2017年05月02日

世界の果てで恋を唄う少女 YU−NO

 20世紀、PCゲームの黎明期の大傑作と名高い作品ですが、不徳にして今までプレイした事はなかったので、折角リメイク版が出たこの時にやらねばいつやる、と思い購入。

シナリオ(27/30)

 歴史を紡ぐ意思の力。

★あらすじ

 主人公は生まれてすぐに母親を亡くし、そして父親は歴史学を追い求める研究馬鹿で、ずっとまともな家族の温もりに飢えて暮らしてきました。
 しかし半年ほど前に父親が急に再婚し、しかしその相手・亜由美は自身のゼミの教え子で、むしろ主人公に歳が近いくらいで。
 そんな歪な関係にぎくしゃくしている内に、今度は父親が調査中の事故で疾走し、義理の母と二人きりの生活を余儀なくされて、一時は部活も辞め、生活態度も荒れるなどしたものの、隠れて泣いていた亜由美の姿を見てからは、自分がしっかり家族を支えていかねば、という使命感を抱くようになります。

 といってまだ子供の身の上故に、その決意をどう形にしていいかもわからないまま月日は過ぎていき、元より縁があったものの最近更にその関係を難しくする諸々があった年上の臨時講師である美月や、以前から一緒に歴史調査のお手伝いなどをしていた同級生の澪、転校生の神奈などと適度に関係を紡ぎ、保ちながら過ごしていました。

 そんなある日、主人公に届いた謎の手紙と小包。
 中身を見てみると、それは十か所に丸い宝玉を嵌め込む窪みがあり、けど4つしか埋まっていない謎の装置で、そして同封された手紙には、それが数十時間の時間遡行を成し得る装置である事、そして宝玉を全て埋めた上で、町の名所である三角山の麓に来るように、と、死んだはずの父親の名前で記されていました。

 あまりにも眉唾な話ながら、未だに父親が死んだという現実感もないままの日々に答えが出るかもしれない、と思い、折よく時間もその指定された日時に程近かったため、主人公は緊張しながらその装置を抱え、三角山の麓に出掛けていきます。
 その近辺では、最近外資の製薬会社が地質調査の工事をしており、その為に立ち入りが禁止になっていましたが、夜の闇に紛れ込んでこっそり立ち入った主人公は、中々待ち人が来ずに焦れて山の裏側に回っていった時、不思議な光景を目にします。

 それは、剥き出しの地面に倒れている、なにも身に纏わない金髪の、不思議な空気を醸す女性。
 あまり際どい所を見ないように注意しつつ揺り起こしてみると、彼女は言葉を発しないまま目を潤ませ、いきなり口づけをしてきて、そしてもう一度意識を失います。
 そのことに動揺していると、背後から野太い声がかけられます。
 それは父親の盟友で、今は主人公が通う学園の理事長も務めている男・龍蔵寺で、背後に亜由美を従えた彼は、主人公に父親から何か預けられたものがある筈と、普段の雰囲気をかなぐり捨てた強引さで詰め寄り、遂には銃を持ち出して脅してきます。

 どうするべきか迷う中、いきなり辺り一帯を大きな地震が襲い、その振動に飲まれるように主人公は意識を失って。
 再度目を覚ました時に、主人公は三角山の麓に倒れていて、そして周りには誰もおらずに、その状況の変化に混乱します。
 その場にいてもなにもわからないと思った主人公は一先ず家に戻り、亜由美の戻りを待ってまんじりともしない夜を過ごすものの、翌朝あちこち探しまわってようやく見つけた亜由美は、どう言葉を変えて言い募っても昨日の件を話してくれない、どころか、何も知らない風で。

 そこではじめて、父親が示唆した時間遡行、という言葉の真実味に気付いた主人公は、改めて机を漁ってこの装置に関わる理屈を理解していきます。
 そこには、手紙と同じように装置単体で一定時間の遡行を可能とする事、しかしそれは時間を遡るだけで歴史を作り変えるものではない、という独自の理論も添付されており、それはかつてからの父親が提唱していたこの国の構造論にも関わる非常にスケールの大きな学説でした。
 その真偽を追求していった先に父親が生きているかもしれない――――その可能性に気付かされた主人公は、昨夜襲われた理由なども含めて知りたいことが山盛りであり、その装置を使って真実を確かめるたびに出ることになります。

 折りしもこの時期は、様々な人間の我欲や意思が錯綜し、非常にカオスな状況になっている中で、主人公がどう介在するかで状況は大きく変化する、そういう不安定な状態にあって。
 その中で色んな人に触れていくことで、その想いや悩み、苦悩や窮地を知り、いつしかそれに情を寄せる形で歩み、本来の目的も蔑ろにはせず、世界の様々な可能性の中で宝玉を拾い集めながら、その解決に奔走していくことになります。

 最初に三角山の麓で見た金髪の少女の正体はなんなのか?
 あの時銃を突き付けられた理由とは何なんのか?
 本当に、幾重にも折り重なる可能性の中で父親は生きているのか?

 様々な謎を紐解く中で直面する問題に懊悩しつつ、若者らしい愚直さとむこうみずさで、どれだけ跳ね返されても切り札を駆使してぶつかっていく、これはそんな歴史を意思ひとつで紡いでいった少年の雄渾なる物語です。

★テキスト

 どのくらいリテイクが入っているのかは知らないですが、いかにも往年の作品、という雰囲気はしっかり滲み出ていますね。
 無論それは古い、という事ではなく、人物造型に非常に良くも悪くも棘というか尖りというか、印象に強く刺さってくるフックが幾重にも用意されていて、それ故の独特なやり取りや雰囲気作りに非常に大きな役割を果たしていて、とてもスリリングで心を揺さぶられる読み口になっていると思います。

 テンポも非常に軽快で、主人公も一見軽薄なセクハラ野郎的な雰囲気を出しつつ、実際は純情で強直なありようを隠せずに、そういうそれぞれの未熟さもしっかり糊塗せず赤裸々に紡ぐことで、時に息苦しかったり、本気でイラつかされたりもするけれど、それを含めていかにもこの時期の、自由度の高いゲームならではだなぁと感じました。
 正直テキストにせよゲームシステムにせよ、今の時代に新規作としてリリースされたなら相当に間口の狭い作品になっていた感はありますし、特にPCゲームだと数年単位でプレイヤーのニーズの中核がどんどん変容していく感はあるので、正に時代のニーズにマッチしたライターさんであったのだと思います。
 といって今読んでも古臭さはほぼ感じず、取っ掛かりの悪さはあるかもですが、物語に没入していけば二度と読み手の心を離さない、名作ならではの普遍的な力強さも保持していて、非常に楽しく最後まで読み進められましたね。

★ルート構成

 大枠として、最初に主人公が飛ばされた時空の可能性マップというものがあり、それを隅から隅までくまなく埋めていくことで、別の次元への跳躍、芯のトゥルールートへの道が拓かれる、という型式になっています。
 そのマップを網羅する、という作業が超絶に難解であり、私も今回は時間ないのもあり最初から攻略情報を全面的に当てにさせてもらったのですが、とにかく分岐が細かく、展開を変化させるファクターが何なのか、一場面ごとにそれを見つめるだけでもしらみつぶしになって一苦労、という印象です。

 一応大きく分けて美月、亜由美、澪、神奈(香織)のルートに分岐し、そのいずれでも宝玉が手に入るのと、別のルートの鍵になるアイテムが最後に貰えたりするので、結局ほぼ攻略順は一定に収束してくる形式なのだと思います。
 その上で宝玉を全て集めることで、この町の謎の根幹に挑むルートへの道が拓けて、それをクリアする事で、次元の位相が歪む直前の出来事の意味を知り、それに対しての解決が与えられるという非常に壮大な構成であり、そこに至るまでの苦労が半端ない大作・怪作であると言えるでしょう。

 ぶっちゃけ攻略完全依存でも優にプレイ時間は30時間を超えてくるほどに膨大なので、ある程度ポリシーを曲げてでも自力でどうにかするのは、余程時間に余裕がない限り避けた方がいいかもしれませんね。
 当時にしても、よくこれだけ難解なゲーム性の高いものに、ここまでしっかり物語性が付随したものを作ったなぁと感銘を受けざるを得ませんし、これを自力でクリアしてきた人種が一種の誇りを胸に抱くのもさもありなん、とすら思います。少なくとも私にはその根性も時間もないです。。。

★シナリオ

 正直どういう切り口で触れてもネタバレが横行しますし、一度ネタバレに切り込むと際限がないところでもあるわけで、PS作品という括りの分だけここはサラッと軽く概要的な部分に触れて、その所感を述べるにとどめて置かせて頂こうと思います。
 おそらく深い考察とかはもう二十年の時間経過の中で莫大な蓄積があるでしょうし、私なりになるほど、と納得している部分と、まだ不透明な部分は確かにありますが、そこを突き詰めていきたいと思うほどでもないので、気になる人はそういう方面を探る方が建設的ですよ、と予防線を張りつつ書いていきます。。。

 まあともかく物語としては、人の醜さや弱さ、自分勝手さに強く焦点を当て、それに翻弄されながらもなんとか踏ん張って生きていく善良な魂の在り方に、主人公が親和しそっと寄り添い、降り掛かる火の粉を一緒になって払うことでどうにかする、という色合いは強く出ています。
 それと並行しての謎解き要素も色濃く、各ルートで手に入れたパーツを組み上げていくときちんと世界の謎の全貌が見えるように丁寧に設計されており、非常に重厚で濃密な物語展開になっていると言えます。

 父親から預かった装置が不完全な内は、どうしても歴史の強制力による強制遡行に抵抗する余地がないので、各々のヒロインルートに辿り着いても程良いところで巻き戻し、という憂き目にあうために、基本的にヒロインを攻略する物語、というイメージは薄く作られています。
 一応最終的に全ての宝玉を揃えて完全な機能を取り戻した後だと、その反動を振り切って新たな事象の先に進める余地が出来ますが、それもおまけ程度の塩梅で、基本的には謎解きの方がメインテーマになっていきますし、作中の人間関係というか恋愛観的なものはある程度固着的でもあるので、その流れの中で愛し合うからでなく、寂しい故の逢瀬とか、そういうシーンも儘あります。

 一部ヒロインの境遇の切なさといい、このあたりの18禁要素の持ち込み方もいかにも黎明期のゲーム的と言えますし、やっぱりだからこそ、リメイク版でそういうシーンが削られているのは、物語の流れの上での情念を正しくとらえる意味では勿体ない話ですし、かつ純粋にそういうシーン見たいぜー!とジタバタさせるだけの魅力あるキャラ造詣が出来ているのがなんとも切ないところです。
 まあ当時の作品とは絵柄が全く違うわけで、私はあくまでこの絵として好きになってる部分もあるから、々転んでもないものねだりに過ぎないのはわかってるんですけどねー、特に神奈はなー、惜しいなーぐぬぬ。

 ともあれ、最初のマップの達成率をほぼ100%に近づけてもまだ見えてこない謎の部分はそれなりにあって、それを解決してくれるのが最終ルートの異世界編であり、ようやくここでタイトルヒロインがまともにお目見え、という事になります。
 このあたりいわゆる超展開的な飛躍もなくはないんですが、後に説明される世界構造の上では納得できる話に仕上がっているし、それが向こうの世界で提唱されていた学説、一部キャラの謎にも密接にかかわってくるというつくりは本当に考え抜かれてるなぁと驚嘆せざるを得ませんね。

 あちらの世界ではどう足掻いても数十時間の単位でのループ状態であったのに対し、こちらは悠久を思わせるほどスパンの長い物語になっています。
 そしてその発端となった状況に関しても、実は向こうの世界で主人公がした行動の結果が反映されたものである、というところに面白味が凝縮されており、色々と頷けるものがあって見事です。

 こちらの展開でもやっぱり主人公は主人公というか、向こうでも基本的に大切になったものは守る守る懸命に口にしつつ、実のところそれを成し得る実力は伴っておらずにコテンパンにのされてしまう、なんて場面が多かったですが、こちらでもその悪癖というか、どうにも人の善意を前提に物事を考えているが故の隙、みたいなものは健在です。
 それ故の不注意がこの世界で得た一時の平穏と幸福を踏み躙る結果になりつつ、でもそれを克服していかない限りはもっと悲惨な現実が待ち構えていた、という袋小路さには、いかにも辛いものがありますね。

 そしてその悲嘆にもめげずに前を向き、新たな目的意識を得ての旅の中で世界の真実に触れ、世界そのものを守るのにどうしても必要なものは、主人公に取って唯一残された最も大切なものに他ならない、という残忍な二者択一のありようも奥行きがありますね。
 この辺私のスタンスからすると逆転的にユースティアを彷彿とさせるものがあり、無論こっちが先駆者で、当時はそういう物語性もまだ新鮮味が強い分だけ、スケール感を誇示してより精密な部分にまで補完していかなくても充分心を揺さぶるものではあったのだろう、と思わせます。
 逆に言うと現代的な視座では多少の強引さと粗さはあり、想いが深まっていく過程に関しても元々の生き方にプラスして、その後の過酷な境遇による紐づけに完全に担保しているので、その辺の関係性はタイトル通り恋と呼んでいいのか、個人的には解釈の余地が出てくるところだなと思います。

 ただどうあれ言えるのは、色々と直情的で欠点も多い主人公ですが、どこまでも挫けることなく、一度果たした約束は石に齧りついてでも守ろうとする信念があればこそ、この世界像の中で自己を揺らがせることなく、結果的に全ての可能性を網羅して、最後にはああいう選択を躊躇なく突き進めるのだろうな、というところです。
 あのラストにしても、あれで真にハッピーエンドなのか、というのは、あのメタファーをいかに解釈するか、という部分も含めて中々に難しい問題だと思いますが、少なくとも二人にとっての後悔は微塵もない結果なのは明らかと思いますし、綺麗な終わらせ方だったと感じますね。

 しかしながら、選ばれなかった可能性、選ばれなかったヒロインに対する配慮というものは当然のように皆無の作品ではあるので、その辺を考え出すと色々切ないのもまた事実ですよね、と。
 ユーノは言わずもがなとして、神奈にしたって澪にしたって亜由美にしたって、あの事象の総体の中で主人公が積極的に介在しない場合、その末路は…………っていうのがはっきり見えるだけ辛いものはありますし、その辺優柔不断は許さない、そんな甘さはない、常に選べるのは、守れる大切なものはひとつきりなのだ、というテーゼは絶対的だなと思います。

 この辺はいつ空をちょっと思い出すところもあり、そういう風にこの作品で駆使されている心を揺さぶる技術やレトリックを鑑みるに、昨今のゲームは随分と窮屈な制約の上で作らざるを得ないんだよなぁと感じますね。何事も忖度・配慮、それは確かに必要なのかもしれませんが、虚構の上でまでそれを完璧に敷衍する必要はあるのか、とは、基本ハッピーエンド至上主義の私でも改めて思うところです。

 ともあれ総合的には、非常に精緻に構成された世界観と、錯綜する展開に一切矛盾を擁さない圧巻の構成力に瞠目させられ、最後まで一気にプレイさせるだけの吸引力がある、評判に違わぬ名作、傑作であったと思います。
 ただ結局ゲーム性の部分もかなり力が入っている関係で、シナリオそのものに集中しづらい構成でもあり、あくまでも今の感性の中でだと、中々に受け入れて納得するのが難しい部分や、理路で読み解くにしても最低限しか担保がない強引なつくりに思うところがないでもない、というところで、そのあたりはどうしたって同時代性の衝撃に勝てる要素はない、という見方でいいんだと思います。

 リメイクとして魅力がどこまで減衰しているか、それは畢竟当時プレイした人にしかわからない境地ですが、少なくともリメイク前よりこちらのほうが面白い、という事はおそらくないと思いますし、レート的に配慮しなくてはいけない部分も、それがあってこそ感情の流れにより生々しい肉付けが可能になる、という意味で、必要性が高い18禁要素を内包していたと思うので、その辺諸々加味すると点数的にはこのくらいなのかな、と。
 間違いなく面白かったですし、プレイする価値は十二分にある作品だと思いますが、このグラフィッククオリティで完全体を見てみたい、なんてそれこそ不可逆的なジレンマを抱え込む事にもなってしまうので痛し痒しですね。その点や、膨大なプレイ時間が必要な点も踏まえて、手を出すなら一定の覚悟は必用かなとは思います。


キャラ(20/20)

★全体評価

 昨今の生ぬるいゲームとは一線を画した、人の怨讐や欲望の醜さ、えげつなさをつくづく痛感させられる造型の中で、一応善の立場に立つヒロインズや主人公のありようも、欠点を補って余りある個性として燦々と輝いており、良くも悪くも目を引くキャラ造型ではあると思います。
 本当に悪意や小狡さに背景的な理由は特になく、ただ本能のままに突き動くとそうである、という人種もいるという諦観や摂理が投影されている中で、どれだけ人の業に対する納得を得られるかによって評価は変わってくるでしょう。

 個人的にも確かにうわぁ…………と思う部分は多岐に渡ってありましたが、それでもメインのヒロインズの清涼感と哀しみの重さ、あくまで一貫したリアリティのある造型に対しては一定の納得は持てましたし、敢えてマイナスするほどではない、と見做しています。

★NO,1!イチオシ!

 所詮若い子スキー、という観点からすると実は…………ではあるけれど、終わってみると神奈が一番好きですね。
 その生きてきた軌跡の重さが本当に生々しくも切なくて、ある意味現代的な作品だとまずヒロインとして成立しないくらいの業ではありながら、決して膝を屈せずにここまできた、という部分、そしてその陰に潜んだ少女らしいありようは、それだけ情緒を育む余地がなかったことを示唆していて。
 それだけにこの神奈ルートでの主人公との心の交わりは本当に尊く美しいものに思えましたし、幸せになって欲しい、と切実に思う子だったと思います。あとホント押し倒すシーンが見たい(笑)。

★NO,2〜3

 ここも順当に澪、そしてユーノというところに落ち着きますかね。
 澪もわかりやすいくらい典型的なツンデレではあり、そしてある意味では一番この事象面での悪意に蝕まれてはいないヒロインではあって、それ故一番恋愛をしている感は強いルートでしたね。
 ぶっちゃけその分個別展開は相当に悲惨ですし、主人公が介在しなかった場合はより悲惨じゃね?って部分も含めてなんともですが、これだけ想いに忠実に真っ直ぐ自分を貫けるのは素敵だと思いますし、なんだかんだいい子ですからね、そりゃ気に入ります。

 ユーノも当然ながら素晴らしく可愛いですね。
 属性的には色々誓約を持っているわけで、その境遇が織りなす精神性を鑑みた時に、タイトルの恋を唄う少女、というありようは正統的なのか悩ましいところもありますけど、少なくとも思慕、という意味では純粋な部分で一番強い、裏を返せばそれしか心に詰まってないというありように、可愛さといじらしさ、守りたいという欲求を掻き立ててくれる可愛い子だったなと思います。
 個人的にPC版であの口づけの後はあったの?というところは聞きたいけど。。。他は少なくとも事後感自体は露骨に出してイメージを想起させてきたけど、ここは余計に倫理感も絡むしその辺の忖度で、って可能性がどっちに触れたか読み辛いというかねー。

★その他

 亜由美さんはとことん不憫な人でしたねぇ。
 現実側の事象ではどこまでも誰からも酷い扱いをされる中で、それでもなけなしの、主人公の母親であるという矜持を盾になんとか踏ん張っていて、けど本質的には甘えたがりって感じはあるから、どれだけ無理してたんだよ、というのがバッドエンドの残忍さに集約されています。
 だけに彼女と心が通じるルートもいいなって思いますし、眼鏡外した時の可愛さが凄まじいのでその点でもお気に入りではあります。しかしそこでも巻き戻し食らう上に、向こうでもあんな損な役回りとか本当にねぇ…………。

 その辺、特に亜由美に対して直接的に害をなす面々はほんっとうにむかつき度マックスでしたねしかし。
 まだ香織は見た目可愛いし時々親切でもあるからいいけど、豊富だけはマジで死んでくれ、と誰もが思うに違いない。よくもまぁここまで碌でもない人物造型を遠慮会釈なくぶちこんでこれるものだと感心してしまうくらいです。

 龍蔵寺のなりすましも中々に冷酷非道で自己中心的だし、それに操られていたという点は加味しても美月も本質的には自分の我欲に忠実で流されやすいところはあって信頼は置けないなー、って感じですよね。
 多分おとんもこの辺の陰謀に巻き込まれる中で、ああいう形で歯科影響力を保持できなかったと思えば色々と間接的に迷惑振り撒きまくりですし、絵里子が頑張ってくれてよかったですよホント、ってところ。


CG(19/20)

★全体評価など

 このあたりはアワード絡まないので極力簡素にまとめちゃいます。
 とりあえず絵は非常にキャッチーで可愛く、おそらく原作ファンからすれば可愛過ぎて毀誉褒貶ありそうだなーって思いますけど、少なくともまっさらな状態で触れる限りは素直に可愛くていい感じと思えるとは感じます。
 無論作風の重さにマッチしているかはまた別ですが、ある意味で極端に親和させないことで、シナリオの重さを緩和する役割を果たしていると思えば、これも現代的な忖度なのやもしれません。
 ともあれ出来自体は満足ですし、量も素晴らしいので十二分に楽しめました。

 立ち絵素材も多いとは言えないものの最低限は揃えていて、それぞれに個性がしっかり出ていて可愛かったと思います。
 1枚絵は全部で210枚と特大ボリューム、無論ヒロイン絵柄だけでなく背景的なのやらすべてひっくるめて、ではありますけど、出来の安定感と可愛らしさ、それでもしっかり重苦しいシーンでの重厚感は出ていて、中々に好みでしたね。
 特に印象深いのは亜由美のバスタオル鉢合わせと、神奈の下着エプロンかなぁ。


BGM(18/20)

★全体評価など

 こちらも楽曲自体はほとんどリメイクバージョンで、それに新規のOP曲が1曲だけ用意された、という格好ですね。
 しかしこれ、音楽室解放する条件が厳し過ぎるというか、攻略なしで頓挫せずにここまで辿り着けた人は普通に尊敬しますわ私。。。むしろ攻略作ってくれた人が一番凄まじい労力なんでしょうし、そこも五体投地あるのみです。おかげ様で音楽の聞き込みが出来ました。

 曲数的には80曲オーバーと、本当に色々とオーバースペックな作品だなぁと思わされますね。
 一部楽曲が差し替えられているのはなんでしょう、版権的な部分で揉めた?とか色々勘繰りたくなるところもありますが、ともあれオリジナルとリメイク版両方を聞き比べられる仕組みもいいですし、どちらも味わいがあって壮大な印象は一致していて、中々にいい出来ですね。
 OP曲も実にらしい神秘性と切迫感がぎゅっと煮詰まったいい曲ですし、特筆してこれはすごい!ってほどの感触こそなかったですが、高いレベルで安定していて作品の雰囲気をしっかり下支えしていたと思います。


システム(9/10)

★全体評価

 演出的には、しっかり時代の進歩を感じさせる奥行きと迫力のあるものが出来ていたと思います。
 要所でアニメーションが入ったりするのも、その必要性とクオリティはともあれ面白い試みですし、普通のPCゲームアドベンチャー的にキャラがコミカルに動くわけではないけれど、それを補って余りある情感演出の見事さはあったなと。

 システム面では、元々のゲーム性がしごくめんどくさい、ってのはあるから、当然それを極端に緩和は出来ない部分での苦慮はあったでしょうし、実際にここまでセーブが限定的で、だけど分岐だらけってゲームだと、自力では途方に暮れるというか、牛歩で進んでいくしかないというか。

 あと一部演出効果発同時にフリーズバグがあって、その時に痛感したのは、こまめにセーブしとかないとすんごい前から巻き戻しになるって事。。。
 つい宝玉セーブしてれば平気、って思いがちですけど、一旦データ自体がフリーズすると基本のセーブデータ依存になってしまうので、そこは気をつけて、セーブできる場面では常にセーブするくらいの慎重さが、特に自力プレイの上では必須になってくるのではないかと思われます。

 細かい設定などは必要最低限はあったと思いますし、スキップなどもかなり速いのでそこまで不便ではありませんでしたかね。


総合(93/100)

 総プレイ時間は34時間ちょっとですね。徹頭徹尾自分の頭で考えずに攻略の指示に従ってマップ移動を繰り返し、出来る限りシナリオの展開のみに意識を集中してプレイしてこれですから、自力でやろうとしたらこの倍、いやそれ以上はくだらない非常に時間泥棒の大作と言えます。
 無論中身もそれに見合うだけの濃密で雄渾で心揺さぶる素晴らしい物語に仕上がっていますし、少なくとも過去作に触れたことのない新規プレイヤーなら取り立てて不安を感じるところもなく楽しめるでしょう。

 内容的にも、テキスト面でも多少なり人を選ぶ空気は当然ながらありますけれど、それも含めてこの作品の醍醐味ですし、最後にはそれに酔わされて慣れてくる、それだけの牽引力のある作風で、一時代を風靡しただけの名作という看板に偽りなし、と言えるので、興味と時間があるなら是非プレイしてみるといいと思います。
posted by クローバー at 12:50| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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