2014年12月12日

キミのとなりで恋してる!

 スタッフ的にまずかなり興味は惹かれたし、体験版も面白く、公式の盛り上げ方とかも上手くて、何よりなぎさが鬼のように気に入ったのでがっつり購入。


シナリオ(21/30)

 ただ隣にいる、その尊さを。


 主人公はかつて陸上、長距離の選手でしたが、両親が病没して落ち込む妹の恵を支える為に競技者の道を諦め、今は女子陸上部のマネージャーとしてのみ陸上に関わっていました。

 そんな主人公を、ずっと気の置けない幼馴染であり続けた莉奈や、過去のとある出来事で距離の開いてしまった、陸上をしている幼馴染であるなぎさもどこかもどかしく見ていて、また今の学園に主人公と一緒に駅伝を走るためにやってきたと豪語する夏彦の執拗なアプローチを、しかし主人公はのらりくらりと躱す日々。

 そんなある日、同居する祖母が突然、自分も先が長いわけでもなく、奥手な主人公が晩婚だった両親の二の舞にならないかと心配しだし、一週間以内に嫁候補を見つけてくること、さもなければ強制的にお見合いをさせると宣言。
 祖母の気持ちもわかるし、出来れば曾孫を抱きたいという夢は叶えてあげたいと思う主人公ですが、一朝一夕で恋人、ましてや嫁候補など見つかるはずもなく。
 
 その難題に煩悶している時、主人公は涼香と出会います。
 学生の女子陸上界でトップに君臨する涼香、しかし最初に見かけた時は相手が誰だかわからずに、ただその爽やかで清潔な美しさにドギマギさせられた主人公ですが、やがて彼女が主人公をいずれ自分がフルマラソンをする時のペースメーカーにスカウトしたい、パートナーになって欲しいという意思をもってこの学園に転校してきたこと、そして彼女こそが祖母の用意したお見合い相手だと知ります。

 嫁探しの過程で、なぎさとの間に存在したかつてのしこりも解消され、丁度押しかけ女房的になぎさが試しの同居を始めていたところに、やはり住み込みで涼香とも一緒に暮らすことになって、甲乙つけがたい二人の候補、そして一歩引いたところで見守る莉奈との関係に色々苦慮しはじめる主人公。
 果たして主人公は、きちんと自分の将来の嫁を自分の気持ちに素直に見つけ出し、そして未来のあるべき自分を手にすることが出来るのでしょうか?

 これは、恋が生まれる場所を諸々に綴った上での、絆と成長の純愛物語です。


 あらすじはこんな感じですかね。ぶっちゃけ公式のあらすじの完成度が高いので書きにくいったらありゃしないですが。。。
 大枠としては、お試し的な同居(同棲)生活を経て、主人公の心情が少しずつ変化していって、特定のヒロインを選び、その結果としてヒロインが抱える想いや葛藤を、手を取り合って克服していく、確かにその点は普通の物語、流れになっています。明らかにそこに至る経緯とか設定は、エロゲ的普通、お約束を踏襲しまくってる感じですけどね。。。

 テキストは読みやすくテンポが良く、それでいてきっちり伝えたいテーマや想いの部分を、野暮なほどに言葉で示すのではなく、風雅にふんわりと雰囲気や印象で示してくるバランス感覚が見事ですね。
 あとアイキャッチまでのひとつの話ごとに、きっちり面白いオチを用意してスッと次の場面へとフェードしていく繋ぎ方の上手さも流石、って感じで、いろいろ遊び過ぎな部分も散見するけれど、総じて楽しめる出来だと思います。

 ルート構成は序盤にいくつか好感度選択肢があり、そこからの脱落式と、ここも王道的な構成になっていると思います。
 ルートロックはかかってないみたいですが、あからさまになぎさだけメインヒロインとしてシナリオで贔屓されてるし、莉奈の気持ちを知っておいた方が余計に楽しめる部分はあるので、基本的には脱落順、涼香⇒莉奈⇒なぎさがオススメ!

 シナリオに関しては、それぞれに恋の原点を巧みに探りつつ、それを今に即して活写し、その上で個々の抱える問題に、それぞれのやり方でアプローチしていく格好ですね。
 また三者三様の性格付けと、それに伴う恋愛観、性的な部分の反応に至るまでくっきり色分けされていて、ヒロインらしさがすごく浮き彫りになっている内容かなと思います。
 また、プロフィールモードやサイドストーリーで、その舞台での色々なこぼれ話とか、ヒロイン達との後日談、結末譚なども充実していて、そこにもそれなりに憎い仕掛けがあって最後までそうきたか〜、と楽しませてくれましたね。

 個別評価としてはなぎさ>>涼香>莉奈くらいですけど、ぶっちゃけ本当に露骨なくらいなぎさシナリオだけ優遇されているので、その贔屓を差し引くと、単純にヒロインに対する愛着順になりそうな評価ではあります。どれも純粋にシナリオとしてはそれなりに堅実でホッと温かい物語に仕上がっているかと。

 なぎさはそれまでの関係が難しかったが故に、余計にずっと主人公にとっては隣を歩いて欲しい女の子であり続けていて、なぎさもまた、疎遠になってもずっとその背中を見つめ続け、追いかけていて、横ではなく縦の関係だけど、それでも互いを意識し続けてきたという、こそばゆさと奥ゆかしさがそのまま表に出た時、というイメージですね。
 特になぎさは、主人公の為ならどこまでも、と一心に献身を捧げてきて、けれどそこには自分の気持ち、我が儘は振り落とされたままで、そこを上手く莉奈が繋げてくれるところにまず味わいがあり、なぎさ自身が周りの助けなくしてはそうなれなかった自覚をもって恋人であるために、他二人程恋愛に溺れきらず、むしろ互いに前向きないい影響を与えていって。

 なぎさ自身の頑張りもさることながら、それが他のヒロインの応援したいという気持ちを引き出しての全体構造の動き、特に主人公のありたい姿に対する周囲のアプローチと背中を押す力の出現はベタですけどあったかい気持ちになれるし、夏彦のあれこれも含めてすごく沁みる内容でしたね。
 EDとかも一人だけ特別仕様だし、ここ特有のトップ画面のデザイン変化にも繋がってくるヒロインなので、やはりラスト推奨です。

 涼香は他二人とは完全に逆の、一目惚れって本当にあるの?的な疑念に対するとても爽やかで率直なひとつの解を示してくれる形ですね。
 無論単純な一目惚れというよりは、元々は涼香が走りに魅せられて、自分の隣を走って欲しいと思ったところが出発点ではあれ、そういうプラスの興味が個性に対する視線も柔らかくなって、一層に引かれていく下地を作っていたという部分、主人公にしても涼香の外的なステータスに対するリスペクトと、それを感じさせない華やかな女の子らしさ、けれどやはり競技者としての顔もしっかり持っている、いわば二面性に対して揺れ動かされている内に少しずつ吸引されていく過程が非常に丁寧に書かれていたなあと。
 
 その上で、涼香が陸上をしている理由の根源的な部分に二人で向き合って、色々な意味で本当のパートナーになるべく頑張っていく流れは綺麗でしたね。
 そしてナチュラルにSな涼香の魅力があちこちにちりばめられていて、まあ乞うご期待と言うだけあってやりすぎなくらいにやりすぎなHシーンには大変楽しませていただきました。。。

 莉奈シナリオはある意味涼香と対になっている部分が多くて、ずっと隣に居続けた事での、その本当のありがたみを揃って意識の上に置かなくなっている現状からの脱却、そのきっかけには当然嫁探しがあるわけですが、その変化も実に地味で素朴で、劇的さのないこの二人らしい空気の中でなされていって、その匙加減は上手いなって。
 そして、なぎさもまた主人公に対する思慕があるのは明白故に、一番関係を祝福して欲しい相手に中々伝えられない、という葛藤はありきたりだけど沁みるものがあり、なぎさにしてもそれを知ってすぐに、というわけでなく、きちんと間を置いて、自分の気持ちを立て直して向き合ういじらしい強さを見せてくれて、三人、という関係の素敵さを思わせてくれますね。
 
 バランサーであったが故に、その天秤を動かせない、という、単純な幼馴染の鈍感とは一線を画した要素も組み込んでるからこそ、外的要因でその天秤が動けば、という意味づけもしっかりしてるし、地味ではあるけれど面白いシナリオだと思います。
 しかしこっちでは、主人公の絶倫絶技キャラが目立ち過ぎだろうと(笑)。まあある意味、エロゲ的普通というか、誇張というかですけど。逆説的に、こんな主人公をいいように翻弄する涼香の凄みも伝わってきますしね。。。

 加えて、夏彦の物語や、恵のサイドストーリーなどで、やはりただ無条件に隣にいてくれることの尊さ、大切さを上手く浮き彫りにしつつ余韻たっぷりに締めてくれるし、面白かったと思いますね。
 マイナス点としては、やはり出だしの取っ掛かりの部分とか、あからさまなエロゲ主人公的優遇の立ち位置とか、この尺だからそういう部分を取っ払って進めるのも実に現代的に好まれる構造なのかなと思いつつ、個人的にはそこをしっかりしているほうがより好き、であるのと、シナリオに関しても劇的な要素はあまり多くなく、あくまでテーマに即した優しい世界観の活写に終始しているので、感情を強く揺さぶられる感じではなかったあたりですかね。
 いい意味でも悪い意味でも癖が強い作品ではありますし、その癖の強さが最終的には予定調和的な普遍に集約されていく構造そのものにも、感心はあれ驚きはなかったですし、そのあたりをどう評価するか、ではないかと思います。


キャラ(20/20)

 この点は文句なしに、それぞれに飛び抜けた個性が付与されていて、けれどどれにしても不必要にアクが強いわけでなく、きちんとそれぞれに女の子らしい可愛さと、時にそれを超越する特異な強さ、前向きさを示してくれるので満足度は高いですね。

 一番好きなのはやはりなぎさでしょう。
 見た目的にもドンピシャではありますし、性格も奥ゆかしくて控えめで、けどひたむきで一途で頑張り屋で、こうと決めたら揺らがない芯の強さもあって、一旦恋人になったらどこまでも献身的に尽くしてくれて、本当に理想のお嫁さん像を地でいくような素敵っぷりだったと思いますね。
 何よりも他人を優先してしまう性格は損ではありますし、そのせいで些細なことからのすれ違いを拗らせてしまったり、難しい部分もありますけど、そういう思い遣りの行き過ぎも含めて愛らしいと思うし、莉奈という存在があることによっての救い、救われが非常に効果的に作用しているので、その意味でもやはり、この作品の関係性の中心にいる子ではあるのだなと切に思います。
 散々ブッシュするだけあり、確かにCV的にもドンピシャでしたし、印象深いヒロインになりそうです。

 次いで涼香ですね。
 トップアスリートのくせこんなに性格も容姿も端麗でいられるとかずるいなぁ、と思いつつ、それでもアスリートらしい悩み、欠陥も抱えていて、そこに対する向き合い方での心の変化、前向きさはすごく素敵だったなあと。
 女の子としても、体つきは一番華奢なくらいなのにとにかく包容力をたんまりと感じさせて、常にイニシアチブを握っている姉さん女房的な安心感、安らぎがあって、そもそもめがねに叶うのが大変だし、ついていくのも大変だけど、その苦労を苦労と感じさせない魅力のあるヒロインだったかなと。

 莉奈はどうしてもステータス的になぎさや涼香とは逆の方向性に位置付けられる分、私の純粋な好みからはずれてしまうし、それでもその立ち位置と心根の美しさ、誰にも等しく誠実であれるところと、基本対人にストレスフリーでいたいながら、肝心なところでそこから逃げるような弱さは見せない部分が気に入ってます。
 
 恵は正直最後のアレ見るまではそこまで好きではなかったんですけど。
 ただ結局のところ、主人公がそうあって欲しいと望む自分をけなげに演出していた(無論地の部分も多いだろうけど)ところの源泉に、自分でも気付けない気持ちが、まして妹であればこそ気づいちゃいけない気持ちが隠されていて、という構図は、この人らしい妹の使い方だなあと思うし、私としてはこう書かれては、敢えて攻略したい、とは言いたくない子ではありますね。

 そして莉香ちゃん園児かよ!?正直あの絵からして、もう少し上だと思ってたしびっくりです。光源氏計画発動したいおませっぶりでしたし、もっと出番欲しかったですなぁ。
 あと夏彦のお相手のゆかりちゃん、後ろ姿しか見えないけどなんかすごく私の好みっぽいのですけれども。CV的にやられた部分はあるけれど、是非、是非スピンオフを作りましょう(笑)。


CG(18/20)

 えなもんとCOGの人じゃないですか〜!と発表時から私のテンション高止まりでしたけど、期待にたがわぬスラッと柔らかく楚々とした雰囲気、愛らしさをしっかり見せてくれましたね。

 立ち絵は値段踏まえれば十分水準には達しているかなと。
 ポーズはヒロイン2種類、サブは1種類、腕差分も特になく、動きとしても大きくはないのですが、それぞれに雰囲気はすごく出てますね。
 お気に入りはなぎさ正面、やや左、涼香正面、莉奈正面あたりです。

 服飾はヒロイン4〜6種類、サブは1種類とはっきり区分けされてますが、作品の尺にしてはかなり豊富ですし、デザイン的にもシンプルながら可愛さがちりばめられていていい感じですね。
 お気に入りはなぎさ制服、私服、水着、体操着、寝間着、涼香制服、私服、トレーニング服、水着、莉奈私服、恵私服、寝間着あたりですね。

 表情差分はそこそこ、バランスとしてはかなりデフォルメ、遊びの要素が強いですけれど、それぞれに個性はきっちり出ているし、すごく可愛いと思います。
 お気に入りはなぎさきょとん、笑顔、眉潜め、うっとり、目逸らし、照れ、蒼褪め、涼香笑顔、真剣、ウインク、拗ね、憂い、あわあわ、照れ笑い、莉奈笑顔、からかい、ジト目、恵にしし、キラキラ、大喜び、目が点、ドヤあたりですね。


 1枚絵は通常56枚のSD13枚で計69枚、豊富とは言いませんが、ミドルプライスだしほぼほぼ水準かなと。
 出来もおおむね安定しているし、塗りのイメージ的にも良さがきちんと出ているのでやっぱり好きだなあと。

 特にお気に入りは2枚。
 1枚目はなぎさ立ち聞き、このシーンの雰囲気と、なぎさの刻々変化する表情の可憐さ、いじらしさは見事だったなあと。体験版もここでガツンとやられましたし。
 2枚目はなぎさ初H愛撫、うん、やっぱり黒ストはいいものです(笑)。加えて全体のバランス、うっとりした表情がかなり好き。

 その他お気に入りはページ順に、かつてのなぎさ、体操、告白、キス、添い寝、背中流し、校門で、帰宅、正常位、バック、胸揉み、莉奈相合傘、キス、抱きしめ、保母、初H手コキ、背面屈曲位、あーん、ウェディング、涼香出会い、キス、添い寝、お風呂、電話、待ち合わせ、初H愛撫、正常位、騎乗位、在りし日の思い出、浴衣花火、乳首ハンター、それぞれの恋路、もう大丈夫あたりですね。


BGM(17/20)

 曲数は多くないですが、優しい世界観にそぐわうゆったりした雰囲気の曲は沁みましたね。

 ボーカル曲は2曲。
 OPの『キミのとなりで恋がしたい!』は、柔らかいメロディとイントロからスッと耳にこそばゆく入ってくるようなイメージで、まあ曲としてはそこまて惹かれなかったですけど、作品のイメージには合ってますね。
 EDの『キミと見る世界』は、絆によって紡がれた優しく愛おしい世界観を素朴に綺麗に演出している感じで、まあやっぱり曲としてはインパクト強くはないですし、OP画面に戻っての曲に美味しいところ持ってかれてる感はヒシヒシなんですけど(笑)、悪くはないです。

 BGMは全部で16曲と、ミドルプライスではあるけどやや少ないかな、くらいではありますが、質的にはかなりお気に入りですね。
 特に好きなのは『彼女の笑顔が消えた日』、この透明で、切なくて、伸ばした手をそっとおずおずと引っ込めてしまうような、きゅーっと胸が締め付けられるメロディラインは素晴らしいの一言ですね。
 方向性としては今年のBGMで一番好きな『砂漠の花』(魔女こい)と似通ってるのですけど、決め打ち感というか、こっちはむしろ使いすぎ、安売りし過ぎな部分はあって、ちょっとでも切なげな場面で頻発するので有難味が薄いのが勿体無いと思うくらいには好きです。

 その他お気に入りは、『別れの予感』『振り返ればそこに』『初恋』『お兄ちゃんのテーマ2014』『追いかけて 追いついて』『契り』『はじまりの唄』あたりですね。


システム(9/10)

 演出は色々と工夫されていて楽しかったですね。
 いわゆるスクリプト的な意味での演出は普段通りのアルコットかなあと思いますが、アイキャッチの部分でのアナザービュー的な掛け合い、プロフィールやサイドストーリーを使っての効果的な展開演出などは中々に面白味はあり、これくらい有機的に活用するのには、初めに形ありき、では厳しいかもですが、今後も続けて欲しい試みではあります。
 ムービーは世界観そのままの優しい雰囲気が上手く出せていて悪くないかと。

 システム的にも特に問題はなく、使いやすいですね。
 いつもながらこのシステム選択音聴くと、ああ、アルコットだなあとなんかホッとするのは私だけかしら?プロフィールとスタンドを一括にしたのは中々面白いまとめ方でした。


総合(85/100)

 総プレイ時間14時間くらい、共通が4時間、個別が3時間、あとサイドストーリーとかプロフィール閲覧とか諸々含めてこんな感じですかね。
 尺としてはミドルプライスなので文句なし、とは言わないけど短くはないし、展開的にたるむ部分はほぼなく、いい意味でお約束を盾に強引に展開させている部分も含めて、一気にスイスイと読めてしまう感覚ですね。
 その上でとても情緒のある触れ合い、感情の機微の描写が為されているし、翻ってのシーンの遊びっぷりなど、色々欲張りにやりたいこと詰め込んでるなあとは思うし、非常に爽やかな読後感を残してくれます。

 全体的にごり押しが強い部分はあるというか、かなり癖は強いので、合わない人には合わないかもですが、概ね汎用的な展開、心に沁みる機微が丁寧に綴られているので、その癖の割に受け皿としてはヒロインじゃないかなとは思いますね。
posted by クローバー at 03:18| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。