可愛くえっちな大人気ネコぱらシリーズの第三弾なので、当然きっちり抑えてはおきましょう、と。
シナリオ(20/30)
幸せの価値を決めるのは。
★概要
この作品は、ネコぱらvol,1 ソレイユ開店しました、及びネコぱらvol.2 姉妹ネコのシュクレの続編で、元々の水無月家ネコである四姉妹の次女と三女、メイプルとシナモンに大きくスポットを当てた物語になっています。
ソレイユの中で主人公の恋ネコが四匹になって、益々賑やかで甘々な生活が繰り広げられる中で、それをどこか冷ややかに見ていたメイプルと、その親友ポジションであるシナモンの関係性、そして未来像を綴っていく中で、惜しみなく支え、手助けをしてくれる主人公にやっぱり傾倒していって、という流れですね。
★テキスト
いつも通りに軽快で歯切れよく、それでいてしっかりヒロイン個々の個性を大切にしているのがわかる読み口で、とにかくネガティブな部分はほとんどないので道中ずっとほっこり癒されますし、あぁ可愛いなぁーと真っ直ぐ萌え転がれますし、コミカルで楽しいしで、取り立てて文句のない仕上がりになっていますね。
特に恋ネコが増えた事による姉妹の力関係とか、今まで見えなかった一面がちらちら垣間見れるのが本当に楽しかったですし、妹様も益々絶好調で満足です。
★ルート構成
今回は完全に一本道ですね。元々一夫多妻制的な、一般の人間の倫理観が通じる舞台設定ではないわけですし、その上でメイプルシナモンも二人でセット、という色合いがより強いので、その点はまぁ問題ないと思います。
★シナリオ
他の四匹との逢瀬やサービスシーンも折々に交えつつ、基本的には序盤からラストまでメイプルとシナモンの二匹の想いに寄り添った物語が展開されています。
今までのシリーズですと、vol,1では店を軌道に乗せるための悪戦苦闘や、その中で飼いネコになったショコラバニラとの接し方、その境界線の引き方に対する悩みなどがメイン、vol,2でもその雰囲気を引き継ぎつつ、こちらはアズキとココナツの二人の関係性を重点的に触れていて、どちらかといえば内向きな物語でした。
その点今回も、メイプルとシナモンの関係性の部分ではやっぱり内向きですが、同時に子ネコの頃からメイプルが心に抱いている夢にスポットが当てられ、そしてシナモンもそれを密かに応援している中、それをどう形に示せばいいか、という色合いが強く、シリーズの中では比較的外向きの要素も含んだつくりになっていたなと思います。
この世界観の中でネコという存在の市民権というか、意思がどれくらい実現可能なのか、というのは、結局のところ飼い主の意向に依存する、としか言えないですし、それを是としない風潮もなくはない、というのが、終盤のパーティー余興のシーンでもある程度顕著に匂わされています。
けど一方で、ネコたちがそういう外向きの活動をする事を是としてくれる層も、わざわざ遠くからブログを見てみんなに会いに来てくれたお客、というところに象徴されており、畢竟対外的に全てが是認されるものなどない、というのは人間社会と一緒で、そこにはしっかり幸福追求権の観念がある、とは考えたいところです。
無論vol,1あたりで語られたように、あくまでも愛玩動物として、飼い主の身勝手にさらされるネコ、というスタンスも投影されていますので、それだけこの水無月兄妹が飼い主として理想的な存在であり、そうやって支えられている安心感があればこそ、みんなも果敢に外の世界に足を踏み出していく勇気を持てる、という部分はあるのでしょう。
その点この物語のスタート時点でまだ恋ネコにはなっておらず、どこか冷ややかに状況を眺めていたメイプルは、同時に非常に頭のいいネコでもあるので、自分が人間並みの大それた夢を持つことに対する無謀さ、恐れ多さを抱き、最初からそれを押し殺しているわけで。
もっとも、他の姉妹以上にはっきりなにがしたい、という意識がある分、より自我とプライドは強い、というのはあって、その点でも今まで簡単に靡かなかった証左になっていて、シナモンはそれを全て受け入れ見守る立場として一歩引いていた、というところなのでしょう。
単純にご主人様に愛されたい、えっちぃこともされてみたい、という意欲自体で言うなら、明らかに四姉妹でシナモンが突出しているのはその潤い加減(笑)で明らかですし、それでも現状がこうなった以上、メイプルを差し置いて自分が、となれないのはこの子の美徳でもあると思います。
ともあれ、ツンツンした態度の影に引け目や怯みを覆い隠していたメイプルですが、それをもどかしく感じていたシナモンが契機を紡ぐ形で、その本心、志望が主人公の目に止まるように仕向けられているのは丁寧な構成です。
その想いを元から理解しつつ、いざ動くとなったらどうにでも、という下準備だけして気を窺っていた妹様の周到ぶりも、文字通り主人公に自身の飼いネコハーレムを完成させる為の布石、とい感があって、けどそれにまんまと乗ってしまうというか、全てをプラスに受け止めて真っ直ぐお節介に走ってしまうからこその主人公、というのはありますね。
舞台設定からしても、コンテンツ的に自分の好きを表現できる可能性は多種多様に満ち溢れていて、けどそれも自分がやりたいと、楽しいと思わなければ意味がない、というのは当たり前の事です。
結局幸せの価値を決めるのは自分自身で、外側の総意的な常識に押し潰されて、本来求めるべき幸せの形を見失ってしまうのは勿体ない事ですし、それはこうして、人とネコという種族の違いがあっても、きちんと会話し意思が鮮明に通じる関係性がある限りは大切にされて然るべき、という想いが、この物語にはしっかり投影されているなと感じます。
まぁ芸事に関しては、最終的にはその行為でどれだけ他者の心を揺り動かせるか、という才能に依拠する部分も強いので、その点に対する担保が軽いまま手のひら返しクルー、ってのはいかんせん都合がいい、とも思いますが、物語の匙加減としてはそこで悪戯に重くするシリーズでもないですし、仕方ないと思います。
ただメイプルとの関係性としては、今迄の他のネコたちにも、しっかり気持ちに寄り添って愛情を注いでいたとは思いますが、それ以上に意思を尊重してそれを大切にし、適度に干渉しつつしっかり見守るという、それこそ育て主としてかくあるべし、という姿をしっかり見せているのが印象的でした。
多分他のネコと同様のアプローチではメイプルの心は簡単に靡かせられなかったと思わせますし、その点ではシナモンはグリコのおまけ的なスタンスですが(笑)、でも彼女がいればこそメイプルも夢への道、恋ネコとしての道に踏み出せた部分は強いので、本当にいいコンビだなぁと感じさせますね。
そんな感じで、物語としては今までより少し枠組みを広げつつ、それでも一番大切なものは個々の内面的な幸せ、という部分にブレはなく、このシリーズらしい温かみをしっかり感じさせる楽しいお話でした。
シナリオボリューム的にも、単純に他の四匹とのイチャラブも必要、ってのはあったにせよ、今までよりもしっかりしていたと思いますし、バランス的にも合間に他のネコとの逢瀬を挟むことで、進行の唐突感がなく違和感ない段取りで紡げていて、そのあたりもシリーズとしての成熟を感じさせたので、点数的にも右肩上がり、という数字に落ち着けました。
あとは、このシリーズのこの先がどうなるのか?ってのは気になりますね。
あくまでもシリーズのコンセプトを墨守するなら、その土台の関係性を崩しかねない妹ルートは劇薬なのでどうなのか?って思うし、でも一応攻略できるネコは全て攻略した形になるのですよね。
個人的にはこの店に新たな子ネコが拾われてきて、みんなでやいのやいのしながら育てる奮闘記みたいなのが見てみたいな、なんて思いますし、その合間で恋ネコらしい事もしっかりやる、というサービスディスク的なスタスンの作品が欲しいかなって思いますねー。
勿論純粋に新キャラ投入でもいいんですけど、今からこの絆に割り込むのは難しいですしね。どうあれ続きが出ることを期待はしたいです。
キャラ(20/20)
★全体評価など
いつもながらに癖も嫌味も少ない、非常に愛らしいネコたちとの楽しい日常が堪能できますし、それぞれの個性もノビノビしていて本当に愛しいですよね。
今回の主役は何を差し置いてもメイプルだったと思いますが、確かにプライドは高くて素っ気なさはあるけれど、ツンツンしている、というほどあたりが強いわけでもなく、アズキとはまた違う意味でしっかり全体を見守っているスタンスと優しさが滲んでいるのがいいですよね。
自分をしっかり持っている、という意味では水無月ネコ屈指でしたし、それ故の変な人くささというか、思慮深さがもたらす後ろ向きさなども含めて愛らしいと思えましたし、こういう子が一度恋に落ちると、という、冷静と情熱の温度差の切り替わりがすごくハッとするほど魅力的でした。
シナモンも普通に可愛いですが、文脈や意思的な面では他のネコと大差なく、ただそれ以上にメイプルありきってところが潤い芸と同じくらいこの子のアイデンティティになっている、というのは見て取れる内容でしたね。
メイプルのように人かぶれした倫理観やブレーキはないので、いざ箍が外れれば真っ直ぐ奔放に思慕を見せてくれますし、そういう甘え上手な部分が主人公とメイプルに等価値的に発揮されるのもおいしいキャラではあります。3P場面での関係性というか、力関係では、他の二組より一層しっくりくる感じはありましたね。
当然ショコラバニラも相変わらずの独特の個性で可愛いですし、すっかり恋に毒されて、意地を張りたいのに張れないアズキの可愛らしさも半端なかったですし、ココナツも元々の無邪気さを取り戻して、全体的な空気感も、恋ネコが増えるとともにより蕩けていく感じで素敵ですねー。
CG(20/20)
★全体評価など
まぁ相変わらずめっっっちゃ可愛いのに、いざエロスに入るとめっっっちゃエロい、という絶妙のバランスは流石の一言です。
今回はいつも以上にクオリティも高く、量の面でも今まで以上に頑張っていて、こういっちゃなんですけど大分このシリーズのヒットで儲かってそうな所を、きちんとプレイヤーに還元しようという姿勢が感じられるのは好感が持てますよね。
いつも出来はいいと思っていましたが、その中でもより満足度は高いです。
立ち絵に関しては、動きなどにどこまで追加があったかは正直明確には判別できないですが、衣装などはちょこちょこ新規素材が投入されていて、文字通り主人公達がネコ可愛がりしてるよなぁ、と感じさせる一幕を見た目でも補完していると言えます。
1枚絵は通常41枚にSD7枚で計48枚と、お値段考えると破格の量になっています。
その上で全てのクオリティが抜群にいいですし、なにより1枚絵の出現頻度が高い、しかもそれすらきちんとエモートでコロコロ動くのだから大したものです。本当にひとつひとつの挙動が可愛く愛らしくいやらしくて素敵です。。。
特にお気に入りは5枚。
1枚目はショコラバニラHバック、特にこのバニラの艶めかしいボディラインが素晴らしく好みですね。
2枚目はメイプルシナモンお化け屋敷、パニックのメイプルにはぁはぁするシナモンという構図が微笑ましかったです。
3枚目はアズキココナツHのアズキ背面座位、うんうん敢えてアズキにこの体位を選ぶとはわかってらっしゃる!と感銘する出来でした。
4枚目はメイプルシナモン感涙、緊張の糸が切れてのこの涙のシーンは問答無用で美しかったです。
5枚目はメイプル騎乗位、この程良い釣鐘の胸と、密着した下肢のラインがエロくて超好きです。
その他すべて可愛いので本当に大満足でしたね。
BGM(16/20)
★全体評価など
今回の新規素材はボーカル曲2曲と劇中曲、というところです。
OPの『ネコイチ』は、これまでのシリーズ通してのボーカル曲全ての中で一番好きだな、って直感的に思った曲で、いかにもDucaさんらしい伸びやかさと透明感が非常に生きたメロディラインになっており、特にBメロからサビにかけてのリズミカルさが凄く気に入ってますね。
EDの『Glowing』は流石にOPよりは、って思いますけど、こちらも伸び伸びスピード感と安らぎが同居していて綺麗な曲だなと思いますし、世界観にピッタリですね。
劇中曲の『大きな古時計』は本当に久しぶりに耳にしたけどなんだかんだすごくいい曲ですし、英語版になるとより情緒が増していいですよねぇ。
こういう子供の頃に唱歌として覚えた曲って、今になっても全部ちゃんと歌詞覚えていたりするから、ふとした時に想起させられるのは嬉しいものがありますし、ある意味で背伸びし過ぎないネコの立場としての座興という視座でも、中々趣深いチョイスだったのかなと思います。
システム(10/10)
★全体評価など
今回からエンジンが変わったこともあるのか、エモートの安定感、スムーズさが一層よくなっていたように思います。
その上でシリーズでしっかり担保してきた演出は踏襲し、更に一歩上の魅力をしっかり見せてくれていますのてせ、基本的に文句のつけようがない出来だと思いますね。
総合(86/100)
総プレイ時間5時間。いつもより少し長かったと思いますし、けどその時間の全てが基本的に心温まる幸せな読み口で、体調不良の中でもスラスラ読めて心を癒してくれたので助かりました。。。
本当にこの長さだからこそできるクオリティの高さは健在ですし、キャラもみんな途方もなく可愛くて素晴らしいですね。既存ファンならより満足度高く、これから追いかけてみようかと思っている人にも素直にお勧めできる安定の出来でした。
2017年06月05日
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