2014年04月10日

ひこうき雲の向こう側

 元々設定とかキャラデザイン的に惹かれていて、それでも買えないかなぁと思ってたけど体験版がすごく面白かったので吶喊。まあ結果的に三月少なかったし丁度良かったです。


シナリオ(26/30)

 移りゆく空模様の如くに。


 ひこうき雲の終わり――。

 それは、初恋が失恋に終わった日の光景。
 真青な空に一筋のひこうき雲、その後の世界の変転が、主人公の想いを挫き、停滞させたままにしている情景と二重写しになっていて、そのまま十年経っても断ち切れない未練を恋々と写し出した光景。

 美術の時間に何気なく描いたその絵は、美術展で入選し、学園の美術室に飾られることになります。
 その、様々な想いが投影された、切なくも優しい絵に心惹かれた少女、学園で一番もてると評判の、清楚で優しさと人の良さが滲み出ている女の子、学生会長まで務める完璧な女の子の里沙に、ある日突然主人公は告白されます。
 普通に考えれば、これ以上ない良縁。誰しもが付き合いたいと思う素敵な女の子の告白を受けて、けれどどうしても主人公の心は恋の始まりを感じようとしませんでした。

 それは、停滞したままの想いに決着がついていないから。
 十年前、両親の再婚によって、最愛の女の子から、世界で一番大切な妹になった少女、美奈。
 燻る想いを無理矢理見ないようにして、理想の兄たらんと頑張ってきた主人公に、美奈もまた持ち前の無邪気さで懐き、とても仲のいい兄妹としてずっと過ごしてきたのに、主人公の中ではまだ、幼き日の慕情が消え去ってはいないままで、新たに恋を始めるような準備が出来ていないのでした。

 そんな主人公の葛藤を観察している少女が一人。
 偶々席替えで後ろの席になった、里沙と学園での人気を二分する、快活で気さくでスタイル抜群で、如何にも男受けする要素を多分に抱え持った天才少女、瑛莉。しかし彼女もまた、日々世界に見せる顔とは別個の、暗い想いを抱えて生きていました。
 その本質は、恋する気持ちを知りたい、ということ。
 その為に様々な手段を講じ、目的のためなら手段を一切選ばない歪んだ本性を糊塗したまま、主人公から本物の恋の匂いを嗅ぎ取ったことで、より親密になり、側で観察しようと手ぐすね引いているのです。

 そして、主人公が結局想いに踏ん切りのつかないまま里沙を振ったことで、逆に瑛莉の主人公に対する拘りは決定的なものになります。
 彼女の本性を知り、そしてそれに唯々諾々と従っている幼馴染の潤と、無関心そうに手伝っている学園一のミステリアス少女・いろはという情景を目の当たりにして、その仲間に誘われた主人公は、それまでの違法行為を全て止めることを条件に彼らの部活、天体観測部もとい恋愛観測部に参加することになります。
 目的はただ一つ、瑛莉に恋を教え、そして瑛莉が主人公を好きになったときに振ること――。

 そんな、あまりにも歪んだ出会いと繋がりから始まる日々。
 しかして、違法行為を止めた以上手持ち無沙汰の中、建前としての部活動に改めて注力する事で、そこにあったのは、様々な秘密を共有する連帯感も含んだ、気の置けない仲間達との楽しい部活動を通じての青春の日々、なのでした。
 
 果たして主人公はその生活の中、如何にして恋する気持ちを取り戻していくのか?
 その取り戻した想いは、如何なる形に収斂し、それが世界にどういう波紋を呼び込むのか?
 ひこうき雲は雨を呼ぶ、けれど止まない雨はない、刻々訪れる世界と心情の変化に翻弄されながら、不器用に、不恰好に、彼らは彼らだけの恋の物語を紡いでいく、これはそんな、恋をトリガーにしての成長の物語です。


 あらすじはこんな感じですね。
 大枠として、天体観測部に所属して様々なイベントをこなすうちに、特定のヒロインとえらく即物的な接近をしたり、或いはかつての慕情により強く火がくべられたりと、瑛莉が理想とする恋とはだいぶ違うあやふやでみっともない展開が関係を発展させる契機となって、その中で巻き起こる(主に瑛莉が巻き起こす)人間関係の波乱や状況の痛々しい変化を克服し、しっかり恋情を愛へと昇華させていく、そういう流れです。

 テキストは読みやすく、バランスがいいという印象ですね。
 基本的に真面目な雰囲気を保ちつつ、上手くキャラの個性や組み合わせを生かして笑える展開やシュールな展開、時に重苦しい展開を加速させ、そのメリハリがよく効いているなと。またときたま主人公も変な拘りでキャラが変ったりもして、そういう所属する場面と状況によって見せる姿が違ってくる、という部分にリアリティーを感じさせました。
 あと食べ物の描写が妙に上手い。。。話読んでるだけでつい自分でも食べたくなる雰囲気がありましたね。

 ルート構成は少し特殊で、基本的に本筋での攻略ヒロインは瑛莉、美奈、いろはの三人です。
 その三人に関しては、基本的に序盤から寄り添った選択肢をチョイスしていけばOKですが、ルートに入ってからもそれなりに選択肢はあり、全部確かめてないけど普通にバッドエンドもあります。というか個人的に、瑛莉の分岐はそのままとして、綾ちゃんのアレも確実に美奈のバッドエンドにしか思えない。。。一応シーン有りで恋人関係にはなるんですけどね・・・。
 そして全員クリアするとエクストラが解放され、最初に振った里沙と結ばれる展開が見られます。これはかなり短いですし、ヒロインの一人、として数えるには多少物足りないですが、テーマを踏まえるとこの尺、この位置は正しい、と思わせる説得力は充分にありました。無論里沙が一番好きな私としては、それはそれとして、イチャラブが足りなくて悲しくはありますけど。。。
 
 シナリオにおいては、特段に特異なことはしていませんが、瑛莉という、自分の関心を満たすためなら他者の心の機微を、忖度はしても頓着はしない、確信犯的に傍若無人な狂言回しがいる上、恋を阻害するにあたっての各人の背負った業がかなり生々しく重たいので、かなり読み手の感情を揺さぶる生易しくない展開が多くて、それが振れ幅を大きく、読み口を鮮やかにしていますね。
 キャラの好みを置いておいて、純粋にシナリオ評価としては、瑛莉>>美奈>いろはくらいですね。ただしいろはシナリオでも水準は凌駕していて、またどのルートでも一貫して主題から逸脱した展開にはならないので、全体として素晴らしい密度・完成度だと思います。

 主題としては当然、上で触れた瑛莉が知りたいと望む恋の本質になるわけですが、基本的にこの作品のヒロイン(と主人公)は恋に対して鈍感です。
 恋はしようと思って出来るものではない、というのは瑛莉の実感でもあり、恋に落ちる、という表現を引用するなら、彼らはその落とし穴に嵌るのに、あまりに恋に対して思うところが複雑で、傷ついてギザギザしているから、穴の淵に引っかかって中々落ちられない、というイメージですね。
 ちなみに何故里沙がヒロイン足り得ないのか、と言えば単純に、里沙の恋は、それこそ瑛莉が理想に掲げるような、気高く綺麗な、その恋の落とし穴にスポンと嵌るような球形をしていて、故にこそギザついた主人公のそれとは、あの時点では波長が噛み合わない、という見方で間違いないと思います。里沙に関しては色々思うところはあるので後で詳述します。

 瑛莉シナリオの凄みは、まず瑛莉というキャラの嫌味な所、すなわち自分は恋を知らないくせに、大所高所から自分の理想の恋を他者に押し付け、それにそぐうか試練を与えるという傲慢さのしっぺ返しが厳密に与えられているところですね。
 結局瑛莉の場合、過去のトラブルによる自身の女性としての可能性の欠落からくる傷、自信の喪失が恋の出来ない原因に直結しており、それを克服するにはありのままの自分を受け入れてくれる環境こそが必要だったのに、なまじ天才肌で何でも出来るが故に、自分の傷を、弱さを曝け出す機会も発想も持ち得なかったのが不幸であって、またその才能が手段の行き過ぎを助長もしています。
 
 そういう瑛莉だけに、恋のきっかけは主人公共々実に即物的な、瑛莉の貞操観念からすれば毛嫌いすべき(いろはシナリオで顕著なように)ものなのですが、その肉体、心理両面で妙に絡みつく、気になる部分を互いに見出して、素直になれないままに接近していく過程はつましくもいじらしいですし、そういうじれったい日々を積み重ねることでいつしか気付く幸せに呆然とする様も秀逸。
 その上で降りかかる因果応報に対し、想いを貫くことで差し伸べられる救い、そしてそんな無様といってもいいきっかけから生まれた恋が、関係が、これ以上なく幸せな未来の形に繋がっていくという点を、淡々と素描しているエピローグのつくりがとても美しく、名作と言って過言ではないでしょう。
 
 ・・・ただし、ヒロインとしての瑛莉が好きになれるかは別問題で、このルートですら結構うざいところありますし、他シナリオではあにはからんや、ですので、その辺で読み手の温度差は出るでしょう。もしも最初から瑛莉が好きで、あの天賦に任せた傲慢さも痛みの裏返し、可愛げあるじゃない、と思える人なら、このシナリオは垂涎の破壊力があると思います。
 そして私はどうしても好きになれなかった、というところが、微妙な総合点に出てます。ぶっちゃけこのシナリオを、里沙くらい見た目(性格面は多少マイルドに出来るかもだけど、こればかりはこうでなければ成り立たないのは間違いないので)が好きなヒロインで展開してくれたら、あと二点くらい平気でつけてたと思うんですよね。それくらいシナリオとしては好き。

 美奈シナリオは典型的な幼馴染、妹的な想いのすれ違い、ではあるけれど、親友にして恋のライバルの哲弥を脇に配することで、程よい緊張感と、関係性が破綻することに対する多層的な恐れを上手くアピールできていて、そこに瑛莉というキャラの傍若無人さ――終わってみれば道化的ではあるのだけど――を塗すことで、中々面白いミスリードの展開に仕上げていますね。
 また後半に、綾ちゃんルートへの分岐があり、それはそれで幸せなのかもだけど、という簡素な内容の中に爆弾が仕込まれていて、私はそのラストでやっとこそれに気付く始末。どうにも基本病んでるキャラが多いせいか、そっちの心情に基本線置いてしまうのもある意味では壮大な伏線なのかも。哲弥が里沙ほどわかりやすくない、というのもありますが。

 いろはシナリオは三人の中では一番簡素で、かつすごくどうしようもない雪崩れ込み的な展開ではありますが、“容れる”という在り方に関して、実に多角的に、丁寧に仕上げていて、どうしてもいろはとしての限界はあるから、誠実ではあれ里沙のように社会的折り合い&自身の感情との折り合い込みでどうこう出来ないものの、やはり最初の印象以上に深みのあるヒロインだなあと。
 特に典型的なのが、いろはが母親や杏の様を病理的に捉え、それを許容している部分で、確かにこの子は恋するのに問題こそ抱えているけれど、と、その真骨頂の部分では里沙にも劣らない素晴らしさを発揮していると思います。

 そして最後に里沙の立ち位置についてですね。
 作品全般として、ひこうき雲の向こう側という抒情的な表現で示される、それが痛みであれ喜びであれ、絶対的に変化をもたらす状況に対しての恐怖と、それに相反する憧れ、つまり恋に恋し、恋を恐れる感情に対して、里沙はそれを既に克服していることで、惑い悩む主人公やヒロインの後押し役として活躍します。
 特に瑛莉シナリオでの振舞いは毅然としつつ、きちんと本人達の自覚と反省と後悔を見極めてからの手助け、という、立場ギリギリのラインでの優しさが顕著で最高でしたね。美奈シナリオでの二人それぞれに対する後押しも素晴らしかったですし、贔屓目はあるにせよメインヒロインじゃないのに一番印象深いくらいです。

 里沙の立場からすれば、それぞれのルートでは瑛莉や美奈は恋敵なわけで、それなのにどうしてそう振舞えるのか、その点は里沙の語る言葉に散りばめられているのでそこで確かめてください、としか言えません。
 ただ定義として触れておきたいのは、里沙もまた、家族との関係で、恋や愛の在り方に対して様々な苦悩を抱いたのであろう事、そして今ではそれを克服し、明確に自分の骨格として、血肉として、強い自覚と信念に昇華しているということで、だからこそ瑛莉の小手先の揺さぶりが試練にもなりはしないし、その自分の信念に従っての行動だ、と確信できる部分が見事な構成です。
 
 だからこそ、里沙のエクストラはラストなんですよね。
 恋のあやふやさ、ほんの少し何かがずれればこうなる可能性もある、という点は、あくまで読み手が主人公の内在原理を理解していないと納得できないつくりですし、そのずれによって、里沙の信念を明確に知ることが、ひこうき雲の向こう側に踏み出す最後の一押しとなっているのも見事で。
 けどあくまでそれが全てでなく、本編でも用いられた様々な印象付け、結びつくためのきっかけと組み合わせているところに無理がなく、この構成には私の中ですごく思い入れるところもあって、だからこそ納得はしてるし、満足もしてます。
 ・・・や、そりゃもう少し後日談というか、普通のイチャイチャも見たかったけどね。。。

 テーマ的にも、ほぼ上で書いたことに含んでいるとしていいでしょう。
 基本的にテーマとかなり直結して明晰に書かれている作品なので、そこを露骨にほじくる、というかわざわざここで繰り返し言語化するのは野暮に感じるし、読めばわかる、という簡明さもあるので。

 ともあれ、総合してシナリオ面ではすごくよく出来た作品だと思います。
 その分キャラの個性がかなり強くなってはいて、そこの好き嫌いでどうしても評価のブレは出る作品だと思うけど、扱っているテーマがさほど斬新なものではない、むしろ普遍的であるのに、ここまで読み手の感性を揺さぶるものが書ける、というのは素晴らしい才能だなあと。
 特に、そういう関係が進めば、他にこういう形で波及する、という展開に無理がないのが、ルート間の齟齬をほとんど打ち消しているし、重苦しさが強い割に非常に読みやすい作品でした。それでも一番いいシナリオに一番好きでないヒロイン、という組み合わせが評点を下げてしまうのは、どうしたって感情の評価を阻害は出来ない以上仕方ないよね、というところです。


キャラ(20/20)

 基本的にヒロインも主人公も、生々しい感情を強く全面に出しながらの展開になるので、良くも悪くも印象深く、好悪が如実に出てしまう設定ではありましたね。つかこの作品で、ヒロイン全員が全員好きだ〜とは中々ならない気がする。。。
 逆に里沙という縁の下の力持ち的ヒロインの造型は、これでもかってくらいに綺麗で隙がなく、いかにも物語的だなあと思わせるところがあって、どちらにぶれるにせよそういうわざとらしさをどこまで受け入れられるかはひとつの鍵になるかなと。

 そして満点をつけたのは、やはり私にしてみると里沙の存在が全てなのです。
 元々造形的にも性格的にも絶好球だと思ってたし、そしてメインヒロインでこそなかったものの、作品に対しての影響力とそこで発現する魅力は誰に劣るものでもなく、強いて言えばその過去の素描もあれば良かったのに、とは思いましたが、あらゆる要素で好きになれる素敵な女の子でしたね〜。メインじゃないけど殿堂ラインに乗せちゃいたいくらいには好きです。
 楚々として愛らしく、天然で優しさに満ちていて、けれどその本質の部分はすごく鋭利で思考の回転も早く、そこから見えてしまう様々な事象に対して、私心を押し殺してでも大切な相手のために一番のやり方を選択する気高さ、いじらしさ、強さが本当に光っていたし、どういう形であれこの子が報われる結末も用意されていたことで溜飲は下がりますね。流石にアレがないと悶々としすぎる。。。

 次いで好きなのはいろはかな。
 素っ気無いけど優しく気遣いも出来て、ただ女の子としてのメンタリティが幼い&外見の異常というだけでああまで社会から阻害されてしまう在り方に憤懣を覚えつつ、故に一層その精神性、あらゆるものを容れ、ありのままを赦す強さが光っていたし、けれどやはり寄り掛かるものは欲しくて、けれど恋の仕方は知らないから、即物的なところから傾斜していくそのおっかなびっくり感も凄く可愛かったと思います。

 美奈も好きですけど、どちらかと言うと無邪気な残酷さのほうが目立っていた気はするんですよね〜。美奈ルートで哲弥の、どちらかと言えば里沙に近しい健全な心性を見誤っていた憾みもありつつ、でもそうだとしたら尚更、と美奈の無邪気ぶりにはあまり自立を感じられないわけで。
 まあそれを克服するための料理、という素材でもあったのでしょうけど、それだけで覆すほどではなかったし、このルート自体あくまで主人公の心理的変遷のほうが主題となってしまっているのもありました。可愛いけれどヒロインとしてみるより妹としてみているほうが精神的に安定する、というのは、ある意味狙い通りなのかもしれませんけどね〜。

 そして瑛莉はねぇ、その境遇は不憫だし、持ち前の天才性、如才のなさがかえってそれを拗らせた、というのもよくよく理解できるし、だからこそ無様でも、狂言回しでもあるのだからそれだけで損はしてるヒロインです。
 けどやはりそれ以上に、言動のきつさ、またそれが本質を抉っているが故の残酷さは印象悪くするし、基本心のギザついた構ってちゃんに主人公は惹かれる適正があるとはいえ、あれだけ振り回されて好きになれるものなのか〜と思ってしまうのは事実なのです。


CG(16/20)

 全体的にそこまでパッとしない絵ではありますね〜。立ち絵の正面向きだけは異様に可愛いと思ったんですけど、それ以外、特に1枚絵の大半の出来がどうにもそれと引き比べてイマイチ感が強く、素材量としてはまずまずなのだけどもう少し頑張って欲しいなあと思うところ。

 立ち絵は水準よりはやや足りない、かな。
 ポーズはヒロイン二種類にそれぞれ腕差分一つずつですかね。基本的にみんな正面向きは本当に可愛いのだけど、やや角度がつくと途端にそうでもなくなるのは謎だ・・・。
 というわけでお気に入りは全員正面、特に里沙のやや右向き正面は凄まじく可愛いなぁと思います。その他だと里沙のやや左向き、あと杏くらいかな。

 服飾は基本一人三種類、いろはと里沙だけカーディガン差分がありましたね。種類は少ないですがデザインは結構繊細で愛らしく好きです。
 お気に入りは里沙制服、私服、体操着、いろは制服、私服、美奈制服、私服、体操着、綾ちゃん私服あたりですかね。

 表情差分は数も多くはないですし、パターンとしてかなり画一化しているので、多少個性の差異はあれそこまで目立ってはいなかったかなと。
 でも里沙の右正面の可愛さは喜怒哀楽どれをとっても抜群で、出てくるだけで癒されました。あとは美奈の笑顔や遊び顔、瑛莉の活き活きした表情やいろはのほんわか喜んだり、不満気だったり、そのあたりは可愛いです。綾ちゃんのにっこりもかなり好き。


 1枚絵は通常83枚にモノクロが24枚で計107枚ですね。モノクロも仕様でそうしているだけで1枚絵と変わらない情感はあるので、量としては充分だと思います。
 ただ質は・・・正直褒められないですね。全般的に立ち絵ほど可愛くないですし、あとバランスもイマイチ。逆に瑛莉の病んだ妖しさあたりは上手く表現できているのですけどね。

 お気に入りはページ順に、美奈添い寝、キス、お弁当、正常位、騎乗位、瑛莉胸揉み、ピロートーク、号泣、空を見上げて、対面座位、立ちバック、ウェディング、いろは夜空バックにキス、キス、膝抱き、椅子愛撫、体操着H愛撫(黒ストブルマって斬新。。。)、バック、里沙おんぶ、キス、初H愛撫1、正常位、以下モノクロ、勉強、海、引越し、再会、覗き見、娘と手つなぎ、娘さんを下さい、変わってない、孫あたりですね。


BGM(18/20)

 量こそそんなにないけれど、切ない情感を目一杯取り込んだ旋律が耳に心地よく、かなり気に入りましたね。

 ボーカル曲は2曲。
 OPの『恋の予感』はポップでライトな中に程良く切なさも塗している感じですが、どうにも淡白すぎるイメージで、ボーカルともあまり合ってない気がして好きにはなりませんでした。
 EDの『ひこうき雲の向こう側へ』は中々いい曲ですね。ひとつひとつ、噛み締めるように思い出を辿りながら、そこから膨らんでいく幸せの気持ちをだんだんサビに向けて積み増していくイメージが凄く綺麗で、サビのメロディのすみやかさもかなり気に入ってます。

 BGMは全部で20曲と水準にはだいぶ届かないですが、曲の奥行き、雰囲気は全体的にかなり好きです。
 特にお気に入りは、ますタイトル曲でもある『止まない雨はないから』、この透明感と、どこか季節に置き去りにされたような哀愁、それが後半になって旋律が増幅することでいや増し、とても心に余韻を残す綺麗で切ない曲だと思います。
 『小夜時雨』も素晴らしい曲ですね。手の届かない、どうしようもない苦しい現実と対峙しなくてはならなくて、逃げても逃げても追いついてくるような、絡み取る優しい旋律がとても素敵だと思います。

 その他お気に入りは、『春は、あけぼの』『ぐうかわいい』『万物流転とどまることなし』『彩雲のギャラリー』『死んでもいいわ』『arc−en−ciel』あたりですね。
 偶々だろうけど、妙に左の列の曲ばかり好きです私。


システム(7/10)

 演出はもう一歩ですかね。
 それなりに立ち絵同期もするし、キャラも動くけど、派手さはないし流れに嵌ったイメージも薄いんですよね。下でも書くけど全体的に指定と徹底が甘い感じで、それ以外の部分も最低限は、という感じだし推せるところは感じなかったです。
 ムービーもまあ色使いとか切り取りの構図は綺麗でいいけど、それだけかなぁ。

 システムはイマイチですかね〜。
 最低限は揃っているけれど、選択肢が序盤から分岐する割にジャンプなし、スキップもそこまで速くないのは使いづらいですし、あと途中からロードが妙に面倒でしたね。
 それ以上に全般的なデバックのミスが多すぎたかなと。瑛莉シナリオだけはマシだったけど、メインのそこだけで力尽きたの?と言いたくなるくらい、いろはと美奈シナリオは、誤字、テキストメンバー残り、場面切り替えのミス、曲指定のタイミングのミスなど気になる点のオンパレード。折角シナリオが没頭しやすい読みやすさがあるのに、全力で足を引っ張っていました。
 これが解消されるだけでも、下手するとシナリオ点・BGM点上げられる可能性すらありますね。そのくらい流れと印象を悪くしていたと思います。


総合(87/100)

 総プレイ時間20時間くらい。共通5時間、いろは4時間、瑛莉と美奈が5時間、里沙が1時間くらいです。
 実質個別ルート3本で、それぞれの尺はかなり大きくなっていますが、扱っているテーマが繊細で、故に展開も地味な割に全く飽きさせたりだれさせるところは感じず、スラスラ読めましたね。その上で書きたいことがすごくわかりやすく、綺麗に綴られているので読後感も良く、私としては名作評価を与えたい内容でした。

 ただどうしても絵と演出が結構足を引っ張っている感じで、作品の総合力という意味ではかなり劣り、総体的に荒削り、と思えてしまうのは勿体無い所です。完成度が高ければもっと評価できるし、上でも散々書いたけど、瑛莉を好きになれる人ならば名作になる可能性はかなり高いですね。
 瑛莉のニッチっぷりは体験版でも片鱗を醸しているので、気になるならそこでチェックしてみて、が良さそうです。本当にシナリオとしてはかなりお勧めできます。

 2015/1/9改訂、シナリオ+1点、BGM+1点。
posted by クローバー at 06:17| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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