2018年07月26日

まおてん

 基本的にはほぼライター買いですね、ラブリッチェ素晴らしかったので。


シナリオ(24/30)

 広がる人と世界の環。


★あらすじ


 主人公は半島の先端にある程よい田舎の三咲町での平穏な暮らしを愛していました。
 釣りを趣味とし、幼馴染の梨多や義妹のゆうりと仲よく過ごし、学園にも一緒に馬鹿が出来る男友達がいて、ともすれば変化の乏しい生活圏ながらも、それに満足して、ずっとこんな平穏の中に揺蕩っていたいとさえ思っていました。
 もっとも、イベント好き、悪戯好きが嵩じて「三咲町の魔王」と恐れられている梨多などは、この町の生活を退屈ではないけれど窮屈だと感じていて、もっと広い天地や、或いは波乱に満ちた日常にならないかなど期待しており、それはある日、唐突に水面下に顔を上げる事になります。

 突如時空の壁を突き破って魔界からやってきた、かつて破壊神をも飲み込んだとされる最強の魔王・カリン。
 彼女の襲来をきっかけに、実はこの町が十数年前に666の魔族を受け入れ、人と同化して暮らしている町だった事や、その監視に天界から戦闘向きの天使が派遣されており、それが他ならぬ自分の姉のゆうりだったなど、驚愕の事実が次々と明らかになっていきます。
 基本的に魔族と天使は水と油、天衣無縫でそれまでのルールを意に介さないカリンの登場で一触即発の空気も漂いつつ、それでもカリンの本来の目的である人界の生活を楽しみたい!という想いを汲み取って、クラスメイトになる事になった主人公や梨多はあれこれと奔走する事になります。

 目の前に突然現出したファンタジックな世界、しかしその現実と向き合っていく内に、主人公はやがて自分自身もその因果の流れの中でなにか楔となるような立場にあることをうっすらと自覚していきます。
 果たして彼の過去にある因縁とは如何様なものなのか、それがもたらす様々な思惑や敵意などを潜り抜けて、彼らは平穏で幸せで、そして退屈でも窮屈でもない生活を手にする事が出来るのか、これはそんなエンターテイメントに満ちた絆と希望の物語です。


★テキスト

 ここは普段通りに軽快で端的でテンポよく、また程よく若々しさに溢れた文章構成になっていて読み心地がいいですね。
 極端な省略表現や飛躍はいきなりだと文脈を見失って面食らう所もあるかもだけど、ある程度慣れていれば逆に読みやすい面はあると思いますし、つくりものとしてのキャラ性と、よりリアリティのあるキャラ性のバランスの取り方が相変わらず上手だな、という感覚です。
 きちんと物語の盛り上がりに合わせてのメリハリやエッジも効いているし、ギャグはシュールな方向やお約束に偏った印象はあるけれどそれでも充分楽しいので、全体的に文句なく最後までスラスラ楽しんでプレイできたなと思います。


★ルート構成

 結構あれやこれやと選択肢はあるんですけれど、結論的に言えば実のところ道中、とりわけプロローグの選択肢はそこまで大筋には影響なくて、あくまでもOP後のキャラ選択で決定している感はあります。
 ルート突入後は選択によって差分展開があったりと多様性はそこそこありますが、全体的に選択肢の数のイメージ程難解ではなく、ジャンプ機能も充実しているのでスムーズにプレイできるのかなとは思います。

 またこういう、主人公の主観で一律的にヒロインルートが確定する構成は、事前の選択肢の積み立てがしっかりしていないと説得性がないよ、というのが私のスタンスではありますが、この作品の場合最終的に開示される設定によって、その部分の不備をしっかり補えているのもポイントは高いですね。その辺はネタバレでもう少し詳しく言及します。
 そしてヒロイン3人クリアすると、最終ルートである変わる世界がオープンして、それをクリアするとあらゆる謎が明確になるという分かりやすい構図になっていますね。


★シナリオ(大枠)

 大枠的に見て、あまりテーマ性とかメッセージ性がガンガン表に出てくる感じではなく(一応いくつかの細かなテーマが積層している感じはありますが)、あくまでもエンタメとしての魅力を第一に追及した感はあります。
 煌びやかでかつスリリングな日常、謎が更なる謎を呼ぶような奥深いミステリー要素、そしてお約束のバトル展開を上手く噛み合わせて、各ルート毎の整合性も最低限意識しつつ飽きさせない展開に持ち込めていますし、こういうバトル要素のお約束でもあるルート毎にボスキャラが違う、なんて部分でもしっかりケア出来ているのが印象的ではありました。

 一方で、どうしてもバトルものの常としての屋上屋を重ねるようなインフレ展開は目立ちますし、それに対する必然性に関しては、あまり努力友情根性的なお約束を省いた、より世界観の広がり的な視座で確立している面が強いので、そのあたりをやや恣意的ではないか、と感じるきらいはありました。
 そもそも論としての土台の秘密がかなりぶっ飛んでいますし、どこまでその無意識下の願望の影響下にあるのか、という部分の腑分けも難しくて、その点はネタバレでもう少し精密に検証したいところです。

 ただそういう部分での甘さはあれど、きちんとそれぞれのヒロインルートでの恋愛要素、展開の特有性と一定以上の面白さはしっかり担保されていて、少しだけ梨多ルートはビターな後味になったりもするけれど、それも最終的にややご都合主義的とはいえ払拭される事にはなっているので、総合的に見て安定して面白い作品だったとは言えるでしょう。
 勿論どのルートでも友情を前提とした横の繋がりの広さや、そこから派生してのサブヒロインとの絡みなども充実していますし、ヒロイン自体は三人とやや少なく感じますが、純粋に攻略できるのが三人というわけではないのでトータルとしてのコスパもそんなに悪くはないはずです。
 個人的に色々微細なマイナス要素が絡まり、爆発的に面白い、という感じでも、すごく感動する、というイメージでもなかったので、点数としてはギリギリ名作ラインの下に置いていますが、ヒロインに対する思い入れが強ければかなりいい線まで行く作り込みだろうな、とは感じましたね。



★シナリオ(個別・ネタバレ)

 個別を見ていく上での前提として、現状に繋がる歴史の総括と、今の世界を包括的にクリエイトしている恒常神とその対であるアムリタの力が、どこまで波及しているのか?という点は定義しておこうと思います。

 まず太古の昔、およそ1000年前に魔界に破壊神が到来し、それを魔王族の長であるカリンが自身の中に封印し共に眠りにつく、という形で終息させたものの、カリンという旗頭を失った魔王種に対しての抗争があり、とりわけ魔界で最強種と恐れられるガルーダによって壊滅寸前まで追い込まれた事で、魔王種の一部は命からがら人界に逃げてきて、この地で妖怪として、或いは人と交わりやがて人として生きていく事になりました。
 作中だと忍び軍団とか巴ちゃんとか、そしてその親玉というか元締めとしての長良屋の家、今は先祖返りで潜在的に強い魔力を持つクラスメイトの白蛇がそれを統括している格好になっています。

 そして今の事件に繋がるそもそもの発端は、666の魔族の到来に先駆ける21年前、ガルーダによる人界の侵犯と、その結果として一人の女性が性的暴行を受け、人と魔の合いの子を産み落としたことにあります。
 その女性の名は九条(明確に感じでは定義されていなかったかもですけど便宜的に)と呼ばれ、こちらは島の歴史の中で大地主、そして灯台守としての役割があって、こちらも明確には示されていませんが、1000年前に到来した魔族のいずれかの血を引く家系なのかもしれません。
 その傍証としては、この一族に特異な空間把握能力が備わっている事で、それがかつては灯台守として重宝されていたこともありますが、近代ではより航行技術が発展したためにその力は社会的に強く求められにくく、あくまでも潜在的な要素としてとどまっていました。

 一方ガルーダという種は基本的に単一で、戦闘狂的な面があり、服従させた敵を飲み込んでその特質をも組み込みさらに強くなっていくという性能を持っています。
 それは自分の子孫にも及ぶ話で、様々な種と交配し、特異な力を遺伝的に備えた自身の子と戦い、食らう事でより強くなることを繰り返し、結果的に魔界最強として恐れられ続けてきました。
 そしてガルーダは、本来は不可能なはずの時空の壁の突破、空間転移能力をあらかじめ保持していましたが、それはきちんと出口を定義できない危険な代物で、いかにガルーダとはいえ宇宙の真空などにいきなり飛びこんでしまえば死は免れない為に、安直には使えないもので。
 その欠点を補うために、ガルーダは九条の空間把握能力に目をつけたわけですね。

 結果的にその合いの子であるカルラは産まれ、けれどその転移能力がある為に、すぐに父親のガルーダに食われる事なく逃げ回っていました。
 その期間にこの町には666の魔族の到来、そして九条の本当の娘になる優理や、主人公の生誕なども起こっていて、しかし優理は母親がガルーダに子宮を蹂躙された影響もあってか、先天的な病気を抱えてしまっていました。
 母親はそれを知って発狂寸前になり、様々な宗教に縋るようになって、一方で半分血の繋がった姉であるカルラや、隣の家に住んでいた主人公などはそれぞれに優理と仲良くなって、優理が普通に生きていられる内は表向きは平穏でした。

 しかしやがて優理の病状が悪化し、もう助からないとなって、カルラは優理を救うために、天界の宝物庫に忍び込み、なんでも願いが叶うという九耀の秘石を盗み出す事に成功しますが、その時にダンテに追われて致命傷を受け、更に悪い事にその一連の騒動で遂に父親ガルーダに居場所を捕捉されてしまいます。
 その場に、優理の死を知って呆然としていた主人公も偶然居合わせ、ガルーダの気まぐれでパクリと飲み込まれてしまうのですが、その時の強烈な拒絶感が願いに転じて九耀の秘石を発動させ、結果的にガルーダの力の一部を奪い取り、更にアムリタが転じた梨多という存在をこの世に産み落とす事になりました。
 結果的に神の力が介在した事によって、梨多の無意識下の望みがある程度現実を束縛する状況が作られる事になり、その後のカルラの最期の足掻き的な主人公との繋がりなども含めて、悪夢的な部分はすっぽり糊塗され続ける事になったわけですね。

 一方で、このタイミングで神の力が発現した事がおそらくきっかけになり、魔界では破壊神の力と一体になったカリンが、本来目覚めるはずではなかった眠りから目覚めており、このあたりからは神の力の共鳴性と万能性を感じさせて、これは変わる世界の展開にも大きく作用するファクターになっています。
 結果的にその後の10年余りは、梨多が主人公の幼馴染で一番の親友であり続け、主人公もそれ以上を望まず、周りに危機も訪れなかったので、神の世界を改変する力自体はまともには発現せずに今を迎えたものの、カリンの襲来からはじまる一連の騒動の中でそれが綻び始めた、と定義できるでしょう。

 とはいえ、おそらく梨多は変わる世界ルート以外では自分がアムリタである自覚は持ち得ていませんし、それを無自覚に発動するほど悲嘆に暮れる展開にもほとんど直面していないので、基本的にはその力は主人公の意に沿い、それを少しだけ後押しするくらいの影響力だと考えていいのかな、と思っています。
 上でルート変化に対する説得的なファクターが少なくても成り立つ、としたのはここが原因で、本来梨多的な幼馴染の存在は他ルートですんなり身を引くのが不可思議、とはなるのですが、それを不自然にしないと同時に、各ルートでの展開に破綻がないようにある程度影響を与えてくれていたと考えれば辻褄は合うな、というイメージです。

 さて、定義が長くなりましたがそういう土壌の上に成り立つこの物語、個別評価としては変わる世界>ゆうり=梨多>カリンくらいでしょうか。
 どれもある程度高い水準で面白くまとまっていますが、より複合的な要素を上手く活かしているのは、と考えた時に個別ではゆうりがベストかな、と思いますし、流石にそれらを土台にした変わる世界のスリリングさと特異性、テーマとのリンク性は確かなもので、そこはしっかり評価すべきだろうと思いますね。

 カリンに関しては、ある意味魔王との恋愛というのに一番波乱が少ないという意外性はある話でしょうか。
 このルートの場合の大きな不満は、どうしてあれだけ他ルートではウザく絡みついてくるブリザブリク、とりわけ個人的な執念を滾らせている九条がその存在すら見せずにいるのか、という部分にあります。
 基本的に魔王と主人公は共に彼女にとって不倶戴天に近い存在ではある筈で、それが結びついていく過程の中で、如何に力関係的に無謀さはあれどそれを指を銜えて見ているようなタイプではないし、またヒル姉に彼女達の暴走を制御できるだけの力がないのは他ルートでも明らかなだけに、これは明確に不自然です。
 勿論ある程度二人の関係性を察した梨多の支えが恣意的に影響を及ぼした、という解釈も出来ますけれど、実際的にそこまで便利に力を使えるわけではないとは上で見た通りですし、この部分だけそうである、と定義するのはやっぱり強引ではないでしょうか。

 結局このルートの場合は人界のお騒がせ担当が静かな分だけ、天界と魔界の対立項だけがピックアップされている面がありますし、同時に下克上的な面での面白さも見せてはいますが、トータルで見てやや偏りがある話だとは思いました。
 まあ白蛇が個人的にこの作品で一番好きなので、時折暴走気味とはいえこの展開てもいい子ちゃんのままだったのは有難い所で、かつその後のご都合的な展開もいいぞもっとやれ!と喝采を上げるところではありましたが、最後の魔王様の元気玉的な奥の手も含めて些か短絡的ではあったのかな、と思います。
 というか、最後のルートとかでこの元気玉がもっかい出てきて重要な戦いでの役割を果たすのかな?なんて思っていただけにその辺スルーだったのはちょっと使い方として勿体なかった気もしますしね。
 まあカリンの恋愛譚としてのチョロ可愛さは中々でしたし、決して悪くはないんですけど総合的に見ると一番下になりますね。

 次いで梨多ルートはまぁ、幼馴染でありつつしっかり互いに好意を自覚している、という不思議な関係性のバランスは、梨多がそもそもそういう存在である、という部分に依拠するところはあって、そこに幼馴染ルートとしての斬新さを埋め込む事が出来ているのは悪くない点です。
 ただステップとしてはどうしても他のルートよりもときめき感は薄くなる傾向にはなりますし、周りの策動にしても色々と三すくみ的な要素はありつつややダイナミズムに欠けるイメージはあって、表面化してくるまでに時間が掛かるし、主人公側があまり積極的に介在しにくいという部分でも難しさはあったのかな、と。
 このルートの場合は二度目の力の顕現の流れがやや独特ですし、カリンに対する扱いの冷酷さも踏まえてハラハラ感はかなりのものでしたけど、最終的な着地点としても梨多にしては制御の効いた、あくまでも主人公の望みを尊重する姿勢に終始しているのが制約的ではあり、結果的にこの時点であまりスカッとする終わり方ではないというのも評価を悩ましくするポイントでしょうかね。


 ゆうりルートを一番好んでいるのは、一応この時点でのガルーダの力との関連性を一番明示的に紐解いている事、カルラとの関係性の中でも様々に情緒的な面が強く出ていて、九条絡みの話としては一番シンプルながら綺麗にまとまっているかな、という部分と、ゆうりの天使と人のそれぞれの特性の美しさ、勇壮さと哀切がすごく目立っていたというのがありますね。
 このルートを見てしまうと、逆にラムの立ち位置や思考の部分で他ルートは些か大袈裟なくらいに糊塗している部分が目立つのでその点はちょっとマイナスなのですが、結果的にそういう策謀の芯にある想いの美しさ、家族の絆の強さを明白に引き出せているのはそれを補って余りある要素ですし、また最終的にその思惑の梯子を外して人に害を与えようとする天界、それを阻止せんと地上側では魔族も人も天使も手を取り合って、という構図になっているのも好印象でした。
 ゆうり自身もヒロインとして可愛かったですし、最後のシーンの余韻の良さも含めて高く評価しています。

 変わる世界に関しては、やや展開の構成に強引さというか、まあそれ以上どうしろと言われても難しいところですけど、最低限のアムリタの力のルールに付随した格好での流れになっているのをどう評価するか、でしょうか。
 上で定義したように、神の力が顕現するとそれが呼び合いより大きな力に繋がる場合があるというのが、梨多の誕生とカリンの目覚めによって紐づけされているわけですが、ここではラムの真実への至りに対する再封印に愛美が神の力を行使したことで、結果破壊神を身にまとい時空間を彷徨う梨多ルートの主人公を呼び寄せた、という因果関係が成り立つことになります。

 ただそれ自体は悪くないですし、当然その主人公はガルーダの因子を持っている以上、それをカルラが誤認するミスリードも正統的なんですが、やっぱりここに顕現し、梨多に出会っていきなり口づけをして、その後主人公が昏倒した後で梨多がこちら側の主人公に同情的な観念を抱き、世界を改変してしまうという流れそのものはどうなん?とはなりますよね。
 勿論その、自分が擦り替わって世界から存在そのものを抹消されてしまう恐怖感、という発想そのものは実に面白いですし、それが実現できるだけの最低限の整合性は用意していたと思うのですが、如何にこの時点での梨多が変化に飢えていたといっても、この残酷な改変は結果的に試練的なスタンスで語られる事にはなりますけれど、やっぱり釈然としないものはなくはない、というところです。

 その危機的展開から、それを打開する上で梨多との暮らしで育んだ友情の紡ぎ方、人との向き合い方、その結果としての世界と人の繋がりの大切さなどは上手く抽出できているのは間違いないのですが、やっぱりもうひとつ、それを必然的にするだけのファクターはあって然るべきで、そこに至る展開を急ぎ過ぎた感はある、というのが、手放しで賞賛しにくい部分になります。
 加えて終盤の、恒常神の現出とそこからの展開もやや急ピッチには過ぎていて、そのくせ危機感煽るだけは煽って最終的には優柔パワーや横の繋がりそのものでなく、あくまでも神の万能性でクルッとどうにかしてしまう呆気なさが、そういうものだとはいえ、そうでないと不自然だとはいえ、やっぱりスケールとして過大になり過ぎている感じはありましたかね。

 それでも総合的に面白かったのは間違いないですが、結局並行世界的な部分に関してもあくまでも便宜的に、という面は否めないですし、最後の向こうの梨多と主人公の再会なども含めてそれでいいのかなぁ?という肩透かし感はあるんじゃないかと、そのあたりが名作ラインに乗せるのを躊躇させる要因にはなっています。



キャラ(20/20)


★全体評価

 人界的な価値観で言えば善悪取り乱れたキャラ性ではありますが、総じて言えるのはそれぞれがあるべき立場で為すべきことを、という流れの中での抑圧性の薄さが目立っていて、良くも悪くも正直な有り様が共鳴性や納得感に繋がっているところはありますね。
 その上で基本的に仲間側の面々は本当に気持ちのいい。温かさに満ちた関係性が紡げていますし、サブキャラ一人一人にも存在感があったな、という感じです。


★NO,1!イチオシ!

 でも一番好きなのはメインヒロイン三人を差し置いておシロさんこと白蛇だったりね。。。
 やっぱりこういうしっかり者で優しく、それでいてちょっと裏があるタイプは可愛いなと思いますし、カリンとセットでかなり色々な場面で活躍していくのでそのあたりの存在感も含めてかなり魅力的でした。
 強いて言えばもう少しシーン数を!ちゃんとストッキングを生かしたシーンが欲しかったんだぜよ。。。


★NO,2〜

 メインではゆうりが一番かな。
 中性的なイメージと姉らしい包容力のバランスが良かったし、といって天使らしくどこか擦れていない無垢さも兼ね備えていて、立ち位置も含めて色んな顔があって面白かったです。
 カリンも最初はかなり我が儘が過ぎる面もあるけれど、本質的な善良さと可愛らしさはかなりのものですし、魔王と呼ぶには愛らし過ぎるヒロインでしたね。
 梨多も嫌いじゃないけど、こういう明け透けな幼馴染タイプはやっぱりちょっと損をするところはあるよなぁ、って思うし、見た目的にも性格的にも他二人よりは、って感じ。

 あとヒル姉がめちゃ好き。あのエセ日本語的な喋りと無垢さ、包容力のセットでまあゆうりと被る面も多いんだけど、それでも立ち位置的に独特の傷を受け持つ部分なんかもあったりで、その影も含めて魅力的でした。


CG(17/20)


★全体評価

 まあ質量ともに値段相応で安定はしていたと思いますし、SDまで一人で描いてこれなら大したものではありますね。ただハッとするほど魅力的な、ってわけでもなかったし、評価としてはこのラインで。


★立ち絵

 ポーズはヒロインで2〜3種類のサブで1種類、そんな多くはないけれどそれぞれの個性はすごく出ていて印象的ですし、活発な雰囲気もシナリオと良くマッチしていたと思います。

 服飾はヒロイン3〜4種でサブが1〜2種とやっぱりそんな多くはないですね。
 ゆうりの制服と白蛇の私服、体操服、ヒル姉の私服と巫女服あたりが好みでした。

 表情差分も遊びはそれなりにあり、喜怒哀楽のメリハリがしっかりしていて印象的ですね。
 ゆうりの笑顔とジト目、カリンの笑顔と拗ね、白蛇の朗らか笑いと驚き、困惑、ヒル姉のニヤリ、ニコニコ、照れ焦り辺りが好きです。


★1枚絵

 通常が80枚でSDが15枚、計95枚ですね。
 数としてはギリギリ水準という感じですけれど、質は安定して高いですし、作品の雰囲気にもしっかりマッチしていて良かったと思いますって通り一遍過ぎるか。。。まあこの絵ははじめてなのであんまり思い入れとかもないですねー。

 お気に入りは梨多バック、カリンパフェ、背面座位、白蛇と3P、シヴァとヒル姉のヨガあたりかな。


BGM(16/20)


★全体評価

 量的にはあれ、こんなに少ないの?ってくらいで、それだけ有機的に活用できていた証左かもですがその辺はちょっと食い足りないですね。
 質的にはそれなりに悪くなくバランスも取れていますが、やや曲名にキャラ名を付随するものが多いので、もう少し汎用性が高いように工夫はしても良かったんでは?という気はします。


★ボーカル曲

 全部で2曲。
 OPの『小悪魔Smile☆』は軽快でやや意外性を孕み、これからのハラハラする日常のイメージを投影したらしい曲かな、と思います。曲の出来としてはまあ水準くらいかなと。
 EDの『Future Ribbon』はかなりいい曲ですね。壮大さと健やかさ、真っ直ぐさがのびやかなメロディラインとボーカルに綺麗に乗って、その先の未来の輝かしさをしっかり感じさせてくれますし、Bメロの構成が特に好きです。


★BGM

 全部で10曲とこれはかなり少なくて物足りなさが募りますね。
 ただ質としてはバランス良く汎用性高く組み立てられていて、少なくとも作中で曲のイメージが悪くて阻害要因に、なんて感じはなかったですし、少数精鋭という趣でしょうか。

 お気に入りは『ブリュンヒルト,シュヴェスタン』『逢魔我カリン』『下級魔登場』『地遊尼ゆうり』『地遊尼ラム』あたりです。


★システム(8/10)


★演出

 基本的に悪くはないですが目立って派手、という程でもないですし、キャラもコミカルに動いて楽しいですけど総合的に見れば標準くらいかな、と。
 ムービーもそこまでセンスあふれる、というイメージではないですし、作品の雰囲気はしっかり反映していますけどそこまで目立ってはいませんでした。EDの夕日に映える海の演出の方がインパクトありましたかね。


★システム

 ややプレイ画面でのコンフィグ回しやショートカットで使い出が微妙、という感じはありますが、要素としては必要なものは揃っていますし及第点だろうと思います。


総合(85/100)

 総プレイ時間22時間。
 共通が5時間で、個別が各4時間弱くらい、その他サブルートやおまけルートなど加味してこれくらいですね。

 ボリュームとしては値段相応のものはありますし、ルート数が少ない分だけ密度と熱量はしっかり高く、安定してエンタメとしての魅力を振りまいているいい作品だとは思います。
 ただ一方で突き抜けた魅力があるか、という部分で、やや設定的な都合の良さに頼る部分もありますし、構成の複雑さを踏まえての整合性として見れば大したものとはいえ、私のイメージとして手放しで賞賛できるほどではなかった、という感じで、点数的にも微妙な匙加減になったかなと。
 まあ素直に面白いのは確かなので、ヒロインがしっかりお気に入りであればプレイして損はないと思いますけれどね。

posted by クローバー at 10:29| Comment(0) | 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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