2011年05月16日

大帝国

 言わずと知れた大シリーズ最新作、今年度屈指の期待作ですので当然猫まっしぐら。


シナリオ(22/30)

 「和」の精神の真髄。


 宇宙歴939年、日本帝国は未曾有の危機を迎えていました。
 ワープゲートの発見により、それまで宇宙のあちこちで独自に活動していた人類の結びつきが強くなり、しかしながら別社会の発見における民族性の強まりから排他的観念が生まれ、宇宙は絶えず戦争と搾取の時代が続いていました。中でも、過去に偉大なる制圧航を敢行し、最大規模の植民地を抱えるエイリス、新興国家ながら、近年の第一次宇宙対戦において戦争特需で隆盛し、今ではエイリスを凌ぐ勢いのガメリカ、共有主義という思想によって統一的に支配されるソビエトの三大国家は、それぞれ更に覇権を広げようと、新たな戦争を目論んでいます。
 そんな中、宇宙最古の国家として独自の勢力を保ってきた日本は、近年の中帝国との戦争で疲弊し、大国にとっては絶好の狩場となってしまっていました。

 そんな状況を覆すべく、新たに帝によって海軍長官に任命された主人公。
 戦術指揮においては天才と呼ばれるほどの才能を発揮し、常勝を誇るエリートですが、また屈指の女たらしとしての異名を持ち、二年前に妻と死に別れてからは、何十人もの女性と関係を持ちながらも一切女性関係でのトラブルを引き起こさないという稀有な才能の持ち主。
 そんな主人公に託されたのが、今後牙を向いてくるであろう大国との正面衝突を凌ぎ、あわよくば攻勢に転じて、侵略主義に染まった世界を和の心で満たすという難題でした。

 「私と一緒に、日本を守ってくださいね。」

 そんな帝の言葉を胸に、今、新生日本海軍の歴史が始まるのでした。


 と、大枠としてはこんな話です。
 あらすじからも察せられるように、世界観は舞台を宇宙に挿げ替えているだけで、第二次世界大戦前の状況を大部分踏襲している格好です。序盤からハル・ノートもかくやという外圧がガメリカからかぶせられ、また欧州ではドクツ第三帝国が、天才アドルフの下に攻勢を展開し、世界の不安を逆手にとってのソビエトの共有主義が少しずつ浸透していく、そんな中で、日本は日本らしさを守るために戦いの渦中に飛び込んでいくわけですね。
 このあたりは少しでも世界史を好きな人ならば色々と感応するところがあると思いますし、そこに実際の昭和初期時代には植民主義に傾倒して失われていたに等しい、日本古来の和の精神を根底にしての制圧を落とし込むことで、少なくとも日本人にとっては色々と溜飲の下がる構成に仕上げてあるなあという印象です。

 ここで言う和の精神とは、敗者を不当に蔑まない、終わったことは水に流して対等に扱う、という武士道的な観点と、より多様な意見を常に国政の方針に取り込み、最終的には帝が方針を決定するという帝国式システムを鋭角化しない部分に象徴され、それを主人公の女たらしスキルがいい意味でも悪い意味でも助長しているという視点でおおよそ間違いはないでしょう。
 まあ要するに、かつては敵国の提督であってもどんどん味方に取り入れていくことで国力を増強するわけで、それを達成するための主人公の人間的魅力であり、帝の施政方針だということですね。

 EDは全部で9つあり(1つはある意味別枠ですが)、日本軍の侵攻の順番や、イベントでの選択などによって随時展開が変化していきます。それぞれの国にもしっかりとしたイベントは組み込まれており、複合的に世界の情勢が変化していくことで物語に厚みを持たせていて、しかも分岐そのものは結構序盤にあったりするので、少なくとも3〜4周はシナリオ面から楽しめる要素はあると思います。
 そして、かなり難易度の高い条件をクリアしたときのみに発生する真EDは、まさしく和の精神によって世界の才能の全てを網羅していることではじめて解決できる強大な敵との戦いが待ち受けており、ここまでの内容でチラホラ見受けられたあらゆる伏線をほぼ全て回収できているシナリオになっており、その熱い展開は流石の一言。苦労して辿り着く甲斐のある面白さだったと思います。
 あと個人的には帝ちゃんトゥルーエンドが好きですね〜。
 キャライベントはメインクラスのヒロインを中心にかなりのボリュームなのですが、実際のところ戦闘と平行して拾いきれないのが欠点といえば欠点。またイベントによって能力が上がることもありますが、それもほとんどが微々たるものなので、結果的に戦闘に直結するイベントくらいしか選択できず、世界統一してから思い出したように見る羽目になるので、あまり臨場感を感じられないのが勿体無いところですね。

 アリスのSLGといえば陵辱が付き物ですが、今回はそれがほぼ全て外伝的なキングコア編に集約されており(これが別枠ED)、まあ本編においては、特に一周目で地雷を踏む確率はかなり高いにしても、きちんと対処すればおおよそ回避可能な作りになっているので、見たくない人は見なくてもいい、という親切設計。普通に各国のメインヒロインクラスが毒牙にかかっているので、陵辱度合としてはさほどではないにしても、心理的にきついものはありますね。


 続いて戦闘システムについて。
 艦隊戦のルールはかなりシビアに線引きされていて、かつ偶発的要素がかなり少ない、概ね詰め将棋のような内容です。戦闘に入る前の段階でダメージ計算が簡単に出来るので、如何に味方の損害を少なくして勝利するか、そのためにどの場面に誰を投入するかという緻密な計算が求められます。
 艦隊が無傷である限り、他の艦隊との艦船の融通が可能で、新規に造船できる数も収入に依存しているため限られており、特に序盤から中盤は艦船の効率的運用が大きなポイントになってくる感じで、こういう偶発的要素に左右されないという内容は私的にはかなり好みです。まあぶっちゃけ、艦隊のHP残り1なのに無傷のときと同じダメージなんてどうやって出すんだ?とは思いますが(笑)。
 なので、まず重要なのは索敵で、こないだのパッチで索敵モードが搭載されたらしいですが、それまではとにかくセーブして特攻、相手の配置を見てリセット、を繰り返さないと、序盤から三国全てに囲まれた状況を覆すのは難しいですね。ターン数で敵も強くなっていきますし、それに例え圧倒的戦力を揃えたつもりでも、天候状況や敵の配置状況によっては勝てない、なんてことも多々あるので、そこは面倒でも仕様だと割り切るべき部分かなと。

 艦船能力としては、とにかく空母を如何に早く、数多く作れるかで難易度が段違いだといえます。最速で行動できて破壊力もそれなりに高い空母は、当然コストも割高ですが、なるべく無傷で進めるというコンセプトにおいては最も重要な艦船です。収入が激減する日本化ルートの難しさがある意味直結する部分かもしれません。
 次いで有能なのが潜水艦。運用に癖がありますし、どの場面でも大活躍とまではいきませんが、一定の条件化では鬼神の如き働きを見せます。特に大つきの防御艦を全種取り揃えてからならば、どんな場面でも活躍が見込まれるのですが、これもルート次第では作れる時期とかがまちまちだったりします。
 んで基本はレーザーなのですが、これは相手にもバリア持ちが多く安定運用はあまり期待できません。またこれを主戦力にする場合は索敵値にも神経を使わないと、すぐに相手に先手を取られてしまうので、破壊力と速さの折り合いに苦労する攻撃といえますね。
 
 そんな艦船にはそれぞれ指揮値が設定されていて、また提督にもそれぞれの指揮値の上限があり、提督の能力の限界と、それぞれの艦隊特性を生かした運用、配置が原則になります。
 とはいえ、上記のようにある程度有能性の序列がはっきりしているので、特別に一つの能力に特化したキャラでもない限りは、最終的にはおよそ固定化していってしまいますね。今回は難易度選択もないので、自分で何か制約を作らない限りは、ゲーム的な視点では2〜3周で萎えるかも、というイメージ。熱中度は決して低くないですが、副次的な要素があくまでユーザーに委ねられている感じなので、敢えて難しくして遊ぶ意志がないと作業プレイに嵌り込んでしまうかも、という懸念は出てきますね。


 とまあこんな感じです。
 SLGの場合、シナリオ点をシナリオと戦闘で半々に設定していますが、近作はそれぞれが11点くらいのイメージ。どちらも良くできているし、とっても面白いけれども、よほど効率よく回らない限り、シナリオ回収が終わるより前に戦闘面でマンネリ化するかもなあ、とは思います。
 期待を裏切らない水準であったことは間違いないですが、しかしやはり戦国ランスのゲーム性にはだいぶ及ばなかったかなあというのが素直な印象ですかね。



キャラ(20/20)

 登場キャラが多いので全てを拾いきれているわけではないですが、少なくとも主人公含めた主要キャラにはきちんとした背景と信念が設定されていて、それを上手く舞台設定と噛み合わせられていると思いますね。

 一番好きなのはやはり帝ちゃん。
 確かに帝という字面のイメージからは乖離した、ある意味インパクトのあるキャラですが、きちんと帝らしさが必要な部分ではそう振舞えるし、そうでないときにも、あまり立場に拘泥せずに心のままに動ける柔軟さがあり、そうした様々な顔が絡み合って実に魅力的に仕上がっています。当然見た目も超好みですし、いちいち言動が可愛いし、トゥルーエンドの幸せそうな雰囲気を見てこちらもすごく幸せな気分になれるキャラでした。

 続いてキャロル。
 彼女の場合展開次第によってはかなりきつい展開に巻き込まれたりもしますけど、ベストの条件が揃ったときの幸せに溢れた雰囲気がものすごく好きですね。特にダグラス絡みで女の子らしさ全開のときの破壊力といったら素晴らしいものがありました。惜しむらくは、ただ一回もラブラブなHシーンがなかったところか・・・。

 んでその次がセーラですね。
 彼女も色々と背負っているものが大きいので、展開によってはドンマイなんですが、そういう枷から解放され、女の子として立ち返ったときの戸惑いや恥じらいの振る舞いがものすごくいじらしくグッとくるキャラです。そしてムービーの立ち絵に一目惚れ。あれはかっこいい。
 あとはレーティア、パルプナあたりがヒロインの中では好みです。

 男キャラだと、やはり惹かれるのはロンメルとダグラス。生き様に信念のあるキャラは多いですが、その中で常に余裕と自信を感じさせる振る舞いがツボですね〜。それでいてめっちゃ純粋でもあるから素敵です。
 あとクーが可愛くて可愛くて・・・。ぶっちゃけその辺のヒロインを余裕で凌駕するし、イベントも一途さが満ち溢れていて面白かったですし、すごく印象に残るキャラでした。


CG(17/20)

 おおよそ勢力別に、何人もの絵師さんを使い分けているので、見た目での民族の違いみたいなのがイメージできるのはいいんですが、やはり出来にはかなり差が出てしまっていますね。量的にはさすがなんですが、そこは勿体無いところ。

 立ち絵に関しては、主要キャラでも差分はあって2つか3つだし、そもそもADVパートが簡素なので仕方ないですが、そろそろアリスももう少しここにも手を加えるべきじゃないかなあとは思うんですよね。
 お気に入りは帝ちゃんの暗雲、戦闘服、カテーリン膨れ顔、キャロル笑顔、レーティアの凛とした顔、ララーのウィンク、クーの男装スタイル、プリンセス笑い顔あたりしか思い出せないな・・・。

 一枚絵はある程度仕方ないとはいえ、もう少し通常イベントが欲しいってのと、あとは出来のばらつきを抑えて欲しいですね。かなり好みの絵柄も多いのである程度は相殺されますが。
 お気に入りは上から順に、帝ちゃんの儀式、帝ちゃん陵辱、東郷艦隊、ハニトラH、祀梨縛りH、帝ちゃんH、帝とともに、家族三人で添い寝、ミクロリータH、大日本帝国、品子とデート、みんなでバカンス、スカーレットとの出会い、成長した真希、レーティア&デーニッツ3P、CORE君臨、同盟パーティ、ランファ正常位、セーラ愛撫、セーラH、セーラと三騎士、若草会、フリスH、クー&ハンナH、ディスペルH、パルプナH、リディアH、カテーリンとダンス、カレー少女Hあたりですね。


BGM(19/20)

 宇宙が舞台らしく、スケール感のある楽曲。
 ボーカル曲は1曲。
 OPの『The Day Takeoff』は個人的には超神曲。大シリーズの定番なのかは知りませんが、要所要所で連続した音程で畳み掛けてくるイメージが物凄く好みなんですよね。全体のバランスも秀逸でどこもかしこも好きですが、特にBメロのメロディラインと歌詞が劇的に気に入ってます。

 BGMも質、量ともにばっちり。
 特にお気に入りが『出撃命令−波』と『一斉射撃−波』。全体的に宇宙艦隊らしい軽やかさが維持されつつも、煮詰まってきた世界の重みをも感じさせる雰囲気がすごく滲み出ていて印象深いです。
 その他お気に入りは、『自由と正義と平等と』『女王陛下に栄光あれ』『立ち上がる天才』『諸国跳梁』『The Day Takeoff −the truth−』『遠き世界』『出撃命令−伊、呂』『非常事態!』『B&T』『一斉射撃−伊、呂』あたりですね。


システム(8/10)

 演出はまあ、戦闘関連はそれなりに力入っているし、これだけの戦闘演出をこの軽さで組み込んでいるのは大したものだと思いますが、相変わらずその他の部分ではほとんど手が加わっておらず、この割り切った感がらしいといえばらしいんですが、やっぱりちょっと物足りないかなと。

 システムも悪くはないですがもう一息。
 やはりワイド対応していないのは、折角迫力ある作品だけに勿体無いと思いますし、あとスキップが微妙に止めにくいのが難点といえば難点。セーブ&ロードはシステムを変えてきましたけれど、これはどちらでもいいかな。お気に入りセーブはあっても良かったと思いますがね。


総合(86/100)

 総プレイ時間は私の場合100時間前後でした。だいたい初周は25〜30時間くらい、まあ最も効率よくEDを回収したとしても、全てを網羅するには最低限3周+αは必要なので、まあ70時間くらいが目安になるのではないかと思います。
 大作の名に恥じないボリュームとゲーム性のある今作ですが、名作には今一歩足りなかったかなあという印象。何が足りないか、と言われるとそれはそれで微妙なんですが、強いて言えばどこか淡白なイメージがあるんですよね。それでも長く遊べて熱中度もそれなりに高く、難易度も慣れるまではそれなりなので、時間があるならば是非手に取るべき作品だとは思います。
posted by クローバー at 05:41| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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