2008年08月19日

リトルバスターズ!エクスタシー

 無印版持ってるけど、やはり信者魂がうずいてしまうのか、気がついたら買ってた。。。

シナリオ(28/30)

 まるで母の子宮のような、暖かい世界。
 
 とりあえず本格的な感想に入る前に補足しておきますと、おそらく語り口は無印版との比較的な部分も含まれるでしょうけど、点数としては全てを含んで総合的に見た結果のもののつもりです。

 主人公は、幼いときに両親を亡くして途方にくれていたとき、恭介率いるリトルバスターズと出会い、それからは恭介、正人、謙吾、鈴という仲間たちとのかけがえない友情に支えられてここまで生きてきました。
 ですが、リーダー格の恭介は来年で学校を卒業してしまい、そうなればこのメンバーでバカみたいに楽しく過ごすことも少なくなるだろうと哀愁を覚えた主人公は、そうなる前に何かこのメンバーで新しいことを始めようと提案します。それに対して恭介は、じゃあ野球をしようと突如言い出します。あまりに突然で面食らいながらも、主人公は恭介の発案を実現すべく、残りのメンバー探しに奔走するのでした。
 とまあ、序盤はこんな感じですね。その後は、野球のメンバー探しの流れで色々なヒロイン達のことを知り、そのうち誰かと仲良くなって・・・、という極めてオーソドックスな流れで進行します。ヒロイン格はメインの鈴を含めて、小毬、葉留佳、クドリャフカ、唯湖、美魚の六人、そしてEX版で佳奈多、佐々美、沙耶の三人が追加されました。鈴以外の無印ヒロインを攻略すると鈴シナリオに入ることができ、その後に最終シナリオ、という流れです。検証はしてないのですが、おそらくEX版追加ヒロインはクリアしなくても最終シナリオにはいけるはず。

 結論から言ってしまうと、最終シナリオと、そこに至るまでの構成は神の出来です。このシナリオは世界観がいい意味で小さくまとまっていて、読み手としてもとても理解しやすく、EDに至るまではやきもきさせられる部分は多々あるにせよ、きちんとハッピーエンドで終わるので素晴らしく読後感のいい内容になっています。
 この作品の大きなテーマのひとつが成長なんですが、主人公が他ヒロインとのシナリオを経験することで成長していき、それが一定値に達したところで今度は鈴の成長を促すという形で鈴シナリオに突入、最終的にはこの世界の秘密を紐解き、その先にある過酷に立ち向かうための力を蓄える、という感じですかね。まあこのへんはネタバレしすぎても意味ないので程々にしときます。
 ですが、最終シナリオに至るための構成にある意味犠牲を強いられている形で、他ヒロインの個別シナリオはあまり面白くありません。それにそこに至るまでの共通ルートがかなり長く、テキストも抜群に面白いといえるほどではないので、やや我慢を強いられることになるかな〜と。ですが、個別シナリオには世界の秘密に関する制約がかなりある(他ヒロインがほとんど絡めない&同じヒロインの二周目には最終シナリオ終了後まで入れない)ことを考えれば、まあ上手くまとめているほうではないかと思えます。
 無印でかなり評判の悪かったクドシナリオは、EX版ではかなり補足シーンが追加されていて、どちらにせよ世界の秘密を知ってない限り理解不能なのには変わりないまでも、多少マイルドになっていると思います。
 小毬シナリオは展開が急すぎるのはあるけど、まあありがちな内容を手堅くまとめた感じ。ある意味バッドエンドがすごく意味深。んでやっぱり、バッドエンドのほうにしかHシーン追加されてない罠。
 唯湖シナリオは、これ実は結構な裏切りシナリオですよね。あらゆることより自分の想いを優先して、結果世界を切り離してしまうわけですからね。なかなか美しくて深いシナリオですが、作品の本筋からすれば異端というか、アンチテーゼの位置づけなのかも。どちらかと言うと、謙吾の立ち位置に近い印象です。
 美魚シナリオはこれまた少し趣の変わったシナリオですね。ただ、言葉遊びというか、使いたいモチーフにただストーリーを埋め込んだだけという印象がないとは言えないです。まあ自己の定義の曖昧さ、記憶の曖昧さ、そういう明確に形のないものを縛り付けるモノの存在を証明するためのシナリオ、とでも言えましょうかね。
 葉留佳シナリオは、内容としては乱雑だし尻切れトンボで、お世辞にも上手くまとまっているとは言えないんですが、でも作品の本質からは一番近いシナリオであるかと。要するに、葉留佳が望む方向にしか進まないという意味合いで、ですがね。ただ、これだけではどうしたって説明不足です。なんか妙な迫力があって、結構好きなシナリオですがね。
 
 んでEX版の追加シナリオに関してですが、これは無印ヒロインのシナリオよりは制約が少ないせいもあってなかなか面白かったです。佐々美はかなりウルトラCですが、まあkeyらしいシナリオでしたね。個人的にああいうのはツボじゃないのでそんなに感動はしませんでしたが。しかし、最終シナリオの後の話なのに、あんなにあっさりあんな関係になっていいのか?という疑問は尽きない。鈴カワイソス。。。
 沙耶シナリオは、世界の構成の隙間を上手くついた内容。共鳴の理由は違えど、同じ想いを抱えているが故に存在できる少女、とでも言うべきでしょうか。シナリオの構成も、世界の成り立ちを逆手に取ったもので、視点の使い方が実に巧みな内容です。でも実際のところ、構成と長ったらしいミニゲームに隠されていますが、内容そのものは大したことないんですよね。
 存在している理由が理由なだけに、最後がああなってしまうのは仕方ないのですがね、それで少しでもあの少女の心が癒されたと思えるならば良し、と素直に思えるシナリオですね。あと個人的には、沙耶のキャラ造詣が良すぎでした。
 佳奈多シナリオは、ヒロイン個別シナリオとしては最高の出来かなあと。このシナリオは葉留佳シナリオの補完の意味合いをも兼ねているのですが、その点でもかなり成功しているし、その上で佳奈多個人にもきちんとスポットが当たっていて、個人的には満足出来る内容でした。葉留佳シナリオでは明確に触れられなかった、葉留佳がただ一つ望んでいることが明らかになることで、間違いなくシナリオの風通しが良くなっていますね。髪留めのシーンとかは素直に感動しました。

 あと書いておくべきことと言えば、いっぱいあるミニゲームについてですかね。まあ沢山ありすぎてシナリオ進行の阻害になっているともいえなくはないんですが、一つ一つなかなか味のある作りで、一度はじっくりプレイしてみる価値はあります。個人的には野球にかなりはまりましたね。いちいちキャラのコメントとか楽しいし、コンボが繋がったときは快感だし、試合に勝ったときのリトルバスターズメンバーと喜びを共有しているような一体感は格別です。

 まあともかく、メインの最終シナリオに辿り着くまでが恐ろしく長いのできついかもしれませんが、これは絶対に最後までやらないとその本質が理解できない上に面白さも半減どころかほとんどなくなってしまう作品なので、なんとか頑張って辿り着いてください、としか言えませんね。
 んで、最後まで一通りやった上でもう一回やってみると、ちゃんと全てが設定に乗っ取って構成されているんだなと、それこそ細かい台詞やら態度やらから見出す事が出来て面白いんですが、何しろ長いのでなかなかそれをする気力が。。。実際去年の私も、オールクリアしたものの少し疑問が残ったからもう一周してから感想書こうと思った挙句に、結局面倒で一年放置してしまったわけで。まあそういう意味でも今回のEX版は渡りに舟だったと言えますね。

キャラ(20/20)

 ぶっちゃけヒロイン陣だけだったら逆立ちしても満点は付けられないんですが、この作品はテーマが友情と成長なので、むしろ男キャラのほうが目立っているという異端な作品であり、そしてまたその男キャラ達が抜群にかっこいいのですよね。
 野球メンバーの新生リトルバスターズが、主人公と鈴を支える外殻だとしたら、元祖リトルバスターズは中心も中心、文字通り存在理由が二人のためだけにあるわけでして、それぞれスタンスは違えど二人を想う気持ちは誰しもが溢れかえらんばかり、その魅力が炸裂するのが最終シナリオなわけですね。
 特に最強なのは恭介、普段は面白ければ何でもいいとばかりに、様々な遊びを思いついてはみんなを巻き込んでいくリーダーですが、その裏では緻密な計算と絶大な愛情で主人公と鈴をあるべき方向に導いていく使命を背負い、それこそ奮迅の働きを見せます。そして別れのシーンでのあのCGはもはや反則。
 謙吾と正人は色んな意味で正反対ながら、それでも二人を支えることに関しては常に誠実にあり続けた、正に親友の名にふさわしいキャラですね。常に理知的に見えた謙吾が実は一番諦めが悪くて、逆に常にバカを演じ続けた正人が一番現実を認識しているというラストで明らかになる逆転は、二人がライバルであり続けたことの一番の証明になっているなあと思います。
 
 んで問題はメインヒロインの鈴なんですが。
 正直この作品、鈴を好きになれるかどうかでかなり評価が変わってくると思います。特に最初は我が儘で世間知らずで人見知りで傍若無人と、相当手のかかる駄目な子として書かれているので尚更なんですが。ある意味構成に魅力をかなり削られている部分があるので、そのへんを踏まえた上でどう考えるか、なんですけどね。
 結局この出来事を経て、鈴は精神的な箱庭から脱却できたんでしょうか。最終的には鈴を取り囲む環境そのものには何の変化もないという結末である以上、個人的にはもう少し自立の有り様を明確に示してほしかったなという不満は残るのですがね。でも私は鈴最初から嫌いじゃないんで、そういう意味では勝ち組。

 他のヒロインでお気に入りなのは、葉留佳・佳奈多姉妹と沙耶ですかね。
 葉留佳・佳奈多は二人セットになって魅力がだいぶアップしましたね。少なくとも無印版ではここまで葉留佳は好きではなかった気がします。立場は違えど本質的に人に愛されるということを知らない二人、だからこそお互いの絆だけは何があっても違えたくなかったという強い気持ちは、限定的であるが故にかえって美しさを際立たせていましたね。なんか、たま〜に葉留佳が「おねえちゃん」って呼ぶのがすごいツボでした。
 沙耶はもう馬鹿可愛い。ただそれだけ。
 まあある意味では無邪気とも言えますね。おそらく精神年齢的には・・・ですし、ヘンに捻くれたところがないのが可愛げになっています。あるべき自分になりきろうとしても、たまに素が覗くのが微笑ましいというか。度々出てくる自虐台詞だって、心情を素直に吐露しているという意味ではわかりやすいとも言えますし。

 まあ登場人物全てに言及していたらきりがないのでこのへんで。

CG(17/20)

 ・・・まあある意味この絵柄もkeyの持ち味ですからね。信者としての慣れもあるし、採点甘めなのは自覚していますが。でも原画を二人に分けて、明らかに一枚絵とか出来に差があっても、そんなに世界観を崩していないのは不思議。
 立ち絵はキャラによってだいぶ差異があるにせよ、概ねバリエーションが豊富で、しかも表情がやたら生き生きしているのが多いので、見ているだけで存分に楽しめます。特にお気に入りは、猫モードの鈴、わんこモードのクド、怒髪天を衝く沙耶、頭を抱えて落ち込む正人あたりでしょうか。
 一枚絵は、まあ所々「・・・ワォ。。。」って感じのがあったりしますが(笑)、まあ出来がいいのもそれなりにはあるので相殺。お気に入りは、パフェを食べる小毬、勉強するクド、膝枕の美魚、保健室で目を覚ます佳奈多、ウェディング風味の佳奈多、温泉シーンの沙耶、女装理樹(笑)、告白シーンでの振り返り鈴、夕日をバックにする鈴、雷雨の中佇む恭介、号泣恭介、そしてリトルバスターズ集合写真あたりですね。

BGM(19/20)

 神曲こそないものの、名曲山盛りの磐石の出来。
 ボーカル曲は6曲。
 OPの『Little Busters!』は、聞き込めば聞き込むほど味が出てくる名曲ですね。特に出だしの歌詞は素晴らしいです。正にリトバスの世界観をたったの2フレーズで見事に表しているともいえます。ちなみに私はEXバージョンのほうが好きですね。一番最後のサビの部分のドラムとギターソロがかっこよすぎます。
 そしてJump upバージョンは色んな意味で神。
 『Alicemagic』は、葉留佳と小毬と唯湖のEDで合ってるかな?EX版で、佳奈多と佐々美のEDに別バージョンが収録されています。この曲もいい曲ですね。去年は実はそんなに好きじゃなかったんですけど、なんかサビの部分が妙に気に入りました。特にワンサイクル目のラストの音の上がり方が好き。
 『雨のち晴れ』はクドと美魚のED曲・・・だったと思うんですが。これもシナリオの雰囲気にそぐわった、淡々とした中に一握りの切なさが包み込まれたいい曲です。
 『Song for friends』は鈴と最終シナリオ一周目のEDですね。これは全力で切ない曲ですよ。この曲があまりに真に迫っているせいで、これが流れるたびにまさかこれで終わりじゃないよね?とやきもきさせられるわけです。
 『Saya’s song』はEX版新規収録、その名の通り沙耶シナリオのEDですね。沙耶の隠された真情がストレートに書かれているので、シナリオの終わり方とも相俟ってかなり切なさを助長してくれます。まあ曲としては、旋律は綺麗だけどそれ以外は普通だと思いますが。
 『遥か彼方』は最終シナリオで流れる挿入歌ですね。世界の秘密そのものが歌詞に託されていて、その成り立ちにこめられた、悲しみと愛情が切々と紡がれている名曲です。この曲が流れる鈴と小毬の屋上での邂逅は、作品内で屈指の名シーン。

 BGMは、いつものkeyっぽいのから、少し毛色の違うのまで多種多彩。いつものことながら、場面に合わせた使い方の上手さはピカイチですね。
 特にお気に入りは『お砂糖ふたつ』と『少年達との別れ』ですかね。どちらも明るいシーンの隙間にふっと入り込んでくると、すごく胸が締め付けられるもの寂しい旋律です。
 その他では、『少女達の午後四時半』『シンクロニクル』『ともしび』『降り続く雨の街で』『glassware』などが好きです。後はボーカル曲のインストバージョンも大抵いい曲でしたね。
 んで、あのHシーンの曲には爆笑させていただきました。。。いやあ、世界観を壊さないという意味でも、いい仕事してますわ。

システム(8/10)

 演出はまあ普通かなあ。ミニゲームにはやたら力注がれてましたが、日常シーンはそれほど目立つ演出は取り入れてないですしね。相変わらず一枚絵の使い方は抜群に上手いですが。
 OPムービーは素晴らしいですね。

 システムもまあ普通でしょう。
 ややスキップが遅いかな〜ってのと、選択肢ジャンプが後ろ向きしかないのがちょっと不便なところですが。あ、あとボイスカットオフもなかったなあ。
 ・・・あれ、イマイチかも。

総合(92/100)

 総プレイ時間、35〜6時間かな。まあミニゲームを全部カットして進めればもう少し短縮できるはずですが、どちらにしてもかなり長いです。伊達にDVDなのに2枚組なわけじゃない。。。
 とりあえず無印版が89点でしたので、ちゃんと進化はしているかなと。加点部分はシナリオとキャラと音楽で各1点ずつですね。シナリオは佳奈多、キャラは沙耶のおかげで、音楽は自己内再評価が変わっただけです。決してシャララ〜のおかげではありません(笑)。
 なんだかんだ言っても名作ですね。
 特に今作は、話を小さくまとめたことで構成に全く隙がありません。結果として最後のまとまり方がほぼ完璧といっていい上に、keyとしては珍しい完璧なハッピーエンド。このエピローグと、最後のEDを聴くためだけでもやる価値はあると断言できます。
 今までのkey作品と比べると、ややメッセージ性というか、後に残るものの比重が薄いのは確かなのですが、エンターテイメント的な意味合いでは一番成功している作品ではないでしょうかね。
posted by クローバー at 08:37| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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