに随分と歯切れが悪いですねぇ」

忠臣
「そういうリサは遠慮会釈なく浮かれ放題だなー。いやほら、流石に二人っきりでもないのにここまでするのは、その、なぁ?」

 チラッと後ろを振り返る。
 そこには文字通り縮こまった猫か、或いは清純な淑女のように、三歩離れて身の置き所に困りながらもついてくるハンナの姿。
 
リサ
「もぅっ、お姉様に気を取られ過ぎですよ。ちゃんと納得してついてきているのですから、そこまで気を払ってあげる必要はありませんっ!」

忠臣
「納得……納得、したのか?あれで?なんか強引に論破して押し切ったように思えたんだが」

リサ
「お姉様は頭で理解しても中々踏み出せない臆病なところがありますから。こういう時は荒療治あるのみ!です」

忠臣
「スパルタだなぁ……。まあでも、ホントに遠慮するなよハンナも。折角なんだしみんなで楽しみたいしさ」

ハンナ
「そ、そうは仰いますけどぉ……。いきなりこの光景は目に毒と言うか、当てられると言うか……」

リサ
「お姉様?羨ましいなら羨ましいとはっきり仰っていいんですよ?」

ハンナ
「うっ、羨ましいとかそんな、では……なくもあったりなかったり……」

リサ
「もー、煮え切らないですねぇ。せめてもっと隣を歩いてください。なんなら忠臣さんの左腕くらいは貸してあげますよ?」

忠臣
「いやいや、流石に三人横並びで腕組んで歩いてたら邪魔だろ。それに俺が嫉妬の視線で殺されるわ」

リサ
「むー、確かに世間様にご迷惑をかけるのはダメですね。でしたら袖口をつまむ、それくらいならいいでしょう?」

忠臣
「あー、まぁそれなら」

ハンナ
「あ、あのうっ、私の意向を無視してトントンと話を進めるのはご勘弁くださいぃ……っ!」

リサ
「とか言いつつ、ちゃっかり距離を詰めてきているのは誰ですか。まったく、満更でもないと素直になって下さいませんと、この先どんどん自家中毒で追い詰められてしまいますよ」

 自分が毒を振りまいている自覚はあるくせに、どこまでもリサは強気で。
 けどやはりそこは長年の付き合い、ハンナの本音をしっかり汲み取っているというべきか。
 
ハンナ
「……え、えへへ……」

忠臣
「……な、なんかこれ、かえってむず痒いなぁ」

 ちょこん、と指先だけで半袖シャツの裾を摘まんだハンナはとても愛らしくて、甘酸っぱい気持ちになる。

リサ
「むむむ、流石お姉様やりますね。そんな些細な仕草であっという間に忠臣さんを虜にするとは」

ハンナ
「ひぅっ、いっ、いえいえっ、けっ、決してそんなつもりはっ!」

リサ
「忠臣さんも、もう私の胸の感触、飽きちゃいました?やっぱり貧乳はステータスではないんでしょうか?」

忠臣
「いやいや、飽きるなんて滅相もないっ!というかやっぱし確信犯で当ててたのかよっ!」

リサ
「当たり前です。こういうのも恋人ならではの醍醐味というものでしょう?」

 丁々発止のやり取りに、自然と笑みが零れる。
 最初はぎこちなくても、すぐにリサのリズムでほぐされ、こうして三人である事が当たり前のように感じて――――。

???
「せっ、先輩がっ、先輩がぁっ、まさかの金髪美少女たちと両手に花で歩いてるぅぅぅーーーっっっ!!!」

忠臣
「…………」

リサ
「あら?」

 けどまぁ、こんな目立つ行動してたら、そりゃ知り合いに見つかったらそういう反応になるよなぁ。

芽愛
「どどどどーしたんですか先輩っ!!援交ですかデリバリーですか美人局ですかっ!?はっ、それともまさか宇宙人に洗脳されて中身が別人に……っ!」

忠臣
「やかましいわ」

芽愛
「イタイタイタ痛い痛いっ!でも美少女の感触に未練を見せずに躊躇いなくアイアンクローとは、やっぱり本物の先輩ですかぁっ!?」

忠臣
「どういう判別方法だよ。というか往来でいきなり騒ぎ過ぎなんだよお前は」

芽愛
「あああんな破廉恥な光景を衆目に晒しといてどの口が言いますかっ!」

忠臣
「微笑ましいと言ってくれ」

リサ
「ですです、忠臣さんは美人姉妹と仲良くデートしてるだけなんですから」

芽愛
「いやその時点でどこか倫理観狂ってるでしょーー!」

ハンナ
「はぅっ!?」

忠臣
「こら上ノ山。流れ弾でハンナを傷つけるんじゃない。というか半分わかってやってるだろ」

芽愛
「い、いやぁ……。確かに?そちらの姫とはほどほどに仲良さそうだなー、ってのは見た事ありましたけど、といって姫ですよ姫!ド庶民の先輩が付き合うとか無理ゲーにも程があると思うじゃないですかー!」

リサ
「あのー忠臣さん。先程からナチュラルに失礼なこの方は?」

忠臣
「あー、リサはこいつと遭遇した事なかったっけ」

芽愛
「上ノ山芽愛でっす!学園でもバイト先でも先輩の後輩やってます!」

リサ
「お姉様はご存じなのですよね。ハンナの妹で、忠臣さんの恋・人・のリサ・四谷・グレンジャーです。以後お見知りおきを」

芽愛
「これはご丁寧にどうも……って恋人ぉぉぉっっっ!?!?」

リサ
「あはは、いいリアクションですねー」

忠臣
「魂から芸人だからなー。ま、悪気はちょっとしかないんだ、許してやってくれ」

芽愛
「ちょっともありませんよぉ!芽愛ちゃんはいつでも赤裸々純朴ガールなんですっ、ただ思った事を黙っていられないだけでっ!」

ハンナ
「あ、あはは、それって実は結構性質が悪いのでは……」

忠臣
「まー遠慮って単語は知らないんだ、許してやってくれ」

芽愛
「なにを保護者面でしれっと流そうとしてますかっ!と、というか、姫を差し置いて、こんな幼気な妹ちゃんをパクリと召し上がってしまうとはなんたる鬼畜っ!?はっ、さては将を射んとすればまず馬をっ!?」

忠臣
「心の底から失敬だなーお前。ちなみにリサは、お前と同い年だからな」

芽愛
「へー同い年なんですかぁー……って同い年ぃっ!?こんなふわふわ妖精みたいに可愛いのに、まさかの合法ロリだと言うんですかっ!?」

リサ
「あはは、どこまでが合法か、っていうのは色々解釈の余地がありますけどね」

ハンナ
「ま、まぁそれを言い始めてしまうと、私にしたって……」

忠臣
「君たち、あまりメタ的な会話はやめような」

 この作品の登場人物は(基本的に)全て18歳以上です。あしからず。

芽愛
「ま、まさか先輩がそっちの世界の住人だったとは……。だ、だからなんですかっ!この微ロリ美少女の上ノ山を猫かわいがりしてくれないのは、もう育ち過ぎてしまったとでも言うんですかっ!」

忠臣
「育った部分と育ってない部分のアンバランスが問題なんじゃい。そんな風に、他人に愛でられるのが当たり前ー、みたいな顔されるとムカッとするだろ?」

芽愛
「わー先輩いい笑顔で毒舌ぅー。いいですか、あたしだって傷つく時は傷つくんですからねっ!あんまり虐めると泣いちゃうんですからねっ!」

リサ
「あぁでも、こういう道化の仮面を被っている方が、本心から枕を濡らすシーンはちょっと見てみたいかもですね」

忠臣
「だろー。でもこいつ、やたらめったら耐久力が高くてなぁ……」

芽愛
「ちょおぉっ!?二人揃ってナチュラルにドS発言!?まさかの似た者バカップル爆誕だったり!?」

ハンナ
「あ、あはははは……あながち否定はできないかも……

リサ
「お姉様〜、なにか含みがありそうなお顔をしてらっしゃいますねぇ〜?」

ハンナ
「はぅっ、そそそんなことないですよぉ!」

芽愛
「むむっ、訓練された牝奴隷の匂い!もしや姫は、既にバカップル付き添い羞恥プレイで愉悦を覚える体質に調教済みアイタタタタ痛い痛い痛いですからぁっ!!」

忠臣
「庶民の低俗な発想にハンナを染めるんじゃありません」

ハンナ
「つ、辻堂さん……!」

リサ
「むぅぅ、そこに私を含めないのは、理解は出来ますが納得しがたいですね……」

忠臣
「じゃあリサも」

リサ
「じゃあってもー、忠臣さんってば、やぱり隙あらば好きな子を虐めたい感じなんですねぇ」

忠臣
「打てば響く、ってわかってる相手ならな」

芽愛
「だからって暴力が許されるわけではないでしょーっ!!可愛い可愛い芽愛ちゃんの顔が歪んじゃったらどーしてくれるんですかぁっ!」

忠臣
「あぁ、勿論その時は責任を……」

芽愛
「責任を取ってくれるんですかっ!?」

忠臣
「責任を持って保健所に引き渡してやるから」

芽愛
「あたしゃ犬猫ですかっ!!」

リサ
「ふふっ、二人とも、随分と息ピッタリなんですねぇ」

ハンナ
「ほ、ほんとに……うぅっ、なんか、すごく羨ましいです……

 確かに、上ノ山と一緒にいるのは気兼ねがないし、とても楽しい。
 甘え癖が強くて、構われないと死んでしまうような騒がしい奴だけど、それも慣れれば愛嬌に感じる。
 ただ――――。

芽愛
「ぬー、ともかく、釈然としないものはありますが三人の関係性は理解しました。それでそれで、これからどこに出向くつもりだったんです?」

忠臣
「……あーまー、ちょっとした散歩だよ散歩」

芽愛
「ぴきゅーん!芽愛レーダーにダウト反応!せんぱぁい、今露骨に嘘ついて誤魔化そうとしましたね?」

忠臣
「……ちっ」

芽愛
「そこで本気の舌打ち止めて下さいよぉぉぉ!!なんですかなんですか、そんなにあたしの野次馬根性がうざったいですかっ!?」

忠臣
「いや、そりゃウザいだろ。関係性が分かったなら、忖度して静かにフェードアウトするような美徳は……上ノ山の辞書に載ってるわけなかったか」

芽愛
「無論であります!面白そうなものにはとことん食らいついていくのがあたしの生きる道ぃっ!!」

リサ
「あははっ、本当に面白い人ですねぇ。忠臣さんが可愛がっているのも、懐かれるのもよくわかります」

忠臣
「いやいや可愛がってないから。適当にあしらってるだけだから」

芽愛
「いえいえ懐いてなんてないですよ〜、適当にからかって遊んでるだけですから」

リサ
「うんうん、馬が合う、ってこういうのを言うんでしょうね。うん、気に入りました。芽愛さん、でしたよね?私達これから、プールに行く為の水着を見繕う予定なんですけど、良かったらご一緒しません?」

芽愛
「プール!?水着!?美人姉妹二人を引き連れて、魅惑の試着室……!!」

忠臣
「……いや、なんだよその目は」

芽愛
「まさか先輩が、酒池肉林至上主義者だったなんて……!という驚愕の表れです」

リサ
「そうですよ〜、忠臣さんにはこれから、悩殺生着替えの極楽浄土を味わってもらうのです。でも、三人きりだと忠臣さんの視線が全てお姉様に奪われそうなので、芽愛さんというスパイスを投入して中和出来れば、なぁんて」

芽愛
「た、確かに、あの胸は凶器、そのもの……!!」

ハンナ
「あ、あのぅっ、二人してじっと胸元を見つめるのは止してくださいませぇ……」

芽愛
「ふぐぅっ、そしてこの、自然に醸し出される嫌よ嫌よも感……っ!!確かにこの最終兵器を前に、ロリィな魅力など風の前の塵に同じ……?」

リサ
「です。なので毛色の違うロリ要素をお持ちの芽愛さんとタッグを組んで、あの手この手で抵抗せねば!と思いまして」

芽愛
「……あの、あたし、リサちゃんよりはある、からね」

リサ
「んもぅっ、そこで素に戻って無駄な見栄を張らないでくださいっ!それは私よりは、かもですけど、でも平均で取ればこっち寄りでしょうっ!」

芽愛
「うぐ、そ、そりゃそうかもだけど、でも今年になってメキメキ成長中だしっ!最近ブラがきつくなって困ってるしっ!」

リサ
「な……っ!?う、裏切りましたねっ、芽愛さんとは品乳同盟を結べると思っていたのにっ!」

芽愛
「でもそっちは期待値高いじゃんっ!こーんなボインボインのお姉さんがいるんだしさぁっ!」

ハンナ
「……っっ!」

 刹那。
 袖を掴むハンナの手が震えたように感じた。

リサ
「っっ、遺伝子は気紛れなんですっ!私だって、私だって努力してるのにぃ……っ!!」

忠臣
「……あのな、そんな話を天下の往来で大っぴらにするんじゃない。個性なんだから、一々比べたり、羨んだりしても仕方ないだろ?」

芽愛
「うわぁ、鹿爪らしい顔でド正論とか、先輩いつからそんなつまらない人間に成り下がったんです?大体からして、リサちゃんの谷間に腕を挟まれたままでもっともらしく語っても説得力皆無なんですけどー」

リサ
「そうですよぉ、嘘でもリサの胸がなにより一番だよ、と言ってくださいませんと」

忠臣
「ええぃ、男がいたたまれなくなる話をするな、と言ってるんだ!ったく、いきなり意気投合しやがってからに……」

リサ
「あら、仲良きことは美しきかな、と言うでしょう?ねー芽愛さん?」

芽愛
「だよねーリサちゃん♪」

忠臣
「ほんっと誰にでも馴れ馴れしいなお前は……。いつの間にかちゃっかりちゃん付けしてやがるし……」

芽愛
「えっへん、図々しさには定評がありますから!むしろ呼び捨てじゃないだけ、まだあたしなりには気を使ってる方ですよ?」

忠臣
「お前の場合、気を使うべきラインの絶対防衛線が、一般人の遥か彼方地平線に設定されてるのが問題なんじゃい」

 そのイメージは、ひょっとすると上ノ山なりの韜晦による蜃気楼、なのかもしれないとは時々思う。
 けれど、普段のこいつが、時に甘えのラインを飛び越えて我が儘に振舞うのも事実で。

 そのありようの真実を踏み越えてまで、上ノ山との関係性を強めたい、というほどに、俺はお節介ではなかったらしい。
 そして――――。

リサ
「ふふっ、でも、私はこれくらい遠慮なく接してもらえるの、嬉しいですよ。どうしても普段は、大切にはしてもらえても、どこか腫れ物扱いですから」

芽愛
「腫れ物?どして?」

リサ
「私、生まれつき足が悪くて。普段も杖なしではちゃんと歩けないんです」

芽愛
「え……」

ハンナ
「……っっ」

 おもむろにバッグから折り畳んだ杖を取り出して、俺から離れて普段の立ち姿を披露するリサに、上ノ山とハンナの視線が集中する。
 ただひたすらに心配げなハンナと違い、上ノ山の瞳には、須臾の間に様々な感情がぐるぐると渦巻いて、けれど――――。

芽愛
「うわぁ……だからあんなに、抱き着いて歩いてる時に幸せそうな顔、してたんだ」

ハンナ
「え……」

リサ
「……ふふっ、そうかもしれませんね。こうすれば傍目にも普通で在れる、普通でいさせてくれる。そのバランスの難しさを、きちんと理解して受け止めてくれる人がいる。それは私にとって、無上の幸せなのは間違いありませんから」

芽愛
「にゃるほど、だから今日も三人で、なんだ。一見そこまでカップル!って感じじゃないのもそのせいかー……。まー、なんつーか、先輩らしいっすね」

ハンナ
「え、えっと……」

忠臣
「お前のそういう動物的な勘の良さと気働きは、相変わらずすげぇ、って思うんだけどなぁ」

芽愛
「なんですかその、それ以外が残念過ぎるからなぁ……とでも言いたげな溜息は」

忠臣
「わかってるなら直せよ」

芽愛
「自分で直せるくらいなら苦労しませんよ!」

リサ
「ふふっ、やっぱりその辺、忠臣さんと仲良くしてるだけの事はありますよね。ですから、改めて遠慮なく、御一緒にいかがですか?先程の話ですと、水着だって新調しないといけなくなっているのでしょう?」

忠臣
「いや、でも確かこいつ、今からシフトに入ってるはずで……っておい」

芽愛
「ピポパ……っと。はいオッケーです!パートのおばちゃんにシフト変わって下さいーっ!ってぶん投げましたから、アイムフリー!!」

忠臣
「アイムフリーダム、の間違いだろ……。お前ってやつは本当に本能で生きてるよなぁ……」

芽愛
「そりゃあもぅ、こんな先輩をおちょくり倒せそうなイベント、見過ごすわけにいくまいか!ふっふっふ、あたしの健康的な水着姿についうっかりドキッとしてしまって、美人姉妹にジト目で睨まれるといいのです」

忠臣
「ぐっ、開き直った芸人はこれだから……。絶対三段オチで嘲笑の的にしてやる……!」

芽愛
「くくく、若き男子のリビドーに先輩がどこまで抗えるか、見せてもらいましょう!というわけでリサちゃん、折角だしお店までは、あたしと腕組んで行こうぜぃ!」

リサ
「えへへ、それじゃあお言葉に甘えて。いいですよね、忠臣さん」

忠臣
「そこでダメって言ったら、俺が胸の感触を惜しんでるように聞こえるよな?」

リサ
「惜しんでないんですか?」

忠臣
「……すごく、惜しいです」

芽愛
「なははは、正直っすねセンパ〜イ。でもざんね〜ん、今からこのやわっこい身体はあたしのものなんですっ!悔しいですか?悔しいですか?」

忠臣
「……チッ、ウゼぇ」

芽愛
「だからマジテンションで舌打ち止めて下さいよぉぉーーー!!この芸人殺し!いけず!女たらしっ!」

リサ
「あはははっ、うん、ほんと、なんか、あははははっ!」

 たまらず、という感じに。
 今までにないほど快活に、リサが笑う。
 笑い転げたままに上ノ山の腕を取り、雲の上を歩くような軽い足取りで歩きだす。

 それはきっと、今まで様々な事情の裏に隠されていた、本当のリサの持つ明るさで。
 それを引き出すのは、悔しいけれど俺だけでは難しくて。

ハンナ
「……ありがとう、ございます」

忠臣
「……お礼を言われる筋合いでもないさ。今日の手柄は、あいつだし」

ハンナ
「それでも。忠臣さんと知り合わなければ。忠臣さんが持つ、優しい人の繋がりがあればこそ、こういう今があるって思いますから」

忠臣
「だったら、良いのかな。俺がリサの恋人であるというのは、こういう事で、良いのかな?」

ハンナ
「はい。今まであの子の可能性の芽を摘んできた私が言うのも烏滸がましいですけど、きっとこれでいいんだと、思います」

 ハンナの、慈しみに溢れた微笑みに、一瞬目を奪われる。
 それは、俺と二人きりの時に見せた、無邪気なものとはまた違う色を湛えていたけれど。
 それでも昨日までのように、どこか痛々しさを感じさせるものではなくなっていた。

リサ
「忠臣さーん、さみしかったら、お姉様と腕を組んでも構いませんよー。お姉様相手なら許しますからー」

芽愛
「うわー、公然と二股ですかー。先輩サイテーですねー」

忠臣
「だからお前らー、徒党を組んで人の悪評を垂れ流すのやめろー」

ハンナ
「……ふふっ、ふふふふっ……」

 ほんの少しだけ、ハンナがシャツの裾を掴む力が強くなる。
 それがきっと、リサが求めるささやかな、けれど何物にも代えがたい幸せの景色なんだ――――。

posted by クローバー at 07:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする