2017年11月17日

ノラと皇女と野良猫ハート2

 ノラとと1も面白かったですし、新規ヒロインもロリっ子多めだったし、なによりまたパトに会えるなら、というところで迷わず購入。

シナリオ(24/30)

 歴史があればこその、家族。

★概要

 この作品は、2016年2月発売のノラと皇女と野良猫ハートの続編になります。
 扱いとしてはどこから、と決めつけるのが難しい構成ではあるのですが、基本的には1の共通からヒロインルートに分岐するあたりで、誰も選ばずに進んだ未来、という感じで、そこで改めてパトリシアと対立するアンクライの皇女・アイリスが地上にやってきて、という共通譚が紡がれ、そこから新規ヒロインルートに派生する形ですね。
 既存ヒロインのアフター的なものは、誰かクリアするとそれに付随して、という形で、分量的にいってもほぼおまけ、という位置づけです。

★テキスト

 1の時と同様に、いやむしろそれ以上に、詩性とリズム感を非常に重視した独特な読み口になっているなと思います。
 改めて思うのは、色々思想的に小難しいあれこれを組み込んでいる割に、それを出来る限り簡潔明瞭、かつ斬新な語彙で表現するのがとても上手いなぁ、って所で、短く刻むべきところは刻む、その分延々繰り返して強調すべきところはとことんまでやる、そういうメリハリがはっきり紡げていますし、物語の構造含めて取捨選択、削ることがしっかり出来ているテキストだろうと感じます。

 それ故に敢えて語られない部分も多く、思想的には繋がっていても物語り的な場面としては唐突な語りが混ざり合ったり、二局面が並行して語られていったり、それでも全体的に放縦感を持たせずに、しっかりひとつの物語としてまとめ上げているところは評価すべきですが、わかりやすいか、と言われると多少難解なところもあるのでそのあたりは評価が割れるかも、というところでしょうか。
 個人的には今回も綺麗な言葉の羅列やリズム感、感情面でのセンシティブな叫びの納得感など含めてかなり楽しめたと思っています。

★ルート構成

 上でも触れた通り、アイリスがやってきての共通ルートがあってそこから新規4人のヒロインに分岐、というシンプル極まりないつくりです。
 1同様にこの作品、というかこのライターさんは、あくまでも物語の思想的統一性、詩情感を一番に置いてくるので、その意味では個別に入ってから好感度蓄積、という形でも違和感を持たずにいられるし、ゲーム性という意味では杜撰ですけれど続編でもあると思えばまぁ、ってところでしょうか。

 既存ヒロインの解放順は正確には調べてないですけれど、とりあえずアイリス以外3人クリアした時点で全員見られるようにはなっていたと思います。
 こちらは本当に短いおまけ扱いですので、そちらに期待すると肩透かしですし、箸休め程度に楽しんで基本的には本編ヒロインを後ろに回すべきですかね。

★シナリオ(大枠)

 基本的には仲間の絆と、それぞれが抱える家族の絆をクローズアップした作風であると言えますが、1の時はどちらかというと仲間の絆の方に比重が寄っていて、ルートによっては少し家族との関係の中での足枷を上手く解消できずに終わっているものもあったりで、そういう方面での重さが残る作品でした。
 今回は前作の評判・批判などもある程度汲み取った上で構成しているのか、特に物語の尺的にメインとなるルーシア・ノブチナ・アイリスの三人には、改めてノラ達の仲間となっていく過程や、それぞれが抱える家族との葛藤、過去の軋轢としっかり対峙して、綺麗に大団円を迎えるという、あまり取りこぼすもののない贅沢なつくりになっているなと感じます。

 その上でどのルートでも、読み聞かせの語り手としてのパトがいい存在感を醸しており、彼女が語る昔話=伝説が比喩、或いは暗喩としてしっかり物語に芯と筋道を紡ぎつつ、それぞれのヒロインらしい在り方で少しずつでも現実に、真実にアプローチしていく構成はとてもリリカルで挑戦的でもあったなと感じます。
 概ねそれは破綻することなく丁寧にまとめあげられている、とは思いますが、ただその分、1の時より多少ルートによってはイデオロギー色が強く出過ぎてしまう部分もなくはなくて、それをしゃらくさい、と感じる向きもないではないかもしれません。
 無論そうならないように、しっかりそれぞれのヒロインに感情を移入できるだけの下地を精緻に築いているとは思いますし、その分尺的に中々タフなものになった、という側面もありそうです。

★シナリオ(個別・ネタバレ)

 最初に私の大枠的なテーマ性の解釈をまとめておきましょう。
 
 今回アイリスというヒロインの登場をベースに提示されるのは、死者が本当に死ぬとき=忘れ去られた時、という思想です。
 それは1の時も裏返しにすればそうだった、という面はあって、忘れられたら冥界の存在は立ち行かないから、だから定期的に地上に死の恐怖を振り撒く必要がある、というのがエンド家母親の論理ではあるわけで、それに対しパトが、死の意味をより明確に定義するには、生を正しく定義しなくてはならないと感じて留保していく中での物語、という面がありました。

 そして、生もまた、忘却されれば実質的に死んでいるのと同じ事ではあります。
 無論今の社会の中で全く誰とも繋がらず、誰の記憶にも残らずに生きていく事はほぼ有り得ないことですから、例え微かでもその生は他者の存在によって繋ぎ止められている、と言えますし、これも裏を返せば、他者との繋がりが深いだけ人は生の濃度を増していく、そういう面があるでしょう。
 同時に、死を忘却した生者は、今生きていることに対しての感謝や懸命さを損なう、という視座も含めて、生死が表裏一体であり、共に忘却という概念にその質を左右されるものである、と言えるのではないでしょうか。

 その上でこの作品は、大きく括れば家族との絆の欠落を埋めていく物語、だと私は思っています。
 特にルーシア、ノブチナ、アイリスの3人は、それぞれの過去や境遇の中で、どうしても本来あるべき家族との絆を欠落=忘却している部分があり、それがそれぞれの人格面においても歪みというかめんどくささというか、そういうのを紡いでいます。

 それと対比的というか、主人公のノラもまた早い段階で家族を亡くしていて、本来はそこに欠落を抱えていないとならないのですが、それを母親が生前紡いだ絆の強固さによって糊塗されている、という面があります。
 基本的にあらゆる場面で、死者であるにもかかわらずノラの母はすごく存在感を醸していますし、またナレーションという立ち位置でその見守り感を情緒的に担保しているのもあり、ともあれ母の存在が忘却されない事でより強固に成り立っている仲間との絆あればこそ、正しく真っ直ぐ生きることが出来ている存在、と言えるのでしょう。
 更に、そういう土壌がありつつ、それでも実際にこれ以上母親との、家族の歴史を新たに作ることは絶対に出来ないという寂寥が、それが出来るのにやれない不器用なヒロインに対する、怒りを内包した放っておけない感情の契機として決定的に機能しているのが見事なところです。

 これらを極論的に集約すれば、絆とは紡いできた歴史の重みそのものであり、そこで取り落としたもの、忘却をいかに少なくしていくかによってどこまでも強固に、かけがえのない大切なものに築き上げていける、という事になると思います。
 だからこそ、家族だからと、なんとなくわかっているつもりですれ違っている事や、どうしても埋められない欠落の重さに変わるものを探り、真実と向き合ってそれを踏み越えていく、そういう強さが大切ですし、それを成し遂げた物語だけが伝説として語り継がれる資格を持つ、その繰り返しで生と死の概念は忘却を免れていく――――だいたいこんなところになるのかなと思っています。

 それを踏まえた上での個別評価は、ノブチナ>アイリス>ルーシア>>ユウラシアくらいですね。
 前作ヒロインのエクストラはそれぞれ20分ちょいのおまけ程度ですし、1の時は今回ほど土台のテーマ性が煮詰まり切っていなかった感もあるので、その辺肌合いとしてはちょっと違う感じもあるし、取り立てて評価に差し込むほどの存在感はなかったように思います。いや、確かにパトめっちゃ可愛かったけどね、2本編ではどうしても立ち位置的に不憫さは醸すキャラだし。

 ユウラシアは上で触れた部分の欠落が一番少ない、元々しっかり家族に愛されて天真爛漫に育ってきたヒロインではあるので、結構すんなりと気持ちのままに結ばれるし、自分のやりたい事を少しずつでも形にしていく素直な前向きさもあるしで、母親の容喙、という側面もあるにせよそれは物語のスパイス的な面が強く、全体としては軽めのお話だったと思います。
 その分屈託ない愛情の示しと触れ合いは楽しめた、とも言えますし、総合的に見てその愛に偏重がない、という意味でも稀有なヒロインではあったのかなとは感じます。

 つかね、基本的にこの作品のヒロインって、どこかその生育環境的に無意識の中では愛に飢えている、ってところが強いから、いざ恋人になった時の愛の重さがヤバいんですよね(笑)。
 ただ色々拗らせてるから、そうなるまでのめんどくささも一方ならず、って感じはあるし、それをほぐすためにすんごく尺が必要にもなって、なのにライターさんは好き好んでこういうタイプのヒロインばっかり書くんだよなぁ、とその辺は個人的にあまり肌合いが良くなかった部分ではあります。

 このノラととシリーズって、概ねアレですよ、尺の長さ=ヒロインのめんどくささ、胸のサイズ=愛の重さと考えておけば意外と間違ってない気がするんですけどね。。。
 その意味で、他が重すぎるから相対的に、ってのもあるけれど、フランクで濃ゆい執着を感じさせないユウラシアの在り方は清涼感があったとは見ていますが、その分尺的には短くて済むってのがロリっ子スキーとしてはジレンマ的ではあります。

 ルーシアは過去の事件によって本来の力を失った、という過去から、特に母親やパトと確執、というほどではないにせよ、互いに口に出来ないよそよそしさを抱えてしまっていて、それを糊塗するために思考停止して、自分を妹達を守る剣、としてだけ定義していた部分が強いので、それを解きほぐすのがいやぁ本当にめんっっどくさいわけですよ(笑)。
 いきなりこのルートだと犬の国の王なんか出てきて、そことの抗争になったりと展開的にぶっ飛んでるのはもう気にしない事としても、その過程の中、特に犬恐怖症の克服面でノラに対する依拠を少しずつ少しずつ強めていって、それが同時に、家族の真実と向き合う強さも涵養していく、というつくりはとても丁寧で、個人的にもパトの活躍度が一際高くて楽しいルートでした。

 最終的には全てをさらけ出して尚前を向き、自分、というものを確立していく大団円的な流れにはなっていますし、それを助けるノラと愉快な仲間たち、という構図も燃えるところで、面白いシナリオだったなと思います。
 けどこの人、そうして自己の確立形成において、それまで空っぽだったところにノラ、という存在との恋人関係をボン、と放り込んだところはあるから、その占有率が高すぎて物凄い偏重してるというか、束縛強すぎぃ、愛が重い重い重いっ!って所は誰よりも明確で、ヒロインとして好きか、と言われると正直うーん、とはなりますけれどもね。

 アイリスは流石に2のメインヒロインだけあって、思想性をそのまま体現したような立ち位置の中で、それでも前向きに、ひたむきに新たな絆を、自分にとっての家族の意味を見出していく過程が心打つものがあったとは思います。
 そもそもアイリスの国が忘却を司って、生と死を切り離そうとしていた、その有り様が正しくはない、というのは、それが不即不離・表裏一体の関係だと定義した最初の解釈からも言えるのですけれど、その報復として存在が忘却の上に置かれたアイリスという個人の悲哀は確かなものです。
 まぁどういう経緯であの国にノエルとアイリスだけが残ったのか、ってのも恣意的な部分なのでなんともなんですけれど、どうあれその忘却の鎖から大切な存在を救い出すために、敢えてアンクライの禁忌を束ねて冥界の掟に反逆して見せたノエルのありようはなるほど、とは思わせるところがありました。

 ただ結果的に、それが過ちを積み重ねた歴史だったとしても、それでもアイリスという存在を産み落とした歴史でもある以上、それを知る権利はあるし、立場的にもそこに向き合ってそれをどう総括し、自分の糧にしていくか、という面での必要性は明確にあった、と言えます。
 でもそこを小難しくし過ぎず、パトと対峙する上での、「バカはイヤ!」という喝破ひとつで筋道をつけているのは実にこのライターさんらしい軽妙さだなぁ、って思うし、自分も通った道だからこそ、そのパトの感情的な観念にも説得力がある、というのも凄みを感じさせます。

 その上で、どうしてもアイリスというヒロインには忘却、という根源的な恐怖と諦観が付きまとっていて、表面的には強気でも本質的に憶病で、人との関係に踏み込めないところがはっきりとあります。
 だから少しでもそれが報われると依存を強めるところはあって、いわばチョロイン気質、ではあるのですが、恋愛面においてはその、押せば落ちるんじゃない?って脆さを利用し、かつノラの獣化進行という体質とそれに対する対策として、より深い関係になっていこう!という、やや打算もあるけれど、率直な好意をぶつける構図が紡がれるのも面白いところですね。

 つーか、恋愛面での情緒的な機微が味わいであるエロゲにおいて、ヒロインにド直球でやらせてください!ってお願いする作風は冒険的だし、けどそれを違和感に感じさせない手腕・構成は本当に大胆不敵かつ繊細な手つきだなあと思いますよ。
 普通この手の作品だと、告白を失敗しても幾度もアタックするとかそういう人臭いリアリティは敬遠される傾向にあるけれど、アイリスというヒロインを転ばせるのにはそういう率直な熱情が一番効果的だろうとは素直に思えますし、やっぱりはっきり好意を示されて、自分も一定それを持ち合わせている限りはそれを悪く思えるはずもなく、徐々に転ばされていく流れは面白かったです。

 かつそれが自分に対する自信に直結して、少しずつでもそれまでの常識とかけ離れた自分の国の歴史と対峙し、その責任を背負う覚悟に繋げていく面を並行的に見せているのも効果的だったと思いますね。
 まあそんなこんなですったもんだを経ての大団円、とはなるけれど、この子にしてもそういう成り行きもあるからやっぱりやっぱり愛がひっじょーーーに重いのはあるんだなぁと。
 個人的にはまだアイリスの方がネアカで愛らしく、戦略的幼児退行なんて必殺技もあるから(笑)可愛げを感じるところは多かったけど、胸のサイズ的にも一番愛が重い、ってのはあるんじゃないかなぁと思うしその辺は好みに合うかどうか、ってなっちゃいますけどね。

 ノブチナは珍しく非常にストレートに泣かせに来てるというか、より仲間の絆、家族の絆にスポットを当てた王道的な物語になっているのかなと思います。
 展開的にも、ノブチナの実家がヤクザ抗争に巻き込まれて苦慮しているのと同時に、学園祭の演劇で命の物語を披瀝していくという、より思想性に直結しやすい展開が並列的に用意されていて、それをパトの語り聞かせのシーンが上手く統括していく、という構造面の秀逸さ含めて凄く真っ直ぐだなぁと。
 このルートも含めて、ノラが猫である事を上手く利用した展開が多い作品ですが、特にこのノブチナルートのそれは情緒的でもあり、全体的にはやはり一番出来がいいなぁと思わせますね。

 一方で恋愛面での軽さはあり、それは元々幼馴染としての絆の深さと信頼があればこその拘泥の薄さと、父親との和解に至る前までは、心のどこかで家族の価値を信じ切れていなかったノブチナの、その価値観の変容を具象的に、かつ象徴的に示すための装置としての側面が強いからかなとは思います。
 元々一連の展開で、幼馴染としての信頼とは別個に、こいつちょっといいな、と感じる向きはあって、それがあの猫に変身させて追わせない、というシーンにも鮮明に映し出されていると言えますし、そして家族への葛藤が解された事で、そのちょっといいな、という気持ちを特に力みなく、ぶっちゃけなんとなくでポロッと吐露してしまったのがあのノブチナの告白とは思うので、その点で言えば幼馴染特性を生かした独特な構造、という部分での面白さは多分にあるかなと。

 ただそれは結局、燃え上がるような恋とはまた違う、親友としての信頼の延長線にある気持ちに近いですし、またそれがあって、人柄を存分に知り尽くしているからこそ、いざ恋人になっても許すべきところは許すし、無茶に拘泥することもないという独特なスタンスが確立されていて、その愛のありようは本当に軽やかだとは思うんですよね。その点でも私としては食傷しなくて済む有難い存在です。
 んだけど、その分明確なイチャイチャシーンが多くなくてもその関係性は定義できちゃうから、ってんで、ぶっちゃけHなシーンが少ないのはいただけないなぁと。それ以外が長すぎて力尽きてる感も、実際テーマを補完する、シナリオの流れの中での必要性は確保されている感はあるけれど、純粋にノブチナのHシーンすんごい可愛いからもっと見たかったのは正直なところ。
 この人は本当に、どんなヒロインらしくないヒロインでも、ちゃんと個性に合わせた可愛げを引き出してくるところも大したものだって思いますし、だけどその愛がボインに偏重してるのはロリスキーとしてはぐぬるところであるのですハイ(笑)。

 ともあれ、総合的な水準も高く、前作プレイして今回に期待した部分はかなり綿密にクリアされていて、かつより先鋭的、実験的な恋人の在り方と、家族の絆の普遍的な温かみ、かけがえのなさを両立させてきたのは中々の力技で、大したものだなぁって素直に思います。
 そういう思想面が常に前にある分、物語の構成としてはそちらに寄り添わせて、結果的にその経緯に無頓着だったり、荒唐無稽だったりと、理路の面で納得しにくいところが常に付きまとうのは確かですが、今回も前作同様に、その不備を圧倒的な情緒面の説得性で補えている、稀有な作品の続編として相応しい内容に仕上がっていたと思いますね。



キャラ(20/20)

★全体評価

 非常にめんどかったり、癖のあるキャラが多い、というかそれしかいないといっても過言ではない(田中ちゃんレベルでもちょっと変なとこはあるもんね)作品ですが、その強烈過ぎる個性のぶつかり合いの中でも、しっかりバランスが取れていて誰しもが存在感を失わないのが凄みだなぁと思います。
 純粋に生々しい精神性をかなりえげつなく繰り出してくる分、重かったり苦しかったりもするけれど、その反面としてのヒロインの輝き、魅力を引き出すのも上手ですし、今回は欠落(忘却)からの脱却、という中での成長譚としてもより明確に色づけられており、キャラの印象度では文句なく素晴らしかったと言えそうです。

★NO,1!イチオシ!

 本当はここは新規ヒロインを挙げるべきシーンですけど、でも、でもね、私は敢えて言おう、やはりノラとと全体のメインヒロインはパトリシアなんだと!今回も絶妙にパト可愛いよパトで台満足でした。

 丁度1もサラッとやり直したのでその辺も踏まえて考えた時に、元々パトが地上に、生に対する興味を顕現させる最大のきっかけになったのがノラの眷属化と、その時に心中に芽生えた自覚のない小さな恋の花、という面は揺るがないので、その意味でこの作品は立ち位置的にパトには哀愁が付きまとう、というのはあります。
 けれどあくまでも恬淡と、自分の歩むべき道を邁進した上で、仲間の気持ちを純粋に受け止め、それが満たされるように物語ることでそっと後押しする健気ポジションでもあり、どのルートでもはっきりと存在感を示して、自分がノラに対する責任を放擲して、託すに足る相手かを見極めている面もあり、そのひねたところのない志操、誠実清廉な人柄とへこたれない強さも含め、実にパトらしくて大満足でしたね。

★NO,2〜

 新規ヒロインではやっぱりシナリオ補正もあってノブチナの株が一番上がったかなぁと。
 それまでは軽妙でどこか超然としていたノブチナが、このルートでは生々しい家族との関係に向き合って、その心底に押し込めた心情を赤裸々に吐露していく様が本当に魅力的でしたし、そういう変転を経た上での、元々気を許した仲ならではの恋愛模様の味わい深さ、愛らしさも含めて満足しました。

 当然ユウラシアも可愛かったですが、この子の場合はシナリオ面でそこまで1の時から膨らむ部分も少なかったですし、存分にらしさを振り撒いて愛嬌たっぷりで可愛い、という率直な想い以上に思い入れるなにか、まではなかったかなと。

 アイリスも非常に豪快でありつつも、その奥には繊細な心象を隠し持って、そのアンバランスさがほっとけない可愛さ、というのを明確に打ち出せていましたし、基本的に前向きでノリが良く、熱演も含めて非常に印象的な子ではありましたね。ノエルとのコンビも面白かったですし。
 ルーシアはヒロインとしてはめんどくさ&重すぎでアレですけれど、その生き様含めて共感できるところは多いし印象には残りますよね。

 そしてヤンキーと田中ちゃんはこのまま幸せになれるのだろうかっ?
 あと1の時のめんどくさ筆頭の未知が露骨に遠ざけられてて笑った。。。


CG(17/20)

★全体評価

 ボリュームとしては文句ないところですが、元々そこまで好みの絵柄ではないのと、基本的にボインが乱居する世界ですからね、その辺の好き好きは明確に出る部分じゃないかと思います。
 今回はシナリオ面での補助的な意味でもより効果的に一枚絵を投入している部分もあり、力は入っていると思いますけれど、純粋な好みを超越してまで加点するほどの威力はなかったのでここで、ですかね。

★立ち絵

 新規はアイリスとノエルくらいですし、服飾などもその二人を除けば1のものを踏襲しているので、評価としては控えめにはなりますかね。
 アイリスの正面向きは可愛いですし、私服と水着も素敵です。ノエルのスーツも好き。

★1枚絵

 通常CGとSD、アイキャッチや小物系などごった煮で登録されているのでわかりにくいですが、全体での登録数は150枚超え、通常だけでも100枚は超えているので、値段を踏まえても水準は楽にクリアしてきているのかなと思います。
 ただ絵そのものの安定感はそこまででもないというか、むしろこういう危うさも含めてこの作品らしさって気もするし、悲壮や号泣など、感情を揺さぶる絵もかなり多かったとは思いますけど、それでも特に、とピックアップするほど心に刺さったのはなかったですかね。


BGM(19/20)

★全体評価

 情緒面を下支えする音楽面は続編でありつつほぼ一新、1の時もすごくポリューミーでしたが今回も同様に素晴らしい分量、かつカテゴリ的に非常に多彩な音楽性を組み込む挑戦的な部分も色濃く、仕上がりも安定て高いので中々の見事さでしたね。
 あと日記で挿入歌聴けないじゃん、とかくさしてたけどあれ勘違いでしたごめんなさい。主題歌以外はちゃんと収録されてますね。

★ボーカル曲

 全部で6曲と実に豪華。ただ挿入歌はそれぞれ1回しか出てこないし、どこで流れたかはっきりしないけど。。。

 さしあたりOPの『クライングハート』は名曲。1のOPとイメージを似せて紡ぎつつ、あれ以上にしっかりテーマ性と奥行きを明確にした感じで、かつポップでスピーディーで活き活きとしているのが、このシリーズ作品のOPとして相応しい出来になっていると思います。
 特にサビの後半が好みですね。

 挿入歌では、『Sky Baby』『桜色に染まる坂道』『笹鳴雨』が好みですね。特に笹鳴雨、まさかエロゲでここまでドストレートな演歌を突っ込んでくるとは、って驚きと、でもその浪花節的世界観がちゃんとシナリオにマッチしているところがやっぱり卓越してるなぁと思わせるところです。

★BGM

 新規だけで54曲と素晴らしいボリュームであり、遊び心も含めて非常に多彩なつくりになっていて、かつ1の曲も要所ではしっかり使って物語を引き締めており、全体像としてはほぼ文句ないつくりですね。
 ただひとつひとつの出来としては、完成度高いけど突き抜けて素晴らしい、とまで言えるのはそこまでなくて、強いて言えば『囃子』『蛍雪』あたりがいいなって思いますけど、このシリーズで一番好きなのはやっぱり『月のワルツ』絡みかなぁと思います。


システム(9/10)

★演出

 ここは前作よりレベルアップしている感じで、要所での動きやアニメーションの投入、キャラの動かし方の自由度の拡げ方なども含めて、やはりここは少しずつでも進化を組み込んでいく気概を持ったメーカーなんだよなぁ、と思わせるに足るだけの変化はあったと思います。
 まあそれでも全体的に抜群、とまで言えるかは微妙な線ですけれど、見た目から楽しい、ってのとシナリオのコミカルさがしっかり連動しているのは流石でしたね。
 ムービーは1の方がイメージ的には好きですけど、曲や季節感のイメージ共々綺麗にまとまっていて悪くないと思います。

★システム

 こちらも必要なものはほぼ揃っていますし、特別ななにか、ってのはないですけれど無難に使いやすいですし特に文句はないですかね。


総合(89/100)
 
 総プレイ時間23時間。共通が4時間、個別はユウラシアだけ3時間くらいで後の3人は5時間弱、エクストラ回収で1,5〜2時間くらいの勘定になりますね。
 続編であるだけにしっかり尺も通常の新作レベルか、それ以上のものがありますし、質的にも安定して高く、1の時ほど胸糞悪い展開は控えめに、かつ取り捨てたものを改めて拾い上げるような繊細で贅沢なつくりになっていて、正統進化、という言葉を率直に当て嵌めていい出来だったと思います。

 まあこれはこれで相変わらず独特の癖や思想性の偏りはありますし、ヒロインの贔屓度とか力の入れようなども含めて好き嫌いが出やすい要素は多く、また構成面にもサラッと流すと気付かない程度にさりげなくながら、結構朝鮮的な味付けがされていると思うので、読み手のスタンス、解釈によって大分反響の違う作品にはなってるんじゃないかなって感じます。
 個人的には読み解き甲斐もあり、非常に楽しい作品でしたし、特にパトが期待以上に出ずっぱりで活躍してくれた感があるのでかなり満足していますし、1が好きならより楽しめる作品には仕上がっていると思います。
posted by クローバー at 04:46| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: