2009年05月15日

BALDR SKY Dive1“Lost Memory”

 旧PCでは明らかにスペック不足なので最初から諦めていたんだけど、バルドフォースが予想以上に面白かったせいで欲しくなり、ついにはPCごと衝動買い。。。

シナリオ(26/30)

 抜群の骨格。

 近未来、地球は一つに統合されながらも、環境の破壊は著しく、様々な内患を抱えて政情不安な時代、人々は感覚質(クオリア)の獲得により人類以上の高い知性を獲得した生体的AIの制御する仮想(ネット)空間を第二の生活圏としており、搭載された脳内チップによってはネットとの常時接続も可能な、第二世代(セカンド)という存在が定義されるほどにメジャーになっていました。
 しかし、AIの人類の知性を凌駕した発達を危険視する風潮も根強く残っており、AI派と反AI派の抗争もまた、地球の火種の一つでした。
 そんな中、地球の緩慢な滅びを救うべく開発されていたのが、次世代ナノマシン、アセンブラ。物質の遺伝子情報の書き換えを瞬時に行うことが生体的AIの存在によって可能になり、どんどん自己増殖し地球上の有害物質を有益な物質に変換してしまうという機能をもったアセンブラは、正に人類の救世主的発明でした。

 そんな時代、主人公はセカンドの一人として、セカンドのための育成機関である星修学園に通う一介の学生でした。
 二年に進級する間際の春先、寮内の不祥事でそれまで住んでいた寮を追い出された主人公と親友の雅は、主人公の又従姉妹である亜季の誘いで彼女の住む如月寮に間借りすることになります。そこで亜季や幼馴染の菜ノ葉と再会し、亜季から再会を祝して戦闘用電子体(シュミクラム)をプレゼントされた主人公は、幼い頃のシュミクラムに乗って正義の味方になりたいという想い出を強く喚起され、シュミクラムの世界にのめりこんでいきます。
 やがて、シュミクラム大会のためのチームメンバー探しの過程で千夏と知り合い、またふとしたきっかけから空と真の姉妹とも縁が出来、彼らとともにちょっと波乱含みながらも基本的には穏やかな寮生活を過ごしていました。しかし、そんな穏やかな時間は突然終わりを告げます。

 灰色のクリスマス―――。

 後世にそう名を残す大惨事は、文字通りクリスマスイブの夜に引き起こされました。
 アセンブラが突如暴走し、無差別に遺伝子情報を改変していった結果、一瞬にして数万の命が融解され、なおも被害が拡大しようとしたところに、統合の最終兵器である衛星軌道兵器、通称グングニールがこれ以上の拡散を防ぐべく被害地域一体に大規模照射を敢行、その過程で更に大量の人命が犠牲にされつつ、星修学園やアセンブラ研究所を含む蔵浜地域一体は徹底的に破壊しつくされ、人の住めない死の土地になってしまったのでした。

 灰色のクリスマスから奇跡的に助かった主人公ですが、沢山の大切な人をいっぺんに失ったことで心に傷を負い、そしてそのような事故を起こした相手を強く憎み、事故直前に姿を消したとされる研究チーム、ドレクスラー機関に疑いを抱いて、ネット上から彼らの足跡を追う電脳傭兵となります。
 事故当時に助け合ってあの惨事を切り抜けたことから絆が出来たレインとともに、数年にもわたって執拗にドレクスラー機関を追い求めてきた主人公ですが、あるミッションにおいてネット上で精神攻撃を受け、なんとか命は助かったものの、学園生当時から今までの記憶を失ってしまい、記憶遡行処置を受けることになります。
 少しずつ明らかになる過去、そして昔馴染みたちとの再会、それでも動いていくアセンブラを巡る世界の思惑・・・、正義はどこにあるのか、大義はどこにあるのか、記憶を失った主人公は改めて事件の複雑さに直面しながら、自分なりの正義を模索していき―――、という話ですね。

 つか、あらすじからネタバレ満載で申し訳ないんですが(笑)、まあここまでは書かないと本当に表面をなぞっただけの感想になってしまうのであしからず。以降は一応ネタバレはない・・・はず。
 とにもかくにも壮大な話ですね。設定がものすごく緻密で、しかも複雑に絡み合っていて、一回読んだくらいではきちんと理解できないほど難解ですが、そうした設定が決して言葉遊びではなく、とても重厚な迫力を兼ね備えているので、全くだれることなく読み進めることが出来ます。また、記憶遡行という形で時々に学園時代の思い出が挿入されるのですが、昔の賑やかな楽しさと現代の重苦しさが交互に現れることで、上手くアクセントをつけています。
 シナリオは完全にルート固定で、レイン→菜ノ葉→千夏の順に攻略可能です。前作バルドフォースと同じように、ひとつの事件を様々な立場から俯瞰して捉えることで徐々に全体像に迫っていく方式で、そういう意味でもルート固定の必要性はしっかりあるし、ルートごとに少しずつラスボスが強くなっていくなど、当然バトルにおける親和性も兼ね備えています。
 どのルートでも、最後のほうを除けば現代で起きている事件の内幕はほぼ一緒ですが、どのヒロインと仲を深めたかで関わり方が変化し、また記憶遡行もそのヒロインに焦点を絞った形の話になります。基本的には全てのヒロインが過去の時点である程度以上主人公に好意を寄せているので、恋愛的要素はやや薄めではありますが、それ以上に過去から今に至るまでのそれぞれの立場から生じる、互いを必要とする狂おしい熱情が痛いほど伝わってくるので、私的には充分満足できる内容でした。
 全体としては大きな謎は残しながらも、一つ一つのシナリオがきちんと独立した形になっていますし、点数を見てもらえればわかるように、個人的には現時点でも充分名作だと感じましたね。もちろん今の時点では、どのルートにおいても最後は未知の力によって主人公が救われたという形にしか取れないので、Dive2での伏線の回収次第によっての可塑性のある評価にしかならないんですが、まあそのあたりの期待値も込めてこの点数、というところですね。

 バトルシステムについては、基本的なところはバルドフォースと変わっていませんが、武器の成長や開発に必要な条件がちょっと複雑になっているので、より戦略的な発想がないと、器用貧乏になって最後のほうで苦労するかもしれませんね。少なくとも個人的には、イージーでプレイしているのに三周で完璧にクリアできるとは到底思えない難易度でした。。。
 ちなみにもう15周くらいして、頑張って武器全部開発したので、引継ぎ機能がなかったら泣きます(笑)。にしても、マジでシナリオスキップしてバトルだけやってると、普通に腱鞘炎になりそうなんですが。。。

 ともあれ、文句なく名作だと思います。
 もちろん分割商法には色々と文句ありますけど。。。しかもちょっと高いし。まあこれだけのクオリティなら許せる、と思ってしまうくらいのレベルではありますけどね〜。
 とりあえず、年内にDive2が出ることを熱望します。Dive1での伏線を色々自分なりに考察した感じでは、上手くすれば久しぶりにSSクラスに到達できるポテンシャルを感じさせますのでね。

キャラ(20/20)

 キャラ造詣は見事、の一言に尽きますね。
 まあそもそも世界観に(今のところ)救いがないので、それこそ薄幸のヒロイン大全、みたいな悲惨なことになっていたりしますが、そういう特殊な状況の中でも、傷を背負い続けながらも背徳的な幸せに縋ったり、必死にあるべき真実を信奉して幸せを掴もうと足掻いたり、あるいは幸せな記憶を否定して生きようと足掻いたり、それぞれ対応は違っても痛々しいことに変わりはなく、その秘めた部分に魅力がギュッと詰まっている感じです。
 
 そんなDive1の攻略ヒロインの中ではやっぱり菜ノ葉が一番好きですかね。好き、というか不憫、というか微妙なところではあるんですが。。。何しろ自分のグッドエンド以外では必ず死んじゃうし(特にレイン編は可哀想過ぎる)、ヒロインの中で一番自力で状況を変えられる力を持っていないのに、その立場から否応なく事件に巻き込まれてしまうという不幸すぎる彼女を幸せにしてあげたいと思うのは、もはや人としての必然。決してロリだからじゃないよ、ほんとだよ。。。まあキャラとしては確かにインパクトが足りないかもしれませんけどね〜。
 
 レインの一番の魅力はその弱さだと思うんですけど、彼女の弱さが何処に立脚しているかが理解できるまでやたら時間がかかるのが難儀ですね〜。まあそれだけ深いところにレインが想いを隠しているということなんですけど、二面性のあるキャラと見せかけて実は表裏一体であるというところに、序盤の凛々しいレインに惹かれた人は微妙に面食らうのではないかなあと思ったり。まあ金髪は正義なんでいいですけど(爆)。

 千夏は個人的には一番インパクトが薄いんですよね〜。
 過去においては一番問題を抱えていなかった千夏が、現代に至るまでに舐めた辛酸を思えば、確かにその性格の変わりようやトラウマの重さは理解できますけど、それを解消していく過程、というかそこまでして主人公が千夏にこだわる理由がちょっと薄い気がしましてね。まあ終盤のシナリオの分岐の仕方が微妙に気に食わないのも一因でしょうが、やっぱりそこまで好きにならなかったキャラです。

 そして水無月姉妹は可愛すぎる。。。
 空は半分クゥの印象もあるから、余計に可愛く見えている部分もあるかもですけど、それでも尋常でなく可愛いし、もしかしたらそれ以上に真のほうが好きかも知れないですね。正に守ってあげたい雰囲気120%で、実にDive2が楽しみです。

 そして相変わらず、悪役の書き方が上手いなあ。

CG(17/20)

 相変わらず特別上手いとは思わないんですが、フォースに比べればだいぶよくなってますね。全体的にやや線が細いものの、躍動感や雰囲気の表現はとても秀逸で、この薄幸な世界観にぴったりのイメージです。

 立ち絵は時々バランスがおかしいんじゃね?ってのがあったりしますが、基本的には満足いく出来。キャラごとのリアクションがそれぞれの性格を見事に現していてお見事ですね。
 一番のお気に入りは菜ノ葉の三白眼。あれはなんというか、うわ〜、菜ノ葉らしい〜っていうか、冷ややかな視線の中にも、甘えだったり、拗ねだったり、許しだったり、色々な感情が入り混じって、決して負の感情を感じさせないところがすごくお気に入りです。
 その他では、レインの口角上げての皮肉顔、菜ノ葉の目をまん丸に見開いての照れ顔、空(クゥ)の指を頬に当てての笑顔ときょとんとした顔、真の万遍の笑顔と慌て顔あたりが好きですかね。

 一枚絵はメカまで入れればかなりの量で、力が入っているのは窺えますが、個人的には出来にややばらつきがあるなあと。というより、空だけ抜群に出来が良くないですかね?
 一番のお気に入りは空のお昼寝。フォースでもあったモチーフですけど、今回もシナリオのキーとなるイメージのある絵ですし、それだけに力が入っているのか、あどけないなかにもどこか遠さを感じる一枚ですね。この透明感がものすごく好みです。あと空関連では、クゥとの出会い、空とリアルでの出会い、融解直前の電話での会話、Hシーン1枚目が好きです。
 他のキャラで好きなのは、レインは主人公を背負っての脱出行、菜ノ葉は再会の抱擁に2回目Hの三枚目、ノーマルエンドの仮想の夢、千夏は暴徒を鎮圧して血塗れの千夏、グッドエンドのロリ千夏、あとは真の自慰あたりですかね。

BGM(19/20)

 隙のない布陣。
 ボーカル曲は2曲。
 OPの『Restoration 〜沈黙の空〜 』は文句なく神曲。特に出だしのメロディラインが、切なさ満点の歌詞とシンクロしずきていて、最後に同じメロディで幸せな世界を連想させる歌詞に切り替わると、もうそれだけでジーンときてしまいますね〜。もちろん中盤の疾走感もかなりお気に入りで、また作風ともぴったりで、何処から切り取っても文句なしですね。
 挿入歌の『パラダイム・シフト』もかなりかっこいい曲ですね。それこそ最後の最後にしか流れないので盛り上げ効果もばっちりですし、すごく力強さがあるので気分が高揚します。

 BGMは質・量ともに上々で、高いレベルでまとまっているというのがぴったり来る表現ですね。個人的に突き抜けるレベルで好きなのがなかったのだけが残念ですが。
 お気に入りは『青空スキップ』『Light up Shadow』『夢寐の随に』『Rainy Confort』『フルエルトウメイ』『Perfect Drive』『High Resolution』あたりですね。

システム(10/10)

 演出は流石の出来。
 まず仮想世界のイメージというか、ネットのイメージがデザイン全体からすごくリアルに伝わってきますし、その動きもすごく緻密に出来ています。バトルシーンも相変わらず、動きはスムーズでありながら多重演出効果で迫力あるイメージを上手く構築していて文句のない出来。まあ戦闘中にメッセージウィンドゥが出るのは面倒だけど、たぶんあれも消そうと思えば消せるはずだしね。
 もう少し日常シーンの演出にも力が入っていれば満点の出来ですけど、そこまでは贅沢ですかね。

 システムは、こっちこそ正に文句なし。
 さすが最新の戯画システム、非の打ち所がないですね。痒いところに手が届くし、全部キーボードからでも代用できるので、一々バトルのときと日常時でマウスの持ち買えとかしなくてもプレイできちゃうのが実に便利。強いて言うなら、バトルモードに入るときのロードが少し長いくらいですかね。
 あ、あと要求スペックはやたら高いので。。。

総合(92/100)

 総プレイ時間、クリアだけでも3周で25時間くらい、エンド全部回収したら8周で40時間くらいですかね。ちなみに今の私は80時間突破したくらいです。
 多少小難しく理屈っぽいところはありますが、シナリオの出来は抜群ですし、その他の要素も秀逸ですし、何より長く遊べるバトルシステムが搭載されていますから、正にゲームとして必要な要素を兼ね備えた名作と言えます。本当にこれで分割商法でなければ・・・とは思いますが、個人的にはPCごと買い換えても損した気分にはならなかったですね。
 少なくともフォースが好きだった人なら100%楽しめますし、そうでなくてもプレイできる環境にあるなら手にとってみるべき作品だと思います。
posted by クローバー at 08:12| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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