2012年06月04日

この大空に、翼を広げて

 新生PULLTOP第一弾ということで、一抹の寂しさはありつつも、ライター布陣の豪華さ、キャラの可愛さ、そして体験版の圧倒的な面白さに惹かれて購入。


シナリオ(27/30)

 広がる世界への階。


 それはまさしく運命の出会いだったのでしょう。
 
 主人公は5年ぶりに生まれ故郷の街に帰ってきました。それまで別の地で、自転車競技者として一心に頑張ってきましたが、大きな怪我をして競技生命を絶たれ、これからの道筋を決めあぐめて放心しているところに、母親が地元で管理していた寮の寮母の口が開いたため、住み込みで仕事をしながら地元の学園に編入すればいいと誘われたのです。
 そんな経緯で戻ってきた初日、離れていた5年で再開発が進み、まるで違う風景となっていた故郷を巡っていると、風車が立ち並ぶ丘の近くで、丘の上から紙飛行機が飛んでくるのを見かけます。気になってその出元を探ってみると、そこにいたのは車椅子に乗った1人の美少女でした。
 主人公を見るなり涙を零した彼女は、車椅子のタイヤがパンクして立ち往生して困っていて、元々自転車乗りだった関係から修理道具を持ち歩いていた主人公はそれを直してあげます。小鳥と名乗った少女は感謝しつつも深く踏み込んでくるのを厭う印象で、それならばと再会を願いつつ素直に別れることになり、改めて主人公はこれから住む寮に足を向けます。

 寮に辿り着いた主人公は愕然としていました。
 働くことは嫌でないので引き受けた仕事でしたが、そこが女子寮であるとは思いもしなかったためです。母親に抗議してもどこ吹く風で、寮生たちも多少の困惑はあれ、寮母不在という状況よりはと受け入れてくれたために主人公もひとまず納得しますが、そこにひょっこり現れたのが昼間の車椅子の少女でした。
 昼間の可憐な印象とは裏腹の、お転婆でより人を寄せ付けない雰囲気を醸しだす小鳥に対して、危うさと寂しさを感じ取った主人公は、母親に注意されていることもあり、彼女の動向にそれとなく注目しつつ暮らしていくことになります。

 転校初日、いきなり道で幼馴染のあげはと再会したりしつつ無難に一日をこなした主人公は、学園生全員部活に参加するというルールに乗っ取り学園内を散策がてら回っていました。
 そんなとき目に付いたのが、学園裏にひっそりと立っていたガレージで、そこにあったのは一機のグライダーと、製図版で一心に筆を揮う、年上っぽい雰囲気の女性でした。話してみるとその人はかなり変で、その日は話すだけに終わってしまいます。

 翌日、昨日学園に来なかった小鳥をあげはとともに学園に連れて行くものの、途中で脱走しようとしたので追いかけたところ、また昨日のガレージに辿り着きます。そこで一心にグライダーを見ている小鳥と主人公の元に、昨日の、学内では有名人らしい天音という先輩が現れ、2人がこの部活に興味を持っているならと話しかけたところで横槍が入り、その日も話は有耶無耶になります。
 休みを挟んで、今度はあげはも連れて3人でガレージにやってきたところ、先日の横槍、この部活・ソアリング部が天音1人での活動であるのは特例で本来は認められないことで、最低人数の4人を確保できない限りこの場所を占有していることは許されないという生徒会の弁に対し、グライダーというものに惹かれはじめていた主人公は真っ先に入部を名乗り出、あげはも兼部でいいならと同調しますが、みなの視線を向けられた小鳥はそれを拒絶します。

 その理由も主人公にはわかっていました。それはちょっと前に、小鳥が落とした退学届けを拾って隠し持っていたからです。端から見ても学園生活に馴染んでいると言い難い小鳥の退学しようという決意を翻意すべく主人公は話し合いを求め、そこで小鳥が抱える想い、自分の傷などを赤裸々に語り、何か証を残したいと思うのであれば今からでも遅くない、面倒なことがあっても引き受けるから、一緒に空を飛ぶ夢を見ようという熱意をぶつけます。
 そうした経緯を経て小鳥もソアリング部に入部し、規定人数を揃えて定められた目標、それはこの街の空にごく稀に現れるという、モーニンググローリーという雲の上を飛ぶことでした。

 元々小鳥がグライダーに興味を持ったのは、寮の部屋に隠されていた昔の日誌を見つけ、その中にこの部活のことが書かれていて、そしてそのモーニンググローリーの写真に惹かれたからでした。二年前の事故で歩けなくなった小鳥にとって、大空は人の差別なく辿り着けない領域であり、だからこそ余計に憧れ、かつ自分でも目指せるのではという想いがあったのです。
 そしてその日誌は、かつて天音の親友であり、あるとき突如として姿を消したイスカという少女が残したもので、天音はそのイスカの思いを継いで、規定以上の留年を重ねながらたった一人でグライダーを作り続けていたのです。親友の想いを引き継いだ小鳥の存在は、天音にとっても歓迎すべきことで、かくして部の目標が定められたのです。

 しかしながら、元々一部の先生に目をつけられていた活動でもあり、何もかもが順風満帆というわけにはいきません。成功あり挫折あり、笑いあり涙あり、紆余曲折ありながらもただ一心に飛びたいという想いをもって空に立ち向かう主人公たち、やがて夢を受け継いでいく亜紗と依瑠という双子の新入部員も現れ、まさしく青春と呼ぶべき純度の高いそれぞれの想いは、果たして如何なる形で答えに辿り着くのでしょうか?
 これは、空に想いを託した、生きる証を見つけて世界を広げる物語です。


 おおまかなあらすじはこんな感じですね。
 何しろこの作品、共通部分が物凄く長い上に、その共通部分に後々個別で生きてくる思想や原点やらが無造作に転がっているので、あらすじとしてまとめるだけでもかなり大変なのです。かなり端折ってしまった部分はありますが、大まかな雰囲気はつかめると思います。
 作品の大枠としては、とにかく空を飛ぶ、まずそれが絶対的目標として君臨し、その上でヒロインとの関係が付随し、それぞれのヒロインが空に託している想いを汲み取ることで、少しずつアプローチも変化していく、というイメージですね。

 テキストに関しては、一部のルートでやや差異が大きいものの、全般的には丁寧で論理的、心理描写もきめ細かく、何より前向きなイメージを強く助長しており、爽やかな笑いというのがストレートに伝わってくる読みやすいテキストだと思います。
 ともすれば観念的になりすぎる部分も、部活動という基盤があることで上手く中和、形而上の表現に昇華しており、その丁寧な積み重ねが、必然としてクライマックスの場面で劇的なレトリックを用いずとも効果的な感動をもたらしていますね。特に小鳥シナリオあたりは、本当に考え抜かれた文章って感じで私はすごく好きです。

 ルート構成は、ロックがかかっているのが天音と依瑠で、天音は小鳥を、依瑠は亜紗をクリアすることで進めるようになります。この2人のシナリオは、確かにルートロックの必然があり、前提となるシナリオありきで更にスケールアップさせている部分がかなり強いので、連続して読んでしまうのが一番いいと思いますね。お勧め攻略順は、あげは⇒双子⇒小鳥⇒天音かなと。後で詳しく触れますが、あげはシナリオだけかなり雰囲気が違うので間には挟まないほうがいいかなあと。

 シナリオに関しては、テキストと同じように様々な伏線、構成、特に心理的な部分の蓋然性を丁寧に積み重ねて、ひたすらに純度の高い想いを真っ直ぐに向けた結果として、ところどころ生じる都合のいい展開に必然を感じさせる力強さがあり、青春をテーマとしたストーリーとしては珠玉の出来に仕上がっていると思います。特に評価したいのは、物語が全般的に前向きであり、空を飛ぶという展開が暗示しているように、常に上を向いて進んでいるイメージがしっかり根付いていることですね。

 更に、シナリオを下支えする設定の部分で2つ、特筆しておきたい点があります。
 1点目は、この作品の目標とされる、モーニンググローリーを飛ぶという点。これが秀逸なのは、その目的そのものには、社会的な価値は一片も付与されていないということで、それゆえにヒロインはそれぞれ、その行為に対して異なる想いを託しているのですが、求めるものは違っても自分の内から真摯に求めているという純度の部分では甲乙なく、そしてそれを互いが信頼しているがために、文字通り一丸となる結束力を得られている点です。
 はっきりした形を伴う結果がないことで、それぞれが功利に走る必要性も全くなく、しかしながら形には残らずとも想いにははっきりと刻み込まれ、さらにそこに大自然の神秘という、およそ人の手によって為し得ない現象を噛み合わせる事で、自身のちっぽけさと、それでいながらみんなの力を合わせればそんなところにも手が届くという価値観の広がりを獲得していくわけですね。
 元々部活動には、社会性を育み、周囲の人間の支えに対する感謝の想いを醸成する土壌があり、それは手段としての団結よりも、目的としての団結のほうがより価値を見出せるのは言うまでもないことで、記念写真が示すように、他の誰も入り込めないような一体感を目的意識から逆算して抽出することが、作品の説得力に大きく貢献していると私は感じました。

 2点目は、3世代の想いを上手く絡み合わせている点です。
 この作品は大きく分けて、主人公たち学生世代、天音・あんちゃん・ひばりなどの若い世代、飛岡・小鳥父・双子祖父などの大人世代のそれぞれの想いが渦巻いています。
 この作品において雰囲気を良くしている一因に、主人公たち学生世代が、自分たちの行いをきちんと子供のわがままであると認識している部分があります。あくまで自分たちは守られる側であり、それでも今後自分たちが守る世代に加わっていく過程で、自分の証を見出し自己を磨き上げるために欠かせないテーマとしてモーニンググローリーへの飛翔を掲げているわけですね。
 本質的な意味において、そういう子供のわがままを受け止め、それが子供たちにとって必要なことか否かを見極め、最後には責任だけを背負う度量こそが大人の正しい在り方であり、この作品において双子の祖父が示したような態度はそれをなぞっていますが、この作品においては色々とねじくれた過去が、それを簡単ではなくしています。

 挫折する、ということは、如何なる人にとっても辛いものです。
 この作品においてその象徴として語られるのは主に小鳥であり、主人公もその一端を担っています。まあ主人公の場合、どのヒロインの心情にも添える価値観を添付されているため、純度では小鳥に遠く及びませんが、ともあれこの作品が、挫折から立ち上がり新たな自分を構築する物語であると括ってもそれは概ね間違いではないと思います。
 その中で特に注目すべきは、小鳥や主人公の挫折は子供の挫折であり、そこに自分以外への責任がほとんど伴わないのに対し、大人の挫折は、守るべきものを守れなかったという大きな責任を伴ってしまうという点です。無論その程度を一口で括るのは暴論ではありますが、大人の挫折は本人だけでそこから立ち直るのが難しい分、尾を引きやすいと思うんですね。

 上で書いたように、本来は青春の熱量がもたらす価値観の幅を経て子供は大人に変わり、責任に耐えうる人間性を獲得していくわけで、それを見極めつつ責任を背負うのが大人の役割なのですが、小鳥の父や飛岡は一度直近に挫折を味わっており、その挫折の経験による喪失の恐怖を大人の分別にすり替えてしまっている、というのが実情だと感じます。バランスを欠いているだけで、子供たちを大切に思う気持ちはきちんと持ち合わせており、そのあたりの葛藤の雰囲気が上手く物語のアクセントになっているわけです。
 一見悪辣に見える飛岡のやり口も、その視点を付与してみるときちんと筋は通っており、そもそもソアリング部に明確な責任者がいない状態であるのは確かなので、そういう状態で、1つ間違えれば命の危険があるグライダーを推奨することが出来ないのは当然といっていいんですよね。飛岡の葛藤は天音シナリオで解決されますが、本来もっと早く話し合い、互いに素直に思いの丈をぶつけるべきではあったのだろうと、そこに大人の挫折の重みを感じるのは私だけでしょうか。

 そしてその間の若い世代にとって、彼らの活動は自分たちの報われなかった想いの代償行為になっています。その入れこみがあるため、客観視して責任を追う立場としては荷が重く、この作品でも狭間で揺れ動くような印象が見え隠れしますが、その在り方はともかく、大切なのは、正しい形で報われなかった想いは後を引いてしまうということです。
 責任とは、価値観含めて認めるものだと定義するならば、それを判別する自己基準を確立しないままでは、大人が背負うべき責任がもたらす重みに耐え切れないとも言え、それを体現しているのが天音であり、そのモラトリアムを解消したのが小鳥の語りであり、この部分は本当に展開がオーバーラップしていて、ルートロックの意義がここまで如実に確立されているのも素晴らしい点です。

 上のポイントを踏まえた上で個々のシナリオを評価するなら、小鳥>>天音=双子>>>>>あげはといったところでしょうか。
 体験版の時点から小鳥のメインヒロイン度は半端ないと思っていましたが、個別でもその勢いは健在で、関係性の葛藤においても正当な意味合いが付与されているし、何より純粋に空を飛びたいと思う熱意の高さはやはり一段抜けている感じで、そういう前向きさ、爽やかさがしっかり展開に反映されており、本当に素晴らしい出来だったと思います。
 天音は上で書いたように、小鳥シナリオからの連結性と、やはりラストの清々しさが特筆されますし、双子シナリオは観念的な色合いが強いものの、二人の関係性とそれぞれの立ち位置、想いの高さを如実に反映した内容ですごく滋味があり、2人まとめて、という評価ではありますが天音に匹敵する出来だったなあと。何より、託す想いの差異という部分と、大人の責任の在り方にフィーチャーした部分は、共通の流れとも親和性が高かったと思います。

 残念ながら全体的に2段くらい出来が落ちるのがあげはシナリオ。
 ここだけ明らかにキャラが軽薄だったり、ご都合主義に説得力がなかったり、そもそもヒロインであるあげはのキャラがあまり魅力的じゃないんですよね。天才2人を差し置いてあれだけの深謀遠慮を働かせ、有事想定もばっちりで八面六臂の活躍をしておきながら、自分の問題についてだけめっちゃ不器用なのもどうかと思いますし、そのやり口もめんどくさい。
 それに何よりここだけシナリオに後ろ暗さ、足踏み感があって、他シナリオの爽快感に比べると残念度が高いです。みんなで一丸となって、という雰囲気も薄いですし、上で書いたような大人世代の葛藤という微細な雰囲気を汲み取っていないというか、悪意を前提として行動している感じがどうも自分たちの純度まで穢しているようですっきりしませんでした。
 まあとはいえ、他のシナリオがいい出来すぎるだけで水準ちょっと下くらいの出来ではあると思うし、個人的にほたるの扱いに私憤を滾らせている部分もかなりあるので(笑)、減点対象にするまでではないかと。


 以上、総合して、グライダーという特殊な舞台設定の中で、際立って純度の高い青春と、それを見守る社会の優しさ、葛藤を上手く噛み合わせた傑作だと思います。体験版の時点ではやや冗長に過ぎると感じられた共通部も、終わってみればしっかり伏線として必要充分な意味合いがあり、隙のない出来でした。
 強いて言えば、あくまで部活が最優先のためにイチャラブがややないがしろにされているかなとは思いますが、でも少ない時間の合間を縫って、という点で量はともかく密度は高いイチャラブを展開できていたとも言えますしね。とりあえず小鳥の「買ってもらったの〜。」は最高にウザ可愛かったです。。。


キャラ(20/20)

 実に素晴らしいキャラ造詣だったと思います。それぞれが空を飛ぶということに格別の想いを抱きつつ、結果だけではなく過程でも少しずつ成長していき、元々の魅力を更に押し上げていて見事でした。
 そして、それを支える良質の大人世代の存在も揺るがせにできない大きな要素ですね。子供たちが純粋に前向きに、善良に、真っ直ぐにあり続けられたのは、甘えを許容する土壌がそこにあったからでもあり、やはり大人がきちんと書かれている作品は芯の太さが違うなと再認識しました。

 1番好きなのはやはり小鳥ですね。
 元来の明るく前向きで強気な性格と、事故の後の怖がりで弱気な性格を、しかし後者はおいそれと家族にさえも晒すことができずに、想いの行き場を失ってどんづまっていたところに、主人公という弱味を共有できる存在が現れたことは本当に運命的であり、その両面を素直に晒せるようになって一気に魅力が爆発したキャラでもありました。
 そして何よりここ一番での芯の強さは目を見張るものがあり、それだけ真剣に自分の先行きをこの部活に託していたという点でもありますけど、その真っ直ぐさがどんな場面でもぶれずに発揮されるのがメインヒロインとして圧巻だった部分ですかね。

 次いで依瑠ですね。
 お金持ちで天才、挫折知らずと鼻持ちならない設定てんこ盛りなんですけど、天音と違ってそういう自分を明確に認識しつつ、それでも自然体でいられる強さ、そしてそれを支える双子としての絆の強さに、作中で触れられているようにすごく凛々しさ、かっこ良さを感じます。それでいながら主人公との関係性では可愛らしいところも随所にみせ、個別では元の自分はしっかり抱えたままで更に新しい自分を見出していく成長性もみせ、ヒロインとして非常に魅力的でした。
 亜紗も可愛らしさでは遜色はないんですが、やっぱりそこは天才と凡人の差なのか、辿り着くべき地平の違いがスケールの差に如実に出てしまっていて、無論本人たちはそれを認識して納得してはいるけれど、シナリオ構成的にも依瑠ほど奥行きを感じるキャラではなかったですね。

 そしてほたるは今でも変わらず大大大好きなんですけど、基本個別に入ってしまうとほぼ出番なし、唯一出番の多いあげはシナリオではキャラ崩壊している上に押し倒せない(涙)という、なんとも恵まれない子でした。しかも設定的にFDは望めないだろうし・・・。
 あげはもある意味シナリオに殺された部分は大きいですね〜。1人だけ地上に縛り付けられたような部分もあり、その設定からして仕方ない部分もあったでしょうが、やはりシナリオでもうちょっと何とかして欲しかったです。

 天音は本当に駄目な子。。。文字通り紙一重の上、元々天才ゆえに挫折を全く知らなかったところにアレですから、まあズルズルと引きずるのもわからなくはないですけどね。ヒロインとしても個人的には微妙だし、シナリオも私の中では小鳥のインパクトのほうが強かったりするんだよなあ。最後の再会はすごく良かったですけど。

 男キャラではあんちゃんのかっこ良さは特筆できますね〜。直接的な責任はないという部分はあれど、ああも色々親身になってくれる存在というのは稀少ですし、天音シナリオでは色々報われた部分もあり、その行動力とぶれない強さは魅力だと思います。
 
 他サブヒロインも、香奈子、ひばり、朱莉と魅力的なキャラが揃っており、キャラの魅力だけでも充分以上に楽しいゲームだったと思えますね。


CG(18/20)

 2人原画でかなり違いはありますが、1枚絵だとともかく、立ち絵においては違和感はないですし、それぞれ個性は強いけれど質は高く、特にほたるサイドの原画さんは私好みなので満足度はそれなりに高いです。

 立ち絵に関しては水準かなあと。
 ポーズはヒロイン1人3種類、サブは1種類ですかね。人数多いのでサブの少なさは仕方ない部分もあるかなと。ヒロインはきちんと特色を捉えつつの構図で中々魅力的でした。
 特にお気に入りが小鳥の右向きと依瑠の腕組みで、この2つは物凄く彼女たちの性格にフィットしたポーズだったと思います。その他、小鳥左向き、あげははにかみ、ほたるやや右向き、亜紗左向き、双子前傾が好きですね。

 服飾はヒロインで3種、サブで2種ですかね。香奈子だけ何故か下着あるけど。。。ここは全体的に少なめで、寮生活なんだから寝巻きくらいは完備して欲しかったところです。あと制服のデザインがキャラごとに微妙に違って、似合ってはいるけれど統一感としてはどうなのかなと。
 特にお気に入りはほたるの制服。この清楚で可憐な雰囲気はちょっとヤバイでしょう。裾がきっちりスカートの中に入っているところが特にほたるらしくて、全体のシルエットのすっきり感を際立たせていて最高です。
 その他お気に入りは小鳥私服、制服、双子制服、水着、ほたる私服くらいかな。あ、あとほたるの水着立ち絵がなかったのは許せない(笑)。

 表情差分はヒロインに関してはかなり用意されており、また表情も中々面白いものが多くて感情表現の幅に上手くフィットしていますね。とても可愛かったと思います。
 特にお気に入りは小鳥右向きドヤ顔、ほたるはにかみ、双子前傾線目あたりかなあ。小鳥はその無自覚な自信家の雰囲気が、ほたるは可憐さが、双子は懸命さが際立っていてすごくすごく可愛かったです。
 その他お気に入りは、小鳥すまし顔、半泣き、怒り顔、拗ね顔、ほたる笑顔、照れ顔、ジト目、亜紗ジト目、笑顔、キラキラ顔、依瑠からかい、自信顔、困惑、照れ困惑、苦笑い、天音照れ、あげははにかみ、怒り、香奈子笑顔、ひばり苦笑いあたりですね。

 
 1枚絵はパッチ含めて通常88枚、SD19枚と、パッチ込みでなら水準以上の量ですね。質もややばらつきはあるものの、全体に高い水準だと思いますし、いくつかクリティカルがあったので私としてはうれしいですね。
 特にお気に入りは3枚。
 1枚目は小鳥自転車2人乗り、この見えないところでの小鳥の幸せ絶頂の雰囲気が最高ですね。
 2枚目は小鳥初H愛撫、どんぐり眼のときが1番可愛いですけど、これはその中でも最高に愛らしい表情してます。
 3枚目は依瑠背面騎乗位、ほのかに見える足指がエロく、半脱ぎ具合と体位、表情もすごく好きですね。

 その他お気に入りは、集合写真、みんなでお風呂、車椅子修理、お風呂で溺れて、月夜のキス、機上の告白、車の中で、姉妹の絆、自分の脚で、朝フェラ、お風呂H愛撫、部屋H愛撫、あげは再会、ほたる水着、仲直り、濡れ透け、天音と日誌、花火、キス、たそがれ依瑠、双子の来訪、見つかった?、依瑠の告白、亜紗とお風呂でばったり、念願の空、初H愛撫、正常位、双子喧嘩、2人で腕組み、説得、記念写真、依瑠騎乗位、双子フェラ、メイド双子フェラあたりですね。


BGM(18/20)

 曲数はそんなに多くないですが、とても爽快な曲が多くて、雰囲気にはピッタリだと思います。質も高いですね。
 ボーカル曲は2曲。
 OPの『Precious Wing』は名曲ですね〜。出だしからスピード感があり、序盤は重い過去に引きずられるような歌詞と雰囲気を少し残しながら、Bメロ、サビと移っていくにつれてそれを払拭し広がりを見せるあたりが最高です。個人的にはAメロの静けさも好きですし、全体的にすごくバランスがいい曲だと思います。
 EDの『Perfect Sky』も中々の曲です。雲の上を歩いているような浮遊感のある出だしで、その柔らかさがサビで更に崇高感を増すことによって
、彼らが手にした想いの尊さを裏付けているような雰囲気をかもし出しており、これもOPほどではないですが気に入ってます。 

 BGMは全部で25曲、ボーカルアレンジもそこそこ目立つので数としてはもう一歩ですが、作風にブレがない分曲にも多様性を必要としないというか、ここ一番の決め打ちがしっかり嵌っているので問題ないと思いますね。
 特にお気に入りは『Open the Wind』、EDアレンジですけど、出だしの迫力のある爽快感は最高で、文字通りこれから空へ、という雰囲気をすごく助長してくれる名曲だと思います。
 その他お気に入りは、『A New World』『Brightening Way』『Pure Glider』『Something I’ll Never give up』『Hikari』『Over the top』『My World』あたりですね。


システム(9/10)

 演出は非常に力が入っており、特にフライト関係は特筆できる出来ですね。
 フライトシーンはこれはアニメーション?ポリゴンなのかな、ともあれ専用の画面を用意し、それに伴い離陸の疾走感や迫力を意識させる動きも付加して、実に力の入った作りになっています。カットインなども組み合わせて離陸後の動きもトレースしており、このあたりは文句ない出来だなあと。
 キャラもそれなりには動きますが、よりよかったのは背景効果で、特に光の演出は効果的に使われており、演出過多でかなり動作が重くなるのをマイナスしても、斬新さと先進性を組み合わせた見事なやり方だと思いますね。
 ムービーは所々アニメーションはいってましたけど、さほど動く感じでもなくまあ出来としては普通かなと。

 システムは必要充分ではあると思うんですけどね〜。
 マウスジェスチャー搭載はいいんですが、しかしそれ以上にもっと最初に解決すべき問題はあるといえばあるわけで、とりあえずスキップの遅さだけはどうにかして欲しかったです。まあこれはある程度環境にも依存するのだろうけど、私のだと最初の選択肢から共通が終わるまで30分近くかかってしまうので、周回がとても面倒でした。
 途中機能強化パッチでましたけど、バックジャンプだけじゃ意味ない、スキップジャンプも搭載してください。共通が長く、それでいて選択肢は最初から総当りでないと駄目なので、非常にもどかしかったです。
 あとフォント変更はやっぱり欲しいかなと。雰囲気はあっていましたけどね。


総合(92/100)

 総プレイ時間25時間くらい。共通8時間、個別小鳥4時間、天音とあげはが3,5時間、双子全部で6時間といったところです。あ、スキップの時間は除いてます。。。共通が長い分だけ普通の作品の水準よりボリューミーで、かつ全体的にだれた部分はほとんどない、非常に優秀な作品ですね。

 全体的に、とにかく丁寧に作られているというのが最大の魅力ですね。天才的なレトリックとか構成はないけれど、しっかり事実を積み重ねて、必然性を迎え入れるような緻密な構成は実に私好みでしたし、それでいて常にネアカな雰囲気を維持し続けてくれたのが楽しくプレイできた大きな要因です。私の感触としては、夏の雨、特に翠シナリオが好きだったって人なら小鳥シナリオは激ハマリすると思います。
 新生PULLTOPとしてはこれ以上ないと言っていいくらい順調な出だしですし、今後もこの色合いを大切にしつつ、魅力的な作品を構築していって欲しいですね〜。
posted by クローバー at 06:20| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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