2014年04月17日

ハロー・レディ!

 るい智以来のこのラインの大ファンですし、最初の印象はそうでもなかったけど、体験版の世界観でガラッと雰囲気が変わり、引き込まれたので、これも迷いなく購入。しかしタイトル打ち込んで、真ん中の記号どうすんべとね(笑)。


シナリオ(27/30)

 正邪を超越する、揺らがない信念の価値。


 天河ノーブル・スクール。
 ノーブルたれ、を合言葉に、世界の可能性を切り開く才能を持った生徒だけを集めた学園には、その実、今の世界とは決して相容れない特殊な力、ハローを顕現した少年少女だけが集められた仮初めの楽園でした。

 ハローとは、人の可能性。
 それそれが抱える信念や意志を反映して、社会常識で知られている物理法則を逸脱して発揮できる特殊能力であり、古来から社会の裏側を担う血族に連綿と受け継がれ、色深く脈動してきたその概念は、近年になって社会にも拡散し、ごく一般の家庭からもハローの持ち主が生まれるようになっていました。
 
 しかし、その才能はどうしても社会に排他され、忌避されるもの。
 その軋轢からくる自己不信と、才能の萎縮、暴走などを未然に防ぐために、新たな世界の形を切り開く可能性としての才能、という定義を与え、その力を誇りに想い、社会の為に意志を持って振るえるようになるまで庇護する、というのが、このスクールを設立した男、御門黒船の巌たる信念でした。

 そんな学園に、主人公はただ一つの絶対にして無二の目的を持って編入することになります。
 奇しくも編入直前の深夜、スクールの重要人物である二人、筆頭研究員の時乃と、奇跡のハローを持ち、生徒の序列の筆頭である朔が、対立組織に襲われているところに出くわし、それを颯爽と助けたはいいものの、自己の信念に忠実な主人公は奔放な振る舞いで朔を戸惑わせ、怒らせてしまいます。

 翌日、正式に編入となった主人公は、案内役に選ばれた朔とともに学園を回り、そしてスクールの中で最上位、クラウンと呼ばれる――主人公もその一員となる――仲間達を紹介され・・・る前にそれぞれと悶着を引き起こします。
 武力では学園一の珠緒を手玉に取り、学園の秩序に公然と反旗を翻すことで、朔に信奉しているエルや美鳥の不信を買い、唯一空子だけは苦笑いで彼の存在を受け容れてくれるものの、その在り方から理事長の息子である大義にも不信の目を向けられるようになり、関係性、という視点では前途多難、それでも主人公は信念を決して曲げず、あるがまま、成すべきことを為すために突き進んでいきます。

 そう、彼の目的は、復讐――。
 かつて自分から全てを奪い、踏み躙って今の栄華を築いている卑劣な四人に、死者の鎮魂のための崇高な鉄槌を下すために、徹底した美意識と自己抑制をもって、メイドの菱亜と二人三脚、来るべき日を待ち焦がれ、自らの手で作り出していくのです。
 そんな不穏な目的を持った主人公がやってくることで、学園を取り巻く状況も変化していきます。一見平和で箱庭的な楽園であるスクール、しかしその暗部で蠢いている様々な思惑、怨讐、因縁がぞろり、顔を覗かせ、それはクラウンのメンバーをも否応なしに絡めとっていきます。
 その中で、一枚岩に見えたクラウンの繋がりにもほころび、それぞれの思惑が浮き彫りになっていき、主人公はそれを知る事で、目的の為に、また自身に芽生えた想いを否定しないために、時に共闘の道を選び、時には敵対してでも、恨まれる覚悟を背負ってでも、あらゆる柵を振り捨てて邁進していきます。

 果たして彼の復讐は、為るのか?
 そして一方でヒロイン達がそれぞれに抱える不安と業とは何か?その根源たるハローとは何か?
 学園の暗部に潜む秘密、そしてそれをもって成されるべき本当の目的とは?

 様々な信念、相容れないそれぞれの正義がぶつかり合う中、悩み、迷いながらも、自らの生きる道、覚悟をより堅固たらしめ、その果てに淡い未来の姿を映し出す、これは自己を見つめ、信念を確固磐石たるものに昇華させることで新たな夢を抱き、未来を切り開く、愛と意志と成長の物語です。


 あらすじはこんなところですね。
 大枠としては、主人公の復讐劇と足並みを揃える形でそれぞれヒロインが抱える闇、苦悩が少しずつ開陳され、けれどそれを解決することは必ずしも主人公の目的と合致していなくて、それでも――と、よりよい未来の形、決着の形を求めて奔走する流れです。

 テキストはより劇的でありつつ洗練もされて、そろそろ円熟の域だなあと。
 文章のイメージとして装飾過多ではあるのだけど、でも決して冗長ではなく、世界観、雰囲気を組み上げるために必要な重石をしっかり意識して書かれていると思うし、今回は特に主人公の個性が際立っているせいで、会話にせよ地の文にせよすごく詩的でありつつも明晰さが浮き立っています。
 無論雰囲気に対しての合う合わないが出るのはいつものことだけど、&空に比しても特長はより研ぎ澄ませながら、トータルとしての読み口の粘りは最低限に留めるバランス感覚が発展していると感じるし、面白かったです。まあどれだけ虚飾を施しても、主人公がヘンタイなのは揺ぎ無い事実、というあたりの塩梅も良かったですしね。
 そういう竹を割ったようなすっきりした観念が色づいている分だけ、設定の胡散臭さや終盤の展開における個々の意志の発現の様を、決して足場が脆いと感じさせない強さをもたらしているのでしょう。

 ルート構成はかなり特殊です。
 まず攻略順は、最初が空子か珠緒、二人クリアするとエルに進める選択肢が増えて、最後に朔のルートが解放されます。まあこのあたりの構造はこのラインのいつものパターンですね。ちなみに美鳥さんはルートありません、無念・・・。
 また今回の選択肢で独特なのは、単にヒロインの好感度を上げるだけでなく、主人公の復讐にかける執念の度合いもまた必須要素になっている点ですね。およそのイメージとして、主人公の意識の中で復讐七割、特定のヒロインに向ける想い三割くらいのバランスになったときだけルートに入れる形です。
 
 復讐心が行き過ぎても足りなくてもバットだし、ヒロインとの好感度が足りなくてもそうだし、その意味ですごく難しいのですが、ただ位置選択の場面でどれを選択すればどのパラメータが上がるかは一見してわかるようになっているので、方式に慣れれば問題ないと思います。
 またこれは、基本的に恋愛面での結びつきの説得性がどうしてもやや薄くなってしまう作品構造と、誰と関係を深めるかでその後の事象に変化が起きる度合いのバランスを取る上で、ある程度の意味づけをもたらしているといえましょう。但しそのせいで、ヒロインを攻略するゲーム、というイメージ感は確実に削がれているので、その辺は良し悪しですね。

 シナリオに関しては、いつも通りラスト一極集中の構造で、他三人のシナリオはそれぞれの立場から多角的にこの世界観に潜む謎、それぞれの想いを投影していて、最終的にそれが全て統合されて炸裂する、ということになります。
 きちんと読み込みきれていないだけかもしれませんが、時々ルート間での時系列的齟齬があったり、どうしてそういう展開に雪崩れ込むのか、逆に他で起こった事象が起こらないのか、その契機の部分がすっきり理解しにくい部分はありましたが、概ねきっちりまとまっているシナリオですね。

 個別ルートの出来としては、朔>>>エル>>空子>珠緒くらいのイメージ。
 ルートロックがある分、どうしても後ろ二人が優遇されてしまうのは仕方ないところで、特に今回は本当にあらゆる伏線が朔ルートできっちりと爆発し、炎上し、そして綺麗に収束していくので、そこでのカタルシスをどこまで感じられるかがこの作品評価の肝になると思います。

 今回はいつもと逆にに下評価から触れていきますが、珠緒は彼女の立ち位置と、そして学園最大の闇であるプラントに挑む流れ。
 目的の方向性が合致するのは確かでも、正直恋愛面含めて二人が結びつく心理的な含みが一番不足しているなと思うのはあるし、展開としても終始その問題に固執している分動きにダイナミズムがなくて、まあデレ珠緒の妙な可愛らしさは堪能できたとしても、盛り上がりという意味ではもう一歩。
 それに後付けだけど、このラストであの男があんな簡単に・・・というのがどうにも信じ難い部分はありますよね。いくら相手が、とはいえ、それで油断するような男でもなかろうに、と、状況の慌しさを含んでも思ってしまいます。

 空子シナリオは、彼女が抱えるハローの本質と、そして主人公の復讐の対象が・・・であるが為の葛藤、信念が浮き彫りになる物語。
 主人公の復讐劇、という視点では一番足踏みさせられるルートでもあり、しかし空子に対して互いが想い入れる理由付けは全ヒロインの中でも一番色濃く、郷愁がもたらす引力に揺さぶられながらも、ジリジリと前に進み、それが空子に覚悟をもたらす構造は綺麗でした。
 また、空子をそれまで支え続けた存在の意志が明確に見えることによるハローの開花、それ自体が最終ルートの大きな伏線、活力にもなっていて、爆発的に面白くはないけれど見所の多いシナリオだったと思います。

 エルシナリオは彼女自身の境遇と、そして彼女が傾倒する朔に対する想いが軸となり、やがてそれが近隣を賑わす事件と結びついていく流れ。
 正直このルートでどうして一番最初にその復讐の完結を選んだか、その説得性は薄いなあとは思うのですが、そうすることでヒロインそれぞれの立ち位置もガラッと変わるし、また主人公がエルに傾倒することで、それまで仄めかされつつ深入りしなかった朔の挙動不審がクローズアップされていくのはスムーズな展開でしたね。
 ・・・まぁそのおかげで美鳥さんの行く末に関してほぼ確定感が滲んでしまって切なかったですが。や、この時点ではまだギリギリ諦めてなかったけど。後出しではあるけど、最終ルートでいないはずの・・・的な展開は絶対どこかにあるとは予想してたから、それ含めての願望でしたんですけどねぇ。でもよくよく考えれば、結果的にボス的立ち位置で出てこられても微妙な気はする。。。

 また、純粋な恋愛とはちがくとも、彼女の持つハローの力によって、そしてどこか歪んだ対等観念によって、二人の結びつきが即物的な部分からはじまり、やがてそれが本当の愛情に昇華していく点は、ハローが個々人の想いを反映する、という視座からしても、作品の本質を丁寧にトレースしていたと思います。
 これも途中から復讐そっちのけになってはしまいますが、それだけの不穏さと迫力を感じさせる描写、展開ではあったし、何よりその対象が、という部分でこれまでのキャラ性と擦り合わせが効かずにうわぉ、とさせられるのは必定ですね。
 ラストの展開にしても、それぞれの出来うる可能性を搾り出して、という部分で見事であり、またそれも最後に連なる伏線であって、そこにエルという少女のがらんどうの中に、唯一大輪として咲き誇っている想いの至純、強靭さがくっきり見えて素敵でした。

 そして朔シナリオ、ここは主人公の復讐、朔の抱える悩み、煩悶、学園の抱える謎と主人公の本願の根本的な否定からの転換と、盛り上がる要素が全てバランスよく、それぞれに説得性を持って詰め込まれていて、本当に熱くなれる素晴らしいシナリオでしたね。
 恋愛面で積み上げた想いの量そのものは珠緒と並んで少ないのですが、朔の場合その質が作品のテーマとも綺麗に合致して非常に深く重く、結局それは最後で、朔が迷い、悩みながらも前に進み続ける中で遠く見据えていたなりたい自分、あるべき自己をその背中に見ていた、という形で表現されます。
 裏返せば主人公にしても、そういう朔の本質と、至れない足掻きに対する共感、尊敬、そして何より、そこで決して卑屈にならず、常に見えている今の自分を肯定して前に進む強さが、十二分に惹かれる理由付けとなっていて、至高の胸であることも合わせて、結ばれるべき運命だった、と読み手に思わせる説得性は充分にありました。
 
 そのあたりの思想はテーマに譲るとして、朔シナリオに関しては、まず出だしの、一番脆い所から崩す、という、思い入れが絡まなければ当然そうなる、という常道の復讐からはじまり、それによってヒロインの立ち位置を調整しつつ、ハローを使えば絶大でありつつも、基本的にハローの行使を好まない朔と手を取る故に、あらゆる方面に対しての力技での突破が効かず、足踏みしている時間の描写が簡潔に紡がれていて、正確には数えてないけどスケジュール的に他のシナリオよりは時間は前に進んでいる筈です。
 そして、その時間の余裕と状況の変化がなかった故に起こった事件を導火線として、混乱と絶望の中でそれぞれの信念が試される展開に縺れ込んでいき、その中で朔を中心に、ヒロイン全員の信念、目指す未来の形が一極化し、更には主人公が唯一事前に願った復讐を為しえつつも、更なる苦難に直面し、そこからの克己、より純正な信念の練りこみが発現して、実に多彩、盛り沢山でありつつ誰一人としてあるべき自分から揺らがない素晴らしい構造。

 何より、一番最後に追いついた朔の在り方がどこまでも綺麗で、残酷なまでに純白で、それが朔の、主人公に憧れた想いの根幹とも密接に結びついているあたりに感動があります。
 あと、エルシナリオで朔に対する印象を大きく揺さぶられた部分に対しても、これ以上ない満点の回答が示されていて、本当に朔というヒロインの毅然とした美しさ、真っ直ぐさ、強さと優しさが反映した素敵なシナリオでした。

 無論構造的に全く粗がないとは思えないし、そもそものハロー設定の胡散臭さもあるのですけど、あくまで物語のルールとして、個々のハローに、可能性の最大限以上の発展はもたらさないこと、そのルールの中で、それぞれの信念がブレずに表現されていることが、その瑣末な瑕疵を消し飛ばしてくれる、本当に読み手を捻じ伏せる力強さに溢れた内容でしたね。


 テーマとしては、当然信念のあるべき姿に対して、になるでしょう。
 この作品において、最後の大どんでん返しが来るまでは、主人公はこのテーマをもっとも忠実に体現した存在であり、復讐、というおどろおどろしい感情が塗されているからミスリード的ではあるけれど、この作品で一番に言いたいのは自身の生の在り方、本質を自分で見極め、そこからブレない強固な信念を築くことの大切さであり、何に対して思い入れるか、すなわち社会基盤によって相対性を持つ善悪の観念はその評価に影響をもたらしていないんですよね。

 そもそもハロー、という概念で示されるように、それは個々の本質、可能性、そう在りたい自分の具現であり、例えば珠緒であればそれはより強く、大切な人を守るため、というシンプルな形ですし、他ヒロインもその補助線で考えると明確にシナリオとリンクしているのがわかります。
 すごい蛇足だけど、じゃあ美鳥の本質ってなんだったろうなぁ、とは考えますね。既に確固たる信念を抱いていたことを踏まえると、攻撃よりは守りの色合いが強いだろうし、その具現としての見えない矛は、どこまで昇華したのか、すごく見てみたい気はしますが、しかし彼女の退場がないと朔がああ動く理由付けがなくなっちゃうという構造が、残酷にもFDの可能性も薄めてしまっているのがね〜。

 閑話休題、ともあれ、主人公のそれが偶々復讐という、世間的に見れば悪心のもたらすものであっただけで、けれど本人の意識の中では、常にそれを単なる暴力に堕さしめないよう戒めるというプロセスが強調されているように、余剰の誘惑につられない限り、それは至純の信念として表現しうる、ということで、ヒロインに対しても、また敵役に対してもその高みを求めるのがこの作品の本質だったなあと。
 だから当然黒船もそれにそぐわって最後まで鉄の信念を抱いていたし、最後の敵に関しても自分の生き様に寸毫も疑いを抱いていなかったからこそ、朔の残酷で優しい捌きに対して、誇りを持って応えてみせたわけですよね。
 この作品は結構バタバタと主要キャラも含めて倒れていく過激さのある作品ですけど、元々テキストパターンが内包するペシミスティックにはそぐう形だし、その中でそれでも――、と反逆を示す一握の光を含ませるのがこのラインの最大の特色でもありますから、その点実に見事に紡ぎ上げていたなあと。

 また、コミュのときはその光が善悪の観点に充てられていたけれど、どうしてもそれは相対的なもの故に紛れはあって、今回はその更に一段上、自己の中での絶対性を問うことでその曖昧さをきっぱり排除したつくりが鮮鋭だったなと思いますね。
 加えてそこには、現代社会に対する冷徹な観察と未来予想図を投影し、その中で生かされるのではなく生きるためには、というメッセージ性も押し付けがましくない程度に籠められていて、実に読み応え、考える余地が沢山ありましたね。
 時代の最先端をゆくものこそが、更なる開拓の可能性に対する一番の排除者になる、という人間性の透徹や、それでも一歩でも世界の先を出し抜くため、それでいて最終的には世界の安寧に連なる理念を、システムを構築しようとする思想性、それらを朔の未熟で、けれど崇高な想いと被せて、世界の速さに追いつけるように、という簡潔な表現にまとめあげたところがすごく好きです。


 以上、長くなりましたが、間違いなく名作と呼べる水準の物語でしょう。
 構造上他の三人のシナリオが消化不良で終わってしまうこと、その不良感を前提とした中でも格別の盛り上がりがなく、どうしてもそこまでの評価だと普通よりはちょっと面白いねくらいになってしまうので、朔シナリオの傑作ぶりを加味してもこの点数以上は甘いかな、と思いました。感情的には総合でもう1点あげてもいいくらい朔シナリオは好きですけどね。
 まあ元々朔に一番思い入れていた、というのもあるし、やはり好きなヒロインのシナリオが最高に面白い、という噛み合いは幸せですね。


キャラ(20/20)

 いやぁ、本当に濃いキャラばかりで印象深いですね。シナリオでも書いたように、徹底して信念のブレないキャラがほとんどなので、むしろ逆にそういう色合いが薄い小物の敵役も、その差異で目立っていたりして全く隙がないです。
 当然その分変人が増えるので個々の合う合わないは出てくるでしょうけど、朔の無償の慈愛そのものが一番胡散臭い、と歪んだ見方をする人でもない限りは、朔と主人公の在り方だけでも満足できる仕上がりだと思います。

 というわけで、断然に一番好きなのは朔です。今期の確定殿堂ヒロイン二人目で文句なし、満場一致です。
 基本的に朔って、主人公も最初に言うように、こんな特殊な世界に放り込まれている割にごくごく普通の女の子、なんですよね。与えられた役割に対して生真面目ではあるけれど、結構隙は多いし、趣味嗜好なんかも微笑ましいし、言動や感情表現も真っ直ぐで、何より純真無垢で。
 けどそういう普通さの大前提的に、当たり前に持ち合わせている、他者への、世界への深い慈愛、善心が図抜けて光っていて、そうありたいという自分が顕著であるが故に、どんなに迷っても悩んでも後悔しても、結局そのありたい自分の投影する場所へ真っ直ぐ踏み込んでいく、その強さが最大の魅力ですね。

 でありつつも、唯一の瑕疵というべきか、ハローの発現にまつわるトラウマが彼女の本質の全てを解き放つのを阻害していて、それまででも充分に素敵だっただけに、まだ上があるのかよ、と驚嘆させられるところで、しかもそれは確かにハローの定義、補助線が示す究極の一であり、それは美しすぎて逆に怖いくらいで。
 シナリオラストでも触れられているように、それは知られれば絶対的に利用されつくされてしまう、翻せば悪魔じみた能力でもあり、だからこそその至純さを、崇高さと真っ直ぐな信念を、いつまでも撓ませずにいるために、二人で支えあって何とか守り抜いて欲しい、と切に思わせる、本当に素敵なヒロインでした。
 まあ希望を言えばもう少しイチャラブは欲しいんだけど、作品の方向性的にもそこまで望むのは、ですかね。Hシーンとかアホみたいに可愛かったもんなぁ・・・。

 次いで触れておくべきは主人公かなと。
 とにかく型破りというか、あらゆることに関して反省はしても後悔はしないというか、信念の形成という意味では黒船に並んで絶対的な強さを感じさせます。それが境遇ゆえの歪み、というだけでなく、きちんと克己の中で練り上げられてきたと思わせるところが真骨頂ですね。
 故にこそ、最後にその屋台骨を崩されても、きちんと自己を保ちうる橋頭堡が確保されていて、きっかけがあればきちんと、という部分での強さは光っていたし、どんなときでも絶対に諦めない執念、根性といい、共感できるかは微妙だけど最高にかっこいい主人公でした。

 んでヒロインズだとエルかな。
 基本的にこのラインのロリキャラは変人的に完成されているし、その文脈の中での魅力も多々ありつつ、エル固有の心性、拗ねているようで実は真っ直ぐ、むしろ他に入ってるものがないゆえの想いの深み、大きさが特に後半の二ルートでは炸裂していて実に魅力的でした。

 空子も好きです。ちょろいけど、可愛いよね。
 どちらかと言えば刺々しい雰囲気の中での彼女の存在は空気感として救いだし、二面性の部分も個性として卓越していて、その在り方が本当の自分を見定め、その力を最大限にまで発揮できる仕様と上手く合致していて、最終ルートでの立ち位置、立ち回りは凄く好きです。

 そしてビジュアル・性格的には美鳥は朔の次に好きだったんだけどなぁ・・・。
 そういう動機付け、立ち位置が必要なのはわかるし、納得は出来るんですけど、やっぱり可愛いので切ない限り。他ヒロインとのイチャラブももっとほしいという点含めて、この際強引でもいいからFD作りましょうよ〜(笑)。私はそこまで好きにならなかったけど、菱亜も人気ありそうだし、絶対そこ含めて需要はあるよね。

 黒船も敵役だけど本当に光輝を放ってましたよね〜。
 とにかく閉塞を嫌忌し、打破し、突き抜けていく冷徹な信念の根源にあるものが、奇しくも、という設定も惹かれるし、その荒野の季節の中で練り上げた思想、信念の骨格の見事さも相俟って、ラス前の対決のシーンは本当に痺れました。
 プラントでああしていた、という部分からしても、完全の制御が最終目的ではあったろうし、彼の見る世界の先、というのも、朔の信念と相容れなかったとはいえ気にはなりますよね。


CG(18/20)

 出来は安定して綺麗で可愛らしく、今回は全体量として今一歩かなとは思いましたが、1枚絵でヒットするのが多かったのを加味してこの点数ですね。

 立ち絵は出来はいいけれどちょっと物足りない量ですね。
 ポーズはヒロインで二種類、サブで一種類、腕差分もそれぞれ一つずつとかなり控え目ですね。形としても特殊性は薄く無難な感じで、ここはあまり惹かれなかったかなあ。
 お気に入りは朔正面、やや左、エル正面、空子正面、美鳥正面あたりですね。

 服飾もヒロイン二種類、サブ一種類とかなり少ないです。舞台設定上必要性がないのは確かだけど、私服がいかにも部屋着感が強い(特に朔)ので、飾った服も欲しかったなあと思わざるを得ない。体育やプールまでやれとは言わないからさ(笑)。
 お気に入りは朔制服、珠緒私服、空子制服、エル私服、美鳥制服くらいですかね。

 表情差分もさほど多くはないですね。なんか朔だけかなり優遇されてはいるけれど、飴差分とかもあるし。。。まあベースとして堅くもあり、遊びもあり、可愛くてそこまで文句はないですが。
 お気に入りは朔きょとん、ジト目、凛々しい、動揺、微笑、照れ、大照れ、どんより、空子きょとん、ジト目、デレデレ、怯え、甘え、慌て、照れ上目、苦笑、珠緒パニック、不敵、怒りギャグ、感心、照れ、エルジト目、デレデレ、不機嫌、怯え、照れ呆れ、落胆、美鳥ジト目、そっぽ、ニヤリ、大照れ、菱亜得意げ、ニヤリあたりですね。


 1枚絵はカットイン系統諸々全部含めて93枚かな。ぎり水準でしょうけど、やっぱり日常のイチャイチャが足りないし、シーンももう一つずつ欲しいってのが贅沢な本音ではありますね。

 特にお気に入りは4枚。
 1枚目は真理と大義、この二人の対峙の構図は全編通じて迫力がありましたし、意外と表情も多く、二人の個性がにじみ出ていて印象深いです。しかしこの二人の関係性、最初は名前で勘違いさせ、ミスリード化と思わせておいて実は・・・ってあたりメッチャ複雑。
 2枚目は朔のハロー行使、この凛と気張った表情の美しさに加え、闇墜ち時の嫣然とした雰囲気、エルルートでのそこから目覚める表情が凄く好きです。
 3枚目はエルの見送り、エルのすべてを通じて、ここで一番感情が豊かに表に出ているカットを持ってくるあたりは見事で、実に印象深く、可愛いなあと思いました。
 4枚目は朔背面屈曲位、全体のボディラインと構図の綺麗さ、朔の当然とした雰囲気の見せ方が凄く好きです。

 その他お気に入りはページ順に、朔と美鳥、謳歌、銃を突きつけられ、騎士として、珠緒お姫様抱っこ、美鳥の攻撃、朔と対峙、耳かき、あーん、エルの添い寝、鏡の中の自分、美鳥ダンス、引き金、思い出の四人、菱亜奮闘、空子の行使、珠緒キス、変身、キス愛撫、バック、空子狙撃、水着、初H対面座位、背面座位、朔の錯乱、エル行使、満身創痍の決別、押し倒し、フェラ、騎乗位、黒船構え、魔の降臨、朔を抱きしめ、敵陣疾走、この手を取って、初Hキス、愛撫、パイズリ、正常位、69、主人公行使、朔キック、詠唱それぞれあたりですね。


BGM(18/20)

 全体的に重厚感、疾走感が備わった曲調で、作品のイメージとも合致し、概ね高い水準だったと思います。

 ボーカル曲は3曲。
 OPの『Soul Release』はどこか突き放したような、俯瞰のイメージを醸し出しつつ、そこからBメロ、サビに向けて少しずつフォーカスを絞っていくような構成が爽やかで中々いい曲ですけど、凄く惹かれるほどではなかったですね。
 挿入歌の『Truth and Right』は神曲。これははじめて体験版で聴いたときから素晴らしいと思ってたけど、聴き込むほどに惚れ惚れしますね。とにかくサビのメロディが問答無用でかっこよくて、それぞれの覚悟、挑むべき高峰の険しさを存分に感じさせつつ、サビ後半の歌詞が特にあるべき姿の体現、主人公とラストの朔に二重写しになっていてものすごく気に入ってます。
 EDの『Hello Lady』は地歩を丁寧に固め、踏みしめながら、築いた屍の価値を認めつつも前に進む強さを感じさせる、この作品のEDとして凄くマッチした曲ですね。ただ曲としては普通かな、と思います。

 BGMは全部で30曲、アレンジがあるので精密にはもう少し少ないですが、ほぼ水準どおりですね。
 質も突出して、というのはなかったけれど、迫力と緊迫を彩りつつ、けどまだ余裕を感じさせるイメージがバランスよく配分されている感じで悪くないですね。
 お気に入りは『誓い』『かけてみる?』『深海の闇』『恐怖の幕』『絶望の中で』『優しさにふれて』『決意の証明』『覚醒』『時は過ぎて』あたりですね。


システム(9/10)

 演出はまずまずでしょうか。
 キャラは奔放に動くし、表情も切り替わりはそれなりにあるので躍動感はあり、何よりカットインの多様が能動性を感じさせますね。バトル演出、ハローの演出はややチープではあるかもだけど、最低限の盛り上がりをもたらしてはいると思うし、雰囲気と迫力の見せ方は蓄積もあり流石といった所。
 ムービーは最初のは普通かな、と思ったけど、2ndは曲が好き、ってのもあるけれど迫力があって好みです。孤高の雰囲気がすごく良くでているし、最後だけアニメーションでああしたのも上手く嵌っていると思いますね。

 システムは特に問題なし。
 選択肢が多いのでジャンプが搭載は助かりますが、次へのジャンプに少し時間を要するのが欠点といえば欠点かな。まあないよりは全然マシだし、ただパッチ前に所々既読判定が効かないところがあってそれは面倒でした。
 それ以外に不満は特にないし、新味のあるシステムではないけど使いやすいので文句はありません。


総合(92/100)

 総プレイ時間22時間くらい。共通5時間、個別が4時間ずつ、朔だけは5時間ちょい、という感じですね。尺としてもシンプルにまとめられつつ、やるべきことはきちんとやっていてメリハリがあり、朔シナリオの密度の高さは凄まじいので必見、それだけで充分に価値があります。まあロックあるからどの道全部やらないと辿り着けないけど。。。
 まあ系列ブランドのあれこれの巻き込まれ事故的に喧しいけど、ハロレ「は」文句なく名作なので全力でお勧めしておきましょう。好き嫌いはやっぱり出るでしょうけど、体験版から雰囲気はガラリ一変、というわけでは決してないので、その辺で試して、特に朔が気に入ったなら是非に、というところですね。
posted by クローバー at 06:25| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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