2011年07月04日

Rewrite

 まあ鍵ゲーだし買わない理由はないと。


シナリオ(23/30)

 世界の慟哭。


 緑化都市・風祭。
 世界中で環境問題が様々に提起される中で、都市そのものを環境対策のモデルとしたこの街は、自然との共存を標榜しつつも、しかしその実体はあくまで人間にとって過ごしやすい緑化の域に留まっていました。
 
 そんな街で生まれ育った主人公には、生まれつき不思議な力が備わっていました。それは自身の意志において、何の制約もなく能力を向上させられるというもので、この力のおかげでこれまで楽に生きてきた反面、努力もなしに手に入れられるそれを恐れ、またそうした特殊性を抱えた自分がどうしても周囲に馴染めないことに悩んでいました。例外は幼馴染の小鳥だけで、生き方に感銘して仲良くなろうとする吉野にはすげなくされてばかりと、どうにも身の薄い学生生活を送っているのでした。

 ある日、自身の身の回りに不可思議な心霊的現象がまとわりついていることに気がついた主人公は、解決策を求めて学園のオカルト研究会を尋ねます。そこはもはや部活と呼べる状態でなく、ほぼ部長である朱音一人の私室と化していましたが、彼女が与えてくれた解決策で小康を見たことに加え、朱音が実はオカルト否定主義者であることを知り、自身の能力からしてもそうではないということを知っている主人公は、それを証明すべく学園のオカルト探しに躍起になります。
 その過程で、旧知の小鳥はもとより、転校生のちはややクラス委員長のルチア、年下のフーキーンである静琉などと交流を深め、いつしかどこかはぐれたもの同士の集まりとしてオカルト研究会に集うようになります。元々こうした普通の繋がりを心から欲していた主人公は、本来の目的もそこそこに気の合う仲間と過ごす日々を無邪気に堪能していましたが、その先に待ち受けていたのは残酷な真実でした。

 歴史の裏で暗躍する二つの組織、彼らはともに超常の能力を用い、それぞれのイデアをもって、地球の環境に危機が訪れたときに現れるといわれる「鍵」と呼ばれる存在を求めていました。
 オカルト探しの活動の中で、その禁忌の組織に触れてしまった主人公たち、そしてその結果としてバラバラになってしまったオカ研、ついこの間まで普通にそこにあったごく普通の日々を取り戻すため、主人公は非日常の世界に足を踏み入れます。果たしてその先に待ち受ける運命は、そして「鍵」の正体とは?袋小路の未来の果てに辿り着いた真実を知ったとき、世界を変える愛が目覚める―――。


 うーん、あらすじはこんな感じでしょうか。
 これまで鍵の作品というと基本的に人間性の純なる部分に強くスポットをあてたものが多かったわけですが、今作は多少色合いを変えて、勿論そういう要素はしっかり残しているものの、主に環境問題に対する啓発を通して、人のエゴイズムを深く掘り下げてきたなあというのが率直な印象です。
 環境問題に関して言うのであれば、あくまで人間原理的な側面からなされる環境対策に対するアンチテーゼとして「鍵」という存在を駆使することで、人が人として本質的に取り組むべき在り方に肉薄しています。無論これは物語の中における設定内での解決ではあるのですが、大切なのは方法論ではなく考え方であるのはここで言及するまでもない明白な事実なので、物語の完成度を損なうものではないと感じます。
 
 そしてもう一つ工夫がなされているのは、世界にアプローチするタイミングの部分ですね。
 ポイントオブノーリターン、すなわちそれ以上は引き返せない一線というのは、果たして現実においてどうかは私は寡聞にして知りませんが、作品内ではきちんとそのポイントを明確にしており、主人公が学園生活を送っている時点では既に袋小路であるというのが大きな特色です。
 ヒロインルートはそれぞれ、様々な立場やスタンスから世界の抱える問題に立ち向かう形になるわけですが、どれもが一個の物語としての完成度はしっかりしていても、完全な解決に至ることはなく進みます。そうしたあまたの失敗の記憶を経て辿り着いた真ルートにおいてのポイントは、やはり時間軸の問題を曖昧におかず、しっかり主人公の視点において解決できていることが挙げられるでしょう。
 その機軸をしっかりと据えた上で、ではどうすれば世界を変革できるかという根源の部分に、一つの想いを据えることで解決に導くというのは中々にスケール感があり、真ルートの主人公の行動に芯を与える結果になっていて、やはりこういう構造の構築は素晴らしく卓越しているなあと思いますね。書き換えるべき運命の在り処とともに、話として綺麗にまとまっていると思います。

 ただ個人的に今回あまりすっきりしなかったのは、色々な要素、特にバトル的な要素を色濃く詰め込んだことで、鍵独特の幻想的な世界観と純然たる想いの昇華の部分の浸透度が弱まってしまったかなあと感じたことですね。単純にバトル要素との噛み合わせが悪いというのもありますし、感動的な要素に行き着く道のりがそのせいでうねって届きにくく、結果としてがつんとくる部分があまりなかったまま終わってしまったのが、これは鍵ゲーだとして見た場合には不満になりますね。
 共通やヒロインルートも、仕掛けの一つとはいえどことなく主人公が上滑りし続けているのに疲れる部分はありましたし、それに何より、「鍵」の存在に共感を寄せにくいというのが率直なところでもあります。人間原理の埒外である以上、ある程度はそういう風に書かざるをえないのは確かですが、その制約に忠実過ぎてもう一つ何かが足りなかったとは言えるのではないかと。

 そんな感じで、なるべくネタバレしないように書いたらえらく抽象的かつ観念的な感想になってしまいましたが、まあ簡単にいって、面白かったですけど感動や感銘という意味では今一つ、トータルして良作であるのは間違いないけれど名作には届かなかったかなあというイメージですね。
  

キャラ(20/20)

 まず主人公の作りこみが非常に繊細で上手いと思いますね。そしてヒロインも、シナリオの都合上どうしても負の要素は抱えざるをえないながらも、その中でしっかりと自身を立脚して強く生きている部分が仄見えて印象には残りますし、そして相変わらず男キャラの無駄なかっこよさが素敵過ぎます。。。

 ヒロインで一番好きなのは静琉ですね。
 あの寡黙だけど人懐っこい小動物的雰囲気と、どこまでも真っ直ぐに優しい心根がすごく魅力ですし、からかわれているときの反応とかも一々可愛いです。シナリオ的にも大活躍ですしね〜、静琉さんマジパネェっす。。。
 次点は小鳥とちはやかな。
 小鳥は真ルートまで見ると、背負っている諸々の悲痛なまでの重さに愕然とさせられますよね。あれだけの運命の中でああも飄々と、おそらくは主人公のためを想って暮らしていたのかと思うと感涙を催します。それはそれとして、あの惚けた雰囲気はとても好きですね。
 ちはやもおバカな子ではありますが、大切なものを真っ直ぐ大切だと言える強さと、その信念を胸に真っ直ぐ人に当たっていけるところが非常に魅力的でした。

 男キャラだとやはり吉野はいい立ち位置だったなあと。
 物語の流れそのものにはほとんど影響のないキャラなのに、主人公の心情的な部分では一番多大な影響を与えているともいえるし、それを口で伝えるのではなく、常に態度で示しているあたりがすごく魅力にうつりますね。
 江坂や咲夜も素晴らしくかっこよかったですけれど、どうしてもバトル能力に依存した部分はあるので、個人的に吉野には一歩引くかなあと思います。

 あとちびもす可愛い。。。


CG(16/20)

 相変わらずというか、独特の絵柄ですね。量は充分ですけど、質は今回は特にもう一息かなあ。逆に背景のレベルは更に上がっているだけに余計に浮き上がるというべきか・・・。

 立ち絵に関してももうちょっと、ではありますかね。
 服飾は2パターン(一部子供の頃とかもあるけれど)、ポーズは基本3パターンですかね。構成的には足りていますけれど、ちょっと寂しい感じはあります。表情差分も豊富とは言えませんしね〜。微細な感情表現とかはそれなりにきちんとしているので余計に勿体無いと言うか。
 お気に入りは小鳥の困り笑顔、いじわる顔、ちはやの呆れ顔、慌て顔、怒り顔、朱音の澄まし顔、呆れ顔、小悪魔顔、ルチアの怒り顔、静琉の幸せ顔、小首を傾げた顔、照れ顔、驚き顔、西九条先生の笑顔、しまこのどや顔、吉野のせせら笑い顔、咲夜の意地悪い笑顔あたりですかね。

 一枚絵はそれなりに安定しているとは思うけど、やはりどことなくバランスの悪さは目立つし、キャラの可愛さが安定していないイメージはあります。
 お気に入りはページ順に、小鳥とちびもす、過去の告白、一緒にお祭り、着替え、主人公を庇うちはや、咲夜との対決、朱音の握手会、ケロピー魔術、抱擁と涙、2人の旅路、中庭の静琉、メイド服、死なせない、一緒に秋刀魚、樹の根元で、ルチアとデート、江坂と対峙、去り行く龍、回想・篝、樹形図・篝、光臨・篝、笑顔・篝あたりですね。


BGM(19/20)

 流石に質・量ともに素晴らしい出来です。
 ボーカル曲は・・・一応7曲でいいのかな。吉野ソングとかは抜きで。。。
 全部書くのは大変なので好きなのだけですが、まずOPの『Philosophyz』は神曲ですね。実に鍵らしいイントロの力強さと幻想感と広がり、そして意味深な歌詞と透明感のある音の響きに惚れ惚れとします。
 ヒロインEDの『闇の彼方へ』もかなり好き。この突き放したようなサビのリフレインの雰囲気がすごく気に入ってます。
 そしてグラントEDの『CANOE』も素晴らしいですね。特にサビの部分の情感満ち溢れた旋律はたまらなく好きです。人の業というのをしっかりと見せつつも、それを美しいものだと感じさせるあたりのバランスが最高だと思います。

 BGMもらしさがよく出ていていいですね。
 特にお気に入りは『旅』と『sorrowless』ですかね。
 前者は正に鍵ゲーというべき神秘感と透明感がすごく良く出ていて、それでいて震えるほどの重々しさも兼ね備えていて、とにかく大好きです。
 後者は哀愁に満ち満ちた中でももがいて足掻いて何かを掴み取ろうとする切なさが、特に後半の旋律から強く滲み出ていてすごく印象に残る曲でした。 
 その他お気に入りは、『花蕾』『ニリンソウ』『カーネーション』『ヒナギク』『深層森林』『Potted one』『散花』『Finale』あたりですね。


システム(8/10)

 演出は水準かちょっと上かくらいでしょうか。
 立ち絵の動かし方は独特で面白かったですね。このエンジンここまで動くんだとちょっと感心しましたが、全体的には切り張りの部分も多いので、このへんは使い方の妙とも言えます。ドタバタの部分では上手く作用しても、バトル部分でもう一息なのは惜しいんですが、このあたりは経験値不足でしょうか。
 ムービーは一つ目は普通、フルアニメは良く動いて絵柄も安定していい感じです。

 システムも普通かなあ。
 特に使いにくいって感じもないんですが、どことなくクラシックな雰囲気というか、お手軽感のない印象ではありましたね。スキップはそれなりに早いですが、選択肢ジャンプも欲しいところ。マッピーはいちいち更新しなきゃなので結構面倒・・・、というか結局話にどう影響があるのかわからなかった。。。


総合(86/100)

 総プレイ時間30時間弱ですかね。共通5時間、ヒロインルートが3〜4時間で、真ルートが合計で7時間くらいでしょうか。まあマッピーで彷徨っていた時間もあるからもうちょっと短縮は出来そうですが。
 まあなんというか、コメントに困る作品ではありますねぇ。面白いしためになるんですけど、ここは、っていう推しポイントがないというか、むしろ鍵らしさとロミオ氏の良さが絶妙に相殺されてしまっているのではないかと思えてしまう部分もあり、私としてはちょっと微妙でした。
 それに、構成としてはきちんと納得できるんですけど、メインのヒロインに共感できるかと言われると難しいのがね〜。既存のヒロインのイメージとはまたちょっと離れた野心的なキャラですし、そのあたりがどう受け入れられるかではないかと思います。
posted by クローバー at 06:48| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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