2013年03月12日

木洩れ陽のノスタルジーカ

 実績あるおとぼくコンビですし、この人のテキストメイクも好きなので。体験版はキャラも雰囲気も良かったですし、設定から想起させる色々なテーマ性にも惹かれて迷いなく購入しました。


シナリオ(24/30)

 寄る辺と縁の在り処。


 時は2485年、人類はゆったりとした退廃の中に身を浸していました。
 温暖化の影響による海面上昇で、かつての首都を失った国、そして、コンピューターの進化、特に量子コンピューターの発展により、機械自身が自我を持つまでに至ったことで、およそ50年ほど前に、自我の認証と生存権を求める機械と人類との戦争が勃発し、その煽りで過去の歴史のほとんど全てを人類は失ってしまいました。
 結果として現在、世界は表面的に1つにまとまり、機械と人類も折り合いをつけて暮らし、まどろみの様な平和を享受していますが、しかしその反面、社会全体の活力、人類の底力というものもその大半を失ってしまったのです。

 そんな時代に生まれ育った主人公は、それでも幼い頃から個性的な友人達に恵まれ、明るく楽しく過ごしていました。
 ある日、ロジカル・ギークとまで称されるコンピューターの天才で、主人公の妹である朗がやらかした不祥事の影響で、学園のネットワークが完全に遮断され、大時代的に忘れ物を取りにいく、という行動に付き合うことになり、その道行きで幼馴染であるカヤやフロゥ、一姫などと合流したところで、朗が学園内からの緊急信号をキャッチし、それを探査しようとします。

 調査の過程で更にもう1人の幼馴染である清十郎を召喚し、昔ながらの幼馴染6人組によって発見されたのは、かつての戦争以前の規格のヒューマノイドでした。それは自我を持たない、人に奉仕する為の機械なのですが、しかし、彼らがその部屋に入ったときに一瞬だけ起動して見せた澄んだ笑顔に皆心を打たれ、すぐに停止してしまった彼女を、朗が自分達で修理したいと言い出します。
 しかし、戦争以前の記録がごっそりなくなってしまったこの時代において、その修理の方法を探すのにも一苦労、しねまと名乗るヒューマノイドが一応目を覚ました後も、様々な問題が見出されていきますが、それと比例するかのように、しねまに組み込まれた機構がとても50年前のものとは思えない精緻さであることにも気付き、彼女の元の持ち主についての興味も一同に湧き起こります。

 そして、しねまという自我を持たない、けれど精緻で繊細で情緒的なプログラムによって素敵な擬似人格を付与された存在がもたらす情報と知見、真っ直ぐな想いの解釈は、6人にそれぞれ大きな影響を与えていくようになり、やがてそれは、彼らの関係性を発展させる為の最後の一押しともなっていくのです。
 
 果たして、しねまという存在に託された想いは何なのか?
 それを知り、見て、主人公達は如何様に生き方にそれを取り込んでいくのか?
 過去の真実とは?そして過去の大切さと危険さとは?

 これは、寄る辺と縁を取り戻し、人の活力の源泉を見出す物語です。


 あらすじはこんなところでいいでしょうか。
 大枠としては、しねまという偉大な過去の遺産が主人公達の手によって修復されていく中で、その存在に過去の栄光、栄華を重ね合わせた組織による魔の手が伸びてくるようになり、それらと対立することでよりくっきりと、しねまに託された想い、そして人が生きるべき道筋が浮かび上がる流れになっています。

 テキストはこの人らしく、理知的でありながらも情緒的で、またコミカルな場面もきちんとらしく表現できており、そのメリハリと独特の感性が読み手を色々刺激してくれる印象です。
 但し今回は空想科学的設定を多数盛り込んでおり、それも近未来でなくかなり遠い未来の設定のため、技術の発展などに対する発想の飛躍の部分にかなり独自性があり、かつ思想も盛り込まれていて、それに加えて特異な字句の説明も付与されるので、きちんと読もうとするとそれなりに骨が折れる文章といえるかもしれません。
 少なくとも、文章の表面的な部分を追いかけているだけなら、ライトなSFという印象そのままの軽さ以上のものは無視できる、それでもきちんと話として面白味はあるように構成されている感じで、丁寧な仕事だと思います。

 ルート構成は特に難しいことはなく、好みのヒロイン寄りの選択をすれば、ですね。ただ、ヒロインの内面性を問う形での選択がそれなりにあるので、そこだけ注意すればいいかなと。結構選択肢で物語の展開が違ったりするので、その意味ではきちんと分岐、というイメージがありますね。
 全員クリアするとラストエピソードが開陳されます。あと一応ノーマルエンドもあったかな?CGあったかまでは覚えてないですけど。

 シナリオとしては、比較的共通が長めで、基本主人公達の心的な描写、展開、主にしねまとの関わりから波及したものを軸として彼らの内面性、人間性をまず浮き立たせています。
 その上で固有のヒロインに対しての想いが発生し、更にそこから、良くも悪くも平和にたゆたい、停滞してしまった時代を揺り動かそうとする信念が、しねまという存在が発掘されたことにより動き出し、主人公達にも直接影響を及ぼしてくるのでそれを解決していく、という展開になります。

 どうしてもSF要素を多分に含み、更に外的要因などの統一性もあまりきちんとなされていないので、どうしてその展開になったのか、という部分に説得性は薄めなんですが、それ以上に積み上げたキャラの色がしっかりしているので、終盤の感動的な展開を薄っぺらく見せない強さがある作品、とまとめていいかなと思います。
 具体的には、敵の存在が多数いることと、それがヒロインとの関係から直接波及している展開ではないことがマイナス点ですね。つか、フロゥの終盤とか、単純に関係性から言えばカヤルートで起きるべきじゃない?とか思えてしまうので。

 それでも、特にしねまという存在の、純粋に人に奉仕し、しかもそれをきちんと自発的な意志であるかのように振舞える精巧さが見せる、思いやり、自己犠牲的精神の尊さに打たれる部分は多く、それに良い影響を受けて強く、より前向きになっていく主人公達の在り方も重なって、すごく読後感のいい物語になっていますね。
 更に、後でテーマの部分で詳説しますが、きちんと主人公の立ち位置、思想性の都合の良さにも、ラストエピソードで一定の説得力を加えていることで、私の評価としては2段位アップしました。
 ちなみに、特に好きなシナリオは、フロゥとラストエピソードになります。合理性に拠らない、人間味を浮き立たせる意味合いとしては、キャラ付けもシナリオ構成の方向性もすごく噛み合っていたなあと思うし、その分だけ終盤の感動も一入でしたね。


 テーマとしては、寄る辺と縁の再復、を挙げたいですね。
 寄る辺と縁、はすごく似た意味を持つ言葉ですが、ここで敢えて使い分けたのは、この作品において、記録がもたらすものと記憶がもたらすもの、その両面の大切さが表現されているからで、その差異を汲み取るのにちょうどいいかなと思ったからです。

 まず記録の面から見ると、この世界はコンピューターにその管理を頼りきっていたせいで、過去の戦争でそれが破壊されたことで一瞬にしてそれを失ってしまった設定になっています。
 その状況や背景から、便利なツールへの依存の危険さや、人のどこまで時代が進んでも変わりようのない愚かさなど、細々とした教訓を盛り込んでいますが、それらを包括する形で、記録がない、ということによる、寄る辺のなさが人類の活力をどれだけ損うか、という部分に帰着していると私は感じます。

 普段我々はほとんど意識することなく生きていますが、結局今の自分があるのは雄大な歴史の連続性と、様々な営みの積み重ねの結果であるわけで、それが曖昧になるというのは、アイデンティティそのものに曖昧さを内包する、とも言えるわけですね。
 
 例えば、中世のキリスト教会が、武力に拠らずにあれだけの権力と権威を誇っていられたのは何故か?
 例えば、民族主義、ナショナリズムが近代になって明確に勃興してきたのは何故か?
 前者においては、それは教会が歴史と知識を独占していたが故の、教義に対する確信がもたらす優位性であり、後者は国家、という概念とその歴史が、一般庶民レベルにまで波及した結果であるからです。
 勿論これは今回のテーマ性に合わせた一面的な見方で、それが一義的か二義的かも議論の余地はあるでしょうが、少なくともそういう側面があるのは確かで、記録、というものが社会にもたらす影響はそれだけ大きいということです。

 しねまという存在は、その記録の再復という重大な素子を抱えており、その上で付随された精神性において、特に映画という、人間性の鮮やかな部分を浮き彫りに描く媒体を経由することで、機械でありながら人のあるべき姿を提示しているわけです。
 
 上で触れたように、人にとって歴史というものはなくてはならないものではありますが、しかし一方で、その過去に執着することは時代の流れに逆行するような偏屈な精神を養う可能性も孕んでいます。
 その中で、人類の可能性に委託する形で、しかし方向性としてかくあるべき、という、過去を礎石としつつ、それを未来に生かす在り方を示唆する、そのバランス感覚と問題意識が緻密にしねまという存在に詰め込まれているのが見事なんですね〜。

 くだけた言い方にすれば、機械は確かに優秀だけど、人にしか出来ないことは沢山あるし、それを誇りとして前向きに生きるべきだ。故に、過去の記録を、人類の栄光の残照として見るのでなく、機械と共存する社会をより良く進展させていく為の活力として用いて欲しい、という感じでしょうか。
 そういう意志の元にのみ、創造性や発展性は形を成しうる、という証明として、しねまに最後にもたらされる進歩は位置づけられているのかなと私は思いましたね。


 次に記憶の観点からのアプローチですが、これは設定として幼馴染6人組、という存在にほぼ全てが内包されているかなと。

 こういう時代、世界観において、個性を、信念を、圭角を、その社会の揺り篭めいた退廃に削り取られずに生きていく、というのはすごく難しいと思います。
 例えば一姫関連での、紙の本を好むという個性、それは電脳的な管理によって、自分で思考する、というプロセスを必要としなくなった情報に対するアプローチに逆行するものであり、でもだからこそ自我に立脚した、頑固とも言える感性を保ち得る、ということになります。

 では何故この6人が、そういうこの事態において特異な個性を保ち得たのか?それは結局、そういう個性の在り方を丸ごと是認してくれる存在が常に側にいて、共有する記憶という自己を映す鏡に確固たる信念が投影されていたからこそ、だと私は思うんですよね。
 記録という面から自己の寄る辺を見出せない時代に、縁によってそれを繋ぎ止める、そうでなければ自己に明確な自信と信念を持ち得ない、それを露にするがため、ヒロイン全員幼馴染という尖った設定を必要としたのではと。

 ただ、その縁は今の自分を確立させてはくれても、未来の自分を強くイメージさせる動機にはならないのがミソで、それは恋愛面においては、すごく近しいところにいるけど、もう1歩が踏み出せない幼馴染の関係にすごく親和的です。
 そこに、しねまという存在から与えられる示唆が加わることで、そのあと1歩を乗り越える原動力を獲得する、という構造なんでしょう。このあたりに、記録と記憶、それぞれの必要性が上手く切り分けられて表現されているなあと感心します。

 この作品における主人公の存在は、そういう個性に溢れた、本質的には融和させにくい面々を繋ぎ止め、均一に全員の鏡となる役割を果たしています。
 それはまあ、この手のゲームの主人公らしいカメレオン体質というか、都合のいいメンタリティであり、なので、ラストエピソードでの隠された設定がなければ評価としてプラス要素には転じない部分でした。

 けれども、遺伝子の記憶、という形で、その精神性の一端を連綿と担って生きている、という視点が加わることで、ぐっとその在り方が説得的になり、それと同時に、彼らがしねまという存在を発見し、そして正しく期待される処遇をもたらしたことを必然と感じさせる効果を発揮しています。
 過去の積み重ねとは無意識下においても強い影響をもたらすんだというメッセージがそこには籠められていて、それを端的に示しているのが、『真昼の月』というED曲のタイトルではないかなと。一見目には見えなくても、常に存在感を放っていて、とても大切な役割を果たしている、そんなイメージですね。


 以上、シナリオとしての大雑把さや都合の良さはどうしても目に付くものの、世界観がもたらす時代性と、それ故に際立つ個性の見せ方が上手く、結果としてシナリオ構成の粗を感情面でのプラス要素が上回っている作品ではないかなと。
 どちらかと言えば私の評価基準では高い点になりにくい作りなのですが、流石に涙腺にまで触れられると感情面での要素を軽視は出来ないですしね。なので、シナリオの整合性、展開の自然さをもっときちんと作りこんでくれていれば名作だったのに、と惜しく思う部分もある作品です。
 

キャラ(20/20)

 社会の中において、個性を確立している立脚点、というのがすごくはっきりしている作品であり、故に、キャラクター設定そのものは特異でなくとも、この状況下でそのキャラ設定において当たり前の感性が反映されることで、より良さが際立って見えるという印象がありましたね。

 一番好きなのは・・・、悩むところだけどフロゥかな。
 メトセラという自我を持つ機械でありながら、幼い頃から主人公達とともにいたことで特異な感性の進化をしている、という在り様がもたらす、かそけく表現される感情の機微が実に微笑ましく、また健気で一途さを感じさせてすごく魅力的でした。
 朗シナリオとかでの、規範に反してでも友情を取る、という決断にいたる葛藤とかもすごく好きでしたし、やはり個別における恋情を知ってそれを一から、それこそ人間が無意識的に獲得している振る舞い方の部分から学んでいくいじらしさと素直さ、そういう純粋さがあるゆえの愛の深さもとてもとても可愛かったと思います。

 ほぼ同率で一姫ですね。
 意地っ張りな部分が決して嫌味でなく、関係性の中で獲得した彼女なりの自己の確かめ方であり甘えである、という、きちんと線引きされた振る舞い方が、逆に一姫の幼馴染達との関係に傾倒する想いの深さを浮き立たせていて、そこで見せる微細な感情の露出が物凄く好みでしたね〜。
 基本ロジカルでありつつも、美的感覚や感受性は人一倍優れていて、それが恋愛方面に向いたときの歯止めの効かなさとかもすごくらしくて可愛いと思いました。

 んでしねまかな。
 ヒロインではないのでどうしても魅力の幅そのものは限定されてしまいますが、やはりテーマにおいて表現したい要素がぎゅっと目白押しに詰め込まれている分、その一端なりともそれぞれのルートで露呈していくところでのその純度、輝き、人と生きる、という在り方の根源的な優しさの破壊力が素晴らしかったと思います。

 朗も当然かなり好き。
 色々残念な部分も多い妹キャラなのは確かだけど、1点突破的にこれだ!と思うものに対しては全力であり真摯であり、そういうブレイクスルーをもたらすような発想力と自由な価値観は、大切に育てられて培ったものなのだろうなあと思うに、家族という括りにおいても魅力がありますし、その上で義妹認識がある限りは恋愛感上に繋がっても全く不思議はないと思わせるキャラでしたね。

 カヤもその行動力が指し示すメンタリティは素敵だと思わせるものがありましたし、清十郎の突き抜けた爽やかさもアクセントが効いていて良かったですし、主人公の抱擁力と、けれどきちんと自己の拘りも抱えているその人間力もうなずけるものがありました。
 ま、要するに、この6人+しねま、という仲間としての括りがすごく機能的で、とても心に清々しい何かをもたらしてくれる関係だったなと思う次第です。


CG(17/20)

 おとぼくのときの、世間から浮世離れした雰囲気との親和性が高かった絵柄ですが、今回もこのどこか茫洋とした、退廃的な雰囲気には中々マッチしていていいんではないかと思いますね。

 立ち絵に関しては全体的にやや物足りないかなと思います。
 ポーズはヒロインが2種類にサブが1種類、腕差分なんかも少しはあるけれど、少なくとも躍動的ではないなと思いますね。きちんと個々の特色は出せているのでそこはいいんですが。
 お気に入りはフロゥ前向き、横向き、一姫正面、朗前かがみ、カヤ正面、しねま正面あたりでしょうか。

 服飾はヒロインで2〜3種類と、こちらも必要最小限の印象。水着とか寝巻きとか、1枚絵ではあるのに立ち絵には反映されていないのも結構あった気がしますしね〜。
 お気に入りはフロゥ制服、私服、朗制服、一姫制服、私服、カヤライダー服、しねま制服くらいかな。

 表情差分はそんなに多くはないですね〜。キャラごとに基本の表情がいくつかあって、たまにそれを外れた感情表現をするときの雰囲気の出し方とかは結構好きですけど。
 お気に入りは、フロゥ真面目、微笑、怪訝、横目、線目、半泣き、照れ焦り、一姫微笑、苦笑、企み、困惑、照れ目逸らし、朗膨れ、><、後ろめたし、驚き、カヤ笑顔、怒り、呆れ、照れ怒り、しねまにっこり、きょとん、困り、喜びあたりでしょうか。


 1枚絵は、一姫の眼鏡差分含めないで全部でちょうど100枚ですかね。量は充分ですし、質も安定して可愛く、そしてどこか儚げに描けているのではないかと思います。
 お気に入りはページ順に、朗食卓風景、寝起き、添い寝のお誘い、アップ、膝枕と告白、初H正常位、添い寝、お風呂Hバック、フロゥの過去、キス、自然な告白、嫉妬、アップ、初H愛撫、正常位、寄り添い、背面座位、バック、ドレス、カヤ抱きつき、潜水、ランチ、相談、アップ、バディブリージング、告白、初H愛撫、正常位、バック、騎乗位、一姫喫茶店、花火、寝転がって思索、アップ、キス、部屋H正常位、バック、動かないヒューマノイド、海1、廃墟、ダイビング訓練、しねまの目覚め、手足が・・・っ、切り取った世界、みんなで花火あたりですね。


BGM(17/20)

 曲数そのものは少ないですが、しっとりゆったりした雰囲気で統一された楽曲は中々に雰囲気があって悪くないと思います。

 OPの『Etrenal wish』は、たゆたう世界の中で自分の色を見出し、切り取って掴み取る、そんな優雅な中にどこか進歩的な印象も孕んだ雰囲気で、それなりに好みですね。
 挿入歌の『可視光線』は、透明感の中に、真っ白なキャンパスに光を当てて、そこに何を描いていくのか、そんな照射の雰囲気が滲んでいて、淡々と紡がれるメロディラインが逆にしっくりくる感じですね。特にサビは好みです。
 EDの『真昼の月』は名曲ですね。大海、星空、そういう悠久の広がりをイメージさせる出だしから、ちょっとずつテーマ性を滲ませつつ優しく包み込み、見守る印象がすごくいいです。特にBメロの柔和なメロディ、サビの柔軟性のある力強さのマッチングが完璧で、とても好きです。

 BGMは全部で18曲とちょっと少ないですが、質は悪くないと思います。
 お気に入りは、『陽だまりの花』『エレクトリック・フラワーズ』『シャルトリュー』『最終列車のひとつ前』『ゆめみるきかい』『薄桃色のセレナータ』『きらめく木洩れ陽の中で』あたりですね。


システム(8/10)

 演出は、特にキャラ周りに関しては派手さがないですが、背景、光源などはそれなりに繊細に組み込まれている印象ですし、それでも動的な部分もなくはないんだからもうちょっと動いてもいいかなと思わせるシーンはありました。トータルで見てもう一息欲しいかなとは思いますね。
 ムービーは全体的に美しく調和していて、その中で下から上、或いは俯瞰的な構図を多用することで、広がりを上手くイメージできていてかなり好きですね。

 システムは、まあ必要最低限はあるかなと。ちょっと項目設定が貧弱ではありますが、プレイする上でそこまで不自由ではないし、未来感をイメージしたデザインも、独特ではあるけれど恋剣ほどけばけばしくないから目に痛くなくていい塩梅なのではと。


総合(86/100)

 総プレイ時間19時間くらいですかね。共通5時間ちょい、個別が選択肢分岐含めて3〜3.5時間くらい、ラストエピソードが1時間くらいのイメージです。
 日常描写に力点を置いているからか、状況描写や展開をやや駆け足に感じる部分もあるけれど、量として水準は保っていると思うし、それでももう少しそのあたり丁寧に摺り合わせてくれれば最高だったのになあと私としては思います。

 それでも心に強く残る物語であるのは確かですね。
 最近、『世界から猫が消えたなら』というベストセラー本がありましたが、あれとどこか似通った、あるべきものがない、ということで日常の大切さを浮き立たせる、その上でより個性と価値観の意味をも考えさせる、そういう比較表現が実に巧みだったことが、論理的納得以上に感情的納得を強くもたらす主因であったと思うし、小難しくはあるけれど結構普遍的にお勧めできる作品ではあるかなと思います。
posted by クローバー at 06:15| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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