2008年11月27日

スマガ

 発売前はノーマークでしたけど、やたら評判が良かったので購入。

シナリオ(25/30)

 改革と、革命。

 主人公は記憶喪失。
 しかも、いきなり空中ダイブ中で、空飛ぶ魔法も使えず地上へ真っ逆さま。
 そんな中出会ったのは、赤・青・黄色の三人の魔女、スピカ・ガーネット・ミラ。彼女達は自分達が悪魔と闘っていると主張しており、空から落ちてきた主人公のことも悪魔ではないかと疑っている様子。
 身の潔白を証明しようにも、全く記憶がなくて困惑する主人公。すると時同じくして本物の悪魔の襲来が起こり、魔女たちは奮闘して退治するも、その中の一人はやられてしまい、更にその時主人公は地上に激突寸前。赤の魔女、スピカが命を賭して救出を敢行するも時既に遅く、その悲しい運命に彩られた世界を嘆いたスピカに最後の記念にとキスされたところで主人公の記憶は途切れます。
 そして目が覚めると真っ白な空間。
 走り回ってみるとそこには大きなテレビがあり、なんとテレビの中から神様が。そして神様は、存在する可能性の未来を掴むために、主人公を生き返らせてくれるのでした。
 そして再び空中ダイブ。果たして主人公は、三人の魔女達とハッピーエンドに辿り着けるのか―――。

 というわけで、サブタイトルの「人生リベンジADV」でもわかるようにループものです。
 不思議な現象に囚われた都市と、その中に存在するいくつかのルール、そして主人公の生き返りにも明確なルールがあり、そのルールの中で如何にして幸せな結末に辿り着くか、というストーリーですね。それぞれのヒロインをクリアしていくことで世界の秘密も徐々に明らかになっていくパターンです。
 この世界では、魔女はいい意味でも悪い意味でも特別な存在であり、その特別さを理解させつつ、特別であることの苦悩を上手く消化しているのが、序盤の3ルートになります。ここまではスピカ→ガーネット→ミラの攻略順は固定で、こちらは魔女が抱える世界観の中で最良の結末を求めたストーリーになります。
 これをクリアすると、魔女達のアナザールートと、人間のヒロイン二人、姫々と雨火のルートが解放され、世界の謎と主人公が持つ秘密を普通の人間から見た視点で描くことで、世界観そのものの改変への手がかりを掴み、そして最終ルートでの、全ての問題をクリアした真の大団円へと繋がっていきます。

 まあとにかく、この構成は見事です。
 1stルートで世界観の最適化、改革のシナリオを見せておき、そして2ndルートで世界観の改変、革命のような形に繋げ、しかもその中でテーマ性を一貫させているのが素晴らしいところ。また、それを炙り出すために、これでもかというくらいの粘着度で、一つ一つのシナリオをただ長いだけでない中身のあるものに仕上げたライターの手腕は見上げたものがあります。1stルートのスピカ編が終わって、そのまま記憶を受け継いでガーネットルートに入ったところなんて、これでもか!ってくらいの重苦しさで、それでも先を読ませてしまうパワーのある作品ですね。
 ただ、この作品に私が最上の評価を与えられない理由は二つ。
 まず、世界観の大元となった事件というか災害というか、それが理由付けとして弱いことですね。だってさすがに、死を凌駕する恐怖がそこにあったとは思えないし、とするとその願いにだけ世界が反応した理由も納得できなくなっちゃうんですよね。まあこのあたりを深く考えても仕方ないんですけど。
 後もうひとつは、ズバリ終わり方ですね。
 まあ世界観の謎が明らかになった時点で、こういう解決の方法じゃないかなと思っていたらドンピシャだったわけで、確かにこれが一番わかりやすい大団円であることは疑いがないんですが、結局それってそこまで想いの枝葉を伸ばした大元の二人の力という位置づけにはならないのか?ということ。いみじくも雨火が作中で真実を知ったとき悩むように、個が真実世界に影響されない個である証明が為し得ない以上、その奇跡の根源がどこに位置するかもまた証明できないはずなんですよね。
 まあおそらく、そこに説得力をつけるためにも、これだけネチネチ語ることで洗脳する必要があったのかなと思ってしまうわけですが。。。
 まあついでにもう一つ書くなら、この真・ヒロインキャラどうしても好きになれないんで、その心情にシンクロできないからというのも否定はしづらいところ。でも、さんざんここまで他ヒロインの辛い物語を見せられてきて、その裏では彼女も辛かったんだ、だから幸せになる権利はある、という気分になれるかなあ普通。

 ともあれ、質・量ともにエンターテイメントとしてよく出来た作品であることに間違いはありません。確かにしつこすぎるといえばそうなのかもしれませんが、体験版で雰囲気を確かめてみて、それで嫌にならなければ最後まで楽しめることは保障できますね。シナリオ全般通してねここまで基軸のぶれない作品もなかなかないと思います。

キャラ(18/20)

 結局この作品のネックというか、問題なのは魔女の持つ特異な感性であるといっても過言はないと思うんですが、その世界観に依拠した魔女特有の盲信的な性質は、イマイチ好きになれませんでした。まだスピカは普通の感性に近いものをもっているのでマシですし、ミラはプラス方向に突き抜けているから、ヒロインとしてどうかはともかく嫌悪を抱く性質ではないんですが、ガーネットとアリデットにはかなりうんざりさせられました。まあこのあたりはシナリオの構成に合わせて明確に設定されているので、こういうもんだと納得するしかないし、その性格のおかげで1stガーネットルートは素晴らしい出来だったわけですから痛し痒しなんですけどね。。。

 つーわけで、どちらかと言えば人間のヒロインのほうが好きだったりしますが、でも姫々も雨火も、いわゆる普通の意味合いでのヒロイン像とはえらくかけ離れているわけで、なんとも一筋縄ではいかない。。。
 しかし、姫々はツボにはまりました。
 常に自分が満足する自己を求め続けていてねしかもそれを高い地平においているので全く弛みというものが感じられない、純粋な意味でかっこいいキャラです。1stガーネットルートでの活躍ぶりは神の如きでしたし、2ndの自分のルートでは、そんな姫々でもどうしようもない揺れる心を垣間見せてくれたりして、実に魅力的でした。
 雨火も妄想設定はともかく、1stミラルートや自分のルートでは見せ場盛りだくさんでしたね。
 一見全てを達観しているようなのに、実は一番人間らしい弱さを見せてくれるキャラで、それがシナリオ展開に上手く組み込まれていて凄く共感できる部分がありました。

 ちなみに魔女のなかではスピカがダントツで好きですけど、ある意味感性が一番普通な故に、自己の常識から一番脱却できないあたり、シナリオ内での位置づけとしては当て馬的でもあり、そこが物足りなかったところでもあります。このややツンな性格はかなり好きなんですけどね。

CG(18/20)

 塗りがものすごく印象的な絵柄ですね。
 立ち絵に関してはまあ普通程度。そんなにバリエーションもないし、デフォルメ顔とかも使っているけど大概が遠景なので印象が薄いです。そんな中で、スピカの照れ顔と姫々の正面向きの笑顔だけはかなりインパクトがあって好きですね。

 一枚絵は素晴らしい出来。
 正直回想で差分までバラで出てくるので、全体的なボリュームとかがイメージしづらいのですが、まあ満足できる量はあったと思います。
 そして肌の質感の出来は最上級。
 柔らかさとか、瑞々しさとか、そういう印象が絵からビンビン伝わってきて、思わず手を伸ばして触りたくなるような見事な塗りですね。特にお尻の力の入り方は尋常じゃないです。どうしてあそこまで美しいパンツが描けるのですかねぇ。。。
 そんな感じなのでHシーンは全体的に好きですし、その他の肌の露出が少ないシーンもかなりの水準ではあるので満足です。
 特に好きなのは、スピカの山の上での告白シーンと海辺で寄り添うシーン、動物園のミラ、あ、あとは猫メイドの姫々も外せないですな。。。

BGM(16/20)

 とりあえず、BGM鑑賞が使い勝手悪すぎます。。。
 ボーカル曲は6曲。基本的に全部それなりにいい曲ですが、どこかパンチが足りないなあという印象。一番好きなのは『(a)SLOW STER』ですね。次点が『真実の灯』、これはサビがかっこいいです。

 BGMは43曲もあり、きちんと雰囲気に合った場面できっちり使われている印象はあるものの、流石に長すぎてどこでどれが使われたかほとんどわからないという。。。
 とりあえず全部聴いた印象では、3、9、12、23、31番の曲が聴き覚えがあり、かつ好みの曲でした。

システム(9/10)

 演出は素晴らしい出来。
 画面の使い方、細かいネタ、キャラの動き方などどれを取っても隙がない印象で、強いて言えばバトルのシーンはもう少し演出過多でもいいかなってくらい。特に文句はないです。

 システムもいい感じなんですがねぇ・・・。
 とにかく全体的に重いです。一呼吸長いというか、キーを押してからアクションまでの反応が悪い。それ以外はそんなに文句ないです。高速スキップとか便利ですしね。
 あ、強いて言うなら通常オプションで画面切り替えできずに、一度ゲーム進めないと切り替えられないのだけはちょっと面倒でした。

総合(86/100)

 総プレイ時間、30時間弱くらい。
 いやほんと、最近のノベルゲームとしては異例なくらいのボリュームで、しかも内容がみっちりつまっているので、ものすごく楽しめた印象はあります。今年最高の作品とまで言われるだけのものは間違いなくありますね。
 けど、基本的にシナリオの質に関しては好き嫌いの少ない私なんですが、どうにもほんの少し肌に合わなかった部分があるようで、そこが手放しで評価できないわずかな差となって反映している感じです。まあ後は、結末至上主義者として、終わり方に少し疑問を持ってしまったのがいけなかったですかね。
posted by クローバー at 18:32| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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