2013年09月26日

EVER17

 昔々にPS2版はプレイしてて、改めてもう1度やりたくなったのでPC版のほうを買ってきたついでに感想もサラッと書こうかなと。


シナリオ(30/30)

 一期一会のトリック。


 海洋テーマパーク、LeMU。
 水面から海底51mに渡って作られた巨大テーマパークにおいて、2017年5月1日、致命的な事故が発生します。人為的なミスからの気圧の減少による圧壊、そして浸水、遊興施設は一瞬にして地獄絵図と化し、自動制御による浸水地区の切り離しが行われ、何とか瞬時の崩壊は取り留めたものの――。

 その、崩壊寸前のLeMUに取り残された数人の年若い男女。
 友人と遊びに来ていた青年、倉成武。
 バイトとして働いていた少女、田中優。
 オペレーターとして働いている、茜ヶ崎空。
 記憶の全てを失ってしまった、少年。
 他者を拒絶する少女、つぐみ。
 奉仕活動の一環で訪れていた、松永沙羅。
 家族に会うためにやってきた少女、八神ココ。

 残存者の内の男性、武と少年のそれぞれの視点で綴られる、極限状態の中で更に続発するトラブルとの苦闘、それそれがここにいる意味と目的、そして真実――。

 果たして彼らは、生きてこの場所を脱出できるのか?
 それそれが胸に秘めた目的を、達することが出来るのか?
 この事故の、本当の真相とは何なのか?

 これは、複雑に絡まった運命の綾を解きほぐし、かつて交わした約束を叶え、いつか還るべき場所に全員で辿り着く、至高のミステリーアドベンチャー。


 あらすじは簡潔にこんな所で。
 大枠としては、第一にLeMUからの脱出を企図しつつ、視点者が関心を持ったヒロインの抱える問題や葛藤をも解決しようと奮闘する流れになりますね。

 テキストは全般的に会話の知的水準が高めというか、状況も踏まえて各人がしっかり自分に出来ることを搾り出している雰囲気がヒシヒシと伝わってくる感じですね。
 そのなかでもちゃんと、心を和ませるやり取りや、笑いも完備されていて、すごくバランスよく構成されていると思います。まあ難しい話に入ると本気で難しい部分もありますけれど。。。

 ルート構成は、武編でつぐみと空、少年編で優と沙羅ルートがあり、その全てをクリアすると最後にココルートが解放される仕組みになっています。
 無論、最初の4人のルートで少しずつ見えてくる世界の謎やそれぞれの立場などが、最後のココルートで一気に回収される流れになるので、オールクリア必須の作品といえますね。

 シナリオは圧巻の一言。
 この作品の一番すごいところは、ADVゲームという枠組みを最大限に生かした、数々のトリックを持ち込み、しかもそれを全く破綻させることなく完璧にシナリオと連動されているところですね。
 多少空想科学・化学的な部分も出てきて、それはこのシリーズの前身作とも連動していたりと、多少敷居の高さはありますが、それがなくとも納得はちゃんとできるだけの感情面での説得性が築き上げられていると思います。
 更に、もっと単純な意味合いでのトリックも随所に散りばめられていて、その全てが瑕疵なく、明確に伏線にもなっていて、シナリオの流れが1点に収斂していく過程で、それらも全てきちんと回収されるため、最終盤の盛り上がりの破壊力は史上最高クラスと言っていいでしょう。

 逆に言うと、そこに辿り着くまではもう少しでわかりそうなのに掴めないまま寸止めで終わってしまうもどかしさはあり、シナリオが展開する舞台が、事故発生から1週間、という固定期間であることもあって、多少中だるみを感じる部分はないとはいえません。
 それでも、最初の4人のシナリオとて水準以上の面白さは確保しているし、ヒロイン個々の内面をより良く知る、という意味では絶対に必要な過程でもあるので、作品の構造としてはむしろ上手くバランスを取っていると感じます。

 プレイし終わると、タイトルにもダブルミーニングどころか、三重、四重の意味が籠められていることがわかるし、清々しいまでの大団円で終わる部分も含めて、やはりADVゲームの史上最高峰の1つだと、今プレイしても全く色褪せていないと強く思いますね。
 まあ、後はグダグダいわずにやれ!としか言えませんが。この程度の感想読むにしても勿体無い、ノー知識で挑んで欲しい作品です。


キャラ(20/20)

 ここも不必要に書くとネタバレすぎるのでアレなんですが、ともあれ、登場人物それぞれに強い信念と覚悟があって、それが極限状況でも揺らがす真っ直ぐにふるわれるところに、この作品のキャラの印象の強さが集約されているかなと。
 
 一番好きなのはやっぱり沙羅で、彼女は私の中のランキングではつぐみに次いで2番目の不幸キャラ、という位置付けですが、それ故にこその振る舞い、内心に秘めた悲痛さと、積年の望みが叶ったときの、それまでの世を拗ねたような印象をかなぐり捨てた立ち返りが実に印象的でした。

 つぐみもホント、これだけ不幸被せられて、そりゃ人格も多少は歪むよと思います。大抵ゲームでの不条理なまでに他者を嫌うキャラって、その理由がわかっても同情しえないことが多いんですが、つぐみはその点を完璧にクリアした、プレイ序盤と最終盤では全く印象の違うヒロインだと思います。
 間違いなく、この作品のメインヒロインですね。

 優もあのいつでも明るく攻撃的な強さは惹かれるものがあるし、空は見た目と裏腹に作品内で一番の萌えキャラだったりするから侮れないし、実はむしろココが一番好みじゃない現実。。。

 そして忘れてはいけないのが武ですか。
 彼の真っ直ぐな正義感と献身は胸をすくものがあり、人を動かすものが理性でなく感情、と定義するならば、彼のその行動がその後の歴史を動かした、とすら言えるのではないかなと。


CG(18/20)

 基本的に可愛いけれど可愛すぎない、位の塩梅が、作品のイメージとすっきりマッチしている感じですね。

 立ち絵はそんなに多くないけど、表情と連動してのポーズ差分が結構あるので、躍動感的なものはこの時代としてはかなり感じさせるのではと思います。おなか抱えて笑ってる沙羅と優とかかなり好き。あ、あと赤面して両手を頬に当てる空もか。

 1枚絵も必要量はきっちり揃えていると思うし、迫力やインパクトもしっかりあって、絵から伝わってくる感情、というのがすごく印象深いです。
 特に好きなのは、優のキス、つぐみの抱擁、沙羅登場、押し倒し、浸水の中でとかですかね。


BGM(20/20)

 ここは思い出補正もかなり強いんですけど、でもやはり満点をつけても文句ないだろうと思えます。
 OP曲はすごく疾走感と緊迫感があって大好きだし、挿入歌の子守唄も切なさが滲み出ていてすごく好きだし、全体的なBGMも程好い近未来感の中に息苦しさのようなものも感じさせてすごくマッチしています。

 そして何より、『Kalma』が神曲中の神曲。理不尽に背負わされてしまった業を、それでも受け止めて立ち向かっていく悲しみと強さが1つに集約された、素晴らしいとしか言いようのない曲ですね。
 むしろここ7〜8年、脳内だけでずっとリフレインされていたせいで、思い出補正でもっともっと荘厳な曲だったような気すらしていて、実際プレイして初めて耳にして、ここまでシンプルだったっけ?と思ってしまったくらいですが(笑)、聴き込むほどに震えが走る、おそらく生涯頭から離れない曲でしょう。


システム(9/10)

 演出は高水準だし、どれもシナリオの仕掛けとも上手く噛み合っているので印象深いですね。

 システムは正直PS2版のほうが使いやすいんじゃね?と思う部分もあり、特にバックログが見られないのは問題ですが、それ以外は時代も考えれば充分ですかね。


総合(97/100)

 総プレイ時間は24時間くらいですね。
 プロローグは30分くらい、個別が4〜5時間ずつ、ココ編がやや長めかな、くらい。プレイ順次第で個別でもスキップ可能部分があるので、その辺も加味しての平均値にしてあります。
 間違いなく面白い作品なので、未プレイの人は、今更、ではなく、今からでも是非、手に取れるのであればやっておくべきだと思います。
posted by クローバー at 06:17| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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