2017年05月09日

D.S.i.F. −Dal Segno− in Future

 特に目立った新規コンテンツもないベーシックなFDなので、お値段考えるとコスパ的には微妙かな、とは思ったのですが、やはり魔王の娘様の可愛さを堪能したい気持ちには逆らえずにサクッと購入。

シナリオ(17/30)

 奇跡の先に紡ぐ道。

★あらすじ・概要

 この作品は、2016年4月に発売されたD.S.−Dal Segno−のFDになります。
 特に目立った追加コンテンツはなく、本編では辛い現実から目を背けて楽園の優しさに包まれていたヒロイン達が、主人公の介添えを得て現実に向き合う強さを手にするまでの過程がメインでしたが、ここではその先、具体的にどう現実の中に自信の理想を落とし込んでいくかの一歩目を綴っています。

★テキスト

 本編と同じく、それぞれの文体の癖は生かしつつ、全体として神秘的・抒情的な雰囲気を醸し出す語り口であり、相変わらずひまりとの掛け合いはなにかずれてる気もしなくはないんですが(笑)、まあ概ね問題なくスラスラ読める、プレーンな仕上がりになっていると思います。

★ルート構成

 大枠の物語は、本編から約一年後の冬を舞台にスタートします。
 ある程度寮のみんなとわいわい楽しむ集合イベントが最序盤にいくつか用意されていて、その中で実は誰と恋人になっているんだ、と吐露する事で、大枠の流れの中に個別イベントが挿入されていく、という、少し変わったつくりで序盤は進んでいきます。
 とはいえ選択肢的には一切難しいところはなく、その後の物語を見たいヒロインから選んでいけばいいだけです。

 その共通的展開の合間でも多少イチャラブ展開は挿入され、その上で更にその後に、固有ヒロインとのシナリオが展開されていくことになります。
 そこでも基本選択肢はなく一本道なのですが、地味に遥月ルートだけ謎のクイズ大会にガチで参加させられるので、そこだけ注意が必要です。クイズでズタボロだったらどうなるかは試してないですが、当該箇所手前でセーブを残しておく方が無難でしょう。

★シナリオ

 基本的には、ヒロイン達が自分の殻に籠っている中で、徐々に現実との折り合いがつかなくなってより悲劇的な方向に転がっていきかねないのを、奇跡の力を借りて押し留めた、というのが本編の大半の要素を占めていた中で、そこで紡ぎ切れなかっだ部分を改めて補完する、という内容であるのは間違いないですね。

 今更に本編感想読み返すと、まあこれだけファジーな作品によく頑張って考察しようとしてるなぁと自分を誉めてあげたくなりますが(笑)、どうあれ自然科学的な側面からのフォローは今回も薄く、またヒロイン達の立ち位置的にも中々に都合のいい展開にはなっていました。
 こういう後日談共通、的な構成は中々斬新ではありますけど、一応これ、主人公が介在しないとそれぞれのヒロインが抱える葛藤は解決しない構成ではある筈で、本編依愛の外的要因性などを鑑みても、この時期にみんなが健やかに和気藹々としていられる、というのは、やはり構造的にクラウド的ななにか、クローバーのネックレスを通じて波及する心性の変化、というものを前提にしないと成り立たんなと。

 その土台が脆すぎる、って話も本編感想でしましたけど、今回もそのあたりの仕組みに対する説得的かつ積極的なフォローは特になく、しかも屋上屋を重ねる形でそこにもうひとつ優しい奇跡を投影してしまっているのはいかにもだなぁ、と苦笑いさせられました。
 まあ少なくとも感情的には、主人公が手を差し伸べなければ永遠に救われない、という悲嘆はそれはそれで嫌なので、いかにご都合的で説得性がなかろうと、ちゃんとみんな幸せに向かって歩み始めているんですよ、という空気感を強引にでもねじこんでくるのはひとつのやり方ではある、とは思いますけどね。

 ともあれ、その後日談共通のクリパや旅行イベントの中に、ちょくちょく恋愛対象ヒロインとのイチャラブは挟みつつ、それを情緒面での足掛かりに個別に入っていく流れは悪くないと思います。
 ただアレですよ、この旅行終わりが年末で、そこから個別に繋いでいくのに、なぜか一部ヒロインルートは時間が巻き戻ってスタートするという。。。この辺の整合性の甘さも相変わらずなんですよね、まぁ一種の回想的な観念で汲み取ればそれでいい、という部分もありますけれど。
 まあぶっちゃけ依愛シナリオなんですけどね、これ本編も地味に外的要因乱発する癌だったしなんだかなぁ。

 或いはその辺、更に時間が過ぎての夏スタート、という解釈も不可能ではないのですけど、今回のテーマと時系列的にそれは難しいところだと思うんですよね。
 基本的なテーマとしては、本編で現実に向き合う足掛かりは出来た、じゃあその上で、しっかりそれを克服して自分らしい道を切り開く端緒を紡ごう、というところになるわけで、それは主人公ヒロイン達の学年的な部分でもうっすら示唆されるところだと思うんです。

 要は学生生活もあと残り僅か、と終わりが見えてきて、いつまでも楽園に安座してはいられないという面の現実もひたひたと足音を立てて迫ってくる中で、過去と折り合いをつけつつ、未来に自分が為したい事を見出すタイミングとしては必然性があるわけで。
 まあこの学園が何年制だ、と明示されてるわけでもないですが、普通に考えて更に一年後だと、もうその先の進路に迷ってる場合じゃないから!既に路頭に迷ってますからっ!残念っ!(👈げに古い。。。)ってなるし、その辺でも扱いに困る部分だなと。
 その意味で、乃絵里だけは当人は少なくともその問題にまだ直面する必要がないし、それ故にああいう家族的な部分を色濃く打ち出した方向性に特化している、とも見做せますね。

 そんな構成面での齟齬はともかく、内容的には本当に、これも本編でやって欲しい内容だったよなぁ、とは正直思わなくはないです。。。
 本編どうしてもシナリオ尺は微妙だったし、突発的なすったもんだばかりで腰を落ち着けてイチャラブも出来ていない、シーン数も少ないというわけで、この内容が加われば水準は大きく超えるかもだけど、それでも贅沢過ぎるくらいポリューミー、ってことにはならないと思うんですよねー。

 ただ流石に今回追加コンテンツは特になし、という中で、ひとつひとつのシナリオはそれなりに尺は取って、じっくり二人の問題に向き合いつつイチャラブする展開は丁寧に織り込んでくれていますし、シリーズ全体としての分割感はどうあれ、本編より素直に楽しめたところは大きかったです。
 やっぱりその辺はヒロインが変に意固地だったり後ろ向きだったり、そういうめんどくさい要素がほぼほぼ解消されている上でだからではあるし、各々の個性を生かした将来像をきちんと提示できているのもプラス材料だったかなと。

 その上で個別評価するなら、遥月>ひまり=乃絵里>依愛>>天くらいですね。
 天は本編ラストがああで、今回もそれこそ白昼夢的な奇跡の力に拠った完全におまけ程度の扱いなので仕方ないところで、依愛は今回もキャラとしては一番好きなのにシナリオ面では粗が目立つなぁ、という話。まああれですんなり才能全開までいかなかっただけ良心的ではありますけれど。

 乃絵里シナリオの評価のほとんどは鳴可愛い!に尽きる部分はありますが(笑)、お互いにないものを羨み合う中で、それを素直にさらすことで家族としてのステップアップを為していく構図は、ベタだけど綺麗で良かったなと思います。
 ひまりも、まだ怯えを残しつつも、主人公の献身的な支えを得て真っ直ぐトラウマに直面し、その中から自分の道を見出していく王道展開で、ヒロインとしても本編からの長足の進歩を感じさせる丁寧なつくりが良かったですね。

 ただシナリオとしては結局本編同様遥月が一番安定して面白かった気はします。
 まあ最後の地力クイズ大会は必要だったのか悩ましいところですけど、そういう遊び心も含めて、色々と難しい立ち位置の遥月にしっかり寄り添う様が描けていましたし、なにより心を重ね合わせて色々な面を見せるようになった遥月がかなり可愛かったですからねー。

 まとめると、本編ほどネガティヴな部分は少なく、といってそれを積極的に補完してくれるほどではなく、一応個別突入直前に、天がヒロインズにネックレスを渡した時の情景を挿入するなどの工夫は見られましたけど、総じて尖ったところはない平均的に丁寧なFD、という見立てでいいと思います。
 なので点数的にもそれに応じたところで、本編の不満がスッキリ解消されたわけではないけれど、その影響を引きずるほどではない感じですね。ごく普通に面白かった、というところです。

 あと鳴が攻略できない致命的なバグは健在ですが(笑)、まあこの辺はいつものサーカス商法的なアレでしょうかね?
 鳴や奏、藍など魅力的なサブヒロインは結構出てきたので、この次は本編+FDに新規ヒロイン昇格をセットにしたコンシューマ版が出て、更に再移植18禁版が出る、とかまで考えてしまいます。。。
 本来構成的には他のヒロインが割り込む猶予はないっちゃないはずなんですけどね、その辺も奇跡の力でなんとかしてしまいそうなのが怖いところです。でもそうやって文句垂れつつ、鳴が攻略できる再移植版が出たらきっと買っちゃうダメダメな私もいそうですが(笑)。


キャラ(20/20)

★全体評価

 どうしても本編は現実に向き合いたくない、という回避的素養が強く出てしまう構成だったので、ヒロインズでもその面でうーん、となるところは多かっただけに、今回そのネガ要素がほぼ払拭されて、純粋にまともな感性の中で恋に耽溺しているヒロインを見ているのは楽しかったですね。
 本編では見られなかった世界観や思想の広がり、成長要素も結構あるので、やっぱりこれは本編で導入しなきゃいけない部分だよなぁ、という感はありつつ、取り立てて割り引く要素はない、というところです。

★NO,1!イチオシ!

 今回も魔王の娘様は大層かわゆくございました。
 変幻自在に魔王モードと姫モードを行き来しつつ、その中で滲み出る本音や弱さを含めて、少しずつでも真っ直ぐ発信できるようになっているのは感無量ですし、あーやっぱりいいなぁ、好きだなぁと思う次第。
 ラストの姫モード逆プロポーズ的なのとか最強に愛らしかったですしねー、CV力コミコミで今回も大満足でした。

★NO,2〜

 正直今回ここまで鳴に出番あるとは思ってなかったので、乃絵里シナリオでガッツリ出てきてくれて本当に嬉しい誤算でした。
 そして見た目も性格も本当に好みど真ん中というか、サーカス的に言うとこれまた原点回帰で音夢っぽさがある妹で本当に可愛いですし、CVも小鳥居さんだから本当に耳福でしてね、乃絵里ボイスとセットでずっとこの幸せ時空に浸っていたい気持ちにさせられましたぜ。
 乃絵里も今回は嫌な部分がほぼ解消はされていて、お調子者なのは相変わらずだけど色々自覚も出ていて少し大人っぽく、それでいてより可愛くなったな、とは感じました。

 遥月やひまりも、本編では抑圧されていた部分が解放されて色々新たな一面を見せてくれましたし、その快活な可愛さはすごく良かったと思います。
 あと藍も基本賑やかしだけど真っ直ぐで可愛い子ではありますよね、結構好き。


CG(18/20)

★全体評価

 本編同様の二人原画でやや雰囲気は違うのですが、それでも作風とキャライメージにはきっちりマッチした割り振りですし、質の面では本編よりも更に洗練されている感じですごく良かったです。
 ただ量的には、いくらFDとはいえ値段考えるとちょっと物足りないかなぁ、というのはあり、総合してこの点数になるかな、というところですね。

★立ち絵

 新規素材は浴衣や冬服などの新衣装に、あと鳴&藍の立ち絵素材追加あたりですかね。奏もポーズ差分増えてたかもしれません。
 鳴の横向きポーズとか、こちらの制服姿とかは非常に眼福でしたし、藍も凛とした雰囲気の立ち絵はかなり好き。浴衣は遥月が一番似合ってると思います。

★1枚絵

 こちらは全部で56枚、まあ8800円也ですのでもう少しあって欲しいとは思うのですが、まあFDとしては水準と言えば水準、ですかね。
 ただ質は全体的に高く、どちらの側も本編より活き活きした愛らしいヒロインに仕上がっているなと感じました。

 特にお気に入りは5枚ですね。
 1枚目はひまりと園長、温かい抱擁で全てのわだかまりが溶けていく様は本当に美しく映えていました。
 2枚目はひまり屈曲位、このボディラインの美しさと艶めかしさは中々にヒットしましたね。
 3枚目は遥月生徒会室正常位、この絶妙の脱がせ具合とくねり方、艶美な表情が三位一体で素敵です。
 4枚目は依愛逆プロポーズ、コロコロと表情を変えつつとことん愛らしく恥じらいを感じさせるのが好きです。
 5枚目は乃絵里騎乗位、この健康美と躍動感にはかなり惹かれるものがありましたねー。

 その他お気に入りはまあ大体全部可愛かったと思いますよホント。今回はとても安定しておりました。


BGM(16/20)

★全体評価など

 新規追加はボーカル5曲にBGM6曲だと思われます。
 ボーカルはFDとは思えない豪華さですし、本編同様にしっかり感傷的なシーンでの挿入歌としての使われ方が贅沢で中々良かったですね。
 OPの『奇跡メロディ』は、いかにも、って雰囲気の広がりと爽快感が中々に素敵で、挿入歌の中では『奇跡のいたずら』と『奏で愛』、特に後者の懐古的な空気を醸すサーカス曲らしいメロディラインはかなり気に入ってます。

 BGMでは『白く輝く』と『奇跡の予感』がいい曲ですね。


システム(8/10)

★演出・システム

 演出面ではほぼ本編準拠で、特に目新しいものはないですし水準かな、というところ。
 OPムービーも爽やかでセンスいい仕上がりですけど、特段インパクトがある、というほどではないですね。

 システムはいつもながらディスクレス化対応のめんどさとか、レスポンスの悪さとか気になるところは多いですけど、致命的にプレイ感を疎外するほどではなく、というところですか。これでもDCVの頃よりは改善されたと思うのですが、もうちょいなんとかしてほしいですけどね。


総合(79/100)

 総プレイ時間は11時間くらい。共通イベントが1,5時間ちょいで、そこの挿入イベント込みで個別が2〜2,5時間くらい、天だけは30分ちょっと、という配分です。

 まあFDとしては可もなく不可もなく、一応本編で続きが見たいと思った部分はしっかり補完してくれてはいますが、世界観の補強まではしてくれてないのが痛し痒し。
 本編がすごく好みだった、という人なら今回の内容も楽しめる部分は大きいでしょうし、買って損はしないと思いますが、本編セットとかで新たにやろう、と思うなら先に体験版で雰囲気は見た方が良いかと。
 ついでに、いずれより完全版っぽいのが出る可能性も含めて、この時点でおススメだからどうぞ、とは言い難い部分もやっぱりあるので難しいですね。

 まあ私としては、目当ての依愛が今回も途轍もなく可愛かったですし、予想外に鳴の出番が多くてときめいたので満足度はされなりに高いです…………けどそれって、ほぼほぼCV力に依存している評価かもしれませんな。。。

 
 
posted by クローバー at 05:17| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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