2010年06月21日

エヴォリミット

 まあ鉄板コンビですしね。体験版も面白かったし。


シナリオ(24/30)

 進化の果てと人の業。


 主人公は目覚めたとき、記憶をほぼ全て失っていました。
 目覚めたときに側についていてくれた少女・カズナからの説明で、自分が100年前の人間であること、100年間コールドスリープで眠っていたこと、同じような状態で発見された女性がもう一人いることなどを教えられますが、果たして過去に何があったのか思い出すことが出来ません。
 
 そして、この100年で世界は変容していました。
 パッチと呼ばれる身体能力の大幅な向上と特殊能力の発現を促す物質のおかげで、この世界では老若男女全てが力に満ち溢れた存在になっていたのです。その弊害かはともかく、100年前にはあれだけ繁栄を見せていた機会の類はほとんど存在せず、人類全てがパッチの力に依存して生きている状態でした。

 同じように目覚めたという少女、雫とも合流し、改めてカズナから、ここが学園都市であり、学園の全ては学生の自治によって賄われている実験都市でもあること、そしてこの街の市長がカズナであることなどを教えられますが、只一つ、二人の記憶の復活に直接的な影響を与えかねない情報だけは秘匿され、それは自分たちで見つけて欲しいといわれます。
 その言葉を受けて、記憶を探るためにこの星の記録に目を通すことにした二人は、そこでこの街が、かつて自分たちが存在していた星の上にはないことに気付き、そこから連鎖的に記憶を取り戻していきます。
 
 自分たちが地球で生まれ育ったこと―――、
 自分たちが火星開拓団に志願したこと―――、
 そこでかけがえのない仲間と出会い、過酷な移民生活をそれなりに楽しんでいたこと―――、

 けれど、その先、如何にして今の状況に至ったのか、そこだけは記憶が戻りませんでした。
 そして、カズナの言葉から、この星が紛れもなく火星である事、彼ら二人が所属していたはずの第一次開拓団は全滅したと歴史に残っていること、その次の第二次開拓団がパッチを見つけ、今の繁栄の基礎を築いたこと、そしてこの星では、機械は自動的に人類の命を狙う敵になっていることを補足されます。それらの情報も驚愕でしたが、やはり本人達の中では、何故ここに至ったのかのほうがウェイトが高く、自分たちも新たにパッチを装着して、過去に何があったのかを調べることになります。

 また、記憶が一部を除いて戻ったことで、主人公は自分の中に居る不思議な少女・ココロの存在のことも思い出します。それはかつて主人公が心臓移植を受けた名残で、主人公の中で記憶だけでなく元の人格さえも受け継いだ存在であり、彼女を存在させるために主人公は感情の一部、特に悲しみの感情を制御された状態にあるのでした。
 そして、元々火星に行きたいというのは彼女の夢であり、その夢を、幼い頃はいつ死ぬかもわからず、将来に希望など持てずにからっぽだった主人公は反射的に受け継ぎ、死に物狂いの努力をしてハンデを克服し、火星の地に辿り着いたのです。

 ともあれ、自分の原点と、そしてやるべきことを見出した主人公と雫は、敵性機械が跋扈する外界に出て、過去の自分たちの痕跡を調べたいと考え、そのためにまずは身体能力を高めることになります。リーティアやアクア、環太郎といった、能力も高く人格的にも優れた知己を得て、彼らは自分たちの道を再び見つけ出すために邁進するのでした。
 果たして外界で彼らを待ち受けている真実とは何なのか、そしてその真実がもたらす人類への試練を如何にして乗り越えていくのか、というストーリーです。


 色々細かい条件が多い作品なので、あらすじがホントに粗だらけなんですがまあこんなもんで。どうでもいいけど、男女二人のペアなのに彼らと書いて全く違和感がないのが雫クオリティ(笑)。
 基本的には、100年前の人類である二人が目覚めたことで、100年前に起こった真実と直面する事態になり、パッチの力の恩恵で過去数十年歩みを止めてきたに等しい火星の人類の歴史に、初めての試練が降りかかるという筋立てになります。

 大きなテーマとしては、タイトルどおり“進化”の問題があります。
 進化と書くとやや大仰な印象もありますが、概ねの印象としては、まずは小さな歩みでもいいから、前に進むこと、進もうという意欲を持ち続けることが一番大切であり、その積み重ねた努力の上に進化があるというスタンスだと思います。
 100年前の人類であり、かつ火星開拓という超のつく難題に挑んだ主人公と雫にとっては、常に努力し続けるというスタンスはごく当たり前の観念でしたが、パッチの力によって守られてきた火星の人類には一部を除いてその観念は当てはまらず、故にパッチの力によってより大きな爆発的な進化を遂げられる可能性を見失ったまま、この時代を迎えていました。そういう意識の違いを、まず主人公と雫が率先して態度で示して引っ張っていき、その周りの人間がそれに賛同し共感し、やがてそれが社会へ波及していく、そんなイメージの作品ですね。

 個別シナリオでポイントとなるのは、その進化の方向性になります。
 ともすれば全てを力で解決したくなる社会において、言葉で、想いで繋がることの必要性を見出させたカズナシナリオ、個の概念、心の概念をギリギリまで追及し、人としての本質に迫ったリーティアシナリオ、進化の極限にまで辿り着きながらも、根底に大切な人を守りたいという観念を据えていたために立ち戻ることが出来た雫シナリオと、ここには三者三様の進化の形と、それに付随した形での人間性の本質(やや善性に偏っていますが)が描き出されています。
 どれも伏線の生かし方や能力の限界の提示とその克服の方策など、実に巧みに構成されていて間違いなく面白いです。本質的にスポ根的というか、限界突破の糸口に才能ではなく努力が基点としておかれているのが、趣味にも合いますしキャラのイメージにもしっくり来る設定だと思いますね。
 まあただ、雫シナリオはもう最後やりすぎでしょ、ってくらい話が膨らんで笑っちゃうし、リーティアシナリオは方向性が内面的の上、あまりカラミティに活躍の場がないのが勿体無いところで、全体的なバランスと読後感を考えるとやはりカズナシナリオが一番好みかなって思います。特にチャペックの活躍ぶり、カズナに恋を諭すシーンとか、心情を吐露する演説とか、あれは素敵でした。

 ただなんでしょうね、色々と設定的にこと細かく用意されているのはいいけれど、あまりに巧みに全てを回収しすぎたせいか、所々本質からはみ出るというべきか、詰め込みすぎな印象がなくもないです。後はどこか突き抜けるほどの面白さという意味ではもう一息足りなかったかなと。安定して面白いんですけど、圧倒的に印象深いってのがないんですよね。結果的に、山場多すぎなんですよ(笑)。
 とまあ印象として、このコンビの作品としてはあやかしよりは下かな、バレバドくらいかなと素直に感じたまま点数に反映させてみました。


キャラ(20/20)

 誰も彼もが誠実で熱くて面白いと、実にこの人らしいキャラ付けで楽しめました。いわゆる敵方にもきちんと信念を抱かせているからこそ、シナリオにもキャラにも深みが出るのはいつも通りですね。

 そしてなんと、結果的にも一番好きなキャラがチャペックで確定してしまった。。。
 いやだってチャペック可愛いんですよ。いちいち周りの人間に対する反応が愛らしいし、あまりボケ役がいないキャラ群の中ではいい意味でマスコット化しているし、そしてシリアスシーンでの真摯な活躍ぶりときたら実に印象深い。機械だから人を守ることに迷いがない、のではなく、機械という在り方だからこそ、人に奉仕することに喜びを感じられるというスタンスは、変容と許容の立ち位置から見て実に暗示的だし、魅力のあるキャラに仕上がっていると思います。

 そして次点がココロとツナミ・・・ヒロインどこいった(笑)?
 ココロは出番こそ少ないものの、実に示唆的な発言が多くて、本当の意味で主人公の心の支えになっているんだと実感させる部分が大きかったです。それでいて時折除かせる娘っ子らしさというか愛らしい子供っぽい反応がまた可愛いんですよね〜。みやび〜ボイスもラブリーだし、ご馳走様でした、って感じです。
 ツナミは守るべき存在の象徴、という立ち位置でしょうか。
 だからこそか、かなり小悪魔的でありながらも決して悪意のない、悪口を言っていても、ああこれは甘えているんだなとストレートに感じられる部分に凄く愛着を感じます。その上で、待つ立場だからこそ強くあらねばならないという悲壮な決意をも垣間見せてくれるので、主人公と雫じゃないけどとにかく黙ってギュ〜っと抱きしめてあげたい、そんなキャラですね。

 ヒロインの中だと・・・カズナかなあ。リーティアも可愛いけどさ。色んな意味でのギャップと、それでも根底にある責任感の強さと意志の強さはさすがってキャラですよね。
 雫も好きだけどぶっちゃけヒロイン反応が薄いのは確か(笑)。ホントに男気溢れるというか、ああいう真っ直ぐさは羨ましいとともにどうしてもかっこよさが先に立ってしまう印象ですね〜。

 そしてポチ校長渋すぎ。


CG(16/20)

 もうある意味この人のシナリオにはこの絵、ってのは反射的だし、好きな絵柄かと言われるとそうではないにせよ、好きになれるところを探せるようにはなったし、いくつか素直に好みの部分もあったですね。
 
 立ち絵はまあこんなもんですかねえ。
 やや差分が少ない気はするけれど、動きや言動でカバーできている部分が大きいのでそこまで気にはなりませんでした。結構出来のバランスに違いがある気はするけど、これはってのがいくつか。
 お気に入りは、雫の前傾興奮顔、カズナの三白眼、斜めにかしいでの質問顔、小悪魔顔、リーティアのジャンプしての歓喜、ウルウル顔、ココロの頬に手を当てての呆れ顔、ツナミの冷やかし顔、両手を挙げてのびっくり顔、アクアの照れ顔あたりですかね。

 一枚絵は量は充分、まあ質はそれなり。
 お気に入りは火星基地での集合写真、雫と初H正常位、お風呂場Hフェラ、カズナを膝枕、カズナお仕事中(ポチ校長がラブリー)、カズナ、チャペックと散歩、カズナと添い寝、初H一枚目、ブルマーH(の主人公の類稀なる変態顔。。。)、布団の中でフェラ、リーティアのプラズマ砲、アクアとリーティア二人で食べさせ合い、リーティアのフェラ、クリスタルルームのココロ(正面向き)、アクアの次元斬、戦う校長、校長とアースクエイク、椅子に座るシャノン、満足げに死にゆく三人、ココロをお姫様抱っこ、ココロの粋なお別れポーズ、ヘンタイお断りあたりですね。


BGM(18/20)

 いつもながら質は高いです。ややボーカル曲が好みに合わなかったくらいかな。
 ボーカル曲は3曲。
 OPの『OVERDRIVE』はなんといったらいいか、テンションは高いんだけど曲というよりイントロっぽい。。。サビの部分は結構好きだけど、そこまでの繋がりがブツブツ過ぎてイマイチかなって。
 挿入歌の『you can’t hurry love』はいい曲なんだけど、あの多国籍メンバーの別れのシーンでこんな演歌調というか、浪花節っぽくていいのかなとちょっと思ったり思わなかったり。まあフォーク調だと捉えれば問題ないのかな。。。その辺の線引きがイマイチ難しい曲でした。
 EDの『setting sun』は荘厳で重々しく、全てを終わらせてまた新たな進化の日々に踏み出す力強さがイメージできる曲ですね。勿論そこに、失われた日々への愛惜をも込められているので、曲として以上に印象には残りますね。

 BGMは高い水準で安定してます。
 特にお気に入りはまず『クリスタル・ホール』。変哲もない穏やかな曲なんだけど、それが心の中のテーマだと思うと、その静謐さと安心感に思わず浸りたくなってしまう曲ですね。撥ねるようなピアノの旋律が特に好きです。
 もう一つ、『マキシマム・フレア』も大好きです。打って変わってわかりやすい、最高潮に盛り上がったバトルシーンのイメージですね。障害に向かって真っ直ぐ突き進んでいく炎のイメージが強く、とても気に入ってます。
 その他のお気に入りは、『サバイバル・レイヴ』『遥か彼方へ消える想い』『弾丸装填』『窮極兵装』『ココロ』あたりですね。


システム(8/10)
 
 演出はいつも通りですね。カットインを多用して、バトルの臨場感はしっかり出せていますし、立ち絵の動かし方も水準レベル、ムービーはかっこいいですし、特筆してこれはってところはないけどいい出来です。

 システムは相変わらずイマイチ・・・。
 そろそろワイド対応にしてくれませんかね。あとボイスカットの音声がダブるのも何とかして欲しいです。それ以外はさほど問題はないですが、こちらも特に素晴らしいと思うところはないのでこんなもんで。


総合(86/100)

 総プレイ時間22〜3時間。共通が7時間くらいで、個別に入ってからが5時間ずつとちょっとくらいですかね。ヒロイン数が少ないので一本ずつの尺は長いですが、密度の高さはキープしているのでずっとテンションあげたまま楽しめると思います。
 まあ全員能力者という割にパンピーの弱さがアレでしたが、その辺もシナリオの仕掛けの一つになってはいるし、展開も所々ぶっ飛んでいるとはいえ基軸的な部分にブレはないので、こういうバトル的な雰囲気が好きなら存分に楽しめると思います。
posted by クローバー at 06:45| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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