2016年08月15日

フローラル・フローラブ

 基本的にサガプラは、ってのはあるし、体験版がいい意味でOHP詐欺というか、イメージと全然違うシリアス路線でかなり面白そうだったので楽しみにしていました。


シナリオ(24/30)

 啓示とはなんであろうか?


 主人公は幼い頃に両親を失い、救済院で暮らす日々の中でとある事件に巻き込まれ、その時の記憶は曖昧ながら、自身の命と引き換えに自分を救ってくれた人がいた事を知って、ずっとその罪の意識に苛まれています。
 またその時から主人公の身には、人の想いの善悪を、背中から湧き出る羽の色で見分けることが出来る特別な能力が備わり、それもあっていつしか自分も他人も信じられずに、何事も疑ってかかってしまう性格となってしまっていて。
 故に長らく他人に一線を置いて接し、それは養父や、或いは救済院に入った頃からの知り合いで、この街一帯を治める領主のような家柄のお嬢様である夏乃に対しても同様で、必要以上に慣れ合わずに生きてきました。例外は家族の莉玖くらいのものながら、彼女もまた主人公以外の他者とは必要以上に関わらない生き方を貫いており、その世界はとても閉じたもので。

 一方で、自身の特別な能力の事を知っている教会関係者の愁やこはねにも完全に心は開かないながらも、恩義を返すという意味で聖書朗読委員会に属し、その委員会の裏の顔である、学園の治安を維持するための諜報活動にその特別な能力と、そして義父から仕込まれた後天的な力を生かして従事しており、それもあってより一層目立たず、人と触れ合わない学園生活を送っていたのです。

 そんなある日、いつものように教会に向かおうとした主人公は不思議な出会いをします。
 金髪碧眼の、明らかにこの国の人間でない可憐な少女が、こともあろうに学内の変哲もない道の上で、行き倒れ宜しく脱力しているのを発見したのです。

 流石に見過ごすのも気が引けて、そのあーちゃんと名乗る不思議な脱力系少女を介抱したのちに改めて教会に向かうと、そこでは新たな任務が待っていました。
 それは、今日から留学予定となっていた中欧の小国であるベルクシュトラーセの王女の信仰背景の調査であり、そこで見せられた写真には見覚えがありました。その顔はつい先程に知り合ったばかりの少女のものだったのです。
 そこからなし崩しに王女を巡る複雑怪奇な陰謀に足を踏み入れることになった主人公は、その背景を探り、思案することに没頭し、どこか物憂げな夏乃の様子にも頓着を見せず、その親友である七緒に冷たいと絡まれたりもしながら、真相を究明するために結果として個々人との距離を縮めていくことになって。

 更に、その陰謀の根が自身の過去にも繋がっていることに気付かされ、その真実に肉薄していく中で主人公は、今までの自分と、これからの生き方について見つめ直す機会を得て、その中で決して自分が悪意に囲まれているのではなく、善意によって生かされてきたことを実感するようになっていきます。
 これは様々な愛の形がある中で、それをどう受け止めるかで生き方がガラッと変わってくるありようを克明に記した、愛と絆と恩寵の物語です。


 あらすじはざっくりこんな感じですね。
 全体的に共通序盤からあんまりネタバレすると興ざめ、って話が多いのでふわっと書きましたが、大枠としては事件を通じて自身の過去を改めて見つめ直し、その過酷に挫けそうになる主人公をヒロインがそっと支えてくれて、その結果として仲を深めていく中でヒロイン側の心の傷も開示されて、互いに支え合うことで前向きな未来を掴んでいく、という流れになります。

 テキストは全般的に理知的でありメッセージ性が強いと同時に、感情に訴えかける表現を多用して読み手の情感を上手く揺さぶってくるバランスが優れているなと感じます。
 特に負の面で感情を加速させる描写なんかすごく真に迫っているというか、まあ実際的に人間って悪いこと考えだすとそういうスパイラルに嵌るよね、って納得はあるし、そういう山谷、緩急がはっきりしている分だけ読み口としても切れ味があり、迫力も醸していると思えます。
 根底的には理詰めなので私としては好きなタイプですが、ただ勢いの中での驚きや喜びはあっても笑いは殆ど用意はされていないので、見た目の印象よりかなりシリアス、ってのは確かだと思いますね。

 ルート構成は色々と工夫が散りばめられているなと。
 一周目だと選択肢がかなり限定されていて、すわルートロックかと思うけど実はそうでもないみたいで、ヒロイン四人とサブの愁のルートには最初から分岐可能のようです。選択肢での場所移動がLaNEのID交換の有無に左右されているようで、各々の個別をクリアすると次周から開放されるのですが、そのメカニズム自体が総合的な構成の伏線になっている形式ですね。
 またメイン四人の分岐に関しても一癖あり、共通の流れに沿っての感情移入度合い、特にヒロイン側のそれが強く反映される分岐になっていて、その分共通自体も大分変化があるので中々興味深いです。
 そして全ヒロインをクリアするとグランドルートが解放されて、そこで莉玖を攻略できるという構成です。


 シナリオに関しては、やばり根幹となる部分に関しては精密に組み上げられているな、というイメージであり、総合的に見てかなりメッセージ性の強い内容ではあるものの、舞台設定やキャラ設定の巧みさを存分に生かしてそれを丁寧にシナリオの流れの中に溶かし込んでいて、それなり以上に読みごたえもあるし、読み解き甲斐もある話だったと思いますね。
 結構テーマとしても複合的な部分はあり、これ、と決めつけにくい奥深さはあるのですが、一番簡単なところで見れば概ねは愛の受け止め方、向き合い方という部分に収斂されるのかなと思います。

 主人公が幼児期の体験やその結果身についた特殊な能力のせいで、基本的に人間不信でありつつも根源的には善良で、しかしそんな自分をも信じられないところを、いくつかの事件を通じて改めて過去に向き合うことで少しずつ克服していく段取りはとても丁寧であり、またヒロインごとに個別での入り口の立ち位置を少しずつずらしているのも面白い試みだなと感じました。
 愛の示し方も人それぞれではあり、そして受け取る側としてもどういう心情に至ればそれを素直に受け止められるのか、ってのはまちまちで、その相性というかタイミングというか、その二人が結ばれるに足る必然的な精神性をしっかり確立させて、ってつくりは、当然情の面を表立たせてはいるけれど本質的にすごく論理的だと思ったし、それがある程度個別でも差異を出せていていい味付けだなと。

 細かい部分はこの後ネタバレで詳述しますが、ともあれどういう心境の中でどこまで様々な愛を受け止められるか、そういう思想的な部分が特に本筋に近しいシナリオでは重点的に綴られていて、最後のシナリオではそれがより広範に渡っていく、という解釈で大筋は間違ってないと思われます。
 まあその辺を補助線にしつつの個別評価としては、莉玖>アーデルハイト=夏乃>七緒>こはね>愁くらいのイメージですかね。やはり前三人は共通の流れからの地続き感が強いし、その分だけ変遷も緻密に綴られている感じですし、でもそれ以外もテーマ性にはしっかり沿った、水準かちょい上くらいの出来にはあると思えましたし、無論特別な力が土台にある以上どうしても多少は恣意的な部分は出てくるものの、整合性の面ではほぼ齟齬はなく綺麗に纏まった物語だと思います。

 以下個別感想とテーマ解釈に関しては白抜きで。

 とりあえず最初に共通分岐での主人公の精神着地点を整理しておきましょう。
 まずアーデルハイトルートでは、主人公が七緒と会っている沢城を見かけて、改めて自分の過去を調べるという経緯そのものが発生しません。それはそこまでの共通で、アーデルハイトが主人公に対し明確な信頼と思慕を抱いている中で、主人公の側も気に掛ける様子を見せたことで、その志望を前に進める勇気と覚悟を得た、という解釈でいいでしょう。逆にそこで他ヒロインを選んだら空気を読んで態度を保留する、というあたりに、この子の本質的な慎ましさ、思いやりが垣間見られます。
 だからこのルートは一周目においてならたった選択肢ひとつで分岐するけれど、ヒロイン側の心情としては適確であり、けれど主人公としては自身の過去に向き合い煩悶する流れが丸ごとオミットされているので、個別に入っても中々相手を信じ、恋愛に心を傾けることが出来ない、という匙加減になります。

 次いでこはねルート(+愁)では、ある程度自身の過去を知り得た中で、けどそれを突き詰めて解明する前に、こはねの持つ慈愛に頑なな心を融かされ、そこに依存することを皮切りにしていく、という形式になります。
 そこで感得するのは、疑う心そのものは持っていても、決してそれに囚われず人間の善意を信じて生きる強さに対する崇敬であり、それがやがて思慕にすり替わっていくという中で、この二人との恋愛模様にはそこまで難しさがない構造になるのは納得できます。
 ただ厳密に見た時に、そこまでの経緯でこはねに心を寄せていたことが、アーデルハイトに調査依頼を出して、火事の真相と沢城と利成の過去、どちらを優先的に調べるか、という分岐の決定的なファクターにどう影響を与えたか、という点でやや曖昧さはあるのかな、とは思いますね。

 んで夏乃と七緒に関しては、主人公がほぼすべての自身の過去を追求していく中で、それを阻害しようとした動きを悪意と見做していたけれど、けどそれは違うんだと、事象そのものだけ見れば悪意があるように見えても、その根幹は善意で成り立っているんだという見せ方をすることで、こはねが見せたような善意を信じる強さを主人公がより皮膚感覚に近いところで体感する流れになっていると思います。
 話の流れとしてはより夏乃のその後に親和的でありつつ、きちんと七緒との距離感も深めていける構図であり、そこから三角関係が勃発するのもある意味では夏乃の気遣い、ではあって、本質的な意味では主人公の精神性は一番すぐに恋愛を受け入れやすい土壌になっているルートです。
 とはいえそれで簡単に恋愛に転ぶか、っていうと、またそれは個別そのものが内包する問題もあるから別の話になるのですが、ここまでで面白いのは、それぞれのヒロインが抱える元々の愛情表現の質の受け入れやすさが、そのまま選択肢の数に反映しているのかな?と見做せるところ。

 繰り返しますが、基本的に主人公は自分に自信がなく、誰かに愛される資格もない、と最初は思っていて、それは共通の中で程度の差はあれ緩和はされるものの、しかしまだ完全に克服したわけではなくて。
 そういう主人公にとってみると、夏乃のようにグイグイと衒いなく真っ直ぐ押し出してくる恋情はどうしても重すぎる、という傾向はあり、実際何年もそれで失敗し続けているわけで、対してこはねのような包容力のある愛や、七緒の臆病さが入り混じる愛にはまだ寄り添いやすさがあると。

 そしてそれ以上にアーデルハイトの秘める愛というか忍ぶ愛というか、言葉よりも行動の中に想いを蓄積していって、気付いた時にはその想いの大きさ、深さが心に染み通っている、という形が、より主人公には受け入れやすい、というか反発する余地を与えない巧みなやり口だったと考えられます。
 それ故にこの子はひとつで分岐、こはねと七緒はふたつで分岐、けど夏乃はよっつも積み重ねないといけなかった、と考えると実に面白く緻密な構造だなと感心するわけです。

 …………と、また前提で長くなりすぎるとめんどいので、いい加減それを踏まえての個別に進みます。

 愁に関してはサブである、という面も当然あるし、それ以上に他のヒロインシナリオで最終的に、具体的に求められる、新たな地上の鎖、愛の絆を得ての特殊能力からの解放、引いてはそれは莉玖の存在消滅を意味するわけですが、その文脈から外れたところにある事自体に意味を持たせているのが面白いところですね。
 だからまあ恋愛模様としては、戒律を破るという意味での煩悶がどこまでも色濃く、展開としてもベッタベタで、しかしこのシスターチョロい、チョロ過ぎるよとしか言えないんですけど(笑)、その結果として自身の能力をそれこそ神の恩恵であると前向きに受け止め、それを秘密裏に活用することで愛する人の役に立ちたい、という経緯に至るのが重要なんだろうと。
 ただしそれはやはりどうしても秘められた恋、閉鎖的で限定的な愛ではあり、またその羽を見る力の本質的な意味に想いを馳せる必然性を欠く中で、どうしても他ルートに比べると主人公の成長では劣って見えるわけで(ジゴロ的な意味で成長はしてるけど。。。)、当然これはこれで幸せの形ではありつつも、という留保を感じさせる塩梅が上手いなとは、全部クリアしてみて改めて思いましたね。

 こはねは恋愛に至るだけの土壌がそれなりに堅牢に仕上がっている上に、愁ほどシスターという立場に拘泥はしていないから、心の赴くまま素直に恋愛に入っていったな、という部分ですごくシンプルなシナリオではあります。
 その上で、メインヒロインでの共通するテーマであるだろうヒロイン側の心の傷の克服、という部分では、こはねの過去を通じて、主人公には高潔に見えたその信仰が根源的には依存、という要素も孕んでいることに気付かされ、それがモーセの事件でより克明に開示されるわけで。

 こういう動物の汚れのない心を投影してのシナリオは、まあずるいっちゃずるいんですよね。実際ここまで賢い動物がいるか、ってリアリティの部分での弱さはあるし、無論そこまでの触れ合いの中で、この子なら仕方ないか、って感情的な納得をもたらせられるか、という意味でこのシナリオは及第点以上にはあると思いますけど、やっぱり都合がいいと言えば都合がいいと。
 またそこを通じて、ネグレクトや虐待、幼児貧困の問題が、いかに子供の純良な心を捻じ曲げていくか、というのを、この二人を通じて示しているところは、グランドデザインの中に見られる世相に対する憂慮をより具体的に反映させているのでしょう。そこも含めて道徳的というか説諭的というか、そういう色合いは濃い目に出ているかなと。

 あと個人的に残念だったのは、夏乃シナリオの終盤で言及される、主人公の心を慰撫するための手段としての法王謁見っていう事象を、こっちでは全く触れられないまま終わっているところですかね。
 見方によっては主人公が自分達に依拠してくれたことで、そこまで大それたことをせずとも癒していける、という手応えがあればこそかもなんですが、それでもそれ自体がプラスはなれマイナスにはならないだろうし、ここでそれがより具体的に触れられていれば、夏乃シナリオで示す思いやりの深さに対しより感銘を受けられるのに、と、この辺はアーデルハイトのそれを比較した時により鮮明に浮き彫りになってしまうので勿体なかったなと。
 こはねシナリオ自体あまりダイナミックなファクターはなく終わっているわけで、それを踏まえるとなんとか摺り合わせてほしかったところですね。

 七緒シナリオは、主人公の恋愛に対する前向きさ自体は夏乃シナリオと同等のところまで進んでいても、二人が共に抱く夏乃に対する引け目と、それぞれが抱えるトラウマがもたらす臆病さが悪い意味で相乗効果を発揮して(笑)、中々にくっつくまでがもどかしいシナリオではあります。。。
 ただ上でも触れたように、そういう経緯を経てこそこの二人ならではの恋愛模様だ、って意味合いでは理路が通っているし、私個人の好みで言っても夏乃みたいにグイグイ押してくるのよりは、このくらい控えめでありつつも情熱を隠せない、という方がいいので、そこに関しては特に文句はなく。

 そして恋愛が進展する中で、お互いが抱える心の奥深い部分のトラウマを優しく慰撫しあい、未だ現実に強い影響を及ぼすところに立ち向かっていく構図はベタだけど綺麗で、またそこに決して悪意は持ち込まずに、思いやりがあればこそのすれ違いに対し丁寧な向き合い方を示していて。
 夢の在り方としても本当に七緒は見た目以上に純真無垢な部分は強いし、それに感化されて前向きになっていく主人公という意味でもわかりやすく、一歩ずつ自分たちなりの愛の受け止め方、育み方を体得していっている印象はとても好ましかったですね。

 夏乃シナリオは逆に、共通の時点で恋人確定しちゃう流れではあり、それ自体は選択肢の出方と夏乃の恋愛観の示し方がセットになって、そこまでに至るのに難しさがあるんだ、って部分はしっかり見せているので問題はないのですが、やっぱりなんというか、恋人未満のもどかしさに含まれる情緒というか、切ない乙女心というか、そういう部分は表面的には汲み取れない構図ではあるから、まずその点でやや食い足りなさはあると。
 無論それは共通である程度広範に敷衍されている、と言えるし、そういう夏乃の強さこそがこのシナリオの鍵であることも確かなんですが、結果的に莉玖に美味しいところは全部持ってかれてしまう構造の中で、メインヒロイン的立ち位置にいるのに色々割を食っているよなぁとは思います。
 …………まあ正直キャラ単体として、千恋の芳乃みたいに思い入れアリアリ、ってわけでもない分だけ、粘着的にああしろこうしろ、ってのはないんですけどもね(笑)。

 それはさておきシナリオとしては、上流階級お約束の身分の違いがもたらすドタバタ、を隠れ蓑にしつつ、テーマ的な部分では共通の焼き直しというか、よりその精神性を前に進めるための事象、というつくりになっていますね。
 そこまでの経緯を通じて、あらゆる事象を善意を前提に受け入れれば世界の色は変わって見える、という事実をある程度体得した主人公ですけど、夏乃との交際を進めていく上でどうしてもその家柄と、自分がその家そのものに受け入れられるか、という部分がネックになってきて。

 ここは過去の経験もあるから致し方ない部分はあるにせよ、特に今夏乃の生家で実権を握っている深晴に対しては、最初から最大の妨害者、という色眼鏡でしか見ることが出来なくて、その真意を善のファクターで解釈するのに至れないからこその失敗、という構造が実に示唆的なんですよね。
 少なくとも誠意を持ち、相手の悪心に悪意で返すことはしない、とそこまでは成長した主人公でも、そもそもが悪心を持っていない、だから誠意を見せて翻意を期待するのでなく、その心情を汲み取り味方に引き寄せるための努力をする、という方法論に至るまでの回り道の中での絶望や困惑の様が本当に丁寧に組み込まれていて、そのあたりはとても面白かったです。

 とはいえこの時点で主人公にそこまでわかれ、というのは、過去を踏まえても酷な話ではあり、だからこそ周りの支え、平静で公平な視座を持つ相手のアドバイスが生きてくるわけですね。
 まだ主人公自身このルートでは、明け透けに誰かに頼る、という精神性に辿り着いてはいませんが、それでも困惑し憔悴している様子を糊塗せず、それでも想いを貫きたいと願い振る舞う中で、それを意気に感じてくれる相手は必ずいるのだと、そこに隣人愛の大切さ、美しさを投影していて。
 義父の仄めかしも当然そうだし、それを受けての最後の対峙シーンでのアーデルハイトのやこはねの後押しなんかも本当に素敵で、これも綺麗なシナリオだったと思います。特にあーちゃんの想いは彼女のルートを見た後だとより切なくも愛しく感じられるので、個人的には夏乃はグランド直前がお勧めかなと。

 んでそのあーちゃんことアーデルハイトシナリオですが、これは他ルートと違い主人公の心根がまだ後ろ向きな段階から個別に分岐するのと、二人の恋愛模様に付随する様々な問題の難しさが上手く噛み合っての、非常に緩やかで穏やかな、けどだからこそ純粋で真っ直ぐな思慕が積層する恋愛模様になっていると思います。
 決して鮮やかな変転ではなく、なだらかに少しずつ想いに染められていって、いつしかそれがふっと恋なのだと気付く、そういう在り方はぐーたら姫であるところのアーデルハイトの気質にもそぐわっていたのでしょうし、当然未だ後ろ向きな主人公にとっては一番親和性の高い想いの向けられ方であったといえましょう。

 少なくとももっと早い段階で騎士叙勲の話が露呈し、その想いを情熱に任せて吐露する、なんてことがあれば絶対に尻込みしていただろうな、ってのは見て取れるし、そのあたりの機微を確実に判断してくるあたり、やっぱり王女として様々な苦労を積んできた中で人を見る目をしっかり養っているし、だからこそ決してノスタルジーに引きずられた形でなく、主人公自身の中に可能性を見出し、信頼を寄せたのだろうなって信じられます。
 だから見た目としては七緒以上にもどかしいし、想いそのものが言葉でほろっと漏れ出す部分も少なめで鮮やかさやときめき感は薄いかもだけど、実にわびさびというか奥深さというか、噛み締めるほどに味わい深いストーリーになっているかなと思います。その点実に私好みです。

 その上で共通からの流れを引き継いでもう一波乱、ってのは予想されたことだし、けれどそこでの対処の中で、少しずつでも体得していった善意で世界を見る在り方を反映する形で、無論保険はしっかり用意しつつも出来る限りは、という姿勢の違いは顕著になっていて、ラストシーンも綺麗すぎるオチではあれ、確かにそういう芸術の持つ、人の心をどうしようもなく揺さぶる力の価値を示していて。
 西洋的な概念においての才能=ギフト、という部分が一番色濃く反映されたシナリオだと思うし、元々がギフトであればこそ、必要でなくなれば手放せるものだ、という観念においての自発的な脱却も含めて、ある意味では一番莉玖の望む精神性に辿り着いているのかな、とも感じますね。

 あとやっぱり騎士叙勲にまつわる部分で、どうしたってこれは本来臣籍降嫁とセットでないとアーデルハイト自身の問題の解決にならないばかりか、余計な火種をまき散らすだけの行為になるのに、それを友情の為に敢然と差し出した、って部分で、あの夏乃シナリオラストの価値を高めているし、どのルートでもやはりきちんと人を見ている子なんだな、思いやり溢れる子なんだなとしみじみ思わせる一幕だったと思います。
 もひとつ勿体ないなって思ったのは、共通序盤でのうっかりハイジ呼びが絶対ラスト近辺で伏線になると思ったのに、最後まであーちゃんで通しちゃうの?ってとこですねー。いずれ家族になるんだから、って想いを込めつつ、どこかでハイジ呼びして、あーちゃんが照れ照れになるの楽しみにしてたんですけどねぇ。

 で、そうして多種多様な愛の形とそれを受け止める様を示した上での莉玖シナリオは、やはりファンタジー色は強くなってしまう分と、あとここに至るまでで莉玖というヒロインがどういう心情を抱き、なにをしてきたか、ってのが見えにくい中で、最初からその想いに共鳴してってのが難しいところはあれ、テーマ性と情感への訴えかけを絶妙に噛み合わせた素敵なラストルートになっていると思います。
 というか、基本的に莉玖と夏乃はそもそもの恋愛の決定的な契機が、過去に主人公の命を救ったという部分にどうしても紐づけされるし、その意識を土台にして日々蓄積したきたものが恋愛観の為に、他ヒロインに比べてその好きの色や理由が鮮明には見えにくいところでも不利はありますよね。まして延々好き好き言い続けてた夏乃はともかく、莉玖はそこまでではほぼツンツンですし(笑)。

 構造的な部分に関しては、可能性の波及や並行世界のありようなど、想い、という色合いの強さに依拠しての恣意的な点も見受けられるけど、少なくとも論理的な破綻は一切ないし、最初にその謎を暴いていく過程において、他ヒロインとのその後の歴史を見せられて嫉妬に狂う、という形で莉玖の想いを引き出していくのは実に楽しいところですね。
 もっとも主人公自身の選択がそこに至る必然まで担保してくれているかというと微妙なのですが、まあそこはいくつかの世界の想いが干渉する中で、今まで気づけなかった莉玖の思いやりの在り方にようやく至ることが出来た、と解釈すべきなんでしょう。

 莉玖の惑いの根幹を魔女狩りに持ってきて、そこからアナロジカルに世相に蔓延る諸々の精神性を浮き彫りにするあたりはやっぱり意識的だなあと感じつつ、じゃあそれにどう対峙していくべきか、ってところでの答えは当然一貫しているわけですが、このルートではそれをより広範に、宗教色も取り込みつつ上手く纏め切っているなあと思います。
 それは当然ここまでで見てきた、全ての事象を善意で捉えていく、その中で様々な愛の形の尊さを知るということなのですが、最後に突きつけられるのは神の愛とは何なのか、そして啓示とはなんなのか、という部分ではないかなと。

 その設問自体は本当に多種多様な解釈がある難しいものではありますが、この物語の文脈で見た時に、啓示とは莉玖が思い込んでいたような絶対的な真理ではなく、あくまでも可能性の提示、なのでしょう。
 そして神の愛を受け止める、という事は、そのお告げが絶対的だと思考停止して諦めるのでなく、その運命に抗うために全力を尽くしなさいという助言と見做す事、なのではないでしょうか。

 この作品内では義父の生死の中で、その啓示を覆しうる可能性を披瀝するのですが、その根幹になっているのが義父が語った、明日死ぬからと言って今日踏ん張らない理由にはならない、という心意気で。
 なんかこれアマツツミでも同じような言い分を見たなぁ、という中で、だからこそより理解の及びやすいところではあるのですが、この物語の中ではまた違う尺度で、キリスト教そのものの在り方に敷衍して理解をもたらす思想でもあります。
 すなわち、生きている内に善行を積めば死後の世界で楽園に行ける、という信仰が、自分の死を前にしても絶望せずに前向きに、自分らしく生きる支えになっている、という中で、その宗教色は持っていなくても、大切な人の為に自分らしく生きる、というのは図式としては相似しており、かつこちらのほうがより人の強さを浮き彫りにしている、というところに深みがありますね。

 ともあれそんな経緯を経て、抗う事こそが神の愛に適う、という構図の中で、それでも自己犠牲に溺れそうになる莉玖を、自己反省を含めて留めるべくあらゆる手段を講じて奔走し、その過程で自己愛、親愛、恋愛、家族愛、神の愛、隣人愛など、様々な愛の種類を糾合し、全てを前向きに受け止めたことで、可能性の扉をこじ開けられた、という流れであって。
 どうしても発生する事象自体は都合いい、と見えちゃうし、転生の経緯もうさん臭くはあるのだけど(笑)、思想面を汲み取ることでその超越を少しでも説得的なものに近づけている、というところだなあと思いますね。

 そこまで至ることでやっと過去をそのまま受け入れ、どんな経緯があろうとこの世に生まれてきたことに感謝を捧げられる、それは本当に尊い感情であり、発端からすると途方もない変化でもあって。
 そしてそれは絶対に自分一人の力でどうにかできるものではなく、だからこそ世界の善性を信じ、自身もまた善を体現して誰かに影響を与えていく、それが大きな生きる意味でもあり、表面的な悪意に惑わされない心魂の強さを涵養するために必要な悟りなのだと示していて、やはりメッセージ色は強いけど綺麗な終わり方だなと思います。

 ただどうしてもヒロインへの思い入れが分散する構造ではあり、また前提条件がかなりファジーではある分だけ、突き抜けるほどの納得や感動、という地平にまでは至れていないかなって思うし、個別もテーマありき、になっている部分はそれなりに強いから、名作、と位置付けるにはもう一歩かな、と感じましたね。
 最終的にそこまでの物語が主人公の回想ノートで語られたものでした、というのは、折々で神の視点が入っている構造を理屈付けていて面白くもあるのですが、それならやはりもう少しは全体的に莉玖の折々の心情が滲む挿入があっても良かったなと思うし、直近にアマツツミのほたるを見た分、ネタバレ隠しで小出しにするより、ある程度はっきり予想のつく範囲まで色濃く押し出して、その上でのほうが印象度はプラスに振れるのかなあと思う部分もあって、莉玖がすんごい可愛かっただけに惜しい、ってところです。



キャラ(20/20)

 それぞれのダメな部分も公平に扱いつつ、シナリオの流れの中でそれをきちんと美点に昇華は出来ていたと思うし、概ねのところで主人公の解釈次第であっても世界は善意に包まれている、という方向性で一貫していて、それが主人公の成長とともに顕著になっていく構図は、上手くキャラの魅力の面でもギャップ的なものを引き出せていて良かったのではないでしょうか。

 一番好きなのはあーちゃんですねぇやっぱり。
 元々好きだってのもあるし、外見的にも一番ツボなのは間違いなく、でもそれだけでない、体験版の部分ではまだ見えてこなかった繊細な心映え、思いやりの深さと思慕の大きさ、優しさが少しずつ物語の構造と一緒に解きほぐされていって、そこでようやくほのめく感情の色のさやかさ、いじらしさが本当に良かったなと思います。
 CV的にも脱力系お姫様ががっちり嵌っていて、途中で無理して清楚可憐お姫様を演じているときの無理っぷりも含めて抜群の噛み合いだったと思いますね。本当に可愛かったですし、序盤はともかく終盤だと、この子なら甲斐甲斐しくお世話するのにやぶさかではない、と思わせるだけの奥行きがあったんじゃないでしょうか。
 夏乃シナリオのラストが顕著とはいえ、他でも地味に献身的な協力はしてるしとてもいい子で、まあ流石に殿堂まではいかないけどそれに近いラインで好きになれましたね。

 次いでは莉玖かなあ。シナリオ補正込みだと微妙なラインだけど、キャラとしての魅力を全開に発揮している期間がかなり短くて、それはそれは本当に可愛かったんですけども、やはりそれをより強く生かすための下拵えがもう一歩足りなかったかなと、それはシナリオでも触れた通り。
 元々のありようからするとあまのじゃくでツンデレ過ぎるわけで(笑)、一体何に影響を受けてそうなった?とは思うけど、まあそれはそれで人間味、という意味で特別感は出ているしいいのかなと。立ち位置的に他ヒロインと絡む場面も極めて少ないし、もっと魅力的な引き出しがあったろうにその辺は勿体ないながら、やはり印象深い子ではあります。

 んで七緒かなあ。こういう臆病さと真っ直ぐさのアンバランスはすごく愛らしさが滲むし、守ってあげたいと思わせる部分はありますよね。けどそこで意地を張る、というところでの独特の関わり方がまた楽しいというか。
 夏乃は物語としてはキーキャラなのは確かなんだけど、ヒロインとして個人的にあんまりグッとくるところがなかったのが勿体ないなあと。好き好きオーラ出過ぎであんまり慎みを感じないキャラって基本的に昔からあんまりツボに入らない場合が多いんです私の場合。直近だとアマツツミの愛もそうだし、古いとマジ恋の京とかね。
 こはねも普通に可愛いけど、実は可愛さという意味では愁のほうがギャップは強かったというオチもある。。。


CG(18/20)

 んー、当然好きな絵柄、ではあるのだけども、より複数原画になっての統一感はやはり薄いのと、単純にサガブラの縦の比較でも今回はそこまでグッとくる出来のものが少なかったなあ、ってのはある。
 あとやっぱり背景や塗りやそういう総合的な部分で、千恋とアマツツミが圧倒的だったせいで目が贅沢になっているのかもしらん。どうにもペタッとチープに見えてしまうのが否めなかったんですよね、贅沢な話ですけれど。。。

 立ち絵はほぼ水準量、質は悪くはないけど図抜けて光るものもなかったかな、くらい。
 ポーズはヒロイン2種類、サブは1種類で、腕差分は少しずつあるけど派手に動くほどではなく。それぞれにらしさは出ているし可愛かったと思います。
 お気に入りはあーちゃん正面敬礼、やや左、莉玖正面、やや右、七緒正面、夏乃正面、こはね正面あたりですね。

 服飾はヒロインで2〜4種類、サブは1種類、まあ学園もの、というほど学園できゃいきゃいしない作品なので、必要なものだけってのはあるし足りてはいるけど、あーちゃんの浴衣とか欲しかったなあ。服装で髪型が変わるいつもの仕様はやはり素敵です。
 お気に入りはあーちゃん制服、私服、水着、寝間着、莉玖私服1、2、正装、七緒制服、水着、バイト服、夏乃私服あたりですね。しかしあーちゃんは黒スト装備なのに制服は脇見せ、ってバランスが可愛いけどようわからん(笑)。私服の髪下ろしが一番かわゆいです。
 
 表情差分はそこそこ、ですね。遊びも存分にあるし必要なものはあるけど圧倒的なほどではなく。
 お気に入りはあーちゃん莉玖は大体全部でいいかなぁ、特に二人ともジト目は可愛かったなってのと、七緒が笑顔、照れ焦り、不満げ、点目、拗ね、ジト目、夏乃笑顔、しょんぼり、ジト目、こはね笑顔、焦り、膨れ、愁笑顔、困惑、叱りあたりですかね。

 
 1枚絵は通常90枚のSD15枚で計105枚、量は水準はクリアしているし、出来も概ね安定はしてるんですが、やっぱり突き抜けて素晴らしい、ってのはいつもに比べると少なかったなあという印象でちょっと物足りないのであります。

 特にお気に入りは4枚。
 1枚目は夏乃ごろ寝、布団の香りを堪能する愛らしさが中々に素敵でした。
 2枚目はあーちゃん足コキ、ストレート髪と品乳とドレスのバランスが凄く好きで可愛いなーと。
 3枚目は莉玖添い寝、この安心した雰囲気での添い寝は愛おしく超可愛いけど、出来れば表情差分欲しかったよね。
 4枚目は莉玖と手を繋いで、その清楚なお嬢様然の格好と、コロコロ変わる表情が愛らしく可愛いです。

 その他お気に入りは夏乃人質、抱き付き、投げキッス、子供の頃、寄り添い、デート、プリクラ、契約、初H愛撫、背面屈曲位、自慰、クンニ、パイズリ、バック、七緒バイト、海、ベランダ、恋人座り、会食、告白、添い寝、試食、フェラ、正常位、騎乗位、対面座位、あーちゃん爆睡、かき氷、叙勲、キス、おんぶ、被り物、寄り添い寝、たくし上げ、睡姦、屈曲位、ナイズリ、騎乗位、正常位、こはね転倒、抱きしめ、膝枕、ウォータースライダー、花火、腕組み、屈曲位、正常位、莉玖膝座り、プール、足蹴、救出、フェラ、バック、脇コキ、正常位、愁詰め寄り、バー、お出掛け、バック、正常位、みんなでプール、映画あたりですね。


BGM(18/20)

 全体的に抒情感のある安定した出来、ではあるのですけど、ここも普段に比べると突き抜けて素晴らしい、ってガツンと来るものがあんまりなかったなあ、ってのはありますね。

 ボーカル曲は3曲、+αなのかな?
 とりあえずOPの『floral summer』は実に爽やかなイントロから涼やかなメロディと、なんつーかフリップらしくない曲だなあ、とは思いつつ、悪くはないけど後半延々高音域で走り切るあたりも含めてそこまでガツンとは来なかったんですけどもね。一番好きなのはイントロだったりして。。。
 EDの『Kissin’Me Kissin’You』も通常エンドらしいほっこりした温かさと柔らかさが目立つ優しい曲ですけど、取り立てて惹かれる部分は少なかったですかね。
 グランドEDの『Let there be light』はグランドEDらしく神秘的で透明感があり、荘厳な中に歓びと祝福が滲む素敵な構成で、やはりこの曲が一番好みではありますね。サビの部分ののびやかなところが特に気に入ってます。
 そして鑑賞に入ってないのだけど、利成とあーちゃんの曲は結構素敵だと思うんですがねぇ。まあ天使の歌声、と称するのは流石に過大評価としても(笑)。

 BGMは全部で39曲と水準は楽々クリアしており、質も平均して高く概ね格調のある華やかな楽曲で揃えていて、突き抜けて好きなのがないのは惜しいけどかなりいい出来だと思います。
 お気に入りは『聖ガブリエレの栄光』『セラフィーンの翼』『万花繚乱』『time goes by』『Dream on Dreamin’』『Whim Prinsess』『Persona』『安息のひと時』『キミを待つ夕暮れ』『Growing Love』『splash summer』『それは流れる花のように』『予兆』『深黒晦冥』『mind merderer』『癒しの翠雨』『寂寞の花園』あたりですね。


システム(8/10)

 演出はぼちぼち、でしょうか。
 それなりにキャラは動くけどあんまり代わり映えはないな、ってのと、シナリオに合わせての演出ももう一歩工夫というか強みがないというか、やっぱりこっちももう少し新味が欲しいのはあるんですよねぇ。炎の演出とかはつゆきの頃から全くおんなじままだし、シナリオの構造的にもハッとさせる演出を持ち込みにくいとはいえちょっと印象は薄かったです。
 ムービーもOPは堅実に纏まっているけどそこそこ、の域は出ないかなと思うし、グランドEDムービーの方が綺麗に纏まってはいたなと感じるけどやっぱりすごく、ってほどではなかったです。

 システム的には色々新要素は組み込まれていて、やっぱりお気に入りボイスはあるとそれなり以上に嬉しくはあるねと。サイドバーのセーブも楽ちんと言えばそうで、ただ根本的に前にジャンプがない、進行関係の操作性がもっと高くなればいいんですけどもね。
 総合いつも通り9点でもいいかなぁ、と思う向きもないではないんだけど、やっぱりこれも前ふたつの方向性は違えど素晴らしい出来の演出を見てしまった後だと、もう少しなにかプラスアルファは欲しかったなあと思うところで、少しだけ辛めにつけてみます。


総合(88/100)

 総プレイ時間は21時間くらいですね。共通がヒロインによって長さは違うけど大体5時間くらい、個別はヒロインごとに多少差はあるけど2,5〜3,5時間くらい、愁が1,5時間で莉玖が2,5時間、って感じです。
 体験版の印象通り全体的にシリアス色は強めで、また構造的にもかなり思想やキャラの個性を反映させた工夫が散りばめられていて面白かったですし、特に根幹となる共通から直截的に派生するあーちゃんや夏乃、グランドあたりはいい出来だったと思います。

 宗教色が強い、ってことはないけどメッセージ性は強く、ライターの思想性や世相に対する憂慮が結構露骨に滲み出ているので、そこのあたりで好き嫌いはそこそこ出ちゃうかも、とは思いつつ、総合的には筋道立った綺麗な物語で、そうでありつつ感情や意志に重きを置いた塩梅にするのがらしいところですね。
 もう一歩ラストに向けての想いを強める仕掛けがあれば名作までいったなあとは思うんですけど、まあ充分に高いレベルでまとまったいい作品だと思います。かえすがえすタイミングが悪いというか、流石に千恋とアマツツミに比べてしまうとどこを切り取っても少しずつ落ちる、ってところで割は食う作品だと思うけど、これもとても面白く満足でしたね。
posted by クローバー at 07:32| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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