2018年05月17日

てんぷれっ!!

 コンセプト的にもメーカー的にも体験版的にもまぁ凡作だろうと予想はつく作品なんだけど、絵とCVが相変わらず無駄に強いので、今月買うものも少ないしまいっか、的なノリで購入。


シナリオ(12/30)

 テンプレの風上にも置けない。


★あらすじ

 主人公は、10年前に流星群に紛れて降ってきた不思議ハムスターのあるごるを飼い始めた事で、TMPL、通称テンプレの力に振り回される日々を送っています。
 これは良くも悪くも御約束の出来事を身の回りに引き寄せる力で、それは例えば毎朝起こしにくる幼馴染だったり、登校中にぶつかる転校生だったり、主人公の後を追いかけて転入してくるメイドだったり、事あるごとに突っかかってくるツンデレのクラス委員長だったり。
 そんな騒がしい日常の中、主に部活動である天文部を中心に、テンプレの力で引き寄せられてきた見目麗しい女の子たちとの交流は続き、その中でやがて主人公は霞の向こうに消えかかっていた過去の思い出を取り戻していきます。

 当然それもまたテンプレながら、過去に縁があったと思われる子に少しずつ心を惹かれていき、相手もまたきちんと主人公の事を覚えていて――――これはそんな、お約束から始まるベタベタに甘い恋物語です。


★テキスト

 全体的に平凡で面白味の薄い読み口です。
 確かに主題的にテンプレ展開は必須とは言え、それに胡坐をかいて大半のやり取りがそのフォーマットに沿った薄っぺらいものだったり、お約束のメタネタだったりで、この作品ならではの新鮮味ってものは予想はしていたけれど皆無に近いですね。
 それでいて交流の場や展開もかなり限定的にされてしまっているので、その面でもヒロインの魅力を引き出すのが難しくなっているし、そういう制約をテキスト面の華で糊塗する事も出来ていないので、正直に言えば読んでてかったるい話です。


★ルート構成

 ある程度選択を重ねて好感度を稼ぎ、その結果として最後のルート確定選択肢に名前が出てくるオーソドックスなスタイルです。
 ヒロイン4人に対し選択が二択の場面が多く、ある程度同時攻略も可能なつくりになっていますし、選択肢そのものも特にヒロインの心情に踏み込んだりする深みのあるものではないので、蓄積面での説得性はかなり薄いですしあくまでも味付け、飾りつけ程度ですかね。


★シナリオ

 お約束展開を積み重ねる中での魅力、というのは確かに一定の安心感と味わい深さがありますが、それ一辺倒では単純に飽きる、というのを端的に証明してくれている作品だと思います。
 そもそも共通からして、生活圏がかなり狭いくせにイベントがほぼ天文部でしか起こらない雑な仕様になっていて、それぞれのヒロインと個々に関係性を深めたり、学園では知れない意外な一面を垣間見たり、なんていう方向のテンプレがほとんど機能していないのがすごく手抜きだなぁと感じました。
 少なくともヒロインの内の二人はほとんど同棲に近い形なんだし、他の二人もストーカーみたいなものなんだから(酷い)、テンプレの力をこじつければいくらでも街中での出会いやエピソードは構成できるのに、そのあたりは本当にヒロイン紹介に付随した冒頭だけで、後は一貫して部活動でみんなでわいわい横並びに、それが終わればまた数日日付がスキップして、という感じで、この簡素で連続性が感じにくい構成はDC時代からのサーカスの悪癖ですよねぇ。

 その上で、個々のヒロインとの関係製をより決定的にする契機となる過去の出会いと記憶に関しても非常にファジーなつくり。
 なにしろ誰ともが観測会の夜にたまたま二人きりで出会い、一夜の思い出を作ったというもので、もしもこの話が一本線であるならば、少なくともテンプレの力を得てから数回観測会に出向き、その都度違うヒロインと思い出を作って、けれど誰かと付き合う段になってはその相手とのエピソードしか思い出さないという鬼畜な主人公ぶりを発揮するわけです。。。
 裏を返せばヒロインみんなそのお約束的な初恋を胸に秘めているのに、誰かとくっつけばそれは当然蔑ろにされちゃうのだからなんだかなぁですし、大枠的な不可思議要素と絡めて考えた時に、これって実はそれぞれのルートで世界線違うんじゃね?或いはあるごるとぶつかった時から主人公意識不明で夢の中の話なんじゃね?と思いたくなるくらいです。
 実際どのルートでもほとんどヒロイン同士の牽制とか鞘当てとかないし、精々詩央が時折それっぽい感情を見せるけど、彼女の場合は観測会関係なく幼馴染ではあったから、って部分もあるので、その辺の枠組みの作り手側の意識がどうなのかはどっちにも解釈できそうです。まぁそれを真面目に考察する必要性があるほど面白く深みのある作品でもないからどうでもいいっちゃいいんですけれど(笑)。

 ともあれ、大枠の骨組みから色々とガバガバなのでなんともはや、ですし、個別に至っても非常に面白味は薄いです。
 ただでさえ共通の時点で画一的なつくりで、横の繋がりの特殊性などが薄いのに、個別に至るとより一層他のヒロインが出てこなくなるのが恣意的に都合が良過ぎます。
 そもそも毎日窓から入ってきて起こしていく星七さんが夏休みに入るとパタッと存在感なくなるし、詩央とも一緒に暮らしている筈なのに全く会話もないしってどうなん?ってなるし、詩央ルートでなんか星七邪魔だからっていきなり半月以上家族旅行に行かされる始末ですからねぇ。全体像としての整合性としても不備が大きいし、そこまでしてヒロインと二人きりの交流や世界観を作ってもそれがちっとも面白くないというのが一番の問題です。

 強いて言えば比較的まともだったのが未依ルートで、ここは元々彼女が学園に来た建前と本音の二重構造の中で、ある程度ミスリード的な側面も含めてテンプレが効果的に機能していますし、また茉理含めた三人での交流や、他ヒロインが絡んできてのイベントも他ルートと比べれば相対的に多く(絶対的には最低限の範疇ですけれど)、ヒロインのギャップ萌えという観点も含めてそこそこ楽しめました。
 ただ他の三人は……。凛音なんかはいかにもうるさ型で素直になれない委員長ヒロインのテンプレをなぞっただけだし、かつそこでそのめんどくささを可愛げで糊塗する技術もないから序盤はただ鬱陶しいだけだったり。
 星七も幼馴染シナリオとして平凡で意外性がまるでないつくりで、こういうルートこそ他のヒロインの登場で危機感を、とか、そこそこ斬新な二人の関係性の飛躍のイベントとか練り込むべきなのに本当になにもなく、ちょっと詩央が発破かけるだけでくっついてイチャエロして終わり。
 詩央も元々の関係が関係なのに、意外と真面目に関係性の面で悩んだりうじうじする割に解決はめちゃ適当、背徳感もあったものじゃないしイチャエロの可愛さはまずまずだけどシナリオとしてはうーん、としか。

 ライター数も多く、ルート毎の擦り合わせなんかはほぼされてないんだろうなぁ、って状況の錯綜ぶりですし、そこであくまでもテンプレさえなぞっていればそれでいいんでしょ?的な安直さが透けて見えるつくりで、物語としてのバランスとして許せるのが1ルートだけ、それも別に特段面白いわけではない、となると、まともに評論する気力もなくなりますし評価としてもこの辺りに落ち着くでしょう。
 せめてもっと振り切ってイチャエロ特化にしてしまえば需要というか価値はあったのに、その面でも最低限、とまでは言わないけど少なくとも濃い口とは言えない質と量ですし、総じて絵とCVの無駄遣い感の強い凡作であるのは間違いないところだと思いますね。


キャラ(18/20)

★全体評価 

 単純にテンプレヒロインのそれぞれのならではの魅力すらきちんと書けていない、というのは、タイトルからして致命的な欠陥だと思いますし、下手するとそのテンプレの部分がめんどくさい、鬱陶しいと思わせる水準を脱却できていない、ライティングの技術でそれを可愛げに転化する事すらできていないわけでなんとも。
 横の繋がりとしてもほぼ天文部内部のイベントで完結してしまっていて奥行きが全くないですし、せっかくデザインや絵そのものは可愛いのに勿体なや勿体なや。


★NO,1!イチオシ!

 と言えるほどではないですが、終わってみれば未依一択かなぁと。絵的には一番残念ってのがこれまた噛み合ってない所ではあるのですが。。。
 共通でのクールを装ったメイドキャラと、個別に入っての感情の振れ幅がしっかり出てくるお嬢様キャラとのギャップ萌えが中々いいですし、妹との関係性なども含めての個性の組み立てがまずまず、恋愛面でも一途で愛らしく甲斐甲斐しい様をしっかり見せてくれるので、癖の強い他のヒロインよりマイナス点がかなり少ないな、って感じですね。

 その他は……まぁ別に語るまでもないか。。。


CG(17/20)

★全体評価

 質としてはまぁそこそこ安定して高いんですけど、それでも絵師さんごとに色々差異はあるし、量的にはフルプライスとしては論外的にしょぼいので、評価としてもやや厳し目にはしたいなと。


★立ち絵

 まあ概ね可愛いんですが、素材的にはそんなでもなく、また面白味も薄いっちゃ薄いですね。
 ポースは後ろ向きとか見返りもあるので4種類くらいとまずまずですが、そこまでそれぞれの個性を感じさせる細やかさはないですし普通レベル、服飾的にも制服私服パジャマ水着とお約束的なところは抑えつつ、あまり汎用性がない衣装も多くて基本制服ばかり見ている気もするのがなんとも。
 表情差分もそんなに遊びがなくて、テキストから引き出される感情の幅も狭目なのであまり目立たないなと。かりぐらし恋愛あたりと比較するとのっぺらぼうに感じるレベル。


★1枚絵

 全部で73枚は、複数絵師を起用しているのにあまりにも少なすぎ。せめて一人でならまだしもなんですけどねぇ。
 質自体もどうしても出来の善し悪しはありますし、それぞれにバランスが取れているかと言われると微妙なラインでもあり、無論好み寄りの絵柄ですからいいものはいいと思えたのですけども、とお茶を濁したいところ。

 特にいいなと思えたのは、詩央はじめて愛撫、星七家庭教師、凛音屈曲位、いつでも隣にあたりでしょうか。
 上でも書いたけど、シナリオ的には一番感情移入できる未依の絵が一番微妙なのがなぁ。いや悪くはないんですけどね、やっぱり崩れているところが目立つし、せめて騎乗位がペタ腰だったら良かったのにと贅沢を言ってみる。
 あと凛音は折角制服のシーンがふたつもあるのに、どちらも全く黒ストを生かしてくれてなくて絶望した!


BGM(17/20)

★全体評価

 こちらは質量ともに標準的な出来で、まぁ細かく見るとうーん、ってのとこれはっ!ってのがあって玉石混交なんですけれど、総じてみれば水準レベルに落ち着く感じ。特にBGMのピアノメインの曲は好みに合致して良かったです。


★ボーカル曲

 全部で3曲。
 最初のOPはなんというか奇を衒い過ぎてもはや音楽と言えるのか?ってレベルに奇矯になっていて、正直これは全く好きではなく。
 個別突入時のOPはそこそこキャッチーで軽やかで、これは先ず先ず好きです。
 EDはいかにもEDらしい伸びやかさと晴れやかさを感じさせて悪くはないですが、それ以上になにか惹かれるものがあったわけでもなく、ですかね。


★BGM

 全部で29曲と量的にはまずまず、質も概ね安定していて、曲それぞれにきちんと奥行きもあるし、この作品の中で一番まともに作られている気がします。。。
 特にお気に入りは『まっすぐに、ひたむきに』『きっと乗り越えられる』『想い』あたり。特に『きっと乗り越えられる』は曲の構成のメリハリとメロディラインの美しさ、ピアノ単色ながらの奥行きがすごく好みでした。


システム(8/10)

★演出

 最低限キャラも動くし悪くはないけど、最近良く動く作品や、表情の振れ幅がめっちゃ大きい作品を良くプレイしていたもので、シナリオ面で全く押しがない中でのこのレベルでは単調かな、とは思います。
 他の演出も特に優れたイメージはなく、ムービーにしても個別編でキャラごとに組み立てているのは評価しますが、それとて切り張りの側面が強く目立ってセンスがあるわけでもないので、という感じ。


★システム

 相変わらずディスクレスのための仕様がめんどくさすぎる、ってのと、動作がなんかもっさりしてて鬱陶しいのは付き纏いますね。
 システム要素そのものは最低限は完備していますけれど、やはり特に良いとは口が裂けても言えないかなという感じではあります。


総合(72/100)

 総プレイ時間15時間くらい。共通4時間弱に個別も3時間弱で、オマケもせいぜい15分程度で網羅できるので、尺としてもやや微妙なラインですし、それでいながら内容にとても水増し感、間延び感が強いってのが問題ではありますかね。
 正直大枠のテーマとしても、何を突き詰めて見せたかったのかって意思が伝わってこない内容ですし、あくまでテンプレに拘るとしてももう少しそれを煮詰める事はできたはずで、本当にありがちなテンプレの、しかも上澄みだけを掬って適当に張り付けておしまい、という手抜き感に溢れていますので、いかに絵とCVが強くてもダメなものはダメ、という現実を悲しいほどに突き付けてくれる作品です。

 まあ流石にこれを人様にお勧めするのは失礼、ってレベルですし、それでも割高なCG集、ボイス集としてだけでも楽しめるぜ、って思えるならでしょうか。少なくともシナリオには期待しちゃ絶対にダメです。正直未依レベルが四人そろったとしてやっと標準かそれ以下か程度だからなぁ……。
posted by クローバー at 05:39| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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