2014年12月04日

蒼の彼方のフォーリズム

 青春王道真っ只中、と言わんばかりの設定、体験版でのワクワク感がかなり素晴らしかったし、明日香と莉佳がとっても好きになれたので迷いなく購入。


シナリオ(23/30)

 空は無限に。


 反重力(アンチグラビトン)、この粒子の発見は、世界の在り方を少なからず変化させました。
 その特性故に汎用性こそ低いものの、重力に反発するという性質は、かねてよりの人類の永遠の夢であった、身ひとつで自由に空を飛ぶことを可能にしたのです。
 反重力粒子の応用の最高傑作と名高いグラビトンシューズの普及により、空は誰にも身近なものになり、フライングサーカスと呼ばれる独自のスポーツも発明されて。

 主人公の住む四島半島は、グラシュの普及実験都市として名高く、その為FCのメッカにもなっていました。
 多分に漏れず、幼い頃に空に魅せられた主人公は、子供の頃は世代トップクラスの実力者でしたが、色々な要素が重なりその道を挫折して、今はFCから、空から距離を置いた生活を送っていました。

 そんなある日、主人公は転校生の女の子、明日香と出会います。
 グラシュの存在こそ知っていても、その使い方や、空を飛ぶ心地よさを全く知らない明日香は、かつての主人公のように一瞬で空の虜になり、そして偶々主人公の街案内の最中にFCの対決の場面に出くわして、自分もやってみたいと言いだし、そして経験者相手に才能の一端を閃かせます。

 折しもその時対戦して敗北に打ちひしがれていたのが、主人公の学園では廃れて廃部になっていたFC部、現同好会の部長であり、その日から主人公と明日香に熱心な勧誘が始まることになって辟易するものの、明日香は煮え切らない主人公に業を煮やし、率先して入部し、またその状況を面白がった友人のみさきや、みさきに懐く後輩のの真白までが入部して、主人公の退路は徐々に塞がれていきます。
 
 それでも、選手として復帰するにはトラウマは重く、妥協案として、コーチとして復帰することになった主人公。
 奇しくもちょうど同じ時期に隣の家に引っ越してきて、何かと縁が多い女の子、莉佳も、別の強豪学園でレギュラーを張るほどの選手だったりと、主人公の生活はこれまでと一変し、俄然FCを中心に動き出すことになります。

 学生界の第一人者が在籍するその強豪学園にいきなり強化合宿にお邪魔して実力差を思い知ったり、舞台のモチベーションのばらつきの調整に苦慮しつつも、いつも真っ直ぐ、空を飛ぶことを楽しんでいる明日香に引っ張られる形で、少しずつ形になっていく久那浜学園FC部。
 ベスト8進出という暫定の目標を掲げて挑んだ夏の大会で、しかし彼らはそれまでの概念を覆す異様のFCを目撃します。
 かつての王者を翻弄し、完璧に抑え込んだその戦術革命の発現に、既存のプレイヤーは慄然とし、意気を挫かれますが、明日香だけはその光景も含めてすべてがFCだと、キラキラした眼差しで憧れを口にして、それに触発されるように、みんながその新しいFCの地平を目指すようになります。

 間近に迫った秋の大会で、新たに王者となった少女、沙希に少しでも肉薄したい――、そんな意思をみんなが心の隅に抱えつつ、けれどそれとは別に、ここまで培ってきた眩しい日々の中で膨らむ、青春らしい甘酸っぱい想いもあって。
 それぞれに未成熟で、故に大きな可塑性を持つFCと、それに取り組む少年少女たち。
 その変化の兆しが様々に有機反応し、やがて大きな可能性を切り開いて。
 彼らが空に仮託した想いは、そして恋の行方は、一体どこに向かうのか。
 これは、蒼の彼方にある無限の可能性を掴みに行く物語です。


 あらすじはかなりざっくりですがこんな感じで。
 一応これで共通網羅はしてしまうんですけど、ここまでは触れておかないとまとまりが悪いんですよね。
 大枠としては見ての通り、FCという競技、部活動という行動の中で深く互いを知り、想いを寄せていく少年少女に、それぞれの悩みと試練が立ち塞がって、それを解決するために、何よりも自分らしくあるために、仲間たちの力も借りて全力で立ち向かっていく、というシンプルで王道的な流れになります。

 テキストは基本的に爽やか路線一直線ですね。
 読み口として粘っこい異質の部分も、主にみさきというヒロインをメインにして語られることはありますが、概ねは明日香という正ヒロインの気質を前面に反映させた、若々しく、無邪気で素直な雰囲気、空を飛ぶことに準えた軽やかさが感じられるように意識されているかなと。
 個別もルート毎の雰囲気の差異はあり、真白シナリオあたりは結構異色には思えますが、コンセプトには忠実だと思うし、キャラも可愛く面白く書けているのでまずは問題ない、普通に楽しめるかなって思います。

 ルート構成は捻ったところはなく、道中はヒロイン個々に対して好感度選択がいくつか点在し、そして共通ラストに脱落式でヒロインを選ぶ場面があって、まあそこまでの選択次第で出る出ないはあるのでしょうけど、基本的に八方美人してれば共通一周で全員攻略フラグ立てられる仕様ですね。
 その最後の選択において、明日香がいの一番でみさきが最後、という部分にはすごく明確な意図を感じるところで、その辺は後述しますが、その辺含めてすっきり腑に落ちる選択肢の作り方ではあると思います。
 あと一応、全員クリアするとそのまま引き続きでグランドEDがはじまります。まあかなり短い話ですけど。

 シナリオに関しては、FCという創作スポーツを土台にしている分、その恣意性の広さというか、その競技に対するリアリティという部分で厳密に言えば説得性がやや弱いところはあったりしますが、それで逆にテーマ性と非常に深く密接させられている部分もあって、まずそれをどう解釈し、評価するかでだいぶ変わってくるかなと。
 加えて、基本的にスポ根青春王道の展開が多いものの、ヒロインによってはそのスケール感が大分抑えられていたり、恋愛面との比重にばらつきがあったり、ルート毎の展開に対する外的要因のちらつきがあったりはするので、手放しで褒められるほどではないのですが、しかし実に清々しい読後感をもたらしてくれる作品ではありますね。

 個別評価としては迷ったけど、明日香>みさき>>>莉佳>真白くらいになりますかね。
 明日香とみさきは完全に対になるシナリオでもあって、どこまでも可能性を広げていく明日香シナリオに対し、あくまで限定的な枠内で求めるものを希求するみさきシナリオ、真っ直ぐぶれずに上だけ向いて突き進んでいく明日香シナリオに対し、主人公含めて自分達の内面の一番深く弱く汚い部分に向き合ってからがスタートのみさきシナリオとなっていて。
 
 どちらもそれぞれに味わいがあって面白く、枠が小さくギリギリ常識的に抑え込んでいる故に非常に構成が精密で納得的なみさきシナリオに対し、終盤にいけばいくほど、努力の裏打ちがあるとはいえ、かなり突き抜けた展開になっていく明日香シナリオと、構成にしてもこのテーマ性とリンクしていて、私の好みとしてはみさきシナリオなんだけど、やはりラストの爽快感、カタルシスの強さは明日香に軍配が上がって。
 展開的にも沙希が絡んで、FCの大きな転換にしっかり向き合っていくこの二つのシナリオの出来が抜けてはいるなと思います。

 明日香を上にした理由は、みさきよりも恋愛面の説得性がすごく高くて、FCが中心でありつつも、きちんと恋愛も疎かにしない、というより、何にも真っ直ぐでひたむきな明日香らしさが、恋をすることで様々な場面で波及効果をもたらして、シナリオの色味をほんのり鮮やかに染めている感じがあっていいなあって。
 展開的にも、明日香の懸命の努力は当然胸を打つし、なんか最後の方ピッコロさんか幽々白書かってくらいに拍車かかってるのは苦笑っちゃうけど、それでもなお高い壁で居続ける沙希に対する、既存概念の打破というアプローチの炸裂と、何とも王道的に過ぎて、まあその辺才能に依存し過ぎでどうなんだ?と思う部分こそあれ、ギリギリ作中で示唆された枠内に収まる部分だし、空を飛ぶことを楽しみ続けた明日香ならではの脱皮、と見れば、かなって。

 マイナス点としては、上のそれに加えて、イリーナの行動理念が本質的には主人公に対して、だから、どうしたって外的要因ではあり、他ルートで大人しくしてる理由づけが難しいよなあとは思うところですかね。
 まああと、推察は出来るけど色々含ませられている部分もあって、その辺はネタバレでチラッと触れる予定。

 みさきはとにかく、主人公のかつての挫折と準えての、暗い感情の共感からのスタートという設定が秀逸であり、主人公がFCという競技に真っ直ぐ向き合えない根源をしっかり抉っていて。
 過去の傷を癒す方法論としては、明日香シナリオに象徴されるように、その痛みを、その裏側にあるかつての感情を強く喚起出来るほどに新たな楽しさで覆ってしまうか、もしくはみさきシナリオみたいに痛みと愚直に向き合って、立ち止まってしまった地点を歯を食いしばりながら乗り越えていくくらいしかないわけで、こっちはみさきという共感者を得て、その克服を仮託することで前に進む、という部分がとても秀逸に描かれています。

 逆に他ルートでみさきがどうしても本気になれない理由づけとしても非常に有効に働いていて、その点ですごく構成に説得力があるし、選択順で最後になる、というのも、あくまでその選択の時点で、明日香を筆頭に、FCに対する前向きな観念と向き合えないが故の消去法、必然としてそこにいる、というのが面白いなと。
 その選択順でなお、ヒロインとして成り立つがためか、恋愛面ではFCを通じて、という以前の関係性に比重があるイメージで、そこにやや説得力がないのと、どうしても目的が明確に小さい枠に収まってくるので、明日香ほどの爽快感はなく、あくまで沙希、明日香という強敵に局所戦で勝ちたい、という目的に特化した奇襲戦略に近いものはあるので、その辺人によってはマイナス要素になるかもしれません。
 
 そして唯一、部活の枠組みを逸脱するルートでもあるので、日常の華やかさが足りないのよ。。。女の子が少ない男祭り的なルートなのも少し勿体無いと思うところで、あまりヒロインらしく振る舞えないみさきを相対的に光らせる為にわざとそうしてない?と邪推したくなるくらい。
 そんなこんながあって、元々のヒロイン好感度、他ルートでの印象に引っ張られる分もあり、明日香シナリオより下にしました。構成だけなら文句なく一番好きなんですけどね〜。
 ただひとつ言えるのは、みさきシナリオは単体でも評価できるけれど、明日香シナリオはこの設定で、なかんずくみさきシナリオと完全に対になっているからこそ高評価できるシナリオである、という部分で、その枠組みを踏まえてみないとダメ、という意味でも、プレイ順はラス前にみさき、ラストに明日香を推奨したいですね。

 莉佳シナリオはFC関連と恋愛のバランスはそれなりによく取れていて、ただFCに関しては矛先が少し変わって、あくまで莉佳の過去と関係しての因縁がメインになっていて、その敵役である霞の固執を鑑みると、これもまた外的要因だよなあ、他ルートでは主人公の知らないところで牙を剥かれていたりするのか?と思ったりしちゃう部分はあって。
 ただその展開の中で、他ルートの展開に進めない制約はしっかりつけていて、特に明日香に関してはちょっと可哀想な形での足枷が嵌められている感じで、それは仕方ない部分ですね。

 莉佳の長所であり欠点でもある生真面目さがもたらす、どこか悲壮な雰囲気を、それすらも飲み込んで楽しめばいい、という観念で覆い、変化と成長をもたらしていく流れは好きですし、莉佳は実に女の子なのでヒロインとしても申し分なく、突き抜けた楽しさはないし、上二つに比べるとFC描写はイマイチだけれど、基本心地よく読み進められたかなと。

 真白シナリオは、どうしても元々のFCの才能、という部分のハンデがあるため、スケール感でかなり劣るのと、その分恋愛にまつわるゴタゴタに比重が置かれていて、折角のこの舞台なのにすごく普通の萌えゲーやってるなあ、という印象で。
 また、真白の拘りの矛先が、みさきという身内に対してになってしまうのも、そのこじんまり感に拍車をかけていて、理由ははっきりしてるとはいえ、ここでのみさきは相当にヘタレてるから、そこまで拘る意味あるの?と思わされてしまうのが残念な部分で。
 
 真白自身かなり可愛かったし、約束と守りたいもの、その二つを、そこまでの苦労と苦悩を一気に解消する形で解決する構成は嫌いじゃなく、別に悪いシナリオじゃないんですけど、この作品に期待する方向性からは少しずれている感じがしましたね。
 そもそもヒロインの質としても、明日香や莉佳のような真っ直ぐなひたむきさが煌めくほどに似合う舞台、というのもあって、その点真白やみさきは割を食ってる感はあって。
 でもみさきは、それが行き着くところまで突き抜けていて、それがきっちりテーマ性ともリンクしていてわかりやすいからいいんだけど、真白は悪い意味で中途半端な立ち位置だから余計にもやっとするのはあるのかもしれません。
 とりあえず、隠しメールですら煮え切れない真白は可愛い。。。

 以下ネタバレ含めての雑感などなど。

 フォーリズム、って言葉は造語?と思って調べてみたら、きちんと音楽用語としてあるんですね。
 バンド構成において、それぞれのパートが一律のリズムを刻むことで、その相乗効果がもたらす広がり、それはこのタイトルと重ねてみると、空に対する意識とアプローチが同次元の高みにある存在が共鳴することで、更に大きな可能性を、美しさと楽しさを引き出せるという意味づけかと思うし、それが明日香シナリオラストの、バランサー解除からの沙希とのランデブーのような展開に象徴されているのでしょう。

 そういう部分も含めて、やはり舞台設定、用具に至るまで完全に創作である分、どうしても見せたいテーマに合わせた恣意的な改変は自由に出来ちゃうから、その点で一歩評価を割り引いている部分はあるけれど、この先を考えればきちんと現実味も含んではいて、荒唐無稽にしない重心の低さ、意識の持ち方はしっかりしてる作品だと思います。
 例えばスキーのジャンプとかフィギュアとか、結構レギュレーションの変更は頻繁に行われていて、その根底にあるのは、勝敗に対する寡占を打破することと、競技の多様性、可能性の広さを担保することであって、まあ現実にはそれが頻繁かつ、政治的観念が強すぎて観戦者の楽しみを削いでいる部分もあるのですが。。。

 ともかく、FCという競技がまだ未成熟で、可塑性があるが故の、一時的に突出した存在の発生、新たな理念、概念の構築が有り得ない話ではない、という部分は納得できるところで。
 イリーナの失敗としては、その概念を寡占し、より高次に高めることで、とにかく勝利そのものを目的に据えてしまっていることかなと。
 スポーツの理念としては、あくまで観戦者がいてそれを楽しませる、そしてプレイヤー自身も楽しむ、という部分がかなり大きなウェイトを占めているわけだし、鳥かご戦術に象徴される閉塞感は、もしもそれが絶対的なスタンダート、勝つための唯一の概念になってしまったら、まずその競技そのものが衰退するだろうと思っちゃうところで。

 でも、明日香が見せた姿勢、それもまたFCであり、楽しめる要素であるという部分はとても重要で、あくまでそれが戦術のひとつのラインまで相対化されれば、多様性に内包されて競技性の一要素としてしっかり存在理由を根付かせられる、ということで、その開拓精神が、青春真っ只中の主人公たちの精神性の成長ともリンクしてて清々しいなと。
 私はこことは別口でとあるスポーツ観戦、回顧ブログ書いてるのですけど、やっぱりどんなスポーツであれ、競技者の心理や様々な展開が絡んで、見ていて素晴らしいと思う展開、玄人好みの展開、つまらないと感じてしまう展開もあって、けどそれ全部をしっかり受け止めて、楽しみを見出す姿勢、それを観戦者にさせてくれる競技としての奥深さ、それを培っていく展開には、だからこそ余計に心響くものがありました。

 そしてテーマ性としては、勝ちたいと思う気持ちと、それに伴う様々な恐怖、そういう感情全てを内包できる、楽しむという在り方の相関関係の示し方が非常に興味深かったなあと。
 スポーツにはどうしても勝ち負けがつきものではあって、その中で、あくまで競技そのものを楽しむことをメインに置ける明日香みたいな存在と、負けず嫌いが強すぎて、勝つことに至上の意味を見出してしまうみさきのような存在、それは人間の基本的な性格分布としてどちらも蓋然性のあるスタイルではあります。

 この作品のスタンスとしてはしかし、あくまで楽しむことが最上位に置かれている感触であり、また、楽しむ、という感情の中になら、怖い、も、勝ちたいも内包できるけれど、その逆は出来ない、という真理を追求している感がありますね。
 それは何故って、勝ち続けることはやがて孤高という名の孤独、恐怖をもたらす部分があって、その時に一人であることは、同次元で楽しむことが出来る相手がいないことは、その恐怖すらを楽しみに変えてしまって、その先の可能性を切り開く勇気を持てなくなってしまうのと同義だからであって。

 また単純に、勝ちたいという気持ちも、それが自分の為にだけあればいずれ蹉跌を踏むけれど、誰かの為に勝ちたい、であれば、少なからずその意思は強く在り続けられるという部分が、主人公のかつての挫折と、みさきシナリオでの二人三脚での克服、更にはイリーナという存在に対する意識の強い沙希の在り方に示されているかなと。
 だからこそ、イリーナが目指す抑圧的なFCからの解放が、選手の草の根的な位置から這い出てくるのはある種必然であり、それは、誰かが沙季のいる地平に辿り着くことで、彼女を縛っている勝ちたいという意思を超越した、可能性の開拓という楽しみを与えられるからで、それは明日香のような存在にしか出来ない事なのだ、というイメージは実に鮮烈です。

 そののびやかさ、無限の可能性があると感じさせる飛翔感を示すことこそがこの作品の主題であると思うし、それはより根源的な、人類が空を飛ぶ、というイメージに仮託する感動、感傷を丁寧に汲み取って差し出してくれていて、こういうのはやはり創作舞台であるからこその面白味だなあと感じますね。
 
 しかしあれですね、イリーナのお姉さんって、かつて葵のアンジェリック・ヘイローで敗れて引退した人だったりするんでしょうか?
 あの拘り方はそんなイメージはあるし、当の本人以上に見ているものが納得できない、という部分は、その負け方がああだったから、とも思えるのに、わざわざそれを焼直して自分が絶対の頂点に君臨したいと思うあたり、イリーナも徹底して勝ちたいにメンタルの比重が強いキャラなんだよなあと。

 けど沙希は、イリーナに対する恩義と信頼は強くても、根源的な精神性は明日香に程近いものがあると思うし、むしろそうじゃなきゃあそこまで強くはなれないだろうし、それでも明日香という理解者、並走者を得た事で、どれだけこの子可愛くなるんだろうなあって、元々魅力的な子だと思っていただけにその辺の含みが薄く終わってしまったのは残念。実はアニメで掘り下げるために取っといたネタです、とかだったら切ない・・・。



 トータル評価としても色々迷ったんですが、見せたいものを見せるんだ、という意思が明確に浮き彫りになっている部分は長所でもあり欠点でもあり、明日香とみさきシナリオの出来はかなり素晴らしいのですけど、全体で見た時の整合性とかバランスとかもう少し頑張れたよなぁ、と感じる点も多かった作品でしたね。
 あとやはり、最初から一般寄り意識してるせいなのか、折角こっちで出しておいてもそういう要素はかなり薄かったのがね。まあこの作風で必要以上にエロス求めはしないけど、せめて三回ずつくらいは完備して欲しかったですよね。シナリオの流れ重視であろうと、一回目二回目にはそれぞれ特別な意味づけは出来るし、加えて山場乗り越えての結束感、求め合う気持ちの発露となるのはこの手の作品のお約束でしょうにとそこはちと残念で。

 そういう諸々鑑みて、面白かったけれどもにょもにょする部分も多いので、点数的にもどっちつかずの塩梅に落ち着かせてしまいました。


キャラ(20/20)

 結構テーマ性に即して、淡く和やかっぽい雰囲気の割にはドロドロと色濃い情念があったりもして、意外性もありつつ基本的にはみんな可愛いし、個性が際立ってるし、ちゃんと成長要素も加味されているので、評価としては安定して出せる感じですかね。

 一番好きなのは、甲乙つけがたいけどシナリオ補正も含めて明日香ですね。私の場合CV補正も相当に高いですけど。やっぱり澤田さんの声ってすごく癖になるし、こういう真っ直ぐ明るく可愛い子にもしっくりくる、柔らかさと芯の強さが備わってる感じだなあって。
 この子も見た目よりは結構色んなものを背負ってるし、ひたむきであろうと努力している部分もあるけれど、それを踏まえてもやはり空に向ける憧憬の強さはすごいし、それをもたらしてくれた主人公に対する想いは、どこか刷り込みにも近い危うさは感じるけれど、そういう無邪気な感情の発露も明日香らしいな、と思うところで。
 結構シナリオ内では色々厳しいことされたり、挫かれたりもしていますが、その個性が全く悲壮感を見せないのもあり、実に健やかで愛らしいイメージと、そしてなんでも楽しむという前向きな強さを強烈な個性として展開していますね。

 女の子としてもそれはそれ、って感じで充分以上に可愛いし、好き、という気持ちを区分けにしないというか、好きでいる事、楽しいことにひたすら貪欲でもあってねその辺最初から変に切り分け捲ってる莉佳と対照的な個性だなあと思うし、もっとイチャラブはしたかったなあと。結構この子、いじめてみたい気を起させる部分も多いしね。。。
 あともう少し、沙希とイチャイチャするシーン作って欲しかったのです、くすん。

 莉佳はやはり女の子としては断然に好きでしたね〜。
 生真面目でひたむきで、融通は利かないところあるけれど、一度心を開いてくれればすごく甘えっ子で愛らしくて、良妻賢母の資質も兼ね備えていながらFCに真っ直ぐのめりこむ活発な部分もあって、この子いいなぁ、と思わせてくれる部分が非常に多かったです。
 そもそも幼馴染とかでもないのに、隣の家に引っ越してきて、窓越しの会話とか甘酸っぱい展開に実にときめきますよねぇ。この子はホントに、共通からの関わり方がきちんと恋愛を意識させる方向性にあると思うし、女の子として意識されてる事を意識して固くなりつつはにかんでる莉佳はべらぼうに可愛いと思ったんだすよ。
 シナリオ面でも綺麗に成長物語の中でその魅力を広げてくれているし、恋愛の質も一番好きではあったけれど、それでももう少しはイチャラブしたいよねぇ・・・る

 真白はどうしてもみさきというフィルターを通して接している期間が長いのもあり、恋愛に至るまでのスイッチが何段階か必要なのがもどかしかったですが、恋を意識してからの独り相撲とか、煮え切らない感じとか、その辺は実に女の子してて可愛かったなあと思います。

 みさきは共通や他ルートでの、どこか淡白で見下ろしてる感があまり印象良くないけど、それをしっかり払拭する素晴らしいシナリオだったのが救いですねぇ。
 とはいえヒロインとしてはやはり私の中では一枚落ちるし、イチャラブも最も少なかったし(なのにシーン数は一番多いという皮肉)、またその気質が変に同族嫌悪を意識させちゃうのが空しくも残念なところでございます。

 沙希は立ち位置的に攻略ヒロインになる敷居は高すぎるから諦めるけど、この子が普通に莉佳みたいにこっちの部活に参加して和気藹々としてるシチュとかでの後日談はかなり見てみたいなあと。こういう天然クール成分がヒロイン陣には足りなかったのもあるし、こういう子が表情綻ばせたりするのは別腹的な楽しさがありますよね。

 みなもも中々可愛かったので、もうちょっと頑張れよ!とか言ってみたい。。。
 そして佐藤院嬢が院に拘る理由って結局何?この子もいい子だからもう少しあれこれ掘り下げて欲しかったなあ。なんかよほど真藤くんのほうが出番も掘り下げも多かった気がするんだよねぇ、それにあの二面性、実にインパクトあったわと。男キャラでは部長と並んで好き。

 先生はまあ・・・先生でいいじゃない。あのグランドの気配はなんだかと思うところはあったよ私。


CG(18/20)

 とっても柔らかい線と塗り、ブランドイメージをしっかり継承して、可愛らしい女の子を描いてきてくれたなあと思います。個人的にはFC対戦のときに底光りする瞳の怖さはやり過ぎの気もするのだけど。。。

 立ち絵に関しては少し物足りないかな、という感じ。
 ポーズは全員1種類ずつで、登場人数が多いし、腕差分はそこそこあるけれど、メインのヒロインまで1種類しかないのは流石に寂しいですね。空飛ぶモーションとかも含めれば、って見方も出来るけど、やはり少なからず個性が薄まってしまうし、動きとしてももう少し、と感じてしまいます。
 パッケージデザインの立ち絵とか可愛いし、あれ採用してくれればよかったのに。特に莉佳の見返りとか最高なのになぁ・・・。
 お気に入りは明日香、莉佳、沙希、みなもあたりですかね。特に莉佳が胸前で指を軽く搦めてるポーズはいいよねぇ、あれってほんと女の子っぽいな〜って思うのです。好きが嵩じて、たまに無意識に自分でこれやってて、気持ち悪っ、て凹むけど(笑)。

 服飾はヒロインで5〜6種類、サブで1〜3種類とこっちはそれなりに豊富。只出現頻度としては結構偏ってる感じではあり、その辺はシナリオの方向性的にも仕方ないかなと。
 お気に入りは明日香制服、体操着、練習着、水着、フライングスーツ、私服、莉佳制服、体操着、フライングスーツ、私服、真白フライングスーツ、体操着、私服、みさき練習着、沙希フライングスーツ、制服、みなも制服、窓果水着あたりですかね。
 というか、練習着の健康美と仄かなエロスは素晴らしいですよね〜。。。そして莉佳のシーンで、フライングスーツの構造どうなってるねん!と突っ込まざるを得なかった。。。

 表情差分はそんなに多くはないですが、きっちり個性は良く出ていて可愛らしくて好きです。
 お気に入りは明日香笑顔、真剣、苦笑、照れ笑い、しゅん、びっくり、キラキラ、莉佳笑顔、冷笑、眉潜め、真剣、半泣き、うっとり、怒り、照れ焦り、拗ね、真白からかい、笑顔、照れ困り、ギャグ怒り、呆れ、みさき爛々、膨れ、沙希驚き、微照れ、微笑、みなも照れ笑いあたりですね。


 1枚絵は通常93枚、SD22枚、モノクロ絵36枚と、配分はともかくかなり大容量であり、シナリオ展開に合わせての使い方も上手かったですし、出来としても特に乱れた感じはなく、健康的な可愛さ、爽やかさがしっかり出ていたと思います。
 ただ突き抜けてこれは大好き、と言えるほどインパクトのあった絵はなくって、その辺無難に終始した格好でもあるのかとちょっと思ったり。好きなんですけどね。

 お気に入りは今回はキャラ順に、明日香初飛翔、着替え、パフェ、水着、憧れ、屋上、魚と共に、告白、隣に座って、初H正常位、69、対面座位、うたたね、空は楽しい、二人の記念写真、みさき慄然、ダンス、窓辺で、告白、キス、パイズリ、正常位、空を楽しむ、海辺で、真白スカート覗き、お迎え、拾って、ベッドで独り芝居、告白、キス、初H愛撫、正常位、涙、騎乗位、和解、空飛ぶキス、莉佳出会い、おすそ分け、着替え、窓会話、アクシデント、心ほどけて、キス、正常位、初デート、空デート、空キス、背面座位、果たし状、沙希とイリーナ、沙希君臨あたりですね。
 SDもモノクロもそれなりに印象はあるけど多くなるので割愛。


BGM(18/20)

 作風に合わせた非常に爽快感、疾走感のある楽曲が多く、緊迫場面とのメリハリもしっかりついていていい感じ、ではあるのですが、まさかまさかのBGM鑑賞モードなし、という仕打ちの為に聴き込むことが出来ない・・・っ。
 ですので、ある程度意識して聴けた特典のボーカル3曲以外はサラッと、一応それなしでも最低印象としてこの点はつけるだろう、って配点になってます。もしかしらもっと上だったかもなので勿体無いですが、流石に全部プレイし直して聴き返す時間も気力もないし・・・。

 ボーカル曲は全部で7曲と豪華。
 ヒロインED曲は一回ずつしか聴けていないのでコメントしづらいですが、その印象ではみさきと莉佳の曲が好きかなあ、くらい。そこまでインパクトはなかったですね。

 OPの『Wings of Courage−空を超えて−』はシンプルながら神曲。
 とにもかくにもこの曲の真骨頂はサビの出だしにあると思ってて、まるでローヨーヨーの如く、そこまで単調にじっと跳ね上がる動作準備をしたところに、サビで一気に飛翔して、そのままどこまでも昇っていくような広がり、突き抜けを感じさせる素敵なメロディラインと歌詞にとても惹かれていますね。
 またメロディとしては、Dメロからサビへの繋ぎがすごく綺麗で大好きです。

 歌詞的に、サビの出だしの「空を翔け○、君が笑った、それだけ、だから高く、遠くへ飛べる〜」の部分が作品のイメージそのままで、良くもここまでシンプルに凝縮したなあと感心するくらい綺麗ですなあと。
 フルバージョンで聴くと、二番が空を翔ける、で最後が空を翔けた、一番が耳で聞いていると空を翔けて、にも翔けたにも聞こえるのでどっちかな〜、と思うんですけど、イメージとしては一番が過去、二番が今を示していて、そしてラストでは、一番と歌詞は変わらないけれど、そこに籠められた意識はこれからの未来に対する決意、確信にすり替わっていて、こういう曲としての構造がしっかり見えるのは大好きですね。

 第二OPの『INFINITE SKY』もかなりいい曲ですね。こっちは逆にAメロの入りの部分がかなり好きで、特にハローハローハローのノリがすごく青春っぽくて気に入ってます。
 全体としても颯爽としていて綺麗な曲だし、ただ上の曲よりは私の中ではインパクトはなかったかなと。

 グランドEDの『Sky is the limit』は、それにふさわしい重量感のある出だしから、少しずつ広がっていく世界の気配を丁寧に切り取ったイメージで、柔らかくも力強い雰囲気は好きですね。ただ曲としては三番手になっちゃいますかね。

 BGMは日常もバトルも、シリアスな部分もいい意味で重くなり過ぎない走り感がいい感じでしたね。


システム(9/10)

 演出自体は、比重が偏ってるけど力は入ってると思います。
 やはり空を飛ぶシーン、そしてFCのシーンに対してはかなりしっかり演出を作り込んでるイメージで、空中散歩のヒロインがすぐ横にいる、横歩き演出に似たのとかも向きや人数含めて多様性があって楽しいし、バトルはカットインや1枚絵、エフェクトなど上手く組み合わせて迫力とスピード感を出せていると思いますね。
 その分日常演出は最低限、という感じではあるけど、場面の頻度からしてもさほど問題ではないかな。

 ムービーはどちらも雰囲気的には似通った感じですが、強いて言えば第一が空そのものに対する憧れを活写し、第二はFCに対する楽しみ、喜びを映し出したイメージで、まあどちらも爽やかでそれなりにいい出来だと思います。

 システムは特に使いにくいところはなかったし、スキップ使う場面がなかったのでその点どうかわからないけど、必要な要素は揃っていますね。
 やはりもう少し回想モードの充実と見やすさは何とかならないかと、それは正直思うんですけども。


総合(88/100)

 総プレイ時間22時間。共通6時間に個別が3,5〜4,5時間の間、グランドは10分くらいなので本当に総括ですね。
 FCという創作競技の説明にどうしても尺を取られるのは仕方ないし、その中で極力説明的になり過ぎないよう配慮はされていたので、共通は特に明日香と一緒に競技の魅力に惹きこまれていけたし、その上でのライバルの存在、FCに対する概念の超越と、色々都合良く盛り込んでるなあとは思うけど、素直にワクワクできたとも思いますし、体験版がもたらす期待値は裏切らない出来でしょう。

 色味としてはスポ根のほうがやや強いかな、という感じで、恋愛面とその延長のシーンに関してはあまり期待しちゃいけない感じですが、熱く爽やかで楽しい、それでいて女の子が可愛いゲームがやりたいというライトな感覚にはピタッと嵌るイメージで、絶対コンシューマ化で昇格ヒロインとか出しそうだよなあって思う。。。
 とりあえずのテーマ性としてはしっかり完結してると思うけど、世界観そのものはいくらでも拡張する要素はあると思うし、いくらかは謎のままに終わってる部分もあるので、今後の展開には注視したいですね。まあ私がついていくかどうかは別として(笑)。
posted by クローバー at 04:49| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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