2009年01月06日

クロノベルト

 あやかしの廉価版と一緒に購入。元々プレイはしたかったんだけど、さすがにあやかし未プレイで手をつけるわけにもいかずに機会を待っていたんですよ。

シナリオ(26/30)

 企画と構成が天才的。

 今作はあやかしびととBullet Butlersがコラボレーションした後日談及び外伝という位置づけになっています。あやかしびとはすずエンド(セラフ未使用)から、Bullet Butlersはセルマエンドからの派生として、まずそれぞれのシナリオで気骨ある悪として主人公の前に立ちふさがった九鬼耀鋼とアルフレッド・アロースミスが主役となった、死後の世界へ旅立つ前の寄り道としての世界逆転シナリオが展開されます。
 まあまず、明らかに世界観が違うこの二つの作品を繋げてしまおうという発想そのものがすごいんですが、このシナリオはその発想を最大限に生かす形での下地を上手く構築し、その上で本編では敗者となった二人が、自分の住むところとは違う世界に行くことで自己を見つめなおし、そこに救いを見出すという流れは、よく破綻せずに構築できたなあと感心してしまうくらいいい出来になっています。
 そして更にすごいのが、その二人の救済の話そのものがメインのシナリオの伏線となっているということですね。
 
 メインのシナリオは、特に序盤のきっかけが意識的に省かれているせいで、基本的には選択肢の派生によって世界の謎を解明していく形のストーリーであり、その渦中に描き出されるのはあやかしチームとバレバトチームの苛烈な戦いという、プロペラファンにはたまらない熱い展開で、その異種格闘技戦に近い熱狂を中心に序盤から中盤へと進行して行きます。
 中盤以降は、やがて世界の謎に気づき始めた主人公達が、彼らをこの戦いに仕向けた悪意に対して一致団結して立ち向かうという展開に切り替わり、息もつかせぬ終盤へと雪崩れ込んでいくという構成になっています。そしてそこに至る過程においても、それぞれの世界の本編で紡がれたストーリーを上手く伏線として組み込んでおり、その巧みさには舌を巻くほどですね。
 そして無論のこと、両作品でメイン、あるいは準メインクラスの役を張っていたキャラには、今作でもきっちり出番と見せ場が用意されており、全く飽きさせない構成になっていますね。まあ強いて言うなら、両作品のメインヒロインであるすずとセルマの出番が少ないのが物足りないところですが。特にすずはメインシナリオでは回想でしか出てこないので残念ですけど、まあこれだけ緻密に構成してある以上、すずが出てこられない理由もわかってしまうので仕方がないかなと。セルマには最大瞬間風速的な大見せ場があるからそれでいいです。。。

 ともあれ、この作品はFDというコンテンツの新しい形を見せてくれたのではないでしょうか。もちろん過去にも、いくつかの作品にまたがる形のFDはあったでしょうが、ここまで各要素を上手くリンクさせて、かつより高い次元に昇華させたシナリオはまずなかったのではないでしょうか。
 もちろんこれは、熱血系の作品を意識して制作しているこのメーカーだからこそ出来た荒業でしょうし、元となる作品の完成度の高さがあったからこその成功なのでしょうが、それでもやっぱり、単純にこの二つを結びつけて新たな熱血&救済シナリオを作ってしまおうという発想に辿り着いたことが一番びっくりし、かつ感心した部分ですね。コラボシナリオの魅力に加えて、誰もが不幸にならないという普通のFD的な魅力も含まれていますから、正に一粒で二度おいしい、という印象でした。

キャラ(20/20)

 ところでこの作品、やっぱりメインヒロインってルダなんですかね?ラストのOP画面とか見るにはそういう印象になるんですが。まあ何気に可愛かったんで特に文句はないんですが、個人的には鏡ちゃんのほうが好きだったので、もう少しイベント欲しかったなあと。

 まあこの二つの作品のキャラ造詣は元々見事の一言に尽きるのですが、今回は本編では敵役としてなかなかその本心が垣間見えなかった九鬼先生とアルフレッドの魅力が一段増しで発揮されていて、それに引きずられていく形で両主人公もらしい活躍をしてくれるので、シナリオの骨格がしっかりしていてサブのキャラもより奔放に活躍できている、そんな印象でした。
 特に顕著なのはあやかしチーム、その中でもトーニャと愁厳のはっちゃけぶりは面白かったです。本編ではどうしてもシナリオの重さに引きずられて中途半端だった隠れた魅力が全開で、ひたすら笑わせてもらいましたね。本編ではあまり使われなかったトーニャの面白立ち絵が連発でしたし。。。んでパレットチームではやはりコゼットでしょうか。在りし日の優しさを取り戻したようなイチナへの傾倒ぶりは、やはり本編では隠されていた魅力でしたので新鮮でしたね。
 ともあれ、既存キャラも新規キャラも存分に魅力を発揮してくれたので大満足です。

CG(15/20)

 相変わらず決して上手いとは思えないんだけど、以前より苦手意識はなくなった気がします。少なくとも作品の雰囲気にはしっかり噛み合っていますからね、特にバトルシーンは。ただやっぱり、女性より男性のほうが上手いってのはこの手のゲームでどうなのよとは思わなくはない。。。

 立ち絵はほぼ流用ですが、時々コミカルな動きとか付け加えられてて、FDらしいちょっと明るい印象がありましたね。新規はルダと雲外姉妹とマグダラくらいでしょうけど、ルダのキラキラ視線はちょっと可愛かったです。。。

 一枚絵は、FDにしては量は頑張っているかなと。バトルシーンのカットインなども、流用と新規を含めてかなりの量になっているので、しっかり展開に合わせた使い方をされていて満足できる内容です。
 群を抜いていい出来だと思っているのが、一乃谷兄妹とヴァレリア・雪の四人が力尽きて追い詰められているシーン。あの迫真の雰囲気と、そしてヴァレリアの表情カットインの使い方が展開含めて神がかってました。あとはセルマの撃墜シーン、リックと双七が武器を突きつけあっているシーン、マグダラのクロノベルト召還シーン、アルフレッドのレギオンとの死闘シーンとかが戦闘関係ではお気に入り。
 戦闘以外では、ルダのHシーン一枚目、レギオンに囚われた鏡、トーニャのチアコス騎乗位、ラストの髪を下ろしたルダあたりはいい出来だと思います。

BGM(16/20)

 新規のBGMがほとんどないのが残念なところですが、元々名曲揃いの二作品なので質としては全く問題なしですね。
 ボーカル曲は2曲、OPの『to the edge』はまあ、普通にかっこいい曲としかいいようがないですね(笑)。まあ限りなく勢いのつく感じはこのメーカーの普遍のスタイルですからね。EDの『awaken from…』は一転して哀愁漂う、いわば挽歌というイメージです。志を遂げて死に逝く者への敬意を感じさせる曲で、個人的にはこっちのほうが好きですね。

 BGMは割愛でもいいんだけど・・・。
 とりあえずあやかしでは『姑獲鳥』『座敷童子』『蛟』、バレバトでは『Warrior』『Dragon』『Bullet』あたりはやっぱり神曲だと思いますです、はい。

システム(8/10)

 演出はいつも通りですね。
 OPムービーとか戦闘シーンの演出には相変わらず力が入っていて文句のないところです。全体的にもう少しスピード感というか疾走感があれば完璧だと思うんですが、そこまで期待するのは贅沢ですかね。まあもう少し日常シーンにもその労力を回してみませんかとか思わないでもないですが、魅せるべきところはしっかり魅せているから問題ないのかな。

 システムも可もなく不可もなく、たと思ったんですが、ボイスカットオフにすると次の台詞が入っても音声が重なったままになってしまうのはなんででしょうかね。流石に聞き取りづらいので使えませんでした。その他は特に文句ないです。

総合(85/100)

 総プレイ時間12時間くらい。まあFDとしてはまずまずのボリュームかと。
 まああやかしとバレバト両方のFD、しかも両方とも完璧な後日談ということで、普通のFDよりも更に敷居が高い(両方ちゃんとクリアしていないと意味不明な部分が多い)んですが、条件を満たしている人ならば間違いなく楽しめる出来になっています。そういう意味では、完全未プレイの人が手にするならば燃焼パックは値段的にかなりお勧めですね。質・量ともに申し分ない三作品であり、その掉尾を飾るに相応しいFDだったと思います。
posted by クローバー at 17:56| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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