2008年01月31日

さくらシュトラッセ

 もしらばコンビの新作、最初は印象が地味かなと思っていましたけど、体験版やったらやっぱりそれなりに面白かったので購入。

シナリオ(24/30)

 このライターさんの書くシナリオは相変わらずバランスが絶妙だと思います。
 もしらばの時と違ってテキストのノリはだいぶ軽くなっていますが、ギャグとシリアスと萌えとエロのバランスが素晴らしくて、どのルートでもいつの間にか話に引き込まれていく感じですね。
 ぶっちゃけ、主人公には癖があるし、キャラもかりんや優佳あたりは結構ぶっ飛んでる部分があるのですが、読み手のこちらが「流石にちょっと・・・」と思いそうになる寸前でがらっと印象を変えるイベントが用意されていたりと、癖のあるキャラをギリギリのバランスで嫌な奴にせずに、しかもそれをしっかりシナリオに組み込んでくるあたり、ちゃんと考えられているなあと思いますね。

 まあ一応、魔女がメインヒロインの話ですが、基本的に魔法がシナリオに効果的に作用するのはごく一部、一番関連性が高いマリールートでも、魔法そのものよりも魔法の村のしきたりあたりが話の中心となるので、あまりご都合主義的な展開にはならず、それでいて、どのルートでも終盤には心温まる話が用意されています。
 マリー以外のシナリオでは終盤のお節介役はマリーの独壇場ですが、マリーシナリオではそこまで何の活躍もないウザキャラだったクラウディアや、実は策士のクリスあたりがきちんと活躍していて、少なくとも立ち絵のあるキャラはみんな印象に残る人物ばかりですね。
 個人的にシナリオで評価が一段高いのがルゥリィ。
 主人公と仲良くなる過程、そしてマリーについて日本に来た理由、自分のトラウマと向き合って克服しかけたところでの突然の再会と、それによるルゥリィの決断とマリーの優しいお節介、猫らしさを存分に生かしたキャラ設定もあいまってシナリオの展開に全く隙がない上に、終盤ではしっかり波状的に感動させられるという名シナリオです。
 他にも、優佳シナリオの終盤の展開、建前を一つずつはがして最後に残った本音を言葉に出来る舞台を整えたマリーの魔法や、マリーシナリオ終盤での、主人公の料理を使っての、二人が惹かれあい、そして濃密な時間を過ごした思い出をメッセージとして託した場面など、心打たれる場面は多かったです。かりんも悪くなかったけど、あの展開ではどうしてもななついろのすももルートの神展開と比べてしまうので・・・。ともあれ、全体的に駄目なシナリオは一つもない、堅実で素直に楽しめる出来だったと思います。

キャラ(19/20)

 もしらばのときもそうでしたが、嫌いになるキャラが一人もいないのがすごいですね。
 例えばFAみたいに、最初からユーザーを不快にさせるような要素を出来るだけ削り取っているならともかく、かなりキャラには癖があって、嫌なところなんかも結構前面的に押し出していたりするのに、それでも嫌な気分にさせないところがライターさんの腕、ということでしょうか。まあシナリオの部分でも書きましたけど、一見嫌な感じの態度でも、すぐその理由が説明されてフォローが入り、それが理不尽すぎるものではないと納得させられてしまうためでしょうね。
 そんなわけで全キャラ好きですが、強いて言うならやっぱりドイツコンビのマリーとルゥリィ、特にルゥリィの可愛さは群を抜いていますね。特に序盤、あまり懐かないだけに、ごくたまに見せてくれる万遍の笑顔とか、ポロッと漏らす素直な心情とかに一喜一憂してしまいます。この気まぐれなところが最大の魅力で、終盤はそれに一途という属性が追加されるのでなんともいえない可愛さになりますよ。
 あと個人的には、もう少しマリーの性格が外向きだったらなあ、と残念でした。まあ自分のルート以外ではすごくいいキャラなんですけど、ちょっと自分のルートで株を下げた格好ですね。それでも大好きですけど。

CG(19/20)

 こちらも素晴らしい安定感、本当にこのコンビはいい意味で堅実ですよね。全く期待を裏切らない出来でした。
 特に素晴らしかったのは一枚絵、ここの安定感は確実に前作以上、というか一段と上手くなっている気がします。
 立ち絵も前作に比べてバリエーションが増え、かつこのメーカーの特色である多彩な動きは健在で、よりキャラに親近感が湧く、素晴らしい仕上がりでした。どうしてもびっくり顔のときの目の形だけ違和感があって、その分だけ減点しましたけど、それ以外は完璧に近いと思います。

BGM(19/20)

 何回も同じ誉め言葉で芸がないですが、相変わらずの安定したハイクオリティでしたね。もしらばよりはシリアス度が低い分、明るい感じの曲が多かったと思います。
 OPの「秘密レシピ」は、どうにも東鳩2のOPとイメージがかぶってしまってイマイチでしたが、挿入曲の「四葉のクローバー」はかなりお気に入りですね。他二曲のボーカル曲も無難な出来。
 BGMは名曲揃い。「約束」「悲しい誓い」「遠い日の思い出」「悲しみのクリスタル」「優しい意地悪」「不思議の国」「オレンジジュース」などがお気に入り。あまりシリアスに踏み込まない、包み込むような優しい曲が多かったですかね。
 流石に神曲揃いのもしらばには及びませんが、充分音楽だけでも鑑賞に堪えうる出来、サントラがついてきて嬉しい限りです。
 あと個人的に好きなのは、システム画面にすると今流れている曲の名前が表示される点。例えばこの手のゲームで、ちょっといいなって思った曲があっても、シナリオを進めているうちにどんな曲かわからなくなって、よほど思い入れが強くならない限り調べないでそのままってパターンは多いので、その場ですぐ確認できるのは嬉しいです。このシステム見かけたの青空の見える丘以来だなあ。

システム(9/10)

 思ったほど魔法の出番がなかったので、あまり派手な演出はありませんが、細かいところにもしっかり気を配っていて、丁寧な仕事が伺える演出です。・・・まあ確かに変身シーンにムービーがいるか、と言われると微妙ですが。何しろフレーム外ですし(笑)。
 このメーカー独特の後ろ向きの立ち絵は今回も健在、ただ後ろを向かせるだけではなく、しっかり立ち位置のバランスが調整されていることで、ヒロイン同士がしっかりと絡み合っている雰囲気が出ていて、日常シーンの面白さを上手くサポートしています。
 更に、バックグラウンドボイスがあることで、誰が今話の中心にいるのかが一目瞭然、そして本来声にならないようなヒロイン達のボヤキがちょくちょく耳に入ってきて、彼女達がいる場所がとてもにぎやかで楽しい場所であることを意識させてくれます。このあたりの細かい仕事は流石ですね。
 スキップは標準、セーブ画面は常に一ページ目に戻ってしまうのがちょっと面倒ですね。ボイスカットオフ機能がついていないのもちょっと残念。
 
総合(90/100)

 総プレイ時間、20時間ほど。
 あら、新年一発目からずいぶん高得点をたたき出しましたね。でもそれだけの数字に見合う作品ではありました。元々シナリオ以外の面では心配が全くありませんでしたし、あまりに前作とノリが違って懸念されたシナリオも、期待に違わぬなかなかの出来でしたから。
 しかしそれだけに、どうにも世間で売れてなさそうなのが気にかかりますね。FAとぶつかってしまった上に、このたびのガーデン騒動で完全に陰に隠れてしまった印象です。まあ元々どうにも作品のキャッチが弱いかなって思っていたくらいだから、第一印象で切ってしまう人は多いのかもしれません。
 でもねえ、間違いなくシナリオはFAより上だし、萌えやエロ、音楽に至るまで負けている部分はなさそうなのに、このまま埋もれてしまいそうなのは勿体無いですよ。誰でも間違いなく楽しめるレベルの秀作ですから、ぜひ多くの人に手にとって貰いたいですね。
posted by クローバー at 21:33| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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