2016年08月26日

MinDeaDBlooD(+輸血箱)

 作品自体はそれこそゴアあたりをプレイした十年前から気にはなっていて、ただ手にする機会が上手く得られなかったのですが、この度たまさかブサイク系列をリプレイするタイミングが作れたのでそのついでに購入。
 ただかなり古い作品でもあり、FDとセット売りになってもいたので、感想もセットでまとめての簡易版にさせていただきます、そこのところあしからず。

シナリオ(23/30)

 狂気と正気の狭間で。

 主人公はある日、吸血鬼の双子である真由と真奈の血によって、ミイラから蘇りました。
 しかし本来血を与えた相手に絶対服従になるはずが、主人公は不思議とその束縛に囚われず、記憶こそ大半を失っていたものの自我ははっきりと保っていて。
 自分の過去は曖昧なものの、吸血鬼として生まれ変わったからにはその本能に従って動くべきかと、姉妹を逆にそそのかし、館に引きこもっていたのを外の世界に引きずり出して。
 かくして平和だった街は一転、吸血鬼が跋扈する魑魅魍魎の世界へと変貌していくのです。
 果たしてその中で主人公は自分の過去を取り戻すことはあるのか、或いは吸血鬼を追ってくるハンターとの対決に勝利し、街を完全に支配下に置くことになるのか。
 これは様々な悲嘆の運命が絡み合った狂想曲です。

 あらすじも簡素に、概ねのルートは吸血鬼として本能のままに振る舞い、あちこちで吸血を繰り返すことで各地の餌となったヒロインの独自の変化が楽しめる、という感じですね。

 テキストは勘所を得た読みやすいもので、けど残虐な部分において容赦はなく、淡々と、けど濃密に猟奇的、凌辱的なシーンも綴られていて、エログロナンセンスが乱舞しているので肌に合う合わないは確実に出てくる読み口。
 ただその中でも絶妙に人間心理の限界や、強さ、脆さ、儚さをサラッと組み込んでいて、その辺はふんわりとでも涼やかな印象を残すし、そういうのの蓄積がある上でのメインルートのつくり、読み口はやはり清々しく見事な出来だったと感じます。

 ルート構成は最近のゲームでは考えられないレベルで複雑怪奇。でありながらも、月齢や主人公達の能力強化度合いなどを勘案しての、非常に精緻なルート分岐を成し得ていて、ここは本当に見事なつくりであると思います。
 一応本筋に関してはロックが何段階かあり、特定のエンドを見ると新OPとともに新たなメインルートが解放され、最終的には舞台裏の概ねを把握できるシナリオまで見られるようになります。

 シナリオに関しては、まずゲーム性の部分ですが、全体で60日の日数制限がある中での1日ごとのマップ移動が基本で、自分からいろんな場所に出向いて物語を動かす必要があります。
 最初は主に4か所で大きなイベントが進行し、主人公と姉妹それぞれに特定の餌が用意されていて、基本的にはどちらか一方がその地の支配者になってしまうともう片方は飲み込まれてしまったり、或いはその勢力が強くなりすぎると他の土地も勝手に併呑してしまったりと、とても状況管理が難しいです。

 基本的には各地で平均的に血を吸い、簡単に他勢力に併呑されないだけの強さを保った上で、狙ったヒロインの物語を進めていく、というやり方である程度網羅できますが、決してそれだけでなくかなり特殊な組み合わせでないと進まないイベント、EDもあるので本当に難しいです。
 輸血箱の方はまだオーソドックスではあり、そこまで難しくないですが、本編の難易度は鬼畜レベルであり、実際私もEDはかろうじて全部見られたけど、イベントは3つほど穴埋めできませんでした。輸血箱でゼロ、ってのがある以上、その元になるイベントがエリィにはありそうなんだけど、果たしてどう進めればいいのか正直お手上げでしたねぇ。流石に本筋に関わらないイベントでもあるので断腸ながらスルーしました。
 ともあれゲーム性、という視座でもかなり歯応えのある作品なのは間違いありませんね。

 シナリオ内容としては、基本的に本能に従って吸血を繰り返す限りは、その被害に遭う人間たちの悲嘆がメインになってくるし、概ね救いの薄い、或いはどうにも後味の良くない終わり方をすることが大半ではあります。こちらでは個人的には東先生の暴走ぶりが面白かったかなと思いますね。
 無論それはそれで人間性の極限を楽しめる、という点で価値はありますが、そういうのを見せる一方での本筋、主人公があくまで人間としての自分に拘りを持って進める展開はやはり面白味が段違いでした。

 それ以外の場面では不倶戴天の敵として立ちはだかるハンターとの因縁やその過去、自身との関わりなどが緻密に絡み合い、新たな生きる道を模索していく中で更に新しいルートが開示され、そこでより深く人間らしく生きられる可能性を突き詰めていって。
 結果的にダブルヒロイン、という形になっていき、まあ一方が登場がかなり遅いので印象度という点で多少食い足りないのはあれ、二人の間でどう生きるべきか、刹那の人としての生か、或いは自身に戒めを課しての永遠の生か、ヒロインとの関係も含めてとても面白い枠組みだなと感じましたね。

 個人的には悠香と歩む道の方が好みではあるのですが、一方での沙季とのEDでの、たった一度きりの逢瀬がもたらす未来、という美しさの極限的なありようも心打つものはありましたねー。まあしかし、吸血鬼になってからはあんなにノリノリのベットヤクザの癖に、人間だった頃はどんだけヘタレやねん、と思わざるを得ない一幕でもありますが。。。
 脇を固めるキャラもそれぞれ、自分なりの信念に従っての生き様がくっきりとしているし、それが善悪を超越しての迫力を生み出してはいてとても面白かったです。

 そして輸血箱の方では、本編で補完出来なかった双子や生贄ヒロインとのそこそこまともな爽やかEDがあったりもして、しかし徹底してるなって思うのは、そういう結末を用意はするくせに、シーンだけはまともな和姦はほぼ用意せずに、あくまで凌辱に振り分けているところだったり。。。今日子とかありさあたりはラブラブHも見てみたかったんだけどなぁ。
 まあ後、元々しずるの餌じゃないから仕方ないにせよ、あまりに薄幸すぎるので仁美ちゃんにはもう少し救いがあって欲しかったのですけどねー。でもふたなりで犯されるシーンはとても好き(笑)。基本的に凌辱ではありつつ、完全に被害者側が苦痛や屈辱しか味わわない、というわけでもなく、人間でいる内の羞恥や絶望を募らせられた上での、吸血鬼に変貌させられての本能的快楽希求とのギャップで、一粒で二度おいしい的なところはあったと思います。

 また輸血箱のメインシナリオでは、やはり本編で補完し切れなかった、あくまで吸血鬼としての闘争本能を全開にした上で、全ての主要ヒロインとの関係を深めて、完全なる支配者として君臨するルートを用意しており、これはこれで凄惨ではあれやはり面白味はありましたね。
 どうあれ最終的には悠香と沙季の二人がメインになって支え合っていくんだなー、ってところも含めて、そこに僅かでも人だった頃の想いの残滓を感じさせつつ、より正面突破、という形でラスボスに挑んでいく構図もわかりやすく仕上がっていたと思いますね。まああの恰好だけはやり過ぎじゃない?と思いましたが。。。

 以上、全体的に趣味に合うか、と言われるとあっさり首肯はしづらい内容ではあるのですが、そういう凄惨さ、残忍さ、狂気の対比としてのメインシナリオはやはり光るものがあり、感じ入る部分も大きく、こういう流れの中での貴重な和姦シーンがより心に響いてきたりと、そういう点ではやはり名作だなーと。
 とはいえやはり物語の大半がエログロではあるし、そういうシーンの質そのものを評価できるほど、この手の作品プレイしてはいないので、あくまでメインの部分の色合いに対しての採点、ということになりますし、それだとやはりこ二作合わせてもこまでかなぁ、とは思いますね。


キャラ(20/20)

 勿論ひたすらに胸糞悪いキャラややり口は多彩、てんこ盛りではあるのですが、そういう人間の本性の暴き方、またその狂気に染まらないキャラが抱く信念の強さ、憎悪の強さなども非常に印象的で、本当の意味でこいつはダメだ、嫌いだって思うキャラはいなかったし、なんだかんだでヒロイン達もふとした瞬間に見せる可愛げとかには惹かれるものがありましたので、減点するほどでもないかなというイメージ。

 性格的には真奈とか仁美とか好きなんだけど、二人とも根本的にシナリオの流れの中で悲惨な方向にしか進ませてもらえないのが悲しいよね。。。
 あと真由や今日子、エリィあたりも可愛いなとは思うし、そして当然悠香と沙季はメインの面目躍如ってくらいの過去の重さと、それに負けない強さ、ひたむきさを見せてくれていて良かったと思います。

 脇役や敵役としてはバーのじいさんとか結構好きだったなあ。あとソラちゃん可愛いよソラちゃん。
 そしてハンターズリーダーの苦労性っぷりが悲哀を誘うよね。。。


CG(18/20)

 ブサイクらしい耽美、退廃が色濃く表に出た絵柄で、残虐なシーンもかなり濃密に描かれていて仕上がりという意味ではかなり素晴らしいのでしょうね。質も量もしっかりしているし、好き嫌いの点でどうしても絶賛とはいかないにせよいい出来だったと思います。

 立ち絵に関してはそこまで質量ともにないけど時勢的にこんなものかな、とは思うし、双子や仁美、エリィあたりはかなり好き。

 1枚絵は本編113枚の輸血箱が通常53枚におまけSD12枚かな。もっとも本編は6枚くらい埋まってないのですけど。。。
 輸血箱の本来の値段は知らんけど、概ね必要なところにイベントCGは確実にあったし、やややりすぎな部分もあるとはいえそれぞれにシーンを彩る印象がくっきりしていて良かったのではないかと。ただ公園の悠香の立ち姿の1枚絵は、ただ佇んでいるだけなのにブラチラパンチラさせなくてもいいじゃんとは思ったよ。。。


BGM(18/20)

 曲は多くはないけど、この凄惨で狂った世界の空気感を助長させる曲と、哀愁を深く感じさせる曲の嚙み合わせが絶妙で素敵だったと思いますね。
 ボーカル曲は輸血箱と合わせて5曲あると思われますが、その中でも『Vampire』はかなりの名曲、『サクラチル』もややボーカル的に弱さは感じるけど旋律はとても好きですね。『櫻舞う』もいい曲だと思います。

 BGMはトータルで22曲くらい、こちらも上で書いた通りに情景に合わせた切り分けがすごくはっきりしていて、その上で雰囲気そのものはマッチしていていい出来だったと思いますね。
 特に『思い出の欠片』と『月下の悠香』が好きです。


システム(9/10)

 流石に古い作品過ぎてこの項目の評価基準がはっきり判断できないのだけど、少なくとも戦闘演出はそれなりだしシーン演出もインパクト重視の面はあれしっかりしているし、今プレイしても味気ない、ってことは決してなかったと思いますね。
 ムービーもいくつか用意されていて頑張ってるし、特にセカンドOPが印象深いかな。

 システム的には最低限っぽいのは致し方ないし、ボイスカットもないあたり古いなぁと思うけど、当時にしてみればこれでも普通以上ではあるはずですものね。
 特にプレイしていて面倒さはなかったし、スキップ自体も爆速ではあるのでかなり繰り返しプレイが必要になる作品だけどそこまで苦ではなかったです。


総合(88/100)

 総プレイ時間は32時間くらい。本編が24時間に輸血箱が8時間くらいの勘定ですね。もっとも本編はイベントやルートを探して彷徨ってる時間がかなり長いので、実質的な尺としてはこの3/4くらいじゃないかなとは思いますが、そのゲーム性の高さを含めて楽しむべき作品なのでしょう。
 概ねの印象としてニッチな作品ではあれ、流石に名作と言われるだけあって、それでも読み手を引き込む力がしっかり備わっていて、それを超えた先に見える光景がまた綺麗さを突き詰めている感じで、そのギャップで心揺さぶられるところは大きいのかなと思います。
 私自身この手の作品ほとんどやらない人だし、だから大手を振ってお勧めは出来ないのだけど、少なくともメインのシナリオは本当に良かったですし、エログロに耐性がある、むしろ積極的に興味があるというなら、今からでも手を出しても損した気分にはならない完成度の高い作品だと思いますね。
posted by クローバー at 04:10| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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