2012年04月04日

DRACU−RIOT!

 まあゆずの新作ですから買わない理由はないです。キャラも絵も可愛いしね。


シナリオ(21/30)

 おいしいとこ贅沢盛り。


 海上都市アクアエデン―――。
 そこは十数年前に試験的に建設された人口浮遊島であり、この地を何より有名にしているのは、日本国内で唯一合法的なカジノや風俗街を集中的に経営している歓楽都市という点にありました。当然この地には巨万の富が流れ込むことになり、今では国家予算の一枠を担うまでの巨大産業に発展しているのです。

 しかし、そんな表の顔とは別に、この都市には裏の顔もありました。
 それは、この地がやはり世界で唯一合法的に認められた吸血鬼の居留地ということなのです。
 一般にはその存在さえ秘匿されている吸血鬼ですが、ことこの都市においては街の自治そのものを吸血鬼が担っているほどで、人間と吸血鬼が平等に暮らせる社会という謳い文句を立て前に、種としても能力も大きく違う2つの種族が、一応は融和して暮らしているのでした。

 そんなことは露知らず、ある日友人と一緒に行楽のためにこの街を訪れた主人公は、道案内を頼んだ少女が別れてすぐに誘拐事件に巻き込まれるのを目撃し、正義心を発揮してその動向を追跡したものの、ドジを踏んで逆に誘拐犯に捕まってしまいます。
 結果としてその誘拐は、その少女・美羽が所属する風紀班、この都市における治安維持部隊の仕組んだものであり、囮捜査にまんまと引っかかった犯人を確保して一件落着となるところでしたが、犯人の中に吸血鬼が混じっていたことで事態が急変し、ふとした油断から、その吸血鬼に人質にされてしまった主人公は、せめてもの抵抗として怪我した犯人の手に食らいつきますが、その直後に昏倒してしまいます。

 事件そのものは、美羽が吸血鬼の力を行使して解決しますが、吸血鬼の血を吸ったことで主人公自身も吸血鬼と化してしまいます。しかし、本来はそんな簡単に吸血鬼化が起こるものではなく、生態的に特異なケースとして、更に言えばこの都市のルールで、主人公はこの都市から離れられなくなってしまいます。
 もっとも、天涯孤独の身でフットワークも軽い主人公は、最初こそ色々考えていたものの、どうせならこの境遇を受け入れて楽しまなくては損だと思うようになり、美羽の紹介で吸血鬼の通う学園に編入し、その学園の寮で新生活をスタートさせることを決意します。

 寮で主人公を迎えてくれたのは、寮長で人間の梓、新入生の吸血鬼・莉音とエリナ、同級生の吸血鬼・ニコラなど、中々に癖のある楽しいメンバーで、今までずっと1人で暮らすことが当たり前だった主人公は、その境遇を新鮮に感じ、やがてかけがえのないものだと思うようになっていきます。
 これも都市のルールで、学園に通いつつ、美羽と梓が所属する風紀班に所属することにもなり、この吸血鬼のために昼夜が逆転した歓楽都市で、学業に、交遊に、仕事に、様々な新しい体験に日々投げ込まれて、そんな生活を今までのものと比べて実に充実している、人間に戻れなくてもずっとここで暮らしていきたいと考えるようになって行きます。

 しかし風紀班の仕事の中で、主人公の体質が単なる吸血鬼とは違うかなり特異な物であることが明らかになり、それと同時にこの島に巣食うアンダーグラウンドがもたらすきな臭い事件も頻発するようになり、人間関係や社会的動向など、様々な意味で主人公は乗り越えるべき壁にぶつかっていきます。
 これは、種族の壁を越えて自分の居場所と幸せを掴み取るための物語です。


 あらすじはこんな感じでしょうか。
 大枠として括るには多少シナリオに幅があるのですが、雑多にまとめれば、吸血鬼という種族が存在することそのものが本質的な問題であり、そこから派生した様々な問題を解決に導くことで、自分が今の自分のままで生きていくための基盤を手にするために、ヒロインと手を取って奮闘する、という形になります。
 基本的な部分では、多くの物語が採用する吸血鬼像を踏襲したものになっていますが、この作品における特徴は、近代社会と交じり合って暮らすに際しての数々の問題を緻密に設定していることと、あとは吸血鬼の上位種の設定にあると思います。
 普通の吸血鬼もののように存在が露呈していないのではなく、存在を如何に認知させ、共存していくかというのがシナリオのテーマとして確立していて、吸血鬼の持つ力のメリット、この都市に集まる富の力に対する思惑など、より社会的な視点で問題が発展していく感じです。

 テキストについては、特別衒った部分はなく実にシンプルで掛け合いが楽しく、ここまで綴ってきた雰囲気とは裏腹に、概ね前向きで明るいノリで綴られています。きちんと要所では心理描写や設定描写も的確に加えられていて、抜群のセンスは感じなくても実に丁寧に紡がれているなあとは感じますし、読んでいて特に問題は感じないですね。

 構成についてはややブレを感じます。
 共通ルートにおいて、この都市の問題と主人公の体質の問題、そして吸血鬼ドラックの問題に踏み込んでいて、そのあたりが全てのルートで前提となるのかと思いきや、ルートによっては全く別路線からの問題に塗り替えられる場合もあり、そのあたりに曖昧さがありますね。まあ主人公の体質の問題だけは全てについて回りますが、それ以外はルートによってはうっちゃられていたりするのが惜しいと感じるところ。
 また、特に梓シナリオで感じたこととして、2人の関係の進展とは無関係の外的要因がそのルートでだけ発生する理由付けがなく、エリナシナリオでは逆にその点ほぼパーフェクトにクリアできているだけに、詰めの甘さが勿体無いなあと。折角共通で骨格的な全体設定を提示しているのに、形式的にでもそれに触れないでスルーしてしまうのはどうしても完成度の視点からだと劣って見えてしまうのです。

 シナリオに関しては、構成における問題を引きずってやや説得力に欠ける部分はあるものの、概ねはいい出来だと思います。
 今回はヒロイン4人(+α)ですが、前作までに比べると一人あたりの尺はしっかり長くなっていて、全体的なボリュームは変わらないかむしろ多いくらいになっています。
 その要因としては、当然今回吸血鬼とそれにまつわる抗争をシナリオの軸の1本に据えているからで、とはいえ今までの路線であるイチャラブなどを疎かにはできないので、付き合うまでのもどかしい雰囲気、イチャラブ、濃厚H、そして2人にかかわる事件とその解決と、あらゆる要素において不足感を感じないように作りこむために必然としてのヒロイン数設定だったと感じさせる、実に丁寧な出来でした。
 メーカー的流れで見れば、近年の作品のキャラ重視の作風と、2〜3作目の設定・シナリオメインの作風を上手く融合させて、やるべきこととやりたいことを濃密に詰め込んだ作品だといえるでしょう。

 まあだからといって素晴らしいと手放しで誉められるわけではなく、上で書いたようにシナリオにダイナミズムを組み込んだはいいものの、根幹設定からのズレやルートごとの齟齬などがチラホラ目立つ部分はあります。特に梓ルートは根幹設定の部分にも微妙な色合いの違いがあって気になりました。
 また、根幹設定ものとしてはトゥルーにあたるルートがなく、一人のヒロインのシナリオにおいて別ヒロインのネタバレは極力避けるという方針のために、その設定がもたらす説得性や感動もそれぞれのルートに分散してしまって、結果どれも水準は高いものの突き抜けた面白さではない、という結果になってしまっているのが惜しいです。
 まあこの方針でもきちんと齟齬を潰して設定突き詰めれば充分に名作判定レベル(25点前後)は出せるポテンシャルはあると思いますし、その辺はまた次に期待というところでしょうかね。

 ちなみにシナリオで一番好きなのはエリナ。これは本当に選択肢に意味が見出せて、2人が取った道筋と関係がその後の展開にきちんと反映しているし、強いて言えばL関連放り投げているのが勿体無いですが、エリナというキャラが抱える設定が生み出すものがあらゆる要素に濃度を与えていてかなり好きです。
 次いでやや最後が派手になりすぎてはいるけど美羽、単体としては結構好きだけど調和の視点だと微妙なのが梓、莉音はキャラ的にもシナリオ的にもやや弱く、ともすると他ルートの設定補完にしか価値を置けない印象もありますが、それでも平均点は出せていると思いますね。


 以上、まあ細かいこと考えずにイチャラブとHを堪能する限りでは実に質の高い作品であることは間違いないですし、この点数の大半もその部分から抽出したものになります。この点においては業界屈指の完成度を見せていると思うし、そこから更に上積みをという姿勢そのものは大歓迎しますので、今後もこの路線で続けていって欲しいです。


キャラ(20/20)

 ヒロインがめっちゃ可愛いのは当然として、今回は登場人物それぞれが信念と主義を抱え込んでいて、これがストーリーとしっかり連動する形で展開されるので、全員が非常に存在感を持ち、重厚な雰囲気を形成していると感じましたね。

 一番のお気に入りはエリナ。
 色々とあけっぴろげな子ではありますが、実はこの作品において、特に恋愛が絡んだときの関係性の潤滑油となれるのがエリナしかいなくて、そういう場面で確実に正解を引いていく心の機微に対する観察力(直感かも)と、心から幸せになってほしいと願う善意の強さにはかなり惹かれるものがありました。
 そして、そんな子が何で自分の距離感だけは遠いままなのか、という疑問がきちんと個別でクリアされていて、そこで見せてくれる様々な新しい感情が物凄く可愛いんですよね〜。それこそ箍が外れたように泣いて笑って甘えて、本当にその心をしっかり守ってあげたいと感じさせる破壊力がありました。
 エリナシナリオが他より吸引力が強かったのも、その出だしの関係性の構築の強固さに起因すると思うし、終わってみればダントツで好きなヒロインになりましたね。

 次点は梓かな。
 見た目や喋りでは一番好みと言ってもいいし、普段から振りまいている愛らしさが個別では更にブーストしてそれはそれは可愛いんですけど、この子の場合最初からきちんと自分の意志と信念を持っていて、それがシナリオで二人の道を歩んでいく過程で上積みされるかと言われるとそうでもなく、結果的に最初に受けた好感から大きく逸脱することなく終わってしまったかなと思います。

 そういう意味でより不遇だったのが莉音で、彼女の場合自分以外のルートでほとんど蚊帳の外という立ち位置、個別においてもその性質を反映した手探りのイチャラブはそれは可愛かったんですけど、シナリオ的に彼女がいるから、という部分はあまりなく、もうちょっとフィーチャーできる部分はなかったかなあと感じます。
 勿論帰るべき場所の象徴としての立ち位置もありますが、それはイメージを強化する要素とまではいかなかったですしね。

 美羽も水準以上には好きです。照れ屋なのに言葉責め大好きな難儀な性格はともかくとして、恋心を自覚して悶々とするあたりの独白の個性が煌いていて、シナリオ的にも共通から色々な場面で主人公の支えとなる描写があるので、最後の最後には絶対の味方となるという信頼感が強く滲み出たキャラだったなあと。

 ニコラは普通に可愛かったけど、あの偽乳がなければなあ(笑)。
 ひよちゃんも出来れば攻略したかったです。あのワタワタした雰囲気大好き。
 そして主任渋いっ。。。


CG(20/20)

 いつも通り絵としては好みど真ん中ストライク、質も量も水準以上で文句はないですね。

 立ち絵に関してはこれでもかってくらいに豊富ですね。
 ポーズこそ基本的には2種類ですが、細かい差分は沢山あり、らしさを厳選した立ち方にもなっているので特に問題はないでしょう。お気に入りはエリナ左向き、美羽正面向き、梓正面向き、ひより正面向きあたりかな。

 服飾は1人5種類程度、裸やオプション含めればもうちょいありますかね。着ている服装によって髪形がちょっとずつ変わるのもいつも通りの丁寧な仕事で、デザインセンスも相変わらず卓越していて文句のつけようがない出来だと思います。
 お気に入りは美羽私服、梓制服、巫女服、パジャマ、莉音パジャマ、ウェイトレス服、エリナ制服、私服、パジャマ、バニー、水着、ひより私服、ニコラ改造制服あたりですね。

 表情差分は相変わらず大量過ぎてびっくりするくらいですね。まあ頬染め差分とか細かいものも分別しているとはいえ、一番少ない莉音でも100種類以上、一番多いエリナで150種類近く搭載しているんだから凄まじいとしか言いようがないです。それでいて一つ一つの出来も素晴らしいですしね〜。
 
 特にお気に入りは3種類ほど。
 まずエリナにひひ笑い、これは本当にエリナらしさがすごく良く出ていて、この顔をしているときのエリナは本当に幸せそうで好きなんですよね〜。
 次にエリナの正面向き口半開き泣き顔。この精神体が退行したような、全ての重荷を投げ捨てて感情のままに、という雰囲気の泣き顔が、彼女の背負っていたものと相俟ってすごく可愛く、守ってあげたいと思わせる破壊力になっています。
 最後に梓泣き怒り顔。梓は泣き顔全般にすごく可愛いんですが、そのなかでも自分らしさを一番出せているのがこのちょっと怒った雰囲気も組み込まれている顔じゃないかなと思います。

 その他お気に入り、といっても全部精査してはいないんですけど、ある程度印象でつまみ出してみますね。まあとりあえず言えるのはエリナは全部可愛い、梓パニック、照れ笑顔、拗ね顔、怒り顔、笑い顔、困り顔、ドヤ顔、美羽からかい顔、照れ顔、照れ怒り顔、憂い顔、照れ拗ね顔、ジト目、莉音笑顔、きょとん、拗ね顔、半泣き顔、上目遣い、照れ笑顔、ひよりジト目、慌て顔、困り顔、ニコラぐすん顔、ドヤ顔、キラキラ喜び顔あたりでしょうかね。

 一枚絵は普通のが100枚、SDが20枚と水準以上の量で、出来もいつも通り安定かつ可愛らしさが煌いていて非常に好みでした。まあ梓の一枚絵がときどきどうしてものぞみんに見えてしまうのはご愛嬌ということで。。。

 特にお気に入りは7枚。
 1枚目はお風呂美羽。この煩悶っぷりが実に可愛くて最高ですね。
 2枚目は梓に吸血。まだここでの距離感と恥じらいが色濃く出ていて、それが逆にエロい。。。
 3枚目は梓背面座位。やっぱりちっちゃい子にはこれがないとと私大満足。
 4枚目は台所に立つ莉音。この全力新妻風味の可愛らしさと安心感は素晴らしいです。
 5枚目は莉音初Hキス。このあどけない表情から、必死さや愛らしさがつたをってきてすごく可愛いです。
 6枚目はエリナ添い寝。この安心しきって幸せそうなエリナの雰囲気が最高ですね。
 7枚目はエリナリボンHバック。構図的にも、ボディラインも、表情も全てが好みでした。

 その他お気に入りはページ順に、人質美羽、キス、イチャイチャ、自慰、正常位、フェラ、立ちバック、騎乗位、プール梓、AV鑑賞、キス、あーん、あつい〜、抱き寄せて、手を握って、海辺で、初H正常位、巫女服騎乗位、下着正常位、事後、ウェイトレス莉音、お風呂でばったり、清拭、ドッキリデート、合気道、誓い、結婚式、パイズリ、背面屈曲位、バック、エリナお風呂上り、ディーラー、オイル塗り、吸血、キス、市長と対峙、脱出、再会、初H正常位、バニー愛撫、リボン正常位、フェラ、バック、騎乗位、ニコラは女の子?、目隠しフェラ、立ちバック、梓を守って、あーん、オイル遊び、以下SDでぽむぽむ、エリナごろごろ、きょろきょろ、銃の練習、フランクフルトあたりですね。


BGM(15/20)

 うん、相変わらず何故かここの音楽はイマイチ当たらないんですよね〜。歓楽街の退廃的かつリスティックな雰囲気が全体に滲んでいて、質も量もそれなりにいい出来だとは思うんですけど。
 
 ボーカル曲は2曲。
 OPの『Scarlet』は疾走感の中にどこか殺伐というか雑多というか、そういうごみごみした雰囲気が組み込まれていて悪くないんですが、曲としてイマイチ、特にサビがあんまり気に入らないんですよねぇ。
 EDの『君だけの僕』も悪い曲ではないけれど、そこまで印象に残る部分もない、実に普通にEDらしい曲だなあって。

 BGMは全部で35曲かな、まあボーカルインストなどもあり、アレンジも多いのですけど、量としては充分だと思います。でもやっぱりこっちもこれは、ってのが一つもなかったんですよね・・・。
 お気に入りは、『Daily night』『Accomplishment of the adult』『Love insident』『Growing!』『Assault!』『Embrace』あたりですね。


システム(9/10)

 演出は上々ですね。
 目立ってすごいという部分はないものの、キャラ演出をメインとして動きをスムーズに、臨場感があるように見せる工夫は随所に込められていて、まあ強いて言えばHシーン演出をもう少し頑張ればと思いますがまあ文句はないです。
 ムービーはフルアニメーションですが、出来は悪くないものの構図に関してはさほど目新しさがなく、わざわざアニメーションにした独自性があまり出ていない感じはしました。

 システムも問題なし。
 いつも通りのシステムなので特に不備はなく、選択肢ジャンプが更に高速になったのでプレイ感は非常に快適でした。ただその分基本のスキップはやや遅いんですが、まあこの設定だと使わないですしね〜。何気にスキップお気に入りなので、普段は丸ゴシック愛用派ですがあるとこれはこのまま進めてしまいます。作風に合ったフォント、というのも結構大切ですよね。
 ただこのブラッド色そのものは最後まで目に馴染まなかったかも。コンフィグデザインとかは結構好きなんですけどね。


総合(85/100)

 総プレイ時間22時間くらいですね。共通4時間、個別3.5〜4.5時間の間でニコラは1.5時間くらいの勘定です。一人あたりの尺は長いですが、求められる要素がバランスよく不足なく配置されていて、決して冗長感はないですし安心して楽しめる一作ですね。
 私としては配点的にもあまりにもいつものゆず、って感じですが、なんだかんだでようやくAクラスに届いたので感慨深いですね〜。決して名作とは言えないけれど、万人に受けるという意味では間違いなくトップクラスの質ですから、ちょっとでも興味があれば手にとって間違いはないと思いますね。
posted by クローバー at 05:43| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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