2018年01月09日

月に寄り添う乙女の作法2,2 A×L+SA

 まあ2,1もやってるし、ルミネとアトレはそれなりに楽しみだったので。

シナリオ(15/30)

 その入り口からだとねぇ…………。

★概要

 この作品は、2014年2月発売の月に寄り添う乙女の作法2のFDで、2017年5月発売の月に寄り添う乙女の作法2.1 E×S×PARの姉妹編ともなります。

 コンテンツとしては、本編ヒロインの残り二人、ルミネと朔莉にスポットを当てた後日談と、本編で非攻略キャラだった実妹のアトレルート、それとおまけで過去のHP企画を小編として再録しています。その起動の為だけに2,1のディスク認証がいるとかくそめんどい仕様ですが。。。

★テキスト

 基本的にはいつもの釣り乙シリーズの雰囲気と言えますが、朔莉以外のヒロインは基本的に真面目なタイプですし、シナリオの展開上みんなと和気藹々に、という方向性が他の二人に比べると薄いな、ってのはあるので、その分ギャグのキレも控えめに感じました。
 加えて、今回はそれなりに重い展開もあるのだけど、1の主人公と違ってこっちの主人公視点で重い話になると、中々空気感の面で辛さがより強く出てしまう、ってのはあるなぁって、そのあたりはもうちょっと工夫があっても、とは感じましたかね。

★ルート構成

 一応アトレルートだけ分岐選択肢がありますが、派生エンドも非常にサラッとしたものですし、どうせならガッツリ他のヒロイン浮気エンドもやってくれればいいのにー、とか碌でもない事を考える私。
 つかあの展開ならいいじゃん、そのまま九千代に靡いてしまえよー、と思ってしまうのですけどね、ぐぬぬぐぬぬ。

★シナリオ

 前回と同じように、大枠的に語れる要素は少ないので個別にサラッと。

 朔莉シナリオは、本編で彼女の大願を達成して、その後の目標を見失う中での二人の道行き、というそれなりにシリアスな要素を扱いつつも、基本おふざけキャラではある朔莉がもたらす空気感と慈愛、そして自身の経験からくる大人びた有り様と恋愛との折り合いのつけ方など、色んな意味で主人公は殻を破った上で更に甘え、救われているイメージは強いですね。
 このルートだと主人公の秘密が開示されているのが、って部分で制約はあるし、結果的に阻害されているキャラも多いのでその辺はアレですけれど、エストとルミネが手を携えて作戦会議、なんてノリは中々珍しくもあり面白かったです。

 朔莉も奇矯なキャラではありますが、その親愛と乙女チックな部分をちらほら以上に垣間見せてくれるようになっての可愛さはありましたし、基本的にはすごく一途で真っ直ぐですからね、それでも譲れないものはあるけれど、そのラインさえしっかり踏み越えてくれるなら相手に合わせる度量と余裕を持っている、という点で、一番主人公にとっては寄りかかりやすいヒロインではあったのかなと感じます。

 一方でルミネの場合は、本編でもそうだったけど甘える事で甘えさせる、という双方向の依存的な面は強いですし、世界性も内向きだったのがどう出るかな、と思っていましたけれど、一応はこの二人なりにそこからの脱却と、未来像を描いて進んでいく在り方が見えて良かったですね。
 ルミネにしたって本編の時は相当に融通が利かず、それは今でも名残はあるけれど、それを少しずつ打破して、かつ自分の気持ちに正直に、という面が出てきているのは好印象ですし、猫可愛がり的な態度も含めて実にルミネらしい、とは言えるのかなと思います。

 ただアレですよ、ただでさえシーン数少ないのにこっちは寸切れ的な部分も多いし、折角貴重な黒ストヒロインなのにそれを生かすつもりがさらさらない、ってのがむがー、ってね。いや、そもそもこのシリーズにエロスを求めるな、って話ではあるでしょうけど、にしたって朔莉との対比でも削られ気味ってのはいただけないなぁと。

 そんでこの作品の肝というか、評価の上で肝心要のアトレシナリオですが…………うーん、正直なんというべきか感想に困る内容ではありましたよねこれ。
 流れから言えば、本編の正体バレバッドエンドから、坂道を転がり落ちるように周囲の信頼を失っていって、その焦りがより心理的に主人公を追い詰めていって、それが最後には根源的な欲求、トラウマとも言える観念を刺激して制御できなくしていく、って事になるのですけど、正直この辺はリアルに重いです。

 元々この主人公って、1の時とは違って逆境に頗る弱いというか、基本的に虚勢を張って生きている部分があって、それを本編ではヒロインとの恋愛と服飾の絡みで克服していく過程があったわけで、その克服がないままに弱さに直面して擦り減っていくと、こんな愚かな選択すら取ってしまう、という視座での説得性はあったと思います。
 元々妹に対する想いは劣等感と倒錯的な性観念による弊害的なものではあるし、妹側の献身もある意味では同じように罪悪感が根底にあるとなれば、方向性としてはこうなるしかなかったのか、って話ですけれど、もう少しスタート地点を工夫するなりでマイルドに出来なかったかなぁとは感じます。

 対比的なシナリオとしては、やっぱり1のりそなシナリオは考えなくちゃ、ってなりますけれど、まずあの時代は家族が一枚岩ではなく、その派閥争いの渦中で利用され、翻弄される二人が、それでも二人なりの方法論と真っ直ぐな信念で絆を紡いでいく過程そのものに重きを置いていました。
 そういう積み立てがあればこそ、ある程度禁忌である兄妹での恋愛も、その家族の絆の連結と分かちがたいものに昇華させて説得的に出来た、と言えますし、また一応は異母兄妹、という部分でも多少なりハードルは低かったと言えます。

 一方でこちらは完全に実の妹で、そして家の問題は基本的に解決している、かつその結びつきが二人にとって幸せをもたらすようには、常識的な意味でも精神的な意味でも見えない、って部分で諸々マイナス要素が積み重なっており、そんな血の袋小路をもたらす行為に対して衣遠が否定的なスタンスを取らざるを得ないのも当然とは言えるでしょう。
 やはりそういう面でのハードルの高さがあるに加えて、後ろ向きな観念からその過ちの関係がスタートしてしまったというのは印象として宜しくないですし、そもそもその倒錯観念の起因が二親にあるとはいえ、それを読み手が実感的に捉えられるか、となると、それも難しい部分ではありますからね。

 まあ結果的に、批判され、否定されればこそ燃え上がる思い、的な方向からより絆が強固になり、それを暗黙でも周りに認めさせるために必要な才能を自力で開花させた、という点では似通っていますが、どうしてもこういう重いシナリオは、主人公がネアカならともかくネクラだとより厳しいなー、ってのはありますよね。
 アトレにしても自分の存在意義を元から軽く見做しがち、というラインはあるし、けれどそれを除けばごく普通の女の子、という九千代の説明からも、その関係性を強い信念で貫き切るだけの裏付けを感じにくいのはあって、如何にりそなの内々の応援があったとしてもうーん、って気はしますけどね。

 まあ単純にイチャイチャしてる時のアトレ自身の可愛さは中々でしたけど、その土台の部分にどうしても悲愴感が入り混じっているから、そこに読み手も没入し辛い、っていう面はでてくると思います。
 才能の開花に関しても他のルートに比べて一足飛びな印象は強いですし、正直作り込みとしてはかなり雑だなー、ってイメージで、まあこの一族の話でとなると仕方ない面はあるけど、色々物足りなさは募りましたね。
 そして九千代を攻略できないのは何故なんだぐぬぬぐぬぬ(しつこい)。

 全体的に見ても、エスパルの方がエッジの効いた面白さは強かったですし、評価としてもあれ以上には出来ないな、って感じで、特にアトレルートはもうちょっとどうにかならんかったか、って気はしますねぇ。


キャラ(19/20)

★全体評価など

 基本的にはいつものノリ、と言えばそうですけれど、全体的にマイナスの要素が色濃く出やすい設計になっていましたし、その中でのヒロインズのプラスアルファ的な魅力が際立っていたか、と言われると微妙な感じではありましたかね。
 その点でもエスパルの方が面白かったかなぁ、ってのはあるし、少し割り引いておきたいところです。


CG(18/20)

★全体評価など

 通常絵は全部で48枚と、エスパルとほぼ同等ですが、しかしルミねぇだけ差別されてるのは気に入らんぞぐぬぬ。
 出来そのものは安定して可愛いですし、特にアトレ関連はかなり絵の面だけで言えば良かったと思うのですけれど、総合的にはこの辺が無難なラインではあるかと。

 ルミネの椅子座り猫可愛がりに、アトレの騎乗位、頬添えあたりは超好きです。


BGM(15/20)

★全体評価など

 新規ボーカル1曲にBGM4曲と追加分は少なめ、そしてボーカル曲も珍しくかなりしっとりしんみりした雰囲気に仕上がっていて、ある意味で今回のシナリオの方向性にマッチしてはいますが、曲としてガツンと来るところは少なかったなぁと。
 どうしても未だに最初のDesireを超える曲が出てこないシリーズではあります。鑑賞画面のイントロ聴くだけで結構心が揺れるくらいにはあれは好きなんでねぇ。


システム(9/10)

★全体評価など

 基本的にエスパル準拠で、いつも通りに軽快でメリハリの効いた演出は楽しかったです。


総合(76/100)

 総プレイ時間8時間。朔莉とルミネが2時間ちょいでアトレが3時間弱、おまけが20分程度ですね。
 やはり値段相応、と言えるほどの尺ではありませんし、内容的にもエスパルの方が面白かったなー、というのが正直なところ。全体的に陰性ヒロインがこっちに揃っていた部分もあるけれど、結局この2のシリーズはエストが全力で光り輝いてないと、主人公の陰性を上手くフォローしてくれない感じはあるんですよねぇ。
 特にその弱さを受け入れてしまう方の身内になると、ってのはあったし、その辺で酌量の余地はあったと思うけど、ちょっと出来としては残念でした。感想文量的にもさっぱりやる気ないのが見え見えですしね(笑)。
posted by クローバー at 11:50| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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