2010年01月01日

ゆのはな

 わかばちゃんに一目惚れして思わず買ってしまった、実は記念すべき初エロゲ。。。我ながら、間口の狭いところから捻じ込んだなあという自覚はある(笑)。

シナリオ(24/30)

 きっといつか、帰るべき場所。

 主人公は、旅と歌とバイクとアステカ帝国を愛する、ちょっと風変わりでお人好しな大学生。愛用のバイクでの気儘な貧乏旅行の帰途、ふと通りかかっただけの町、ゆのはな町において主人公はバイク事故を起こしてしまい、横転したバイクは道の路肩にひっそりと置かれていた祠を大破、主人公は瀕死の重傷、というか致命傷を負ってしまいます。
 しかし、主人公の壊した祠には、ゆのはな町の小さい神様であるゆのは姫が祀られていました。住処を壊されたゆのはは、主人公に祠の修理代20万円を弁償させようと神の御業を使って生き返らせるのですが、あいにく貧乏学生で、親も外国の彼方である主人公にはすぐには祠の弁償代を払えません。挙句に致命傷を治したことでゆのはと霊的に繋がってしまった主人公はこの町から出られなくなり、否応なくこの町の中で働いてお金を貯めることを余儀なくされます。
 幸い、たまたま祠の側を通りかかったゆのはな町の住人であるわかばに助けられ、借金兄妹と身分を偽ってゆのはな町に住み込むことが出来た主人公は、地獄の沙汰も金次第、神の御業も金次第(笑)とばかりにゆのはに追い立てられ、日々バイトに勤しむことになるのでした。
 主人公たちを住み込ませてくれ、働き口まで世話してくれる華の湯のみつ枝と、その孫娘のわかば、商店街会長でゆのはな町の顔役、華の湯の向かいの酒屋の店主でもある渋蔵とその孫娘の椿、商店街唯一の喫茶店を営む榛名と、その娘であり、一発で主人公が実は死に掛けであると見抜いた霊感少女・穂波などなど、ゆのはな町の温かい人達に支えられながらゆのはに借金を返し続ける日々、そんな中で、早く借金を返し終わらないとゆのはの力が暴走して町が雪で埋もれてしまうと聞かされ一層仕事にも熱が入る主人公、果たして主人公は町を救えるのか、そして見知らぬ土地での出会いが、日々の交流を経てどう変化していくのか。これはそんな、田舎町の素朴な日々を綴ったハートウォーミングストーリーです。


 とまあ、あらすじはこんなところですね。町を救う、とか大仰なことを書いてはみましたが、基本的にその辺りの危機感ってものはほとんど感じることのない、のどかな田舎町でのちょっと笑えて心が温まる日々を連綿と綴った内容であり、概ねはバイト先に選択した店の娘さんと少しずつ少しずつ仲良くなっていく、その過程を楽しむ作品でもあります。ゲーム内時間はだいたいどのシナリオも一月くらいですが、本当に一日刻みでシナリオが展開するので、どうしても冗長に感じてしまう部分はあるものの、そのあたりは町の雰囲気が上手く中和してくれるというか、なるほど、こういう町だからこういう娘たちがいるんだな、って納得に繋がっていく感じなので、個人的には逆に好ましい部分だったですね。
 わかば、椿、穂波をクリアすると、ラストのゆのはなシナリオがオープンする形式になっていて、穂波シナリオとゆのはなシナリオはゆのはが神様になった由来やらなんやらが関わってくるシナリオなので、私的には穂波を三人の中ではラストに回すのと、ゆのはならしさが一番体現されているのがわかばシナリオなのでこれを最初に持ってきて、わかば→椿→穂波→ゆのはとプレイするのが断然お勧めです。

 基本的なシナリオの骨格となっているのは、異邦人である主人公の存在に触発される形で、ゆのはな町という牧歌的で変化の少ない町で、変わらず今の自分でい続けることにヒロイン達が疑問を感じて葛藤する、という流れですね。勿論それぞれの立場によって考え方も感じ方も違うし、穂波シナリオなんかは+αの要素がふんだんに詰め込まれているので見えにくくなっている部分もありますが、根本的にはそこに行き着く話であり、そういう視点で見たときに、ゆのはなという町が1つの大きな帰るべき場所として再確認される、そしてその町には、普段は食い意地が張っていてがめつくて我が儘だけど、でも町の住人を愛している神様がちゃんといるんだ、とそう括られるわけですね。
 上で書いた推奨攻略順は、その部分がわかりやすい順番であるとも言えます。
 わかばシナリオなんかは、ほんと〜に日常においては由真が暴走するくらいで大した事件も起きず、ちょっとずつ二人の時間が増えていく中で徐々に惹かれあっていく過程がじれったいほど丁寧に描写され、やがて心を通じ合わせた二人が、これからも二人で歩んでいくための行き方を模索する、ただそれだけの話だったりします。けど、不思議にこれが面白いんですよね〜。主人公とわかばという、ポジティブでおおらかな性格が上手く噛み合ってのことなのか、とにかく単なる日常がだんだん輝いて見えてくるんですよ。ラストも実に綺麗にまとまっていますし、表題の通り心が温まるシナリオです。
 椿シナリオにおいては、初めに椿の大きな悩みが前提としてあって、仲良くなりながらもなかなかその部分に触れられない主人公と椿が、別口でも問題を膨らませてすれ違い続ける内容なので、かなりグダグダした印象を受けますが、変わらない町での生活に飛び込んできた主人公だからこそ動かせる気持ち、というテーマ性はすごくきれいに映し出せていますし、影ながら応援してくれる町の人たちの温かさも存分に感じられる、わかばとは一味違ったいいシナリオではあると思います。
 椿シナリオが、主人公がなかなか椿の心に踏み込めなくて葛藤するシナリオだとしたら、穂波シナリオは逆に、不用意に踏み込みすぎて煩悶するシナリオだと言えます。このあたり、年上と年下に対する主人公のスタンスが綺麗に現れていてなかなか面白い比較ではありますが、そういう感じたままに行動する単純さが少なくとも穂波シナリオでは物語を動かすきっかけになっているのが上手いところです。
 とにかくこのシナリオにおいて、穂波が心の底に抱えているものは実に複雑で、それこそ二重底、三重底の深みがあり、そうした深い想いに、主人公がエイヤッ、と強引に手を突っ込むことで少しずつ少しずつ引き上げていく、そんな印象のシナリオですね。また、物語の最初で提示された霊感少女というファクターが、最終的にこの町の神様であるゆのはの存在の在り方にまで繋がってきて、ある意味一番シナリオっぽい内容ではあります(笑)。それでも基調となるのは、日々の穂波との交流であり、どこか大人びて儚い印象の穂波が、時々年相応の可愛らしさを見せてくれる、そんなギャップに主人公とシンクロして惹かれていく過程が実に楽しいシナリオですね。
 そしてエロい展開を単なる恋愛感情の発露ではなく、本音を覆い隠す殻として利用する手法も冴え渡っていて、それが逆に一層エロく感じさせてくれるものだから、一粒で二度おいしい、みたいな感じです。しろくまのりりかシナリオも似たような感じだったけど、こっちが元祖というか、キャラ的にもシナリオ的にもより深みがあると感じますし、逆にこのシナリオの印象があるからこそりりかシナリオをすんなり受け入れられる土壌が出来ていたのかなぁ、と思う次第。。。

 そして三人クリアした後のゆのはなシナリオ、これは基本的には町の人たちの力を借りずに、主人公とゆのはの二人だけでそっと問題を解決して去っていく内容ですので、どちらかというと伝承めいた切り口が強く、かくあるべき歴史、の一コマを浮かび上がらせたという雰囲気ですね。
 シナリオのボリューム的にもおまけのイメージは強いのですが、しかし一応ゆのはをヒロインとして据え置いている以上、もう少しボリュームが欲しかったのは確かなところです。他のシナリオがヒロイン達との心の交流にあれだけ時間を割いているのに比べて、あまりに二人の関係が進展するのが安直に過ぎるし、それくらいならそういう部分は全部オミットしても良かったんでは、と思わなくもないんですよね〜。
 もちろんこのシナリオがあることで、帰るべき場所、というテーマ性がはっきり浮き彫りになる点は見逃せないファクターですし、評価すべきところですが、そのために主人公のゆのはの関係を一段進める必然性はあったのか?という部分はやや疑問が残ります。まあここまでのシナリオから、端々で感じられるゆのはの寂しさを汲み取ってあげたい、と感じるプレイヤーも多いでしょうけど、だったらもう少ししっかりシナリオに反映して欲しい、どうにも中途半端だなあ、というのが私の印象ですね。もっとも、この点についてはその後の作品のエピローグの形に反映されている気もしますし、今更私が書くほどのことでもないのかもしれませんがね〜。

 ともかく全体としては、最後でややミソをつけたものの、素晴らしく雰囲気が良くて作りが丁寧で、それでいてキャラがとても生き生きしていて、プレイしていてすごく楽しくなる作品だと思います。若干鼻につくキャラがいないといえば嘘になりますが、そういうアクの強さも含めて、最終的にはゆのはなという町をすごく好きになれる、そんな感じですね〜。

キャラ(20/20)

 とりあえずもう、ほなみんが可愛すぎます。。。
 どうしたって儚げな少女、というイメージが先行するのに、随所でそれを裏切るギャップを発揮し、その度に心の奥の深みを垣間見せてくれて、それこそ引きずりこまれるようにその魅力の虜になっていく、そんな印象がありますね。少しずつ年相応の愛らしさを見せてくれるようになって、エピローグのあたりの雛鳥のような可愛さときたらもう反則ものですよ。

 そしてわかばも申し分なく可愛いです。
 ほなみんのような影の部分がほとんどないから、それこそ見たまんまの愛らしさをずっと損なわずに保ち続けている感じなんですけど、まあなんていうか、側に居続けていてくれるだけで温かい気持ちになる、雪の町で輝き続ける太陽のような少女ですよね〜。ある意味一目惚れの印象を全く裏切られなかったという点で、私のその後のエロゲ人生に大きくポジティブな印象を植え付けてくれたキャラでもありますし、そういう贔屓目もあってかすごく愛しいです。

 椿はまあ、自分のシナリオでのグダグダ感はあまり好きになれないけど、他のシナリオでのお姉さんモード、もしくは姉御モードのときは結構好きですね〜。気風の良さがそこかしこに滲み出ていて、傍から見ているだけではあんなに異種の小説を書き分けられる雰囲気は微塵もないんですけど。。。

 ゆのははまあ、色んな意味でギリギリですよね〜。神様、という属性があるからこその傍若無人さ、と捉えるにもちょっと限度がないか?ってくらいの意地汚さだったり守銭奴ぶりだったりしますが、要所要所で見せる神様らしさや、ポロリとこぼれる寂しげな本音が、危うくバランスを保っている、そんな感じです。逆の意味では、町の人たちの大らかさや温かさを浮き彫りにする格好の存在ともいえるので、まあこれはこれで、というところでしょうかね〜。
 
 そしてなんといっても渋蔵。この作品の面白さの五割は渋蔵に関わっていると言っても過言じゃないくらい印象の強いキャラですよね〜。何しろ爺なのに専用曲まであるし(笑)。
 実際のところ、ものすっごく過疎と高齢化が進んでいるこの町で、それでもこの町が活気があって温かい場所だと感じられるように意識して据えられたキャラなのでしょうけど、その試みは必要以上に成功していると感じますし、ゆのはとの過去の絡みの部分なんかもすごく作品に深みを与えていて、まさしくなくてはならないキャラと言えるでしょう。そういう意味では、渋蔵ほど目立たないけどみつ枝も重要な立ち位置ですし、基本的に老人と若者しか立ち絵がないというアンバランス感を、その個性の強さで払っているともいえますね。

CG(18/20)

 すごく雰囲気が柔らかくて、とても好みの絵柄です。
 立ち絵に関しては、少しばかりバランスが悪いなあと思うのもあるけど、全体的にはキャラの印象をしっかりと底上げしていて、いい出来だと思います。
 一番のお気に入りは、わかばの困り顔かな〜。あの口の端の絶妙な歪み方がポイントですよね。人の好さがすごく滲み出ている困り方で、それでいながら使うシーンを間違えていないというか、普段あれだけほんわかしていても本当に見ているところは見てるんだ、ってのが良くわかるシーンに多用されているからすごく印象的です。
 その他は、わかばでは正面向き笑顔、横向きうっとり顔、穂波は正面向きの怒り顔、首を傾げての儚げな笑顔とにっこり顔、眉をひそめての困惑顔、ラストしか出てこない半泣き顔、ゆのはのギクッ、とした顔に、わかばとは100%印象の違う口の端を上げてのしたり顔(笑)、椿の横向き姉御顔、渋蔵の顎に手を当ててのしたり顔あたりが好きですね。

 一枚絵は、ヒロイン一人当たり13〜16枚くらいですから、まあ多くも少なくもないってとこですかね。必要なシーンにはちゃんと絵が入った印象はあるし、出来も若干ばらつきはあるけど悪くないと思います。
 特にお気に入りなのは、鳥居の上でのゆのはとのお喋りに、朝日をバックに泣きながら怒る穂波の二つですかね。鳥居でのゆのはの寂しそうな笑顔は、恐ろしいほどにゆのはの全てを語っているイメージがあるし、初めて主人公に涙を見せる穂波は、朝日の効果もあってかやっと手に届くところにきてくれた、みたいな印象があってすごく好きです。
 その他では、ゆのはは祠での別れ、初Hのクンニシーン、わかばは出会いのシーンに部屋での勉強会、Hシーンの後ろから愛撫、エピローグの押しかけ、椿は晩酌のシーンにエピローグの原稿のシーン、穂波は出会いの悪霊退散、雪の中眠る穂波、69、初めての正常位あたりが好きですね。

BGM(18/20)

 曲数は多くないですが、すごく雰囲気のいい曲ばかりです。
 ボーカル曲は2曲。
 OPの『冬だより』の印象は、一言で言うと温かい雪、ですかね〜。本当は冷たい雪なのに、神様や町の人たちの想いが交じり合って温かくなった雪、そんな印象があります。曲としての出来そのものは今冷静に聞けばまあ中の上くらいなんですけど、自分の中でかなり美化されている曲です(笑)。
 EDの『約束〜resume〜』もまた、作品のイメージを裏切らないものすごく柔らかい曲ですね。サビの最後の歌い流している部分の印象がすごく優しくて好きです。

 BGMもなかなかの出来。
 その中で抜群に好きなのは『まどろみの昼下がり』。これはもう神曲。プレイスタート時のタイトルミュージックになっているのもあってか、ゆのはなといえばこれ、ってくらい頭の中に刷り込まれています。とにかくもうねどこか物寂しくて懐かしくて、それでいて温かくて柔らかくて、正にゆのはなの町そのものを象徴しているような曲ですね。
 その他では『湯気の向こうの笑顔』『やさしいうた』『俺のテーマ』『時の足音』『雪のまほろば』『満ちる季節』あたりが好きです。どうでもいいけど、初めて家族計画やったときに、『同じ空の下で』のイントロが『満ちる季節』にそっくりだなあ、とか思った人。でもどちらかと言えば『満ちる季節』のほうがパクリなんだよなあ。。。

システム(8/10)

 演出はまあ、五年前と考えれば優秀な部類ですよね。
 まだ洗練されていないものの、このメーカーの特色である背景演出やSE演出など随所に見受けられますし、キャラも出来る限り生き生き動いているように見せようと努力している印象はあります。OPも素朴ながら綺麗にまとまってますし、全体的に悪くないと思います。

 システムもまあ普通。
 やっぱりもう少しスキップは速いと助かるんですけどね。ボイスカットなしも五年前じゃ仕方ないか。

総合(88/100)

 総プレイ時間22〜3時間。プロローグ2時間に個別が6時間ずつくらい、最後のゆのはなシナリオが3時間弱といったところでしょうか。
 まあとにかく雰囲気のいい作品だと思います。ゲームなのにやけに生活感があって、人の優しさが素直に伝わってきて、ああこんな町なら住んでみたいなあと思わせてくれる魅力がありますね。波乱に満ちた展開とか、驚愕の事実とか、そういう要素とは無縁の作品ですが、まあまったりと幸せな気分に浸りたいときにはぴったりの作品だと思います。
posted by クローバー at 07:55| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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