2008年06月12日

G線上の魔王

 どれだけ待たされようとも、車輪信者としては買わざるを得ない作品。

シナリオ(27/30)

 圧巻のミスリード。

 さて、この作品は実はあらすじを書くだけで結構ネタバレになってしまうので、その点を踏まえて読んでください。
 主人公は一見普通の学園生ながら、その実やくざの親分である義理の父の仕事を手伝い、懐刀と呼ばれるまでの活躍を見せている、二面性のある人物として登場します。
 そんなある日、突然学園に転校してきた、自称“勇者”の宇佐美ハルと関わりを持つうちに、ハルが“魔王”と呼ばれる知能犯を追いかけてこの街にやってきたことが明らかになります。
 時を同じくして策動を始める“魔王”と“勇者”ハルとの知能戦が繰り広げられる中で、主人公やその周りにいる人間たちも事件に巻き込まれていき・・・、というのが大まかなストーリーです。

 シナリオは全部で6章立てになっており、1章が物語の導入としての序章の役割を果たし、2〜4章はハル以外のヒロインに関わる事件が語られます。作品のメインシナリオを追いかけつつも各ヒロインにスポットを当てたストーリーとなり、その中で主人公とヒロインの関係が進む選択肢を選ぶと、メインシナリオを外れて個別シナリオに入るという、ルート脱落型のシステムになっています。2章では椿姫、3章では花音、4章では水羽の物語が発生するのですが、無論話が進むにつれてメインシナリオも進行するので、攻略は章立て順にしておくのがベターだと思います。
 そして、この三人の誘惑を振り切って(笑)メインシナリオを進行させると、メインヒロインであるハルのシナリオである5章〜最終章に突入できます。ボリュームや内容から考えても、もちろんこのシナリオがいわば正史と言うべきで、残り三人の個別シナリオは、深く考えないのであればifに近い扱いと捉えておいて概ね間違いはないかと。

 テキストは相変わらず秀逸です。
 独特の癖があるテキストを綴るライターさんですが、少なくとも車輪よりはとっつきやすいかな、という印象を受けました。シュールな笑いを狙ってくるので、肌が合わない人には合わないかもしれませんが、私は大好きですね。特に学園での絡みは、時折シリアスを交えつつもきっちり最後はギャグで落としてくるので、それこそ主人公の台詞ではないですが、憩いの場としての役割を果たしていました。
 物語の裏側をつかさどる、“魔王”の暗躍による情報戦や知能戦の緊迫感もかなりのものですし、何より“魔王”や主人公の義理の父である権造などが、じわじわと人の心を追い込んでいく描写などは、思わず冷や汗をかくくらいの不気味さが滲んでおり、作品全体としてみるととてもメリハリがあって、何度読み返しても飽きない中毒性がありますね。
 ただ唯一物足りないのは、やたら恋愛面での描写と伏線が適当、というあたりでしょうか。特に、ヒロインが主人公を好きな理由が曖昧すぎるので、それこそ危機的状況下での吊り橋効果かと思わせるくらい拍子抜けな感じでくっつきます。
 しかも、基本的にシナリオがシリアスな関係で、恋人らしいイチャイチャした描写はほとんどないに等しいので、その方面では期待しないほうがいいでしょう。

 んで個別シナリオの出来ですが、まずメインシナリオのハル以外の三人は、それぞれが違った形の家族愛をテーマとして抱えていて、各々のヒロインがそれぞれの問題を抱えながらも、最後には人としての強さを見せていく過程は、ベタでありながらも心惹かれるものがありました。まあ感情の落差の大きいシナリオばかりなので、ずるいといえばずるいんですがね。
 三人の中だと一番落ちるのが水羽シナリオで、そもそも4章のメインヒロインのはずが、姉のユキのほうがよっぽど目立っていて、シナリオとしてもかなりの部分を姉に食われているので凄く印象が薄いです。ついでに水羽シナリオ突入の分岐選択肢以降の展開が、圧倒的にメインシナリオのほうが面白いというのもあるかな。事件の核となる部分が共通しているため、どうにもとってつけた印象が拭えませんでした。
 椿姫シナリオはまずまず、ですかね。
 何よりこのシナリオは主人公の立ち回りがピエロに過ぎますね。正邪はともかく、理非で考えれば決して恥ずべきことをしているわけでもないのに、正道を行かずに後手後手に回り、最後には力押しと情に訴える羽目になってなんとも格好がつきません。
 椿姫の人の良さ、というか格好の良さは確かに一見胡散臭いですし、“魔王”に揺さぶられてあっさり墜ちかけたときはさもありなん、とか思ったのですが、最後の最後で自己犠牲をも厭わない正攻法を取らせるに至って、主人公と同じく邪気を洗い流されたような感覚を味わったので、シナリオそのものとしてはイマイチですが読後感が素晴らしい、という意味で高評価です。
 花音シナリオは、この三人の中では一段抜けたシナリオ。フィギュアスケートを根幹に据え、それに関わる母子の隠された相克を描くシナリオですね。
 確かに花音の隠されていた心情は後出し感が強いですが、それを凌駕するシナリオの構成と、そして何より母親の気味の悪さが圧倒的でした。ずっと相反する感情を抱えて苦しんでいた花音、その花音が最後に苦しみながらも出した結論は、正に無償の愛と呼ぶべき崇高な想いであり、そしてそれを具現化するためのラストのフリープログラムでの演技シーンは、久しぶりに王道の素晴らしさを実感させてくれる曇りのない出来でした。

 そしてメインのハルシナリオ、これはさすがに圧巻の出来でしたね。
 一応全てのシナリオの謎が明らかになり、“魔王”が最終目的を達成するために取った圧倒的な手段と、それに微力ながらも対抗しようとあがく主人公&ハルの活躍を大迫力で書く5章も充分面白いですが、全てが終わった、と思わせたところからの最終章の展開が神。
 “魔王”が残した最後の呪いに対して、愛する人を守るために主人公が取った道は、正に「生きれども、生きれども、道は氷河なり」の台詞がしっくりくる修羅の道でした。“魔王”との戦いの中で培った友の想いも心を凍らせて退け、そしてその修羅道を歩き遂げた主人公の前にあらわれた雪解け、まああのラストシーンは反則でしょう。

 まあ若干展開が強引だったり、伏線が露骨過ぎたりして、それこそ車輪の2章のような感動や、5章のようなインパクトには及びませんでしたが、エンターテイメントとしてはかなりレベルの高い作品ですし、とても楽しめました。

 ・・・んで、以下は壮絶なネタバレ含む考察です。アホみたいに長いですが、気になるならドラッグしてください。

 結局この作品の肝というか、評価が分かれるところは、“魔王”の正体に関するミスリードのやりかたにあるわけなんですよね。ぶっちゃけ、魔王=京介というミスリードを明らかにするのが異様に早いんですよ。もう2章の序盤くらいからそれを読者に見せてくるので、ああこれは間違いなく罠だな、と読み手が感じてしまうくらい露骨で、そのせいでおそらく5章で魔王=恭平だという事実が明らかになっても、「ああやっぱり」と落胆半分に思った人が大半なんじゃないかと思うんですよ。かく言う私も、最初はもっと奇想天外なオチが見られるのでは、と期待して裏切られたクチですし。。。
 でも、魔王=恭平という公式を当てはめてシナリオを眺め返してみると、色々と整合性の取れない部分があるんですよね。
 まず誰しもが引っかかる部分として、何故魔王である恭平は、ハル以外のヒロイン個別ルートであの計画を実行しないのか、というのがあります。それが一番の違和感で、そのほかにも細かい部分を上げていけばキリがないほどになります。
 その疑問を、「まあifの話だから」と流してしまうのは簡単なんですが、どうにも引っかかるので色々考え、一つの仮説として、魔王=恭平の公式を「ああやっぱり」と思わせることそのものが、実はミスリードなのではないか、という発想に行き着きました。

 作中の魔王の台詞に、わかりやすいヒントを与えて誘導してしまえば、人は簡単に思考停止に陥る、という感じのものがありましたが、つまりここでは魔王=恭平と推測し、その通りであったことで満足してしまう読者心理を巧みについたトラップが発生しているのではないでしょうか。
 同じく作中での魔王の台詞、「誰もが知っているからこそ、裏を読まねばならない」ではないですが、ではこの場合、魔王=恭平と断定した場合に付きまとうハル以外のヒロインシナリオでの違和感を払拭するにはどうすべきか、ここで仮説その2として、実はハル以外のヒロインシナリオでは魔王=京介であったのではないか、という結論が浮かび上がりました。

 そもそも、なんでこの作品はハル以外のヒロインのシナリオが、メインシナリオからの脱落型で構成されているのでしょうか?
 この、メインシナリオ脱落型の構成は、少なくともエロゲをかなりの数こなしている人ならば一度は行き当たったことのあるであろう、珍しくはあっても目新しいわけではない構成ですし、だからこそやりなれている人ならば間違いなく、攻略順をシナリオ構成順に合わせてプレイするはずです。
 そこから浮かび上がってくる、この作品でこの形式をとった目的として真っ先に浮かぶのは、魔王=恭平という最大のネタバレを知る前に各ヒロインシナリオを消化させたいという思惑です。つまり、謎を脇に置いたままヒロインシナリオに突入することで、後々に感じる違和感をその時点では覚えることなく楽しめるように、という配慮ですね。

 ですが、実はこの形式には、意外に気づき辛い隠されたもう一つの利点があります。それは、各ヒロインシナリオは、メインシナリオから脱落した時点以降の、メインシナリオの内容に制約を受けない、ということです。まあ当たり前といえば当たり前なんですが、実際にプレイしてみると、おそらく最後にプレイするであろうメインシナリオの印象は強く、またあらゆる謎も一応の解決をみているため、その内容こそが絶対の真実であると錯覚しがちなんですよね。だからこそ、魔王=恭平というイメージに引きずられて、シナリオの齟齬を感じてしまうわけで。

 となると、まずここで問題となるのは、少なくとも4章の水羽シナリオ分岐選択肢の時点までで、魔王=京介であるという仮説を否定する決定的な証拠があるか否か、ということになります。とりあえず私は全ルート三周ずつ読み直して、それでもなお絶対の確信にまでは至らないのですが、ほぼ間違いなく魔王が京介であってもシナリオに齟齬はきたさない内容であると感じました。
 少なくとも、時系列の問題で不可能はないと確定できます。まあ確かに京介の頭痛はその点都合がよすぎるのですが(笑)、間違いなく全イベントで京介が魔王として立ち回ることが可能です。そして、テキストの上でも、かなり黒に近い灰色はありますが、はっきり白黒付けられる記述はないと思えます。

 ここで全ての検証を書き連ねる気力はないので、とりあえず魔王=京介という一見ミスリードな記述が一番露骨に出ている3章を中心にして簡易に検証しますと、まず、京介が精神科医の前で豹変するシーン。確かにこのシーンの京介はかなり魔王(恭平)の真意に近い発言をしていますが、でも具体的なことには決して触れていません。「お前達では父親の潔白を説いても無駄だからだ。おれはやる。お前らは身をもって知ればいい。」という部分は黒に近く聞こえますが、「おれはやる」以降が前半に繋がっていないと考えれば、京介の目的を遂行すると取ることは可能です。
 次に紛らわしいのは花音の入浴シーン。これは逆に、正史のときに魔王(恭平)のところに誰が泊まっていたのか、を考えればいいわけで、そうなると選択肢は一つしかないですね。ユキです。この翌日に突如登場することから考えても、自身の目的を遂行するために富万別市に現れ、一時魔王(恭平)の元で宿を借りたという推察が可能です。無論、魔王=京介ならば入浴しているのは花音でいいわけですしね。
 もう一つだけ挙げておくと、4章で深夜ユキと遭遇する場面も紛らわしいですね。正史においてはユキは魔王(恭平)と面識があり、あの場面で出会ったのも恭平なのですが、ヒロインルート(この場合は水羽シナリオ)においては、例の選択肢以降の事実に影響されないルールで、ユキが魔王と知己であるという事実はない、という扱いが出来るので、出会ったのが魔王化していた京介であっても不自然はないわけです。

 その他細かい部分も一応検証しましたが、この仮説が完全に間違っているという部分は見つかりませんでした。つまり、これで何が証明できるかというと、少なくとも4章途中まで、魔王が恭平であろうと京介であろうと問題ないような書かれ方をしている、ということです。
 そしてそれを踏まえた上で、ハル以外のヒロインシナリオで魔王=京介説の決め手になるのは、3章花音シナリオ中盤での、魔王消滅イベントですね。あの場面での「右手は左手のやっていることを知らなかった」「憎悪だけで生きてきた人間が愛を知ったことで生まれ変わった」という感じの台詞、これだけはどう曲解しても恭平の台詞では有り得ないわけです。ここでの、愛を知ることで京介に巣食う魔王の人格が消滅するという公式は、無論書かれていないだけで椿姫シナリオや水羽シナリオでも適応できるわけで、だからこそ、ここに明確な反論が出来ない限りはハル以外のヒロインシナリオでの魔王は京介であると断定できるはずなんですよ。

 もちろん、正史ルートでない場合でも、魔王(恭平)はどこかに存在するはずです。何故なら、少なくともハルは一度魔王(恭平)と出会っており、そしてその時点で恭平が成人であること、まあ少なくとも自分と同年代ではないことは知っているからです。
 だからこそ、ハルは自分の追いかけている“魔王”が京介でないことは確信しています。ですが、だからといってそれが、京介が魔王でないという結論に繋がるわけではなく、一連の事件を起こしているのは、ハル自身の仇敵ではないが、やはり“魔王”と名乗る存在である可能性は充分にあり、だからこそハルは、京介が自分の仇の“魔王”でないことは確信していても、この事件の裏にいるのが“魔王”と名乗る京介である可能性は否定できなかった故に、京介に疑いをかける発言を繰り返していたわけですね。
 だからこそ、この事件の裏にいるのが自分の仇の“魔王”ではないと見極めた時点(つまりハル以外のヒロインシナリオ突入時)で、ハルは物語の表舞台から姿を消すのではないか(例外的に花音ルートでだけはいますが)、と推察しました。

 長々と語りましたが、つまり何が言いたいかというと、この作品は魔王=恭平という固定観念を利用して読者をミスリードするという騙しが潜んでいるのではないか、ということですね。それも、一見そのミスリードによって構成がさも荒いかのように見せかけるという諸刃の手段を使い、その実テキストの一行、一文字に至るまで緻密に計算して書かれているという真実を隠蔽しているわけで、もしこの推察が正しいとしたら、その技量と勇気に感服する次第ですね。そしてこれだけ延期しまくったのも頷けるところ。
 まあその真偽はともかくとしても、あまりに仕掛けが壮大すぎて、実際のところそれでシナリオの面白みに大きな影響を与えるわけではないのですから、それによって大きく加点することもまたないんですけどね。。。まあそれでも、ここまで無駄に考察をさせるくらいには面白い作品だったとは断言できますけどね。


キャラ(19/20)
 
 単純にキャラとしては水羽が一番好きなんですが、いかんせん影が薄すぎて物足りないですね。。。
 基本的にどのヒロインも、各自のシナリオに直結した魅力で勝負する傾向なので、単純な意味で萌えとか感じたのは実際水羽だけだったということです。
 もちろん、シナリオに付随しての各ヒロインの性格付けは見事の一言ですし、シナリオ終盤で見せる魅力はとんでもないものがありますので、話の最初のほうでいかに魅力を感じずとも、見捨てないで付き合ってあげて欲しいですね。

 またこの作品は主人公の成長譚でもあるので、最初は金の亡者で信用は金でしか買えないと嘯く卑屈な主人公が、シナリオを経るごとに成長し、やがてパーソナルを獲得していく様は一見の価値があります。なので、椿姫シナリオで唾棄せずにその後のシナリオも付き合ってあげてください(笑)。
 にしても、どうにもあの神の矮小さが素である気がして仕方がないですね。

CG(18/20)

 前々から思っていたんですけど、有葉さんって鉛筆書きのデッサンが一番上手い気がします(笑)。古くはその横顔を見つめてしまうの美桜でクリティカルヒットして以来なんですが、今回のデッサンも素晴らしいですね。特にハルと花音は絵から内面性が滲み出ていて、すごく迫力がありました。
 それはともかく、今回も安定した出来ですね。相変わらず、顔は可愛いのにやたら煽情的な裸体をしていらっしゃる。。。若干椿姫が丸々としすぎていないかと思ったりしなくもないですが、それ以外は特に文句はありません。
 
 立ち絵はバリエーション豊富とまでは言いませんが、感情豊かに描き上げられていますね。角度によってやたら幼く見えたり大人びて見えたりするのですが、これはおそらくわざとだと思います。シナリオに含む人の複雑な内面を表現する上での一つの手法ではないかと。
 とりあえず右向き水羽の上目遣いは反則的可愛さです。しかも大概その立ち絵のときは幼児化しているので、可愛さドン!更に倍って感じです。
 一枚絵も概ね安定していますが、今回特に迫力を感じたのは目の描き方ですね。特に花音はすごかったです。ワルキューレの騎行に合わせてのショートプログラムの演技のときの、妖艶を通り越して狂気に一歩踏み込んだ、傲慢な自信に裏打ちされたあの迫力ある表情と、ラストシーンでの待機所で見せた清々しいまでの笑顔は、これが本当に同一人物かってくらいに、目の描き方だけで内面の変化を描ききっていて、シナリオの良さと相乗して震えがきましたね。

BGM(19/20)

 必然ながら、神曲の山。
 ボーカル曲は三曲、OPの『ANSWER』は疾走感と緊迫感の溢れる名曲ですね。単純に、曲として物凄くかっこいいです。特にBメロの最初の部分が好きですね。
 EDの『雪の羽 時の風』は、正直初めて聞いた時はややイメージに合わないなと思ったんですよ。5章が終わってこれから幸せで平穏な生活が待っているはずなのに、どうにも未だ冬から抜け切れない重々しさを抱えた曲だったので。まあその疑問はすぐに氷解するわけですが。
 で、挿入歌の『Close Your Eyes』が超名曲。まあかかる場面がずるすぎますけどね。かなりゆったりとした曲にもかかわらず、サビの部分の盛り上がり方は異常です。ある意味こっちが真のEDであるといっても過言ではないでしょう。

 BGMも質・量ともに素晴らしい出来。格調高い曲が多いです。
 『雌雄』は個人的に神曲。これほど対決ムードをビシビシと感じさせる曲は久しぶりですね。中盤以降の繋ぎ方も素晴らしく、一瞬たりとも緊迫感が途切れないのに単調さはまるで感じさせないので、いつもこの曲がかかるシーンではテキスト送りがのんびりになってました。色々な場面で使われますが、やっぱり一番印象深いのは魔王とハルの初対決シーンでの長回しですね。体験版ではじめて聞いたときから震えましたし。
 『さようなら』も名曲ですね。どことなく車輪の『光の先に』を思い起こさせます。基本的にどのシナリオでも最大の見せ場で流れる、涙腺クラッシャーの別名を与えたいくらいの素晴らしい曲です。出だしの掴みと、およそ一分越えたところでの変調がまた印象深いんですよね。特に椿姫の日記のシーンはベストマッチでした。

 その他にも思い入れのある曲は沢山ありますが、後は箇条書きで。
 『昼の遊び』『空の夕』『瞳を閉じてT』『男の花道』『道は氷河なり』『落日』『逃げ場なし』『The Devil』『交錯』『郷愁』あたりが相当にお気に入りです。普通レベルの作品なら、どれも最上位に挙げられるくらいに好きな曲ばかりですね。

 とまあ、単純に好みだけで判定するなら満点でいいんですが、一応引っかかるのが、ほとんどの曲はベースにクラシックの名曲を使っているということなんですね。こういっちゃなんですが、よほど滅茶苦茶なアレンジでもしない限り元が名曲なんだから名曲になるに決まってますし。。。
 なので、一点だけ引かせてもらいました。でも最高の出来です。曲だけなら車輪を超えたかも。

システム(8/10)

 演出はそれなりですかね。
 とりあえずOPムービーは超かっこいいです。よくよく見ればイベントCGの切り張りがほとんどなのに、見せ方が物凄く上手い。
 キャラはそれなりには動きますが、そういう部分で魅せるゲームでもないので、まあ違和感がない程度の普通の動きです。むしろ気を使っているのは一枚絵の見せ方ですかね。差し込むタイミングや角度など、シナリオと連動して上手く謎を増幅させるようになっています。

 システムはいま一歩かな。
 とりあえずこのご時勢でディスクレス起動不可は面倒。しかもディスク入れなおすたびにインストーラーが立ち上がるので鬱陶しいことこの上ないです。
 コンフィグは一応必要なだけは揃っている感じで、セーブの使いやすさもそれなり、スキップもそこそこ高速で問題はないんですが、なんというか、全体の動きが鈍重というか、クリックの反応が悪い気がしました。そのせいか、イマイチ使いづらいと感じましたね。

総合(91/100)

 総プレイ時間、18時間くらい。
 ・・・そしてこの感想書くのに3時間。。。たぶん文章量も自己最高だと思います。

 とにかく圧迫感のある作品ですね。最初の一時間くらいはイマイチなんですが、魔王とハルの初対決あたりから物語の進捗速度がグンと増して、それに伴ってヒロインたちも魅力を発揮し始めて、後ろからぐいぐい押される感じでいつの間にか先を読み進めてしまう、麻薬のような中毒性のある作品です。個人的にはさすがに車輪には及びませんでしたが、散々待たされた甲斐はあったなあと。
 とりあえず考えなしで突っ走ってもそれなりには面白いですし、ネタパレ部分で触れたように、緻密に考察するタイプでも存分に楽しめる、受け皿の広いエンターテイメントだと思います。今年発売の作品の中では1、2を争う出来ですし、ぜひ手に取るべき作品だと思います。
posted by クローバー at 20:09| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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