2014年04月04日

Clover Day’s

 色んな意味で私の好みに合致しまくった作品でしたので、とてもとても楽しみに待ち焦がれておりました。


シナリオ(25/30)

 絆が紡ぐ、広がる幸せの形。


 誰が、僕を愛してくれるだろうか――?

 物心ついたときから孤児院で育ち、自分にしか見えない妹の和だけを心の支えにして生きてきた主人公に、ある日突然、今日から自分がパパだ、という引き取り手・義臣が現れます。
 連れていかれたその鷹倉の家には母親がおらず、ちょっとだけ年下の双子の姉妹、杏鈴と杏璃がいて、最初はおっかなびっくり、すれ違ったり傷つけたりしながらも、互いの寂しさを埋めあうようにして少しずつ家族としての形を紡いでいきます。
 
 流暢な日本語を操るのに時間がかかったのもあり、学園でも最初は疎外されかかっていましたが、包容力のあるつばめの無私の親切がきっかけとなり、その親友の泉や、つばめの双子の兄の虎吉などと仲良くなっていきます。
 更に鷹倉家と家族ぐるみで交流のあったヒカルとヘキルという一卵性の双子もこの時期頻繁に遊びに来るようになって、特にヘキルは主人公がひた隠しにしていた自分だけの妹の存在を衒いなく認めてくれて、同年代の友人、家族の存在が、主人公に愛の尊さ、絆の嬉しさを少しずつ教えていきます。

 一番最後まで仲良くなれなかった杏鈴とも、仲間達の力を借りて和解を果たし、八人で紡ぐ幸せで楽しい時間、しかしそれは、突然のヒカルヘキルの海外への引越しで一度幕を下ろすことになります。
 いつまでも友達――、築いたその仲間の輪の快さを誰もが崩したくなくて、彼らの関係は子供の頃に交わした無邪気な約束、という楔に捕えられ、想いのベクトルは定まったままに、そこから発展を見せずに、まどろみのような暖かな停滞の中に十年の刻を過ごしていきます。

 そして十年後――。
 かつての幼い少年少女はもう大人の入り口に立ち、想いを崩さずにあることが、様々に積み重ねられた思い出によって、自覚的に、或いは無自覚的に、表面張力ギリギリの状態になっていました。
 そこにやってきたのは、十年ぶりの再会となるヒカルとヘキル。
 直接の想いを積み重ねずに、だけに純粋な幼き日の約束を胸に大きな希望として抱き続けたヘキルに、主人公は再会するなりキスされ、そして約束通り結婚して欲しい、と迫られます。

 変わらないものなんて、ない。
 このままの関係ではいられない。
 誰もが誰もを愛し、大切に思いながらも、それでも自分の中の一番大切な想いを果たすためには、他の誰かを傷つけずにはいられない、動き出した時間は否応なく現実を突きつけ、そこに葛藤や迷いを孕みつつも、より明るく、嬉しい、豊穣な未来を手にするために、少年少女は数多の支えを受けて前に進んでいきます。
 これは、双子が織り成す家族の絆を回転軸にした、より嬉しい家族の形を紡いでいく為の生みの苦しみと、少年少女の切ない成長の物語です。

 
 あらすじはこんなところでしょうか。
 大枠としては、ヒカヘキの登場によって誰もが恋愛、という、仲間の形を否応なく崩してしまう、けれど心がどうしても求めてくる新たな形に対しての自覚を深め、主人公もまた、幼き日にベクトルの定められた想いを素直に解き放って、心寄せる女の子と向き合い、周囲との軋轢も、暖かい励ましも、襲いくる苦悩も全て受け止め、子供なりに一歩ずつ、手を取り合って前に進んでいく、そういう流れになります。

 テキストは特徴的でありつつ、だいぶまろやかに、という感じでしょうか。
 新本三部作のテイストと、それ以前のシリアス気味のテイストを上手く融合させたというか、近年際立っていた明確に過ぎるほどのキャラ個性とギャグの切れはそのままに、ただ全体の頻度としては控えめに、一層シリアスとギャグのメリハリがついていて、かつバランスも取れていると感じます。
 シリアス面でも、細かい心の機微に丁寧に触れつつ、重くなりすぎない加減はされていて、痛々しい、と思わせる直前で引き返している塩梅が、メーカーとしての元々のやりたい方向性と、ユーザーが望む方向性とのギリギリの折り合いになっているかなと。

 ただ個別に関しては、複数ライターなのでルート毎に多少は雰囲気が違って、キャラの特色とか、テキストの枝葉末節の部分では沿わせる努力は感じつつも、本質的にはそれぞれの色が強く出ている感じですね。
 当然それはそれで味があるし、作風としてどうしてもヒロインは最初から好感度が高い、というのはあるので、いいアクセントになっていますが、やや事象に対しての擦り合わせが甘かったり、と言うのもあり、全部が全部良かった、とまでは言えないかなと。

 ルート構成は難しくはないのですがちょっとだけ特殊で、分岐選択肢が幼い頃の回想シーンの中にしか出てこないです。
 これは作品構造とも密接に関わる構成で、あらすじで書いたように、幼い頃の一番楽しかった頃に育んだ想いを、ヒカヘキの退場を潮に一旦棚上げにしてしまっているのが彼らのあり方で、けれど実際、その関係をいい意味でも悪い意味でも崩壊に導く“特別”な想いは既に萌芽していて、そのベクトルに従って無意識的でも十年の中で想いが積もってきた、という状況を築くためのつくりになっています。
 あとはここのお約束的に、Hシーンでの選択からのシーンそのものの変化も満遍なく搭載されているのでお楽しみに、という感じですね。

 シナリオに関しては、個別評価に入る前に前提としていくつか。
 構成で触れた通り、この作品の肝は、実際は幼い頃に主人公の特別は決定付けられていた、という点にあると思います。本人は無意識でも、それは少なからず実生活の中で些細ながらも現れていたはずで、その積み重ねが、ある程度でも周囲の認識も築いている、という、要はくっつくのに必要な説得性の部分を、直近の触れ合いに委ねるのでなく、構造から根本的にそうなんだ、と断じているわけですね。

 故に、この作品に関しては恋愛を紡ぐのに本質的に小細工がいらないんですけど、けれど誰もがそれを土台にしてしまっては作品の多様性は薄れます。
 また幼馴染、という存在はどうしたって恋人への階段を上る上でのめんどくささが付きまとうもので、ある意味全員がそうである以上、それぞれの個性にその面倒さを攪拌し、希釈し、別々に頒布しなくてはならなかったわけで、その振り当てでどうしても貧乏くじを引いてしまうキャラはいたなあと。
 構造質を生かす、という視点で一番贔屓されているのは間違いなく杏鈴で、次いでヒカヘキ、逆に不憫なのはつばめと杏璃かな、と思います。

 それを踏まえつつも、個別シナリオ評価としては杏鈴=ヒカヘキ>>泉>>杏璃=つばめくらいですかねやっぱり。
 
 杏鈴シナリオは、それこそクロハからクロデに至るまで連綿と受け継がれた根本的なテーマの体現であり、その世界観の全てがこのシナリオの為にある、くらいの贔屓ぶりではあります。
 また、幼い頃に背負った傷を、主人公達との邂逅、交流を経て癒し、その上に今の自分を築いた、という意味で、他のヒロインよりもどこか使命的な振る舞いが色濃いですよね。
 無論本人の明け透けに明るく無邪気な言動や振る舞いからは見えにくいところですが、素直であること、前向きであること、誰にも隔たりを見せず、善心をもって向き合うこと、そういう在り方の根底に、決して痛みに無自覚でないゆえの強かさ、しなやかさを感じさせて、だからこそどのルートでも存在感が光っていましたが、個別においてもそれは顕著でした。

 当然弱くもあり、傷つきもするけれど、根底的な安全基地が完璧に確立されているから、その傷にも向き合えるし、素直にそれを吐露できるし、傷を抱きしめながらでも明るく生きていける在り方がシナリオの潤滑剤として非常に効果的であり、唯一の傷、主人公達と出会う前に負った傷についても、新たな絆を得ることできちんと向き合える強さがあって。
 シナリオ構造として、泉シナリオと並びちょっとドラマ的過ぎるきらいはありますが、杏鈴とともにあるからこそ、の強さは主人公にも影響を与えていて、だからこそ、大人が現実の中で負った深い深い傷にすら、躊躇わずに手を伸ばす意志と慈愛を示せたと思えます。
 また大元を辿れば、この父親の存在、生き様がそれを示している部分もあり、家族としてどこまでも正しい強さを誰もが持ち得ているのは、なんだかんだ家長である父親の庇護と愛情の賜物ではないか、と思わせるところが真骨頂でしたね。

 ヒカヘキシナリオは、着地地点が特殊な状況であるにも拘らず、とにかく構成の完璧さと、それに付随する繊細な機微の変遷の捉え方、その中で滲む二人の魅力と三人の覚悟がとても綺麗なシナリオでした。
 この二人が得をしているのは、他のヒロインに比べて圧倒的に十年の中で積み重ねてきたものが少ないという逆境を、新鮮味と時間に濁されていない純度をもって跳ね除けることによる個性の輝きにあるかなと思いますね。
 
 また、外的要因に一切頼る事無く、ただ紡いだ想いの中で、しかしヘキルが本当の意味で恋を自覚するためにはヒカルの献身が必要で、でもあらゆる自覚を保ちながらもそれを掻き消すことを選んだ、ヒカルの固陋で悲壮な覚悟を打ち壊すには、ヘキルの手引きと至純の愛こそが必要だった、という、三人が三人であればこそ、の構成はすごく私の好みでした。
 故に、他ヒロインのルートでもこの二人はすんなり身を引く形になるし、自覚の強いヒカルにしても、ヘキル以外の女の子とくっつくのであればその覚悟を貫き通せる、という部分に明白な説得性が打ち出せていて、その点でも評価が高いです。
 ・・・だからこそ、このシナリオの後につばめシナリオやると、つばめとくっつくまでの芝居の練習の過程でつくづく心が痛むというか、ヒカルさんマジかっこいいですね、とつばめそっちのけで惹かれてしまうのですが。。。

 泉シナリオは粗も多いけど、その分緩急が一番効いていて、構造的にもどうしてこの子だけ、という疑問が解消される部分があり、心動かされると言う意味では中々のシナリオでしたね。
 家族の相克、すれ違いというテーマは使い古されてはいるけれど、それでも普遍的な輝きがあるし、あとはキャラの力と設定でどこまで真摯に、リアリティをもって見せられるか、というところで、所々強引さがありそれが削がれてはいるものの、フェアチャの悠姫シナリオを彷彿とさせつつ、きちんと最後は大団円的にまとめているあたりにバランス感覚が窺え、あぁ、いいなぁと素直に思わされました。
 あとやっぱり序盤での泉視点での愛に煩悶する姿が真に迫っていて、それでググッと思い入れを引き込んでいるのも良かったのではないかと思います。

 つばめと杏璃は、悪くもないけど良くもない、という印象ですね。他三つがそれぞれに印象が強かっただけに、特に杏璃のお約束を外れない平凡さと舞台の狭さ、といったら語弊はあるかもだけど、どうして双子なのにここまで杏鈴と差をつけられちゃってるかなぁと不憫になります。
 つばめシナリオも、演劇絡みでの凡人なりの悩み、という等身大のテーマは悪くはないんだけど、恋愛面での全員の想いを見てきてしまっていると余計に、それよりも目に付く部分が多かったよなぁ、というのと、どうしても自信が持てない自分、という在り方が、あまりにも後半、求め、求められることに特化しすぎてしまっているのが、シナリオのバランス、主人公の個性の上でやや歪に感じました。

 それに、どうしても他シナリオでもこの二人が恋愛関係において一番めんどくさいしねぇ(笑)。泉もめんどいけど、この子の面倒さは明け透けに過ぎるだけに可愛げのほうが強いのに対し、内に篭ってだけど雰囲気に滲むつばめと、露骨に不満が浮き出てしまう杏璃は重たい。
 その重たさを杏鈴シナリオでは全力で杏鈴にフォローされたりして、余計に立つ瀬がないというか、上に書いた通りこのあたりは設定上不憫、ではあると思うんですけど、もう一工夫あっても良かったなあと思わせる部分でした。


 テーマ的には、もう王道一直線な家族愛の物語なので、今更語れることも少ないと言えばそうなのですが、少しだけ。
 結局、家族とは“ある”ものでなく、“なる”ものなのだ、と思わせる作品だったなあと。正確に言えば、家族があるものだと思っていられる子供は本当に幸せなのだ、というべきでしょうか。

 泉や杏鈴のように、家族が壊れるという現実に対して深い想いを抱え続けていれば顕著ですが、家族とは決して血の繋がりが絶対的な担保になるわけでなく、そうであってもなくても家族とは、そうなるという選択と意志があってこそだと
いう信念は、表裏一体とは言え目立って尖った部分でした。
 特に杏鈴シナリオは、家族が紡がれていく過程として完全に逆逆を地でいっている内容でもあり、本来あるべき形を取り戻した、という視点以上に、望む形を紡ぐことを成し遂げた、という色合いのほうが強くて、ここでも杏鈴の強さは光っていましたね。

 時間の流れと共に、家族の在り方もどうしたって変化に晒されずにはいられなくて、その中で望む家族であり続けるためには、やはりあるものを守ろうとするのでなく、新しく望む家族の形を紡ごうという前向きな意志が必須であって、それがなければ家族とは名ばかりに形骸化してしまう危険を思わせます。
 そのためにはどうしたって相互の努力と自覚が必要だし、常に在りたい自分を知り続けていなければならない、幸せとは決して一方通行で与え続けられて甘んじていいものではない、それがある意味では、この作品における子供が大人になる第一歩、と定義してもいいんじゃないかなと思っています。


 以上、総合的に見てシナリオ、キャラ萌え、シーンに至るまでしっかり考え抜かれ、丁寧に作られたのがよくわかる作品ですね。流石に記念作と謳っているだけの力の入りようだと思うし、それが変に空回りしておらず、今作れる最高のものを、一番ユーザーに喜んでもらえるものを、という誠実さが見受けられたと思います。
 やはりルート毎に出来の差はあるし、いいほうのシナリオでも突き抜けるほどに面白い、とまでは言えないのですが、まあ杏鈴とヒカヘキシナリオだけでもこの点数をつける価値は充分にあったかなと思いますし、全体としての雰囲気の良さ、前向きの活力に溢れている部分に敬意を評したいところです。 


キャラ(20/20)

 いつもながらあざとく可愛いし、特に口癖や仕草、反応のコテコテなつくりは流石だなあと思いつつ、今回はそれがきちんとシナリオの枠組みとも相乗効果で良さを見せていて、若干面倒な部分こそあれ、それもまた愛しいと思えるだけの土台になっていると思います。

 一番好きなのは文句なしに杏鈴ですね。今年最初の確定殿堂ヒロインです。
 もうね、この可愛さはユーザーを殺しにかかっているとしか思えないですよね。愛らしく舌足らずな雰囲気と口癖、どこまでも純真で素直な反応と仕草、一切衒いを持たずに思慕を示し、甘えかかるいとけなさ、それだけでも十二分にご馳走でした。つかはじめてだなぁ、桐谷さんヒロインがこんなにヒットしたの。

 しかしこの子の真骨頂はそれだけに非ず、シナリオでも結構書いたけれど、過去に心の傷があり、それを仲間との、特に主人公との絆で快復させて、その過程がある故に能天気で無自覚な素直さでなく、弾性の強い使命的な素直さ、明るさを抱いていて、それが要所で傷つきつつもすぐに復元し、前を向ける強さに還元されている部分に尽きると思います。
 恋愛感情そのものを明確に自覚してしまっては駄目ですけど、そうでない場合はだから主人公の幸せ、他のヒロインとの関係をを純粋に喜び、その相手とも屈託なく真っ直ぐ新たな関係を築こうと言う意思に溢れていて、だから他ルートでの杏鈴も全くぶれずに可愛いんですよね。特につばめルートとヒカヘキルートの杏鈴も私は凄く大好きです。

 それ以上に個別での杏鈴は本当に輝いていて、普段の柔らかさがあるだけに、強い言葉でも本当にきつくなりすぎずに、慈愛の心が溢れ出るような佇まいを見せてくれますし、その根源が主人公との関係を経て絶対的にぶれない堅固な生き様そのものに昇華したから、切所での迷いのなさ、率直さが抜きん出ていて最高でした。
 あと直接的な関係はないけれど、杏鈴の在り方って、クロハの主題歌、今回もセカンドに採用されてますけど、あれの一番のサビの歌詞そのままですよね。その意味でも、あとビジュアル的にも、集大成的なキャラというイメージは強く、それに見合うだけの素敵な人格とイノセンスな可愛らしさを体現できていたと声を大にして明言しておきましょう。

 次いで好きなのはヒカル。いや、この子は本当にダークホースでした。プレイ前の評価としては一番下かな?くらいだったのに、ちょっと個別の破壊力が凄まじかったですし、地味につばめシナリオでも爆上げしてきてこの位置まで累進しましたよ。。。
 ヒカルとヘキルに関しては、子供の頃に想いを寄せるだけのものがあった、という事実がきちんと説得的に説明されると共に、それが鮮やかな色合いで今に蘇っていく過程を本当に丁寧に綴ってくれているから、本当に三段くらい一気に個別で魅力がステップアップしたのですが、ギアが一段しかついていなかったヘキルに対し、ヒカルは二段階のブーストが効いていて参りましたね。
 いじらしくも凛々しく二人の中を育みながらも、特にお風呂での爆死あたりからの自分の欲求に嘘をつけなくなっていく切なさの振る舞いが本当に可愛くて、それが結実したところでのヘキルに全く負けない、堅牢に囲って守り続けてきたがゆえの純度の高い思慕の破壊力は最高級でした。

 んで泉かなあ。この子は本当に個性付けで得してるというか、バックボーンもそうだけど一風変わった素直なツンデレ(という言い方が言語として成り立つかは微妙だけど)としてのオンリーワン的な魅力がありましたね。方向性として似ている杏璃がそこまで突き抜けていないのも含め、その差の部分でめんどくささが可愛げに転換されていて好きだなあと。
 それに生まれと暮らしの部分では誰よりも苦労しつつ、それに負けない強さと、思慕の強さが光っていて、好きな相手には一直線、という単純さもまたひとつの魅力となっていて、そういう泉が拘り、否定し続ける関係が融かされていくからこそのあの終盤の価値、と言えるかなと。

 ヘキルも好きだけど、やはりヒカルにおいしいところ最後は全部持ってかれた感が強いのと、他シナリオでの出番、というより目立ちが少なすぎたのがもったいないところ。
 つばめは見た目や基本的な性格は好きなんだけど、やっぱりどうしても後ろ向き過ぎる部分が鼻につくのと、自分のシナリオも含めて一番成長を感じられなかった、という部分でだいぶ株を落としてしまったかなと。
 杏璃も杏鈴の引き立て役的な立ち位置に置かれてしまったのは不憫だし、この子はこの子なりに可愛いけれど、やっぱり面倒さが先に出てしまっていたかなと思います。

 男キャラでは断然義臣△です。。。
 二人の母親を失って、自分も失意にあっても、自分の生き様を曲げず、けれど子供達に出来る限りの幸せを、という、半端にならず堂々とした振る舞いからくる、視座の違いによる誤解こそあれ、きちんと信頼を育める父親であり、理解ある大人でもあって。
 そういう立ち位置だけでも充分に魅力的でしたけど、やはり杏鈴シナリオでのなりふり構わない真っ直ぐな強さは、や〜、これこそ杏鈴の父親だよなぁ、と思わせる素敵ぶりで、少なくとも駄ディーと呼ばれる筋合いはないですね〜。まああれはあれで愛情表現の一つなのは違いないですけど。

 虎吉も三枚目キャラでありつつそれが過去作ほど露骨でなく、きちんと仲間のみんなの幸せを祈り、時に信念を持って支える意志の強さをもった立派なお兄ちゃんだったと思いますね。


CG(19/20)

 SD含めて4人原画ですが、それぞれ本当に上手い人達ですし、個性を生かしつつも可愛らしさ、このメーカーらしい造形に対する親和性はすこぶる高く、質量共に充分に満足の行くものでした。

 立ち絵に関しては水準よりは少し多いかな、くらい。まあその辺は子供時分の立ち絵がかなり豊富という点に尽きると思いますが。
 ポーズは各ヒロイン成長前後で2種類ずつ、サブは1種類ですね。腕差分とかもほぼないですし、理想を言えば成長後でもう1種類欲しかったけど、全般的に個性はしっかり出ていて可愛らしく描けていると思います。
 お気に入りは杏鈴子供正面、正面、胸前合わせ、杏璃子供前かがみ、やや反り返り、ヘキルやや右向き、ヒカルやや左向き、正面、つばめ子供正面、正面、泉腰当て、正面、瑞穂正面あたりですね。

 服飾はヒロインが6〜7種類、サブで2種類くらいでしょうか。子供時代も含めてますが、それでも充分な量ですし、デザインも洗練されつつ可愛くてかなり好きですね。
 特にお気に入りは杏鈴体操服。というより、アップにした髪型がメッチャ好きなんですよね、無論体操服もいいけど。。。ちなみに杏鈴の帽子もかなり好きです。
 その他お気に入りは、杏鈴制服、私服、寝巻き、演劇服、杏璃制服、私服、ヒカルヘキル制服、私服、体操服、パジャマ、メイド服、つばめ制服、ドレス、子供服、泉制服、私服、メイド服、体操着、子供服あたりですね。

 表情差分は基本的な分類化はされているというか、見た目そのものはバラエティあるようでそこまで多くないですけど、遊びの表情もかなり多く見ていて楽しいのは間違いないですね。
 特にお気に入りは杏鈴のジト目と泉のうる目。どちらも二人の可愛らしさが抜群に溢れていて大好きですね。
 その他お気に入りは、杏鈴笑顔、照れ笑顔、大喜び、目逸らし、しょんぼり、><、−−、大赤面、杏璃笑顔、不満気、半泣き、ヘキルにっこり、きょとん、−−、照れ困り、ヒカル睨み、笑顔、ニヤリ、不満気、ジト目、ウインク、つばめ笑顔、びっくり、しんみり、目逸らし、ジト目、線目半泣き、照れ困惑、泉笑顔、驚き、引け目、目逸らし、瑞穂笑顔、困惑、不安あたりですかね。

 
 1枚絵はアペンド込みで通常105枚、SDが40枚の大ボリューム。質もそれなりに微妙さはあれど、結構これは好き、って思えるのが多かったので満足度は高いですね。

 特にお気に入りは7枚、もあるのね。
 1枚目はヒカヘキお風呂乱入、この近世の取れた美しいラインと、二人の表情の差異、特にヒカルの慌てながらの照れ具合の匙加減が物凄く気に入ってます。
 2枚目はヒカル女の子座り、切実なまでに触れ合いを求めて止まない悲しさが、この寄る辺ない雰囲気によく滲んでいるなあと。これ絵とは直接関係ないけど、ほくろネタがあったから脱がしちゃうのかな、と思いきや、そこまでしない節度には感心したのもあり印象がより深いです。
 3枚目はつばめ着替えにばったり、このきょとんとした顔、むちむちと柔らかそうなボディラインと、黒ストの艶かしさが最高ですね。
 4枚目はつばめ初H愛撫、驚きつつも愛らしく反応するつばめさんマジ可愛いです。
 5枚目は泉自慰、この背徳感に塗れた雰囲気と、ショーツの薄さが絶妙ないやらしさで素敵です。
 6枚目は泉メイド服愛撫(妄想)、正直このシーンは後々出てくると思ってたから残念だったけど、構図的に大好きだし、やはりこのメイド服可愛いですよね〜。
 7枚目は杏鈴お風呂スク水H対面座位、御奉仕といった身の委ねっぷりと、愛らしくも艶のある表情、小ぶりな胸のラインの美しさが物凄く好きです。

 その他お気に入りはページ順に、双子添い寝、あーん、読み聞かせ、観覧車、キス、ブーケ、家族の肖像、観覧車H背面座位、教会Hフェラ、騎乗位、杏璃勉強会、黙ってキス、おんぶ、添い寝、自慰、野外Hバック、スーツH対面座位、ヒカヘキ再会、キス、絵を描く、語らい、想い通じて、ヘキル背面座位、騎乗位、ヒカル初H愛撫、お風呂H貝合わせ、つばめ柔軟、朝ごはん、キス、慟哭、膝枕、お姫様、寄り添って、教室フェラ、騎乗位、長フェラ、長クンニ、泉パン販売、ウェイトレス、抱きつき、瑞穂と遊園地で、再会の号泣、騎乗位、69、正常位あたりですね。SDもコミカルで可愛いです。


BGM(19/20)

 とっても透明感がありつつ、ふくよかさと生の歓びを思わせる楽曲で、その中にきちんと切なさや痛みも孕んでいるから複層的に聴き応えのあるイメージでかなり好みでしたね。

 ボーカル曲は完全新規で2曲に+α。
 OPの『Clover Day’s』は名曲ですね。これでもかってほどに柔らかく、抱擁感があって、その揺り篭の中から懸命に手を伸ばすイメージがスッと心に入ってくる、サビの広がりのあるメロディがとても気に入ってます。
 第二OPの『Clover Heart’s』はもはや説明不要の超名曲ではありますが、今回はボーカル録り直しということで、十年前のと比べると圧倒的に情感の含ませ方が上手く、このタイトルでの今のイメージにベストの歌い上げだなあと。やはりこのBメロからサビのメロディの美しさ、切なさは素晴らしいですね。
 と、上2曲はいかにも、という感じで素晴らしいのですが、実はEDの『しあわせがたり』が個人的にはそれを上回って神曲だったり。
 変化の過程でどうしても避け得ない痛みをも内包して、また優しく平穏な未来に、望む未来に立ち戻ったイメージを髣髴とさせる、実にフラットで透明でたゆたう波の様に心落ち着かせるメロディ、特に盛り上がりはないけれど徹底的なまでに美しく儚ささえ思わせるサビの雰囲気、輪唱を備えた間奏が大好きです。

 BGMはタイトル恒例の重なり曲があるので実質は30曲。まあ水準クラスの量ですが、出来はとても美しく、印象的でかなり好みです。
 特にお気に入りは2曲。
 『a memories for us feat“Days”』は出だしでガツンと盛り上げ、そこから染み入るような柔らかい旋律が、紡ぎ直されていく形をそのままに示しているようで、後半のピアノメインへの移行も美しく大好きですね。
 『絆』もまた、方向性としては同じくですが、どこか孤独感のある出だしから少しずつ繋がっていく暖かい関係、空気を髣髴とさせるピアノのメロディが凄く気に入ってます。

 その他お気に入りは、『ハチミツ色の天使』『黒猫さんの背伸び』『白いキャンパスに想いを込めて』『桜色の笑顔で』『青空少女』『天使の涙』『届かない想い』『looking for a Clover Day’s』『春の日差しを浴びながら』『何も知らない私』『豊穣なる日々』あたりですね。


システム(9/10)

 演出は上々だと思います。
 可変ウィンドゥを生かしてキャラの奔放な動きがしっかりいつも以上に出せているし、立ち絵同期もそれなりに配備されて動的ですし、背景演出やSEに関してもそれっぽい雰囲気が出ていて、また過去からの流れで培ったあらゆる構図がふんだんに盛り込まれているから、古くからのここのファンだと余計に感じ入るところはあるかもしれません。
 何より今回はムービーが出色。OPは本当に色使いが爽やかで美しい中でも、どこか囚われたようなイメージを醸し出して、合間の語りを経てそこから羽ばたくイメージが一気に解放されるつくりがすごく気に入ってます。セカンドにしても同様に、曲のイメージとキャラのイメージを上手く投影してのつくり、深海のような暗い心象から浮き上がるイメージが徹底されていて好みでしたね。

 システムはやや齟齬がありつつ、必要なものは揃っているかなと。
 痒いところに手が届くほどではないにせよ、不便なシステムではないし、ジャンプやスキップも効率いいのでプレイ感としては問題なし。ロード後でもちゃんとバッグジャンプとかできるし、メニューバーも普段は消えてるから目立たずいいですしね。
 気になったのは音声調節。どうも若干だけど泉の声が小さかった気がするんですよね。本質的にハキハキ喋るキャラだけに、特に瑞穂と並んだときに違和感が大きかったです。それを一々調整するのは面倒だったので最後まで押し切ってしまいましたが。

 総合して8か9か迷うラインではあったのですが、ムービーが好きだったので甘めにつけちゃいます。


総合(92/100)

 総プレイ時間24時間くらい。共通4時間、個別も3,5〜4,5時間の間くらいですね。ボリュームとしてもやはり杏鈴とヒカヘキが一番あった気がするのは気のせいかな?
 どうしても妹や幼馴染との恋愛がメインな分、グダグダと足踏みしてしまう部分はあるのですけど、全部が全部でなく、構造上の利点も踏まえてバランスよくシナリオを配置している感じで、そこの贔屓の度合いで差異があるのは致し方ないですけど、概ね水準以上のシナリオですので良く頑張っていると思います。

 とはいえ本質的には杏鈴シナリオがメイン中のメインですので、これを好きになれるかどうかで作品全体に対するイメージもリンクしてくる感触ですね。私としてはここが大好物の展開だったので、全般的に上向きの点数をつける形になってます。
 記念作品として、このメーカーらしさは存分に出ているし、全部ではないけど結構古い作品からやってる私としては色々な意味で好きになれる作品、作風でした。
posted by クローバー at 06:01| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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