2017年08月17日

初情スプリンクル

 正直体験版での、話を聞かない暴走ヒロインズのわやくちゃにはうわぁ…………って思ったのは事実なんですけれど、それでもこれは、公式ページ紹介が出た時に一発でみおに一目惚れしてしまった(あのジャンプポーズが可愛過ぎました)ので、最低限みおは素直で純真で良さそうな子だったし、なら買っちまうかー、って感じでしたね。

シナリオ(16/30)

 設定のマイナスが重かったり。

★あらすじ

 主人公はちょっとお調子者でオープンスケベなだけの、普通の学生でした。
 ……………が、ある日隣の家の幼馴染である小春の姉の早希が連れ帰ってきた不思議な亀によって、眠っていた魔族の力・「色欲」に覚醒させられ、世の中の全てがエロく見えて暴走寸前に。
 そこに颯爽と現れた、魔の力を覚醒させる秘宝の元々の所有者の一族の娘である羽月が、エロハプニングを伴いつつもなんとかその症状を収めてくれて、その時の負い目もあり、学園に転校してきた羽月の秘宝&犯人探しに巻き込まれる事になります。

 実のところその亀が秘宝の生まれ変わった姿で、小春と早希も「怠惰」の力を持つ魔族故に、今更名乗り出られん!と居直る早希に呆れながらも、その状況を見守る為に傍にいることが多くなり、そして主人公の所属するラーメン同好会(もとい弁論部)の会長である雫も、亀に出会って覚醒の契機となった事もありそのドタバタに巻き込まれる事に。
 明らかにおのぼりさんで普通とは違う雰囲気をまき散らす羽月に興味津々で近づいてきた、魔法少女フリークのみおも加えて、羽月のはじめての学園生活をサポートし、色々遊びに興じつつ、たまに思い出したように捜査、という日々が続いていきます。

 その方が面白い、という碌でもない理由で、時折早希が悪役に扮してちょっかいを掛けてくる以外は賑やかで楽しい日々、その中で主人公は、薬によって抑えられていた発情が徐々に効かなくなり、傍にいる女の子たちに今までと違った想いを抱くことも多くなっていきます。
 どうしようもなく繰り返されるエロハプニングの果てに、徐々に意識をし合うようになっていく関係は、しかし累卵の危うさを孕んでいて。
 これは、魔族の力に振り回されつつ確かな愛の在り処と、自分がその力で為すべきことを見出していく、ちょっとエッチなドタバタラブコメディです。

★テキスト

 とりあえず勢いがあって楽しく読めるところは多いのですけど、基本的に悪徳的というか、欲求に忠実、という向きの魔族の力が源泉にある設定の為に、ヒロインの言動がやたらとわざとらしいくらいに刺々しかったり、人の話を聞いていなかったり、ズケズケしすぎていたり、つっけんどんだったり、そういう方向性でのキャラ付けにおいて、少し文章的な補佐というか、可愛さとの匙加減の取り方が雑かなぁ、とは思います。

 展開面での不条理を強引に押し通すところも多いですし、そういう部分でのテキストの間合いというか、それを自然と感じさせるだけの土台も足りてなく、文章の流れの中でとっても唐突に感じる時があったりするのは惜しいところです。
 それにノリはいいですけど、語彙の選択や構成においてバランスが悪いところも散見するので、全体的には悪くはないけど感心もしない、って感じですね。

★ルート構成

 序盤から一定の好感度蓄積選択肢があって、その上で最終的にヒロイン選択が出る、近年では一番オーソドックスな形になっていますね。
 なので特に難しさはないですし、ルート相互での極端なネタバレとかもそんなにないので、誰からプレイしてもさほど問題ではないですね。強いて言えば羽月が一番根幹設定に深く関わってはくるかなー、ってところで、シナリオの出来も含めてラストに回したらいいんじゃない?ってくらい。

 あとヒロイン一人クリアすると、隠しルートの奏に入れるようになります。
 こちらはシーンジャンプからすぐにクリアできます的なガイドが出るので親切ですし、そこそこボリュームもあって、全体的に刺々しい雰囲気が横行する作品の中ではまったりしている方なので、箸休め的におススメですかね。

★シナリオ(大枠)

 枠組みとしてはなんというか、結果的に誰も悪くないよー、的な空気を狙ったところはなくはないんだろうけど、全く成功してないというか、やたらとギスギスしてる場面が多いですよね。。。
 どうしてもこの物語の発生要因である早希と亀の因縁話が適当過ぎて、かつその後の早希の態度も適当過ぎて善意の協力者的には全く見えないのと、持ち主側も「高慢」属性のせいか悪即斬的な短絡さと、我こそが正義ー的な傲慢さに満ちていて。
 土台の設定である、七つの大罪をモチーフにした潜在的な悪魔の力を意識的に付与すればするだけ、物語としては刺々しい方向に進んでしまう、それがお気楽ドタバタコメディの範疇を少しばかり逸脱してないかい?ってのが率直な全体像に対する所感です。

 勿論それはそれで、きちんとシリアス路線も重厚にやってくれる気があるならいいんですけど、当然そんな事はなく、土台の部分を蔑ろにしたまま表面化する矯激な事態だけを延々追い掛けていく場合が多いので、どうにも胃が痛くて安心して楽しめない土壌にはなってしまっていると思います。
 ルートや付与された属性によってその度合いは大分違ってきていて、その点で雫とかもんのすごく不憫というか割を食っている感じはあるのですけど、個別に関しては後で触れるので、総合的に見てもその色合いは強い、という点だけ今は押さえておきましょう。

 まぁそういう力が発現したが故の独特の展開や、心のすれ違いのありようなど、面白い要素も、それ故のヒロインの可愛い要素も拾い上げていけば結構あるのですが、バランス的にどうしても不愉快要素>魅力的な要素になりがちで、ルート間の温度差もかなり大きいなあと感じます。
 後はどうしても、素材的に面白さ優先で、大枠としてのテーマ性は見出しにくく、特に主人公は「色欲」の持ち主だけに、それ自体から大きなストーリーは生まれてこないため、あくまでもヒロインの想いに寄り添いつつ、というカメレオン的な立ち位置にはなっていて、そのあたりでも包括的なイメージを掴みにくいってのはありますね。

 要するに、この作品で何を表現したかったの?という部分がちぃとも見えてこなくって、どこまでもドタバタの状況を生むためだけに恣意的に物語を強引に動かしている感じがしてしまうので、その点でも枠組みとしてプラスには評価し辛いかなぁといえます。
 まぁ敢えて言うなら、悪徳を克服するのは大変な事なんだ、ってのを大仰に、逆説的に見せているとも言えますけれど、だからと言ってそのせいでヒロインの魅力が減ずる形になるのは可哀想でしたし、色々肉付けやバランスの取り方に失敗しているとは言いたいですかねー。

★シナリオ(個別・ネタバレ)

 個別評価としては、羽月=みお>>小春=奏>雫くらいですかね。
 どうしてもシナリオとしてのテーマ性に骨太感がない以上、イチャラブとシリアスのバランスや、その空気感の良さを尺度に考えていくことにはなりますし、羽月もみおも構成的にはやや強引でちょっとどうかな、って思うところもあるんですけれど、それでも比較的穏やかにイチャエロに安心して耽溺できるだけでも、ってのはあります。
 それにしても基本的なステータスというか、保持している悪魔としての資質+生得的な精神性の組み合わせによる相乗効果で、ここまで印象が違ってくると、本当にもう少しバランスに配慮できなかったのかとは思ってしまいますね。

 そしてまぁ、あくまで私の感覚的に言うなら、雫は滅法不憫なステータス所持者と言えると思います。
 作中で深く語られる部分は皆無なのではっきりとは言えませんが、雫は両親との関係も悪く、主人公と出会うまでは他人と距離を置き、回避的な生き方に徹していました。
 けどそれは、あくまで寂しさを理性で抑え込んでいるだけで、本音の部分では人と触れ合いたい、という欲求はあるために、あんな安直過ぎるアプローチでコロッと心が傾斜してしまうわけですね。

 こういう愛着形成に粗漏のあるタイプは、いざまともに感情に向き合うと極端に振れやすいというか、二分法的な視座に囚われやすい傾向は強くて、その精神性に対して「嫉妬」の資質というのは文字通り劇薬ではあると思うんですよ。
 今までや、他のルートに関しては、元から実は好きだった、という想いはあっても、心のどこかに自分にそんな幸せが舞い降りてくるはずもない、って諦観もあるから、いざ他の子に取られても度の過ぎた嫉妬に身を焦がす事はない、ってのは見て取れると思います。
 でも逆に、いざ自分の望みが叶うと、今度はそれを失う怖さに支配されてしまい、それを嫉妬心が助長させて歯止めが効かなくなる、というプロセスが発生するわけで、雫ルートのギスギスしたいざこざの主因は主にそこにあるのは見ての通りでしょう。

 一応冷静に見た時にこういう構造そのものは理解できるのですが、けどこんな風にネガ>ポジ気質なヒロインをシナリオ構造の上で可愛い、と思わせるのは中々に難しい命題です。
 どうしたってある程度めんどくささや不愉快さは表立ってしまうわけで、なら尚更に、そうなってしまう理由づけや想いの裏腹さを、もっとしっかり下支えしてあげないと、どうしたって可愛さ>めんどくささにはなってくれないんですよね。
 羽月なんかも本音と言動が乖離してめんどくさいのはあれ、あっちは本質的にポジ>ネガが明確な分、それを可愛さに転化しやすいですけど、雫の場合は大抵後ろ向きな嫉妬心が根源だけに苦しさがあったなぁと思います。

 なので、出来ればせめてもう少し好きになるプロセスを丁寧に抑えるべきだったし、後は家族への想いなど、ヒロイン視点自体はそこそこ濫用している構成なんですし、遠慮なく差し込んでフォローすべきだったと思っています。
 例えば自分が「嫉妬」の資質持ちの魔族って事は、両親のどちらかがその血を持っているのは確かなわけで、それをフックに両親の不仲と自身との対立の本質を、一人の時に冷静に分析して反省する、くらいの事は出来るはずで。

 浮気性で自分本位な両親のようにはなりたくない、なのに今の自分は――――的な相対化から、その想いを克服する端緒を汲み取るくらいの構成があれば、いざ直面した時に暴走してしまってもそれが本意ではない、と伝わりやすいですし、それを可愛さとも思いやすくなるかな、少なくともギスギス感は緩和するかなって思います。
 結局このシナリオの失敗は、その相対性の一端を、あくまでも主人公が好き、って、ほんの僅かな契機に端を発する気持ちだけに押し付けてしまっているからだと思うし、絶対的に説明不足の責任は大きいといえますね。

 その辺のフォローがおざなりだから、原因を追及も出来ないままズルズル場当たり的な対処に終始して、それでシナリオの尺の大半を要してしまっているし、かつその歯止めの効かない雫のありようが、まず主人公に伝染してしまっていて。
 そりゃああれだけ口ではダメとか言いつつ、雰囲気や態度に怠惰さや淫欲が出まくっていたら、「色欲」持ちの主人公が抵抗できる余地もないんですよねぇ。このあたりはどっちもどっちなのはあれ、似た者カップル化の悪しき方向性を明白に体現していると言えるかなと思います。

 かつそれを所構わず振り撒くものだから、その空気感は周りにも伝染してしまうことになり、このルートでの小春が殊更に鬱陶しいのも、そういう応答性の原理が強く働いた結果なんじゃないかなと思います。
 正直雫の前でそういうアプローチを見せればひと悶着起こるのがわかりきっててそうするのってうわぁ、って感じでしたけど、小春にしたって本質は「怠惰」で、自己抑制なんて苦手なんだからどうしようもないのか、って話で、どうあれ土台の設定をそのままトレースし過ぎていることで、悪徳のより純粋に悪い部分が露呈しまくっているのがこのルートの残念過ぎるところだと感じますね。

 挙句にその着地点も、その行き場のない嫉妬心の暴走なんていう仕方のない話で、このルートだと結局亀に関する話は一切解決してないよね?って落ち着きのなさがありますし、総合的に見てこのルートでだけ早希にちょっといい事させてバランス取ろうとしても、土台がグズグズだから処方箋にもならん、って感じで、最初から最後まで感心できない話ではありました。
 正直雫のキャラデザ自体はめっちゃ好みなのに、まさかここまで可愛いと思えないとは自分でもびっくりでしたよ。もう少し違う資質持ちにするなり、これで通すにしてもマイルドな緩衝要素を丁寧に組み込むなり、そういう配慮がない分、明け透けに行き過ぎた嫉妬の鬱陶しさばかりがクローズアップされちゃってますもんねぇ…………。

 奏に関しては基本的にはおまけ要素ですし、ただ悪魔の資質的な部分と結び付けて実は女の子なのを隠してましたー、としたのは、なにも理由がないよりは説得的で良かったと思います。
 主人公の能力が女の子に対する催淫効果なわけで、それが奏にとってはクリティカルな致命傷なのは間違いなく、正直夏休み期間は丸々帰省してる設定だからいいけど、二学期になっても傍にいるの、ルートによっては制御能力低いから地獄じゃね?という感じはありますよね。まぁきっとなんか理由つけて引っ越しするだろうな(笑)。
 それはともかく、いざその力の影響で発情させられ、その流れもあって正体を見破られてからの開き直った可愛さは中々良かったと思いますし、ぶっちゃけいくらサラシでもそのサイズを収め切るとかどんだけー、とは思うんですけど(笑)、ある意味二人の世界でイチャイチャに集中も出来てて、雫の次にやったこともあってすごく癒されました。。。

 小春ルートに関しては、いいところと悪い所のバランスの取り方が難しいなあと思います。
 告白して舞い上がっているところでいきなり身バレ、というのもなんとも小春らしい締まらなさではありますし、結果的に早希の片棒を担ぐことになってのあれやこれやは、茶番的な色合いも強い上に明らかに早希の悪乗りが過ぎていて、いくら頭が上がらないものがあるとしても抵抗しろよー、怠惰に流されるなよー、とは思うわけで。
 そして、そういう胃が痛い現実から目を逸らすために、二人のイチャエロ時空に殊更に耽溺するってのもあまり感心しないし、読み手としても素直にその空気感に入り込んでいけない感じはあって、かつここでも相互性の問題で歯止めがぜんっぜん効かなくなってるから、周りに迷惑振り撒く結果になってるしで、特にこのあたりは羽月の不憫さが目立ってますよね。

 まぁそうやって羽月に対する負い目が増す分だけ、現状の隠匿に対し罪悪感が増していって、という構成自体はそこそこ自然だと感じますし、けどきちんと根回しもせず、背景の危険さも本当の意味では理解しないままの、感情に任せての行為はどうしても衝突を生んでしまうわけで。
 亀の潜在能力自体もとことんファジーで都合のいいものではありますし、主人公達に懐く理由も恣意的で、それを土台に能力覚醒で丸く収めてめでたしめでたし〜、と気楽に言い切れないのは流石にあります。しかも本気で町中に迷惑振り撒いてるわけで、その辺の危うさに関しては、最初の亀誘拐に関するくだりでの微調整や、伏線的要素がないと苦しいですよね。

 着地点としては一応大団円的な空気に見せていますけど、文字通り結果オーライの色合いは強いし、資質に引きずられて嫌な事を先延ばしにしまくったツケ、という因果応報感も強く出ているので、やっぱりあまり感心しない構図ではあったなーと思います。
 ただ、羽月をいい子だなぁと思える、という意味では、共通の印象からストレートに個別に行くより、ここや奏を経由した方がいい感じはあるので、その意味でも羽月ラストがおススメかなぁとは思います。

 みおシナリオに関しては、まずみおってヒロインが色んな意味で意図的ではないにせよ優遇はされてるなぁって思います。
 共通からしても、相対的にドンマイヒロインばかりの中で、自身そういう要素は多少あっても基本的に素直で前向きで愛らしく、屈託なく可愛い可愛いと愛でられるヒロインですし、また後で触れる能力発現のキー設定の在り方によって、他ルートでは基本空気ではあるのだけど、むしろ羽月ルート以外の雰囲気の中でみすみす割を食うばかりの当事者にさせられるよりは空気の方が安全、という意味で、総合的にマイナス要素が少ないんですよね。。。

 その上で、この子の場合は家族関係的に、生みの母とは死別しているけど、義理の母とも仲良くやっている、という部分に、基本的には安定した愛着があって精神面でもしなやかな強さがあるけれど、決して前向き一辺倒ではなく、ポジとネガのバランスの取り方が一番いいキャラに据えられているな、と感じるわけで。
 その点なんだかんだでポジ要素が強めの羽月に比べて抑制の効く性格でもあるし、逆にそうであればこそ、悪魔の資質としての「強欲」を簡単には発現させない、利他的な在り方が板についている子でもあるわけですね。

 そんなみおが「強欲」を発現させる契機が、はじめて知る恋の感情というのは実に綺麗な成り行きではありますし、畢竟それまで魔法少女が、強く願っているようでも「憧れ」の範疇に留まり、無意識下で母親の死因ともリンクして制御されていたのが見て取れます。
 けれどそうして力が具現化したからには、本心からの魔法少女としてのありように向き合わずにはいられなくて、こういう時でもみおは甘え方が上手いというか、甘えていいところと、自分で決断しなきゃいけない部分の選り分けがはっきりしていて素敵だな、立派だなーと思わせられます。

 他のルートですと、主人公とヒロインは互いの力を持て余して、なんとか相互補助的な関係でそれを制御していこうと試みるパターンがほとんどですが、このルートだと精神的な部分ではしっかりみおが手綱を握って、勿論一定イチャエロはするけれど決して放埓なものではなく、ある程度TPOを弁えたものになっているかなと。
 だから小春や雫に関しても、諦めの中に心穏やかでいられる部分はあると思ったし、その点で一番安心してイチャラブにのめりこめたのは、元々みおが大好きって色眼鏡と関係なく、間違いなくあったとは思っています。
 陸上をやめて魔法少女に専念する、なんて決断も基本的にはみおが一人で決めているわけだし、その上で方向性を模索する中での寄りかかりはしっかりあっても、自分の本心をギリギリまで目を背けずに見つめて、その気持ちに気付けば真っ直ぐ体現する、って清々しさも含めて、主人公が反面教師的な意味でなく、純粋に恋愛的な心の支えとしてしか影響を及ぼしていない話には思えますね。

 そんなみおの特性の素晴らしさはあれ、でもそれを引き立てるためのシナリオ構造は粗雑で、いやもぅほんっとーにこのダメ姉は、そんな理由で亀と決別するとかアホか、って感じですし、しかもそれが別にこのルートならではの理由に起因してない恣意的な設定だから余計にげんなりします。
 結局全部厄介な要因はこの破天荒姉のせいにしてしまえばいい、という安直さが透けて見えすぎますし、そこはなんとかみおと結ばれた流れの中での内的要因を触媒にする努力をしろよ、とはっきり文句をつけたい部分。
 とはいえそれ以外はまぁ、みおの可愛さや頑張り、心根の綺麗さをしっかり引き立ててくれるつくりだったと思いますし、イチャエロもバランス良く質よく配分されていて、この子目当てで買った身としてはほっと一安心できるところではありましたね。

 羽月に関しては、早い段階で元よりの懸念をサッと解消できているのがまず好感のもてるつくりではあります。
 その端緒というか、気づきに対する強引さはやっぱり雑なんだけど、それでもすみやかに事件そのものは潜在的には解決出来て、けれどそうなるともうこの街にいる理由もなくなる、という中で、素直になれない羽月の心を繋ぎ止めるためのあれやこれやのアプローチ、という部分で、一番ラブコメ色が強くなっていたのが意外と言えば意外でした。

 雫や小春と違って、無制限に迷惑を周囲に振り撒く危険性がなくなり、無論その後に羽月の家との軋轢があるのは予想出来ても、それ自体はある意味親子喧嘩的な内輪の話だから、致命的な深刻さを孕む事はないだろう、と思えるだけ、このラブコメからのイチャラブにも気持ちを乗せやすかったですし、基本ポジティブに気持ちが駄々洩れの羽月だけに、その刺々しいめんどくさい言動も、雫と違って可愛さ要素として加点しやすい土壌が整っていたと思います。
 まあその関係が心地良過ぎて溺れかかって、歯止めの利かせ所を見失うあたりはやっぱりみおとは違うメンタリティ、強いて言えば甘やかされて育ってきた故の万能感が未だ欠如していない田舎者っぽさが見えていて、でもそれが状況を踏まえずに行き過ぎ、って構図にはならない分だけ救いはあります。

 当然自分から区切りをつけられなければ、外的要因でとなるのはまぁある程度必然的ですし、その上での母親との対立もそれなりに丁々発止あって面白かったので、全体的なバランスや落としどころとしては安定しているルートで、亀も懐くとえらい可愛いからほのぼのしますよね。。。
 共通序盤での印象は決して良くないヒロインですけど、作品総合で見ると流石にメインヒロインらしい魅力を見せてくれていると思いますし、シナリオ的にも相対的には悪くない出来になっているかな、と思いましたね。
 
 ただ全体として空気感の良くない部分や、悪徳が如実に露見している部分もあって、それを柔らかく見せることに失敗している感じは強く、その点では褒められたものではないと思います。
 少なくともみおがかなりまともだったことは私にとっては救いでしたが、それを最大限配慮してもこの点数がギリギリかな、と感じますね。



キャラ(19/20)

★全体評価

 どうしても軋轢や傍若無人さ、醜さなど、ダメな部分も明け透けに表立ってしまう設定ではありますし、それを緩衝的に見せてくれるファクターも薄くて、ヒロインでもその例外ではないので中々戦慄する構造ではあります。
 テーマ的な軸も明晰ではない中で、成長のベクトルや理念においてもあやふやですっきりしないところはありますし、個々の性質に依拠し過ぎていて、そのバランス・調和が微妙な点を見ても、割り引く必要は確実にあるだろうなと。

 まぁ本当にみおは期待通りに可愛かったし、羽月も思いの外可愛かったから、甘く見てここまでのマイナスに留めたって格好ですけど、やっぱり色々勿体ない、もっとキャラ性の棘をマイルドに見せる努力をして欲しかったなとは感じざるを得ませんね。

★NO,1!イチオシ!

 そりゃあまぁみおに決まってますね。元気なロリっ子だけどちゃんと女性的な機微や柔らかさはあって、でも基本的には純真無垢で前向きな頑張り屋で、本当にこの作品の中では圧倒的な癒しでした。時々プンスカしてるのも、概ね周囲が悪いパターンしかないですし、それはそれで愛らしいってのがありますしね。。。

 その設定上他ルートでは癒し要素としての賑やかしにしかならないのが残念っちゃそうですけど、その分自分のルートでの恋模様とその想いに対する向き合い方の誠実さ、きちんと前を向いて成長していく在りように至るまで、本当に凄くしっかりしていて、体つきは一番幼いけれど、精神的な成熟度と安定感では圧倒的にこの子が一番かなぁと感じさせます。比較してみてしまうと雫が不憫すぎるくらい。。。
 声も絵も文句のつけようのない可愛さでしたし、本当に満足できる素敵なヒロインでした。

★NO,2

 ここも大差をつけて羽月、ってことにはなりますね。どうしてもシナリオの出来がキャラの印象に直結せざるを得ない構造ですし、この辺は致し方ない。
 ともかく、高慢の資質通り天然で上から目線ではあるけど、本質的には素直で無邪気で好奇心旺盛で、そして甘えっ子という中々に美味しい資質をてんこ盛りで持っていて、だけど言動だけはひたすらツンツンしてるというバランスが最終的にはいい味になっていたなと思います。
 共通よりも他の個別や自分の個別で輝く晩成型ヒロインでもあるので、体験版で期待してたらええぇ……………となった人にも挽回のチャンスはありますよ!って感じ。他二人は私の印象だと、マイナスをプラスで塗り替えるほどのなにか、は足りなかったとは思うんですけど、その辺も人それぞれとは思いますしね。


CG(18/20)

★全体評価

 基本的にはとにかく可愛い!に尽きるのですが、量的にはややフルプライスとしては物足りなさもあるのと、質も圧巻の可愛さのものと、ちょっとあれ?ってのが混在してるところはあって、評価に悩みましたがここで、という感じです。

★立ち絵

 ポーズに関してはヒロイン3種類でサブが1〜2種類ですかね。それぞれに躍動感とらしさはしっかり出ていて可愛いですし、特にみおはやっぱり素晴らしく可愛かったなーと思います。

 服飾はヒロインで4種類、サブで1〜2種類と、多くはないですが必要なところは押さえている、という感じ。
 そしてここでもとにかくみおが可愛いんじゃー!!!袖をカットした快活な制服スタイルも好きだけど、私服のタンクトップ&ホットパンツの破壊力に、あの活動的なのに愛らしい水着は反則的に好き。魔法少女も可愛いし、それに立ち絵はないけど運動着2種類も可愛過ぎで、とにかく抜群に似合うデザインの嵐で大満足でした。
 その他が悪い事はないけど、どうしてもみおの素晴らしさに霞んでしまいますね。強いて言えば羽月の水着くらいかなぁ。

 表情差分もそれなりには数があり、遊びの要素もあってコロコロ変わる表情が面白くも可愛い、というところです。
 その辺喜怒哀楽のメリハリが強いみおと羽月がやっぱり有利だったなとも思うし、みおは明るい顔も当然いいけど、時たま拗ねたり怒ったりしてるのがなんともいえない愛らしさでした。

★1枚絵

 通常70枚にSD20枚の、計90枚ですね。
 SDで水増しされてるけど、やっぱりちょっと通常が少なめなのは物足りなくて、単独原画だと仕方ないかなぁとは思いつつ、もっともっと可愛いみおが見たかったぜ、という欲望は留まらないのだ(笑)。
 出来も基本的には安定してるし、ハッとするほど好みのものもそれなりにあったので基本的には満足です。

 特にお気に入りは5枚。
 1枚目は羽月正常位、この一連のシーンの蕩け方が可愛かったのと、やっぱり真っ直ぐ向き合って溺れてトロンとしているのは可愛いなって。
 2枚目は羽月観覧車、この儚げで不安げ雰囲気からの笑みの可愛さを、背景効果が綺麗に後押ししてますね。
 3枚目はみお机の下の悪戯、この好奇心と背徳感に酔わされた横顔のかわいやらしさが最高じゃないですか。
 4枚目はみお立ちバック、体育会系的なアクロバットさと柔軟性が織りなす曲線の艶めかしさと、背徳的なシチュのかみ合わせが素敵です。
 5枚目はみおレッスン休憩、というかこの子、ポニテとスパッツ似合いすぎなんですけど−!ドーナツ食べてほにゃってるのが可愛過ぎるんですけどー!


BGM(16/20)

★全体評価

 可もなく不可もなく、ですね。質量ともにやや物足りないくらいですがバランスはとれていて、出来も悪くはないけど突き抜けるものもなくて、評価に難しいところです。
 作風的にどうしてもコミカルさが優先されますし、シリアスの導入が上手くないところも含めて、そのあたりの音楽面でのフォローも噛み合い切ってない感じもありましたので、評価的には控えめにしておきましょう。

★ボーカル曲

 全部で2曲。
 OPの『magic drive!』は疾走感とシュールさがいい感じに入り混じった、少しロックっぽい雰囲気も塗した作品イメージには噛み合った曲だなと思います。
 綺麗よりはカッコよさを表に出していますし、好み的に言えばそんなでもないですが、メロディラインなどの完成度も高いですしいい曲だとは思いますね。

 EDの『sprinkle of magic』も、爽やかで柔らかいEDらしさとこの作品らしさがミックスされたまずまずいい曲ではあるかなと。
 特にBメロの後半のメロディラインと、そこからシームレスに入っていくサビの雰囲気は好きですね。

★BGM

 全部で25曲とそこまで多くはなく、日常・ドタバタの方が比重も高いので耳に鮮烈に残る、という感じはなくて、あくまでも楽しい雰囲気を下支えするにとどまっている感じではあります。
 出来もそこまでひとつひとつに奥行きはないですし、特に、と補強するほどのものもなかったかなぁと思いますね。


システム(8/10)

★演出

 基本的な要素は当然押さえているけれど、特に目新しさはないし、ここならではっていう味も少ないのでこの点ではなんともってところですかね。
 キャラの動かし方なんかは可愛いですし、一箇所羽月がみおの頬をつねるシーンを、立ち絵の重ね合わせで見せていたのは面白いじゃん、とか思ったけど、そういう複層的、立体的な使い方も単発的だったし、情感演出もエフェクトは派手だけどそれなり、って感じでした。

 ただこのムービーはかなり好きで、ハートを上手く使ってのスピード感ある画面の切り取りと展開、それにヒロインの可愛らしさと恋情を綺麗に切り取って乗せられていて、色使いやカットインのセンスなど含めて、とても完成度が高くなっていると思いました。

★システム

 こちらも必要なものは完備されていて文句はないんですけど、でも渦巻システムっていつもながらどこかもっさり感があるんですよね。
 そういう細かいラグ感が気に障ると言えば障るくらいです。


総合(77/100)

 総プレイ時間17時間くらい。
 共通が4時間で個別が3時間ずつ、奏が1時間くらいの計算ですね。
 尺としてはほぼ一般的な長さですけれど、内容の密度はあまり高くなく、ルートによっては本当に延々グダグダうじうじして最後にちょろっと展開して終わる、くらいの感もあるので、その辺は注意が必要かなと思います。
 さしあたり体験版での軋轢やふり回され感が許容できるなら、総合的にはそんなに気に障ることなくプレイできるでしょうけど、癖が強くて負の要素も色濃い作品なのは間違いありません。

 まぁ少なくともみおと羽月は可愛かったと思うので、そこが目当てなら、と思いますが、雫が目当てだとちょっとうーん、ってなるかも。嫉妬心漏れすぎで暴走するヒロインが好きってんなら話は別ですけれどね。。。
 総合的には、ちょっと気になる、程度ならわざわざ手に取る価値は薄いかなー、と思います。
posted by クローバー at 07:00| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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