2017年11月02日

もののあはれは彩の頃。

 体験版がそこそこ面白く、全体の枠組みがどんなものか気になったし、琥珀が大変にかわゆかったので購入。

シナリオ(19/30)

 救いは確かにあるけれど。

★あらすじ

 主人公は、目覚めると賽の河原に立っていました。
 なぜ自分がここにいるのか、これからなにをすればいいのか、わからない事が多々ある中で、いきなりサイコロを握らされて自身を駒としての双六に興じることになり、様々な不満と不安を抱えつつ、自らの中で「常識」として確立したそのルールに従って、他のプレイヤーと時に協力、時に敵対しながら上がりを目指す事となります。

 盤の駒として選ばれたのは9人の年若い男女。
 裏表を感じさせず、基本的に親切で協力的なみさきや琥珀、最初から主人公に対する敵愾心を隠さない京楓や縁、友好的ではあるけれど底が知れないクレアや黎、ルールに則って粛々とゲームを進めようとする大嗣や、得体が知れず胡散臭いカラスなど、多士済々のメンバーによって、京の街を舞台にした、自己存在をかけての勝負が数多繰り広げられて。
 その中で主人公は時に不思議な、この世界の「常識」が通用しない別の世界の一端を垣間見ることとなり、その謎をゲームの勝利と並行して探っていく事で、この世界の謎と、本当の意味での上がりを見出し、それを達成するために他のキャラを説得して仲間に加えていく事に。

 果たして彼らがこの場所にと囚われている理由は何なのか?
 その先に待つ未来は、いかなるものなのか?
 そして、この世界で紡いだ絆は、正しくあるべき世界に引き継がれていくのか?

 運命の全ては賽の目に――――これは命を懸けた遊戯の中で、深い信頼と絆を育んでいく、信念と覚悟の物語です。

★テキスト

 舞台が古都・京都という事もあり、作風からもわかる通り非常に和テイストの味わいが強く出ています。
 言い回しや語彙の選択などもそれに準拠して、比較的古めかしいものや小難しいものは頻出するものの、全体のテンポは悪くなく、単語そのものもニュアンスで大体捉えられる範疇には収まっているかな、と思います。
 いわば文飾の面での誇張がちょっと大きい、というのと、後は心理的な鍔迫り合いなどもかなり多く出てくるので、そのあたりで全体的に含みを伴う印象が強くて、文章そのものの美しさと、その背景にある思惑を二重に汲み取っていく事でより楽しさが増すタイプのテキストかな、と感じました。

 少なくとも個人的にはこういう風雅な読み口は歓迎ですし、それでいてきちんとキャラも立っていて、掛け合いなども独特の面白さがあったので悪くないな、と思いますね。

★ルート構成

 この作品にはいわゆるヒロインルート、という概念がかなり希薄です。
 形式としては共通双六マップがあり、その終盤でその次のマップにおいてどういう行動を取るか、誰と組んで進んでいくかを決定する賽の目を用いた選択があり、それを網羅する事で隠されていた最終ルートをクリアできる、という構図になっています。

 一応各々の分岐ルートで主役となるヒロインはいるものの、最終的にはそれを全て重ね合わせた状態で最終面をクリアし、その上で改めて誰かを選ぶ事で後日談的な話が展開するという、恋愛ものとして見た場合には味気ない構成になっていて、普通のイチャラブを期待すると肩透かし、という作品ではあります。

 ただその選択の提示の仕方は、作品のゲーム性と上手くリンクしたつくりになっていて、かつより大枠で見た時にもしっかりその行為の理由づけが為されるという、シナリオ面での意味性が強いものとはなっているので、その面での魅力をどれくらい高く取るかで、このシステムに対する評価も違ってくるのかな、と思います。
 私の考えとしてはシナリオのネタバレとも絡んでくるので、その辺まとめて後で書きます。

★シナリオ(大枠)

 基本的には、思うに任せない賽の目を振り進めながら、同じマスに止まった相手と交流し、上手く協力体制を紡いでいの一番の上がりを目指す、という事になっていきます。
 またその渦中で別世界の夢が紛れ込むことも多々あり、これはキャラによって見えたり見えなかったりするのですが、そのあたりの全体像の仕掛けも非常に精緻に組み上げられています。

 それらを並行して進める中で、本当に信頼出来る相手を見出し、都度都度にコロコロと変化していく盤面の上で、智嚢の限りを尽くして自身の望む未来を勝ち取る――――その過程の波乱万丈ぶりや、どんでん返しも含む多彩な展開のカタルシスはかなり高めに設定されており、エンタメ性の強い面白い作品であることは間違いないと思います。
 
 勿論それぞれのマップのマス目機能や特殊ルールなど、シナリオの都合に沿った恣意的なものではあるのは間違いないのですが、最低限それが後出しにならないようなフォローはあります。
 もっとも、最初にマップが提示された時点で、全てのマスのイベントをしっかり読み込むプレイヤーはそうはいないでしょうし、その意味ではヒントの出し方に意地の悪さはあるつくり、とも言えますね。特に琥珀絡みとかは外側の常識と照らし合わせて、って部分もあるので、その辺はなんとも言い難いところです。

 ただ本当に双六、という部分の醍醐味はしっかり複雑なつくりの中でも維持していて、世界観の独特さも踏まえてハラハラドキドキはさせられますし、ルートによってはかなり残忍な展開もあったりしますが、それも含めて先の読めなさを強調しており、悪くないつくりとは言えるでしょう。
 その上での最終ルートでは、きちんとそれまでの負の遺産を清算できる要素が詰まっており、その過程において色々と物申したい部分はあれど、最後には結果オーライ的な大団円になっているので、その点でもしっかり伏線を上手く風呂敷に包んで綺麗にまとめた作品と評価出来ます。

 けれど、どうあってもそのゲームの渦中で紡ぐ絆、というものは、吊り橋効果的な側面も含めてかなり限定的にはなりますし、当然そんな切羽詰まった状況で暢気にイチャラブを展開してくれるわけではありません。
 なのでそういう部分は全ての問題が解決して、彼らがあるべき世界に戻ってからの付け足しになってしまうのですが、正直それは非常に薄いです。
 勿論絆そのものは盤面の上で育まれているから、それを反映して主人公が選べば即くっつく、というのはいいのですが、そこから画一的に初めて結ばれて、デートしてちゃんちゃん、って感じで終わってしまい、残りのシーンは回想に追加、ってのはやはり味気ないですね。

 一応盤面の中でも残された謎や、彼らがそれぞれに向き合うべき部分は少なからずあるわけで、中々難しいにしてもせめてひとつくらいは、それぞれのヒロインらしいイベントや特色を組み込んで欲しかったな、というのはあります。
 強いて言えばHシーンの傾向にその気質や特色を全振りしちゃってるところがあって、ただ正直そこで差異化されてもなぁ、ってのがあります。
 あくまで私の趣味嗜好で言うなら、やっぱりそういう濡れ場もどちらかの気質が一辺倒に反映する、ってのは良くないなー、と思うし、はっきり言えばみさきのような方向性のシチュを畳みかけられるのは好きじゃないので、そのあたりでももう少し配慮と工夫があっても、とは感じましたね。

★シナリオ(ネタバレ・考察)

 正直個々の二面の面白さの違いとか出来の良さを語ってもあまり意味はない作品かな、ってのはあります。
 どれも基本的に最初から枠組みは固着していて、その中でどう醍醐味を見せていくかってのも恣意的なイメージを強く持たざるを得ませんし、敢えて言うならトリックの出来の良さ、大逆転のカタルシスの強さなどでしょうが、それに関しては理屈はプレイすれば一目瞭然ですし、そこに主人公やヒロインの意思の介在する余地は、やっぱり普通のストーリー性の高い作品に比べてしまうと弱い、とは思うのです。

 一応かるーく触れておくなら、つくりとして一番好きなのは琥珀の二面で、純粋に面白かったのはクレアの終盤かな、って思います。
 トゥルーに関しては、そこまでに紡いだ絆がその道のりを拓く、というお約束的な色合いはかなり強く、鬼札に対するカウンターや黒幕などについても、ミステリーの原則を踏まえて考えればかなり絞りこめてしまうので、トリックとしての奥行きも含めて実は二面よりうーん、ってのはあります。

 かつやっぱりラスボスの思惑があくまでも私利私欲ってあたりも複雑で、上で触れた選択肢が双六の目を操作する事で成し得る、という構造も、実はこのラスボスの行為と重ね合わされていた、という点では、プレイスタンスによってはげぇっ、てなる可能性もあるなって思いました。
 私はどちらかと言うと俯瞰的に楽しむタイプなのでそんなに気になりませんが、主人公に感情移入して進めたい人にとっては、そうしていたつもりが黒幕に操られていた、って内容は気に食わないんじゃないかなぁと。

 また、この舞台が成立した背景と、複雑化した理由についてもかなりおぞましい点はあるんですよねぇ。
 そもそもこの双六が成立するルールとしては、まず盤となる存在、今回はみさきですが、年若くして死に瀕し、それを自覚しつつも生きたい、という想いが、芯が強い存在が必要なのだろうと思います。
 黒幕が教師という仮面をかぶっていたのも、或いはそういう存在を察知する為に便利だったから、とも言えそうですし、その上で用意周到に、いずれ駒にすべき存在を涵養していた、というのも如何なる執念の賜物か、なんて思ってしまいます。

 この点黒幕がそんな風にねじくれた精神性を保持している根底の部分が語られないので、なんとも気味悪さしか残らないってのはありますし、またそうやって過去からの不可思議、形としては救済措置として成立している舞台を私物化していること、その成果を下種な手段で掠め取ろうとしているカラスの存在も含めて、基本的にこの辺は胸糞悪いんですよねぇ。
 それに結局のところ、盤が開くタイミングで毒物によって仮死状態にさせられた主人公と京楓だけが本来の黒幕の意図するプレイヤーだったはずが、自殺未遂とそれに巻き込まれた縁と大嗣、無理矢理黎を手にかけて、それを媒介に乱入してきたカラスなど、それぞれのタイミングが良過ぎるのもうーん、って所です。
 まぁ琥珀の場合動物だから、人間と違って仮死状態にならずとも霊的な世界との距離は近い、って見立ても出来ますし、それにクレアもある程度双六の知識は持っていて、それが開くことを前提にああした、ってのはありそうなのですが、それも含めて運命の導き、というのはなんかスッキリしないのはありますよね。

 黒幕本人にしても、自分の縁である、他者の縁を奪う力を存分に駆使して、幾度となくこの盤で戦い、勝利して、その都度にひとつずつ都合のいい縁の力を現実に持ち帰っていたというのは、まぁつくづく強欲だな、とは思いつつ行動理念としてはわかります。
 ただその場合こいつだけは現実の記憶とリンクしたまま入れる特殊な能力があったのかとか、今回にしても時間軸の動きからして、盤の内部には入っていないと上手く操作は出来ないだろう、ってところから、どうしてそんな特別な立ち位置を保持できるのか、って謎も出てくるとは思います。
 最後の失態も文字通り策士策に溺れるの典型でしたし、結果的に主人公達が全て無事でいられるための道筋を紡いでくれた、という意味ではナイスな踏み台ですけれど、ルールに則ったオチのつけ方も途中であぁあれかぁー、ってすぐ想像がつくし、色々盛り上がりに欠けたなぁ、って気はしていますね。

 クナドの存在に関しても同様で、作風的に中々そこまで踏み込めないってのはあるにせよ、賽の神となった妹が兄を助ける、という情緒的な側面だけを強調して、それが成立する由縁の部分はかなりおざなりに流してしまっているのはありますね。
 そもそも賽の神はどんな不慮の死を遂げた存在ならなれるのか、隠していた道を見つけられたらそれで確実にお役御免となってしまうのか、それともこの役目を遂げることで逸脱が可能になったからああなのかってのも曖昧ですし、死んでから10年、一度も盤が開かれていないってのは、黒幕のありようからしても可能性が薄い中で、そう在り続けられた意味なども把握できないですからね。
 あまり理屈に拘ると無粋、それこそぶぶ漬けでもどない?って話ではありますが、基本的には雰囲気重視、エンタメ色を強めての力技で押し切っている感覚はありました。

 総合的に見て、敵役として存在感のある縁も含めて、理不尽な運命を絆の力で打ち砕く、って構図はシンプルながら心に響くものはあれ、その壁の部分のよすがのなさと雑さは目立って、かつイチャラブ要素との両立もあまり上手くはいっていない、と言うあたりを踏まえると、個人的には面白くはあったけど、あまり高い評価はしたくない、ってタイプの作品でしたね。



キャラ(19/20)

★全体評価

 ヒロインはみんな個性豊かで芯も強く、こういう舞台映えのする造型ではあったと思いますが、そのシナリオに則した美点が強調され過ぎている面と、一方で様々な顔を引き出すだけの展開の奥行きが足りなかった、という部分で、キャラの魅力を余すことなく引き出せているか、と言われると私はちょっと違うかな、と思ったりはしました。
 それに比較的悪役が碌でもない、ってのもありますし、ヒロインにしても状況によっては結構えげつないこともしちゃう構成ではあるので、終わりよければ、で全部水に流すのはちょっとね、ってところで割り引いてます。

★NO,1!イチオシ!

 そりゃまぁここは琥珀になるでしょうねぇ。。。
 当然造型的な趣味が一番に来ますが、純粋にヒロインとしてもこういう素朴で真っ直ぐで、どこまでも飾り気なく慕ってくれる子猫タイプは大好きですし、最後の展開もそりゃあ随分都合の良いこって、と苦笑するしかないとはいえ、まぁこの子とイチャエロするために必要ならいっか、と思えるだけの可愛さは備えていたと思いますね。

 理想的にはもっと日常生活の中での新鮮な驚きや、恋と言う感情を噛み締めての愛らしさを堪能できるイベントがあって欲しい、とは思いましたが、奔放なHシーンのつくりだけでもそれなりには可愛いと思えたのはあります。方向性としてみさきに近いけど、みさきほど特化的な上位感はなくて、より純粋にそれが当然と求めてくる様はいかにもって感じでしたしねー。

★NO,2〜

 次いではクレアですかね。
 色々と気難しい部分もあるけれど、根っこの部分では凄くお人好しで情にも脆く、そもそもここに入ってきた根底的な理由の部分から中々なもので、その点での好感度は高いですね。
 どうしても頭が切れすぎるのと、特殊な縁を持っていることで、懐に入りこむまでは中々に全面的な信を置けない、という、スロースターター的な弱点はありますが、二面の時は本当に可愛かったなーって思いますし、シーン構成などもお気に入りです。

 みさきは基本的には好きなんだけど、色んな意味で強すぎるというか融通が利かないというか、結局縁と対立した根本的な部分はどこまでもついて回るから時々怖いな、ってのはありましたねぇ。
 この声とかも好きなんだけどなぁ、ただラストの後日談個別のシーンシチュがすんごく気に入らないってのも含めて、もう一歩ブーストし切れないところはありましたね。

 京楓はどうしてもスタンス的に盤の中では明確に敵、って構成がほとんどでしたし、元々の関係性があるからそれだけでヒロインとして成り立つけれど、それを読み手に強く説得的に訴えかけるだけの魅力を発するチャンスはそんなになかったな、と、ある意味貧乏籤を引かされていると思います。
 まぁタイプ的にもこういうややガサツな同居系はそこまで好みでもなかったのはあるし、そもそも何年も同じ部屋で過ごしててなにもないとか逆にすげぇな、とは思うんですけどね。。。


CG(18/20)

★全体評価

 基本的にはとても可愛いですし、雰囲気にもマッチしていていい感じですね。
 印象的に塗りの違いもあるのかもですが、ランプ時代よりも美麗になった気はしますし、その分男キャラの適当さとの落差が大きいんですが(笑)、飛び抜けて素晴らしい、と言うほどではなかったものの、期待通りの出来ではあったと思います。

★立ち絵

 ポーズ差分はヒロインで2種類、サブで1種類と基本的には少なめ。まぁキャラの動きで楽しむコミカルな展開がさほどない構成ですから仕方ない、とは言えますが、特別にらしさが出ているか、という面も含めてインパクトは薄かったかなとは感じます。
 可愛かったのは琥珀の正面向きとクレアの正面向きかなぁ。

 服飾もややばらつきはあるものの、ヒロインで2〜4種、サブで1〜2種と、こちらもゲームシステム的な面の弊害もあって少なめではあります。
 無論この舞台ならではの服なども用意はされていて華やかではありますが、やはり全体的にもう一押し、ってのはありますかねぇ。
 お気に入りは琥珀着物、私服、みさき着物、クレア制服、メイド服あたりです。

 表情差分も比較的真面目な作風を反映して遊びの要素は少なめ、その分様々な角度での細やかな機微に応対しているとは思いますが、目立って凄みや可愛さを感じるのは、となるとそこまで印象に残らなかったですね。
 お気に入りは琥珀の笑顔、きょとん、半泣き、照れ笑い、みさき笑顔、不満げ、にんまり、クレア笑顔、照れ焦り、ジト目くらいかなぁ覚えてるのは。

★1枚絵

 通常が80枚にSDが10枚で、計90枚ですね。
 とはいえお値段キュッパチですし、通常の中には男キャラや敵キャラも含めて、ってなるので、全体的な印象としては少し物足りない、ってのはありますね。やっぱりシナリオ含めて、もうひとつくらいはイベントとそれに付随するヒロインの日常絵は欲しかったのは拭えません。
 ただ出来は安定して可愛いですし、特にこれは!って言えるほどグッと来たのはなかったんですが、基本的には眼福であったと言えるでしょう。


BGM(17/20)

★全体評価

 作風を強く意識しての和テイストが前面に押し出されており、どれも奥行きと風情があって中々に総合力の高いつくりになっていると思います。
 ただ質はともかく量的には今一歩ですし、こちらもバランスはいいのですがここ一番!ってレベルでインパクトのある曲は、と言われるとパッと出てこない感じで、シナリオ同様もう一歩突き抜けたところがなかったのは惜しいですね。

★ボーカル曲

 全部で2曲ですね。
 OPの『色化粧』はわかりやすく和ロック、って感じで、爽快なテンポを刻む中で、要所にしっとりした雰囲気を交えた中々の良曲です。
 ただAメロの出来は個人的に相当好みだったんですけど、Bメロ、サビと進んでいく中で微妙になんか違う感が出てきて、悪くはないんですけど色々奇を衒い過ぎた感もあるな、って気がしています。

 EDの『縁道〜ゆかりみち〜』は、様々な苦難の先に見つけた進むべき道を、静かに噛み締めながら手を繋いで歩いていく光景が目に浮かぶような、いかにも情緒的なED曲ですね。
 作風にはマッチしていると思いますが、イマイチメロディ的にはピンとこなくて、サビがあるようなないようなつくりも含めて耳に残り切らずに終わってしまう感じです。

★BGM

 全部で22曲とやや少なめですが、ひとつひとつのコンセプトと奥行き、質の高さはしっかりしていて、総合的に見ればかなりいい出来だと思います。
 特に、と書けるレベルかは微妙ですが、『蘭橙』の和の息吹が転々としていく構成の美や、『愁へ』のストレートに哀愁を誘う旋律の素朴な美しさは気に入ってます。


システム(8/10)

★演出

 ゲーム的な要素もそれなりにある中で、そつなく演出効果でフォローしているとは思いますが、といってバトルシーンの迫力や縁発動の部分でも、基本的には1枚絵に頼っている形ですし、そもそも日常シーンは少ないしで、目立ってこれ、という部分を感じなかったのはありますかね。
 ムービーも彩りの美しさは目を引くものの、突出して素晴らしいとは言えなかったし、全体的に無難、というイメージです。

★システム
 
 こちらは基本的に足りないものはなく、使い勝手は悪くないですかね。
 ただ厳密に言うと、サイコロが回るシーンでセーブできないから、その直前でセーブするか、一々バックジャンプを使うか、って厄介さはあって、そのくらいかなぁ不便に感じたのは。


総合(81/100)

 総プレイ時間22時間。
 共通面、各U面が4時間前後、トゥルー面が3時間くらいで、後は後日談ヒロインルートが回収を含めてひとり1時間弱くらいの勘定になります。

 基本的にはプレイ中は次々に波乱の展開が舞い込んで、その都度に設定と見比べたりしながら先を見据えて楽しむという熱中度はそこそこありますが、ただ恣意的にサイコロの目を操れるシーンも少ないですし、やはりその長い共通とも言えなくもないトゥルーまでの道を踏んだうえでのご褒美、ヒロインとの交流がかなり薄いのは物足りないところでしょうか。
 勿論コンセプトや発想の点での面白さ、総合的なバランスと整合性の高さなどは評価して然るべきですが、舞台設定の不憫さや強欲が絡む気分の悪さ、感情面ではともかく理屈の上での下支えの軽さなど踏まえると、個人的にはどうしても引っ掛かるところの方が多かったとは思います。

 少なくともイチャラブ目当てで買うのはNG、と言ってもいいつくりですし、ゲーム性も見た目ほどは高くなく、純粋にこのヒロインズとこの舞台でのシナリオ展開が楽しみたい、って意味ならアリですが、ちょっと間口の狭いつくりかなぁ、とは感じましたね。
posted by クローバー at 14:50| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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