2017年09月14日

FLOWERS 春〜秋編

 元々結構興味はあったんですけど、タイミングとか色々あってプレイできておらず、でももうすぐ完結編の冬編が出る直前にたまさか上手く時間が作れたので、これ幸いと旧作まとめてプレイしました。
 本当はひとつずつ感想を書くのがいいんでしょうし、それだけの質の高さはある作品ですけれど、旧作ではありますしそこまで感想を練り込んでいる時間もないので、簡素に駆け足に三作まとめて、という形にさせてもらいます。

シナリオ(25/30)

 もつれあう恋情の糸の先に。

★あらすじ・概要

 春編の主人公である蘇芳は、見た目楚々として近寄りがたい美人ながら、それまでの生活環境によって引っ込み思案の人見知りでした。
 けれど決して人嫌いなわけではなく、むしろ友達を作りたいと心の底では熱望していて、その為に入学時に学園の側からアミティエという疑似友人を組んでくれるという、全寮制の聖アングレカム女子学園に進学する事を決めたのです。

 学園に来て早々に出会った委員長気質の立花や、幻想的な夜桜の下に佇んでいた美少女のマユリなど、知り合いは出来るものの、生来の臆病さが顔を出してスムーズな交流などは中々に覚束なくて。
 また今年から、それまで二人一組だったアミティエが三人一組に替わり、希望通りに立花&マユリとアミティエにはなれたものの、すぐに打ち解けた雰囲気を醸し出す二人に対し、どうしても壁がある態度になってしまって自己嫌悪を募らせる毎日。
 それでも一念発起してここに来たんだから、と、自分なりに少しずつアミティエやクラスメイトと打ち解けていき、その中でちょっとした事件などを解決したりすることで、元々見た目で一目置かれていたのが、近しい存在から強い信頼を置かれるように変化していきます。

 けれど、そんな彼女達の関係は、時を経るにつれて少しずつ歪みが生じていって。
 それは今までの慣習を覆す三人一組、というありようがもたらす、どうしようもない人の業を孕んだもので、蘇芳もまた人間関係の荒波に翻弄されながら、少しずつ自分の想いに向き合い成長していきます。
 これは女の園で繰り広げられる愛憎と不思議な事件、その経験を経て成長していく純粋無垢な乙女たちの絢爛優美な物語となります。

 当然ながら夏編は春編の続き、秋編は夏編の続きとなります。
 それぞれの話のトゥルーエンドを下敷きに連綿と話は続き、夏編はえりか、秋編は譲葉と主人公格を入れ替えながら、どちらも同じように人間関係や恋の悩みを抱えつつ、同時に学園に跋扈する不可思議にアプローチして、自分たちが望ましい形での解決策を模索していく、ということになります。
 作品全体を包み込む大きな謎は、全編通して見え隠れしつつもまだその尻尾を掴ませず、それぞれの物語が独立した終わり方をきちんと用意されていつつ、大枠ではしっかりミステリーとしての引きを残している、絶妙な塩梅の作り込みになっていると思いますね。

★テキスト

 非常に典雅な日本語と言い回しを好んで用いており、世俗を離れた乙女の園の独特な雰囲気とも上手く親和していて、非常に素敵な読み心地です。
 言い回しには雅飾がそれなりに目立つものの、理路としては比較的筋道が綺麗に通っていてわかりやすく、それでいてきちんと揺れる不条理な乙女心のありようも丁寧に投射していて、特に伝わらない想いやすれ違いの切なさを引きだすのが上手いなぁ、と感じています。

 古典文学や童話、映画からの引用がかなり多いので、私のように無教養な人間にはへぇー、そんな台詞があるんだねぇ、くらいにしか思い入れられない部分も多く、その辺はもったいなく感じるところですが、そのあたりも作風の格調高さに一役買っていて面白いですね。
 まぁいかんせん蘇芳やえりかあたりは、その年で博識すぎるだろう、と思う向きもないではないですがそのくらいはご愛嬌、という事で。

★ルート構成

 最近の作品としては圧倒的に選択肢が多く、しかもそれが即座にどの相手に好感を与えたのか、というのがとってもわかりにくいつくりになっていて、攻略は比較的難解です。
 ただ春編と秋編は、最初はどうやってもトゥルーに進むようなつくりっぽかったですし、トゥルーが最後に出てくる夏編にしても、その追加選択肢自体は簡単なので、面倒なのは派生ヒロインエンドとか、ヒロイン別エンドとかですね。
 バッドエンドも多数ありますが、基本的に推理を間違えた時に、という形ですし、特に踏んでも痛々し過ぎないマイルドな終わり方ですので気にせず進められるでしょう。

 正直推理パートに関しては、特に春編が難解でした。
 トータルで見た時に、蘇芳というヒロインの思考経路の特質をそう位置付けているなら、これだけ基本ノーヒントに近い謎でも解けるのだろう、とその点で納得は出来るのですけど、プレイヤーがそこを読み解くのは、本当にごくごくかすかなヒントを見逃さずにいないと無理なので厳しいですよね。
 夏編からはそこがより論理的かつマイルドになっているので、ある程度しっかり読み込んでいればこうだろう、と推測でも外しにくくはなっていると思います。春編は純粋に豆知識すら試されるからなぁ、最初の二つは特に。

 基本的に最初から誰狙い、とか考えて上手くいく雰囲気はないですし、想いのままに進めて、その上でもう一度回収プレイがてら他の選択肢も拾って楽しむくらいで充分でしょうか。
 結構選択肢次第で、道中誰とつるむかとか変わってくるので、周回プレイ前提のつくりですしそれが楽しいところもあるので。

★シナリオ(全体)

 イノグレというメーカー自体はじめてのプレイだったんですが、このシリーズは元々かなり重いシリアスが売りだった作風を一変して、ミステリィ要素は多分に残すけれど残酷な事にはならない、というのがポイントらしいですね。
 まぁ初見のわたしとしては、え、これで?って思う向きもなくはなかったですが、確かに結果的に誰も酷い目にはあっていないし、それぞれの幸せを得る過程での試練や苦難はあるにしても、そこにはしっかり個人の精神性や状況に伴う必然を用意していて、わたしとしてはすごく納得しやすい構図の作品ではありました。
 勿論未だにいくらか重い謎は残っていますし、冬編はその季節感に見合う辛い展開もかなりありそうではありますが、全体としての方針が明確な分安心して触れられる、と思いますね。

 また、作品全体として、この聖アングレカム学園に流布する七不思議が暗躍しますが、それぞれの物語で紐解かれていったように、あくまでも七不思議は人のありようを比喩的に投影したもの、或いはそれを盾に利用したものであり、すべての事件は人為的な要素で発生している、というのが軸として守られていますので、その点でも私好みの堅実さを感じます。

 基本的にどの話でも、その形に多様性があったりもしますが、三角関係は必ず物語の動因として絡んできます。
 女の子同士の、どこか恋に恋焦がれる危うさも感じさせる一途で純粋な恋模様は、直情的で強い思い込みに繋がりやすいからこそ怖くもあって、そういう駆け引きの面白さや、複雑な関係性の紐解きを楽しみつつ進められるのもこの作品の醍醐味ですね。
 例えば春編なんかは、三角関係のベクトルが普通の恋愛ADVとは少し違うものになっていて、こういうのも百合物語であればこそ許容できるところですし、秋編なんかも男女でアレをやるとドロッドロになりかねない所を、純粋な思慕、プラトニックな関係性に留めることで綺麗事をすごく綺麗に、説得的に見せることに成功しています。

 全体的にはその百合イチャとミステリィのバランスが良く、強いて言えばイチャラブゲー、というより古き良き純愛ゲー、の趣きが強いので、そのストーリーの最後まで本当に結びつく事はなく、その一歩手前での葛藤やときめきを楽しむ方に比重が置かれているので、もっとイチャイチャ堪能させろや!ってきらいはなくはないです。
 特に春編の二人はラストあぁですし、秋編の二人もトゥルーだとそのままフェードアウトっぽいので、夏編のエリチドの順調さがすごく微笑ましく感じられるというか、その点での餓えを辛うじて糊塗してくれている感じですかね。まあ蘇芳ちゃんに関しては最終的に、って期待は持てますけれど。

 以下各季節編ごとにつらつらと。
 旧作ですので特にネタばれなど神経質にはなり過ぎずサラッと進めていきますので、その点含み置きください。

★シナリオ(春編)

 これ単独ですと22点、ってところですね。
 どうしても導入部だけあり、色々学園の特殊性の説明や、脇のキャラ含めてのイメージ付けで尺を取られますし、かつ最初期の蘇芳はすこぶる引っ込み思案で踏み込んでいけないヘタレな子ですので、関係性の進展のもどかしさにうぬー、となるところはあります。

 もっとも、そうだからこそ心が通った瞬間の喜びも大きいし、それが嵩じて、っていうのも納得のいく構図で、けれど本当になんで今年から三角関係を助長するようなアミティエ三人制になったのか、っていうのも、未だに解けない大きな謎ですよね。
 ともあれ、元々のマユリの想いなどの関係もあり、三人の関係性は非常にねじくれた難しいものになっていきますが、そのコンプレックスの部分で共鳴する事で、最終的には蘇芳とマユリの心が通じ合うという事になります。
 ある意味で立花は当て馬と言うか、不憫な役回りではあるのですが、しかし同情を買わせないためなのか(笑)、一時盲目的に自分の恋情に振り回されて、あんな強引で卑怯な手段を講じてしまったのは、いかにも公明正大な立花らしくはなかったわけで、それが恋の持つ怖さだとも言えます。

 蘇芳は蘇芳で人情の機微にはとことん疎いところはあるので、そこから少しずつ成長していって、という部分を見守っていくのは楽しかったですが、謎解きの理不尽さや恋愛関係のいざこざの後味の悪さ、なによりラストの展開の唐突さと不条理さは明白ですので、その点で突き抜けた評価にはしづらいですかね。
 特に二人の関係性に終焉をもたらすべく通告された言い分は、その後のえりか×千鳥の関係性が何のお咎めもなく順調に進展していることを踏まえれば露骨に取ってつけたものだとわかりますし、そこの謎は冬編のお楽しみではありますが、それにしてもそこに肉薄するために蘇芳は夏・秋と水面下で粘り強く頑張って成長してきているんですよねぇ。

 秋編の蘇芳視点なんかで顕著なように、その想いは未だに燻りつつも熱を全く失っておらず、というのは明らかですし、当然マユリの再登場は約束されているわけですが、あらすじ見てる限り一度は突き放されて失意の底に、ということらしいですし、その心の隙間を狙ってまたぞろ立花がアプローチしてくるのかぁ、と思うとそれはそれで微妙ではあったり。。。
 立花も夏秋で大分印象を回復させてきたけれど、なんかあれだよねぇ、この三人の関係ってホワイトアルバム2を思い出すというか、離れてしまった一番好きな人と、常に傍にいる二番目に好きな人的な切ないイメージが濃厚に付き纏います。ホワルバだと雪菜派だったけど、こっちは蘇芳の気持ちもより明白だし、すんなりマユリと結ばれて欲しいんですけどね。。。

★シナリオ(夏編)

 点数としては27点、今のところ夏編が一番好みですね。
 全体として大きく物語の底流が蠢く感じではなく、夏の爽やかな気配の中で、新たな転校生の千鳥と、気難し屋のえりかが織り成す、角突き合わせるところから始まる優美な関係性の進展は本当に微笑ましいものがありました。
 恋の鞘当て役としてのバスキアも存在感はありましたが、春編の時点で彼女は何か隠してる、ってのが明白なだけにあまり心が寄り切らず、やっぱり基本的には千鳥との喧嘩するほど仲がいい、を地で行くような積み重ねが見せどころだと思います。

 夏らしいイベントも多彩にある中で、春の続きとしての蘇芳との関わりも非常に多いですし、他のキャラとも関係がこなれてきての自然さ、雰囲気の良さがより加速度的に上がっており、その上での謎解きも春ほど悲愴感や不条理さがなく、かつえりかの気質を有意に用いての着地点を丁寧に模索しているので、そのあたりでも好感が持てました。
 ともあれ、人をからかうのは好きだけどぐいぐい来られると弱いえりかの可愛さ、真っ直ぐすぎる気質が誤解を招きながらも、本当は心優しいところを徐々に見せていく千鳥との結びつき、愛の育み方はすごく丁寧で綺麗でしたし、それを千鳥のトラウマであるバレエを通じて、というのも素敵でしたね。

 終盤のバレエ発表会のシーンなど非常に盛り上がりもしましたし、後々に切なさが残らない、夏らしく爽快で壮麗な物語だったのもあり、素直に一番評価したいところです。
 まあある程度秋編の二人の夫婦漫才のこなれっぷりに絆された部分もないとは言えないんですが、少なくともこのストーリーだけでもそれを予感させる空気は春秋と違って明確に出していましたからね。冬編でもこのエリチドの活躍には大いに期待です。
 秋編での、譲葉を鞘当てにしての互いにヤキモチ焼かせよう合戦とか超いじらくて最高でしたしねー。。。

★シナリオ(秋編)

 こちらは点数だと26点です。
 他の季節に比べて、秋らしくどこか奥深く情緒的な恋模様になっていて、かつ三角関係の構図としても、ベースとしての譲葉の純愛があれど、それを軸に双子それぞれの想い、愛らしさ、どうしようもない葛藤や傾斜など非常に丁寧かつ説得的に描かれており、一人天真爛漫なネリネさんが時々憎たらしくなるくらいに悩んで悩み通すイメージですね。

 そういう心の繊細な機微をある程度共鳴して持ち合わせているが故の、関係性のままごとめいた、だけど心の底から愛おしい関わりもしっかり綴ってくれていますし、けどそれでも忘れられない想いに対するアプローチ、それが結果的に幼馴染の関係性の根幹にも罅を入れ、全てをリセットしてありたい自分に歩み寄っていく、そのあたりのバランスは流石でした。
 ここまでのイメージと違い、譲葉が思いの外ヘタレというか自己を持たないキャラとして投影されていて、一年生の知り合いたちにあれこれと手を焼かせ、尻を叩かせてってあたりは先輩の威厳もあったものじゃないんですが、逆に春夏ヒロインズの素晴らしい魅力を底上げする役にはたっていますし、それくらいでないと超えられない壁であるのも確かで。

 あまり学園自体に宗教色を強く滲ませてはいなくても、それでも宗教人としての在り方を明確に打ち出している以上、許されない関係は明白にあって。
 それでも、と、今までの全てを捨てて新たな契りを結ぶ覚悟を問われて、ようやくそこに至れた時のカタルシスは非常に大きく、ある意味ではネリネを宗教に依拠した思考を預けるありようから引きずり下ろした、という意味で残酷でもあるのですけど、その先にきっとそれ以上の幸せはある、と思わせる内容ではありました。

 といって、あのタイミングでそこまではっきりと過去を断ち切る必要はあるのか?って気もするけれど、譲葉はともかくネリネにとってはそれが必要なんだったんだろうなと。
 実際に少しでも心が揺れればあの地平には踏み込めない、というのは、他のルートの展開を見ても明らかですし、二重の禁忌を乗り越えるための飛躍、と思えば残念だけど仕方ないのでしょう。正直この二人の改めての恋人としてのイチャイチャはすごく見てみたかったんですけどね〜。

 双子の物語としても非常に出来がいいですし、まぁそのトリックは春にもやったよね、ってところでのマイナスポイントはありますけれど、二人で譲葉に寄り添う感じの一枚絵の破壊力もあり、しみじみと美しいなぁと思わせてくれました。
 あと夏編でも書いたけど、エリチドの活躍がすごく目立っていてそこは嬉しかったですねー。蘇芳は逆に、より水面下で色々頑張ってたみたいですけど、喋りひとつでも春とは別人のように逞しくなって、本当に譲葉はい後輩に恵まれたと思います。。。

★シナリオ総括

 点数は三作の平均で出していますが、総じて百合ものとして上質、ミステリィとしても奥行きがあり、友情譚としても非常に楽しめる内容で、文学的な芳醇さすら兼ね備えており、思った以上に好みにマッチする作風でした。
 まだ完結していない段階で名作、と断じることが出来るのは中々に珍しいですし、本当に明日からの冬編が楽しみで仕方ないですね〜。


キャラ(20/20) 

★全体評価など

 全体的にはとてもキャラの造形は上手く、年端も行かない少女らしい一途さと儚さが良く醸し出されている一方で、どこか退廃的で大人びた雰囲気との掛け合わせがキャラ毎別個に丁寧なつくりだと思います。
 非常に狭い世界の中の、なおも狭い人間関係ではるので、もう少し煮詰まったところはありそうだなー、と思ったり、一クラスしかないのに顔もわからない先輩がぞろぞろいたりする?とか、後はシナリオでも書いたように知的に過ぎる、というきらいはあるものの、総じて魅力的です。

 当然ながら影の部分も持ち合わせての魅力ではありますし、好き嫌いは全体を進めていく中で出てくるかもですけど、基本悪人はどこにもいない世界観ですからね。
 その分神の赦しなど、そちらに傾倒した感もなくはないですけど、どうあれ基本軽快で愛らしいキャラの魅力に対し、敢えてケチをつけるほどでもない、という感じです。

★NO,1!イチオシ!
 
 現状は、と留保をつけつつえりかかなと。
 春編からの独特な立ち位置と、精神性と身体性の乖離、そこを埋めてくれるアミティエにして恋人の登場と、あらゆる場面で実際的な可愛らしさをとことん楽しませてくれますし、この子の憎まれ口と好奇心、不器用な優しさは本当に物語の膨らみをもたらしつつ、暴走を塞ぎ止めてくれているって感じがあります。

 見た目的にも性格的にも相当に好みですし、冬編の活躍や内容次第で蘇芳に譲る可能性はありますけど、それでもこのシリーズのトップ2はゆらがないところでしょうね。

★NO,2〜

 当然蘇芳ちゃんもとびきり可愛いですし、頑張り屋で情熱的なだけに、どんな困難もその熱量があれば平気だよ、と励ましたくなりますね。
 色々出来過ぎな印象もありますけど、その大人な部分と子供の部分のアンバランスさが非常に陰のある美しさと相俟って耽美な魅力に繋がっていますし、次が本当に楽しみです。

 その次だと、んー悩むけど千鳥、かなぁ。
 主に秋編でのガラッと一変した素直な愛らしさが本当に破壊力抜群だった、というのもありますし、結構どこか腹に一物、ってほどではないけど悪戯好きとかも含めて何かを抱えるキャラが多い中、この子は本当に裏表少なくさっぱり爽快なイメージで、そこも見ていて安心するというか。

 双子、特に林檎は可愛いと思いますが、彼女の生き方の選択が正しいものだったのかは難しいところですし、それでも二人が仲良く幸せであれるなら、とは思いますね。
 まあキリスト教的には、自分の才能を韜晦して生きることは許されない神への冒涜なだけになんともですが、そのあたりのアンチテーゼとしてもいい味わいのキャラになっていると思います。


CG(19/20)

★全体評価など

 非常に儚さと美しさを兼ね備え、それでいて年頃の少女らしい淡い耽美さまでをもしっかり注ぎ込んだ、絶妙に幽玄で流麗優美な絵柄だと思います。
 塗りの淡さも相俟って本当に芸術的な雰囲気が溢れていますし、出来も安定していて素晴らしいですね。絶対的に好き、というほどではないですけど、独特の魅力があるのは間違いありません。

 立ち絵に関しては基本ポーズや表情差分は春から変化なく、服飾は季節ごとの制服が別々に用意されていて目に麗しいところです。
 特に秋制服は超好みで、勿論黒スト完備なのが一番の理由ですけど(笑)、春夏の涼しげなイメージから一歩引いた、清楚で気品ある雰囲気がすごくこの学園のイメージにマッチしているなって。

 一枚絵は各季節ごとに45枚ずつ、値段考えればまずまずですし、その中に小物や演出系のもあるので量的には大満足とはいかないでしょうが、その分高いクオリティで目を楽しませてくれますね。
 どの季節も綺麗ですけど、単純に好み度と印象度で言えば秋編が一歩抜けていると思います。譲葉に寄り添う双子の愛らしさや、ネリネの神すら嫉妬するような凄絶な美しさをすごく丁寧に引き出せていて、あと秋編ラストの蘇芳の悶えがエロ過ぎて。。。


BGM(19/20)

★全体評価など

 こちらも連作ものにありがちな音楽の使い回しが一切なく、勿論一定数作品全体のイメージを投影する基幹曲は残っていますけれど、きちんと季節とこの主役となるキャラの恋愛イメージに合わせた曲を用意していて、その辺はいい仕事をしていると思います。
 楽曲の質も凄く透明で繊細で柔らかく、絵と同様に世界観との親和性が抜群で本当に綺麗ですし、ひとつひとつの曲にメッセージ性、奥行きも感じさせる出来で素晴らしいと感じますね。
 まぁそこまでガッツリ聴きこんではいないですし、ボーカル的に全部いい出来だけど突出して、というほどのはなかった分少し割り引いて、ですけど、ここは満点でも文句ないくらいの内容でした。

 ボーカル曲は基本各シーズンOP・EDで2曲ずつに、イベント曲なども少し用意されています。
 曲としては秋編OPの虹の魔法が一番好きで、後は春編のEDもいいですね。秋編はあの讃美歌っぽい、譲葉とネリネが一緒に歌う曲も好きなんですけど、あれは実際にある曲っぽいですしね。

 BGMも各シーズン平均15曲にアレンジそこそこ、と、値段を考えればかなり豪華な水準で用意されており、どれもいい出来で耳に優しく響きます。
 流石にシリーズ通貫しているだけあり、アングレカムやモノローグはすごくいい曲だなと感じますし、他も特別にこれは!ってまで聴きこんでないのでアレですが、聞けば聞くほど好きになれそうな曲が結構あったなと思いますね。
 流石に冬編はこの辺もしっかりやりたいところです。


★システム(8/10)

★演出など

 演出に関してはシリーズが進むにつれて少しずつ特色が出てきているというか、遊び心が増えているというかで、目立って動くものはないけれど、要所での面白さ、破壊力は中々ですね。
 夏から搭載したうるうる目とか、秋編のハロウィンリッカなんかは素晴らしいインパクトでしたし、そして当然物語の要所での情感演出の構図の切り方は工夫が凝らされていて、盛り上がりをしっかり下支えしてくれていると思います。

 システム的には必要最低限、ってところで、ジャンプ機能は搭載されているのでそこは便利ではあります。これだけ選択肢があるとスキップだけでは中々ね。
 ただ本当に最低限ですし、使い勝手も普通、デザインセンスの良さは流石ですし、ギャラリーの充実度も評価出来ますけど、もう少し細やかでもいいかな、と思う所はなくはないですかね。
 まぁある意味、世界観をあまりゴテゴテ機能性で飾って壊したくないタイプの作風ではありますし、これはこれで充分と言えなくもないんですけど。


総合(91/100)

 総プレイ時間は33時間くらい。
 基本各シーズンで10〜12時間くらいの範疇で、値段を踏まえると物語としてはかなりポリューミーではあるし、といって中身が薄っぺらい事は決してなく、隅から隅まで面白さが詰まっていて見事ですね。

 無論やや癖はありますし、百合ものの常套とはどんななのか、ってガイドラインがない中では評価もしづらいですが、少なくとも一般的な萌えゲーのノリとは大きく一線を画した風雅で文学的な情緒が薫る印象であり、展開も柔らかくなっているとはいえきついものも多いので人を選ぶところはあるでしょう。
 それでもキャラの魅力と物語の構成の妙、奥行き、美しさなどは一見の価値がある出来に仕上がっていると感じますので、百合に興味があるならプレイしてみて損はしないシリーズではないかな、と思います。

 どうしても夏秋に比べると春だけは弱さがありますけれど、そこは導入編としてのどうしようもなさはありますので、ちょっと突っかかるところはあっても気にせず先に進んでもらえればいいんじゃないかとは感じますね。 
posted by クローバー at 15:23| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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