2016年06月23日

聖鍵使いの命題(プロポジション)

 まず絵が好みだったのと、この振り切れた厨二的設定が中々面白く、体験版の紡ぎ方からしても奥行きのある内容にはならないかもなぁ、という懸念は大きかったのですが、最終的にはセレーネがとっても可愛い!というときめきが止まらなかったのでこそっと購入。


シナリオ(12/30)

 書きたいものだけ書いてます。

 主人公はスピアーノに遺跡で拾われた、人型を取っているものの自称神話級幻獣(ノートリアス・ヴァイアラン)の、実態は生活力皆無のクソニート。せめてもの救いは、戦闘にはそこそこ強い事と、人の嘘を匂いで見抜ける得意能力があることくらい。
 スピアーノが学園長を務めるオーバーランサー育成のための学園に入るもののまともに授業にも出ずに落第寸前、それを見かねてスピアーノが課した課題は、学園の敷地内にある閉鎖遺跡の調査兼クリアランス。倒しても復活するとされる幻獣を退治しつつ、遺跡を出来る限り奥まで探索するもので、その為に集められたのはそこまでの出自も性格も成績も色々と噛み合わない五人。

 実際に成績が悪く、自身が何も持っていないと自信を持てない少女、アキナ。
 由緒ある貴族の家に生まれ、その精神を愚直なまでに全うしようとする少女、エリー。
 少数民族の生まれで苦労を重ねつつ、飄々とした態度で生きる少女、リン。
 のっけから主人公に隠し事の存在を指摘される、どこか重い影を持つ少女、アリス。

 全く共通点のない五人は性格の上でもかち合う部分が多く、団結して課題に取り組もうとしても中々上手くいかずに、基本的にアキナが頑張ってその関係を繋ぎ、不満を慰撫しながら進んでいく一行、強大な敵との戦いでやっと団結を為すなど、紆余曲折の果てに辿り着いた終端部に待っていたのはスピアーノと、そしてなんとこの皇国の第一皇女であるユリアナでした。
 元々今回の人選に疑問を持っていた面々はどういうことかと問い質し、それに対してユリアは、この面々が兼ねてより皇国の秘宝として伝わる聖なる鍵に選ばれた存在であるといい、それぞれに与えられた鍵の光を取り戻すことで、この遺跡の更に深い階層に眠る古代文明の遺産、通称宙の遺産の在り処への道標となるのだと説明して、一同に改めて協力を仰いできます。

 それぞれに思惑はありつつ、そんな大任を運命的に授けられたことには誰しもが興奮を宿し、今後お忍びで入学してくるユリアを案内人に遺跡の探索を続けていくことが、今後の彼らの学園生活のメインとなっていきます。
 改めてクラスタ、と呼ばれるチームになった面々は、主人公の奔放さ、傍若無人さに振り回されつつ課題や任務、探索に忙しく駆け回る日々を迎えて。
 時に重い事件に直面しつつ、その過程でサキやセレーネという新たな仲間も加わっていき調査を続けていく中で、今の皇国が決して一枚岩でない現実、あちこちに燻る不穏の火種や、遺産を巡る多様な勢力の思惑を目の当たりにすることになって、時に道に迷い、苦悩しつつも、それぞれが自分の道を正しく真っ直ぐに切り開いていくことで、彼らは徐々に絆を深めつつ遺産の核心に近づいていきます。
 
 果たして遺跡に眠る遺産の正体とは何なのか?
 世情に蔓延る不穏の源泉と、その勢力の真の狙いとは?
 主人公達はその黒い思惑を打ち払い、正しき光で世界を照らすことが出来るのか?

 これは諦めない強さの中で育まれる矜持と信念、そして尊い絆の在り処を示したヒロイックサーガです。

 ……と、あらすじはざっくりこんな感じですね。
 枠組みとしてもその本筋の物語が一先ずの決着を見るところまでは一本道で、それが解決した頃には主人公は意味不明にヒロインサブヒロイン全員からモテモテになっていて、各々のヒロインと結ばれた場合、というパラレル的なイメージでの後日談が語られて終了、という流れになります。

 テキストは基本的に装飾過多ではあり、いかにもな大仰な雰囲気を演出しつつ、少なからずそういう綴りに書き手が酔っている雰囲気もあって、少なくとも読みやすいとは思わないですかね。
 全体的に語るべき部分と語りたい部分では圧倒的に後者に比重が置かれていて、その分だけ文章そのものとしても繋がりが雑だったり、行間を読んでもイメージが伝わりにくかったりはして、その辺はマイナスですが、ただそうであるだけテンポそのものは悪くなく、また主人公の性格がぶっ飛んでいるのでそれがキーになっての会話のバカバカしいおかしみ、というのはそこそこ楽しめるのかなと。
 ただ心理面での機微に触れる描写は本当に少なく、とりわけ主人公はそうなので、どうにも感情移入をしにくい構図にはなっていると思うし、まあ体験版の時点でわかっていたけどプラスマイナスで言えばマイナスの方が強いかな、と思います。

 ルート構成は上で触れたように基本的には一本道。
 ルート途中で各々のヒロインにスポットが当たる章や展開があり、そこで出る選択肢次第で最終的にヒロインとしての資格を得るか否か、ってのが決まる形で、一周目はヒロインのみ、それをクリアして最初から二周目をはじめるとサブヒロインにも同様の選択肢が出て、クリア後にアフターを楽しめる内容になっています。あ、サブの一人だけ特殊な手順踏まないとダメなのがちょっと難しいけど。
 まあ作風的に本筋がメインでイチャラブおまけ、って構造はわかっていたけれど、それにしても選択肢の内容が雑というか、主人公の介入に対してヒロインがどう感じたか、のほうをプレイヤーが選択するってのもある意味では斬新なつくりだなあと。

 その辺は後述する主人公のありようにも関わってくるとは思うんですが、どの道それだけでヒロインが主人公にラブラブになる、という簡素さも含めて感心出来る構造ではなく、またサブ攻略可能な二周目にしても、それが出来るから本筋にふくよかさが出る、なんてことは一切なく、単純に攻略可能な認識選択が追加されるだけなので色々肩透かしな面は否めないです。
 あとこの作品、そうやって本筋とアフター全員クリアしてもCGと音楽回想が全然埋まり切らず、すわここから真ルート発現か!?と思わせておいて、最初からやってみると全クリ御礼に未使用CGと音楽が解放されます!とか出て、アホかいっ!って突っ込まざるを得なくなります。。。
 その辺からも明らかに初期構想からは大分縮小したつくりに甘んじてるんだろうなー、ってのが透けてみえるのがどうにもですし、それも本編の尺がたっぷりあって仕方なく、ならまだしも、決してそうじゃないですからねー……。

 シナリオに関しては本当に、書きたいことしか書いてないことで、勿論その書きたい部分の面白さは確かなんだけど、それを統合する話全体の流れ、前後の繋がりの部分がハチャメチャで、露骨にその書きたい展開の為に状況を無理くり作りましたー、ってイメージが透けてみえてしまうので、少なくとも私のスタンスだとそれは評価できない、となる感じです。
 やはりこういうハイファンタジーな世界観においてはその世界観なりのルール、ってものは大切になってくるし、その中で状況が変化していくための必然を理屈でも最低限紡いでおかないと、どれだけ情緒面で正しさを、尊さを強調しても安っぽくなるのは否めなくて、この作品はその為の蓄積や配慮が本当に欠けていると思わざるを得なかったです。

 まあ話の取っ掛かりとしての聖鍵に選ばれた、ってあたりくらいはいかにもファンタジーらしいところでいいんですが、しかし選ばれた存在だからといって彼らがまだ未熟な学生であることには違いないはずなのに、問題の外縁でなくいきなり核心に配置されていく状況はどうなの?と思わざるを得ないです。せめて最初は外縁にいたのに、その活動の中で目覚ましく働き過ぎていつしか核心に肉薄してしまった、くらいの構図は、特に序盤では必要だと思うんですよね。
 普通に死の危険を伴う遺跡探索に平然と皇女様を連れて行ったり、オーレリー救出戦にしてもなんでそんな危険すぎる役割を平然とこいつらに振るの?って話だし、正直スピアーノは人道主義なのか非情冷酷なのかさっぱりわからん。明らかにそこは信頼と責任をはき違えてるし、状況のシリアスさに対して色々と振る舞いが粗忽過ぎるだろうと。その辺書きたいことに無理に寄せた弊害はアリアリ、ってとこです。

 それでもまだオーレリー編までは外的要因からの巻き込まれ、というつくりで状況そのものは不自然じゃないけど、その後のエリー編やリン編は、まずどうしてそんな活動をそんな不自然な人数でしなきゃならんのだよ、というツッコミどころ満載の状況構築の上、そもそも軸となるヒロインの精神的な葛藤や軋轢の出自への言及がそこまでほとんど皆無だったのに、いきなりシリアスな関係がポッと出のサブのヒロインとの間に生じて、そしてご都合主義的に迷いから脱却して解決、とかオイオイと。
 この辺も結局、仲間との絆の形成も含めて書きたい展開の着地点が最初に決まってて、そこに繋げるために無理に状況を構築した感が色濃過ぎるし、そこでどっちらけるのでいくら感動的な展開が用意されていても感情移入できないよなぁって。

 皇都編なんかはアリスの心情に関してはまだ最低限の伏線はあれ、危機の紡ぎ方とかが更に露骨だし、ただの勘、で警備に穴をきたすような配置を是認するなよと。せめてユリアはアリスの出自と能力を知っていて、けどそれに抑圧されている現状を憂いてそうした、くらいの前提は欲しいし、それにしたって襲われるの前提になるからうさん臭いし、そもそもこの世界の大人達はまともに仕事してないのかよ、って話にもなる。。。
 そしてオーレリー編でのアキナや、皇都編でのアリスみたいに、危機に至るといきなり能力開眼、的な屋上屋を重ねるような展開に関しても、それを示唆するような伏線や機微がほとんど触れられないままにいきなり開示されるのでなんじゃそら、となってしまうし、せめてそれだけの開眼を可能にする蓄積や当人の心情の発露があればまだしもだけど、それすらもほぼほぼなくて薄っぺらいのがね……。

 とにかく全体的に心情面・状況面での肉付けの薄さが目立ちまくる中で、それでも不思議と主人公にみんなが心を寄せつつチームとして完成していくところで、序盤からちらほら姿を見せていたわかりやすい敵役とその黒幕との対峙にさっさかと至ってしまい、オイオイまだ鍵全部解放されてないやん、ってことはまだラスボスじゃないの?と思ったけどいいえやっぱりラスボスでした、の悲しいオチ。
 かつ黒幕の小悪党ぶりがあんまりなのと、敵役の正体のやっぱり感(この辺は前提次第で違うかもだけど)は露骨だし、その思想に繋がる過去の事件に関しても言及は本当に薄いから、表裏一体的なアキナの真の覚醒にも嘘くささが付きまとうし、そもそもそれを見せるためにアキナにあんな不憫な役回りさせるなよと言いたい。あのドシリアスな局面で個人の感情の都合が真っ先に来るとかいくらなんでもねぇ。

 そしてそのラスダン攻略的な展開の中、しかし位置関係考えたときにどうして主人公のチーム以外誰も抵抗すらしようとしないのか。。。
 少なくとも主人公達と同等に戦えるくらいの学生なんぞわんさかいるだろうし、それを教導する面々も出揃っているはずなのに、全員しっぽ巻いて逃げたんかい!?と思わざるを得ない無茶苦茶強引な状況設定には呆れを通り越して笑うしかなかったし、そこからの決着のつけ方も恐ろしく陳腐だったなあと。この辺はどうしても最初の入りの時点でマイナスイメージが付与されるとそう見做すしかなくなっちゃうわけで、別にその心情的な措置そのものは綺麗でいい話なだけに本当にもどかしい。
 本当にこの作品は、要所の展開「だけ」切り取れば充分に名作になれる余地は備えているのですけど、その要所で確実に読み手を感動させるだけの下準備や配慮が本当に下手、もしくは最初からやる気がないとしか思えないのが非常に残念なのでした。まあそれも体験版の時点で薄々勘付けるし、私も最悪それでもいいや、ってお布施感覚で買ってはいるのでそこまでのがっかり感はないんですけどもね。。。

 あとそういう作品の傾向に拍車をかけているのが主人公の成り立ち、言動かなとは思います。
 結局この作品はクリアしても沢山謎が残っていて、あわよくば続編を出そうかというあさましさがどうしてもあるわけですが、やっぱり一番の問題は主人公の出自が結局曖昧な事と、遺跡探索が結局中途半端で、主人公とアキナの鍵の開放に至る展開が紡がれていない点に尽きるなと。
 それはシナリオ構造の上でも未完成、というイメージを糊塗して余りあるわけですが、恋愛ものとしてもかなり致命的な問題を生じさせていると思うんですよね。

 というのも、この主人公は本当に特異な精神性の持ち主なんですよね。
 基本的に本能的であり、欺瞞を好まず、やはりもともと人間ではない、というスタンスの中で、心情の機微に地の文で触れる箇所が極端に少ないというのも相俟って、非常に行動原理がシンプルで感情表現でも多彩性を欠いている、という印象は強いです。
 だからそういう本質的な部分を補強する上でも、彼の出自に関してはある程度明確になってないと、という部分はあり、その立脚点故にこそこうもたびたび危機に直面してなお、諦めない強さを一切迷わず真っ直ぐに奮えるのだという担保はあって然るべきだろうと思うのです。

 少なくともヒロイン達は主人公のその部分に一番強く惹かれているわけですし、なればこそその唯一無二に近い惹かれる理由、に関しては徹底的に掘り下げておかないと、傍目から見て本当に碌でもない主人公なので、どうして好きになったの?ってところに共感が及びにくいわけですね。少なくともこの内容では私は全く共感できなかったし。。。
 だから例えば、いくらアキナが色眼鏡で主人公の事を素直じゃないとか、むっつりだとか勝手に思って嫉妬して暴走しても完全に独り相撲にしか見えず、正直この主人公ヒロイン達にそもそも女性としての興味は持ってないよね?という風にしか読み取れないんですよねぇ。

 んで、結局主人公がそんなんだから、いざアフターで恋愛に至ろうとしても、どのルートでもヒロインが空回りしつつ自分の恋愛感情を一方的に押し付けて満足しているようにしか見えないのが虚しいところなんですよね。
 主人公はそういう気質だから、でそこは諦めがつくにしても、ヒロイン側の思い入れの担保も薄いから余計にその関係性に魅力というか羨ましさというか、恋愛してるカップルのキラキラ感を感じることが出来ないし、挙句ろくにイチャイチャも経ないままに契りだけはしっかり結んでおしまい、ですからねぇ、嘆かわしいにも程がある。

 そもそもこの主人公に性欲あるのかよ?という疑問すらあるし、やっぱり徹底して主人公側の心情はスルーされるから、愛のあるセックスというより本能的な生殖行為、ってイメージが強く出てしまって、本当にどうして主人公をこんな偏った造形にしたのかと思わざるを得ないのです。やたら後背位が多いのもそういう分離した精神性の象徴なのかなと思うとぐむむ、って感じで。
 それが今後の展開のための伏線出し惜しみ故の弊害だとしたら本当に切ないし、こういう節操のない主人公だからパラレルの中でとはいえハーレム的に誰とでも誘われれば寝る、くらいの割り切りを紡げるのだろうけど、サブまで攻略できること自体は嬉しいにせよ、その内実として本当に空疎なのは辛いなあと思うのです。

 以上そんな感じで、個別として評価できるほどの内容はなく、そして本筋も光るものがあるのは認めるけどその見せ方が概ね気に食わない、というところで、最大限に評価してもこの点数かな、って部分はあります。
 ただし私がそう感じる前提として、どうにもこの作品はファルコムの軌跡シリーズとイメージが被る部分がやたらと多くて、自然に比較して見てしまう部分は多々あり、そのせいでシナリオの仕掛けや展開に関してもああやっぱりね、と思ってしまうのはあるので、そうでない人がプレイした時にはやはり軽さは否めないとしても、その最大瞬間の驚きや感銘はその欠点を凌駕するものになり得るのかな、とは思うので、そこは含みおきくださいというところですね。

 最後にネタバレというか、あくまで私個人の自己満足の為に軌跡シリーズとの共通点の洗い出しをざっくり白抜きで触れておきますので、この辺は興味ない人は全力すっ飛ばしてくださいませ。。。

 いやホントにこれ、字面だけで見てもやたらと軌跡シリーズ、とりわけ閃の軌跡に印象がそっくりでそっくりで。。。
 とりあえずざっくり設定面で思いつく限り箇条書きにしていくと……。

・古代文明の遺産、なんてものがあり、それを巡っての争いがある
・内乱の火種を孕んだ帝国という舞台設定
・教会勢力が特殊な立場、能力を有している
・不思議なモンスターと、それに対抗する特殊な文明の利器の存在
・主人公達は特殊な理由があって特別に集められた関係
・遺跡調査で戦いの技術を高め、実地体験で社会性を学んでいく構図
・その過程でヒロイン個々の葛藤や迷いが解消されていく展開
・主人公達に突如開眼する特殊な能力とその源泉
・仮面の敵役の存在と、その正体が実は……
・最終決戦で自分達の拠点が魔城化
・それに一隻の船と少ない仲間で内外から対峙していく構図

 ……まあ深く考えずにこれだけ出てくるというか、話の進め方、フレームそのものがかなり閃の軌跡に酷似しているので、正直全く影響を受けてないとは私の視点だと疑わしいし、本当に上澄みの美味しそうなところだけかき集めて継ぎ接ぎにつなぎ合わせた、って印象は否めないんですよねぇ。
 でもシナリオ面でも触れたけど、軌跡シリーズだと少なくとも最初は身の丈に合った課題を与えられて、その中で少しずつ成長しつつやがて大きな陰謀や敵に必然の流れの中で対峙していく、その状況面と心象面の作り込みが相当に深いからこそ、要所での情緒的な反応や意思決定にも説得性を有するわけで、その下準備を怠ってしまえば空疎にならざるを得ないよねと。

 あとやっぱりキャラデザイン的にも、特にヒロインはどこか閃の軌跡のキャラを彷彿とさせるイメージがあって。
 素直になれない中で自分の道に迷うアキナは、メインの立ち位置というのも含めてアリサっぽいし、秘密を抱えながらもみんなをサポートする立ち位置のアリスはエマっぽく。
 文武両道の優等生でありつつその自分の正しさに疑問を抱きながら進むサキはラウラっぽくて、不穏な組織から離れて自分の生き方を模索するセレーネは、サキと心情面で対峙する部分も含めてフィーっぽい。
 んでエリーとリンは、立場の違いと価値観の違いで対立することが多いってところでユーシスとマキアスの関係を少しイメージさせるし、あれ?エリオットだけいないな(笑)。あれか、サキの従者がそれっぽいか。。。

 もっとも主人公像としては真逆に近く、誰よりも深い悩みを抱えつつみんなの為に、と自分を犠牲にしかねない勢いで誠実さを貫くリィンには、まあそりゃみんな惚れるだろうよ、って納得感はあるんだけども、ホントつくづくハルトを好きになる感覚が理解できん。女子的感性だとああいう素っ気ないのにいざって時にドキッとすることをズパッと口にするタイプってのは魅力的なものなのかしらん?
 
 そしてまだ他のキャラは、あくまでもスタンスが似通っているというだけで性格や見た目までは重なる部分は少ないんだけども、しかしユリアとアルフィンだけはイメージがもろに被り過ぎだろと。
 皇女としての自覚と責任感はしっかり持ちつつも、本質的に明るく屈託のない気さくな性格で、恋に対する憧れなんかも存分に持っていて、金髪のふんわりロングに赤を基調とした衣装に至るまでそっくり過ぎて、それだけにこの作品の中で自分から危機に飛び込むような軽率さや、行き過ぎたアプローチなんかを見るともやっとする部分が大きくもあり、でもそれでも可愛くもありで。。。
 だからユリアとのHシーンは個人的にものすごい背徳感というか、違う意味で冒涜してはいけないものを冒し、犯している感じが強くって、正直この作品のHシーンは感情のやり取りが一方的に過ぎるように思えてしまう前提があるので基本全然胸に響かなかったんだけど、すみませんユリアとのシーンだけはすんごく興奮しました(笑)。

 ともあれ、そういう前提があってのプレイだったので、総合的に見てどっちらけに感じる部分ばかり目についたけど、比較論的な意味での楽しみと、あと向こうでは絶対に味わえない愉しみを提供してくれたという点ではGJ!と言っておきます。。。



キャラ(17/20)

 基本的に成長譚、であるはずなんだけども、ヒロイン個々がそういう観念を築くに至った背景に触れる部分が物凄く少ないままに、表面的な問題部分にだけ触れてあっさり解決、なんてプロセスが連打するだけになんとも歯痒いというか、ヒロインに感情移入する余地がすごく薄い作品で。
 その上に本気で主人公がクソニートであり、資質そのものは非常時のヒーロー的な特殊な強さを備えていて、使いようによっては魅力的になる、例えばランスみたいに傍若無人で欲望に忠実でも人間らしい弱さをもちらほら垣間見せるキャラだといいんだけど、心象に地の文で全然触れないのもあり本当に言動態度だけで測るとろくでなしなもので困ってしまうわけですね。
 ヒロイン同士の横の繋がりもそこまで深くは綴られないし、基本感情の交流での温もりや盛り上がりが汲み取りにくいってのが最大の問題かなって思います。

 そんな中で一番好きなのはやっぱりセレーネかな。単純に第一印象を覆すほどに誰も伸びてこなかった、とも言えるし、セレーネ自体も最初より好きになれたかってーと微妙なんですけどね。。。
 まあでも一番見た目もスタイル的にも好みで、小動物的に懐いてくる性格や挙動も可愛いし、いざ戦闘になれば頼りにもなって、恋愛モードでももじもじしつつ意外と押しが強かったりでまあこれはこれで可愛いと。

 次いでユリアになっちゃうのか。。。まあこれは確実に別件での思い入れ補正がある故ですが(笑)。
 スピアーノも好みだったんだけど、管理責任者としてのスタンスというか、なんか色々と信念がブレているようにも見えるし、結局過去話もスルーだしなあ。これも続編かスピンオフで出すつもりなんだろうか?ロリユリアとの流亡編は見てみたいのですが、正直これ以上このシリーズにお布施するのは気が進まないんだよなぁ……。

 他のヒロインは自分にスポットが当たる部分でむしろ露骨にマイナスイメージを増幅させちゃってるのもあるし、まあせいぜいアリスくらいはちょい好き、程度で本当に思い入れが持てなかったなあと。


CG(17/20)

 最近あんまり見ない絵柄と塗りだなあってところで、でもかなり私好みだったし、質量ともに中々のものがあったのでこの点では結構満足してます。まあ使われなかったバトル差分が山ほどあるみたいでご苦労様です、としかいいようはないけれど。。。

 立ち絵に関しては出来はいいけど量自体は水準よりはちょい物足りないかな、って感じ。
 ポーズはヒロインサブともに2種類、腕差分もちょっとだけはあるけれど基本動きは乏しく、そもそもポーズのひとつは見返りなんだけどほとんど使われないからそこは勿体ない。ただ基本のポーズでそれなりにちゃんと個性は出ているので悪くはないんじゃないかと。
 お気に入りはセレーネ、アリス、サキ、リン、ユリア、ミラノあたりかな。

 服飾はヒロインで基本3種類、サブで2〜3種類、なぜかセレーネだけ最後の最後に水着立ち絵が追加されて嬉しいのか嬉しくないのか。。。そりゃ水着も可愛いけど私は白ストでのHシーンが見たかったんじゃー!とね(笑)。
 デザイン的には正直そこまで良くはなく、また制服と戦闘服が酷似しているキャラのほうが多いのでその辺でも物足りなさはちょっとあるかな。
 お気に入りはセレーネ制服、私服、戦闘服、水着、アリス私服、リン私服、戦闘服、エリー制服、サキ制服、戦闘服、ユリアドレス、制服、ローラ制服、ミラノ私服、給仕服、スピアーノスーツあたりですね。

 表情差分はそんなに多くはないけど遊びも多く、満遍なく可愛さを引き出せているのではと。
 お気に入りはセレーネ笑顔、はにかみ、きょとん、悲しみ、照れ、目逸らし、アリス笑顔、困惑、悄然、ユリア笑顔、驚き、照れ笑い、真剣、アキナ膨れ、照れ困り、三白眼、ジト目、エリー焦り、照れ困り、笑顔、リンニヤリ、照れ笑い、怒り、サキ得意げ、笑顔、照れ上目、ミラノ照れ目逸らし、スピアーノ三白眼、笑顔あたりですね。

 1枚絵はSDっぽいのもあるしキャラごとに重複もあるから正確か自信はないけど、全部で138枚とかなりのボリューム。無論戦闘上の演出とかでの使用分もあるし、似通った構図も多いから一概に枚数そのもので評価しにくいところもあるけど、出来も安定して綺麗で個人的にはかなり好みでしたし満足ですね。
 
 特にお気に入りは3枚。
 1枚目はセレーネとサキの勉強会、この二人の真剣な雰囲気に漂う安らぎと可愛さが凄く好みですね。
 2枚目はエリー屈曲位、これは本当にボディラインが綺麗に描かれていて好きです。
 3枚目はセレーネ鏡越しのバック、これも華奢な体のラインが凄く綺麗に出ているし、セレーネの雰囲気も淫蕩さと愛らしさが等分に出ていて好き。

 その他お気に入りはページ順に、アキナとローラ、パンチ、キス、スパ、メイド、対峙、みんなの絆、騎乗位、屈曲位、エリー出会い、攻撃、触手、勲章、フェラ、バック、リン出会い、昏倒、攻撃、料理、笛、仲直り、バック、フェラ、正常位、アリス着替え、告白、自傷、立ちバック、フェラ、バック、指揮、セレーネ出会い、着替えもじもじ、エサやり、別れ、戦闘、涙、温もり、フェラ、バック、69、サキ出会い、バリア、お出掛け、人質、バック、正常位、スピアーノ指揮、登場、砲撃、正常位、ネス駅弁、ローラ告白、バック、ユリアご挨拶、対峙、立ちバック、正常位あたりですね。


BGM(18/20) 

 まあ作中で使ってないものも結構あったので評価に迷うところはあるんですけど、質としてはおおむね高く量も揃っていて、しっかり日常とシリアスの雰囲気の差も出せていて曲としてはかなりいい出来かと。むしろシナリオより余程情感を引き出してくれるよね。。。

 ボーカル曲は2曲、OPの『久遠の冀求』は男性ボーカルで重厚感と迫力を醸しつつ、伸びやかで疾走感のあるメロディにしっかり魂を載せてきている感じで、Bメロでいったんしっとりしてからのサビの盛り上げ方はいいバランスだなと思います。
 EDの『猛き羽風』はこれもまたバトル作品らしい力強さを備え、ボーカル的にも覇気をしっかり前面に押し出しつつ、ここからまだ更に過酷な未来を切り開いていく、というイメージもあって、いい曲なんだけどEDというより第2OPみたいな感じも強いなあと(笑)。

 BGMは全部で42曲とかなり豪華、まあクリア時点で少なくとも5曲くらいは???のままだったのでアレですけど、質量ともに中々だし特にレベルはないけれど戦闘曲はいい盛り上がりがあって好きですね。
 お気に入りは『リンの笛』『命題を求めて』『古き街並み〜皇都インヴォア〜』『さざめく少女達』『聖女』『聖鍵が示すは』『希望の灯』『警鐘』『悪名高き幻獣神』『未来を懸けて』『迫りくる気配』『どうする!?』『決戦』『死闘』『煌めく雲の果てで』『蒼穹を見据えて』『命題の意味』あたりですね。


システム(8/10)

 演出はまあそこそこ。
 キャラはそこそこ動くけど派手さはなく、戦闘演出も固有の1枚絵を広範に使い回してのものがほとんどで、盛り上がりを妨げることはないけどこの効果で更に盛り上げる、という部分はあまりなかったかな。アキナの覚醒くらいだけどアレはアレで唐突過ぎて使い方間違えてる感がね。。。
 ムービーは無難に纏まっているし悪くはないです。

 システムも必要最低限はしっかり完備しているし、ジャンプが高速なので回収プレイもそこまで苦にはならずですかね。


総合(72/100)

 総プレイ時間16時間。共通11時間ちょいくらいにアフターが全部で5時間弱って感じで、正直値段を考えるとボリュームは明らかに足りない、かつ内容としても見せている部分に対する肉付けも足りなければシナリオとしての伏線回収度も足りない、という中で、正直褒められたものではないだろうと。
 無論要所での盛り上がりを否定はしないんだけど、そこに至る経緯が雑過ぎてものすっごい子供騙し的な薄っぺらいつくりになってしまっていると思うし、バトル物としての血生臭さを伴う重厚な展開を期待すると肩透かしを食らうことは必定ですかね。
 恋愛要素としても上で触れたように思い入れにくい構造の欠陥が顕著なので、正直このヒロインが好き、ってだけで買うのもお勧めできず、まあわかっちゃいたけど微妙な作品でありました。
posted by クローバー at 06:39| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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