2011年04月04日

鬼ごっこ!

 明るく楽しめそうなコンセプト、加奈が可愛い、他に買うものない(笑)の三点セットで購入。


シナリオ(22/30)

 隙のない超訳。


 主人公の生まれは怪盗一家。
 かつてこの国には、鬼と呼ばれる種族が残した、様々な奇跡を起こす秘宝と呼ばれる道具がありました。
 今ではその存在は、伝承の中でのみ語られるものになってしまいましたが、しかしかつて存在したものは今でも人々にその価値を理解されないままで残っており、主人公の一族・怪盗温羅は、そうしたロストテクノロジーを回収・管理し、場合によっては人助けのためにそれを使用することもあたわない、いわゆる義賊と呼ばれる一族なのでした。

 そんな中、かつて鬼が島と呼ばれ、現在でも桃太郎とその家来の子孫が収めている美夜島に、偽者の温羅からの、秘宝を頂戴するとの予告状が送られます。
 その島では、桃太郎の子孫たちは御三家と呼ばれ、政の吉備津宮、護の坂上、財の西園寺はそれぞれ、温羅と同じようにかつて鬼が所持していた秘宝の管理・探索を行っており、現代では温羅とは袂を違えているものの、志は変わっていません。故に今回の偽温羅の予告状に対しても絶対阻止の構えで待ち受けていました。
 そして本物の温羅の一族としては、偽者に横行された挙句に評判を落とされるようなことがあっては面子が立たないと、三代目の温羅である主人公とそのパートナーの小温羅、妹の葵を島に送り込み、あわよくば御三家にも先んじて偽温羅騒動を収めようとしているのでした。

 着任早々に偽温羅への挑発と御三家への挨拶も兼ねて一暴れした主人公、その翌日からは身分を隠し、葵とともにこの島唯一の学園へと通うことになります。するとそこでは、運良く御三家の親族である灯や加奈、熊吉などとクラスメイトになり、また遺跡管理委員会に誘われることで、その会長である乙女や、葵のクラスメイトである暮葉とも知己を得ることになります。
 そうしたとんとん拍子の状況に、主人公は喜びを覚えます。
 勿論理由の一つは、偽温羅退治の情報収集のためですが、もう一つ、主人公の深いところにある想いは、これまで稼業柄転校続きでまともな友人や恋を経験できなかったけれど、比較的長期になりそうな今回の仕事と、そして運命的に関係性を構築できた状況から、今度はそういう、普通の若者らしい青春を謳歌するチャンスもあるのでは、というもの。
 様々な陰謀と思惑が交錯する中、まずは主人公、ともあれ自分の信ずる道を真っ直ぐひた走るのみでした。


 と、序盤のあらすじはこんな感じですね。
 キャラクター紹介などを見れば一目瞭然ですが、この作品は日本の有名なおとぎ話をモチーフに据えています。超常的な力というものは、無から作り上げるとそれに説得力を持たせるのが大変ですが、この作品の場合そういう部分の大半をおとぎ話に立脚させることで、読み手に対して冗長な説明がなくとも納得させられる下地としています。
 もっとも、シナリオの基盤に据えているのはそのモチーフのみであり、物語の骨格は大胆に換骨奪胎され、斬新な解釈でもって再編成されています。平たく言えばいくつかのおとぎ話の、盛り上がる場面をいいとこ取りして辻褄合わせをした、という感じですが、そういう風に、読み手に馴染みのある物語が根底にあるシナリオ構成と、バランスの取れたキャラ構成が組み合わさることによって、中々に説得力がありかつ面白い物語を作り上げることに成功しています。

 作風としては、とにかく明るさが目立ちますね。
 主人公からしてすごく前向きで、率先して馬鹿をやれるようなキャラですが、きちんと締めるべきところは締める、という印象で、ノリはバカゲーなのに所々でシリアスがきちんと効果的に作用している感じです。
 概ねどのシナリオにおいても、互いに興味を持つきっかけはそもそも構成の段階で与えられており、けれど立場の違いから友人になることは出来てもそれ以上は・・・という背景があるので、とにかく友達以上恋人未満の期間が非常に長いです。確かにそれはヘタレといえばそうなんですが、互いに想いに気付かないでそうなっているわけではないのでテキストとしては膨らみがありますし、そのくっつきそうでくっつかないもどかしさもまた、日々の楽しさの中に綺麗に埋め込まれていてバランスは取れています。
 そしてそこまでの長さに比例するかのように、くっついてからのバカップル化はすごいものがありますね。とにかくイチャイチャラブラブ、これまたそれなりの尺がある上にとても濃厚であり、思う存分ヒロインの愛らしさを堪能できます。

 そうした長い背景の上に、それぞれのヒロインにまつわる秘宝を巡っての事件が置かれ、そのドタバタの中で時には主人公の正体がばれてしまったりもしますが、そこまでで培ってきた関係性は決して脆いものではなく、また周りの友人たちもしっかり支えてくれることで、最終的にはどのシナリオもおとぎ話の定番、末永く幸せに暮らしました的なハッピーエンドに辿り着きます。
 ちなみに攻略には制限がかかっており、乙女は必ず最後になります。
 他三人のシナリオも、それぞれの立場の中できちんとした構成になっていますが、乙女シナリオはその三人+主人公の背景全てを網羅した内容になっており、それだけに話のスケールも大きく、展開的にはありがちだとしても非常に濃密で楽しめる内容になっています。
 葵が攻略できないのは非常に残念ではありますが、ここまで執拗かつひたむきに想いを向けてくる妹に対してそよとも情感を揺らがせない主人公は珍しいし、何よりそのひたむきさがなければ、乙女シナリオのラストの展開は見られなかったのではと思うと、これはこれで正しい姿なのかなと納得させられるだけのものはあったと思いますね。

 とまあ、比較的誉める部分ばかり強調してしまった感想ですが、勿論マイナス点もないわけではないです。ただそのマイナス点は、明らかにここはダメ、的なものではなく、読み手の受け取り方によっては評価が揺らぐのではないか、と思う程度のものなので、さして不満に感じなかった私としてはスルーしようかなと。
 シナリオ一つ一つが長さ・質とも合格点かそれ以上であり、私的に惜しむらくは、最終シナリオのヒロインが一番興味のない乙女だった、という部分に尽きるのですが(笑)、それでも総合的に見て、いい意味で発売前の評価を裏切る、非常に日本人好みの明るく楽しく甘々で熱血の物語であると思いますね。


キャラ(20/20)

 登場人物はさほど多くないながら、きちんとそれぞれに立場と信念が色濃く与えられており、その上に明るい笑いのエッセンスが強く塗してある感じで、読んでいて楽しいキャラ設定でしたね。
 またヒロインに関しては、とにかく関係性を構築するまでの時間、そして甘々な時間の破壊力が素晴らしく、大満足といっていい出来でした。

 一番好きなのはやはり加奈でしたね。
 まずもって外見・性格がストライクにも程があるのですが、ただそれだけでなく、坂上の当主としての責任感、善意に溢れた策士的側面、そして、友達想いで大切なものを守るためならば毅然と則を踏み越えていく強さがあり、どのシナリオでも非常に存在感がありました。
 そして自分のシナリオでの愛らしさは反則クラスですね〜。恋人未満のときの懸命かつ周到なアプローチとか最高に可愛かったです。欠点としては優しすぎる、の一言に尽きるのですが、それはある意味美点でもあるので、その部分を自身のシナリオに上手く組み込めたのは成功だったと思います。

 そしてダークホースというべきか、次点は鈴鹿だったり。
 まああんまり踏み込むとこのキャラの場合ネタバレ著しいのでサラッとになりますが、一番悲劇的な運命にありながら、常に加奈のことを思いやる優しさと、想いを真っ直ぐに抱え続けていても潰れない強さと一途さ、しかしながらその影には絶大な人恋しさと寂しさも抱えていて、主人公ではないけれど放っておけない印象の強いキャラです。加奈シナリオラストも良かったけど、乙女シナリオでもまた株が上がって、最終的にこの位置ですよ。。。

 んでその次に暮葉と灯ですかね。
 どちらも独り善がりで想いに素直になれないタイプではありますが、その分心を許したときの破壊力は素晴らしく、そこまでに至る時間も含めて、すごく攻略したなあってイメージの強い二人です(笑)。

 勿論葵も好きだし、乙女もそれなりには好きです。あと意外に好きなのが頭領。。。あの悲しみを背負い、覆い隠して生きる強さは中々痺れますね。


CG(18/20)

 原画二人で若干印象は違いますが、どちらも質はかなり高いですし、塗りの質感の美しさも含めてとても私好みだったと思います。

 立ち絵は服飾差分が相当あり、ややポーズ差分が少ないかな、とは思いますが、全体的に見てヒロインらしさはすごくきちんと表現できているかなと。
 お気に入りは、灯の照れ顔、笑顔、怒り顔、加奈の横向き笑顔、拗ね顔、照れ顔、正面向き笑顔、きょとんとした顔、鈴鹿の不遜な笑顔、暮葉のデフォルメ怒り顔、笑顔、照れ拗ね顔、泣き顔、乙女の笑顔、ワクワク顔、葵の困り顔、笑顔、怒り顔あたりでしょうかね。

 一枚絵は、イベント絵が77枚、SDっぽいのが50枚となり、コミカルな作風的にバランスは取れているものの、かなり一人一人のシナリオが長い分、ここにも絵があれば・・・的なところはなきにしもあらず、ってとこですね。出来は全体的に可愛らしくて素敵です。
 特にお気に入りは、灯の料理と加奈の初めてのキス。
 灯の料理はすごく素朴なシーンなんですけど、ここでの灯の柔らかい雰囲気がものすごく好きなんですよね〜。加奈のキスは背景といいポーズといい定番中の定番なんですけど、ちょっと背伸びしているところに加奈の頑張りが見えてすごく気に入ってます。
 その他お気に入りはページ順に、灯との出会い、おんぶで帰宅、海辺で服の裾をギュッと、キスと性的いちゃつき、ウェイトレス後背位、加奈(鈴鹿)の挑発、鏡越しの対話、肩を借りてうたた寝、鈴鹿との別れ、ウェディング、初H背面座位、メイド騎乗位、喉元に武器を突きつける暮葉、着替えを覗いて、キスまでもう少し、お風呂場でのアクシデント、髪を梳いて、初H1枚目、制服H屈曲位、体操着H背面座位、私服H対面座位、乙女に不意打ちのキス、葵に起こされて、あたりですかね。


BGM(17/20)

 全体的に和テイストですが、それを明るくポップにスピーディーに仕上げていて、いい意味で飄々とした雰囲気が良く出ていると思います。
 ボーカル曲は2曲。
 OPの『百花繚乱ファンタズム』はとにかく明るくて疾走感があり、耳障りのいい曲ですね。逆にBメロの、走り気味なのにしっとりしているところがいいアクセントになっていて好きです。
 EDの『桃色の花咲く頃に』は優しくウキウキした雰囲気の曲ですね。特筆するほどの部分はないんですがねこの作品のEDとしてはよくマッチしていると思います。

 BGMはノリがいい曲ばかりで耳障りがすごくいいですよね〜。特に捕り物のシーンは素敵です。
 お気に入りは『恥ずかしがり屋のmighty girl』『二人の絆』『見参!怪盗温羅!』『思い、悩めば』『いざ、尋常に勝負!』『百花繚乱』あたりですね。


システム(8/10)

 演出はまず水準級、でも総合力は高いです。
 フェイスウィンドゥですけど、動きは奔放とまではいかず、概ね画面半割で使われるので目で追いやすいです。立ち絵同期も完備していて、頻度はさほどでもないけれどきちんと効果的に使われていますし、背景演出やカットインなども過剰になり過ぎない程度。突出してすごくないものの、近年の演出面における良い部分をバランス良く組み込んでいるかなと。
 OPムービーは矢印をモチーフにして上手く追う追われる関係をイメージさせつつ、コロコロとコミカルに動く感じで好きですね。

 システムも問題なし。目を見張るような機能は取り揃えていませんけど、必要最低限に加えて実用的な機能はきちんと完備しているかなと。強いて言えば、右クリック選択がない割に、コンフィグ画面に行きにくいくらい?まあ上のバー使えばある程度事足りる問題ではありますが。


総合(85/100)

 総プレイ時間20時間くらい。共通2時間、個別は1人4〜5時間の範囲内だったと思います。個別の長さと密度の高さが、実際の時間以上にボリューム感を感じさせますね。
 内容的には、とにかくあらゆる部門において平均点のちょっと上、の作品だと思います。予想以上にシナリオの完成度が高く、熱狂的に盛り上がるというほどではないにせよ、とても気分のいい物語に仕上がっていますね。その上、恋人未満のもどかしさや甘々の関係もふんだんに盛り込まれていて、実に隙のない作品だったなあと。
 シナリオとBGM点でちょっとまだ揺らいでいるし、Aクラスは甘いかなあとも思うのでもしかすると年末調整にかかる可能性はありますが、今の暗い世相にはぴったりの、気分を前向きに明るくさせてくれる作品ですので、是非にお勧めしたいですね。
posted by クローバー at 06:07| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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