2014年03月06日

ハピメア Fragmentation Dream

 本編かなり面白かったですし、有子がすごく好きになれそうだったので迷わず購入。


シナリオ(22/30)

 終わらない夢はない。けれど、夢を見なくなることもない。


 この作品は、2013年2月に発売されたハピメアの続編となります。
 略称するとハピメアFDなので紛らわしいですが、無論FD的な面も十全に備えつつ、けれどその本質としては続編、決着編と言った方が通りがいいと思います。
 なので、当然のことながら本編未プレイだと100%なんのこっちゃ、になりますのでご注意。ついでに言えば、本編の設定も夢を舞台にしているだけあり、かなり錯綜し、解釈が難しめなので、万全に楽しみたい、と思うならこれをプレイする前に復習しておくといいかもしれません。私も読みながら、あれ、この説明はどのルートでの展開で、どの伏線と絡むんだっけ?と一方ならず立ち止まって思案する事が多かったですし。。。

 本編での、トラウマと直面する事を余儀なくされる、連鎖する悪夢の輪から、その夢の根源の心性を改竄する事で抜け出す事に成功した主人公達は、目覚めた有子の面倒を見つつ平穏な日々を送っていました。
 ・・・が、しかし、いつしか主人公達の胸中に、言い知れぬもどかしさが募りだします。咲や景子、弥生との関係において、明晰ではなくとも想いの残滓として残る、繋がっていたという感覚が付きまとい、特に主人公はそれが全員分平行して存在する事で困惑します。まだ自分は有栖の事を愛しているはずなのに・・・と。

 そしてある日、主人公はいつものように夢を見ます。
 それは、もう見なくなったはずの、かつての夢の主が舞台として選んでいた洋室。動転しつつも半ば納得する主人公の前に現れたのは、やはりもう現れなくなってしまったはずの、主人公の最愛の悪夢・舞亜。
 彼女の口から語られるのは、またしても主人公達が大きな夢の枠に囚われている事実。しかしそれは以前のものとは違い、ほとんど現実に等しい、平穏で幸せな、そのまま流されてしまってもきっと心落ち着くだろう夢。

 けれど――、と主人公は思います。
 やはり夢は夢。きちんと終わらせなければ前に進めないのだと。
 それに、ここには最愛がいない。いつしか未練が募り、それを強く求めてしまったら、また夢の中に耽溺し、今度は帰ってこられなくなるかもしれない――。

 だから、今回も夢の主を探さないといけないと決心する主人公に、舞亜は、この夢が全ての可能性を包括し、かつバラバラに分割されてしまったものだと言います。その夢を渡り歩いて綻びを繕い、ひとつの大きな流れに統合する事で、静かに世界はあるべき姿に立ち戻るだろう、と。

 今度の夢の主は誰なのか?
 その主が求めた背反する想いは何なのか?
 それは如何にして解決されるべきものなのか?

 再び、甘く切ない夢物語がはじまる――。


 と、あらすじはこんな感じです。
 大枠としては基本一本道のシナリオであり、但し時々、有り得たかも知れない可能性の覗き見をする、という形式で他ヒロインとの絡みや、本編からの連なりを垣間見る事も出来る、という感じですね。

 テキストは相変わらず小気味良くテンポ良く、主人公のいじられっぷりは本編同様なんですが、そこに全員からの愛着の色が籠もる事で、毒々しさは薄れたけれど刺々しさが増したかな、と思わせる展開が多かったですね。
 日常においてもあまり突拍子のない展開は起こらず、どちらかと言えば有子を中心としての穏やかで優しい日々の描写が多いですが、それでも会話の妙だけで十二分に面白味があるところは流石と言えましょう。無論ある程度、続編という形式が蓄えた読み手の思い入れに比例はするでしょうが。

 ルート構成は、バラバラになった夢をひとつずつ見ていく、という形がメインとなります。
 選択の順番こそある程度自由があるものの、最終的に全部見なければクリアできないのは変わらないでしょうし、一本道と思っていれば問題ないです。ただ時折選択肢が出て、そこからトゥルーかグッド(バッドと書いてしまうのは忍びない)に派生するので、そこだけセーブしておけばいいんじゃないかなと。

 シナリオ的には、良くも悪くも有子のための物語に思えましたね〜。
 今回の夢の舞台にしても、未練、というわかりやすい形の表現であると同時に、日々の暮らしの中で他のヒロインや主人公が醸し出す空気を共有できない、認識に対する齟齬を自覚しなければ前に進めない、という無自覚の決心がそうさせているように思えましたし、主人公にとってもそれは遅かれ早かれ向き合わなければならない問題だったから、それが上手く噛み合っての状況なのかなと。
 夢の細分化、という設定に関しても、主体者の主観における様々な葛藤がわかりやすく具現化されているとは思いますし、個々にそれを追いかけることで、より想いの形を見えやすく紡いでいると思います。

 ともあれ、有子という肉体的にも精神的にも基本虚弱な女の子が、それでも前向きに生きる活力を心の奥に灯して真実に向き合ったときの化学反応めいた展開が非常に繊細に紡がれていて、有子が好きだ、と思える人にはとても満足できる内容ではなかったかなと。
 世界の謎とその決着に関しても、そうしなければならないという意思はありつつも、世界の優しさについ躊躇いを挟む所でのジョーカーの介入とか実に小気味良く、それぞれのキャラのらしさが存分に生かされているなあと感じました。あの三日月はえぐいよね〜。

 その大枠的な夢の終わりの後に、本当のただの夢、としてのおまけも用意されており、それはHシーン中心ではあるのですが、最後の最後に主人公の未練との対峙という、本編から連綿と続くテーマに対する決着の形が二つ提示されており、その対比の玄妙さと、前向きな選択の果てに待つシーンのらしさは実に鮮烈で、このあたりは舞亜が好きな人にはご褒美、という感じですね。

 瑕疵というかもどかしいところは、基本ハーレム展開の割にシーンが後半に集中していて、主人公爆発しろ的に読み手の感情まで鬱屈する所と、あとはやっぱり夢舞台なので多少ならず強引さはある、くらいでしょうか。
 ただ、本編でも実際的にはそうだったのだろうけれど、基本的に夢での影響力をどれだけ行使できるかは、どれだけ空想に長け、その中に自分の居場所を構築できているかに比例するわけで。景子などはその点、逃避が現実の中にあるから夢との相性は良くない、という明確なスタンスはありますし、その出来る事、出来ない事、という区切りが今回は一層明快ではあったと思います。
 ・・・まあその意味で、みんなを巻きこむほどの大きな夢を紡げる、という時点でほぼ犯人は三択に絞られるというわかりやすさもあり、なんですが。。。

 
 テーマとしては軽く未練に対する考え方について。
 それは一番上に書いた作中の台詞が全てを象徴している、としてしまえばそれで済むところでもありますが、結局の所、未練など強引に断ち切ろうとしてどうにかなるものではない、ということなのでしょう。
 心をそうやってきっぱり処断できるくらいなら、人は夢など見ないし、また夢であれ空想であれ、折々にこの未練の残滓の香りを嗅ぐことで、より強く今を実感するのではないかと。

 だから、無理に断ち切ろうとすれば、有栖みたいにジレンマの中であらゆる感情を押し殺すような切なさを抱えることになるし、それが存在する事で、夢に囚われ続ける危険を孕み続ける以上に、そうやってきっぱり断ち切ってしまうことが自分の中の大切な何かをないがしろにしてしまう、それが生きる上で糧にならない虚しさを上手く現していたなあと思います。
 大きく見れば、有子が無意識の中であれ自分のやった事を知らずにいる、というのはそれと同様であって、それを知らない有子ではあの未来は紡げなかった、と明確に判別できるだけの説得力を有していましたね。

 未練とは、断ち切るものでなく、いつしか薄れ、思い出にうつろいゆくもの。
 そこに一抹の寂しさはあれ、そこまで昇華した想いは人としてのコクになっていくし、そしてそうなるまでには時間という特効薬がどうしても必要になる、だからそれまで辛くても前を向いて生きなくてはならない、という当たり前の真実が、時間の経過含めて最後の主人公の選択に凄く綺麗に現れていますね。


 以上、総合的にフルプライスとして若干ボリューム不足なのと、比率的にもシーンに拠っている部分が多いのは、まあ続編という部分を踏まえれば仕方なくもあり、有子スキーとしてはもっと本筋にスポットを、と思わなくもないけどバランスとしてはこのくらいが妥当なのかもしれませんね。
 ただ、抱える葛藤に対して、単なる先送りではない選択が成されている部分と、それをもたらす展開の鮮やかさは素晴らしかったですし、それだけでも充分に買った価値はあったと言えます。
 本編のようにトラウマが主題になってはいないので、その分物語としてのアップダウンは薄いかもしれませんが、私としては本編に等しい面白さであったと思うのでこの点数にします。


キャラ(20/20)

 相変わらず個性は際立ってますし、本編よりも尖った部分は薄れて、ヒロイン同士の連帯感も強くなっており、そのあたりで本編に不足していた成分が充填されているのは良かったですね。

 ま、個人的には有子が物凄く好きになれたのでかなり満足度は高いです。
 ただこの子の場合、何の前提もなくポン、とこの設定で出てきたら、そんなに好きにはなれていないと思うんですよね。基本的にポンコツですし、世を拗ねてみている部分はどうしてもあるし、可愛いけど扱いづらい、みたいな、腫れ物に触るような感覚はどうしても残ってしまうでしょうから。

 でも、有栖という仰ぎ見る理想の存在が顕在化していることで、彼女なりのジレンマや煩悶、焦燥が色濃く伝わってくるというのがあるし、その夢見がちでありながらも比較的現実的でもある部分に親近感があるというか、それこそ主人公ではないけれど、最初はどうしても有栖ありきで見てしまうけれども、その内差異の部分からじわり、有子らしさが滲んできてそれにやられてしまう、みたいな感じです。
 それに、回帰してみればその想いの源泉は・・・、という部分に至って、大仰に過ぎる遠回りの結果であるという解釈も提示されますし、とにかくあの、極端なまでに臆病で引っ込み思案でありながらも、主人公にだけはおどおどと懐いてくる風情の愛らしさ、けれどそういう表面的な弱さを剥ぎ取った後に残る芯の強さ、前向きさ、懐の広さに、ああ、素敵な女の子だなあと思うこと多々でした。

 あとやはり株を上げたのは舞亜ですかね。
 本編でも可愛かったけれども、どうしたってトリックスタートして行き過ぎな部分は目に付いたし、今回はそれが緩和されて、一心に主人公に尽くす姿はいじらしく、それでいて主人公のためなら、いざとなればどんな果断な事でもやってのける振り切れた部分も健在で、そのバランスが良かったです。
 特に有栖の本心を抉り出して見せたシーンと、あと最後の別れのシーン、この二つは舞亜らしさが存分に発揮されていて、演出の妙も相俟って物凄く印象的でしたね。

 有栖も当然可愛かったし、ただどうしても有子の合わせ鏡としての、弱さの部分を背負わされているので、その点で不憫な立ち居地ではあるし、逆にこの子が大好きっていうならそこにいじらしい魅力を見出すかなって感じです。私にしてもそれはあるけど、それ以上に有子に心寄ってしまったからなあ、というのが残念なような・・・。

 そして景子好きだ〜・・・けど、どうしても他ヒロインは立ち位置的に補助者、助言者以上の、主人公や有子の選択に強い影響を与えるポジションにはいないので、本編以上に光る何かがあったわけではないかなと。
 あ、でも朝日は本編以上にあれこれ思う部分を吐露してくれていて可愛かったなあ。ぐぬぬ、やはりあいつには勿体無くないか・・・?


CG(17/20)

 相変わらずマジロケット。。。つかみらのすの頃からずっと思ってるんだけど、どうしていつもこの原画さんのデザインキャラは巨乳か貧乳かに偏っているのかと。個人的にはその中間が見てみたいのですけどね〜、ロリ有子も悪くはないけど、間、間をプリーズ(笑)。
 ともあれ、もう一人とも合わせて質は中々いいのですが、自分の好みのツボと微妙に外れていること、それにフルプライスとしてはやはり若干量が足りないかな〜というところで、それでも本編よりはグッとくる絵柄多かった気はするのでこの点数ですね。

 立ち絵に関しては、既存ヒロインは水着とあって新制服くらいですかね。メインとなるのは有子なのでそれを中心にサラッと。
 ポーズは胸前で手を合わせているのと、体を捻って顎に手を当てているのが可愛いなと思います。基本的にこういうしとやかな守りの姿勢っぽいの好きなんですよね。。。
 服飾は一応有子だけで6種類はあるのかな。ただパジャマあたりは本編でしか出てきてない気もするけれど。好みなのは私服と夢服、あと舞亜の水着あたりでしょうか。
 
 表情差分は、既存ヒロインも少しは追加あるのかな?と正直判断はつかないですが、やっぱり舞亜のニヒヒ笑いは非常に可愛いし印象深いです。有子だと悔しいが秀逸。本当に苦々しい、という雰囲気がヒシヒシ伝わってきて、有子らしい感情の豊かさが色濃く出てるなあと。
 その他だと微笑、きょとん、やさぐれ、照れ目逸らし、混乱、焦り、溜息、ジト目あたりはかなり好きですね。


 1枚絵は通常69枚にSD10枚と、やはり値段相応にはちょっと足りないですね。でも出来はむしろ本編よりも好きです。

 特にお気に入りは3枚。
 1枚目は舞亜との別れ、この光源の美しさと颯爽とした雰囲気、とどめに舞亜全開のニヒヒ笑いで最高のインパクトだったと思います。とりあえず現状の今期NO,1ですな。
 2枚目は有栖の甘え、この全力で甘えてやる〜と言わんばかりの密着と華やかな表示用が物凄く好きです。
 3枚目は舞亜と有栖の貝合わせ、二人の陶然とした雰囲気が凄く綺麗でエロくて大好きですね〜。

 その他お気に入りは、有子ぎゅっと、のしかかって、腕組み、幸せな未来、夢H背面屈曲位、水着H背面騎乗位、初H愛撫、正常位、咲制服Hフェラ、バック、メイドH背面座位、水着H屈曲位、弥生いじけ、景子夢服バック、制服正常位、舞亜抱きつき、惜別、切ない夢、制服披露、背面座位、バック、有栖腕組み、恐慌と絶叫、大泣き、水着H愛撫、取り合い、二人でパイズリ、二人で有栖を責める、あとSDでご馳走お預け、景子百面相、しばらくお待ちくださいあたりですね。
 ・・・どうでもいいけど、この人マーライオン好きよね(笑)。


BGM(17/20)

 新規はそこまで多くないけれど、元々の質は高いし、新規とも噛み合っていて、独特の雰囲気を継続して表現できていたと思います。

 新規ボーカルは3曲。
 OPの『幻想楼閣』は名曲ですね。本編OPほどの鮮烈さとおどろおどろしさはないけれど、歌詞はやたら先鋭だし、その想いの強さをジンジンと感じさせるメロディの波濤感と合わせてかなり好きです。特にサビの迫力はいいですね。
 第一EDの『永続的恋愛理論』は、この作品の曲としては珍しくポップで爽やかで、それだけに印象には残りますが、特に曲として惹かれる部分はなかったかなと。
 第二EDの『後ろ髪の証跡』は名曲です。こちらは実にそれらしいというか、置き去りにしなくてはならなかった切なさをきっちり余韻として残しつつも、前を向く強さを綺麗に表現していて、特にサビの部分の盛り上がり、メロディの力強さ、あと最後のサビ前の導入の部分がかなり気に入っています。

 新規BGMは5曲ですかね。元々の曲も改めて聴くといいの多いなあと思いますが、しかし本編で一番気に入っていた幸せの残滓が使われてなかったのは、やっぱりそういう後ろ向きな切なさを助長するのを良しとしなかったのでしょうかね?
 あと景子のテーマ曲だけ書き換えられていたのは、やはり立ち位置の明確化なんでしょうかね?どちらにせよいい曲ですけど。
 
 お気に入りは『輝きが眩しくて』『Disappearance of Alice』『Melancholy of whim cat』あたりですね。


システム(10/10)

 演出は中々に見事ですね。
 基本的なキャラの同期や動きの多角性、背景効果なども充分に丁寧なのですが、それ以上に印象深いのは、シナリオと連動させての印象付けにあると思います。光源、光沢の使い方も鮮烈で小気味いいし、そのシーンに宿る感情を、特に要所では上手く切り取れていたと思いますね。
 それに本編と違って誤字脱字は、いや全くなくはなかったけど、ほとんど払拭されていましたし、きちんと完成しているという印象がありました。
 ムービーもやはり色使いが出色の上手さですよね〜。さすがに本編OPほどの破壊力ではないですが、今回もかなり素晴らしい出来だったと思います。

 システムもいつも通り独特だけど便利ですし、設定できる部分も細かく文句ないですね。

 ・・・ま、少しばかり三日月思い入れ補正が強い気もしますが、全般的に隙がなかったのでちょっと甘いかもだけど満点つけちゃいます。


総合(86/100)

 総プレイ時間16〜7時間くらいですかね。すごく短いわけではないけれど、贅沢を言うならば本筋のあれこれをもう少し骨太にしてくれれば更に満足度は高かったのに、と思いました。
 それでも続編、という点を踏まえれば十全に近い充実度でしたし、本編が好きだった人ならば間違いなく楽しめる出来にはなっていると思います。その上で特に、有子&有栖と舞亜が大好きな人にはより思い入れが深くなるかな、というイメージで、私的にはとっても満足できましたね。
posted by クローバー at 05:04| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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