2014年08月05日

アストラエアの白き永遠

 FAVORITE信者であり、なかひろさん信者である私ですので、このタイトルは発表になった時点から楽しみで楽しみで、2014年最大の生き甲斐と位置付けて待ち焦がれていました。
 そのせいで二度の延期は切なく、それこそ終わらない冬の気分でしたとも。この感想を書いて、ようやく私の季節も春になりそうだ、などと、真夏の最中に何を言ってるのでしょうね。。。


シナリオ(28/30)

 出会えた奇跡を、永遠に――。


 主人公の榛名陸は、数年ぶりに、かつて育った街、月ヶ咲に戻ってきました。
 孤児として生まれた陸に、はじめての友達が出来て、けれどルーンと呼ばれる超能力に目覚めたことで離れざるを得なかった街は今、常に積もらない不思議な雪が舞い散る常冬の街となり、またルーンによる異常現象、新たな能力者の発現が頻発している状況でした。

 ルーンとは、十数年前にはじめて発見された人類の新たな可能性。
 けれど、エルフィンと称されるようになった能力者は絶対数が少なく、能力を制御できずに暴走させて、未だ世界の中で秘密にされているその存在が露呈し、一般人類との軋轢が発生するのを防ぐ為に、高い能力を安定して発揮できる陸のような存在は重宝され、この度も災害派遣の一環として、エルフィン仲間のりんね、ひなたと共に月ヶ咲にやってきたのです。

 そしてもうひとつ、陸には重要な役割が与えられていました。
 それは、陸たちが所属する組織の局長の娘達、落葉と葉月をこの街に蔓延る脅威から護衛することで、その為に陸は、今は落葉と葉月しか住んでいない家に居候するべく訪問しますが、最初はにべもなく追い返されてしまいます。
 けれど、ひょんな出会いから陸は園児である葉月に大層懐かれ、それは、ずっと追い求めていた父親、家族の影を透かしているようで、その態度に、姉の落葉も態度を軟化させ、陸が居候として家族の一因になることを認めてくれます。

 陸は護衛の為に学園にも通うことになり、落葉と同じクラスに転入して、落葉の親友である一夏に関係を勘繰られたり、ロボットを称する不思議な下級生のコロナと友人になったり、隣のクラスの、所属不明のエルフィンである琴里と知己になったり、今まで味わうことのなかった賑やかな日々の中に身を置いて、それが満更でもないことに気付いていきます。

 そして何より、陸がこの街に戻ってくるとき、もっとも逢いたいと思っていた相手、かつてのはじめての友達で、はじめて陸のことを見つけてくれた少女、雪々との再会も叶います。
 この数年で大きく成長した陸と違い、はじめて出会った時から一切風貌に変化なく、無邪気で純真で、雪の降る街に溶け込むような儚さを湛えた不思議な少女の雪々は、主人公との再会を喜び、更に、主人公がかつてのように迷子でなく、自分を受け入れてくれる場所を手に入れようとしていることを言祝いでくれます。

 けれど、そんな温かな関係性が紡がれていく一方で、街ではやはり頻繁にルーンの発現と、それに伴う事故が多発しており、陸たちはその解決の為に奔走することになります。
 様々な葛藤や苦悩を抱え、個々の本心に直面せざるを得なくなったときに発現していくルーンを通じて、それぞれのヒロインやその友人達、家族たちが抱える問題を知り、共感して、親身になってより良い解決を模索していく日々。
 エルフィンという存在にまつわる社会や大人達の思惑、組織の目的の差異からエルフィン同士であっても易々と手を取り合えない現実に歯噛みしつつも、この現象の根本であるだろう、月ヶ咲に降る積もらない雪の秘密に少しずつ近づいていく中で、主人公はそれまでずっと希求し続けてきた家族の在り方を知り、ヒロインたちとより踏み込んだ関係へと進んでいきます。

 積もらない雪の正体とはなんなのか?
 この街の裏側で蠢く、エルフィンにまつわる画策は何を目的としているのか?
 雪々とは、如何なる存在であるのか――?

 これは、厳しく苛酷な現実と、どうしようもないすれ違いの氾濫の中で、優しい雪の力を借りて、様々な形で家族の絆を、繋がりを育む、永遠の切なる祈りが導く美しくも切ないおとぎばなしです。


 あらすじはこんなところでしょうか。
 大枠として、それぞれのヒロインは家族という関係性に対して、どこか欠落を、渇えを抱いており、かつての幸せを知るが故にそれは一際に心に刺さる要素となって、けれど理知を育み、世故に長け、自我を確立する過程で、いつしか心の奥深くに沈潜してしまった素直な渇望を表に出せなくなっていて。
 その雁字搦めな状況が、陸の介在と、そしてルーンの介在によって少しずつ変化していき、新たに家族と呼べる関係を築いていくと同時に、ずっと希求し続けてきた、心のままに寄り添える家族との関係の再復をもたらす、という流れになります。

 テキストに関しては、それぞれの特色を存分に生かしつつも、全体のイメージとしては統一感があり、実にらしさが満ち溢れている語り口だなあと、信者としては変わらないでいてくれることに最高の有難み、喜びを感じる部分。
 本当になかひろさんのテキストメイクのテイストは独特の味わいで、細かい部分での会話なんか切り取るとすごく飛躍があるように感じるのに、広いスパンで見るとすごく地に足のついた堅実な構成になっています。
 辛辣でありながらも不思議と温かみのある切れ味鋭いボケとツッコミを乱舞させつつ、合間合間で強調され、繰り返し綴られる心情の繊細な手触りが沈毅ささえ感じさせ、本当に読み手に対する意識付けの上手さが光る、と思いますね。

 基本的に文章って、最後に触れた部分がやっぱり一番印象に残りやすいとは思うんですが、この人の場合、ラストでの反転の前に、幾度も幾度も想いの形を言葉巧みに強調して、それで最後に捻くれた感じに落としてくるから、どこに真意があるのか、ってのが明確に見えるし、その繰り返しの分だけ思い入れの程度も測れて、その蓄積がしっかりそのあとで生きてくる構成になってるんですよね。
 心情面の変遷については特に、極端で不自然な飛躍を好まず、緻密に丁寧に、ほんの少しずつ変化を編み込んでいくようで、職人芸的な繊細さ、美的感覚を感じさせます。
 その堅調さゆえに、どうしてもテキストのボリューム自体は嵩んでしまうし、説明的にもなりがちだし、一気に本丸に辿り着く事無く、脇から慎重に固めていくつくりになるので、どうしても慣れないともどかしさは感じるテンポですけれど、その溜めがあればこそ、終盤で一気にその全ての想いが糾合して形になったときの染みる感覚が圧倒的、だと思います。

 んで、一夏と琴里ルートは基本保住さんだと思うんですが、こちらも作品全体のテイストは丁寧に模倣し、雰囲気は一切壊さないままに、自身の特色も存分に発揮していて、純粋なヒロインの魅力の引き出しの多さをしっかり出し切れていて嬉しいなあと。
 なかひろさんのテイストだと、ツボに嵌った時の破壊力はとんでもないんだけど、どうしても可愛く書けるヒロインの幅、という見地ではマイナスに働く時もあるので、苦手そうなところを委譲して、それぞれの良さを生かしきる、という分業のコーディネイトの視点でも、とても成功していると感じましたね。

 ルート構成はいつも通りかなり特殊であり、読み手の時系列がそのまま作品の大きな枠組みの仕掛けと連動しているのも恒例的ですね。
 とりあえず一周目は落葉、一夏、琴里のみクリア可能、おそらく落葉がルートロック対象で、落葉をクリアするとりんね、コロナが攻略可能になり、また一人クリアする毎に共通に雪々との過去のエピソードが挿入され、全員クリアするとタイトル画面が変化して雪々ルートに入れる、という構成です。
 特にロック対象キャラは、そこまでのヒロインルートの状況を前提として進むので、一見、あれ?さっきのルートではあんなに苦労して関係性を修復したのにこっちでは・・・と見えてしまいますが、そのあたりの世界観的解釈もしっかりとした土台が築かれていて、最終的にはなるほど、と膝を打つ構造になっていますね。詳しくはネタバレで触れますが。

 選択肢的には特に難しいことはないですし、率直にヒロインの心情に共感するかしないか、というストレートなものなので判断も難しくはないでしょう。
 雪々だけ全乗せか全スルーかで少し迷ったのですが、世界観解釈を踏まえて考えるとまあそれで正しいのかと。あくまで純度が大切、というのは作品全体に敷衍する大切なテーマのひとつではありますしね。

 シナリオについては、まずこの世界観の壮大さと、ファンタジーでありつつも論理にしっかり裏打ちされた構成に脱帽させられますね。よくもまあ、ここまでいくつもの要素を自身の世界観で染め上げ、縒り合わせて、ロマン溢れる圧巻のスケールと、繊細なガラス細工のような緻密で神秘的な美しさを両立させるものだと、その発想力、構成力に畏怖の念すら覚えます。
 特に、ファンタジーを荒唐無稽に貶めない理論体系の構築とその一貫性、それこそ人の本能に根ざす根源的な憧れを擽るテーマを、とことんまで性善説のフィルターで漉して、優しく美しくそっと差し出してくれるところは、いつもながら大好きだと絶賛したいところです。

 個々のシナリオに関しても、舞台設定、展開はヒロインによってガラリと変化していくものの、根底に流れる本質の部分ではしっかりと繋がっていて、舞台のスケールは大きくなっても最終的に大切なものは、というテーマの表現に全くもってブレのない骨太のつくりになっています。
 それぞれのヒロインが抱える苦悩と、それを抱え続けてきたせいで拗らせた臆病は根深いですが、けして都合のいい安直な解決、精神面の飛躍は一切用いず、堅実に、一歩ずつ、その心の頑なを解きほぐしていく過程は非常に説得的です。
 
 また、その変遷の過程の中に、巧みにルーンの影響を含ませており、でもあくまでその力の強大さに寄りかかった解決でなく、自分にとってのルーンとはなんなのか、という自問が、本当に希求している想いを赤裸々に映し出してくれる、というイメージですね。
 そして、そんな風にとことんまでヒロインの弱さは浚っていくけれども、決してヒロインはそこから逃げ出す事無く真っ直ぐに不器用に向き合い続けていて、弱さを醜さには絶対に貶めない、という拘りは今回も徹底的に健在で、故に感情移入も強くなるし、その心根の美しさにこちらも素直な感傷、感動を覚えるなあと。

 個別評価としては、雪々>落葉>>コロナ=琴里>一夏>りんねくらいでしょうか。とはいえ、りんねシナリオでも水準は大幅に凌駕していると思うし、単純にヒロインとしての好みの差もあるので、本当にどのシナリオも高水準だと思います。それでもやっぱり、雪々と落葉シナリオの力の入り方は特別だと思うし、それに見合う素晴らしさではありましたね。

 個別感想に関しては日記で散々に語り散らしたので、ここでは要点だけ簡便に、にしておきます。

 雪々シナリオに関してはほぼネタバレ満載なので深くは語りませんが、やはり全てのルートで紡がれた想いを糾合、反映して生かしてくる展開、圧倒的なスケール感と、それでも根本的な部分では何も変わらないところの見せ方の巧み、都合の良い解決に走らず、あくまで全員の努力の結晶として、これからもそうしつづけることでかろうじて繋がっていく未来の可能性を示唆したところでの終幕と、本当に完璧なつくりだなあと思いますね。

 落葉シナリオはとにかく家族という存在のあるべきすがた、を徹底して追及したシナリオだといえましょう。
 共通で紡がれた、年の離れた兄弟姉妹の関係性と難しさを前提としつつ、より一層苛酷で、大きな渇望をもたらす状況を、責任感と思いやりで支え合って。特に葉月は、最初からそうあるのが当たり前、という悲しみの中で、健気に献身的に生きていて。
 純然とした自己犠牲を孕みつつ生きていた落葉と葉月のそれぞれの頑なを、本当の心からの希求を、ひとつひとつ丁寧に解きほぐし、取り戻していく過程と、それにルーンが果たす役割の優しさは非常に美しく、本当に白眉の出来だったと思います。
 好き嫌い、だけで言うなら雪々より上かなって思いますね。

 コロナシナリオは、コロナという特異な存在を通じて、エルフィンの存在意義、可能性を確立させていくのが最大の主題でしたね。
 勿論コロナなりの家族との葛藤はあれど、後々考察しますがコロナの強さは、健全に育てられ、成長してきた人の強さそのものであり、克服の意義も他のヒロインとは一線を画していて、ある意味すごく特別な立ち位置にいるなあと思うし、その一等苛酷な境遇の中でも自分らしくあることを諦めない真っ直ぐさ、それでも時に漏れ出てくる悲しい本心との対比がすごく美しいシナリオでした。

 琴里シナリオは、ルーンがもたらした絶対的に思えた孤独に打ち勝っていくための向き合い方を深く示唆してくれるシナリオですね。
 琴里の絶望と、それを反映した能力の切なさは、どうしたって真っ当なアプローチで解決するには難しくて、臆病と依怙地の影からこっそり覗かせるささやかな本心の切れ端を、絶対に掴んで離さない一心さが、エルフィンという存在の、人との絶対的な隔絶を克服する上では必須なのだと思わせてくれるし、この過程が難航したからこそ、最後の和解のシーンがすこぶる感動的でしたね。

 一夏シナリオは、共通で見せた年の離れた兄弟姉妹の難しさは、けど一方が頑是無い子供のうちはいつしか気持ちが溢れ出して向き合うことになる、というのに対して・・・というテストケース的なイメージ。落葉シナリオのそれをもう少し限定的に煮詰めた感じですね。
 互いに成長して、かつての頑是無い子供は成長し、分別を身につけて、互いを想い合うようになり、だからこそ余計に向き合い方を見失ってしまう、というジレンマの解決として、ルーンの存在、陸の存在がすこぶる効果的に働いており、地味ではあるけど綺麗なシナリオだなって思いますね。キャラとしては一夏、ものすっごい可愛かったですしね〜。

 りんねシナリオは、ルーンというものの根源を探ることが、改めて絆をより強いものにしていくという思想性を土台に置きつつ、りんねの一途で一心な想いの形を丁寧に追いかけ、望むべき関係に辿り着くための覚悟と勇気を、元々の信頼の中から抽出していく、というイメージですね。
 立場的に葛藤の観点が絞られてしまうのと、思想的な部分に尺を取られている分だけ、他ヒロインより個別シナリオ、としての重みはやや薄いのですが、作品全体を通してみれば本当に大切なキャラです。

 トータルで見れば、非常に長いけれど、その長さがあればこその、じわじわと染み入るような感動をもたらしてくれる、非常に細部まで練りこまれた作品だと言えますね。
 欠点を挙げるなら、やはりどうしても全体的に回りくどさはついて回ってしまうのと、特に戦いのシーンなどでは、本当は戦いたくなんてない、という心理的葛藤が影響しているとはいえ、説明的描写が多くなりがちでやや流れを阻害していること、あとこの作品を思想面まで十全にしゃぶり尽くすためには、星空のメモリアの予習は必要かな、と思わせる部分でしょうか。
 まあ表面的になぞるだけなら、星メモ知らずは累のネタについていけない、くらいの弊害しかないですけども(笑)。

 ついでに言及しておけば、今回もいつも以上に徹底して性善説を土台にしており、登場する全てのキャラが本質的には善良で純粋である、という定義なので、その徹底ぶりがすごく物語の純度を高め、美しく見せているのだけれど、美しすぎて肌に合わない、という可能性は否めない部分ではありますね。
 その辺は信者としては当然ご馳走に他ならないのですが、やはり癖の強い作品、テイストではあるのは否定は出来ないでしょう。

 さて、後は適度にネタバレ交えつつ、理路整然、とはいかないだろうけど諸々の考察や、感じたことを触れていくので、例の如く白抜きにしときます。


 まず考察としていくつか触れていきますが、とりあえず構成面での論理的補強に関してですかね。
 読み手の時系列に依存する形で物語は膨らんでいくのですが、主人公が介在し、解決に導いたそれぞれのヒロインの家族との関係、ルーンとの向き合い方が、他ルートでは主人公の介在なくしても解決しているのは如何なる理由か?という点は、疑問として浮かび上がります。

 結論から先に言えば、それは雪々の優しい魔法、フィムブルの冬の特性、エムパシーの特性ではないかと思っています。
 もっとも幼い時期に幸から語り聴かされて好きになった、妖精と人間が仲良く暮らす北欧神話をベースとして、三年という時間を丸ごと包み込んで共感に落とし込んだこの魔法。
 本来の北欧神話の解釈はもっと猛々しいと思うんですが、やはり性善説的なフィルターで優しく漉され、より深淵の、原初の純粋な想いだけを汲み上げていて、それは雪々という存在の純粋性の担保にもなっています。

 幸の受難を目の当たりにして、ルーンの存在が人に与える負担を、苦悩を知った雪々の悲しみは、見事にOPムービーの一番最初の表情の変化に切り取られているなあと思うんですが、ともかくそこで雪々が抱いた想いは、大切な人には幸せに生きて欲しい、というものと、自分のことを知って欲しい、というもので。
 本義的には矛盾しないその二つの、生きとし生けるものの本能に根ざす優しい想い、理解できずとも納得できる気持ちは、でも雪々がルーンを振り撒く存在である、という一点の事実でどうしようもない矛盾となってしまいます。

 けどそれでも、その想いがふたつとも心からのもので、純良であるが故に、月ヶ咲という世界にはそのエムパシーは受け容れられている以上、その魔法が作用している範疇の出来事に関しては、究極的にはエルフィン種の原風景である白き永遠の中にプールされていく、と解釈できるのですよね。
 
 そして、三年目の冬の変化。
 それまで積もらなかった雪が変質した理由は作中でも色々語られていますが、それとは別個の私なりの解釈として、それは陸がこの街に来たから、というのがあって。
 それまでの二年、極力人に干渉せずに魔法を行使していた雪々だけど、かつての唯一に等しい友達である陸の存在に対しては関心を寄せないわけにはいかなくて。
 陸が現れたことで、自分を知ってほしいという希求はより色濃くなり、かつ陸がかつてと違い、大切な人と歩んでいける可能性を知ったことで、その記憶を留めておきたい、という熱望が生まれ、その帰結としての積もる雪を発生させた、と見做したいんですね。

 だからこそ、陸にまつわる記憶は、想いの在り処は、より鮮鋭にフィムブルの世界の舞台に、時系列を超越して波及していて、その想いが影響を及ぼして、個々のルートでのヒロインの自立的な解決を優しく下支えしている、と考えています。
 無論もっと単純に、主人公の介在なくともいつかその強さがあれば解決できることなのだ、と言えるのかも知れませんが、それだと如何にも情緒がないですし、私はこう思っていたい、というところですね。
 余談だけど、だからフィムブルの冬の効力が切れた後の出来事に関しては影響力は及ぼせないし、雪々シナリオでコロナを助けにいったのは、このルートでの陸だろうな、と解釈してます。

 コロナの話題が出たところでもひとつ考察として、ルーンの感染経路の問題について。
 
 この作品、主要キャラはほぼルーンの感染経路がはっきりしていて、落葉と葉月は遺伝、一夏はおそらく落葉から、琴里と陸は雪々から、りんねは陸から、となると思いますが、実はコロナだけそれが不明なんですよね。
 作中で妖精の再来とまで呼ばれた強大な能力を行使するコロナの能力の源泉はいずこにあるのか、何故って、ルーンは親和性、共感性が高ければ高いほど自在に使いこなせる能力である故に、そのギャップについて考えてみる価値はあるかなって。

 とりあえず前提として言えるのは、コロナがこの作品のキャラの中でもとびきりの精神の強さを持ちえている、という点です。
 何故そうなのか、という部分を類推していくと、コロナはルーンを行使することを作中でも疎んじているわけではなく、家族との関係も、自分の未熟でルーンを暴走させて、穢させてしまったことに対する引け目こそあれ、その関係性を否定するようなことはありません。
 そこに見られるのは健全に育まれ、愛着の傷を持たずに、絆の力を無条件に信じられる強さ、他ヒロインがいつしか見失っていたものであり、それが、過酷な運命に立ち向かう一助になっているのは疑いないところです。

 でも、それだけで本当に苛酷な試練に対する崇高で純粋な使命感を築けるものか、と思うんですね。
 自分のルートで陸に語っていたところでは、元々宇宙を特に好きとも思ってなかった、それしかすがるものがなかったから・・・となっていますが、後付けの好きが本当に自分の心からの希求として結実するのか、と思えば、きっとそれだけじゃないんだろうなって。

 傍証として挙げられるのは、彼女の名前が浅海ころな、であること。
 名字は月を、ころな、という名前は明らかに太陽を示唆しており、少なくとも名前は両親がつけたというなら、それは明らかに天体、宇宙に対する関心の現れではあると思うんですよね。
 だとすれば、コロナは本質的に、好き嫌いの次元より深い部分で、当たり前に側にあるものとして宇宙に親しんでいたのでは、両親の密接な影響を受けているのでは、と感じられて。

 更に思えば、この時代、この世界で、ルーンの感性経路はかなり限られると思うし、一番そのキャリアとなっている可能性が高いのは、一次観戦をもたらすサンプルに接したことのある宇宙研究者に他ならなくて。
 だからそこに近しく接し、共感を覚える環境が整っていれば、感染の可能性は高まるし、能力を受け容れる土壌としても豊潤である、と思えるのですよね。
 
 コロナという存在は、エルフィンの可能性を切り開く先駆者であり、この世界でエルフィンが差別や誹謗中傷を受けずに生きていく土壌を築くための一里塚となる役割を背負わされています。
 それは、名前に委ねられた、新しい月と太陽のイメージとも合致しますし、更に言えば、雪々がルーンの存在は特別な人以外には受け容れられない、嫌われているという思い込みに対する、もっとも汎用的で大きな反証の役割も果たしていて、それが人の強さそのものだと思えば、雪々がこの星で生きていく上での決め手となるサンプルをコロナが獲得してくる、という構図は一層美しく、輝かしく思えるところなのです。
 だからこそ、コロナの感染経路は明確じゃないんだと、あくまで普通の生活の中からでも、繋がる想いを育む強さは生まれるのだと結論付けたいですね。
 
 あともうひとつ簡素な考察として、アストラエア、という言葉にこめられた意味を読み取っておきたいかなと。
 根源的な意味としてはギリシャ神話の女神の事を指すだろうし、より舞台設定に近しいところだと、火星と木星の間を回る実在の小惑星からになるでしょう。穿ってみれば、最初に失敗した惑星探査の目的地は、火星に起源があると推定されるこの惑星だったのかなと思います。

 女神としての視点だと、フィムブルの冬との相似性が見えてきますね。
 人心が荒み、争いが横行する世界で、自らの正義と信念を持って調和を目指した精神性が、雪々の存在、エルフィン種の切望と二重写しになっているイメージです。
 
 小惑星としての視点だと、やはり星の欠片に想いは宿る、という理論に影響を及ぼしているかなと思いますね。
 星メモから続く、いわば超能力理論体系ともいえる世界観は、人が宇宙を目指す根源的な思いを説明する上でも非常に有意義かつ説得的ですし、それを生かしての今回のエルフィン種の想いの宿った星の欠片は、まだ見ぬ融和を夢見て宇宙を漂っているのだ、と考えるところにロマンが充溢しています。
 また、グランドEDで、星の賛美歌、という言葉にアストラエア、とルビを用いているように、それは人類にとって大いなる祝福であり、希望であるというイメージを固着させる強さがありますね。

 ちなみに陸の父親はそれを侵略と言い換え、穿った見方を示していましたが、そんな彼こそが本質的には純度の高い危機感に突き動かされ、かつ常々感情に真っ直ぐ、時に社会倫理を逸脱する放縦を見せつつも、その純粋を揺らがせずに突き進んだ存在でもあったのでしょう。
 幸と陸とりんねの関係の説明からすれば、陸と幸は異父姉弟、陸とりんねは異母兄妹とするしかないわけで、白羽母との関係性も含めてそこは確かに色々と重苦しさはあるのですけど、そういう破綻性もまた純粋の一面である、という考え方の中で、結果的に祝福に繋がっているという構成も心憎いなって。
 逆に言えば、大の大人を純粋に、童心に立ち返らせる宇宙の神秘の偉大さを間接的に提示しているとも思えますね。

 後はテーマと関連する形で、自己犠牲について考えてみようかなと。
 この作品のテーマにおける回答としては、家族と定義される関係は決して切れてはならない絆であり、かつその関係性において、誰かが我慢を強いられるのであればそれは本物ではないのだとなるのではないでしょうか。
 
 自分さえ我慢すれば他のみんなが幸せになる、という考え方は、本質的に抱いている精神性が純粋で善良で慈悲に溢れていればいるほど、逆に自己の中での矛盾、本能の希求に気づきにくいという皮肉を孕んでいます。
 だからこそ、それを気付かせてくれる誰か、が必要であり、狼と月が出逢う事ではじめて春を迎えられる、というのは、未来の可能性の在り処を示唆した暗喩なのだろうと。

 このテーマは、人と人、という視座では落葉シナリオで語り尽され、特に葉月の存在を鍵にして、葉月が本来子供が当たり前に享受できる安楽を、安心を獲得し、悲しみでなく喜びで涙を流すところに集約されていると思います。
 それを含む、多様な想いを土台にした、種の違い、という絶対を覆すための仕掛けが、雪々シナリオの本線となっているわけですが、スケールは大きくなっても、自分さえ我慢すれば、という本質的な優しさがもたらす自己犠牲が主題であることに変わりはなく、それを雪々に理解させるための要素が、ちょっと他よりも大変なだけだ、という部分にこそ、この作品の凄みが潜んでいると個人的には思っています。

 言ってみれば、自己犠牲とは繋がりを断ち切ってしまう観念、なのかもしれません。
 少なくともこの世界で、それを踏み躙っていく悪人はいないけれど、やはり手を差し伸べても届かない、と思わせる壁の存在は、それが純良であればあるほど強固で、優しい拒絶を孕んでいて。
 なればこそ、それを打ち破る側にも、一身を投げ打つ覚悟が、強さが必要だという観点は、一見自己犠牲的でありつつも、きちんと自身の本能的な渇望と重なり合っていて、その紙一重の思いこそが、人を未来に進ませる原動力なのだと切々と感じさせますね。



 以上、や〜、長くなりすぎだわ。。。
 これでも書きたいこと書ききれたか怪しいというか、それだけ色々想いを膨らませてくれる土壌を備えた名作であることには間違いないですね。
 完成度という意味では抜群ですし、そこに籠められた想いも非常に統一感があり、嘘や誤魔化しもなくて、それだけに曇りなく綺麗に輝いていて、読後感の清涼、余韻は本当に素晴らしいと思います。
 作りこみに緩急をつけすぎず、極力なだらかに坂を登り続けるようなイメージの作品なので、瞬発的な感動や迫力まで求めてしまうのは酷ですし、欠点もあり癖も強いのでこの点数ですが、噛み締めれば噛み締めるほど、じわじわと感動が心に広がっていくような、本当に美しいおとぎばなしでしたね。


キャラ(20/20)

 屈折はしていても基本善人しかいない世界観は、独特の暖かい雰囲気で読み手を癒しの時空に導いてくれますし、その屈折を克服していく過程が、それこそ心の襞の一枚一枚を丁寧に繊細に引き剥がして、白日の元に透き通らせているような見せ方が、ヒロインのみならずキャラの個性を色濃く物語の舞台と調和させていて素敵でしたね。

 一番好きなのは落葉ですね。当然のように殿堂ヒロインですわ。
 基本的に落葉って、スペックは概ね高いけど特別な何か、を持っているわけではなく、恥ずかしがり屋で気働きがよく、慈愛に溢れている素敵な、だけど普通の女の子、だとは思うんですよね。
 でも、姉であるという責任感、葉月の唯一の家族としての矜持と喜びが、色んな意味でその精神を硬直的にしてしまっている部分はあって、それが少しずつ、陸が現れてからの状況で柔らかくほころんでいって、やがてひっそり美しく、何よりも偉大で純粋な能力となって結実するところに、落葉というヒロインの真骨頂はあったなあと思います。

 本当にね、一々気遣いや言い回しの反応、仕草、家族愛を口にするときの衒いのなさ、あぁ、素敵な女の子だって思わせる部分が多すぎて、その深みは当然他のルートでも揺らがないから、主人公が自分の道を突き進む上で、そこで挫けても支えになってくれる家族はある、という安心感を担保しているところに、落葉の待つ女、的な強さをひしひしと感じますね。
 それに、中々本心を表に出せない落葉だけに、あのHシーンの展開は中々に爆笑ものでしたしねぇ。。。色んな意味で、印象深いヒロインでした。

 そして当然雪々も大好きなんですよね。こっちは殿堂乗せるかギリギリ迷うところではあるけど、まあきっとシナリオ補正考えれば乗っちゃうことでしょう。。。
 その存在そのものが絆の証であり、誰よりも無垢で純真で、だからこそただ一つの苛酷な挫折が、存在理由の揺らぎが、その本心に矛盾を生んでしまう悲しみの中、それでも健気に真っ直ぐに、大切な人の幸せを願い続けていく在り方は本当に切なくもいじらしく、ギュッと抱き止めて離したくない衝動に駆られますね。

 性格的にはとことんまでに不可思議を添付されていますけど、どこにも屈託がない素直なあり方でそうである、と思わせきるところに凄さはあるし、あの口癖も、奇矯な振る舞いも、素直な甘えと真っ直ぐな感情表現も、その影に隠した悲しみも、全部含めてきちんとオンリーワン的な存在感に繋がっているなと。
 そういう存在だけに、抱く孤独感は誰よりも大きくて、だからこそその頑なが融けていくときのただひたすらの喜びが、どんな無邪気な笑顔よりも重たく、美しく余韻を残して、それを成長と呼ぶのなら確かにそれは祝福なのだろう、と思うのです。

 次いで一夏ですね。まあこの子は変人の多い作品の中ではかなり真っ当に可愛く素直なヒロインやってる感じですし、女の子としての反応を見せる場面が非常に多くて、時に失恋も含んでのその感情のせせらぎがすごく清々しく、甘やかで、とても可愛い女の子だなって思いますね。
 個人的にもう少し体育会系なイメージではあったので嬉しい誤算でしたし、個別で見せてくれる弱さと強さ、共に歩む喜びを一々噛み締めてくねる愛らしさは格別だったと思います。

 コロナも同等に好きですね。
 この子はむしろ強すぎて、いい子過ぎて、逆に危なっかしくて目を離せないような、それでも側にいるだけでほっこりと心が和むのだろうなと思わせる柔和な愛らしさと衒いのない感情表現が大好きなのです。
 背負った運命は相当に残酷であり、苛酷でもあるけれど、それをきちんと自分の本能からの求めと折り合わせ、向き合っても潰れない一途な強さで運命を切り開く強さには、素直にすごいなと思わせる魅力がありましたね。

 琴里とりんねも普通に好きですけど、これだけ粒揃いの中ではさすがに霞むなあとは思いますね。それぞれに難しい事情と性格を抱えていますし、その中でちゃんとらしさは発揮しているわけで、魅力的なのは間違いないですけど。

 サブだとやっぱり葉月が一番に来るでしょうね。
 この子含め、園児たち賢すぎるだろ!とたまに突っ込みたくはなりますが(笑)、子供らしい一心な純粋さが、その境遇のせいでどうしても姉を助けたい、という意識にかかずらって、本来持ち得る自分の気持ちに素直になる、という子供らしさを少なからず削り取ってしまっていて。
 だからこそ、落葉じゃないけど葉月が自分のやりたいことを、気持ちを表に出してくれるとすごくほっとするし、懐かれて愛しく思えるし、家族愛の象徴としてすごく目立っていたし、幸せになってほしい子ですね。

 あと地味に柚子が好きなんだよね。
 平凡であるが故の悩みはあっても、健全に育ってきたへこたれない、萎れない強さを端然と備えていて、それがきちんと、大切な人達を支えるための力と直結しているところに素敵さがあるし、見た目もスタイル的にもストライクだからこっそり攻略してみたい・・・。まあテーマ的に無理だろうけど。


CG(20/20)

 いつも通りの淡く柔らかく可憐な絵柄で、見ているだけで非常に心癒されますし、質、量共に充分で、かつ要所での会心の出来も見受けられましたからね。本当にこの人は、笑顔と泣き顔の繊細な機微の描き分けは上手いなあって、特に一心不乱にひとつの感情に囚われているときの迫力は見事だってつくづく思います。

 立ち絵に関しては水準以上であり、必要充分でもあると思います。
 ポーズはヒロインが3種類ずつ、サブは1種類ですが、まあ人数多いのでそこは仕方ないでしょう。ヒロインも派手な変化はないけれど、細かい部分でそれぞれのらしさがよく出ていて凄く可愛かったです。
 特にお気に入りは落葉正面、胸前で軽く指を組み合わせている様子が、いかにも防御的な落葉っぽいところで、でも緩く解かれているのがまた落葉の優しさの反映だなあってしみじみ思う可愛さです。
 その他お気に入りは、落葉やや右、左向き、雪々正面、左向き、一夏正面、やや左、コロナ正面、右向き、左向き、りんね正面、琴里正面、左向き、柚子正面、幸やや左向きあたりですね。

 服飾はそれぞれの立場で大きく変動があり、雪々は仕方ないにしても1種類だけ、一番多い落葉で6種類ですかね。ヒロインは最低3種類は完備してるし、シナリオの必要上の観点で、ほんの少ししか登場しない立ち絵にも手を抜いていないのはさすがの拘りです。デザイン的にも素朴で素敵だと思いますし。
 特にお気に入りは落葉振袖と雪々基本服ですかね。落葉は服に合わせて髪飾りも変わるのが凝ってるし、その華やかでありながら楚々とした落ち着きも感じさせる着物の立ち絵は凄く好き。雪々の基本服も、和のテイストと妖精っぽいふわふわ感が渾然一体となって凄くかわいいと思います。
 その他お気に入りは、落葉制服、私服、パジャマ、水着、一夏制服、体操着、水着、コロナ制服、私服、巫女服、宇宙服、りんね私服、柚子制服、葉月園児服、パジャマ、水着あたりですね。

 表情差分はかなり多彩で遊び心も強く、それでいながら細かい感情の機微まで丁寧に描き分けられていて、特に寄る辺なさ、あてどなさを描かせたら絶品だし、やはり笑顔、泣き顔の使い分け、感情の籠め方も凄く素敵だなあって思いますね。
 特にお気に入りは、まず落葉の照れ焦り。とりあえず「違います!」とセットの場面が多いので印象深いですし、普段沈着で楚々としている落葉の、少女らしい一面がきらり、光るようですごく好きなんですね。
 んで雪々の憂い横顔、OPムービー出だしの三番目ですけど、この純粋なまでの後ろめたさというか、悲しみの滲み方が、大概真っ直ぐぶつかってくる構図が多い雪々だけに余計に印象深く、そんな顔しないで、って慰めてあげたくなるのです。
 あと一夏の正面向き照れ苦笑いかな。あの手を前に組んだポーズも好きなんですけど、その中であのはにかむような表情が、すごく活き活きと女の子を活写している気がして断然好きなのです。 

 その他お気に入りは、落葉笑顔、ジト目、憂い、半泣き、怒り笑い、照れ笑い、憤然、困惑、苦衷、恍惚、ギャグジト目、真面目、目逸らし、雪々笑顔、快活、困り、うるうる、照れ笑い、膨れ、怒り、きらきら、ジト目、あわあわ、目逸らし、照れ隠し、一夏笑顔、ニヤリ、憂い、寂寥、照れ焦り、照れ目逸らし、ギャグ泣き、膨れ、怒り笑い、半泣き、コロナ笑顔、慌て、真剣、苦衷目逸らし、照れ焦り、半泣き、上目遣い、きらきら、りんね笑顔、拗ね、真剣、ジト目、琴里睨み、焦り、照れ目逸らし、微笑み、嘆息、葉月笑顔、半泣き、柚子笑顔、眉顰めあたりですかね。


 1枚絵は通常が116枚、SDが22枚の計138枚。値段を考えても水準は大きくクリアしているし、出来も非常に細やかに感情を捉えていて、繊細で美しく満足度は高いですね。
 
 特にお気に入りは6枚、かな。
 1枚目は雪々抱きしめ大泣き、まあロリっ子の無垢で一心不乱な大泣きは鉄板ですけれど、やはりいろとりの真紅に続き凄い破壊力だったなあと。今まで押し隠していた気持ちを全て融かして吐き出すかのような感涙に思わず貰い泣きです。
 2枚目は絆の結晶、いつかくる未来の先取りではあれ、そこにやってくるのがこの立ち姿で、この笑顔であると言う未来は格別に美しいし、やはりここでも、3人であればこそ、という関係が光っていて心打たれましたね。
 3枚目は落葉3人で添い寝、このシーンの感傷と安堵に滲んだ落葉の雰囲気が物凄く愛らしく、稚くて好きなんですよねぇ。
 4枚目は落葉と葉月のお菓子作り、如何にも団欒、家族の交わりという雰囲気、2人の柔らかく嬉しげな笑みがあまりにも美しい1枚だと思いますね。
 5枚目は一夏裸で添い寝、この、心と体の全てを捧げて寄りかかっての、心底安心しきった暖かく無垢な笑みの破壊力はもうね・・・。
 6枚目はコロナ宇宙船内で、このどこか陶然とした雰囲気と、それでも最後に滲み出てしまう心からの叫びの対比が非常に美しく、心打つ泣き顔だよなあと。

 その他お気に入りはページ順に、雪々唄う、出会い、相合傘、抱っこ、眠り姫、雪原を行く、ラーメン、雪だるま、車椅子の少女、キス、桜の下の別れ、そして再会、正常位、フェラ、落葉隣の席、アイロン、着替え、寝惚け、クリスマス、トロピカルジュース、キス、腕組み、初H愛撫、正常位、パイズリ、バック、一夏川岸佇み、びしょ濡れ、膝を抱えて、相合傘、暴走、抱きつき、手を引いて、初H愛撫、フェラ、バック、りんねキス、お姫様抱っこ、添い寝、授業、正常位、騎乗位、コロナベンチでご飯、腕組みデート、天体観測、決然、後ろから抱きつき、キス、帰ってきたの、手を繋いで、初H愛撫、背面騎乗位、琴里メイドでバイト、お泊り、剣戟、ボウリング、実家、寄り添い、バック、対面座位、葉月眠り、柚子介抱あたりですかね。
 SDも可愛かったけど、さすがに割愛。。。


BGM(20/20)

 世界観を彩る上で素晴らしい仕事をしてる楽曲群でしたねえ。その統一感、スケール感、センシティブな紡ぎと奥深さ、どの切り口からでも賛嘆しか出てこないし、基本ケチつけるところのない作品の中でも最高にお気に入り項目です。正直満点でも足りないくらい。。。

 ボーカル曲は4曲+αですかね。
 OPの『White Etarnity』は文句なしの神曲ですね。清涼感と伸びやかさがあるボーカルに、切なさと明るさ、意志の強さが乗せられた鮮明なメロディライン、それを下支えするコーラスの渾然一体となった完成度が素晴らしく、やはりBメロからサビにかけての滑らかで力強い出来は特に素晴らしいなと思います。
 挿入歌の『雪のエルフィンリート』もやっぱり神曲。圧倒的な閑寂、孤独感をそのメロディに打ち出しつつ、それを寂しくもいとおしげに、自らの運命と飲み込んで切々と歌い上げる雰囲気が、実にゆきゆきの曲だと、舞い散る雪にいずれ掻き消されてしまう悲しみを感じさせて、これもBメロからサビにかけての悲しく切ない盛り上がりがすごくいいなあと思います。
 EDの『季節を抱きしめて』も爽快さと郷愁が程よくかみ合ってとてもいい曲なんですが、他の曲が化物じみた出来なので影が薄くなってますね。。。

 そして、2ndOPの『雪のエルフィンリート〜Never ending love song〜』が、この作品のみならず、史上に残る大傑作。
 勿論曲自体は挿入歌とほぼ同一なのですが、歌い手の差異と伴奏のアレンジだけで、どうしてここまで圧倒的な世界観を表現できるのかと、初見から心の底から震えさせられた神曲中の神曲ですね。
 加えて、そのエルフィン種そのものの悲しみを包括しつつも、最後の最後で希望の光を垣間見て、ゆきゆきの曲であったときとラストだけ違って、未来を手繰る光明を感じさせるところにコーディネイトの妙が結集してるなと思います。本当に神の完成度。

 更にグランドEDの『After snow〜白き永遠〜』も途方もなく神曲。もうこのワード書き飽きたぞってくらいですが、好きになってしまうものは仕方ないのですよね。。。
 この、軽快でありながらもまだ超えなければいけないものは多くて、それでも世界の中で結ばれ、祝福されたことが足を軽くして春に向かっていける、そういう心性がすごく丹念に、端麗に簡素な言葉で綴られていて、特にサビの後半の出来が出色。
 「美しい世界に生きて 笑って 振り向いて 結ばれた想いひとつ」のくだりは、歌詞、メロディ共に完璧だなと思うし、雪のエルフィンリートのサビのラストの「結ばれても解ける運命を歌うよ いつまでもひとり眠るの」との対比で、ああ、本当にその運命が打破されたことを信じられたのだ、と思わせる説得力があり、止めに賛美歌(アストラエア)の輪唱が華を添えて、なんというふくよかな余韻をくれるのだろうと、ついついCメロのスタートからラストまでを重点的に何度も何度も聴き返してしまいますね。

 とまあ、ぶっちゃけボーカルだけで満点の価値はありすぎるのにも拘らず、BGMは全部で55曲、アレンジを抜いても45曲強と大ボリュームの上、ひとつも曲に手抜きを感じない、奥行きとふくよかさ、渾身の情感を感じさせる出来で、本気でサントラ欲しいですわこれ。。。

 特にお気に入りは5曲。
 『永久に舞う、雪の詩』はタイトル曲でもありますが、荘厳であり神秘的であり、悲しみと優しさが同居する中にぽつぽつと、足跡が刻まれていくようなイメージが、正に作品のトータルイメージ、スタートの色合いと格別に馴染んでいますね。
 『白きセカイの因果律』は、なんというか、星メモの『ふたりの未来』を思い起こさせる曲ですね。運命の翻弄によろめきながらも、確実に一歩ずつ、自分の信じる道を歩む強さを思わせる後半からの曲調の盛り上がり、繊細かつ大胆な旋律が凄く好みです。
 『悠久の旋律』は遣る瀬無い思いを満身に湛えつつも、それが化せられた運命だと、下を向かずに雪原を一人歩むような、悲しみと覚悟がヒシヒシと伝わってくる曲で、特に後半の流れるような旋律が物凄く気に入ってます。
 『優しさの結晶』はシンプルなオルゴールの優しい旋律の中で、ずっと縋りつきたかった温もりにようやく手が届いた幸せを噛み締めているようなゆるゆるとした柔らかさ、夢見心地の温かさを思わせて、やはり凄く好きです。
 『永遠(とわ)』はもうタイトルそのままに、永遠の絆を、寄り添うという誓いを、約定を、神秘的に彩り言祝いでくれる問答無用に素敵な曲ですね。後半の入りのピアノのポロン、ってところが物凄く綺麗で大好きです。

 その他お気に入りは・・・、ほぼ全部、で終わらせちゃ駄目かしら(笑)。
 『いつまでも、みんなで』『黄昏のエチュード』『縁の夜』『エルフィンの休日』『雪空に歌う、乙女たち』『雪幻のエリクシア』『ゆびさきシンパシー』『舞う雪に輝いて』『クオリア』『プレコグニション』『雪空のラメント』『蒼空に舞う、輝きのカケラ』『サイキックエフェクト』『ヴァルキュリアの咆哮』『dream telepathy』『インナーチャイルド』『ましろのそら』『遙かなる星々の記憶』『こなゆきの妖精』『永久に舞う、雪の詩U』『moon white』『冬が終わる日まで』『その想い、インフィニティー』『ゆきよりも優しく』あたりです。。。


システム(9/10)

 演出に関しては、システム的に凄く動くってわけではないんだけど、いつも通りにシナリオを如何に効果的に見せるか、という次元でのトータル演出の芸術的な美しさ、徹底ぶりは凄まじい拘りだなあと思いますね。
 画面構図の面白さや賑やかさだけでなく、視点の重心や心情の細やかな変化においても効果的に画面構図に変化をつけてくるし、要所でのVN方式での畳み込むような演出も素晴らしいし、やはりこの演出あってこそのシナリオ、でもあるなあと、無論絵や音楽の使い方も含めて、相乗効果の偉大さを改めて思い知るところです。

 ムービーも出色の出来。
 1stOPはとにかく開幕サビのゆきゆきの見せ方が完璧だと思いますね。この優しい世界を紡いだ心情を余すところなく表し、それでも拭えない寂しさが主人公の到来で洗い流されて、そこから物語が流れ出すという一貫したイメージが綺麗に投影されすぎていて怖いくらいです。
 無論そこから後の見せ方も、絆の形をイメージさせつつ世界観を綺麗に紡いでいて、ヒロインの魅力も上手く引き出していて、これは本当に好きなムービーです。
 2ndOPムービーもこれはこれですごいんですよねぇ。合わせる曲の荘厳さもあり、大人しい構図ではありますが、それだけに染み入るような風景の閑寂が、孤絶が染み渡るようで、特に白い幻野をひとり彷徨う〜のくだりでのゆきゆきの引きは圧巻のセンスだと思うのです。

 システムに関しては、この作品で唯一真っ向からケチつけられるところ。
 無論必要なものは揃っているし、洗練されたシステムだと思うんですけど、やっぱり何をするにもふたつ以上ボタン押さないと駄目、というのは面倒だし、スキップはそれなりに速いけどそれ以上に共通長いから、ジャンプないのは億劫だし、画面サイズも中途半端だし、そして何より、パッチ充てるとセーブデータ吹っ飛ぶ面倒さはいい加減是正して欲しいです。昔からずっとだしねぇこれ。
 

総合(97/100)

 総プレイ時間39時間くらい。共通が6時間、個別はりんねとコロナ4時間、琴里と一夏が5時間、落葉が8時間で雪々が7時間くらいですかね。無論私は今回ほとほとじっくり、ボイスも極力全部聴きながら(特に落葉と雪々は)進めていたので、そういう拘りを持たなければあと4〜5時間は早められると思いますが、それを加味しても素晴らしいボリュームとそれに見合う重厚で美しい内容、正に大作と呼ぶに相応しい作品でしたね。

 読み口に癖があるのはいつものことだし、今回は全部一人で、でなかった分、力を入れたいところにはもう容赦なくイズムの全てをつぎ込んだような気魄が感じられて、信者にはもうたまらない仕上がりだったといえましょう。
 なんでまあ信者補正が強いのは重々承知ですし、読み取りに関しても性善説に乗っ取って、じゃないけど出来るだけ上向きに捉えようと丹念に読み込み、解釈を加えたのは確かですが、それだけの事が出来る、させる力があるという点でも十分、この点数、ランクに見合うとは思うのです。
posted by クローバー at 05:41| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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