2014年12月30日

月に寄り添う乙女の作法2

 シリーズとして楽しみな部分も多いし、体験版もらしいノリで面白かったし、エストとルミネが大変に気に入ったので購入。


シナリオ(21/30)

 そこがある意味スタートライン。


 主人公は偉大なデザイナーである母の遺伝で、白い髪と白い肌、赤い瞳を宿して産まれてきて、基本的に陽の光の下を歩けない運命にありました。
 けれどそのハンデを後ろ向きに思う事もなく、むしろ自身の美しい容姿に対する絶大な自信を持ち、また小さな頃から何でも上手くこなせる才能があり、努力をすることも厭わなかったためにめきめき頭角を現し、母親と同じデザインの世界で、学生の枠組みの中でとはいえ賞を得るほどで。

 けれど、ずっと昔から、彼の作品には何かが足りないと言われ続け、天才である母親を唸らせる程のものは作れず、また母を下支えする父親の如才ない在り方にも及ばない自分を自覚して、それらがこんがらがっていつしか両親に対する劣等感となっていました。
 それを克服するため、主人公は日本にやってきて、かつて母親が辿った栄光の道、フィリア学園のデザイナー科に入学し、冬の大イベントであるフィリコレで最優秀賞を取ることを心に堅く誓っています。

 しかしながら、いきなりの挫折が主人公を襲います。
 なんと、定員に遠く及ばないからという真っ当な理由で、デザイナー科の男子部が廃止になってしまったのです。
 父方の親族の長である総裁殿の決定に抗おうと、妹のアトレや親族で一番仲のいいルミネ、更には父方の伯父の衣遠の力も借り受けますが、かつての喧嘩友達の母親の言葉でそれは全ておじゃんとなり、いよいよ進退窮まった主人公は、最後の手段として、特待科クラスの従者として、女装して学園に入学することを決意します。
 その決心にすぐ側の身内は温度差はあれ最終的にはみんな賛成してくれ、難航した主選びも、ある日ルミネがエストという格好の相手を見つけてきてくれます。

 しかし彼女は、主人公が本来の姿の時に鎬を削ったライバルでもあり、その為に女装隠しとコピー存在という二つの心無い嘘をついてしまうことになりますが、エストはそうまでしてもいいほどに才能があり、性格も素直で穏和で優しく、やや品性が欠けている部分を除けば、切磋琢磨していく相手としても、主としても理想の相手でした。
 主人公たちの棲み家は衣遠が特別に用意してくれたマンション、桜の園。
 そこでのエストとの生活は楽しく、また新たに引っ越してきた住人達、米映画界で活躍する第一線の俳優である朔莉や、母方の親族である伊瀬也などの個性豊かな面々とも知己となり、また偶然に知り合った春子や弓などとも学園で再会することとなり、華やかで優雅、けれどその裏でデザインで才を競い合う、主人公の望む学園生活がスタートします。

 果たして主人公は、三年間女装を隠して従者としての使命を全うできるのか?
 そしてその生活の先に、足りない何かを見出すことが出来るのか?
 それは、服飾の世界で紡がれる連帯感や絆を得ることで、自らの進むべき道をしっかり見定めていく成長と意思の物語です。

 
 あらすじはこんな感じですね。
 大枠として、大トリにフィリアクリスマスコレクションがあり、そこにどういう形で至るかを、それまでの学園生活で見たもの、巻き込まれていく流れの中から選択し、一己の才だけではどうにも打破できない、悪意はなくともままならない現実に対し、絆の力で立ち向かっていく流れになります。

 テキストはこのシリーズの雰囲気をしっかり踏襲しつつ、ただ今回は主人公の性格が前作に比べるとかなりシニカルかつ増上慢であり、後々自身の述懐でも出てくるように、まず否定から入って、改めてそれを内包するように全肯定するという俺様感がかなり出ているので、そこは結構めんどくさいところです。
 ギャグや薀蓄にしても面白いけれど、やはりどこかで見たなあ感は出てくるし、全体の一貫性やテンポの良さはいい感じですけど、逆に言えばすごくフラットで、突出して読み口そのものに惹かれる、という部分はなかったかもですね。

 ルート構成はいくつか好感度選択肢、二キャラでの分岐選択肢を経て、最終的にその相手に対する思い入れが足りていればそのルートに入る格好ですね。このメーカーのいつもの布陣として、それに満たない場合のノーマルエンドもCG付きで用意されています。
 特にルートロックはありませんが、シナリオの質とテーマを踏まえると、朔莉とエストはなるべく後ろに回した方が楽しめるかな、という感じ。


 シナリオに関しては、主人公があの二人の息子、って部分や、陰日向に当時の世代の下支えを感じさせるなど、直接的な影響こそ少ないものの、やはりまず前提として釣り乙と乙りろはプレイしておくべきだろうと感じます。あとルナアフターアフターも、その二つの物語を違和感なくまとめる筋書きを提示しつつ、今に繋がる伏線なども引いてあるので、出来れば本編プレイ前にやっつけておくのが望ましいでしょう。

 そして、今回は主人公の内面の屈折と、そこからの克服が大きなテーマとなっています。
 それがある故にデザイナーとして一皮剥けられない現実と対峙して、女装生活の中で絆や共同作業の歓びを知り、そこから上から目線の与える愛でなく、無心から滾々と湧き起こるような誠実で純粋な愛を知っいく、その過程で、対象となるヒロインが抱える問題とも向き合う格好です。
 ちなみに前作においては、その精神性はそもそも主人公が最初から内包している観念であり、それがもたらす安心を前提にして、戦いの場で才能をぶつけ合うという方向性が打ち出せていましたが、今回はそうでなく、あくまでその前提を獲得するために、互いの才能を尊重し、思いやることで高め合う過程を重視しています。

 故に前作に比べるとやや苛烈さやダイナミズムは減衰しているイメージはあり、明快な敵役という存在も、いるにはいるけれど衣遠兄様に比べると卑小に過ぎるし、全体の枠組みで関わってこないから締まりが薄い気はしますね。
 その分逆に可能性の広さを獲得も出来ていて、フィリアという学園の発展によって膨らんだ、芸術総合としての表現の価値を薄めてでも拾っている形式に思えるので、一概にどちらがいいのかは個人の趣味にもなってくるかなと。私としてはこれはこれで、とは思うけど、やっぱり前作のほうが芯がしっかり通ってると思います。

 個別評価としてはエスト>朔莉>春子>>ルミネってところでしょうか。
 全体として高めの水準でまとまってはいるし、面白かったですけれど、なんだろう、やはりラストのお約束シーンに至っての、そこまでの積み重ねが織りなす高揚感では、釣り乙のルナとかユーシェ、乙りろのりそなには及ばなかったかなあと思います。
 そこかしこにシリーズとしての特殊な味わい、思い入れがちりばめられているので、その嵩増しがあってなおこう、ですし、特にこの2から始めました、って特異な人には、主人公の性質や滲み出る内輪感などは結構受け入れにくい部分も多いんじゃなかろうかと心配してしまうほどに、正直シリーズ性に寄りかかってる感じはありますよね。

 今回は下から順に触れていくと、ルミネシナリオは色んな意味で難しいなあと。
 その特異な生まれ故に育まれた行き過ぎの自立心とか、その反動であるかのような主人公に対する甘やかしとか、個々のステータスではさほど粗に思えない部分が、シナリオとして一本にまとまり、更にそれが崩壊していくと、これは本当にめんどくさい上に、転ぶ方向がほっとくとああ、ってのが実に厄介で。。。
 結局どれだけ自身を律し、清廉であろうとしても、周囲の環境がそれを許してくれないという息苦しい現実には同情の余地はありますが、やはり価値観の凝り固まり方が尋常ではなくて、しかも狷介な部分が目立っちゃうのはヒロインとしては可哀想。

 シナリオとしてもルミネ自身には、叶えたい大望のようなものはないから、どうしても主人公の夢を形を変えて二人で、というどこかご都合的な展開とまとめになってしまうし、ルミネにとっては成長でも、主人公にとってはもう一歩何か足りない結末ではないかと思っちゃいますね。
 このシナリオ内に限った事でなく、主人公とルミネは互いに変な部分で過保護であり過ぎて、今の等身大のお互いを見られていない部分があり、それが弊害となって、他シナリオでも、特に主人公の身バレに関わる問題の中での面倒さを拗らせている大きな要因になってるなあと。
 
 少なくとも最初のエストに告白したい、という部分からの対応は、ルミネシナリオの結果を見ればどう転んでも自分から責任をしょい込んでゴーサインを出してくれる理由がないよね、って思っちゃうし、そこまで含めてすごく不憫であり、またエストシナリオでの蹉跌にも大きな影響を与えているからなんだかなあと。
 勿論女装生活で育んだ日々の輝きあればこそ、主人公が一段上の境地に辿り着けたという結果論的な見方は出来ますけれど、最初から打ち明けていてそこに至れなかった理由もまた絶対的なものではないし、純粋に過程として見た場合に、ルミネが主人公の成長の足を引っ張っていたのは確かだと感じます。
 過保護、ってのは畢竟相手を本当には尊重もしてないし、信じてもいないわけですから、その点実に似た者同士ではあり、似た者同士である故の厄介さがこのシナリオには凝縮しちゃってるなあと。作品として必要な土台なのはわかるんですけど評価はしづらい。

 春子シナリオは普通に面白く、春子自身のステータス、ままならない現実の示し方は少し狡さもあるけれど、それ故にそうせざるを得ない精神性を、如何に前向きに捉え、才能と繋げていくかという意識の変革過程は非常に興味深かったです。
 シナリオとしても一番肩の力が抜ける内容ではあったし、このルートはエストが抜群に可愛いし、正直パル子がヒロインとしてきゅんとくる相手か、と言われればそこまででもなく、彼女としてはにかんでるより、気の置けない同志として歯を剥き出しに笑ってくれているほうが似合うな〜とか思っちゃうのはご愛嬌ですが。。。
 また彼女と触れ合う事での主人公の価値観の変容は他よりかなり大きくて、はっきり白黒がつく土俵でなく、より被服の根源的欲求や楽しみに根付いた、パル子の理想を体現する結末で締めているのも非常に読後感がいいと感じましたね。

 朔莉シナリオは、訊かされてみればなるほどさもありなん、なんだけど、序盤からの彼女の奇矯な振る舞いと頓狂な言動に糊塗されて、その可能性を発想しにくい構造に仕上げられている部分でまずひとつ大きな勝利だなあと感じます。
 他ルートも含めて、朔莉が何を考えてああいう振る舞いをしているか、ああいう行動をしているかという部分が、そこまでどこか眉を潜めて見ていた感情を見事にぐるり、ひっくり返して、そこから一滴のエッセンスも零すことなく朔莉に対する思い入れに転化するあの一幕は見事で、最大瞬間風速的には、シナリオとしてもヒロインとしても朔莉は一番光り輝いていたなあと。あのはんなりモードにはやられざるを得ない。。。
 惜しむらくは、主人公がその現実に気付くまでの過程にやや強引さがあることと、あくまでその真実が、主人公の気持ちそのものを一変させる部分には直結しても、それと朔莉が対面する現実の解としては直結しない構造であることで、演劇関連の作り込みや展開としては凡庸ではあったから、そこがもっと引き締まっていて、かつ連関性が強ければエストよりも評価できたんですけど、って感じ。

 エストシナリオは、このテーマ性に対しての王道的な展開、と言っていいでしょう。
 エストとの関係を深めていく過程の丁寧なこそばゆさ、共同制作を通じて感じたものをより大規模に具現化したいと願う想い、いわば主人公の孤高感の薄れによって生じた緩み、油断が、綺麗に言えばエストの側にいたいという素敵な欲求が、必然として唐突な身バレの展開に繋がっていく流れは実に説得的で、上手く組み立てられていました。
 そして、そこまでにそこかしこの要所で煌めいていたエストというヒロインの高潔さと献身性が、この相当に感情面で落差を作った状況においても炸裂するところに真骨頂があり、それが、口では色々言い、想いつつも、心の一番深いところでは認めていなかった主人公の現実と欺瞞を貫く刃となっているのも実にらしい構造というか、組み合わせの妙だなあと感じる部分。

 無論そこに至るまでに、エスト自身も主人公に大きく救われる部分はあり、その互いの足りない部分を補い合う理想の関係は、しかし学園生活の破たんと、最後の足掻きとしてのドレスづくりの中でまた昏迷に迷い込み、その齟齬に苦しみながらも、最後の最後でその答えに辿り着くのはお約束。
 そしてそこに、主人公にとっての今までの誇りの象徴を投じることで、二重三重の意味での脱皮、成長を思わせる部分も良く出来ていました。
 ただ結局、ラフォーレの立ち位置が、ただその状況を提出するためだけにしか役立ってないってのと、そのあからさまな宗旨替え、まあそれが芸術の孕む威力と言えばそうなのかもですけど、物語としてそれが必然と感じ得るだけの重みがあったかはやや疑問で、総体的には突き抜けて面白い、というわけでもなかったかなと。

 テーマとしても、主人公が肥大する自己の中で両親に追いつきたいと足掻いているのが、結果的にはそもそもの筋違いであり、スタートラインにも立っていなかったんですよ、その為に必要なものは・・・という部分に集約されている感はあり、無論そこから派生しての様々な要因もありますが、やっぱりそこでも縮小再生産的なイメージは付きまとってしまいますね。
 愛を与える、なんて傲慢な物言いがその象徴でもあり、やり口がスマートで如才ないから相手にその奥深い本音は悟られないものの、どこかひれは承認欲求とそこから派生する自己満足に終始している色合いが否めなかったので、それに延々付き合うのを楽しめるか、というのは、初代朝日との比較であれっ?と思う部分はあり、その意味で結構ヒロインを選ぶ主人公だったなあと。
 正直エストと春子には合ってたけど、朔莉は微妙、ルミネはうーん・・・って感じで、単純に相性ではいせたんのほうが良かった気もしますねぇ(笑)。

 後はアフアフで懐かしい面々と再会できたワクワク感と、あの二つの物語を公式的に一本線に纏める難解な作業をきちんと厭わずに提示してきた部分は嬉しかったですし、その辺も含めて総合的に、点数としてはここまでかな、というイメージです。

 

キャラ(20/20)

 それぞれに非常に個性の強いキャラが揃っていて、それがしっかり有機的に絡み合い、高め合っていく過程も見られるので面白いですが、正直主人公に対するイメージはあんまり良くなく、あと楽しみにしてたルミネがうーん・・・だったのもあって点数は少し迷いました。
 んでもやっぱりエストが相当に好きだし、後は朔莉のあの一瞬の煌めきもインパクト大だったので、欠点を補って余りあるかなと思いましたね。

 当然一番好きなのはエスト。いやあ本当に可愛かったですねこの子。
 なんというか、主人公が女の子だと思い込んでいればこそのあたりの柔らかさというか、親しみというか距離感というか、この辺の味わいはどこか人を寄せ付けない一線が確固としてるルナには出せなかった部分であり、その親愛、情愛が少しずつ恋愛へと比重を変えていく過程はすごく可愛くて可愛くて。
 当然それは本質の性格の順良さの証明でもあり、環境による抑圧や品性の欠落という欠点こそあれ、それも充分に可愛げの範疇で収まっていて、何よりそれら全てを払拭して余りある、ここぞという時の高潔さ、献身ぶりがとことんまで光っていて、その誠実さと普段のおどけた雰囲気の嵌り具合がバッチリだったと思います。
 他ルートでもその辺全くブレないし、活躍の場も多かったし、いつでも無条件に味方になってくれる信頼が眩しくて、嬉しくて、むしろそれを一身に浴びつつまだどこかで下に見てる主人公にいい加減にせーよ、とか思っちゃうくらいでしたね。。。

 ルミネは根本的な性格そのものはかなり好きなんですけど、このシナリオ、状況との噛み合いが非常に悪く、結果的に主人公の足枷になっている部分が目立つのと、自分のシナリオにしても非常に陳腐な問題からの蹉跌、視野の狭さと固着感が浮き彫りになっちゃって、しかもそこに付け込んでの主人公のやり口がああだからなんだかなあと。
 そこまでされないと変われない、そういう性質を培養せざるを得なかった環境には同情するし、むしろ関心もするのだけど、何事も行き過ぎは良くない、って典型でしたね〜。あの設定で年下とかかなり美味しいし、主人公の前でしか見せない愛らしさなんてのも多彩にあって、その辺は本当に好きなんですけどね・・・。

 朔莉はもうあのすべてがひっくり返った瞬間のはんなりモードが全てじゃないかと。
 その一途と献身には頭が下がるし、逆に他ルートではそれを無碍にしなきゃいけないからぐぬぬ・・・でもあり、いい意味でも悪い意味でもラスボス的な立ち位置ではあったなと。個人的には朔莉に関しては、先に知っておいてそれを噛み締めるよりも、後で気づいて驚嘆度合いを深めるほうがいいと思って後ろ手の攻略推奨してますけど、その辺は人によるかな。
 とにかく、個別シナリオでの破壊力はかなりのものでしたし、凄く鮮烈に印象に残るヒロインだったと思います。

 春子も普通に可愛いですし、ただどうしても三枚目路線のヒロインであり、初々しさとかは楽しめるけど二人の世界に耽溺しての甘々恋愛モード、とは中々ならなくて、元々弓という存在が身近にいて、それがどうしようもなく必要である現実があるために、二人で、というよりは仲間の力で、という色合いの強いシナリオの中で、光って入るけれどときめきはあまりない感じでしたかね。
 どうしても立ち位置的に他ルートで活躍しづらい部分もありますし、気楽で可愛いからもっと出番欲しかったんですけどね。

 アトレも可愛いですねぇ。ただりそなと違って全兄妹だし、アトレ自身の意識としてもヒロインとしての広がりはない感じで。
 そしてルミネとは対極的な、あくまで主人公の選択を全て尊重し、見守り、力を求められた時にだけそれに応じるというスタンスは、それはそれで突き放しではあるけれど、主人公にとってはよほど有用な対応ではあるのかなと。無論それが引け目に端を発している部分も含めて、純粋にプラスとは言えないですけど、そこも含んで、しかし普段から屈託なく愛らしい、この作品の癒し要素ですね〜。

 そしていせたんも可愛い。メンタリティがいかにもお嬢様的というか子供というか、素直すぎる部分は向き合い方に難しさは感じるけれども、本質の善良さと思いやりの深さは素敵だなあと。
 ただどうしても、相手の気持ちに寄り添ってのお節介でなく、あくまで自身の常識の中から見出したそれを真っ直ぐに振りかざしてくる分、相性の良し悪しはくっきり出てしまうし、それでもジャス子と仲良くなったあたりは頑張り屋だし、悪いと気付けば改められる柔軟さ(ただし気付くまでが遅い鈍感さもあるけれど)もあるから、やっぱりいい子、なんですよね。

 九千代もかなり好き。三日三晩愛を囁いてヒロイン堕ちさせたい(笑)。
 ジャス子は傍若無人で気紛れでめんどくさいけど、こと芸術に関してはこの作品の生温さに風穴を開ける狷介さと拘りを随所に示してくれて、彼女がいればこそ引き締まった部分もかなりあるので印象は強いですね。あとすごいCVが嵌ってた。
 カトリーヌ、ってそう言えばいたなあ(笑)。しかし三十路メリルは会いたいような会いたくないような・・・。三十路りそなはむしろびっくりするくらい変わってなさそうなんだけど、メリルは純朴さは残しつつ雰囲気は可憐から優美にシフトチェンジしてそうな気がするのです私。


CG(19/20)

 質量ともに充分ですし、雰囲気もしっかり出ていて、やっぱりあと乙りろからの画風のチェンジは私の中では大ヒットですねぇ。要所ですごくハッと可愛く感じるのが多かったです。

 立ち絵に関しては水準はクリアしているかなと。
 ポーズはエストとルミネは3種類、あとはサブも含めて1〜2種類だったと思います。登場人物多いから微妙に把握しきれてないけど。。。特に鮮烈なイメージのあるものはなく、無難ではあったけれど、それぞれのイメージはきちんと出せているかなと。
 お気に入りはエスト正面、やや右、左、ルミネ正面、パル子正面、朔莉正面、やや左、九千代正面、アトレやや左、いせたんやや右あたりです。

 服飾はヒロインで5〜7種類、サブでも1〜4種類とかなり豊富。季節ごとの雌伏が用意されている部分が大きいですが、流石に服飾舞台の作品だからそのくらいはやってくれてないと、ってのはありますかね。デザインも洗練されてて似合ってる感じです。
 特にお気に入りはエストの夏私服とルミネの春秋私服かな。どちらも本人の魅力と性格をすごくトレースした華やかで楚々とした雰囲気が気に入ってます。
 その他お気に入りは、エスト制服、春私服、寝間着、冬コート、ドレス、ルミネドレス、寝間着、夏私服、パル子制服、春私服、夏私服、朔莉制服、春私服、ドレス、九千代私服、メイド服、アトレ春私服、夏私服、いせたん夏私服、ジャス子夏私服あたりですね。

 表情差分はそれなり、遊びも多くあまり機微の深いとこまで潜ってる感じではないけれど、愛らしく可愛いイメージと、どこか近寄りがたい気品とかそういう部分の示しは上手くいってるなあと。
 お気に入りはエスト笑顔、ジト目、ジト目笑い、眉潜め、苦笑、照れ焦り、照れ笑い、線目げんなり、拗ね、ルミネ真面目、心配、叱り、照れ困り、照れ笑い、悄然、パル子にひひ笑顔、笑顔、困惑、照れ笑い、目が点、逆三角驚き、朔莉にやり、真面目、きらきら、陶然、アトレ笑顔、キラキラ、膨れ、不安、うっとり、九千代にっこり、不安、怒り、いせたん照れ困り、ニコニコ、怒り、ジャス子照れ困惑、冷ややかあたりですね。


 1枚絵はアフアフなど含めて全部で120枚と水準は軽く超えてますし、出来も安定している上にここ一番の破壊力は垂涎で素晴らしかったです。

 特にお気に入りは4枚。
 1枚目はエスト抱き上げ、出会いのシーンでもあり印象深く、かつエストの洗練ぶりと駄目っぷりをきっちり1枚でみせてくる威力があり好きですね。
 2枚目は初登校、エストと朝陽の好対照な美しさのコントラスト、そしてエストの呆れからにこやかへの変遷がすごくらしくて好きです。
 3枚目はエスト主人公庇い、それはシーンの素晴らしさ込みで問答無用で綺麗。最初の差分では髪が左に流れていて、それだけ必死に、躊躇なく飛び込んできたんだと思わせる雰囲気の出し方が絶妙で、それ故に涙で潤んだ瞳が心に痛い、本当に心に残る1枚ですね。
 4枚目は朔莉はんなり笑顔、これは差分すら一切ないベタな1枚絵なんですが、これもまた問答無用で朔莉というヒロインの隠し持っていた可愛げ、献身、想いの深さを十全に示せていて大好きな1枚です。

 その他お気に入りはページ順に、エスト寝起き、人工呼吸、励まし、テーブルの下で、キス、驚嘆、梳り、舞台、二人の舞台、口淫、騎乗位、正面愛撫、正常位、寄り添う二人、朔莉告白、過去の記憶、押し倒し、傲然、うたたね、ヒロイン、自慰、バック、添い寝、正常位、中庭のパル子たち、叱り、ラーメン、腕まくり、キス、連れ込まれ、茫然自失、涙の説得、くたびれ果て、走れ〜、騎乗位、クンニ、正常位、ルミネピアノ、採寸、詰め寄り、キス、ステージ、最優秀、バック、背面座位、おいでませ日本、断髪、演劇、退廃的な、退屈ジャス子、ルミネお風呂上りあたりですね。


BGM(17/20)

 飛び切り、というわけでもないけど、高い水準でまとまっているし、ただ結構重要なシーンではDesireピアノアレンジが鮮烈に目立っているので、それは直接の加点からは省いての採点にしてます。思い入れ補正がかなり強いですからね〜。

 ボーカル曲は3曲。
 OPの『Glitter』は中々の名曲、やはりどこか俯瞰的な、突き放したような寒々しさと孤高感をメロディに染み込ませつつ、徐々に連なりの温かみが含んでいって、サビのラストで溶け合い昇華するようなイメージ。完成度も高いですし、耳に残りやすい曲だなあと。
 挿入歌の『Love Slave』は、正直タイトルがストレートすぎてどうよ、とは思うし、曲としてもファッションショー向きの躍動感とセンシティヴな色合いは出ているけれど、個人的にこういうテクノ的なかっこよさ、ってあんまり好みではないんですよね、ってところ。
 EDの『Moon night Destiny』は明るく爽やかで悪い曲ではないけれど、あまりBメロの繋ぎが良くないなあ、ってのが、サビ自体はそれなりにいいのに引き立てられてない感じで、トータルとしてもあまり印象に残らず、ですね。

 BGMは全部で29曲、アレンジもちょいちょいあるけどまあ水準、雰囲気としてもこのノーブルな雰囲気と煌びやかさがしっかり出せていて悪くないと思います。
 お気に入りは『歓びの詩』『Moonlit glas』『ぐっどろもーにんぐす』『Sound Illumination』『みんな大好き朝陽が昇るよ』『天上の星を見上げて』『舞台の袖で立ち尽くす』『銀光赤火』『拝啓、お父様』『三度目のオルゴール』『月が綺麗ですね』『屋根裏部屋の子守歌』あたりですね。


システム(9/10)

 演出はいつも以上に楽しい感じですね。
 とにかく縦横無尽にピコピコ動くし、感情表現とセットですごく物語の情感に寄与してるし、音や背景にもかなり気を使って丁寧に作り込んではいるなあと感じる部分は多いです。ショーのシーンに関してはエスト一元化で他であまり目立たなかったのは勿体無いけど、その分エストのラストは力入ってましたしいいんじゃないでしょうか。
 ムービーもこのシリーズらしい耽美と退廃を仄かに漂わせつつ、しかしきちんとエストと朔莉をメインに据えてるあたりはしっかりシナリオともリンクしているし、色遣いなどのセンスは1の時のほうが好きだけどこれはこれでいいですね。

 システムは特に問題はないかな。
 ジャンプ系が有用でないのはややネックではあるけどそこまででもないし、ジェスチャーなどで利便性は高そう。スキップも遅くはない。
 ただいつも思うんだけど、ここの土台の音量ってちっちゃめというか、音楽が大きいというか、常にヘッドホン推奨な音のつくりになってる気はします。私どちらかと言えばそのまま垂れ流しのほうが好きなのでそこだけね。


総合(86/100)

 総プレイ時間23時間くらい、共通7時間、個別が3〜3.5時間、アペンドが2時間ちょいくらいです。
 もはや特性的に共通がかなり長めですが、その分周囲との交流をじっくり深める土台がしっかりするし、しかしあんまり女装に伴う困難系のトラブルはなかったなあ今回。女装系をシリーズで作るとそこがマンネリするから回避して、でもないならないで何か物足りない感覚になるってのは、アンサンブルもそうだけど弊害の一つではあるかなって。
 それはさておき、内容としてはそれなりに個別に多様性があり、作中期間が長い割にだれる部分も少なく、テンポよく読めて面白かったです。

 ただやはり本質的に釣り乙シリーズプレイヤー向け、という間口の狭さはあるし、その上で比較してどうしてもスケール感、カタルシスの面で一歩足りないイメージはあるかなって。とっても総合力の高い優秀な作品ではあるけど、それこそ何か足りない、と思わせる部分もあると思います。
 やっぱりそこはテーマを外側からでなく、育まれた関係の必然、前作の内面から派生したものでまとめてしまった部分に尽きる気はするし、無論それは偏狭な見方かもしれないけれど、このテーマでなければ書けない、という尖った部分を感じなかったからかなと。

 まあ微妙に喉に刺さった小骨に気を取られた感想になってますが、普通以上に面白いのは間違いないです。
 ただやはり、この作品から興味を持った人は、先に釣り乙と乙りろやってくださいねねって感じです。これスタートだとおよそ面白さは3割減、主人公のアクの強さに辟易する率3割増しになっちゃうので。
posted by クローバー at 04:41| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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