2009年04月23日

BALDR FORCE EXE

 いつかと思いつつ機会を逃していたけど、上手く時間が出来たので購入。

シナリオ(27/30)

 至って名作。

 時代は近未来、ネットがより人類に身近なものになり、誰もが電子体という第二の体を持ってネット空間を闊歩する時代。そんな時代では、抗争や戦争でさえもネット空間の中で繰り広げられ、そのためのツールも発達しているのでした。
 ハッキングチーム“草原の狼”のエースパイロットとして、ネット空間内における人型戦闘ツールであるシュミクラムを操っていた主人公は、“草原の狼”のラストミッションにおいて軍とテロリストとの抗争に巻き込まれ、かけがえのない親友を目の前で殺されてしまいます。
 親友の復讐を誓い、復讐の相手を探してネット内の治安維持軍FLATに入隊する主人公は、そこでの生活の中で世界に蠢く悪意に少しずつ巻き込まれていき・・・、というのが基本的なストーリーです。

 攻略キャラは6人ですが、ほぼ攻略順が決まっており、最初はみのりか彩音、その二人をクリアすると月菜とリャン、四人クリアするとひかる、そして最後に憐が攻略できるようになります。一応最初の二人はどちらからでも問題ないですが、敵の強さとかシナリオの流れを考えるとみのり→彩音→月菜→リャンが最適攻略順だと思われます。バトルモードでは周回クリアするごとに強さの引継ぎが出来ますが、その分制限されたルートでは敵も強くなっているのでなかなか歯ごたえがあります。
 シナリオ的には、最初の二人で軍の立場から見たテロとの抗争を、月菜シナリオではV・S・S側から見た歪みを、リャンシナリオでテロリストの立場から見た悪意の真実を書き出します。そしてひかるシナリオと憐シナリオで、それらの事件が主人公たちの境遇に関連していることなどの全ての真実と向き合うことになります。

 今回は詳しいネタバレは避けますが、とにかく周回していくごとに少しずつ真実に近づいていく設定と、各シナリオごとにしっかり設けられた山場のバランスが上手く取れています。ルートを経るごとに見えていなかったものが見えるようになり、ヒロイン達各々の立場も透けて見えてくるので、一層共感と同情を呼ぶように作られていますね。
 正直、かなり報われないヒロインとかもいますし、バットエンドとかだとかなり強烈なものもありますし、悪役がかなりしっかりと悪役をしているので、読んでいて辛くなるような場面も多々ありますが、最終的にそれぞれの立場やスタンスがはっきりしてくると、悪は悪でもしっかりとした信念に裏打ちされたものであることがちゃんと見えてくるために、読後感は決して悪くありません。そりゃ一般的にみてのハッピーエンドには遠い結末ではありますが、そこに至るまでの完成度が高いので問題なしですね。
 また、シナリオの謎を秘めるためのルート制限も、その構成自体がかなり秀逸なのと、バトルモードでの引き継ぎという要素を絡めることによって、ほとんどストレスなくプレイできるようになっており、全体的なクオリティバランスがかなり高いといえますね。
 まあ恋愛的要素に関してはやや薄いというか、惹かれあう過程とかはあまり綿密に書かれませんが、ゲーム内時間の進行がわかりにくい(実はいつの間にか半年経っていました、とかザラですし)のもあって、一番そのあたりが理解出来ないみのりでもまあ許容範囲かなと。彩音とリャンはそこそこ上手く繋がりを作れていると思いますし、月菜とひかると憐に関しては元々の関係がありますから、そんなに違和感はなかったです。
 
 バトルモードに関してはあまりやりこんでないので詳しくは語れませんが、操作性の良さと反応の良さ、そして爽快感はかなり高いですね。難易度設定も四段階に分かれていて、どうしても苦手なら一番簡単なモードにすれば、最悪適当に逃げ回りながらミサイル連打するだけで何とかなるようになっていますし、おそらく華麗にコンボとか繰り出せるようになるともっと楽しいんだと思います。私には敵の動きが速すぎて、とても接近戦が出来ませんでしたが。。。
 ただ、ゲームパッドはあったほうがいいですね。私はキーボードをカスタムしてプレイしていたんですけど、やっぱり不便なところはかなりありました。

 そんな感じで、とにかく総合力の高い作品だ、というのが率直な感想ですね。笑える場面やシリアスな場面、悲しい場面や苦しい場面など、展開がスピーディーながら様々な要素がしっかり込められているのでスラスラ読み進められますし、ちゃんと終盤の山場では感動させてくれるので文句なしです。
 基本的に主人公はその境遇から大きな流れに巻き込まれる運命にあったと言え、そういう抗いがたい流れの中でも、色々と苦悩しながら自分なりの道を探っていく過程が、綺麗にシナリオ展開とリンクしているのも好印象ですし、本当に隙のない出来だなあという感じですね。

キャラ(20/20)

 世界観がかなり特殊な上に、登場キャラはヒロインから端役に至るまでキチンとした自分のスタンスというものを持っているので、それぞれの主張が強く印象に残りやすいですね。
 
 単純に好みという意味では、ひかるとリャンの二人が双璧ですね。
 それぞれかなり特殊な境遇で成長したが故に、愛情を注がれることに慣れていない様がアリアリとしていて、主人公に心を開き始めてからの変貌っぷりと可愛らしさは甲乙つけがたいものがあります。この二人は物語の根幹に関わる部分でも重要な役割を果たすので、最終的に境遇がかなり救われたものになっているのも有り難いところ。
 逆におそらく一番報われないのが月菜ですね〜。
 まず自分のシナリオがアレですし、他のシナリオでも残酷な役回りばかりですからね。リャンシナリオとかでその境遇すら知られることなく主人公に倒されてしまうあたりなんか同情を禁じえません。その不幸な境遇の中でも、必死に一番大切なものだけは守ろうとする想いは美しいですが、ほとんどそれが報われないという・・・。
 彩音もかなり触れ幅が大きいですが、まだ自分のルートではしっかり救いがもたらされているのでマシかなあと。まあそれ以外はほぼゲンハのペット状態なんですけど。。。
 みのりはシナリオ同様一番影が薄いですね〜。ていうかなんであそこまで主人公に絡みたがるのかがある意味一番の謎ではある。
 憐は色々と印象には強いですが、最終的な立ち位置としてはやっぱりワイアードゴーストでしかないというのが不憫なところ。まあOPムービーとのシンクロ率の高さは異常ですし、普通にキャラとしては可愛いですし、最後のアレも強烈ですし、良くも悪くもメインヒロインらしさはありますけどね〜。
 あとは個人的には隊長がかなり好き。
 ああいう、なかなか腹の底を見せないで飄々としていながら、やるべきときにはきちんとやるという、その不言実行のかっこよさが沁みましたね。

CG(15/20)

 この作品唯一のちょっと残念な部分ですね〜。
 基本的な絵柄はそんなに嫌いじゃないんですが、いかんせん粗い。クルードです(笑)。出来の良し悪しがかなり激しくて、そして立ち絵が全体的にイマイチなのが勿体無いところですね。

 そんな中でも、一枚絵にはいくつか個人的にいいな〜と思うのがありましたね。基本的にはHシーンが一番出来がよかった気もします。ある意味エロゲーとしては正しいあり方ですが。。。
 比較的全般的に出来がいいと思ったのは月菜で、特にHシーンでの初々しさと、だんだん快楽に負けていく様のギャップが上手く描けているなあと。彩音はフェラシーンとコンソールでのHシーン、リャンはお姫様抱っこのシーンと添い寝のシーン(特に拗ね顔)、ひかるはゲンハに逆さ釣りにされているシーンと海のシーンと最初のHシーン、憐は再会の抱擁シーンとお昼寝シーン、バーチャルHの挿入シーンが好きですね。
 シュミクラムのデザインとかは、あんまりそういうロボ的要素に心ときめかない人種なので割愛。。。

BGM(19/20)

 盛り上がる場面での曲が半端なくいい出来。

 ボーカル曲は1曲。
 OPの『Face of fact』はまあいわずと知れた超神曲なんですが、いざゲームをやってみると今まで気付かなかった良さがビンビン伝わってきますね。特に歌詞とシナリオのシンクロ率は素晴らしく、ムービーとの噛みあいも最高で、サビのラストの部分と消え逝く憐の姿とのマッチングは異常に盛り上がります。正直これを見るだけで、ああ、物悲しい結末なのかなあと悟ってしまうくらいインパクトはありますね。

 BGMは、日常の曲とかはかなり適当なのに、シリアスなシーンやバトルの曲にはかなり力が入っていて、そのアンバランスさは気になるものの、上位曲の出来の良さが図抜けているのでまあいいかなと。
 そんな中でも一番好きなのは『運命の皮肉』ですね。望まれない戦いでもやらなければならない、そんな不条理さとやるせなさがイントロからビシバシと伝わってきて、そして勝利の果てにある虚しさまで完璧にトレースした超名曲です。
 その他、と括ってしまうには名曲が多いのですが、まあ紙幅もないので紹介だけ、『懐かしい、あの日の出来事』『慟哭の涙』『ワイアードゴーストの少女』『終焉への序曲』『リバイアサン』などがかなり好きです。ぶっちゃけこの五曲は、他の作品だったらトップレベルになれる出来ですね〜。

システム(9/10)

 発売時期も考えれば、演出は文句なしですね。
 まあ日常シーンはかなり手を抜かれていますが、それを差し置いてもバトルシーンの出来は秀逸。あの動きの反応の良さ、2Dで駆使できるギリギリの臨場感と疾走感は素晴らしいと思います。あとはOPムービーの出来が最高ですね。サイバー空間の雰囲気を前面に押し出しながら、要所要所でリアルな演出を入れて、全体的なイメージとして脆さと儚さが浮き出ていて、すごく印象的な出来になっています。

 システムはやや不満、かなあ。
 後々の戯画システムの萌芽を感じさせる便利な部分もあるのですが、いかんせん必要な機能が足りてなさすぎるのがね。スクリーンがフル固定なのや、オートモードがないのとかはかなり不便ですし、他にもバックログがホイール対応してくれなかったりとかね。バトルシーンはマウス操作不可能というあたりも、微妙に敷居を上げてしまっている印象です。

総合(90/100)

 総プレイ時間22〜3時間くらいですかね。
 オールクリアまで最低でも6周、イベント回収を考えるとその倍くらい周回が必要ですが、一つ一つのシナリオはせいぜい2時間もないくらいなのでサクサク進みます。でもシナリオには中身がギュッと詰められていて、特に不足を感じさせないのがこの作品のすごいところ。無理に冗長にしなくても名作は作れる、といういい見本ですね。
 発売は2002年なのに、今プレイしてもそんなに遜色がないという時点でまず凄まじいですね。もちろん今の基準で見れば不満な部分はいくつもありますけど、それを補って余りある面白さです。これは発売当時は相当話題になったんだろうなあ。
 ともかく、シナリオは相当の出来ですし、アクションが苦手な人でも出来る簡単設計ですし、ボリュームもそこそこなので、ぜひ手にとって見るべき作品だと感じました。

 ・・・というかバル空発売前にこれプレイしなくて良かった・・・。やってたら絶対、スペック不足だろうがなんだろうがバル空買ってしまっていたと思うよ。つか今やりたくて仕方ないし。。。まあPC買い換えて、Dive2のときに同梱版が出ることを信じて待ちます。
posted by クローバー at 06:14| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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