2008年01月01日

いつか、届く、あの空に

 やはりこれは書いておかねばなるまい。
 基本的にキャラ&CG買いでしたが、色々な意味でイメージを覆されました。。。

シナリオ(23/30)

 体験版のラストでも微妙にきな臭さは漂っていたのですが、まさかあそこまでぶっちぎりに方向性の違う作品になるとは思いませんでした。萌えゲーから燃えゲーへのシフトというのはある意味斬新なのですが、きっとついていけなかった人は多かっただろうなと推察されます。
 かく言う私も、一周目が終わった時点での評価はもう少し低かったです。けど時間を置いて二回目をやってみると、一回目ではわからなかった伏線が実はしっかり生かされていることに気づいて、より一層シナリオが楽しめたという面があったので(しかし、前半の傘の台詞、「そしたら私は・・・」の続きがあんなに陰惨だとは、普通誰が想像しますかっての。。。)、最終的にこの点数に落ち着きました。ですが、特に後半のシナリオは北欧神話をベースにしており、その知識もある程度入れておかないと楽しめないという、究極に人を選ぶ作品です。そもそもキャラ&CGがこれ以上ないくらい商業向けの媚を振りまいているというのに、なんともミスマッチ。。。
 攻略順は最初にふたみ固定のようなのですが、確かにこれからやらねば他は全くわからない。。。もっとも、これはこれでやたら難解なのですけど。伏線はともかくとして、少なからず前半の設定がまだ生きている唯一のシナリオですね。
 元々引き裂かれるために引き合わされた、そもそももう会う筈のなかった二人。何重もの意味でその二人の間に芽生えた愛は奇跡的でありながら、なおも世界は二人に更なる試練を与える、というのがざっくばらんな内容なのですが、そこにふたみの実家である雲戌亥家の「狂った正義」の思惑が交差して、超展開なのは置いておくとしても、息もつかせぬ濃密なせめぎ合いが繰り広げられます。無茶な展開だけど一応辻褄は合ってるし、最後もご都合主義ではあるけどきっちり伏線は引いてあるので、ギリギリのところで破綻を逃れているシナリオじゃないかなと思います。
 で、後は傘と此芽なのですが、一応攻略順が傘からだったのでその通りに書きます。
 傘ルート、これは多分バットエンドです。。。
 果たして、ふたみルートで主人公がこれでもかこれでもかと超人的な能力を引き出してやっとこさクリアした問題を、それこそ蟻でも踏み潰すようにいともあっさり叩き潰してしまう傘のやり方は、あんまりといえばあんまりです。。。
 ぶっちゃけ、前半のルート選択において一つも傘寄りの選択がないというのに、ふたみと此芽のどちらも選ばなかったという消極的な理由でルートに入る時点で、バットエンドと言わずなんと言えばいいのか。流石にこの展開でいきなり傘姉が好きだー、とか主人公が言っても、説得力がない上にふたみに失礼過ぎる。。。どうせならこの展開は、他キャラ通過しての共通バットにしてくれればよかったのに、とか思ったり思わなかったり。まあのんはともかく、メメもみどのも色々抱えている子ですから、そう簡単にいかないのはわかってますけどね。
 明日宿の傘が傘であるために、脈々と受け継がれてきた明日宿の叫びは今、唯一のストッパーである巽の枷をはずれて動き出し、そして全てを踏み潰す、そういうシナリオの流れの中で、傘が自分の知っている傘であることだけを願い続ける主人公は、ちと滑稽に過ぎます。それでも、傘が傘であることを辞められないことを悟り、そしてその悲しみを全て共に背負い込む決心をして傘の隠れ家に乗り込むあたりは、まあ見ごたえはあるのですがね。にしても、あのHシーンは色々と問題だろと。ここまでシナリオのためだけにあるHシーンは久しぶりに見た気がする。。。まあ総合すると、決してつまらなくはないけれど、絶対に納得は出来ない話ってところでしょうか。
 で、最後に此芽ルート。
 個人的に一番好みだから、という理由で最後に持ってきたのですが、シナリオ的にも最後にするほうがいいかも。例えばふたみルートは、ふたみルートを二回やらなければ理解できないことが多いですが、此芽ルートは事前にふたみと傘をやっていると、特に終盤の展開はある一点を除いてはすんなり理解できるので。
 ある意味これは超純愛ルート。本来とっくの昔に死んでいたはずの主人公を、桜守姫家の人間の持つ魔術の力、それも歴代の人間の中でも最上位に値する力の全てを使って、様々な犠牲を払っても生かし続けてきたという、恐ろしいまでの執念を感じる、別名縁の下の力持ちルートです。。。
 昔主人公に延命の秘術をかけて以来、一切の魔術の行使が叶わなくなり、桜守姫家のなかでも肩身の狭い思いをしながら暮らしている此芽ですが、今回巽の人間である主人公が再びこの街に呼ばれたことで、この先危険に遭うであろう主人公を何とか助けたい、と影ながら奔走します。
 そんな健気すぎる此芽ですが、しかしその思いは昔にかけた秘術のせいで常に一方通行でもあり、想いを殺して主人公をそれとなく助けながらも、主人公の安全のために早く街から離れさせなければ、という気持ちと、折角再び合間見えることが出来たのだから、少しでも一緒に、側にいたい、という気持ちがせめぎ合い、葛藤を抱えています。それでも当面の問題に真っ向から向かい合う姿は凛として、決して主人公にはそんなそぶりを見せません。
 そんな中で、此芽の想いと桜守姫家の御前の悲願、そして此芽を取り巻く家族、みどのや生態機械と化した父の思惑が錯綜して話はやっぱり超展開気味に進んでいきます。自らの悲願のために、此芽を最後の切り札として大切に育ててきたつもりの御前ですが、その独善と濁りは、桜守姫家創始以来の才能を持つ此芽には見透かされており、それでも魔術が使えなくなった自分が曲がりなりにもこの家でこの歳まで暮らしてこられたのは御前のおかげであることもまた理解しており、自分にとって最優先の懸案である主人公の生命を守ることが出来なければ、残った自分の命は家のために捧げる覚悟を持っていました。
 しかし、死んだと思っていた主人公が存命であり(その理由は、この事態の裏での傘の動きによるものと思われる)、そして主人公の機転で自らも生命の危機を脱した此芽は、桜守姫家の人間の全てを滅ぼすことにつながる御前の独善を糾弾し、その稀有なる才能を持って御前の悲願を打ち砕くのでした。
 とまあ、シナリオ的には色々つっこみたいところもありますが、それでもこの作品の中では一番綺麗にまとまっているほうです。そしてこの話の白眉は、この後のみどのとの和解シーンと、そしてエピローグのHシーン。。。色々な自分を隠し持ちながらも、それでも自分が自分であるための大切な部分だけは決して変わらずに持ち続けた此芽。その想いを与えたのがかつての主人公であり、想いが巡り巡って人を支えあっているという、とても美しい話です。
 んで、Hシーンの萌え度は半端じゃないです。あまりに萌えすぎて、全くエロくないという逆説的な現象が起こってしまうくらい、萌えに特化してます。

 まあ総合的に見て、明らかにシナリオは説明不足なんですが、かといってあれ以上説明を加えていたら間違いなく話のテンポが悪すぎるという、本当にギリギリのレベルで成り立っている作品ですね。前半が普通に萌えゲーなのが信じられないくらいです。
 間違いなく人は選びますが、嵌ればかなりの破壊力がある作品でした。

キャラ(20/20)

 個人的に、此芽の設定があまりにもジャスポケを叩きすぎていて、もう萌え狂いまくっていました。表の設定が、黒髪ロング・お姫様・丁寧語使い・空気読める子・気品ありすぎで、裏、というか隠しの設定が、幼馴染・プチツンデレ・超一途・献身的・天才肌・貧乳ですから、それこそ一つとして私の好みをはずしていないんですけど。。。まあ今年最初のゲームにして、これ以上が果たして出るのかと懸念されたレベルでしたよ。まあかろうじて一人だけ上が出ましたけど、どちらにせよ歴代でもトップ10に確実に入るお気に入りキャラです。
 もちろんふたみも普通以上には間違いなく可愛いし、傘姉も殺伐としてなければ可愛いし、サプの面々も魅力溢れすぎているしで、そりゃあ普通どうみたってキャラゲーだろと勘違いしたくなるラインナップです。ほんと、メメとみどののルートがなかったのは悲しかったですよ。。。
 文句なく満点です。

CG(20/20)

 この人の絵は間違いなくジャスポケです。
 まあごくたまに一枚絵で崩れているかな〜って思うのがあったりもしますが、何よりツボに入る一枚絵があまりにも多すぎて、一枚絵が出てくるたびに悶えていた気がします。特にお気に入りは、此芽のカレーのシーンとメメのあーんのシーン。次点で傘を押し倒したシーンかな。
 なんにせよ、この塗りのやわらかさと美しさ、そして卓越したデザインは、萌えを探求する上で極北となるべきレベルの出来だと個人的に思うので、ちょっと欠点には目を瞑って満点です。

BGM(20/20)

 何はともあれ、2ndOP曲が神過ぎる出来。
 基本的に榊原ゆいさんって歌は上手いほうだとは思うんだけど、この曲は曲自体に迫力がありすぎて、流石にボーカルにちょっと力が足りないかな、とまで思わせる名曲です。例えて言えば、鳥の詩を違う人が歌っていたらあの迫力は出るかな、って感じ。曲のポテンシャルを生かし切れていない分だけ、2007年のボーカルランクで一つ落としてますが。。。
 BGMも珠玉の出来。後半の戦闘シーンで流れる曲や、終盤の個別曲もかなりの出来なのですが、それよりなにより「六月の雨に打たれて」が素晴らしい出来。流れるシーンもちょうど前半のクライマックス、双子座の照陽菜の最終日に、これ以上ない哀愁を漂わせ、そして穏やかな時間の終わりを告げるシーンのBGMとして、あまりにもシンクロしすぎています。
 まあそれぞれ曲単体としてはすさまじい、というほどではないのでしょうが、この作品はその使い方、特に初出の場面の選りすぐり方が抜群だと思うのですよ。

システム(6/10)

 ここだけがある意味このゲームの弱点といってもいいかと。
 シナリオの迫力に比べて明らかにチープな演出は、時にシリアスなシーンをギャグに変えてしまうほどでした。もうちょっと何とかできなかったのかなあと思ってしまいますが、この絵師さんに濃密なバトルシーンの一枚絵を描けなんて注文がそもそも無茶な気もするし、これもメーカーのスタンスとライターのスタンスが合っていない結果なんでしょう。この一作だけでライターが退社したというのも、結構頷ける話です。。。
 他にも、システムの使いにくさはなかなかのもので、いちいちセーブとかスキップとかするのでも画面を一度切り替えないと駄目だし、文字が自動スクロールしてしまう読み手置き去りの演出があったり、挙句にパッチ充てたら前のセーブデータ全部使えないってあたり、色々と杜撰なものがありました。

総合(89/100)

 総プレイ時間23〜4時間。ルート少ない割には長いです。
 個人的には2007年の作品ではかなりの上位に入る傑作です。ですが、シナリオは許容できただけ、キャラもBGMもたまたま絶大なお気に入りがあっただけで、他人にもそうであるかは未知数、まあ絵だけは自信を持ってお勧めできますが、かなり人によって評価のぶれる作品であることは間違いないですね。
 まあでも、とにかく本気で此芽が可愛いので(ちなみに公式の人気投票でも、ふたみにダブルスコアでぶっちぎりでしたね)、それだけでもやってみる価値はある、と思いますよ。
posted by クローバー at 10:45| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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