2018年03月13日

厨二姫の帝国

 まあこれに関しては、体験版の時点でまずダメだ、という感触ははっきりありました。
 ただ個人的な思い入れが強いスタッフ陣でしたし、お布施感覚で買ってみた、というところですね。

シナリオ(11/30)

 文字通りのダイジェスト。

★あらすじ

 主人公は祖母の所有する元廃屋を修理していつの間にか住み着いていた美少女の存在を餌に、家賃の取り立てに行かされます。
 そこにいたのはへっぽこ騎士のステラ、褐色クールビューティーのラグナセカ、そして部屋に引き籠りの厨二姫と、それぞれ確かに美形ながら癖が非常に強い面々で、そして改めて姫と家賃契約を交わしたつもりが、なぜかそれが彼女の特質である勇者としての契約になってしまいます。

 彼女達はこの世界に魔王探索の名目でやってきており、姫としては本来やる気がなかった部分を、偶発的に勇者契約が成立してしまった事で本腰を据えなくてはならなくなり、主人公もその状況を踏まえて、一緒にその廃屋に移り住んで魔王探しを手伝う事になります。
 その活動を嗅ぎつけた、主人公の幼馴染でかなりディープな中二病患者の鈴華も加わって、今までとは一風変わった、美少女たちに囲まれた不可思議な夏休みが幕を上げるのです。

 果たして魔王の正体とは?
 それを打倒し、平和を取り戻すとともに、その過程で主人公の本懐である美少女とキャッキャウフフする野望は叶うのでしょうか?

★テキスト

 全般的に空疎です。
 シナリオでも書きますが、多分プロットだけ出来ていて、それを別の人が最低限の肉付けだけしてリリースした、という感じで、読めなくはないですが基本的に雑、時折日本語としても変ですし、なにより文章に情緒が欠片もありません。
 主人公のお江戸気質的な特性もヒロイン置いてけぼりで上滑りするばかりですし、ヒロインはヒロインで独り善がりだったり暴走気味だったりと、そのあたりの負の要素をテキスト面でバランスを取り、ギリギリのラインで可愛さに転化するのが腕の見せ所になる筈の仕掛けで、そういう配慮が皆無なので基本ウザいだけ、という顛末になり果てています。

 場面と場面の繋ぎ方なんかもお粗末の一言で、本当に面白味を削ぎ落としたダイジェストを読んでいる感覚になりますね。

★ルート構成

 一応いくつか選択肢はありますが、ほぼひとつその該当ヒロインを選ぶ形に持っていけばそれでルート決定と、積み重ねもなにもあったものではありません。
 共通自体かなり短いですし、ゲーム性の点でもほぼ皆無、誰から攻略しようとダメダメな上、シーンジャンプなどはないので作業性としてもめんどいというおまけつきです。

★シナリオ

 テキストで触れた通り、プロットを最低限に膨らませただけのダイジェストが個別の隅々に至るまで徹底されている感覚です。

 プロット自体はそこまで悪くはなくて、例えば姫の祖国とこちらの社会性の差異や、そこに起因する姫の疑念、そしてそれは魔王の正体を知った事でより深くなり、その打開策の一環としてこちらの世界との交流を深めていく、そのあたりをしっかり丁寧に掘り下げていけるのであれば、普通に面白い作品になったとは思います。
 でもその、面白くなる部分のエッセンスを本当にエッセンスのままにしか使っておらず、後は冗長な日常を、全く連続性を感じさせない場面の繋ぎで適当に取りまとめて、最低限シナリオとしての体裁を整え、ギリギリ破綻はしていないレベルで完成と言い張っている水準ではあります。

 ルート毎の整合性も全然取れていなくて、特に根幹となる魔王の正体の部分なんか、姫とラグナセカルートでは共有出来ているけどステラルートはまるで別物、鈴華ルートに至ってはそもそもその核の部分にすら辿り着かず、外縁でごっこ遊びをしているだけで終わってしまう始末です。
 全体的な完成度はともかく、メインの姫ルートくらいはまともであってくれれば、なんて淡い期待を持っていましたが、文字通り夢物語で、尺的にも質的にも褒められたところはあったものではありませんね。

 まあプロットの時点でしっかり着地点までは構築されていたのだろうし、その意味でなまじ筋道としては成立しているのが余計に哀愁を誘うというか、理解できないレベルでは破綻していないのがなんともはや、という感じですよね。きちんと当初の狙い通りに完成していたなら、そこそこの良作にはなっていたはずなので実に勿体ない限りです。

 あと、これは次項でも書きますが、絵が全般的に破綻しているので、やっぱり総合芸術たるエロゲにおいて、シナリオの出来そのものは大切ですけれど、それをより良く見せる意味で絵の出来は大きく印象を左右するんだなぁ、というのが改めてわかる内容です。
 ぶっちゃけどれも低水準なシナリオの中でも、客観的にシナリオ「だけ」で見るなら鈴華が一番ダメかな、とは思うのですが、ただこのルート「だけ」一貫して1枚絵の完成度はまともなので、その差し引きで終わってみるとこのルートが一番マシに思えるし、ヒロインとしても鈴華がなんだかんだで一番可愛かったと思えてしまうのだからなんだかなぁ、って感じです。

 流石にこの作品に関しては、個々のルートの粗を抜き出したり、整合性の不備を実証したりする作業をすることすら億劫というか手遅れというか、全然そこまでやる気が起きないのでこの愚痴めいた感想で素直に閉じておきます。。。

キャラ(17/20)

★全体評価など

 ヒロインの素材そのものは可愛くなる要素をたっぷり保持しているとは思いますが、それを引き出すためのテキストの技巧、シナリオの完成度がほぼほぼゴミですし、1枚絵が出てくるたびに大抵の場合そのちょっと可愛いかも、と思った感情をリセット、どころかマイナスに陥れてくださるので度し難いのです。

 まあ本当に瞬間的な部分での可愛さなどは、特に姫や鈴華には感じるところもあり、鈴華はまだ絵が一貫してまともだったのでそれが最低限のレベルで継続してくれた面もありますが、それでもヒロイン、として推せるほどの魅力を引き出せた部分はないですかね。

 あと地味にばあちゃん酷いよね。。。

CG(14/20)

★全体評価など

 個人的に今までの延期延期パターンって、シナリオがどうしても出来なくて、ってのが大半だったと思うし、その意味でこの作品も同系譜、故にシナリオは死んでいても絵くらいはまともであってくれるかな?と淡い期待をしていたのですが、そこの部分も根底から裏切られるという致命的な内容でございました。

 具体的には、原画クレジットは二人の名前しか出てないですけれど、明らかにもっと多数の手が加わっていて、そして元々の二人が書いたと思しき部分以外の出来は、もう基本デッサンから狂いまくりの、子供の悪戯描きレベルに酷いです。
 そして多分、元々姫とステラ担当の々々さんがまともに描いてる1枚絵は甘く見ても半分くらいでかね。まして本丸のはずの姫の原画なんかほぼほぼ別人のもので、本当に奇々怪々な出来になっていて唖然とさせられます。まともに立ち絵との整合性を保つ気すらない出来で、明快にクレジット詐欺ですね。

 なので、枚数的にはギリギリフルプライスの下限水準にありますが、姫とステラの一部分、そして鈴華以外は粗大ゴミ同然で、立ち絵差分なども元々用意されていたものだけ使っている感じで非常に少なく、なまじその出来がいいだけに切なさもひとしお、となります。
 本当に姫の立ち絵、活き活きとした表情とかはめっちゃんこ可愛いですし、あと鈴華に関してだけは一貫して完成度が高く、全体バランスから贔屓目もあるでしょうが、これだけはお金を出す価値がある仕上がりです。

 この点数もその出来がいい部分に免じての最低限という形で、マイナス面の方がはるかに大きいのは間違いありません。

BGM(15/20)

★全体評価など

 ここは極端にダメ、って事はないですが、ボーカル・BGM共に水準量には全く達していませんし、出来そのものも悪くはないけど目立つところもない、となりますかね。
 強いて言えば水色あたりが好きです。

システム(7/10)

★演出など

 ここも極端な破綻はないですがほんっとうに最低限ですし、演出指定そのものがシナリオの雑さに引きずられてかなり適当なのでどうしようもないかなぁと。
 システム的にも最低限は保持していて破綻はしてないけど、決して使いやすいって事もないですし、基本的に古めかしいですしね。

総合(64/100)

 総プレイ時間10時間。共通2時間、個別も各2時間くらいで、非常に短く味も素っ気もないつくりです。
 短い分だけ、なまじ枚数だけは揃えた破綻した絵が次々と出てきて余計にげんなりするという悪循環まで披露してくれて、本当に久々に、ゲームをプレイしていて徒労という感覚を味わわせてくれました。

 つーか、ここでレビューをはじめた00年代半ばならともかく、採点基準をかなり甘めに設定していて、実際去年なんかDクラスさえ一つも出さなかったというのに、そこで楽々Eクラスを叩き出してくるってもう歴史的な地雷作、と言わざるを得ませんね。
 多少なり、この部分だけはマシなんじゃない?ってささやかな期待すらも真っ向から裏切ってくれる、文字通り「買ってはいけない」にリストアップされるべき作品・内容です。
 強いて言えば鈴華の原画と姫の立ち絵、ステラのある程度の絵の魅力を楽しむために、ワゴンで叩き売りされてたら試しに手に取ってもいいか、位のレベルでした。

 この2018年2月は、この作品にロスト・エコーズ、あとひとつ屋根と大幅な延期の末にリリースされた三羽烏がどんなものか個人的に気になっていたのですが、ロストは感想見て貰えばわかる通り非常にまとも、そしてこれは核地雷と評価両極端になりましたね。
 ひとつ屋根だけは買ってないし、体験版もやってないので評判チラ見してきましたけど、あれは最低限の出来はキープ出来ている感じでしょうかね。キャラと絵は良いけどシナリオが画一的で味気ない、って雰囲気で、なんとなく水平線まで何マイル?を彷彿とさせますが。。。

 ともあれ、個人的な話として何回か書いていますが、私のエロゲデビュー作がゆのはなであるため、このクリエイターネームのラインナップには抗いがたい引力があるのです。
 とはいえここまでの事をしてしまって、もはやこの懐古的なメンバーでのまともな作品が見られる事はないのだろう、という諦めをつけさせてくれた面もありますし、懐かしく愛おしき時代への惜別、なんて哲学的な観念をもたらしてくれた、という意味で、これをプレイした意義はあったと考えておくことにします。
posted by クローバー at 05:14| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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