2014年03月13日

イノセントガール

 結構体験版面白く、コンセプト面でもピュアガールよりはとっつきやすいかな、とかなり欲しくはあったのですが自重し、けどいろいろ我慢が良くないとプッツンした結果いの一番に買ってきてしまったり。。。


シナリオ(21/30)

 ただひとつの、二人だけの光を求めて。


 もう、芸術に関わる気はなかったのに――。

 かつて早熟の天才詩人として一世を風靡した星空きらる、こと主人公。
 しかし思春期を迎え、あまりにも自分の感性が剥き出しである所の詩文を続ける事に羞恥を覚えるようになり、いつしか芸術の世界そのものから遠ざかっていました。
 なのにこの度、両親の突然の海外転勤により、妹の雛子と幼馴染のこのかが通っている芸術学校、通称クリ園に半ば強制的に編入させられることになり、そこでの自分の立ち位置を、なりたい自分の姿を見失ったままに、主人公は再び芸術の世界へと立ち戻ってくることになります。

 そんな転入初日、学園案内の最中に思わず目を惹かれたのは、玄関口に飾られた1枚の大きな絵。水の中から光を求めて彷徨う魂の瑞々しさ、鮮烈さに感銘を受けると同時に、あぁ、これは未完成だ――と謎めいた感慨を胸に呼び起こし、寮に案内されてその作者の天才画家、かがりと対面する事で、その想いは燻った何かを呼び覚まします。
 もっとも、そこに至るまでに、寮の住人である鼎に悪戯されたり、このかと久しぶりの再会のせいなのか妙な方向に盛り上がってしまったりと、どうにも居心地の悪さも抱えつつの煩悶で、自分の気持ちの確かな形も見出せぬままに、しかし初日にして暴露されたかつての自分に対して感じた想いを絵に託して渡してくれたかがりに、これからの日々の特別の予兆を嗅ぎ取っているのでした。

 誰もが芸術を志すだけあって、一筋縄ではいかない個性を漲らせている寮の仲間達と、それぞれの距離感、関わり方を模索していく中で猶予期間は過ぎ去り、主人公が自らの進む道を選択する日がやってきてしまいます。
 一方ならぬ想いで自身の復帰を待ち望まれていることは自覚しつつも、主人公は今の自分が向き合いたい芸術の形と、それを共に築いていきたい相手を心に思い浮かべる――。
 これは、芸術に仮託されたヒロインそれぞれの一途で純粋で無垢な想いを新たなステージに昇華する、愛と絆と努力の物語です。


 あらすじはこんな感じでしょうか。
 大枠として、それぞれのヒロインがその道を目指している根源的な理由、意味と主人公が心を寄り添わせる事で、かつて自分が見失った自己の本質を少しずつ取り戻すと共に、二人、という新たな枠組みを得て、新しい芸術の形を紡ぎ上げていく流れになります。

 テキストはなんというか・・・自由ですね。。。
 芸術を扱っている為に、主人公のポエムやかがりん語などの、どこか浮世離れした感性的な言語が飛び交い、けれどそのふわふわした感じが独特の読み口となっています。
 またこのシリーズらしく当然エロスには力が入っているのですけど、卑語のエスカレートなどの最低限の統一感はあれ、ライター独自の感性を存分に生かす形で執筆が委ねられている印象ですね。多分ライター一人で一ルートなんでしょうけど、全部テキストの雰囲気が違うし、ここまでくると狙ってやっていると思います。
 ともあれ、エロスと物語のバランスが程よく保たれた中での独特の表現具合が、作品の如何にも、という風情を助長させており、概ね楽しめましたね。まあこのかルートだけはちょっと軸がずれているというか、触れれば壊れそうな繊細さをまるで感じさせないべらんめえな印象でアレでしたが。。。

 ルート構成は単純、選択肢一個きりです。。。
 むしろ個別に入ってから、エロシーンのシチュ選択が結構あったりして、もう基本的にはどの生き様に、芸術観に共鳴したか、だけでスタートしてしまっている感じですね。
 そもそもこのかと雛子は最初から好感度マックスだし、鼎は後々判明する独自ルールから体の関係に至るルールが特殊だしで、それでも全く個別としての体裁を作るのに苦労しない所は都合よく設定されています。その分だけ、かがりとの恋愛に至る過程の丁寧さが際立つ、というのもあり、ま、これはこれでアリでしょう。

 シナリオに関しては、もう予想外に非凡、というべきでしょうね。
 コンセプト的に前作ほどエロス一辺倒ではないとは思っていたけれど、ここまでしっかりシナリオ面でも頑張ってくれているとは思ってなかったので嬉しい誤算でした。
 誰しもが芸術家肌なので、奇矯な振る舞いや飛躍した観念でもって、上手く言葉に出来ない感情の爆発をギリギリ抑え込んでいる様な危うさ、脆く見えてしまう外面があって、けれど内奥に踏み込んでみれば、その芯にあるのは一途なまでに本能の欲求に忠実で貪欲な、眩しいまでの愛と希求で、その強さ、熱さに触発されて主人公もまた、自分の熱を取り戻していく形が、エロスの衝動とも連関して実に綺麗に綴られている物語だと思います。

 個別評価だと、かがり>>雛子=鼎>>このかくらいでしょうか。
 かがりシナリオの、特に見えている世界が違うのではないか、と思わせるほどの独特な感性を少しずつ詳らかに、丁寧に繊細に剥いていく流れと、そうして繋がり合った世界を発端として、より大きな世界に羽ばたいていく過程、そしてそれを一心に選択できるかがりの精神の美しさが一体となった所は本当に素晴らしかったです。
 雛子も、歌い、詠うという行為の形で繋がった二人の感性の表現が、互いの気持ちと結びつく事でより飛躍した形に昇華して、それをラストの曲で完璧に表現しきれている部分のトータルコーディネートがすごく良かったですし、ヒロインとしても可愛かったですね。

 鼎は私個人の趣味としては微妙に受け入れにくい性質ではあるのですが、彼女がそうなってしまった理由付け、そして体から始まる恋愛模様の逆回しの光景が実に丁寧であり、故に後半に行けばいくほど、鼎の駄目可愛さにやられるイメージですね。あと主人公はともかく、雛子が理性的に過ぎてちょっと笑った。。。
 このかもシナリオの構成というか、素材は決して悪くないと思うのですが、本来寮の中でも一番の常識人の佇まいのこのかだけに、この浮薄なテキストのイメージと合致しないものはあり、またシナリオ展開の理由付けのまずさも加わって、どことなくコレジャナイ感を漂わせてしまっているのが惜しいですね。


 テーマ的に第一義に挙げたいのは、やはり自分を信じる強さの価値、でしょうか。
 忘却であれ、盲目であれ、盲従であれ、諦観であれ、何某かの負の感情を取りまといながらも、それでも自分にはその道しかないからと愚直に、その可能性の先にあるものを信じて進む事が、主人公という存在と化学反応を起こして変化していったように、想いとはどれだけ純良で重量的であっても、発露されていなければ伝わることはなくて。
 それが共通からの流れで一番綺麗に表立っているのはかがりシナリオになりますが、他ヒロインに関してもそういう一心な部分は明確に鍵として括られていて、何より主人公が一旦はそういう発露を挫折した、という立ち位置であることが、余計にヒロインをきらきら輝かせる土壌になっていますね。

 誰しもが、それこそ心を病まない限り自分に完全な嘘はつけないにしても、信じたい、というのと、信じる、というのでは、明確にスタンスが違って。
 自分を信じたい、という曖昧さが自己憐憫に比重を置いて何かを生み出す活力に繋がりきらないのに対し、自分を信じる、という自覚と覚悟は、それに連なる努力は、わかりあう、という孤独の殻を脱却する為の可能性を導く力があるのだと思わせますね。
 もっとも、こういう風に複数ヒロインを同一主人公が攻略するゲームでだと、選ばれなかった世界における可能性の頓挫、というシビアさも垣間見え、その切なさも含めて飲み込みたいところです。


 以上、総合的にすごくエロとシナリオのバランス、関連性が良く出来ていて、ただシーンが多いだけの作品とは一線を画していると思えます。
 無論欠点や粗さもそれなりには目に付くし、主題がヒロインの真っ直ぐな想いの昇華にあって、それに伴う困難などの部分は二次的なので、すごく深みのあるシナリオ、とまでは言えないのですが、プレイヤーがエロゲに求める多種多様な充足感、というものを、それぞれ水準以上にもたらしてくれる完成度が魅力の作品だと思います。


キャラ(20/20)

 どうしてもコンセプト的に、普通よりも感性が独特で癖があり、エロ方面にも奔放な印象は強いですが、としてもそれが品のなさに繋がるわけではなく、むしろそうであるからこそ触れ合いに対しての忌避感のなさや敷居の低さが必然なのだ、と思わせる繊細な造型が見事でしたね。

 一番好きなのはやはりかがりになるでしょう。
 ちょっとキャラとして出来すぎている部分はある、というべきか、独特の癇の強さと、その素直な吐露がすべからく主人公の閉じ込めた感性を錐でつつくように揺さぶる所など都合はいいなとは思うのですが、結果論的にそうでなくてはより深い興味に至らない、という、分かり合うまでの難しさと、それが為されたときの歓びの深さがしみじみ伝わってきて本当に可愛いと思います。
 それまで作品に委ね続けてきた想いを掬い取って、二人で新しい形に繋げていく中での新鮮な甘えっぷりと耽溺、しかしそれを窘められる事で更に一段強さを抱き、その希望に添う形での決断を素直に導ける心根の清らかさは素晴らしいですし、読み物のヒロインとしてとても魅力的でしたね。

 次いで・・・雛子のほうかな。純粋なスペックとしてはこのかのほうが好きなんですけどね。
 抱いている想いが、大歓迎はされずとも決して禁忌ではないと知っているからこその、とことんまでに真っ直ぐな愛は、受け止める相手がいなければ暴走し空回りするだけで物悲しいですけど、そのアグレッシブさの裏側にあるいじらしさまで汲み取って受け止めてもらえたときの破壊力は素晴らしいものがありましたね。

 このかはすごく好きなんですけど、やはりシナリオがちとネックだったなあと。他ルートのこのか、とりわけ鼎ルートあたりのこのかであのプロットをやってくれれば良かったのに、と求めてしまうのは贅沢なんでしょうが、あの献身と一途さは素敵でした。

 鼎も面白いキャラではあるし、恋を自覚してからの愛らしさはいい意味でギャップになってますが、やっぱり本質的にそこまで好きになれないタイプであるので、そればかりは仕方ないですね。

 そして大人達が色んな意味で酷い。。。
 いちごはまだかがりや雛子ルートで株をあげたけど、莉乃はこのかルートで爆下げしてそれっきりだしなぁ(笑)。


CG(17/20)

 時折構図が怪しいかな、と思う部分もありますが、全体的に可愛くエロく、塗りの秀逸さもあって画面以上に大きく見えるような迫力と艶かしさがあったのも良かったですね。

 立ち絵に関しては標準、よりはやや少ないかなと。
 ポーズは一人2種類ずつでしょうか、腕差分もなかったと思うし、ポーズそのものもあまり大きな動きを感じないのでその点はやや物足りないですね。
 お気に入りはかがり正面、やや横、雛子やや横腕上げ、このか正面くらいですね。

 服飾はヒロイン3〜4種類、サブは1種類ですね。量としても平準だし、質もまあ可愛いけど特筆するほどでもない感じでした。 
 お気に入りはかがり制服、私服、デート服、雛子寝巻き、水着、このか制服、私服、水着、鼎私服あたりですね。

 表情差分もあまり多くはなく、テキストが求める多様性を十全に完備できていたかというと微妙かもですが、概ね可愛くはありました。
 お気に入りはかがり笑顔、怒り、うっとり、しょぼん、ジト目、照れ、困惑、雛子妄想、笑顔、ぎらぎら、落ち込み、ギャグ怒り、このか笑顔、照れ焦り、ぐるぐる、目逸らし困惑、不満気、半泣き、鼎にひひ、驚き、照れ焦りあたりですね。


 1枚絵は通常85枚のSD17枚、合わせれば標準クラスですね。
 質もそれなりに高いですし、特に胸のラインの丸み、柔らかさが好みですね。あとやっぱりSDは可愛いです。

 特にお気に入りは、かがりの水浴。この陶然、超然とした雰囲気と、胸のラインの美しさがドツボでしたね。
 その他お気に入りはページ順に、かがり水槽に寄り添い、デートの待ち合わせ、一緒に水浴、苦衷の涙、無垢なる世界と仲間達、自慰手伝い、初H愛撫、脚コキ、バック、フェラ、対面座位、暴露、雛子添い寝、アイス、夕日を背に、自慰、お風呂愛撫、正常位、水着愛撫、立ちバック、69、謎生物、このかひざを抱えて、熱中、涙堪えて、和解、影絵の真実、フェラ、バック、パイズリ、騎乗位、正常位、指きり、鼎手を引いて、立ち竦み、煩悶、赤裸々に吐露、一緒にお風呂、バック、パイズリ、教室愛撫、同衾、お説教、宴会、海、夜空を見上げて、かがりと鼎H、夜這いあたりですね。


BGM(18/20)

 全体的に軽やかで爽やかで、けれどその中に独特の感性、個性を感じさせる淡い色合いが滲んでいて、量としては多くないけれどかなり好みの曲調でしたね。
 
 ボーカル曲は3曲。
 OPの『Art asハートたち(複数ハート)』は、何ともそれらしい軽やかさと疾走感、ノリの良さが前面に押し出された曲で、清々しく耳に残る感じですね。曲としてすごく好き、というほどではないけど、特に出だしのイントロとBメロあたりの雰囲気はいいなと思います。
 雛子EDの『First song』は名曲ですね。唱歌のようにシンプルに、伝えたい想いがギュッと濃縮されていて、その思いの暖かさ、羽ばたくような軽やかさがさながら賛美歌のような美しさと厳粛さをも醸し出していて、個人的にかなり気に入りました。特に裏のピアノの旋律、あとBメロの入りでスローになるところが大好きです。
 EDの『Everlasting Memories』はやはりノリが良く、手を繋いで弾むように歩いていく様がアリアリと目に映るような雰囲気がいいですね。これも特別好きではないけど、いい曲だと思いますし、サビの走りとか特に好きですね。なんとなくFAの『Pure Message』を思い出します。

 BGMはインスト含めて全部で25曲、やや少ないかな、くらいではありますが、ドタバタハチャメチャな日常と、独特の情感が程よく混ざり合って、印象深く仕上がっていたと思いますね。
 
 特にお気に入りは2曲。
 『リトルマーメイド』は、素晴らしいですねこれ。少なくとも今年のBGMでは一番好きです。
 まるで水面に映る星空のように、篝火のように、迂闊に手を伸ばせば波紋の中に消えていってしまいそうなイメージを投影した曲で、水の中にいるかがりという等身大の女の子の寂寥と孤絶感を強く感じさせる繊細な旋律と、後半の僅かに音が上がるところからの必死で手を伸ばすイメージが物凄く好きです。
 『仄暗い水底』はやはり手の届かない切なさ、悲しみがシンプルに表現されていて、中盤からのピアノの旋律の美しさが特に気に入ってます。

 その他お気に入りは、『木漏れ日和』『薄暮の砂浜』『陽だまりの彼女』『What is love?』『夜が明けるまで』『First song(インスト)』あたりですね。


システム(9/10)

 演出は的確に丁寧ですね。
 絵の素材量が足りない分もコミカルに動くし、漫符などもふんだんに使って感情費用言も緻密だし、光源演出も多彩、エロいシーンの音や演出も力が入っていて、総合的に隙がない仕上がりだと思います。
 ムービーもかなりお気に入り。このパステルな色合いで統一されたところと、流れるような構図、ヒロインの見せ方、曲との噛み合い、ラストへの展開、どれもセンスが満ちていてすごく好みでした。

 システムも特に問題はないですね。選択肢が少ないのでやり直しの必要がないとは言え、スキップも普通に使えるし、ジャンプもあるし。フォント変えられないのは私としてはちょっと気になるけれど、ここはいつもの事だしね。
 あと個人的にシステムボイスのかがりん語がツボでした。


総合(85/100)

 総プレイ時間は18時間くらい。共通4時間、個別が3〜3,5時間、かがりだけは4時間、おまけが30〜40分くらいでしょうか。
 全体としてボリューミーというほどではなく、またHシーンが多いのでその分にリソースを割かれているとはいえ、逆に残りの尺で堅実に捉えるべきシナリオとしての機微を掴んでいる感じで、読み口にだれる所はなく、情感溢れているのでのめりこんで堪能できます。
 今月のダークホース的面白さですし、勿論エロスも充実満足なので結構お勧めですね。

 2015/1/9改訂、シナリオ−1点。
posted by クローバー at 04:55| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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