2015年10月22日

うたわれるもの

 ぶっちゃけ偽りの仮面やる前にプレイし直しとけ、って話だったんですけど、ともあれあっちクリアしたはいいものの色々とこの一作目の覚えてない設定や展開が多く、偽りのそれにおいても理解が届かないで悶々とした部分が多かったので、今ならDL版でそんなに高くなくプレイできたし折角だからと改めてやってみました。
 まあ感想としては本気で今更なのでごくサラッと、偽りの予備知識を抑えておくくらいの感覚で書きます。


シナリオ(25/30)

 悲しみの先に。

 主人公は大怪我をして森の中に倒れていたのをエルルゥという少女に発見され助けられますが、目覚めたとき一切の記憶を失っており、そしてその貌には決して外れないか面が被せられていました。
 そのまま成り行きで彼女の一家と村に世話になることになり、貧困にあえいでいる村を救うために様々な知識を駆使し、少しずつ村を豊かにしていくものの、それが貪欲な領主の目に止まり、苛斂誅求と言える宣告と、その不穏な空気の中で起こったエルルゥの祖母で村長であるトゥスクルの殺害が契機となって、主人公が指揮を取る形で反乱を起こすことになります。
 元より根腐れしていた國ゆえにその挙兵はすぐに大きなうねりとなり、主人公たちは新たな時代を築く旗手として歓迎され、やがて國の体制を転覆させ、新国家を樹立することに成功しますが、それはまた近隣国家との新たな軋轢となる事態で。

 平和な日々を守るために戦わなければならないという矛盾に胸を痛めつつ、國の皇として誠実に、けれど時には苛烈に振る舞う主人公、その戦乱の中で、やがて主人公自身の出自も少しずつ解きほぐされ、そこにあったのは、遥かな過去に連なる因果と運命の皮肉、過酷でした。
 戦乱の果てに彼らが手にする未来とはいかなるものか、そして今を紡ぐ過去の事実に直面した時、彼らは今の自分を保って生きていけるのか、これはそんな過酷な運命を乗り越えて歩むための想いの強さを育み、悲しみを抱きながら未来を切り拓いていく物語です。

 テキスト的には全体的に素朴で簡素、平凡な日常の幸せをも、戦乱がもたらす残虐や人の業の醜さをも、あたかも等価値であるかのように淡々と綴っているイメージで、その朴訥さ、文飾の薄さが逆に世界観の殺伐さと過酷さを裏打ちし、束の間の光芒である平和の尊さを炙り出しているかなと思います。

 シナリオ的には、協調を求めつつも各國の思惑や種族的な理念などが錯綜し、また裏側に戦乱を助長させる思惑もあるために、主人公たちの理想は踏み躙られ、結果的に望まない戦争を繰り返すたびに国が大きくなっていく、その過程で主人公自身の出自や、この國全体が抱える因縁、非業の過去などが、主人公の記憶とリンクする形で浮き彫りになっていく仕様です。
 最初期の反乱のあたりから、日常と非日常のバランスの取り方は実に巧みで、刻々と変化していく今に翻弄されつつ健気に生きていくヒロイン陣のいじらしさや、國を治める立場となっての苦悩や葛藤なども程よく振り分けられていて、ボリューム感はないけれど密度は高い話だなあと思います。

 現代基準で考えると、かなり残虐な描写や展開が連発しますし、救いの少ない作品であることは間違いないのですが、そういう一種の戦国時代的な風土の中での命の軽さを虚飾なく炙り出している内容ではあると思うし、それをもたらした根源的な部分がどこにあるか、というところで、今までの価値観がぐるりと反転していく構造なども鮮烈で、だからこそ悲しみの先に心に残るなにか、が色濃い作品と言えましょう。
 シナリオ的には13/15点くらいです。

 戦闘システムはまあ非常にシンプル、PS2版から追加されたフリーマップなどもないので、かなりはっきりと一軍二軍が振り分けられちゃう仕様であり、そこを割り切ってどれだけ特化型の強キャラを作り運用していくか、という部分で少しばかり頭は使いますけど、少なくともノーマルでプレイするならSRPGとしては難易度は高くはないですね。
 連撃と必殺技の判定で少しばかりアクション的な要素もあるから、個人的にはああいうのあんまり得意じゃないんで偽りと合わせて思い通りにいかない場面も多かったですけど(笑)、逆にこれくらいシンプルなほうがサクサクと進められるし、シナリオの方に意識を傾けられるからいいのかな、とは思います。
 とりあえずボーナスを全部攻撃力に振り切ったドリィは強いぜ〜。基本的には盾役が殴られている内に後ろからプスプスするのが常道ですし、一人でも遠距離キャラでエース級がいれば断然クリアするのは楽になりますね。
 戦闘システムとしては12/15点くらいで。

 あとざっとネタバレ含みつつ、特に偽りと関係してきそうな部分を少しばかり考察。あくまで今回流し読みした範疇で、ですので正しいかは自信はないですけど、わざわざこれプレイするのはちょっと、と思いつつも背景設定は知っておきたいと言う人にも理解できるくらいに軽く噛み砕いて書いてみます。
 もっともきちんと知りたかったらウィキとか考察まとめとか多分このくらいの作品ならあるだろうからそっち見るべきでしょうけどね。。。

 時代設定としては、まずウィツァルネミテアが君臨していた超古代期、というものは想定されるものの、それはほとんど神話の領域であり、ただ年代測定が出来ている以上実存性は高いと思われます。
 そしてハクオロさんこと考古学者がそのウィツァルネミテアが封印されているのを発見した時代、これが多分古代期であり、そこでその願いを歪んで叶える形で仮面が与えられ、そしてともに氷漬けで眠ることになって。

 そしてその後、地球環境の崩壊により地表に人類が生存できなくなった時代があり、それは何とか回復傾向に向かったものの、人類自身がその変化に対応できなくなった転換期を迎えて、その時代に考古学者さんは発掘され、アイスマンと称されて研究対象となり。
 んでその時代は人類が地表で生きられる強さを取り戻すための実験が多種多様に行われていて、亜人種なども数々生み出され、そして彼らは遺伝子的な部分でヒトに対する服従性を植え付けられている、という設定になっています。
 その研究にアイスマンの固有の遺伝子と、その仮面の不思議が加わり、様々な進歩をもたらすものの、その研究の行き過ぎによって、アイスマンが心通わせた亜人種のミコトとの関係を踏み躙ったことが契機になり、その真の力であるウィツァルネミテアの力が顕現して。

 その力はいわば神の力と同義であり、あらゆる願いを叶える力を持つものの、それがヒトが意図する形で顕現するわけではなく。
 この考古学者にしても、溢れる好奇心を素直に示したばかりに永遠の道連れにされ、そしてこの場面では人類の死にたくない、という本能の叫びが曲解され、後の時代に祟りと呼ばれる決して滅ぼせないスライム的な存在に塗り替えてしまう、という形で結実し、結果ヒトという種が実質的に滅亡した、ということですね。
 その時の暴走は、アイスマンの現身であり、オンカミヤムカイの始祖になるムツミによって一時的に封印されるものの、それは完璧でなく、幾度も眠りと目覚めを繰り返す中で、相反する意識の中で神としてのものと人としてのものの人格が、長い時をかけて分裂していくと。

 人類滅亡後、世界は亜人種のものとなり、文明は著しく後退したものの種そのものは世界各地で繁栄していって、そこに少しずつその神の意志が介入する形で進歩と破滅をもたらしていき、けれどその分裂した二人の意識の邂逅そのものは決して起こらなかったけれど、遂にこの時代にそれが起きてしまって。
 二人の同族嫌悪に似た感情がもたらす直情的な激突は世界に大きな地震となって顕れ、傷ついたアイスマン側の人格は、その時の地震で瀕死の重傷を負ったアルルゥを助けたいというエルルゥの願いに引き寄せられ、その想いを楔に契約を果たすことで、記憶こそ失ったものの、現世により実際的な形で介入できる依代を手にした、というのがゲームスタート時点での状況だと思います。

 エルルゥの嫉妬描写が多い、というのは昔からよく言われてたし、昔プレイした時は確かにそれでめんどい子だと思ったけれど、改めて今回設定を噛み締めてみると、その契約による自身の想いに対する確固たる自信の持てなさが、他のヒロインが見せる真っ直ぐな思慕に対する羨望として現れているのだなとよくわかります。なんか置き場がないのシャノンを思い出しますね、こっちのほうがずっと後発だけど。。。
 そしてその上で、仲間と触れ合い、戦乱を逞しく掻い潜り、主人公と必死さを伴って寄り添う中で、その契約が残っている時点できちんと自分の想いを言葉にして伝えられる強さを手にした、というところに真骨頂があると見るべきなんでしょうね。
 まあ穿ってみれば、その思慕そのものも遺伝子的に刷り込まれたものという見方も出来るし、ましてミコトの直系という扱いなら尚更ですけど、背景がどうであれ、今の自分の気持ちは自分だけのものだという強さこそが、挫けそうな先行きを照らす光になる、という部分だけは確かだと思えます。

 あのラストシーンはどう解釈するか幅がありますけど、綺麗に考えるなら、あの仮面の剥離はウィツァルネミテアの半身としての契約解除の証であり、となると元の考古学者としての肉体そのものはどこかに保管されてなくてはならない筈で、ともに大封印に呑まれたと見るのが妥当ですけど、皆の彼を想い、望む気持ちが世界に蓄積していく中で、願いを叶える神の面目躍如としてその眠りを解かれた、と思っておけば素敵ですよね。
 実際その時点でユズハの子は生まれ、おそらくその産褥でユズハ自身は亡くなっている、という状況にまでは時間軸は動いているし、そのズレも踏まえれば妥当な落としどころじゃないかと。
 そしてオボロがクオンを連れて旅に出る描写はあるけど、結果的にすぐ戻ってはきたんだろうなぁ。明らかに薬師の職能はエルルゥ譲りだろうし、カルラやトウカ、アルルゥにカミュと触れ合う機会が沢山あったのは、偽りでの家族的な感覚を見れば一目瞭然ですし、それもある意味では、彼女がまだ契約の最中にあったハクオロの子である故に背負った業が明らかになった故に、みんなで守り、その行く末を見届けるという使命感を感じさせるものですからね。



キャラ(20/20)

 キャラ性が色濃い作品ではないですけど、話の重さの中でそれぞれに光る部分はしっかり見せてくれたし、ヒロインは逞しくも可愛く、男もそれぞれに信念を背負ってかっこよく、まあ特にマイナスする要素はないなと。
 ただ実は私が一番好きなのクーヤなのにああいう仕打ちだからなぁ・・・。まあ少なからず自業自得な部分はあるのだけど、それにしても結局はあの若さであの重い国情と力を背負わされてしまった非業が根幹にあるし、だからこそゲンジマルがその軛から解き放ってやりたいと切望するのもわかるんですけど。
 エルルゥはやはりメインの面目は保つ魅力に溢れていたし、ユズハの儚さもすごく胸を打つし、アルルゥの不器用な無邪気さも切なくていいですよね。そしてベナウィさんかっくいい。


CG(17/20)

 この時代なんでだいぶ荒くは見えちゃうけど、それでも立ち絵なんかはかなり可愛いですよね。エルルゥの多彩な表情変化が好き。ポリゴンキャラもコミカルで可愛いし。
 1枚絵的には差分まで込みで100枚ないってのは少し寂しい感じはするし、仕方ないけど本当にHシーンとかおまけだもんなぁ。実際そこに意味を見出せるのエルルゥとユズハだけだし、カミュはシナリオ的には意味あるけど、あれだけで枠3つ使うとか。。。


BGM(18/20)

 ボーカル2曲、BGM23曲くらいだけど、世界観をしっかり引き出している曲群だと思うし、ボーカルの透明感と切なさが本当に胸を打ちますね。運命−さだめ−なんかは偽りでもアレンジ版あったけどやはりすごくいい曲。
 あとはOP曲にもなってるうたわれるものはやはり疾走感と切迫感、躍動感が兼ね備わって素晴らしい曲ですね。
 個人的にはPS2版のOP曲もすごく好きなので、そっちならもう少し高く評価できる項目化も。


システム(9/10)

 2002年発売ですし充分でしょう。戦闘もサクサク動くし(当時がどうだったかは知らん)、演出もかなり凝ってますよね。最後の仮面が落ちてくるシーンとかあの時代としては画期的なくらいだったんじゃなかろうか。
 OPムービーもアニメーションだったりと、色々先進的な試みが為されていると思うし、今更だと評価しづらい項目ではありますがこんな感じで。


総合(89/100)

 総プレイ時間20時間くらい、ざっとしたプレイですけど正直偽りより話としては面白いな、と思いますし(笑)、実際これやっとかないと、まだ偽りの時点ではともかく、次の最終作で話について行けずにポカーン、となる可能性は高いんで、偽りからこのシリーズ入った人は是非是非プレイ推奨です。
 まあPC版は色んな意味でかなり敷居が高いので(笑)、今ならアーカイブスのPS2版をやるのがベストかなぁ。619円ですし、フルボイスですし、OPもいい曲だし、残酷さも多少は緩和されてるはずだから、偽りとの連続性も踏まえると尚更に、って思います。正直わざわざ見るほどのHシーンじゃないしね。。。
posted by クローバー at 16:20| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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