2010年06月08日

あまつみそらに!

 クロシェットなんでまずメーカー買い、プラス美唯が絶好球だったので超期待でした。正直、今までプレイしたゲームの中で一番発売までに体験版を繰り返しプレイした気がする。。。


シナリオ(21/30)

 詰めを誤ったかなあ。。。


 美空島には神様が住んでいる―――。
 美空島は古き良き田舎の雰囲気を多分に残した小さな島でした。その島に生まれ、島でその生涯を終えることを既に心に決めている主人公は、幼い頃に両親を事故で亡くし、今は妹にしてなんとアイドル業をしている美唯と、そしてかつて縁あって一緒に暮らすことになった、正真正銘美空島の神である神奈との三人暮らしをしていました。その時の縁によって、主人公は一般にあやかし、怪と呼ばれる存在を探知できる体質になっていましたが、現在ではそれが実生活に大きな影響を与えることはなく、穏やかに暮らしています。
 神奈は誰にも疑いをもたれないほど明確に力を顕現できる神様であるにも拘らず、なぜか神様として祀り上げられる事を嫌い、人間として生きていくと宣言して主人公の家に居候、普通の学生らしく主人公たちと一緒に学園にも通い、今では家族同然の間柄なのでした。
 学園においても、近所で民宿を家業として営む幼馴染の千紗や、神奈に異常に懐いている美唯の親友でもある芹夏などがいて、基本的には周囲に人の絶えない、さほど変化はなくても騒がしくて楽しい日々を送っていました。とはいえ、主人公一家の住人はみんなそろそろ将来の生きる道を考えなければならないお年頃。今が平穏で大切だからこそ、真剣に未来を見据えていかなければならないのでした。

 そんな中、島の活性化のためにとして、新たに本土へ向けてのバイパスとなる道路が引かれる事になり、その通り道にあった神社が取り壊されて、街中のより島の人間が通いやすい場所に遷社してくることになりました。それに合わせて宮司を勤めていたじいちゃんはその孫に地位を譲り、孫である深景は本土からわざわざ神社を継ぐためにやってきました。
 遷座祭のときに深景の舞を見て、この人には本物の巫女としての力があると感じた主人公は、以来彼女のことを気にかけるようになりますが、それとは逆に祀られることを嫌う神奈は逃げてばかり。それではいつまでたっても問題は解決しないと強引に二人を引き合わせたりと、島の、そして自分たちのあるべき未来を模索しながら、周辺に起こった変化を受け入れていこうと考えていました。

 しかし、そんな思惑とは関係ないところで事件は動いていました。
 遷社を強行したことで、本来神域だった元の神社の土地が穢され、本来そういった地脈の乱れを制御する役割を担っている神様がその任を放棄しているため、島全体に澱みが至り、結果として主人公の目にはっきりわかるほど怪が頻繁に出現するようになったのです。
 怪の存在そのものに善悪はないにせよ、力を顕現することでしか自身の存在を示せないような怪も多く、このままではいずれ島の人間に被害が出るのも避けられないのではと危惧する主人公。当面は美景に取り付いた、神奈の後見人を自称する龍神様・銀王が対応してくれるようですが、それでは根本的な解決にはなりません。そうこうしている内に、主人公の周りの友人たちにも影響は及んでくるのでした。

 とまあ、基本的にはこんな流れですかね。
 銀王が水面下で事態を収拾してくれているうちに、ヒロインの誰かと仲良くなって恋人になり、その頃には銀王一人の手には追えなくなって身の回りに怪を原因とする問題が頻発、それをみんなの力を借りながら解決していく、その過程で神奈が少しずつ神様としての自覚と決意を強めていく、というのがほぼ全ルート共通の概略です。
 基本的に、古来から伝わる妖怪譚や歴史をきちんと土台にした上で物語が構成されていて、それが日常イベントの中に丁寧に織り込まれている作品です。ヒロイン選択の部分に関してはやや取っ掛かりが弱い気もしますが、ルート確定してから恋人関係になるまでの描写はどのルートも丁寧で、それでいてルート内での伏線をしっかり確立させて物語としてのメリハリを出しているので、読んでいて楽しいですね。
 設定上どうしても伝奇的要素や歴史的要素が強く出てしまう側面はありますが、その辺に興味がなくても概要は納得できる程度に丁寧かつ簡潔に語られていますし、そう言う部分も含めて全体的に会話の知的水準が高いというか、言葉の掛け合いが楽しめる作品ですね。こういうのは方向性の問題ですし、品位の高さがそのまま面白さに繋がるわけではないでしょうが、私個人としてはすごく好きなタイプになります。

 かみぱに!の系譜を継ぐ作品という印象でしたので、設定的に深そうな美唯と神奈はラスト2にして、芹夏⇒深景⇒千紗⇒美唯⇒神奈という順番でプレイしたのですが、これは八割がた正解でしたけど最後の最後で躓いた感じですかね。。。
 美唯までの四人を一括りにして簡単にまとめてしまうと、ヒロインの体験から来る想いを体現するような形で怪が関わっているために、今までは身近な人に怪が悪さをしそうになったら問答無用で吹っ飛ばしてしまっていた神奈も簡単には手出しと解決が出来ず、その問題解決によってヒロインとの関係性、そして神奈の意識レベルの向上を同時に成立させている感じになります。
 とはいえ、特別深刻になりすぎることはなく、イチャラブの質も高い中で少しずつ問題が進行していく感じで、解決編に至ってはそれなりに感動的な部分もあり、特別唸るような仕掛けはなくてもプレイした後に清々しくなれる雰囲気に統一されていますね。特に千紗と美唯の怪にまつわるエピソードは、ベタですけどベタゆえに心を打つものがありますね。
 ・・・つか、あの蛙地蔵増やしてたのって千紗なのかな?あれが妹の供養のためのものなのはわかるにしても、子供の頃からあんなもの手に入れられるのかとは思ってしまった。。。

 んでまあ、美唯シナリオの中で、神奈が美唯と出会い、主人公たちの家に住むようになった経緯が判明して、かつそれ以前に二人に決定的な出会いがあったことを仄めかしているので、神奈シナリオはその辺が焦点になってくると思っていたんですね。
 他のシナリオでもかなり自分の力を使うことを躊躇していたわけで、その中には自身が言うように神としての自覚と決意の部分はあるにしても、その他に簡単には力を揮えない理由があるのではと推測するには充分な材料があったわけで、そのへんはかみぱに!の印象に引き摺られ過ぎたということもあるのでしょうが、ともかく出会いのときに何があったか、そもそも神奈が生まれた経緯は何だったのか、そのあたりに因を発する問題があるのだろうと思っていたんですよね。
 が、蓋を開けてみると神奈シナリオ、そのあたりの伏線っぽい部分はほとんどスルーだったんですよね〜。まあある意味では神として在ることに対する否定の要素は別にもあったわけですが、そこまで単純で一途で健気な理由だとは・・・。
 それはそれで話の方向性としては間違っていないし、最終的には島の問題の根本的な部分の解決にまで繋がっていくのですが、やはり過去を絡めてのもう一工夫が欲しかったというのはありますね。普通に面白かっただけに尚更勿体無いと思いました。ルート制限こそかかっていなかったものの、一応この作品の総まとめ的な位置づけのシナリオだろうとはプレイヤーの誰もが思うことだろうし、そこにもう一段面白さの上積みを求めるのは決して贅沢ではないと思うんですけどね。。。

 そんなわけで、神奈シナリオの内容次第では25点くらいまでつけられるのではと思っていたんですが、ちょっと拍子抜けだったのでこれくらいの点数になりますね。まあ私の場合期待しすぎだったのも否定は出来ないし、それをのぞいてなるたけ客観的な目でみれば、全体の完成度、思想の統一性、シナリオの組み立ての丁寧さ、キャラの良さを引き出すテキストなど、実にいい仕事しているなあと思いますし、間違いなく良作以上の水準にはあると思います。
 

キャラ(20/20)

 メインキャラから脇役に至るまで、きちんと存在感はあってキャラとしての魅力を発揮していて、でも不快感を感じさせたりするキャラがほとんどいないってのがまず素晴らしいですね。それでいて、シナリオのためにキャラを犠牲にしたり、キャラ立てのためにテキストの雰囲気を壊したりすることもなく、とにかくバランスのいい作りで、このキャラはこんなこと言わないだろ〜、とか、こんな行動しないよ、みたいな違和感をほとんど感じさせないのがクロシェットクオリティ。

 そんな中で一番好きなのはやはり美唯ですね。全キャラ好きだけど、その中ででも群を抜いている感じです。
 一家の大黒柱としての凛々しい母親モードと、妹で末っ子というナチュラルボーン的な嫌味のない甘えっ子モードをコロコロ使い分け、更にもう一つ奥に、想像を絶するほどのお兄ちゃん大好きモードが隠されていて、とにかくどこから切り取っても可愛すぎるとしか言いようがないですね。
 仕事を持っている設定からか一番年下なのに時には指南役に回ったり、他ヒロインと主人公がくっついたときにも、きちんと心から応援してくれたりと、とにかくよく出来た妹であり、滅茶苦茶可愛い女の子でもあるなと。共通での「神奈ちゃ〜ん!!」と甘えた声で呼びかける愛らしさ、そして神奈シナリオでの「そっかぁ・・・」と自分の想いを噛み締めている雰囲気が特に印象に残っています。

 次点は・・・千紗かな、みんな好きなんで悩むところではありますが。
 好きにならないようにしていることに何か理由があるのかと思いきや、ストレートに関わってくるのではなくちょっとズレた印象のシナリオではあったんですが、素直になったら間違いなく可愛いという事前の確信を裏切らない可愛さでしたね〜。弱々しく甘えてくるあたりは最高ですよね。。。
 しかし、別ルートでの飄々としながらも凛としている雰囲気も捨てがたく好きですけどね。何が可愛いって、呆れ顔のタイミングが抜群すぎて可愛いんですよね。呆れながらも隣の一家の巻き起こす騒動を暖かく見つめている、そんなスタンスの千紗も素敵でした。

 芹夏は作中でも黙っていれば可愛いと評判でしたが、プレイヤーとしては時折見せる弱気な表情が特に可愛いと思いましたね。胸前に腕を揃えているポーズがやたら愛らしくて、その姿勢で慌てたり落ち込んだりしているとぎゅって抱きしめてあげたくなります。
 深景も予想以上に好きになりましたね。人をからかうのが趣味みたいな、どうにも巫女らしからぬ設定が逆にずばりとはまっている印象で、そういういたずらっ子お姉さんモードに隠された乙女チックな部分とかかなりギャップがあっていいと思いました。
 神奈も普段は駄々っ子モードが過ぎるくらいだけど、本当に大切に想っていることや大事なことには痛いくらいに真剣で、なんかある意味誰よりも人間くさい印象がありましたね。それが人として生きるための背伸びとは思わせない自然さはありましたし、美唯と同じく、一途だけど基本立場的に一歩引いている感じも終わってみれば美点だなあと。

 サブキャラの中では優依先生が好きですかね。
 歴史オタクなのもポイント高いですし(正宗様のレッツパーリィ発言には大爆笑でした)、見た目の愛らしさもありますし、あとはCV関連でどことなく仁乃を連想させてしまういじられっ子の雰囲気に引きずられている感じですか。


CG(18/20)

 この人の絵は、なんというか一言にしてしまうと、エロい?
 正直抜群に上手いとは思わないんだけど、体のラインとか、肌の雰囲気とか艶とか、ふとした表情とか、とにかく全体的に耽美的であるのが最大の特徴ではないかなと。すごく見ていて惹きつけられる絵だと思います。

 立ち絵は質・量とも満足の出来。
 特にバリエーションの多さは印象的ですね。漫符との多彩な組み合わせ、演出効果の巧みさもあって、変幻自在な表情と感じられます。
 一番のお気に入りは美唯の左目ウインクの照れ顔ですかね。まさしくこの顔に一目惚れした経緯もありますが、最終的にもこの表情は実に美唯らしさがギュッと詰まった顔だなあと感じます。
 その他お気に入りは、美唯は横向きのジト目、照れ笑い、正面向きお説教顔ににっこり顔、神奈は顎に手を当てての思案顔、トホホ顔、蒼白顔、人差し指を前に立てての笑顔、たくらみ顔、千紗は横向きでの呆れ顔、ジト目、微笑、平坦顔、三つ編みをいじりながらの照れ笑顔、芹夏は指をL字ポーズにしての強気な笑顔、キラメキ顔、両拳を胸前に合わせての慌て顔、トリップ顔、がっくり顔、深景は正面向きの笑顔、作り残念顔、からかい顔あたりですね。

 一枚絵は時折表示用バランスがおや?って時はあるけれど、質としては水準以上。量はもう少し日常イベントがあっても良かったかな〜くらいですね。最近の作品は大抵SDキャラめいた絵も使ってますから、そういうのがない分の物足りなさかもしれませんが。
 特にお気に入りは、パジャマ姿で寝入る美唯ですね。
 元々美唯のパジャマ姿の横向きの立ち絵、あれのヒップラインのそそる感じは異常だと思っていたんですが、一枚絵になってもそれは健在ですね〜。無防備な胸元やお腹以上に、胸と違ってまだ成熟しきっていない感じの引き締まっているのに柔らかそうなヒップラインが好きで好きで。。。
 その他、美唯はエプロン姿で調理、水着Hのフェラとバック、コスチュームHの騎乗位、神奈はクリアボート、おとなしであーん、水着でフェラ、芹夏は真面目に壁打ち、自宅で不意に告白、テニスウェアで立ったまま挿入、千紗は神器の弓を射るシーン、初Hの一枚目、水着で騎乗位、袴で正常位、深景はスケスケ巫女服、水辺でバック、灯台で騎乗位、あとおまけイラストの芹夏の着替え激写のあの表情は好きですね。


BGM(17/20)

 まあそれなりのらしい出来。
 ボーカル曲は3曲。
 OPの『ラピスラズリの恋』は、イントロやAメロは結構好きなんですけど、イマイチサビの部分が好きになれなかったんですよね。余韻の引き方もイマイチだったし、惜しい感じです。
 EDの『キミが聞こえる』は逆にサビ以降のメロディがとってもお気に入りの名曲。ちょっとハスキーな感じのボーカルが思った以上に切ない印象を相乗効果で盛り上げていて、かなり好きになりました。
 挿入歌、というか美唯EDの、タイトル長いからパス、とにかくいかにもアイドルソングといわんばかりの曲と歌詞は、まあ可もなく不可もなくですかね。曲としては印象は薄いと言わざるを得ないんですが、こんな曲があった作品だったという意味では印象に残りそう。。。どうせなら俺つばのほほジェノくらいはっちゃけてれば曲としても有りなのかもしれないんですがね(笑)。

 BGMも突出した出来ではないけど、安定していくつかいい曲を出してくるし、如何にもクロシェットって曲もあってなんか安心できます。
 お気に入りは『きっと続いていく未来』。絶対このメーカーはこのタイプの決め手的な曲を一つだけに絞って入れてきますよね。この出だしの輝かしい雰囲気がすごく好きです。
 後は『あまつみそらに!』『凛々しくリリック』『クルクルパズル』『戦の風』あたりが好きですね。


システム(9/10)

 演出は見ていて楽しい感じですね。
 このコロコロと立ち絵が変化するのは、最近では他のシステムでも見られるようになって来ましたけど、ここまでスムーズかつシンクロ性が高いのはまだほとんどないし、見ていてリアルに会話している気分になれるので楽しいです。フェードインやフェードアウトにも工夫があって、単に画面から消えた、という機械的な印象を出来るだけ取り除こうと努力しているのが見て取れて好印象です。
 バトルエフェクトはちょっと単調だけどそれがメインではないからこんなのでいいのかな。

 システムも使いやすく不備もなく問題なしですね。
 シナリオジャンプが選択肢だけでなく、きちんとアイキャッチのところで止まるのも、作品の構成を考えれば使える機能になっていると思います。


総合(85/100)

 総プレイ時間20時間弱、共通が3時間弱で個別が一人3時間よりはちょっとあるかな〜くらいの印象です。全体的なバランスは良く、どのルートに入っても他のキャラの出番もしっかり用意されているので、ゲームとしての一体感がすごく出ていると思いますね。

 このメーカーの作品はとにかく安定感がウリですよね。
 こういっちゃなんですけど、クリエイティブの部分で天才性はほとんど見受けられないんですが、その代わりに全体の統一感をしっかり統制して、とにかく読み手に楽しんでもらおう、違和感を感じさせないようにしようという几帳面さが伝わってきます。そう言う部分は私の好みでもあり尊敬する部分でもあるので、是非このまま冒険をすることなく、安定感と信頼感のある作品を作り続けて欲しいですね。
posted by クローバー at 06:07| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: