2012年05月17日

創刻のアテリアル

 去年の神採りは素晴らしく楽しかったし、体験版も良かったし、ヒロインもシャネル筆頭に中々好みだったので迷わず購入。


シナリオ(22/30)

 貫かれた意志の果てに。


 MHI―――。
 近年様々な分野に対して画期的な発明を繰り返し、それを適宜に市場に投入することで一気に勃興してきた一大企業は、その本拠を天慶市に置き、市政そのものを牛耳るほどの力を存分に揮い続けていました。

 幼い頃に妹の未來とともに不時の難病に罹り、そのことで親に捨てられ孤児院生活を余儀なくされてきた主人公は、しかしMHIの発明である最先端医療のおかげで未來とともに病気を克服し、今では2人でMHIの援助を受け、その息のかかった総合学園に通っています。
 この学園においてはMHIの隠然たる勢力が築かれているものの、現生徒会長の鳴海は、MHIの向こうを張る一大企業・三鷹の娘であり、その一極支配に楔を打ち込む存在となっており、そのせいか学内では会長派と、MHIトップの娘である沙夜音を担ぎ上げた椎名派との対立、小競り合いが日常となっていました。
 しかしそんな争いとは無縁の主人公、将来は自分を救ってくれた医療に従事したいと強く考えていますが、今は海斗やアカリといった気の合う親友、未來の親友の通称妹ズのシャネルや杏里咲、マイナー新聞部の部長を務めるまどか、不思議なクラスメイトの鴉鳥などに囲まれ、穏やかで楽しい日々を過ごしていました。

 けれども、そんな楽しい日々は突如暗転します。
 海斗とアカリと3人で街に出かけた日、突然の世界の変調に襲われた主人公たちは、気がつくと謎の世界にいました。そこは見かけだけはつい先ほどまでいたビル群なのですが、常に暗闇に閉ざされ、更に魑魅魍魎というべき謎の敵性生物がゴロゴロと存在していたのです。
 その世界において異能の力に目覚め、何とか3人合流し、無事に元の世界に戻るゲートを発見したものの、一夜経ってもその衝撃は消えず、改めて調査をしてみることに。わかったことは、現実世界の一部が切り取られて向こうの世界に落ちていることと、自分たちの異能は向こうの世界でしか発現しないことでした。
 
 結果的にこの世界の謎は自分たちの手に負えるものではないと判断して手を引こうと考えたものの、ある日鳴海に呼び出されます。そして彼らがあの世界、歪秤世界と呼称され、クリエイターと呼称される化物が跋扈する世界に出入りしていたことを突き止められ、そして今後、歪秤世界と現実世界の融合が更に進む可能性を示唆されます。
 警戒する主人公たちに、自分も異能の持ち主であることを告げた鳴海は、その中で巻き込まれるたくさんの一般人を救うために手を貸して欲しいと依頼します。奇しくも力を持ってしまったものとして避けては通れない、ましてや医師を志すものとして傷つく人たちを見捨てられないと考えた主人公は、改めて鳴海とともに歪秤世界を訪れます。

 そこで見たものは、御伽噺の中でしか存在しないはずの、天使と悪魔の抗争でした。
 古来よりこの世界においてはこの二種が勢力争いを繰り広げており、その間にクリエイターが存在する混沌とした世界で、そんな中に突然放り込まれた人たちを救うために奔走し、巻き込まれた妹ズなどと合流しながら、とりあえず収拾をつけて現世に戻ろうとした矢先、今までで最大規模の崩落が発生し、なんと天慶市全体が歪秤世界と同化してしまったのです。

 かくして、多くの一般人とともにこの世界で生きていかなくてはならなくなった主人公たちは、一人でも多く生き残って現実世界に帰るという目的を旗印に、この世界の謎の解明に乗り出します。
 その過程において彼らが選ぶのは天使との協調か、悪魔との契約か、それとも人のみでの独歩か・・・、いずれにせよ眼前には茨の道が控え、先の見えない闇の中、仲間達との絆だけを糧に、懸命に前に進んでいくのでした。
 これは、如何なる境遇においても自分を見失わずに意志を貫く『人』の物語です。


 あらすじはこんな感じですね。
 大枠としては、とにかく仲間たちが無事に生き残ってこの世界を脱出することを第一義に定めた主人公たちが、その目的を達成するために最適な手段を模索していった結果としていくつかの道筋が示され、それぞれの道でそれぞれの色合いを秘めて進んでいく形になります。
 シンプルにまとめると、天使と悪魔、そしてクリエイターを操る勢力がこの世界に存在し、意識的か無意識的かはさておき、どの勢力に与するかでこの世界のパワーバランスが変わり、結果として最終的に対峙する相手も変わっていく形式ですね。

 テキストに関しては特筆するところもなく、プレーンな出来かと。テキストそのものの面白さや暗示的な要素はほとんど含まず、あくまで内容をしっかり下支えする感じで構築されているので、良く言えば裏表なく、悪く言えば単純で深みがないと言ったところでしょう。
 基本主人公が好漢かつ生真面目なので、その性格を反映した展開が多く、きちんとシリアスには適応しているものの、掛け合いで面白味を引き出すタイプの作品でないことは確かですね。まあEXとかはちょっと壊れてるけど。。。

 構成は上に書いたように大きく分けて3ルート、それぞれにメインとなるヒロインはいるものの、その他にもルートごとに何人ずつか攻略できるヒロインが設定されていて、いわばヒロインが並列的に存在しているので、メインのヒロインと別個のヒロインを攻略した場合、ややシナリオの雰囲気とのズレが出る部分があります。
 また、ヒロインが全部で9人と多様化している分、ヒロインシナリオとしては一つ一つがやや薄めです。結果的に、シナリオとリンクして楽しむのであれば、それぞれのルートをメインのヒロインでクリアして、4周目で天使ルートでEX含め残りの回収ってのが一番無難かつ効率的な進め方かなと思います。

 シナリオとしては、まず世界観の構築とその設定要素に関してはきちんとしていると思います。
 ある程度シェアワールド概念を作品に持ち込んでいるメーカー故に、その辺の後押しもあり、天使と悪魔という存在の色合いもそれを踏襲した形で、今回は主人公たちはあくまで巻き込まれた形の物語のために、ある程度は身を寄せた陣営の思想に染まっていく部分は否めず、そのあたりの匙加減も含めてらしさはよく出ています。
 欠点としては、自分たちが率先して世界の危機を救おうとするタイプでなく、自分たちが助かるために結果としてそうせざるを得ない、という形のために、イデオロギー的な説得力が薄いという部分ですね。敵役においてはそれがはっきりしていて、それぞれが相容れない思想を持つがゆえの必然、というのがわかりやすいのですが、あくまで主人公たちが生き残りを第一義に掲げているため、思想的観念からの共感度は薄いかなあと感じました。
 とはいえ、それぞれがそれぞれの信念を貫こうとした結果としてのドラマチックな演出は随所に見られ、そのあたりも踏まえてみればそれなりに面白い内容ではあったと思いますね。


 ここからカードバトル要素について。
 システム自体はシンプルでわかりやすく、簡単に遊べるという意味ではいいんですが、難点としては、結果的に高コスト戦になればなるほど戦法が画一化してしまうことと、ある程度カードを揃えてしまえば力押しが簡単で、しかしそうでないと創意工夫が必要になるのですが、いちいちそれに合わせたデッキの組み換えが結構面倒なことが挙げられるかなと。
 あとは、いくつかのカードの組み合わせによってはかなり特殊かつ卑怯な攻略が可能だったり、まあそのあたりの状況を作り出すのもカードバトルの醍醐味なのかもしれませんが、シナリオを進めたいという意欲に対して、コレクティングの醍醐味がどこまで親和性が高かったのか、という観点においては、少なくとも私個人としてはイマイチ両立しきれていないのかなと感じましたね。

 それに結局カードバトルをああいう設定にしたことで、2周目以降の難易度調整が難しくなっているのも残念な部分かなと。アイテム回収のためにはクローンは必須だし、最悪クローンだけ引き継いでそれ以外は初期設定、という方法もあるのかもだけど、折角育てたキャラを捨てて一から、というのはやはり気力が削がれるし、コレクションの醍醐味からもずれるわけで、やはり全部引き継いでもそのレベルに見合った敵と戦える環境を選択できないのはゲームとして遣り甲斐が薄いかなと。
 まあ危険種とかの要素、それに折々での特殊戦闘もあるとはいえ、流れの中での難易度バランスが著しくずれてしまうのも緊迫感を削がれますからね〜。とにかく、1周目はとっても楽しかったですけど、2周目以降はバトルはどうにでもなるという楽観がどうしても面白味を削った気はします。

 収集要素に関しては、カード一つ一つにコメントがついているように、力を入れているポイントなのかもですが、コンプリートのためにはきっと9周しないとまずヒロイン攻略ボーナスのカードが手に入らなさそうだし、敵を全部拾っていくのも大変そうで、少なくとも私はそこまでの気力は出ないです。
 あるいは、お気に入りヒロインのみのデッキとか、そういう自分好みに特化したデッキを作るという楽しみ方もあるのでしょうが、それが完成する頃にはゲーム内でそれを発揮される場面がないんじゃないかと思うとやっぱりやる気はしないのです。。。

 とまあ、マイナス面ばかり書いた気もしますが、カードバトルそのものとしては充分楽しめましたし、面白い試みだったと思います。ただ、より強いアイテムを作るため、とか、より強いカードを作るため、みたいに、シナリオの難易度軽減に寄与する方向性での収集なら苦にはならないんですが、ただ集めるために集める、というのは、あくまでシナリオメインに進めたい人にとっては切り捨てられてしまう要素だろうなあというのはありまして、そこに力を入れた分だけゲーム性の奥深さが損なわれたのではという印象は最後まで拭えませんでしたね。


 以上、シナリオが10/15、システムが12/15の採点です。
 シナリオそのものは見せ方次第でもっと面白味を出せた気もしますし、システム面とのバランスも含めてまだ工夫の余地はありそうに思えました。全体としての完成度は高いと思うんですが、色々な面でちょっとずつ親和性のズレが足を引っ張ってしまっているゲームではないかと思います。
 相も変わらず時間泥棒であることは確かですが、少なくとも神採りに比べると私の熱中度は低かったし、クリアまでの時間も短かったので、決して物足りないってことはないんですけど、点数にするとこんなものかなと思いますね。


キャラ(19/20)

 キャラはそれぞれに信念があって芯はしっかりしているものの、ヒロインが多いこともありそこからあまり大きく外れたり、予想外の方向性に成長を見せたりとする部分が薄く、一人一人の背景にも踏み込みきれていない分全体的に説得性が薄くなってしまっているのがもったいないなあというところですね。

 一番好きなのは沙夜音かなあと。我ながら結構意外な結果ですが。
 むしろ悪魔ルートより人間ルートの独白〜その後の展開のほうが好きだったりしますが、どちらにせよ基本的には強さを崩さないものの、そこはかとなく滲み出る弱さと甘えの雰囲気が絶妙に可愛いヒロインだなあと。普段凛としている分、照れた顔の破壊力が高いんですよね。
 
 次いでシャネル。まあ期待通りの可愛さでした。
 ただどうしても、最初のキャライメージから外れた部分での上増しされた魅力という観点では物足りない部分はあり、その点妹ズ揃って脇に置かれている部分も含めてもうちょいエピソードが欲しかったなあと切に思います。

 んで鴉鳥かなあ。
 あとりんは他ヒロイン以上に立ち位置としては不遇ではあるんですが、情味の薄い中でふと見せる優しさとか揺らぎが実に魅力的で、あと何気にいちいちHシーンがエロいんですよね。。。ボディラインの好みとあわせて、もっとイチャラブしたかったキャラ筆頭です。

 メヒーシャもすごく可愛かったですね。
 成長という意味ではある意味一番大きく変化があったヒロインですし、その頑なな印象からデレに転化する過程はやや唐突なものの、まあ可愛いので文句は言わないでおきます(笑)。天使ルート以外でも案外見せ場は多いですし、個人的に悪魔ルートラストの展開は、先に天使ルートやってると余計にそそられるものがあって好きだったんですが。。。


CG(18/20)

 絵そのものはいつも通りの安定した出来ですね。可愛い中に退廃的なエロティシズム漂う、作風にしっくりくる絵柄なのは間違いないです。

 立ち絵に関しては、ゲームのつくりの上である程度仕方ないとはいえかなり簡素なのは否めませんね。
 ポーズは1人1種類ずつですし、服飾も基本制服のみで、一枚絵では色々合っても立ち絵には反映されていないんですよね〜。とりあえずHシーンが終わってすぐに制服着ているのを見るとなんとも余韻がそがれて物足りなかったです。。。
 表情差分にしてもせいぜい1人5〜6種類もあればいいほうで、ADVシーンはそれなりにあるのでやはりちょっと物足りないとは思いました。
 お気に入りは沙夜音の照れ顔、シャネル困り顔、笑顔、メヒーシャ照れ拗ね程度しか思い出せないなあ・・・。

 
 一枚絵は立ち絵とは逆に、アペンド含めて計200枚の特大ボリューム。出来も安定していますし、ヒロインが多くても一人あたりの枚数も充実していて、これは文句なしですね。
 お気に入りはページ順に、未來能力開眼、空を睨んで、妹ズ会議、指ちゅぱ、初H愛撫、騎乗位、杏里咲全裸H正常位、シャネル空を飛ぶ、部屋でくつろぎ、初H愛撫、バスタオル、ラブホH正常位、抱き合い、パイズリ、バック、腕の中で、沙夜音ティータイム、騎乗位、口淫、部屋H正常位、3P正常位、鴉鳥騎乗位2、お姫様抱っこ、膝を抱えて、バック、正常位、見詰め合って、まどか腕が・・・、フェラ、正常位、騎乗位、腕組み、鳴海抜刀、メヒーシャ戦い2、誓い、初H愛撫、背面屈曲位、悪魔ルート正常位、エルンストバック、3Pサンドイッチ、未來&まどか&アカリ4P、鴉鳥&シャネル&メヒーシャ立ちバック、お風呂妹ズ、沙夜音、、まどかあたりですね。


BGM(18/20)

 質・量ともに安定しており、雰囲気にもピッタリで、いくつか突出して好きなのもあり、まずは期待通りの出来ですね。
 ボーカル曲は2曲。
 OPの『brave genesis』は名曲ですね〜。出だしの孤絶した雰囲気から、爆発的に勢いをつけて疾走する感じが、世界の不条理に巻き込まれていく世界観に実に馴染んだつくりだと思います。サビがまたかっこよくて好きですね〜。
 EDの『trinity night』も中々の曲。このメーカーらしいかっこいい系統のEDですが、Bメロからの柔らかさも含んだ雰囲気がかなり好みで、サビのツインボーカルの複層的な雰囲気もすごくいいと思います。

 BGMは31曲、御馴染みのエウシュリーちゃん除いて30曲とまあ水準の量です。内容的には、日常・バトル・哀愁・感動とバランスよく配置されていて、特に文句のつくところはないですね。出来も安定していいです。
 特にお気に入りは『護るべきものの為に』。バトル系の曲の中では突出して耳に残りますね。この疾走感とかっこ良さと迫力の上手く噛み合わさった感じは中々出せない魅力だと思います。
 その他お気に入りは、『学生たちの日常』『光纏う幻想』『戦いの果てに・・・』『一つの結末に向かって』『無幻の力』『引き合う魂と魂』『互いの正義』あたりですね。


システム(8/10)

 演出はまあそれなりですね。
 日常の演出に関してはかなり弱いですが、バトルのほうはそれなり。カードだけ合ってあまり派手な動きはしないですが、効果が見た目でイメージできる攻撃演出などはしっかりしていて、そのあたりはさすがだなあと。
 OPムービーは非常にスタイリッシュでかっこいいですね〜。基本切り張りとはいえ、スピード感があって合間のキュービックな演出がいい味出しています。ただし半端なアニメーションは本当に必要だったのか微妙ですけど。。。

 システムもまあ普通ですね。
 日常においてもそれなりの設定は出来ますし、バトル設定もきちんとしていて、最悪サクサク進めたければ全部OFFにすればかなりの時間短縮になりますし、そのへんの簡便性含めてまずは問題なく楽しめます。スキップも速いので周回もそこまでストレスはなく出来ると思いますね。


総合(85/100)

 総プレイ時間は60時間前後でしょうか。
 とりあえず1周目が30時間くらい、2〜3周目はシナリオ追いかけているだけなので10時間前後、4周目がアペンド含めて6時間くらい、あとヒロイン回収×4で1時間ずつといったところ。あくまで私の時間ですし、1周目は特にひたすら指輪とかカードの強化の錬成に時間費やしていたので、もう少し短縮は出来ると思います。
 ちなみにEX危険種はスルー、普通の危険種は全部狩っています。カード収集率は50%は超えていると思うけど、意識的に集めてはいないので仕方ないですね。

 これだけ時間費やしてなんですが、意外とすんなり終わった印象はありますね。3ルートともそこまで長いシナリオではなかった気はしますし、ヒロインイベントも結構淡々と終わるので、シナリオ面ではもう一息欲しかったかなあと。バトルシステム的にも、周回要素の盛り上がりが薄かったのはやや難点で、特殊戦闘だけ難易度が跳ね上がるのは微妙にいただけない部分でしたが、全体としては楽しめたと思います。
 カードバトルということで、予想以上に収集要素の方面に意味合いを見出す余地を強く感じる作品なので、そういうのが好きな人にならばお勧めできますが、今までのエウ作品の雰囲気とはやはりちっょと違う部分もあり、その辺は人によりけりだろうなあと感じましたね。
posted by クローバー at 06:04| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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