2014年03月20日

相州戦神館学園 八命陣

 熱血ものの鉄板ラインですし、体験版面白かったし、すこぶる水希の事が気に入ったので、とても楽しみにしていました。


シナリオ(25/30)

 人が綾なす歴史に宿る勇気の形。


 千信館――。
 戦前は軍学校として名を馳せ、充てられる字が戦後になって変わっても、どこか当時の気風を残している学園に、主人公は幼馴染の晶や歩美、鈴子や栄光たちと共に通っています。
 幼馴染との平凡で騒がしい日常を、優等生然にあれこれ窘めつつも、その空気を謳歌している主人公は、しかしその裏でもう一つの世界を抱えていました。

 それは、明晰夢が織り成す世界。
 夢の中でもほぼ現実どおりの時間感覚を持ちえている主人公は、毎夜夢の中で現実とは違う人生を綴っているのでした。
 そしてここ数日、その夢は急転直下、謎の影との追いかけっこの様相を呈していました。
 夢の中でのみ駆使できる特殊な力を用いて退けても、夜毎に復活し、更には主人公の戦法を学んで強くなっていく影に辟易しつつ、この夢とは真っ向から向き合わないと終わらないという確信に突き動かされていました。

 現実では修学旅行に向けてのテスト対策などで一喜一憂し、またバイト先で寡黙なクラスメイトの淳士と思いがけず交遊を深めることになったり、千信館の眠り姫と呼ばれる少女が目を覚ましたという噂に耳を欹てたりしつつ、迎えた決戦の夜。
 それぞれが死力を尽くし、訪れた決着の先にあったのは、どこか懐かしさを感じる少女の姿でした。

 しかし、夢は夢、と割り切り、翌朝、日課であるジョギングの途中、ふとすれ違ったのは、不器用にはにかむその貌は、間違いなく夢の中で出会った少女だったのです。
 世良水希、と名乗った少女は、なんと噂の眠り姫でもあり、主人公のクラスに編入してきて、あっという間に主人公のグループに打ち解けていきます。その中で、二人が共有する夢の話も暴かれ、半ば遊び半分でみんなで夢に入りたい、と試してみると、本当に全員が夢を共有できるようになってしまったのです。

 最初は特別な遊び場が増えた、位の感覚ではしゃいでいた主人公達ですが、ある日、夢の中で主人公の母親に、行方不明になっている父親と再会させてあげよう、という気運が高まり、実行に移した所から、運命は残酷に変転していきます。
 現れた父親の暴虐、それと共に姿を変えていく、血に塗れた夢の世界。
 文字通り戦争、と呼べる抗争の真っ只中に突如追いやられた主人公達は、全員の力を合わせて何とか虎口を脱するものの、現実で待っていたのは、母親の死、という非常極まるものでした。
 
 何故夢の世界の現象が現実に影響を及ぼすのか?
 自分達はもう夢の世界から逃げられないのか?
 悪夢を打破し、平穏な生活に立ち戻る為に何をすべきなのか?

 それぞれがそれぞれの覚悟を胸に、いまや一蓮托生となった仲間達は、結束を崩さず、絶対に現実に、朝に帰ってくることを誓って、夢の世界・邯鄲の真実に挑むのでした。
 これは、人の性を深々と抉りながら、それを認め、受け入れて尚正しく真っ直ぐ進んでいく為の絆と勇気を培い、それを是としない概念に立ち向かっていく信念の物語です。


 あらすじはこんなところですね。
 大枠としては、夢の世界の真実を暴くために鍛錬し、巻き起こる抗争に立ち向かっていく中で、その養った精神性の色合いによって少しずつ邯鄲のありよう、主導権も変遷していき、その中でより大切な存在となったヒロインと共に、敵を打ち破り、未来を勝ち取っていく、という流れになります。

 テキストはいつも通りに、大仰なほど流麗でありながら荘厳、重厚で、方向性として尖っているのは間違いないですが、それでも日本語というものの美しさ、迫力、表現力の潤沢を知らしめてくれますね。
 繰り返しや同義語の連発などでイメージを固着させ、読み手の感性を捻じ伏せていくような力強さも健在ですし、ただ今回は以前に比べて、檄にも似た、現実性とリンクしての激甚な励声、思想性の吐露が増えており、そのあたりの説教臭さは受け止め方によってはいい気分はしないかも・・・とは思いました。
 何せ、物語は物語、として割り切れるほどには、世界観のイメージが超越性を抱えていないといいますか。主な舞台が夢の割に、夢ならではの理不尽など微塵もなく、あくまで理屈に乗っ取った紡ぎなのも特色と言えるでしょうし、その意味で一貫してブレがない、というのだけは間違いないところです。

 ルート構成は、最初に攻略できるのが幼馴染の三人で、それをクリアすると水希を攻略できるようになります。この順番は、作品の構造質とも密接に関わってきますし、元々の立ち位置からしても文句のないところ。
 また最後の水希シナリオから、別派生のEDもあります。そして平常運転的にバッドエンドも多数、ですが、今回はより、その場の状況を明確に見極めていれば間違えない選択肢にはなっていますね。

 シナリオとしての率直な印象は、綺麗にまとまっていながらも熱量はあり、非常に面白いですが、過去作程の破天荒さと激甚に胸を打つ何かはもう一息、かつそう思わせる為のテーマ性の部分で若干なり鼻白む部分はあって、名作だけど絶賛評価には至らないかな、という感じです。
 
 この作品の登場人物たちは、それぞれにどこか歪んだ概念に囚われており、それに煩悶するもの、超然としているもの、自覚がないもの、ありのまま受け入れて恥じないもの、と立場は様々ですが、その想いが紡ぐ夢の強度を突破していくことが、主人公達にとっても己のあり方の自覚を促す契機となっていきます。
 そして、この明晰夢・邯鄲の世界においての夢の強度とは、簡潔にまとめてしまえば自己認識の深さと自己愛の強さであり、まず己を見つめ、愛し、その強さを持って仲間を愛し・・・という、自己を中心としてリング状に絆を広めていく在り方と、高みから俯瞰し人の勇気を導くという逆進的な在り方との相克が着地点となります。

 あまり詳しく書くとネタバレ過ぎるので個別はサラッといきますが、とりあえず評価としては水希>鈴子>>晶=歩美くらいの印象ですかね。無論どのルートも水準は楽に超えているし、ただ水希シナリオは文字通り総決算、全ての謎が解明され、そして全員の想いもまたあるべき形に昇華する、というつくりなので、そのアドバンテージを踏まえて考えるともう一声欲しかった感はあります。
 ともあれ、どのルートにしても、真っ向から対立する感性と、その想いの強さを巡っての抗争は激烈であり、苛烈であり、凄惨でありつつもどこか清々しくもあって、鈴子ルートを特に評価しているのは、他では主人公の光に隠れてあまり見えなかった、他の男子の生き様がありありと活写されていたからに尽きます。

 また、それを下支えする夢の世界で揮える力のルールに関しても厳正なものがあり、そのものが後出しにはなっても、その人物のありようから絶対的に納得できる変遷なので、味方ならその輝き、敵ならそのおぞましさが一層強調されていました。
 それは最終決戦に至っても同様で、行使されている力の形は非常に仰々しくとも、決着の形としてはあくまで概念的であり、かつそこで実存主義を決め手に使ってくるところなど心憎く、どこまでも人の意思の物語だなあと痛感させられるところでしたね。

 ややもすれば、戦力的にインフレしてきたところで、だけど夢は夢だから死なないと思えば死なない、的な荒唐無稽さを、徹底的に信念の強さで糊塗していて、軽佻にならずに無理なく観念論、思想を注ぎ込めているあたりも、まずは狙い通りの筆致という印象です。
 そこでの肌合いが合うか否かの程度はあれ、誰しもがこの思想には頷かざるを得ない説得性を、物語の中から抽出できていましたし、特に主人公は元からかなり完璧超人だったのに、そこから更に心の成長を果たしていくのたからかっこよ過ぎてずるい、と思わざるを得ませんね。


 テーマとしては、対話の価値、について諸々の事例含めて考えましょう。
 
 人にはそれぞれ、生まれた時点で個、として確立してしまうどうしようもない真実があります。個、とは他とは違う、という意味合いに他ならないですし、故に他者との間で、絶対の理解、共有などは本質的に起こり得ない為、その齟齬を少しでも埋めるために、対話、対峙、という観念が絶対的に必要になってくるわけで。

 現代的な観念として平等、は喧しく喧伝されますが、この作品においてはその平等と対等は徹底的に違うものとして峻別されています。
 誤って定着しつつある平等の概念とは、すなわち横並びであり、互いの顔を見合わせる事無く、各々が身勝手に自分の主張を唱えているような状況、さしずめ一方通行的なネット社会の交流のあり方を揶揄しています。面と向かって罵倒すれば殴られる、そんなことにすら想像力が及ばない生き物、という書き方がそれを象徴していますね。

 面と向かっての痛罵や諫言であれば、それに対して、受け入れるか、怒り拒絶するか、或いはいたたまれなくなって逃げ出すでも、何かしらのリアクションを要求されるのに対して、顔の見えない交流においては、スルーする、無視する、なかったことにするという刹那的な逃げと断絶が可能であり、それは人を成長させることのない、むしろ堕落させるあり方だと示しています。
 そのあたりはそれぞれの個別の関係でも詳らかにされますが、特に水希の心的外傷がもたらす観念と、その繕った女性性に如実に色濃く出ていましたね。

 数多ある人の差異の中でも、もっとも普遍的で、それでいて絶対的ですらある性差の問題は、確かに上っ面の平等の概念とは相容れないものがあると私も思います。
 男らしさ、女らしさ、男だから、女だから出来ること、というのは厳然と存在してはいるけれど、努力で克服できない範疇のそれと、そうでないものとの区別をつけずに、ただ汎用的ならしさに留まっている水希の在り方は歪なのは間違いないでしょう。
 雄雄しさに自負を抱けない現代的な私からすればそれも可愛さの範疇なのですが、しかしそれを可愛いと思うな、馬鹿にされている、男を見下しているんだもっと怒れ、と鼓舞してくるライターの心情もわからなくはなくて、しかしそこまで自分に自信を抱き、かつ相手のありのままを真っ直ぐに受け止めるというのは簡単にいくわけもないですよね。

 結局、対する、というのは、他者に対しても、だけど、自己に対しても大切な概念なわけで。
 人間上手くいっているとき、現状に不満がないときには中々自省的にはなれません。作中で甘粕が標榜するように、危機に陥ることで押し出されるように湧き起こる勇気、自己改革性は多く見受けられても、平時から常に自分がこうでいいのか、周りとの関係もこれでいいのかと自問し、問題を見つけ、真っ直ぐに受け止めて改善していく勇気は中々持ち得ない善性でしょう。
 
 甘粕というこの作品における大ボスのモデルは、と考えるに、やはり関東大震災当時の混乱の中で生まれた、恐怖が扇動する誤った蛮勇が蔓延るのに絶望しつつ、自身の正義を貫いて超法規的な措置を断行した精神性との関連は感じますし、翻って東日本大震災時の、海外から賞賛された我慢強く礼儀正しい国民性の発露を、より根源的な勇気の在り方として対照させているように思えます。
 ただ、それが痛みに強いられた一過性のものであってはならない、という喝破は、正言ならではの耳に痛い強さがあって、そのモデルとしての主人公達がまた無性にかっこ良過ぎるほどにかっこいい分だけ、どうしようもなく斜めに見てしまう卑屈さが作品に対する印象と二重写しになってしまうなって。

 作品としては、そのあるがままの在り方を受け止めていったなら、別エンドのように、選ばれても結ばれることを是としない強さの部分に、そして水希だけにはそれが許される構成からしても全くブレがないな、と感心しきりではありますし、それを自分の文章の中、世界観の中にこうまで濃厚に仮託できる力量も尊敬はします。

 んでもねぇ、貴方は常に自分を見つめて、自分を好きでい続けられますか?と率直に突きつけられると、胸を張ってそうだ、とは言えない、ですよねぇ。。。


 総合的に、いつものらしさは存分に生かしつつも、物語は物語、と完全に現実と隔絶して、ただ物語として面白い、と単純に喜べる構成では決してないし、その重さも含めて大好きだ、と言えたら良かったんでしょうけど、どうしても読破してしこりが残ってしまうような、その分だけ物語としての爽快感も削られてしまっているような印象が付きまといます。
 構成的には非常に好みではありますので、感性がフィットすればもっと楽しめたのでしょうけど、やや小さくまとまっている部分も含めて、名作、と言い切るほどの点数には出来なかったですね。


キャラ(20/20)

 とにもかくにもそれぞれの生き様が色濃く、キャラ全員が善悪の観念はともかく信念を強く抱いていて、その濃密さに中毒を起こしそうなくらいではありましたね。このあたりはさすがの造型です。

 やはり一番好きなのは水希になるのですけど、まあ確かにしち面倒くさい子ではありましたね。。。
 まあありのままであろうと、糊塗していようと、本質的な弱さと強さの印象はくっきりしているというべきか、平常時の活き活きと日々を楽しむ無邪気な振る舞いも、戦場における激情の発露も、どれもが水希らしさをしっかり形成し、きちんと魅力に繋がっていると思います。どう言われようと、可愛いものは可愛いさ。。。
 作品構成的に恋愛的要素はどうしたって薄いし、特に水希は立ち位置的にそれが最後の最後まで訪れないからその点物足りなくはありますけれど、だからこそ刹那に籠められた情の重さはしっかり伝わってくるし、女、として生き、認められる歓びの中で打ち震える様はすこぶる魅力に溢れていましたね。

 次いでヒロインだと歩美ですかね。
 一見マスコット的でありつつ、その本質は精神的支柱に近いものがある、という立ち位置は意外と斬新でもあり、その中で見せる精神性、恐怖を知ってなお立ち向かういたいけなまでの強さは惹かれるものがありました。

 晶も見た目とのギャップ的な部分からスタートしての、その本質の崇高さは見事でしたし、鈴子もどこか抜けた印象からの成長、覚悟の色合いがすごく印象的だったと思います。

 男だとやはり主人公は別格的にかっこいいですよねぇ。折々に青さ、若さを見せつつも、きちんと理と情を連ねてそれを克服し、自身の可能性を微塵も疑わずに、それでいて傲慢になることもなく仲間を何より大切にして進んでいける、生まれ育ちを踏まえても、ここまで立派な生き方が出来るためには、どれだけの自問と厳しさを超えてきたのか、と感銘は受けます。
 まあ逆に絶対あぁは出来ないな、とも思ってしまうところで、その意味では栄光の臆病さの陰から滲み出る清冽な覚悟や、淳士の一本気に過ぎる自己信頼のほうがまだ寄り添いやすい部分はあって、この二人も実にかっこよかったです。

 その他の面々だと、剛蔵の生き様はかっこいいと思うし、あと野枝ちゃん実に可愛い。。。
 主に敵方に関しては、アラヤが喝破するように、確かに真っ当な人間がいないし、まあ聖十郎や神野くらいに突き抜けた観念は、おぞましくも惹かれるものはあり、よくもまぁあそこまで丹念に悪意の根源を掬い取れるよなぁ、と感心はしてしまいますね。


CG(17/20)

 上手な絵、だとは思うけど、すっぽり好みに嵌るかと言われると決してそうではないし、立ち絵などでも人間味の発露の代償なのかは知らないけど粗さは見えて、点数としてはここになるかなと。

 立ち絵は人数が多いのを踏まえれば水準クラスでしょう。
 ポーズはヒロインが3種類、その他1〜2種類ですね。それなりに印象的ではありますが、特段に出来がいいわけでもなく、らしさはちゃんと出ているな、位のイメージ。
 お気に入りは水希正面、やや左、歩美正面、左向き、右向き、鈴子正面、くらいですかね。

 服飾はヒロインが4種類、男の仲間で3種類、他は1種類ですね。デザインとしては清冽清楚なイメージで悪くはなく、特に戦真館制服はパリッとしていて好きです。
 お気に入りは水希千制服、戦制服、私服、晶私服、歩美千制服、ジャージ、淳士戦制服、キーラ軍服、百合香私服あたりですね。

 表情差分はそこまで多くなく、けれど印象は強いですね。まあ鈴子みたいに、ヒロインにあるまじき顔芸の行き過ぎもありはしますが、概ね魅力的だったと思います。
 特にお気に入りは水希左向きにっこり。この屈託のなさ、距離感を感じさせない親しみやすさが一番水希らしさも醸し出していて、すこぶる可愛いです。
 その他お気に入りは、水希笑顔、呆れ、照れ、ニヤニヤ、憂い、照れ笑い、拗ね、晶呆れ、ニヤリ、大笑、照れ目逸らし、歩美ジト目、しとやか、厳しく、テレ舌出し、無邪気笑い、鈴子照れ目逸らし、拗ね、得意げ、淳士困惑、怒り、剛蔵憂い、恵理子きょとん、無邪気笑顔、百合香困惑、野枝笑顔あたりですね。


 1枚絵は線画やカットイン的なものも含めて全部で101枚、標準的な量ではありますが、ヒロイン個別はかなり少ないので、シーン数の分も含めてそこはやや不満かなと。

 特にお気に入りは現実水希初H愛撫、この楚々としつつも大胆に、純真な思慕を真っ直ぐひたむけてくる仕草と表情がツボでしたね。
 その他お気に入りはページ順に、四四八印を切る、殴る、突撃、水希出会いと驚き、飛び降り、キス、正常位、対面座位、神前式、その手を取って、晶祈り、同衾、キス、正常位、歩美口説き、眠り姫、慟哭、背面座位、戦場、あっけらかんと告白、鈴子上段構え、メスブタ、手を伸ばし、バック、騎乗位、栄光月夜の告白、淳士正面突破、百合香に縋られ、想いを拳に、看取る、親友の殴り合い、車上のキーラ、雪原に佇み、幽冬突き、甘粕跳梁、登場、印を切る、弟あたりですね。


BGM(18/20)

 苛烈で荘厳、実に迫力のある曲が並び、しかしそっちに注力しすぎてか日常的には簡素に過ぎたりと、色々アンバランスではあります。それでもBGMは凄く好きだけど、あんまりボーカルが好きになれなかったのでこの点数。

 ボーカル曲は3曲。
 OPの『紅蓮獄華』は絶望感と疾走感、危機感が適度に入り混じっての迫力のある曲ですが、あんまり心に響く所がなかったんですよねぇ。どうも私は、早口すぎる曲ってそんなに好きになれないみたいです。
 別EDの『夢現〜MUGEN〜』は紡いできた歴史の重みを背負いつつも、今は今と透徹した軽さも孕んだ曲ですが、やっぱりそこまで好きではないなぁって。
 EDの『Dream awaking』がこの3曲の中では一番好きですね。淡々としていながらも培った情感がそこかしこに滲んでいて、彼らが持つ時代性含めた本質とよくマッチしている曲ではあると思います。ただサビがちと軽いかな、と、Aメロが一番好きです。


 BGMは全部で37曲と水準以上の量であり、質もバトル、感動関連にいいのが偏っているとはいえ流石の迫力でしたね。
 特にお気に入りは3曲。
 『TRAST&TRUTH』は文句なしの神曲ですね〜。濁りのない真っ直ぐな想いと、そこに籠められた切なく悲壮な覚悟が旋律の中で見事に調和していて、耳にする度に震えるほどに好きです。
 『Timnot−Sera』も相当に好きな曲。確かめ合わずにはいられない想いの愛しさ、儚さが、掴んだそばから夢に滲んで消えていくような朧さを感じさせて印象深いです。
 『傾城反魂香』はバトル関連では一番好きですね。苛烈な中にも冷徹さと情熱が等分に迸っているようなイメージで、軽やかなイメージもまたらしさが出ていて、凄く綺麗な、陶酔するような曲だと思います。

 その他お気に入りは、『段葛』『カクレ』『如是畜生発菩提心』『カリカチュア』『幽契』『YEHOSHUA』『仁義八行』『生け贄の逆さ磔』『超獣帝国』『PARAISO』あたりですね。


システム(9/10)

 演出は流石に奥深く丁寧でしたね。
 全体としてとにかくムービー量が半端なく、要所要所で迫力のある構図で危機感や絶望感を煽り、戦闘描写としてもそれなり以上にわかりやすさを意識しつつ、単調にならない工夫が見えて良かったと思います。まあその分、日常はそれなり、ですけど。
 OPムービーは迫力、疾走感は強いけれども、紹介するキャラが多すぎる弊害もあり、全体として印象度は下がっているかな、というところです。

 システムは概ね問題ないけど時折不備がありつつ。
 かなり長い話ですけど、選択肢ジャンプは搭載していて、しかもすこぶる速いのでそこはとても便利です。一方選択肢で時折クイックセーブしか出来なかったりとか、あと最後のEDムービーをカットできないのもちょっと面倒ですね。フォント変えられないのも個人的にはちょっと、だけど、作風にあったものをきちんと意識されているのでそこはいいかなと。


総合(89/100)

 総プレイ時間26時間くらい。共通9時間、個別が3〜4時間、水希だけ5時間超くらいですかね。
 インスト容量から思わせるほど超ボリューム、というわけではないけれど、期待通りにボリューミーで、かつ全くだれることはない濃密さでした。強いて言えば最後の水希シナリオが、他キャラの立ち位置に関しては焼き直しだったり、予定調和的だったりするので、もう一波乱あっても、とは思えましたが、それは贅沢というものでしょう。

 大作であり、名作であり、力作である、とも思うのですが、しかし大好きな作品、ではなかったなぁ、というのが正直な所です。
 無論総合力は高いですし、ツボに嵌れば凄い破壊力はありそうですが、それは結構間口が狭い気はします。お勧めは出来るのですけど、ただ何を感じるかは自己責任で、というところ。体験版だとそこまで如実に滲んでいないだけに判断も難しい所ですねこれ。。。
posted by クローバー at 06:09| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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