2008年04月16日

パルフェ〜Re−order〜

 タイトル書き、ローマ字書き&サプタイ付きだと長すぎるので簡略体でご容赦。
 購入動機は、まあこんにゃくがとんでもなく面白かったので、ショコラと一緒に勢いで大人買い。

シナリオ(30/30)

 まぎれもなく神作。
 一応ショコラとの連作で、欧風アンティーク喫茶店を舞台にして物語ですが、特に話のつながりはないのでこれ単品でプレイしても全然問題ない印象。
 ・・・というか、ショコラもシナリオはいいんだけど、改訂版が出るまでは今の戯画では考えられないくらいシステムが悲惨だったので、そっちで懲りてこれに手を出さなくなるくらいなら、ショコラはすっ飛ばしてでもこちらをプレイすべきだと断言できます。

 物語は、とある新規オープンのショッピングモールに、かつて主人公たちがやっていた喫茶店、ファミーユを再度オープンさせないか、という打診が来る所から始まります。
 その半年前、火事でファミーユ本店を失い、それにまつわる諸々のことで色々と鬱屈した想いを抱えていた主人公は、また喫茶店を始めれば全てが上手くいくと思い、かつての仲間たちに再興を打診しますが、もっとも頼りにしていた二人に首を縦に振ってもらえずにのっけから大混乱、それでも何とか新メンバー旧メンバー取り混ぜて、強引に店をオープンにまで漕ぎ着ける主人公ですが、そのお向かいさんには、かつて主人公達がファミーユ本店を立ち上げるときに模範としたキュリオが店を構えており、しかもキュリオのチーフと初日からぶつかってしまって、否応なく売り上げ合戦をする羽目になってしまう、という感じで進んでいきます。
 共通ルートは大まかに分けて、人員不足で上手く店が回らず四苦八苦の10月、主人公の姉にして天才菓子職人の恵麻が復帰し、大幅な値下げ作戦を断行してキュリオと対抗できる基盤を固める11月、そして洋菓子屋さんのメインイベント、クリスマス商戦の12月と三分されている感じで、その中でヒロイン毎の固有イベントが混ぜ込まれていく、という作りです。
 基本的にはお店の名前であるファミーユが示すように、どんなに失敗しても歯を食いしばってしっかり前を向いて頑張る主人公に引っ張られ、お店にまつわる人たちみんなが家族のように互いのことに干渉し、助け合い、時にはぶつかり合いながら、更に信頼を深めていくというイメージですね。

 個別ルート評価は、里伽子>(越えられない壁)>>由飛>明日香=恵麻>玲愛>>かすりと言ったところ。しかしこれは里伽子シナリオ以外が駄目という意味ではなく、里伽子が突出して素晴らしいと言う意味で、ぶっちゃけかすりシナリオ以外は名作のレベルを備えている、ある意味奇跡のような出来です。
 そして里伽子シナリオは正に神の出来、物語の舞台設定から、今のファミーユの有り方、そして様々な言動や仕草、そのあらゆる全てが伏線となっており、それが里伽子シナリオ中盤で全て収束していく様は、もう鳥肌が立つというレベルではないです。そして、そのあまりにもお互いに残酷すぎる真実を突きつけられた上で、主人公が取った解決の手段、そして終盤、ようやく何一つ隠すことのないお互いの想いに辿り着き、それから苦難の時を経てエピローグで見せた涙、ここまでの一連の流れがもう完璧すぎます。
 謎解きが圧倒的なシナリオや、終盤の展開が素晴らしいシナリオはそれなりにありますけど、この両方を神レベルで兼ね備えているシナリオはほとんどお目にかかったことはありません。里伽子がその胸に隠し持っていた圧倒的な思いを知ってしまったら、それこそ他のヒロインなんて霞んでしまいますので、間違いなく一番最後にクリアしないと後悔すると断言できます。
 惜しむらくはこのルート、攻略制限が中途半端なんですよね〜。最初に里伽子ノーマルを見ていないとトゥルーには行けないんですけど、それでも選択肢の選び方次第では、あの圧倒的な謎解きの場面までは進めるんですよね。まあその後バッドエンドになるんですけど、もし万が一バッド→ノーマルの順番で見てしまうと、なんとなくオチが読めてしまうので、出来ればバッドエンドは見ないこと推奨です。まあ、やや里伽子トゥルーへの派生に辿り着くには選択肢が複雑なので、普通一回目でそのルートに入れる人はいないと思うんですけどね。。。

 由飛シナリオもかなりの名作、特にラストの展開は個人的にはかなり素晴らしいと思うのですが、どうしても里伽子シナリオと比較されると霞んでしまいますよね。というか、由飛もパッケージヒロインの割に報われてなくて、シナリオでは里伽子に勝てず、キャラではカトレアに勝てずと、それこそ“いっつも二番目”を地でいっているイメージ。
 明日香、恵麻シナリオもしっかり伏線を使い、丁寧に仕上げられたシナリオです。明日香シナリオの終盤は、当たり前のことを書いているだけなのになんであんなに感動するんだってくらい感情移入させられるし、恵麻シナリオの真骨頂はむしろリプレイ時、里伽子の真実を知った上でのあのエピローグはもう涙なしでは見られません。というか、あんな細かいところまできっちり伏線を引いているその周到さに戦慄しますよ、ほんとに。
 玲愛は上の四人に比べると少し落ちますけど、それでも優判定だったり。。。普通のゲームだと優が一つでもあればなかなかのレベルだと言うのに、何なんですかねこのバーゲンセールは。まあ玲愛はキャラの魅力で点数稼いでいるので、充分以上に楽しめるのは保障できますが、ちょっと終盤の重苦しさの方向性が他ルートと違うので、私的にはやや好みでないです。
 その分名言が多いですがね。でも個人的には、ノーマルエンドのジュリエット玲愛が一番好きですけど。。。
 かすりは・・・比較する相手が悪かった。。。
 普通の作品なら間違いなく上位に入るシナリオでも、ことパルフェにおいては少しの不満も許されないわけで、やや他ルートより優柔不断にうつる主人公の行動や、結構強引な展開が目に付いちゃうわけなんですよね。

 何より素晴らしいのが、どのシナリオでも全てのキャラがしっかり絡んできて、話を暖かく盛り上げてくれることですかね。その上で、丸戸さんの作品なのでテキストはもはや言及するまでもないほど素晴らしいし、シナリオの作りこみ方も、核となるシナリオを中心として、上手く矛盾なく仕上げてあり、しかもメイン以外のシナリオも全ての出来が高い、と、ある意味ADVの完成形に近い、模範にすべき作品だと思います。

キャラ(20/20)

 カトレア最強。
 私って元々は黒髪ロングが好みで、金髪キャラはそんなに好きじゃなかったんですけど、こんにゃくの海己とカトレアに連続して触れたことで、一瞬で趣旨替えさせられてしまいました。。。
 丸戸さんの書くキャラクターの特質は人間くささにあると私は思っていますが、カトレアは一見外見が近寄りがたい物語の中のお姫様みたいでありながらも、実はやたらと下町気質で、確かに怒りっぽくて融通は利かないけど、常に相手のことを考えた上で苦言を発しているだけだし、それでいて恋愛的なことには全然免疫がなくて、普段の几帳面さが影を潜めて途端に理不尽になってしまうところとか、とてつもなく可愛いですよね。
 なんか世間ではカトレアはツンデレの代名詞みたいに扱われている節があるんですけど、私は実は全然そうは思わないんですよね。私のイメージするツンデレって、ツンのときに自分の行為を素直に表現できずにきつく当たってしまうキャラだと認識してるんですけど、結構カトレアって真っ正直だと思うのは私だけでしょうか。まあ建前はどうあれ、発狂するほど可愛いことには変わりないですが。。。

 次いでは由飛と明日香が好みですね。
 由飛は確かに能天気で気まぐれで我が儘だけど、やっぱり憎みきれないと言うか、すごく構ってあげたいな、という気にさせる天然天才キャラですね。まあ確かに恋愛対象としてはどうかと思うけど、周りに一人くらいあんな子いたら楽しいだろうな〜、と思わせますね。
 明日香はあの、色々策略めぐらせつつも、基本的には真っ直ぐ慕ってくるところがツボです。まあヒロインキャラ中唯一の未成年ということで、すれていない素直な感情表現が一層際立つと言うのはあると思いますが。

 里伽子は確かにいい女だな〜とは思うんですが、ぶっちゃけ生半な覚悟じゃ背負いきれない、それこそ高嶺の花というイメージですね。まあ初期の主人公みたいに、完全に依存してしまえばいいのかもしれませんけど、普通それじゃいつまでも上手くはいきませんしねえ。
 かすりは図らずも自分のシナリオで露呈したみたいに、どうにも友達感覚の強いイメージで、果たして弱みを見せられてグラッとくるタイプかなあ、と斟酌してしまう感じ。弟馬鹿の姉は・・・ノーコメント。

CG(18/20)

 まるねこ最高傑作の名に相応しく、というわけでもないんでしょうが、ねこにゃんさんの絵もこのパルフェのときが最盛期の気がしますね。
 ショコラのときはまだ造詣そのものがイマイチだったりしますし、こんにゃくのときは逆に絵柄の幅を広げすぎて、やや実験的なイメージが拭えず、結果としてパルフェのときの絵柄が一番安定している印象。
 とはいっても、一枚絵とかかなりばらつきがありますがね。例えばファミレスで由飛と一緒に食事しているときの玲愛と、由飛シナリオ終盤でピアノを弾いているときの玲愛とか、明らかに顔の横幅やら肩幅やら違いすぎますし。。。
 まあ後はHシーンの顔の書き方かな。あまり複雑な体位じゃないときは綺麗なんだけど、体の間から顔が除くとか、ちょっとバランスの難しい構図だと、大概顔が崩れている印象。まあでも、一枚絵は基本的にはかなり可愛く描けてますね。特に玲愛と由飛と明日香はかなりいい感じです。

 立ち絵は、おおむね悪くはないんだけど、里伽子の崩れた表情のときがイマイチなんですよね。しかもそれが大抵超シリアスな名場面で出てくるので、いつも微妙に立ち絵から目を背けてたり。。。ちなみに里伽子はCVもイマイチ(特に濡れ場は・・・)だったりして、それがこの神シナリオ唯一の欠点だったりしなくもなくもない。
 逆に由飛の立ち絵はほぼ完璧に可愛いですね。にっこり笑ったときの目の描き方が大好きです。

BGM(19/20)

 引用曲が多いので、曲数そのものはそれほど多くはないけど、かなりの名曲揃いです。
 ボーカル曲は2曲。
 OPの『reaf ticket』は名曲ですね。まあサビの部分がやたら聞き取りにくいですが(笑)、作品の雰囲気に素晴らしくマッチしている印象です。
 EDの『つまんない恋』は、由飛シナリオでしかボーカルバージョンは流れないんですけど、しっとりした曲調で、つまらない、当たり前の、と謳っておきながらもしっかり情熱が感じられる曲です。この曲を聴いて、今まで見てきたシナリオが、あれだけ波乱万丈で感動的に見えて、実はよくある恋愛のパターンに過ぎないという事実を思い出し、その平凡さにもう一度感動を覚えると言う仕掛けですかね。

 BGMでは、『暖かい空気に包まれて』『落ちる涙の蒼』が群を抜いています。『暖かい空気に包まれて』は、家族を象徴する優しさに満ち溢れた名曲、『落ちる涙の蒼』はせつない決別の場面を彩る物悲しい曲です。たまにどうでもいいところでかかったりしますが(笑)、あの雪の降る中での里伽子の真実が語られる場面に恐ろしいほどマッチしていて、その一場面のためだけにあるような印象を覚えますね。
 他には『夢のその先。』や、由飛専用曲『やすらぎの天使』、玲愛専用曲の『cheerful butterfly』などがかなり好きですね。
 ちなみにRe−orderバージョンだとアレンジ版も聞けまして、そちらもなかなかいいアレンジが含まれているので、お得です。

システム(10/10)

 演出は、2005年発売と考えれば最上級。
 立ち絵の動かし方は細やかで、特にドアを出入りする場面とかの自然さはかなりのものです。エフェクトもそれなりに使われていて、まあ何故かバルドあたりから流用したようなバトルチックなモーションが多かった気もしますが、それでも上手く使ってるなという感じ。

 システムは、いったいショコラからパルフェに至る間に戯画に何があったんだ、と勘繰りたくなるくらい、途端に洗練されたシステム。セーブ&ロードのしやすさ、スキップの使いやすさ、コンフィグの細かさは最高クラスです。システムにおける最高傑作のこんにゃくと比較して、足りないのは選択肢ジャンプとボイスカットオフ、あとイベント回想だけですかね。とはいえ時代を考えれば必要充分な布陣ですよ。

総合(97/100)

 総プレイ時間、25時間くらい。
 それこそエロゲのビフォーアフターと謳われていることが決して不思議でない、金字塔的な名作です。何気にゲームとしての難易度も高かったりして、でもその選択肢が決して理不尽でなく、ストーリー上必要な条件であることなので、上手く話が繋がってエンディングに辿り着いたときの喜びも大きいという、本当にADVのお手本となる作品ですね。
 物凄い突飛な設定もなければ、人死にもなく、どちらかと言えばありがちな題材を感動巨編に昇華させた奇跡のような作品、これをやらずしてエロゲを語ることなかれってところですね。
posted by クローバー at 13:01| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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